説明

合成5’UTR、発現ベクター、および導入遺伝子の発現を増加させる方法

本発明は、第1ポリヌクレオチドフラグメントおよび第2ポリヌクレオチドフラグメントを含む合成5'UTRであって、第1ポリヌクレオチドフラグメントが第1真核生物遺伝子の少なくとも1つのスプライス部位を含み、第2ポリヌクレオチドフラグメントが第2真核生物遺伝子の5'非翻訳領域の少なくとも一部を含み、かつ第1ポリヌクレオチドフラグメントが第2ポリヌクレオチドフラグメントの5'側に配置されている、合成5'UTRを提供する。一態様において、第1ポリヌクレオチドフラグメントは、筋小胞体/小胞体カルシウムATPアーゼ遺伝子の第2イントロンを含み、第2ポリヌクレオチドフラグメントは、真核生物カゼイン遺伝子の5'非翻訳領域(5'UTR)の少なくとも一部を含む。合成5'UTRは、発現ベクター内においてプロモーターと導入遺伝子との間に位置付けられた場合に導入遺伝子の発現を増加させるために有用である。本発明はまた、合成5'UTRを含むベクター、および合成5'UTRを使用しての導入遺伝子の発現を増加させるための方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、バイオテクノロジーの分野内にある。特に、それは、真核細胞中における遺伝子発現の転写後制御の改善に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
真核生物の遺伝子発現は、DNAからのmRNAの一次転写後にいくつかの制御ポイントを受ける。mRNA一次転写産物は、コード部分(エキソン)および非コード部分(イントロン)から構成される。mRNAスプライシングの間に、イントロンは転写産物から切断および除去され、エキソンが結合され、成熟メッセンジャーRNA(mRNA)が産生される。スプライシングは、種々の組み合わせでのエキソンの付加および除去によって単一の遺伝子から複数のタンパク質アイソフォームを産生するための制御ポイントとして役立つ。選択的スプライシングと呼ばれる、このプロセスは、細胞内および細胞外シグナル伝達経路の制御下にあるスプライセオソームと呼ばれる厳重に調節される多構成要素構造体内で生じる。
【0003】
タンパク質のコード領域内での選択的スプライシングは、多様な機能を有する多数のアイソフォームを産生させ得る。さらに、スプライシングは、哺乳類細胞中におけるタンパク質合成を劇的に増加させることが示された(Huang and Gorman, 1990 Nucleic Acids Research 18(4):937-947(非特許文献1))。これについての機構は不明である。選択的スプライシングはまた、最終転写産物にエンハンサーまたは安定化ドメインを与え得る、転写産物の非翻訳領域中においても生じ得、タンパク質の翻訳の増加をもたらす。
【0004】
合成遺伝子構築物中の5'調節領域中におけるスプライシングエレメントの付加は、理論的には核から細胞質への改善されたmRNA輸送の結果として、遺伝子発現を増加させることが示された(Huang and Gorman(上記参照)(非特許文献1);Choi et al., 1991 Molecular and Cellular Biology 11(6):3070-3074(非特許文献2))。この研究の結果として、イントロンが、市販の哺乳類発現ベクターのプロモーターと多重クローニング部位との間にしばしば含められている。しかし、イントロンと他の調節領域との組み合わせは、遺伝子発現を増加させることについて評価されていなかった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Huang and Gorman, 1990 Nucleic Acids Research 18(4):937-947
【非特許文献2】Choi et al., 1991 Molecular and Cellular Biology 11(6):3070-3074
【発明の概要】
【0006】
本発明は、宿主細胞中における合成遺伝子構築物の導入遺伝子構成要素の発現を増加させるように設計されている合成5'UTRポリヌクレオチド配列を提供する。理論によって拘束されないが、合成5'UTRは、導入遺伝子の発現が、増加されたRNA輸送および安定性によって増加され得るように、設計されている。
【0007】
合成5'UTR配列は、RNAおよびタンパク質レベルで安定である第2真核生物遺伝子の5'UTR配列をコードするポリヌクレオチドフラグメントへ融合された、第1真核生物遺伝子由来のスプライス部位を含む、ポリヌクレオチドフラグメントを含む。一態様において、合成5'UTR配列は、筋小胞体/小胞体カルシウムATPアーゼ遺伝子のスプライス部位を含むポリヌクレオチドフラグメントと、カゼイン遺伝子の5'UTRの少なくとも一部を含むポリヌクレオチドフラグメントとを含む、キメラ配列である。
【0008】
本発明の合成5'UTRポリヌクレオチド配列は、合成遺伝子構築物内の関心対象の配列または関心対象のコード領域の発現を増加させることについて有用性を有する。合成5'UTR配列は、組換えDNA技術を使用して、ウイルスベクターまたは非ウイルスベクター中の、プロモーターと関心対象のヌクレオチド配列との間に、挿入され得る。合成5'UTR配列は、制限エンドヌクレアーゼ部位を含むヌクレオチド配列および制限エンドヌクレアーゼ活性に必要とされる他のヌクレオチドによって任意でフランキングされる。フランキング配列は、ベクター内にクローニング部位を任意で提供する。
【0009】
本発明はまた、合成5'UTRを含むベクターを提供する。本発明の一態様において、前記ベクターは、真核生物発現ベクターである。
【0010】
本発明はまた、真核細胞中における導入遺伝子の発現を増加させるための方法を提供する。前記方法は、スプライス部位を含む第1真核生物遺伝子のポリヌクレオチドフラグメントと、5'UTRの少なくとも一部を含む第2真核生物遺伝子のポリヌクレオチドフラグメントとを融合し、キメラポリヌクレオチド配列を作製することによって、合成5'UTR配列を作製する工程、および、発現ベクター内の、プロモーターと関心対象の配列との間に、該キメラポリヌクレオチド配列を挿入する工程を含む。
【0011】
本出願人は、筋小胞体/小胞体カルシウムATPアーゼ遺伝子のイントロンを含むポリヌクレオチドフラグメントと、カゼイン遺伝子の少なくとも一部を含むポリヌクレオチドフラグメントとを融合することによって作製された合成5'UTR配列が、遺伝子発現の増加をもたらすという驚くべき発見をした。本明細書において詳細に記載されるように、2つの異なる態様の合成5'UTRが、合成5'UTRを含む発現ベクターでトランスフェクトされた2つの異なる細胞型中において、コントロールと比較して、レポーター遺伝子の発現を増加させた。
【0012】
従って、本発明の1つの目的は、真核細胞中における導入遺伝子の発現を増加させることを目的として、異種の5'非翻訳領域の少なくとも一部を含むポリヌクレオチドフラグメントへ融合された、スプライス部位を含むポリヌクレオチドフラグメントを含む合成5'UTR配列を提供することである。
