説明

合わせガラス板の吊下げ支持具

【課題】経年使用により合わせガラスの中間膜に収縮が生じても、合わせガラス板の脱落を防止することができる吊下げ支持具を提供すること。
【解決手段】合わせガラス板Gを挟持して吊下げ支持する合わせガラス板Gの吊下げ支持具100であって、合わせガラス板Gの両外面それぞれに接着され、かつ反接着面に溝部11を有する一対の係止プレート13と、一対の係止プレート13の各溝部11に係合して合わせガラス板Gを挟持する一対の挟持板2と、一対の挟持板2を互いに近づく方向に押圧する押圧手段1とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合わせガラス板を吊下げ支持する吊下げ支持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガラス板などのパネルを、建築構造躯体に吊下げ方式で支持する各種のガラス板吊下げ支持具が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、適宜吊持手段に挟持具を吊設し、該挟持具が、ガラス板上端付近両面に接着され前記挟持具との係合部を有する一対のガラス板挟持用金具を介して、ガラス板を挟圧吊持するようにしたガラス板の躯体への吊下げ支持具が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、合わせガラスの上縁部を挟持部材により挟持し、挟持部材を吊持部材に連結し、吊持部材を躯体に吊持することにより合わせガラスを躯体に吊持してなる合わせガラス施工体であって、前記合わせガラスは合わせガラス用中間膜により接合されてなる2枚のガラス板のうち一方のガラス板を上端部において突出させて上端部が単板ガラス部分となるような段違い構造となっており、この突出した上端部の単板ガラス部分を前記挟持部材により挟持してなる合わせガラス施工体が開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、ガラスパネルの上端縁の表裏に配置する金属板により形成した吊下ビームに、前記パネルに対する機械的押圧領域と接着剤固着領域とを設けると共に、少なくとも前記2つの領域の境界に、当該吊下ビームの2つの領域に加えられる前記パネルを挟持するための力を隣の領域に伝えない空間部を設け、前記パネル表裏の吊下ビームをボルトなどの緊締手段により締付けてガラスパネルをその表裏の吊下ビームによって固定保持するようにしたガラスパネル吊下保持構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−159215号公報
【特許文献2】特開平8−270120号公報
【特許文献3】特開2009−108514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
合わせガラスは単板ガラスに比べ、耐風圧性能、防音性能、防犯性能などの特性面において優れているため、合わせガラスの需要が増えている。特に、ガラス板の吊り下げ工法に合わせガラスを用いると単板ガラスを用いた場合より大きな風圧を負荷できる為、より大きなガラスサイズでも対応可能になり、より大きな開口空間にガラススクリーンを形成することができるという観点からも需要が大きい。
【0008】
しかし、合わせガラスを吊下げ支持構造として建築物などに施工する場合、長期間使用すると、熱や光などの外部的要因によって、合わせガラスを構成するポリビニールブチラール等の樹脂中間膜(以下、「合わせ中間膜」と呼ぶ)が収縮してしまうという問題があった。
【0009】
特許文献1に記載の支持金具を用いて合わせガラスを施工する場合、長期間使用すると、合わせ中間膜に収縮が生じ、ガラス板を吊り下げるための挟持板とガラス板を挟み込むためのガラス板挟持用金具(係止プレート)との間に隙間ができるおそれがある。その場合には、合わせガラスを十分に挟持することができなくなり、合わせガラスが脱落してしまうおそれがある。
【0010】
また、特許文献2に記載の支持具は、合わせガラスの吊下げ支持具であるが、合わせガラスを構成する一方のガラス板を上端部において突出させて上端部が単板ガラス部分となるような段違い構造とすること、合わせガラスを構成する2枚のガラス板のうち一方のガラス板の上端部の一部が切り欠きされており、その切り欠きされた部分が単板ガラス部分となるような構造とすること、または、合わせガラスを構成する中間膜の挟持部材により挟持される部分を切り欠き、この切欠き部分にスペーサが配置されており、このスペーサが配置されている合わせガラス部分を挟持部材により挟持することなど、吊り下げる合わせガラス自体に別途加工が必要となり、施工などの取り扱いが煩雑になるという問題点があった。