【0013】
本発明の別の目的は、真核細胞中における導入遺伝子の発現を増加させることを目的として、異種の5'非翻訳領域の少なくとも一部を含むポリヌクレオチドフラグメントへ融合された、イントロンを含むポリヌクレオチドフラグメントを含む、合成5'UTR配列を提供することである。
【0014】
本発明の別の目的は、真核細胞中における導入遺伝子の発現を増加させることを目的として、異種の5'非翻訳領域の少なくとも一部を含むポリヌクレオチドフラグメントへ融合された、隣接するエキソンのフランキングしている5'および3'部分を含むイントロンを含むポリヌクレオチドフラグメントを含む、合成5'UTR配列を提供することである。
【0015】
本発明の別の目的は、ベクター中への挿入について適合性である合成5'UTR配列を提供することである。
【0016】
本発明の別の目的は、合成5'UTRを含むベクターを提供することである。
【0017】
本発明の別の目的は、合成5'UTRを含む宿主細胞を提供することである。
【0018】
配列の説明
配列番号:1は、MluI制限部位、配列番号:2、KpnI制限部位、配列番号:3、MfeI制限部位を含む合成5'UTR配列の態様を示す。配列番号:1はまた、5U2として本明細書において知られる。
【0019】
配列番号:2は、5'末端にフランキングするエキソン2の部分および3'末端にフランキングするエキソン3の部分を有する、突然変異推定コンセンサスポリA部位を有するイヌSERCA2イントロン2配列の態様を示す。配列番号:2は、イヌ(Canis familiaris)第26染色体、全ゲノムショットガン配列(公開アクセッション番号NC_006608.2)の突然変異部分配列である。
【0020】
配列番号:3は、ウシカゼイン5'UTR配列の態様を示す。配列番号:3は、全長ウシ(Bos taurus)カゼインβmRNA(公開アクセッション番号NM_181008)の部分配列である。
【0021】
配列番号:4は、5'末端にフランキングするエキソン2の部分および3'末端にフランキングするエキソン3の部分を有する、イヌ野生型SERCA2イントロン2配列の態様を示す。配列番号:4は、イヌ第26染色体、全ゲノムショットガン配列(公開アクセッション番号NC_006608.2)の部分配列である。
【0022】
配列番号:5は、5'末端にフランキングするエキソン2および3'末端にフランキングするエキソン3を有する、ヒト野生型SERCA2イントロン2配列の態様を示す。配列番号:5は、ヒト(Home sapiens)第12染色体、基準アセンブリ(reference assembly)、完全配列(公開アクセッション番号NC_000012)の部分配列である。
【0023】
配列番号:6は、5'末端にフランキングするエキソン2および3'末端にフランキングするエキソン3を有する、マウス野生型SERCA2イントロン2配列の態様を示す。配列番号:6は、マウス(Mus musculus)第5染色体、基準アセンブリ(公開アクセッション番号NC_000071)の部分配列である。
【0024】
配列番号:7は、AscI制限部位、MluI制限部位、配列番号:4、KpnI制限部位、配列番号:3、MfeI制限部位を含む合成5'UTR配列の態様を示す。配列番号:7はまた、INXN-1として本明細書において知られる。
【0025】
配列番号:8は、マウスカゼイン5'UTR配列の態様を示す。配列番号:8は、マウスカゼインβ、mRNA(cDNAクローンMGC:91065)(公開アクセッション番号BC080709)の部分配列である。
【0026】
配列番号:9は、ラットカゼイン5'UTR配列の態様を示す。配列番号:9は、ラット(Rattus norvegicus)カゼインβ(Csn2)、mRNA(公開アクセッション番号NM_017120)の部分配列である。
【0027】
配列番号:10は、ヒツジカゼイン5'UTR配列の態様を示す。配列番号:10は、ヒツジ(Ovis aries)カゼインβ(CSN2)、mRNA(公開アクセッション番号NM_001009373)の部分配列である。
【0028】
配列番号:11は、イヌSERCA2のエキソン3を示す。配列番号:11は、イヌ第26染色体、全ゲノムショットガン配列(公開アクセッション番号NC_006608.2)の部分配列である。
【0029】
配列番号:12は、合成5'UTRを含むベクター配列の態様を示す。配列番号:12によって示されるベクターは、配列番号:1を含み、図10に図示される。
【0030】
配列番号:13は、合成5'UTRを含むベクター配列の別の態様を示す。配列番号:13によって示されるベクターは、配列番号:7を含み、図11に図示される。
【0031】
配列番号:14は、コントロール(ポリG)合成5'UTRを含むベクターを示し、図9に図示される。
【0032】
これらの配列のいずれにおいても、T(チミジン)は、U(ウラシル)で置き換えられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1A】配列番号:4のポリヌクレオチドの略図を示す。
【図1B】配列番号:5のポリヌクレオチドおよび配列番号:6のポリヌクレオチドの略図を示す。
【図1C】配列番号:2および配列番号:4〜6のポリヌクレオチドを示す。SERCA2の第2イントロンが黒色で強調されている。隣接するエキソンまたはそれらの部分は、強調されていない。
【図2A】配列番号:1のポリヌクレオチドの略図を示す。
【図2B】配列番号:7のポリヌクレオチドの略図を示す。
【図3A】発現ベクター中のプロモーターと関心対象の配列との間に挿入された合成5'UTRの略図を示す。
【図3B】発現ベクター中のプロモーターとクローニング部位との間に挿入された合成5'UTRの略図を示す。
【図4】HEK-293細胞中における本発明の合成5'UTR態様の試験結果を示す。
【図5】1080細胞中における本発明の合成5'UTR態様の試験結果を示す。
【図6】HEK-293細胞および1080細胞中におけるコントロールと比較しての倍増加としての、本発明の合成5'UTR態様の試験結果を示し、ここで、コントロール値を1へ標準化した。
【図7】実施例1において使用されるコントロールベクター(VVN-2712)を示し、ここで、β-ガラクトシダーゼ(LacZ)コード配列は、5'UTRを欠いており、CMVプロモーターへ機能的に連結されている。
【図8】実施例1において使用されるコントロールベクター(VVN-2713)を示し、ベクターは、5'UTRおよびLacZを欠いている。
【図9】実施例1において使用されるベクター(VVN-8318)を示し、ここで、β-ガラクトシダーゼ(LacZ)コード配列は、ポリG 5'UTRおよびCMVプロモーターへ機能的に連結されている。
【図10】実施例1において使用されるベクター(VVN-8277)を示し、ここで、β-ガラクトシダーゼ(LacZ)コード配列は、本発明の5'UTR(5U2)およびCMVプロモーターへ機能的に連結されている。
【図11】実施例1において使用されるベクター(VVN-8276)を示し、ここで、β-ガラクトシダーゼ(LacZ)コード配列は、本発明の5'UTR(INXN-1)およびCMVプロモーターへ機能的に連結されている。
【図12】図4〜6に示される実施例1のデータを含む表である。
【図13】第2イントロンおよびエキソン2およびエキソン3を含むウマ(Equus caballus)SERCA2ゲノム配列およびmRNA配列のアライメントの一部を示す。第2イントロンの5'および3'末端が矢印によって示されている。
【0034】
図7〜11において以下の略語が使用される:CMV pro=サイトメガロウイルスプロモーター、LacZ=LacZコード配列、SV40pA=SV40ポリA、Amp=アンピシリン耐性遺伝子、Neo=ネオマイシン耐性遺伝子、MCS=多重クローニング部位、SPL-1=エキソン2 SERCA2の部分+イントロン2 SERCA2+エキソン3 SERCA2の部分、UTR-1=5'UTRカゼインの部分。
【発明を実施するための形態】
【0035】
発明の詳細な説明
下記の定義は、本説明、図面、および続く特許請求の範囲にわたって適用される。しかし、ここで定義されない本明細書および特許請求の範囲において使用される用語は、当技術分野において理解される通常の意味を有する。
【0036】
用語「1つの(one)」、「1つの(a)」、または「1つの(an)」が本開示において使用される場合、それらは、特に記載されない限り、「少なくとも1つ」または「1つまたは複数」を意味する。
【0037】
「核酸」、「核酸分子」、「核酸配列」、「オリゴヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド配列」、「ヌクレオチド配列」、「ポリヌクレオチド」、および「ポリヌクレオチド配列」は、交換可能に使用され、一本鎖形態、または二本鎖ヘリックスのいずれかの、リボヌクレオシド(アデノシン、グアノシン、ウリジンまたはシチジン;「RNA分子」)またはデオキシリボヌクレオシド(デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシチミジン、またはデオキシシチジン;「DNA分子」)のリン酸エステルポリマー形態、またはそれらの任意のホスホエステルアナログ、例えば、ホスホロチオエートおよびチオエステルを指す。二本鎖DNA-DNA、DNA-RNAおよびRNA-RNAヘリックスが可能である。用語、核酸分子、特に、DNAまたはRNA分子は、該分子の一次および二次構造のみを指し、それをいかなる特定の三次形態へも限定しない。従って、この用語は、特に、線形または環状DNA分子(例えば、制限フラグメント)、プラスミド、スーパーコイルDNAおよび染色体中において見られる二本鎖DNAを含む。特定の二本鎖DNA分子の構造を議論する際に、配列は、DNAの非転写鎖(即ち、mRNAに相同な配列を有する鎖)に沿って5'から3'への方向の配列のみを提供するという通常の慣習に従って、本明細書において記載され得る。「組換えDNA分子」は、分子生物学的操作を受けたDNA分子である。DNAとしては、cDNA、ゲノムDNA、プラスミドDNA、合成DNA、および半合成DNAが挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
ポリヌクレオチド配列に関連して使用される用語「フラグメント」(例えば、「ポリヌクレオチドフラグメント」)は、参照核酸と比較して長さが短く、参照核酸と同一のヌクレオチド配列を共通部分にわたって含む、ヌクレオチド配列を指す。本発明に従うこのような核酸フラグメントは、それがその構成要素である、より大きなポリヌクレオチド中に必要に応じて含まれ得る。このようなフラグメントは、本発明に従う核酸の、長さが少なくとも6、8、9、10、12、15、18、20、21、22、23、24、25、30、39、40、42、45、48、50、51、54、57、60、63、66、70、75、78、80、90、100、105、120、135、150、200、300、500、720、900、1000または1500個の連続ヌクレオチドに及ぶポリヌクレオチドを含むか、または代わりにこれらからなる。
【0039】
用語「キメラの」は、それらの天然状態においては連続的でないフラグメントから構成されていることを意味する。例えば、キメラポリヌクレオチドは、それらの天然状態においては連続的でないフラグメントを含むポリヌクレオチドを意味する。
【0040】
ポリヌクレオチド配列に関連して使用される用語「合成の」は、野生型ポリヌクレオチド配列とは異なる非天然ポリヌクレオチド(またはポリヌクレオチドの部分)である。例えば、合成遺伝子(または遺伝子の部分)は、天然においては連続的でない1つまたは複数の核酸配列を含有し得(キメラ配列)、および/または置換、挿入、および欠失ならびにそれらの組み合わせを含み得る。
【0041】
「遺伝子」は、機能的分子(例えば、ポリペプチドまたはRNA)をコードするヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを指し、cDNAまたはゲノムDNA核酸を含む。ポリペプチドまたはRNAをコードするゲノムDNAは、成熟mRNAからスプライシングされており、従って、同一のポリペプチドまたはRNAをコードするcDNA中には存在しない、非コード領域(即ち、イントロン)を含むことが、一般的に理解される。「遺伝子」は、特定のRNA、タンパク質またはポリペプチドを発現させる核酸フラグメントを含み得る。「遺伝子」は、コード配列の前(5'非コード配列)および後(3'非コード配列)に調節配列をさらに含み得る。「遺伝子」はまた、三重鎖形成性オリゴヌクレオチド(TFO)を含み得る。「ネイティブ遺伝子」は、それ自体の調節配列を有する、天然において見られるような遺伝子を指す。「キメラ遺伝子」または「組換え遺伝子」は、天然において一緒には見られない調節および/またはコード配列を含む、ネイティブ遺伝子ではない任意の遺伝子を指す。従って、キメラ遺伝子は、異なる供給源に由来する調節配列およびコード配列、または、同一の供給源に由来するが、天然において見られるものとは異なる様式で並べられた調節配列およびコード配列を含み得る。キメラ遺伝子は、異なる供給源に由来するコード配列および/または異なる供給源に由来する調節配列を含み得る。「内因性遺伝子」は、生物のゲノム中においてその天然配置にあるネイティブ遺伝子を指す。
【0042】
「外来」遺伝子または「外因性」遺伝子または「異種」遺伝子または「導入遺伝子」は、宿主細胞または生物中に通常見られないが、遺伝子導入によって宿主細胞または生物中へ導入される、遺伝子を指す。導入遺伝子は、非ネイティブ生物中へ挿入されたネイティブ遺伝子、またはキメラもしくは合成遺伝子を含み得る。導入遺伝子はまた、内在性遺伝子のcDNA型であり得る。導入遺伝子はまた、内因性突然変異遺伝子の非突然変異型、または内因性非突然変異遺伝子の突然変異型であり得る。導入遺伝子はまた、治療遺伝子または実験遺伝子、例えば、レポーターであり得る。導入遺伝子は、宿主生物の標的細胞中へ直接導入され得るか、または、宿主生物中への、形質転換細胞、例えば、自己細胞の導入によって間接的に導入され得る。