【0011】
さらに、特許文献2に記載の支持具では、合わせガラスを構成する一方のガラス板を挟持する構造であるため、挟持部材によって挟持された一方のガラス板に、合わせガラス全体の荷重が掛かる構成となっている。しかしながら、一枚のガラス板に掛かる荷重には限界があるため、特許文献2に記載の吊り下げ構造を用いる場合、大型の合わせガラスを吊り下げることが難しく、吊り下げる合わせガラスの大きさが制限されてしまうという問題点があった。
【0012】
また、特許文献3に記載の支持構造は、接着剤による挟持固定と機械的押圧による挟持固定とを併用することによって、合わせガラスを吊下保持する構造であり、この支持構造では、合わせ中間膜の収縮に追従することが難しい。したがって、長期間使用すると、合わせ中間膜の収縮に伴い、合わせガラスを十分に挟持することができなくなり合わせガラスが脱落してしまうおそれがある。
【0013】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、経年使用により合わせガラス板の中間膜に収縮が生じても、合わせガラス板の脱落を防止することができる吊下げ支持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、合わせガラス板を挟持して吊下げ支持する合わせガラス板の吊下げ支持具であって、合わせガラス板の両外面それぞれに接着され、かつ反接着面に溝部を有する一対の係止プレートと、前記一対の係止プレートの各溝部に係合して合わせガラス板を挟持する一対の挟持板と、前記一対の挟持板を互いに近づく方向に押圧する押圧手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、前記押圧手段は、前記一対の挟持板に形成された貫通孔を挿通する固定ボルトと、前記固定ボルトに締結される締付けナットと、前記締付けナットと前記挟持板との間に圧縮して配置される押圧バネ部材と、を備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、前記締付けナットの外周部に緩み止めナットが螺合固定されること特徴とする。
【0017】
また、本発明は、前記押圧バネ部材は皿バネが2枚以上重ねて配置されてなることを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、前記押圧バネ部材の圧縮量に基づいて、前記一対の挟持板が前記合わせガラス板を締め付け挟持する軸力が設定されることを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、合わせガラス板の両外面それぞれに接着され、かつ反接着面に溝部を有する一対の係止プレートと、前記一対の係止プレートの各溝部に係合して合わせガラス板を挟持する一対の挟持板と、前記一対の挟持板に形成された貫通孔を挿通する固定ボルトと、前記固定ボルトに締結される締付けナットと、前記締付けナットと前記挟持板との間に圧縮して配置され、前記一対の挟持板を互いに近づく方向に押圧する押圧バネ部材と、を備える合わせガラス板の吊下げ支持構造における軸力導入方法において、前記締付けナットの締付けによって、前記押圧バネ部材を圧縮し、前記押圧バネ部材の圧縮量に基づいて、前記一対の挟持板が前記合わせガラス板を締め付け挟持する軸力を設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、合わせガラス板を挟持する一対の挟持板を互いに近づく方向に押圧する押圧手段を備えるため、経年使用によって合わせ中間膜が収縮しても、一対の挟持板はその収縮に追従して合わせガラスを挟持することができる。したがって、合わせガラス板の脱落を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態に係る合わせガラス板の吊下げ支持具の正面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る合わせガラス板の吊下げ支持具の断面図である。
【図3】図2の合わせガラス板と押圧機構の近傍拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態に係る合わせガラスの吊下げ支持具100について、図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
吊下げ支持具100は、建造物などの躯体の梁Lに懸吊手段7によって懸吊され、合わせガラスGを挟持して吊下げ支持するものである。
【0024】
吊下げ支持具100は、合わせガラス板Gの両外面それぞれに接着され、かつ反接着面に溝部11を有する一対の係止プレート13と、一対の係止プレート13の各溝部11に係合して合わせガラス板Gを挟持する一対の挟持板2と、一対の挟持板2を互いに近づく方向に押圧する押圧手段としての押圧機構1とを備える。
【0025】
押圧機構1は、一対の挟持板2に設けられた貫通孔2bを挿通する固定ボルト15と、一方の挟持板2から突出する固定ボルト15の突出部に締結される締付けナット17と、挟持板2の側面と締付けナット17との間に圧縮して配置される押圧バネ部材としての皿バネ20とを備える。
【0026】
締付けナット17の締め付けによって皿バネ20を圧縮させ、皿バネ20の復元力による押圧力によって、一対の挟持板2は互いに近づく方向に押圧される。これにより、挟持板2と係止プレート13の接合状態が常に維持されるため、合わせガラス板Gの脱落を防止することができる。
【0027】
皿バネ20の圧縮は、固定ボルト15に螺合された締付けナット17を回転させることによって行うことができる。皿バネ20を圧縮させて圧縮量(撓み量)を測定するだけで、圧縮により導入される押圧力である軸力Fの大きさを容易に把握することができる。
【0028】
図1および図2に示すように、懸吊手段7は、リング状のフック部8を有し、フック部8の上部には、雄ネジ部8aが螺刻されている。雄ネジ部8aの上方からワッシャ7aを挿通し、さらに、雄ネジ部8aにダブルナット7bが螺合され、建築物などの躯体の梁Lに掛止固定される。
【0029】
図2に示すように、一対の対向する挟持板2の上部対向位置の夫々には、先端部が互いに係合する先端凸状突起4および先端凹状突起5が形成される。先端凸状突起4および先端凹状突起5によって一対の挟持板2は隔置される。先端凸状突起4および先端凹状突起5の基端部にはネジ孔部(図示せず)が形成されており、該ネジ孔部に、挟持板2に設けられた貫通孔を挿通する穴付ボルト4aが螺合され、両挟持板2が固定される。
【0030】
両挟持板2の上端中央部には貫通孔が設けられ、該貫通孔に吊軸6aが挿通される。さらに、吊軸6aは懸吊手段7の下端のリング状フック部8を挿通することによって、両挟持板2、2は懸吊手段7に吊支される。吊軸6aの両挟持板2からの突出部には割りピン6cを挿通するための孔が設けられている。吊軸6aの突出部先端側から、中心に穿孔部を設けた抜止めワッシャ6bを挿通し、さらに、吊軸6aに設けられた孔に割りピン6cを挿入することにより吊軸6aの抜け防止や廻り防止をすることができる。
【0031】
両挟持板2の下端部には、夫々の内側に突出する挟持凸部2aが設けられる。挟持凸部2aは、一対の係止プレート13のそれぞれの反接着面に設けられた溝部11に係合して係止プレート13を支持する。両挟持板2は、貫通孔2bを挿通した固定ボルト15の夫々の両端が固定ナット16および締付けナット17にて締着されることによって互いに近づく方向に押圧され、一対の係止プレート13を介して合わせガラス板Gをクランプ(挟圧)する。
【0032】
図2に示すように、先端凸状突起4と先端凹状突起5は夫々の凸面と凹面の接触面にて摺動可能となっており、両挟持板2はラインX、Xを支点として、下端部側が矢印Yに示すごとく回動可能である。したがって、締付けナット17を回転させ締め付け調整することによって、両挟持板2は各種板厚の合わせガラス板Gを自在に挟圧できる。
【0033】
図3に示すように、一方の挟持板2の側面から突出した固定ボルト15の突出先端側から皿バネ20と締付けナット17が挿通され、締付けナット17と挟持板2の側面との間に皿バネ20が圧縮して配置される。
【0034】
一方の挟持板2の側面から突出した固定ボルト15の外周面には雄ネジ部が螺刻され、締付けナット17の内周面には雌ネジ部が螺刻されており、固定ボルト15と締付けナット17が螺合固定される。締付けナット17を回転させることによって、皿バネ20を締付け圧縮することができる。
【0035】
経年使用による合わせガラス板Gの厚みの変化や、締付けナット17や固定ボルト15などの金属部の収縮、膨張の繰り返しによって、締付けナット17と固定ボルト15の締付けが緩み、この緩みに起因する軸力Fの低下によって、両挟持板が十分に合わせガラス板Gを挟持できなくなり、合わせガラス板Gが脱落する恐れがある。そのため、締付けナット17の外周部に、緩み止めナット21を設けるようにしてもよい。具体的には、締付けナット17の外周面には雄ネジ部が螺刻されており、緩み止めナット21は、固定ボルト15の先端側から挿通され、内周面に螺刻された雌ネジ部によって締付けナット17の外周面に螺合固定される。