【0043】
遺伝子の「5プライム非翻訳領域」または「5'UTR」は、RNA一次転写産物(プレmRNA)へ転写される遺伝子の部分であって、その部分がコード配列の上流に配置されているものと理解される。一次転写産物は、DNAの転写によって産生された、イントロンおよびエキソンを含有する、最初のRNA産物である。多くの一次転写産物は、生理学的に活性なRNA種を形成するために、RNAプロセッシングを受けなければならない。成熟mRNAへのプロセッシングは、末端のトリミング、イントロンの除去、それらの前駆体RNAからの個々のrRNA分子の切り取りおよび/またはキャッピングを含み得る。従って、mRNAの5'UTRは、タンパク質へ翻訳されず、コード配列の上流に配置されている、mRNAの部分である。ゲノム配列中において、5'UTRは、転写開始部位と開始コドンとの間の領域として典型的に定義される。脊椎動物mRNAの5'非翻訳領域(5'UTR)は、長さが数十個の塩基〜数百個の塩基であり得る(Crowe et al., 2006 BMC Genomics 7:16)。
【0044】
「合成5'UTR」は、野生型5'UTRポリヌクレオチド配列とは異なる非天然5'UTRである。合成5'UTRは、天然においては連続的でない1つまたは複数の核酸配列を含有し得(キメラ配列)、および/または、置換、挿入、および欠失ならびにそれらの組み合わせを含み得る。
【0045】
「スプライスジャンクション」、「イントロン−エキソンスプライスジャンクション」、または「スプライス部位」は、2つの隣接するエキソンが結合され、イントロンが削除される、細胞のスプライシング装置によって認識される真核生物プレmRNA中のイントロンの境界での領域である。スプライス部位は、5'および3'イントロン/エキソン境界での保存配列によって示される。イントロンの大部分について、最多の保存配列は、イントロンの5'末端にフランキングするGUおよび3'末端にフランキングするAGである。しかし、これらのコンセンサス配列における例外もまた、公知である;例えば、AU-ACスプライス部位を有するイントロン。イントロン−エキソン境界での5'スプライス部位は、「スプライスドナー」部位として公知である。イントロン−エキソン境界での3'スプライス部位は、「スプライスアクセプター」部位として公知である。
【0046】
「スプライセオソーム」は、細胞のスプライシング装置として役立つ大きなリボ核タンパク質複合体である。スプライセオソームは、プレmRNAサブストレート上に集合する核内低分子リボ核タンパク質(snRNP)サブユニットから構成されている。snRNPは、それ自体、核内低分子RNA(snRNA)およびいくつかのタンパク質サブユニットから構成されている。スプライシング反応の間、プレmRNA内のスプライス部位の認識は、snRNAとの塩基対形成によって行われる。
【0047】
「異種」DNAは、細胞中において、または細胞の染色体部位中において、天然には配置されていないDNAを指す。従って、異種DNAは、細胞にとって外来の遺伝子を含む。「異種」DNAはまた、細胞中に天然に存在するが、非ネイティブな位置に配置された遺伝子を含み得る。さらに、「異種」DNA分子は、宿主DNAセグメント、例えば、転写プロモーター、へ機能的に連結された、非宿主DNAセグメントを含有するDNA分子であり得る。逆に、異種DNA分子は、外因性プロモーターと機能的に連結された内在性遺伝子を含み得る。さらに、「異種」は、参照DNA分子またはフラグメントと共通の進化的起源を共有しない遺伝子に由来するDNA分子またはフラグメントを指し得る。
【0048】
用語「ゲノム」は、染色体ならびにミトコンドリア、葉緑体、およびウイルスDNAまたはRNAを含む。
【0049】
用語「プローブ」は、相補的な一本鎖標的核酸と塩基対形成し、二本鎖分子を形成し得る、一本鎖核酸分子を指す。
【0050】
DNA「コード配列」は、ポリペプチドをコードする二本鎖DNA配列であって、適切な調節配列の制御下に位置付けられると、インビトロもしくはインビボで細胞中においてまたは細胞外において、例えば、チューブ中において、転写され、ポリペプチドへ翻訳され得る二本鎖DNA配列を指す。「適切な調節配列」は、コード配列の上流(5'非コード配列)、内部、または下流(3'非コード配列)に配置されたヌクレオチド配列であって、関連するコード配列の転写、RNAプロセッシングもしくは安定性、または翻訳に影響を与えるヌクレオチド配列を指す。調節配列は、プロモーター、翻訳リーダー配列、イントロン、ポリアデニル化認識配列、RNAプロセッシング部位、エフェクター結合部位およびステムフープ構造を含み得る。コード配列の境界は、5'(アミノ)末端での開始コドンおよび3'(カルボキシル)末端での翻訳終止コドンによって決定される。コード配列は、原核生物の、真核生物の、もしくはキメラの配列、mRNA由来のcDNA、ゲノムDNA配列、およびさらには合成DNA配列を含み得るが、これらに限定されない。
【0051】
「オープンリーディングフレーム」は、ORFと略され、翻訳開始シグナルまたは開始コドン、例えば、ATGもしくはAUG、および終止コドンを含み、ポリペプチド配列へ潜在的に翻訳され得る、ある長さの核酸配列、DNA、cDNAもしくはRNAのいずれかを指す。
【0052】
用語「下流の」は、参照ヌクレオチド配列に対して3'側に配置されているヌクレオチド配列を指す。特に、下流のヌクレオチド配列は、一般的に、転写の開始点に続く配列を指す。例えば、遺伝子の翻訳開始コドンは、転写の開始部位の下流に配置されている。
【0053】
用語「上流の」は、参照ヌクレオチド配列に対して5'側に配置されているヌクレオチド配列を指す。特に、上流のヌクレオチド配列は、一般的に、コード配列または転写の開始点の5'側に配置されている配列と関連する。例えば、大抵のプロモーターは、転写の開始部位の上流に配置されている。
【0054】
「化学的に合成された」は、DNAの配列に関する場合、構成要素のヌクレオチドがインビトロで集められたことを意味する。DNAの手動化学合成は、十分に確立された手順を使用して達成され得、または自動化学合成は、多数の市販の機械のうちの1つを使用して行われ得る。従って、遺伝子は、宿主細胞のコドンバイアスを反映するように、ヌクレオチド配列の最適化に基づいて、最適な遺伝子発現のために調整され得る。当業者は、コドン使用が宿主に好まれるコドンへ偏っている場合、首尾よい遺伝子発現の可能性を認識する。好ましいコドンの決定は、配列情報が利用可能である、宿主細胞に由来する遺伝子の調査に基づき得る。
【0055】
用語「制限エンドヌクレアーゼ」および「制限酵素」は、交換可能に使用され、二本鎖DNA内の特定のヌクレオチド配列に結合しこれを切断する酵素を指す。