【0036】
締付けナット17は、略円筒状であり、締め付けを容易にするために、先端外周の一部が平らな形状(図1参照)とすると良い。また、締付けナット17に、外周部に開口して径方向に延び、雌ネジ部が螺刻された止めネジ孔17aを設けるとよい。止めネジ孔17a内に固定ビスなどのネジを挿入し、締付けナット17と固定ボルト15を強固に締付固定することによって、締付けナット17の位置を正確に固定することができ、皿バネ20の圧縮量(撓み量)をより正確に管理することができる。
【0037】
緩み止めナット21は、略円筒状である。締付けナット17と同様に、緩み止めナット21にも、外周部に開口して径方向に延び、雌ネジ部が螺刻された止めネジ孔21aを設けるとよい。止めネジ孔21a内に固定ビスなどのネジを挿入し、緩み止めナット21と締付けナット17を強固に締付固定することによって、締付けナット17と固定ボルト15の緩みをより効果的に防止することができる。さらに、緩み止めナット21を設けることによって、地震や風圧によって合わせガラス板Gが振動した場合であっても、挟持板2が合わせガラス板Gを挟持する方向Yと逆方向に開くことがなく、合わせガラス板が脱落することを防止する効果も得ることができる。
【0038】
以下、皿バネ20の取り付け、および締付けナット17の締め付けによる軸力Fの導入方法について説明する。
【0039】
まず、皿バネ20を挟持板2の貫通孔2bから突出した固定ボルト15の先端側から挿通し、さらに、固定ボルト15の先端側から、締付けナット17を挿通して回転させことによって、皿バネ20を圧縮する。使用する皿バネ20の配置方法は合わせガラス板Gを挟持するのに必要な軸力Fによって、適宜設計変更されるべきであるが、例えば、皿バネ20を2枚以上重ねて配置するとよい。その際、隣り合う皿バネ20を互いの表面と裏面が当接するようにして配置してもよい。なお、必要によって、皿バネ20と締付けナット17の間にワッシャ(図示せず)を設けるようにしても良い。
【0040】
締付けナット17を回転させると、皿バネ20が圧縮される。所定の位置まで皿バネ20を圧縮し、その圧縮量(撓み量)を測定し、その測定値から皿バネ20の圧縮により挟持板2に導入された軸力Fの大きさを算出することができる。つまり、一対の挟持板2が合わせガラス板Gを締め付け挟持する軸力Fは、皿バネ20の圧縮量に基づいて設定される。なお、皿バネ20の圧縮により導入する軸力Fの大きさは、皿バネ20の弾性係数によって容易に管理することができる。
【0041】
皿バネ20を締付けナット17にて所定の圧縮条件まで、締付け圧縮を行った後、締付けナット17に設けられた止めネジ孔17aに固定ビスを挿入して、締付けナット17と固定ボルト15を強固に締付固定する。これにより、締付けナット17の位置を正確に固定し、皿バネ20の圧縮量(撓み量)を確認し軸力Fを算出、把握することができる。
【0042】
締付けナット17の位置を正確に固定した後、締付けナット17の外周部に緩み止めナット21を螺合固定し、緩み止めナット21に設けられた止めネジ孔21aに固定ビスを挿入して、緩み止めナット21と締付けナット17を強固に締付固定する。これにより、締め付けナット17と緩み止めナット21が緩むことが防止され、軸力Fの低下が防止される。
【0043】
なお、固定ボルト15を介して挟持板2の側面と締付けナット17との間に配置される押圧バネ部材としては、皿バネ20以外に、圧縮変形による復元力を有する部材であれば使用することができ、例えば、リング状あるいはコイル状のスプリングワッシャ等を使用することもできる。その中でも、皿バネ20を使用する場合には、皿バネ20の弾性係数を把握しておけば、皿バネ20の圧縮量(撓み量)により導入される軸力Fを正確かつ容易に管理することができるため、特に好ましい。
【0044】
また、本発明の吊下げ支持具は、一般的に知られている合わせガラス板に適用することが可能である。具体的には、複数枚の強化ガラス、あるいは強化ガラスと生板ガラスを組み合わせてポリビニルブチラール(PVB)やエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)等の合わせ中間膜22または樹脂注入で接着した合わせガラス板、さらにこれらに飛散防止フィルムを貼着したガラス板などが挙げられる。
【0045】
また、吊下げ支持具100や懸吊手段7を構成する部材としては、長期にわたり変質劣化がし難く、高強度を維持できるステンレス鋼等の錆びない金属や、防錆塗装処理やメッキ処理等の処理を施した一般構造用圧延鋼(SS材)を用いることができる。特に、係止プレート13は熱膨張係数がガラス板(ソーダ石灰系ガラスにおいて約90×10-7 cm/℃程度)になるべく近似するものが好ましく、例えば、熱膨張係数が110×10-7cm/℃以下のSUS430等の合金鋼を用いることが好ましい。