【0056】
「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は、交換可能に使用され、共有結合されたアミノ酸残基から構成されるポリマー化合物を指す。アミノ酸は、下記の一般構造を有する。
【0057】
「ポリメラーゼ連鎖反応」は、PCRと略され、特定の核酸配列を酵素的に増幅するためのインビトロ方法を指す。PCRは、温度サイクルの反復シリーズを含み、各サイクルが3つの段階を含む:標的分子の鎖を分離するためにテンプレート核酸を変性させる段階、テンプレート核酸へ一本鎖PCRオリゴヌクレオチドプライマーをアニーリングする段階、およびアニーリングされたプライマーをDNAポリメラーゼによって伸長する段階。
【0058】
用語「相同性」は、2つのポリヌクレオチドまたは2つのポリペプチド部分間の同一性のパーセントを指す。ある部分から別の部分までの配列間の対応は、当技術分野に公知の技術によって測定され得る。例えば、相同性は、配列情報を整列させ、容易に入手可能なコンピュータプログラムを使用することによる、2つのポリペプチド分子間の配列情報の直接比較によって測定され得る。または、相同性は、相同な領域間で安定な二本鎖を形成させる条件下でのポリヌクレオチドのハイブリダイゼーション、続いての、一本鎖特異的ヌクレアーゼでの消化および消化されたフラグメントのサイズ測定によって、測定され得る。
【0059】
本明細書において使用される場合、用語「相同な」は、全てのその文法形式およびスペリングバリエーションにおいて、異なる種由来の相同なタンパク質(例えば、ミオシン軽鎖など)およびスーパーファミリー(例えば、免疫グロブリンスーパーファミリー)由来のタンパク質を含む、「共通の進化的起源」を有するタンパク質間の関係を指す(Reeck et al., Cell 50:667 (1987))。このようなタンパク質(およびそれらのコーディング遺伝子)は、それらの配列類似性の高い程度によって反映されるように、配列相同性を有する。しかし、一般的な使用においておよび本出願において、用語「相同な」は、「高度に」などの副詞で修飾される場合、共通の進化的起源ではなく配列類似性を指し得る。
【0060】
従って、用語「配列類似性」は、全てのその文法形式において、共通の進化的起源を共有する場合および共有しない場合がある核酸配列またはタンパク質のアミノ酸配列間の同一性または対応の程度を指す(Reeck et al., Cell 50:667 (1987)を参照のこと)。一態様において、2つのDNA配列は、少なくとも約21%(好ましくは少なくとも約50%、最も好ましくは少なくとも約75%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%)のヌクレオチドがDNA配列の規定の長さにわたってマッチする場合、「実質的に相同」または「実質的に類似」である。実質的に相同である配列は、配列データバンクにおいて入手可能な標準のソフトウエアを使用して配列を比較することによって、または、例えば、その特定の系について規定されるようなストリンジェントな条件下での、サザンハイブリダイゼーション実験において、同定され得る。好適なハイブリダイゼーション条件を規定することは、当技術分野の技術内にある(例えば、Sambrook et al., 1989(下記参照)を参照のこと)。
【0061】
本明細書において使用される場合、「実質的に類似している」は、1つまたは複数のヌクレオチド塩基の変化が、1つまたは複数のアミノ酸の置換を生じさせるが、DNA配列によってコードされるタンパク質の機能的特性に影響を与えない、核酸フラグメントを指す。「実質的に類似している」はまた、1つまたは複数のヌクレオチド塩基の変化が、アンチセンスまたはコサプレッション技術による遺伝子発現の変化を媒介する核酸フラグメントの能力に影響を与えない、核酸フラグメントを指す。「実質的に類似している」はまた、得られる転写産物の機能的特性に実質的に影響を与えない1つまたは複数のヌクレオチド塩基の欠失または挿入などの本発明の核酸フラグメントの修飾を指す。従って、本発明は、特定の例示的な配列よりも多くのものを包含することが、理解される。提案される修飾の各々は、コードされた産物の生物学的活性の保持の測定であるように、当技術分野における通常の技術の範囲内に十分にある。
【0062】
さらに、当業者は、本発明によって包含される実質的に類似している配列はまた、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするそれらの能力によって規定されることを認識する。核酸分子は、核酸分子の一本鎖形態が温度および溶液イオン強度の好適な条件下で他の核酸分子へアニールし得る場合、cDNA、ゲノムDNA、またはRNAなどの別の核酸分子へ「ハイブリダイズ可能」である(Sambrook et al., 1989(下記参照)を参照のこと)。ハイブリダイゼーションおよび洗浄条件は、周知であり、Sambrook, J., Fritsch, E. F. and Maniatis, T. Molecular Cloning. A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor (1989)、特に、第11章およびその中の表11.1に例示されている。温度およびイオン強度の条件は、ハイブリダイゼーションの「ストリンジェンシー」を決定する。
【0063】
ストリンジェンシー条件は、中程度に類似しているフラグメント、例えば、遠縁の生物由来の相同配列から、高度に類似しているフラグメント、例えば、近縁の生物由来の機能的酵素を複製する遺伝子までをスクリーニングするように調節され得る。相同な核酸の予備スクリーニングのために、55℃のTmに対応する、低ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件が、使用され得る;例えば、5XSSC、0.1% SDS、0.25%ミルク、およびホルムアミド無し;または30%ホルムアミド、5XSSC、0.5% SDS。中程度のストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、より高いTm、例えば、40%ホルムアミド、5Xまたは6XSSCに対応する。高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は、最も高いTm、例えば、50%ホルムアミド、5Xまたは6XSSCに対応する。
【0064】
ハイブリダイゼーションは、2つの核酸が相補配列を含有することを必要とするが、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに応じて、塩基間のミスマッチが可能である。用語「相補的な」は、互いへハイブリダイズすることができるヌクレオチド塩基間の関係を記載するために使用される。例えば、DNAに関して、アデノシンはチミンに相補的であり、シトシンはグアニンに相補的である。従って、本発明はまた、本明細書において開示または使用される完全な配列ならびにそれらの実質的に類似している核酸配列に相補的である単離された核酸フラグメントを含む。
【0065】
一態様において、ポリヌクレオチドは、55℃のTmでのハイブリダイゼーション工程を含むハイブリダイゼーション条件を使用し、上述の条件を使用することによって、検出される。別の態様において、Tmは60℃であり;ある態様において、Tmは63℃または65℃である。
【0066】
ハイブリダイゼーション後の洗浄もまた、ストリンジェンシー条件を決定する。好ましい条件のうちの1つのセットは、6XSSC、0.5% SDS、室温にて15分(min)間で始まり、次いで2XSSC、0.5% SDS、45℃で30分間を繰り返し、次いで0.2XSSC、0.5% SDS、50℃で30分間を2回繰り返す、一連の洗浄を使用する。ストリンジェントな条件の別の例は、より高い温度を使用し、ここで、洗浄は、0.2XSSC、0.5% SDS中での最終の2回の30分洗浄の温度を60℃へ上げたことを除いて、上記のものと同一である。高度にストリンジェントな条件のなお別の例は、65℃での0.1XSSC、0.1% SDS中における2回の最終洗浄を使用する。ハイブリダイゼーションは、2つの核酸が相補配列を含むことを必要とするが、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーに応じて、塩基間のミスマッチが可能である。
【0067】
核酸をハイブリダイズさせるための好適なストリンジェンシーは、当技術分野において周知の変数、核酸の長さおよび相補性の程度に依存する。2つのヌクレオチド配列間の類似性または相同性の程度が大きくなるほど、それらの配列を有する核酸のハイブリッドのTmの値は大きくなる。核酸ハイブリダイゼーションの相対的安定性(より高いTmに対応)は、以下の順序で低下する:RNA:RNA、DNA:RNA、DNA:DNA。長さが100ヌクレオチドより大きなハイブリッドについて、Tmを計算するための等式が誘導された(Sambrook et al.(上記参照), 9.50-0.51を参照のこと)。より短い核酸、即ち、オリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションについて、ミスマッチの位置はより重要となり、オリゴヌクレオチドの長さは、その特異性を決定する(Sambrook et al.(上記参照), 11.7-11.8を参照のこと)。
【0068】
一態様において、ポリヌクレオチドは、500 mM未満の塩中および少なくとも37℃でのハイブリダイゼーション工程、ならびに2XSSPE中少なくとも63℃での洗浄工程を含む、ハイブリダイゼーション条件を使用することによって、検出される。別の態様において、ハイブリダイゼーション条件は、ハイブリダイゼーション工程について200 mM未満の塩および少なくとも37℃を含む。ある態様において、ハイブリダイゼーション条件は、ハイブリダイゼーション工程および洗浄工程の両方について、2XSSPEおよび63℃を含む。
【0069】
ハイブリダイズ可能な核酸の長さは、例えば、少なくとも約10ヌクレオチドである。ハイブリダイズ可能な核酸の最小の長さは、少なくとも約15ヌクレオチド;少なくとも約20ヌクレオチド;または少なくとも30ヌクレオチドであり得る。さらに、当業者は、温度および洗浄溶液塩濃度が、プローブの長さなどの因子に従って必要に応じて調節され得ることを認識する。
【0070】
本発明の実質的に類似している核酸フラグメントは、そのDNA配列が、本明細書において報告される核酸フラグメントのDNA配列と少なくとも70%同一である核酸フラグメントである。本発明の核酸フラグメントは、そのDNA配列が、本明細書において報告される核酸フラグメントのDNA配列と少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%、および99%同一である核酸フラグメントを含む。
【0071】
用語「に対応する」は、正確な位置が、それに対して類似性または相同性が測定される分子と同一であるかまたは異なるかにかかわらず、類似または相同配列を指すように本明細書において使用される。核酸またはアミノ酸配列アライメントは、スペースを含み得る。従って、用語「に対応する」は、配列類似性を指し、アミノ酸残基またはヌクレオチド塩基のナンバリングを指さない。
【0072】
アミノ酸またはヌクレオチド配列「実質的な部分」は、当業者による配列の手動評価によって、またはBLAST(ベーシック・ローカル・アライメント・サーチ・ツール;Altschul et al., J. Mol. Biol. 215:403 410 (1993))などのアルゴリズムを使用するコンピューター自動化配列比較および同定によって、そのポリペプチドまたは遺伝子を推定的に同定するための、ポリペプチドのアミノ酸配列または遺伝子のヌクレオチド配列の十分な部分を含む;BLASTは、World Wide Webにおいて公的に入手可能である。一般的に、10個またはそれ以上の連続アミノ酸または30個またはそれ以上のヌクレオチドの配列が、ポリペプチドまたは核酸配列を公知のタンパク質または遺伝子に相同と推定的に同定するために、必要とされる。さらに、ヌクレオチド配列に関して、20〜30個の連続ヌクレオチドを含む遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブが、遺伝子同定(例えば、サザンハイブリダイゼーション)および単離(例えば、細菌コロニーまたはバクテリオファージプラークのインサイチュハイブリダイゼーション)の配列依存方法において使用され得る。さらに、12〜15個の塩基の短いオリゴヌクレオチドが、プライマーを含む特定の核酸フラグメントを得るために、PCRにおける増幅プライマーとして使用され得る。従って、ヌクレオチド配列の「実質的な部分」は、該配列を含む核酸フラグメントを特異的に同定および/または単離するための該配列の十分な部分を含む。
【0073】