【0046】
また、合わせガラス板Gと係止プレート13との接着面18には、両者の接着耐久性を増大し、合わせガラスGの保持力を向上させるために、接着剤を使用する。接着剤としては、公知のものを使用することができ、例えば、一般的に用いられるエポキシ樹脂、シリコンーン樹脂、または、本出願人による特開平9−324160、特開平8−320252などにて開示されたガラス・金属接着剤を使用することができる。
【0047】
また、合わせガラス板Gにおける係止プレート13との接着面18は、曲率半径1mm以上のアール加工が施される。これにより、合わせガラス板Gに風圧や地震によって撓みが生じ、接着面18に対応する部分において集中応力が発生するような場合においても、合わせガラス板Gの破損を防止することができる。なお、曲率半径が5mmを越えるアール加工を施しても、さしたる集中応力の低減効果は認められない。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、合わせガラス板等のガラス板の吊下げ支持具として利用することができる。
【符号の説明】
【0049】
100 吊下げ支持具
L 梁
G 合わせガラス板
1 押圧機構
2 挟持板
2a 挟持凸部
4 先端凸状突起
5 先端凹状突起
6a 吊軸
7 懸吊手段
8 リング状フック部
11 嵌合凹溝
13 係止プレート
15 固定ボルト
16 固定ナット
17 締付けナット
17a 止めネジ孔
18 接着面
20 皿バネ
21 緩み止めナット
21a 止めネジ孔
22 合わせ中間膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合わせガラス板を挟持して吊下げ支持する合わせガラス板の吊下げ支持具であって、
合わせガラス板の両外面それぞれに接着され、かつ反接着面に溝部を有する一対の係止プレートと、
前記一対の係止プレートの各溝部に係合して合わせガラス板を挟持する一対の挟持板と、
前記一対の挟持板を互いに近づく方向に押圧する押圧手段と、
を備えることを特徴とする合わせガラス板の吊下げ支持具。
【請求項2】
前記押圧手段は、
前記一対の挟持板に形成された貫通孔を挿通する固定ボルトと、
前記固定ボルトに締結される締付けナットと、
前記締付けナットと前記挟持板との間に圧縮して配置される押圧バネ部材と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の合わせガラス板の吊下げ支持具。
【請求項3】
前記締付けナットの外周部に緩み止めナットが螺合固定されることを特徴とする請求項2に記載の合わせガラス板の吊下げ支持具。
【請求項4】
前記押圧バネ部材は皿バネが2枚以上重ねて配置されてなることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の合わせガラス板の吊下げ支持具。
【請求項5】
前記押圧バネ部材の圧縮量に基づいて、前記一対の挟持板が前記合わせガラス板を締め付け挟持する軸力が設定されることを特徴とする請求項2から請求項4の何れか1つに記載の合わせガラス板の吊下げ支持具。
【請求項6】
合わせガラス板の両外面それぞれに接着され、かつ反接着面に溝部を有する一対の係止プレートと、
前記一対の係止プレートの各溝部に係合して合わせガラス板を挟持する一対の挟持板と、
前記一対の挟持板に形成された貫通孔を挿通する固定ボルトと、
前記固定ボルトに締結される締付けナットと、
前記締付けナットと前記挟持板との間に圧縮して配置され、前記一対の挟持板を互いに近づく方向に押圧する押圧バネ部材と、
を備える合わせガラス板の吊下げ支持構造における軸力導入方法において、
前記締付けナットの締付けによって、前記押圧バネ部材を圧縮し、
前記押圧バネ部材の圧縮量に基づいて、前記一対の挟持板が前記合わせガラス板を締め付け挟持する軸力を設定する
ことを特徴とする合わせガラス板の吊下げ支持具における軸力導入方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−87463(P2012−87463A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−232365(P2010−232365)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【出願人】(000002200)セントラル硝子株式会社 (1,198)
【Fターム(参考)】