用語「パーセント類似性」は、当技術分野において公知であるように、配列を比較することによって測定されるような、2つまたはそれ以上のポリペプチド配列または2つまたはそれ以上のポリヌクレオチド配列間の関係である。当技術分野において、「同一性」はまた、場合によっては、このような配列のストリング間のマッチによって測定されるような、ポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列間の配列関連性の程度を意味する。「同一性」および「類似性」は、以下に記載されるものが挙げられるがこれらに限定されない、公知の方法によって容易に計算され得る:Computational Molecular Biology (Lesk, A. M., ed.) Oxford University Press, New York (1988);Biocomputing: Informatics and Genome Projects (Smith, D. W., ed.) Academic Press, New York (1993);Computer Analysis of Sequence Data, Part I (Griffin, A. M., and Griffin, H. G., eds.) Humana Press, New Jersey (1994);Sequence Analysis in Molecular Biology (von Heinje, G., ed.) Academic Press (1987);およびSequence Analysis Primer (Gribskov, M. and Devereux, J., eds.) Stockton Press, New York (1991)。同一性を測定するための方法は、試験される配列間の最善のマッチを提供するように設計される。同一性および類似性を測定するための方法は、公的に入手可能なコンピュータプログラムで分類(codify)される。配列アライメントおよびパーセント同一性計算は、LASERGENEバイオインフォマティクス・コンピューティング・スイートのMegalignプログラム(DNASTAR Inc., Madison, WI)を使用して行われ得る。配列のマルチプルアライメントは、デフォルトパラメータ(GAP PENALTY=10、GAP LENGTH PENALTY=10)を用いてClustalアライメント法(Higgins et al., CABIOS. 5:151 153 (1989))を使用して行われ得る。Clustal法を使用してのペアワイズアライメントのデフォルトパラメータは、以下から選択され得る:KTUPLE 1、GAP PENALTY=3、WINDOW=5およびDIAGONALS SAVED=5。
【0074】
用語「配列解析ソフトウエア」は、ヌクレオチドまたはアミノ酸配列の解析に有用である任意のコンピューターアルゴリズムまたはソフトウエアプログラムを指す。「配列解析ソフトウエア」は、市販され得るかまたは独立して開発され得る。典型的な配列解析ソフトウエアとしては、GCGプログラムスイート(Wisconsin Package Version 9.0, Genetics Computer Group (GCG), Madison, WI)、BLASTP、BLASTN、BLASTX(Altschul et al., J. Mol. Biol. 215:403 410 (1990))、およびDNASTAR(DNASTAR, Inc. 1228 S. Park St. Madison, WI 53715 USA)が挙げられるが、これらに限定されない。本出願の文脈内では、解析のために配列解析ソフトウエアが使用される場合、解析の結果は、特に記載されない限り、参照されるプログラムの「デフォルト値」に基づくことが理解される。本明細書において使用される場合、「デフォルト値」は、最初に初期化される際にソフトウエアでもともとロードする値またはパラメータの任意のセットを意味する。
【0075】
本明細書において使用される場合、用語「発現」または「遺伝子発現」は、遺伝子の「転写」によって(即ち、RNAポリメラーゼの酵素作用によって)RNA(例えば、mRNA、rRNA、tRNA、またはsnRNA)へ、タンパク質コード遺伝子については、mRNAの「翻訳」によってタンパク質へ、遺伝子でコードされた遺伝情報を変換するプロセスを指す。遺伝子発現は、前記プロセスにおいて多くの段階で調節され得る。「アップレギュレーション」または「活性化」は、遺伝子発現産物(即ち、RNAまたはタンパク質)の産生を増加させる調節を指し、一方、「ダウンレギュレーション」または「抑制」は、産生を減少させる調節を指す。アップレギュレーションまたはダウンレギュレーションに関与する因子(例えば、転写因子)は、それぞれ、「アクチベーター」および「リプレッサー」としばしば呼ばれる。本発明の目的について、標的遺伝子は、ダウンレギュレートするRNA分子との特異的相互作用によって「転写後に」(即ち、RNA転写産物のレベルで)ダウンレギュレートされ得る。
【0076】
用語「転写および翻訳制御配列」は、宿主細胞中においてコード配列の発現を提供する、DNA調節配列、例えば、プロモーター、エンハンサー、ターミネーターなどを指す。
【0077】
用語「機能的に連結された」は、単一の核酸フラグメント上での核酸配列の結合を指し、その結果、一方の機能が他方によって影響される。例えば、プロモーターは、それがそのコード配列の発現に影響を与えることができる場合、コード配列と機能的に連結されている(即ち、そのコード配列は、プロモーターの転写制御下にある)。コード配列は、センスまたはアンチセンス方向で調節配列へ機能的に連結され得る。
【0078】
「ベクター」は、宿主細胞中への核酸のクローニングおよび/または導入のための任意のビヒクルを指す。ベクターは、そこへ別のDNAセグメントが結合され、結合されたセグメントの複製がもたらされ得るレプリコンであり得る。「レプリコン」は、インビボでDNA複製の自律的単位として機能する、即ち、それ自体の制御下で複製可能である、任意の遺伝的エレメント(例えば、プラスミド、ファージ、コスミド、染色体、ウイルス)を指す。用語「ベクター」は、インビトロ、エクスビボまたはインビボで宿主細胞中へ核酸を導入するための、ウイルスおよび非ウイルスビヒクルの両方を含む。用語「ベクター」はまたミニサークルDNAを含み得る。例えば、ベクターは、細菌DNA配列を有さないプラスミドであり得る。CpG領域に富む細菌DNA配列の除去は、導入遺伝子発現サイレンシングを減少させ、プラスミドDNAベクターからのより持続的な発現を生じさせることが示された(例えば、Ehrhardt, A. et al. (2003) Hum Gene Ther 10: 215-25;Yet, N. S. (2002) Mol Ther 5: 731-38;Chen, Z. Y. et al. (2004) Gene Ther 11: 856-64を参照のこと)。用語「ベクター」はまた、トランスポゾン、例えば、Sleeping Beauty(Izsvak et al. J. Mol. Biol. 302:93-102 (2000))、または人工染色体を含み得る。
【0079】
当技術分野において公知の多数のベクターが、核酸を操作するため、応答エレメントおよびプロモーターを遺伝子などへ組み入れるため、または核酸を宿主細胞中へ導入するために使用され得る。可能性のあるベクターとしては、例えば、プラスミドまたは修飾ウイルス、例えば、バクテリオファージ、例えば、λ誘導体、またはプラスミド、例えば、pBR322もしくはpUCプラスミド誘導体、またはBluescriptベクターが挙げられる。より大きなベクター、例えば、人工染色体(細菌(BAC)、酵母(YAC)、またはヒト(HAC))が、より大きな挿入物を収容するために使用され得る。例えば、好適なベクター中への応答エレメントまたはプロモーターに対応するDNAフラグメントの挿入は、相補的な付着末端を有する選択されたベクター中へ好適なDNAフラグメントを連結することによって達成され得る。または、DNA分子の末端が酵素的に修飾され得るか、または任意の部位が、DNA末端中へヌクレオチド配列(リンカー)を連結させることによって作製され得る。このようなベクターは、ベクターでトランスフェクトまたは形質転換された細胞の選択を提供する選択可能なマーカー遺伝子を含有するように遺伝子操作され得る。本発明に従うポリヌクレオチドを含む組換えベクターは、その中においてそれらの増幅またはそれらの発現が求められる細胞宿主中における複製のための1つまたは複数の起点、マーカーまたは選択可能なマーカーを含み得る。
【0080】
用語「選択可能なマーカー」は、同定因子、通常、マーカー遺伝子の効果、即ち、抗生物質に対する耐性、除草剤に対する耐性に基づいて選択されることができる、抗生物質または化学物質耐性遺伝子、比色分析マーカー、酵素、蛍光マーカーなどを指し、ここで、前記効果は、関心対象の核酸の遺伝形質を追跡するために、および/または関心対象の核酸を受け継いだ細胞または生物を同定または選択するために使用される。当技術分野において公知であり使用される選択可能なマーカー遺伝子の例としては、アンピシリン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ハイグロマイシン、ビアラホス除草剤、スルホンアミドなどに対する耐性を提供する遺伝子;および表現型マーカーとして使用される遺伝子、即ち、アントシアニン調節遺伝子、イソペンタニルトランスフェラーゼ遺伝子などが挙げられる。
【0081】
用語「レポーター遺伝子」は、レポーター遺伝子の効果に基づいて同定され得る同定因子をコードする核酸を指し、ここで、該効果は、関心対象の核酸の遺伝形質を追跡するため、関心対象の核酸を受け継いだ細胞または生物を同定するため、および/または遺伝子発現誘導または転写を測定するために使用される。当技術分野において公知であり使用されるレポーター遺伝子の例としては、ルシフェラーゼ(Luc)、蛍光タンパク質、例えば、緑色蛍光蛋白質(GFP)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、β-ガラクトシダーゼ(LacZ)、β-グルクロニダーゼ(Gus)などが挙げられる。選択可能なマーカー遺伝子はまた、レポーター遺伝子とも考えられ得る。
【0082】
用語「プラスミド」は、細胞の中央代謝の一部ではない遺伝子をしばしば運び、かつ、通常、環状二本鎖DNA分子の形態である、染色体外エレメントをいう。このようなエレメントは任意の源に由来する、一本鎖もしくは二本鎖DNAもしくはRNAの自律複製配列、ゲノム組み込み配列、ファージまたはヌクレオチド配列、直鎖状、環状またはスーパーコイル状であり得、ここで、多数のヌクレオチド配列が、特有の構築物へと結合または組換えられており、これは、好適な3'非翻訳配列と共に、プロモーターフラグメント、および選択された遺伝子産物のDNA配列を、細胞中へ導入することができる。
【0083】
「クローニングベクター」は、そこへ他の核酸セグメントが結合され、結合されたセグメントの複製がもたらされ得る、プラスミド、ファージまたはコスミドなどの、連続して複製しかつ複製起点を含む、単位長さの核酸、例えば、DNAである、「レプリコン」を指す。クローニングベクターは、ある細胞型で複製することができ、別のものにおいて発現することができる場合がある(「シャトルベクター」)。
【0084】
用語「発現ベクター」は、宿主細胞中への形質転換後に、挿入された核酸配列の発現を可能にするように設計されたベクター、プラスミドまたはビヒクルを指す。クローン化遺伝子、すなわち、挿入された核酸配列は、通常、プロモーター、最小プロモーター、エンハンサーなどの制御エレメントの制御下に位置付けられる。宿主細胞中において核酸の発現を駆動するに有用である開始制御領域またはプロモーターは数多くあり、当業者によく知られている。
【0085】
ベクターは、当技術分野において公知の方法、例えば、トランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、形質導入、細胞融合、DEAEデキストラン、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション(リソソーム融合)、遺伝子銃の使用、またはDNAベクタートランスポーターによって、所望の宿主細胞中へ導入され得る(例えば、Wu et al., J. Biol. Chem. 267:963-967 (1992);Wu et al., J. Biol. Chem. 263:14621-14624 (1988);およびHartmutら、1990年3月15日に出願されたカナダ特許出願第2,012,311号を参照のこと)。
【0086】
真核生物ベクターの例としては、Stratagene製のpW-LNEO、pSV2CAT、pOG44、pXT1およびpSG;Amersham Pharmacia Biotech製のpSVK3、pBPV、pMSGおよびpSVL;ならびにClontech製のpCMVDsRed2-express、pIRES2-DsRed2、pDsRed2-Mito、pCMV-EGFPが挙げられるが、これらに限定されない。多くの他のベクターが周知であり、市販されている。
【0087】
例えば、遺伝子プログラムのエレメントの迅速な挿入および除去のための分子挿入ピボットを含む有用なベクターが、米国特許出願公開第2004/0185556号、米国特許出願第11/233,246号、ならびに国際出願公開第WO 2005/040336号および第WO 2005/116231号に記載されている。
【0088】
「プロモーター」および「プロモーター配列」は、交換可能に使用され、コード配列または機能的RNAの発現を制御することができるDNA配列を指す。一般的に、コード配列はプロモーター配列の3'側に配置される。プロモーターはその全体がネイティブ遺伝子に由来し得、または、天然において見られる異なるプロモーターに由来する異なるエレメントから構成され得、または合成DNAセグメントさえ含み得る。異なるプロモーターは、異なる組織または細胞型中において、または発生の異なる段階で、または異なる環境もしくは生理学的条件に応答して、遺伝子の発現を指令し得ることが、当業者によって理解される。
【0089】
大抵の時間、大抵の細胞型において遺伝子を発現させるプロモーターは、一般的に、「構成的プロモーター」と呼ばれる。特定の細胞型において遺伝子を発現させるプロモーターは、一般的に、「条件的プロモーター」と呼ばれる。条件的プロモーターの非限定的な例は、「細胞特異的プロモーター」または「組織特異的プロモーター」である。発生または細胞分化の特定の段階で遺伝子を発現させるプロモーターは、一般的に、「発生特異的プロモーター」または「細胞分化特異的プロモーター」と呼ばれる。プロモーターを誘導する薬剤、生物学的分子、化学物質、リガンド、光などでの細胞の処理または曝露に続いて、誘導され、遺伝子を発現させるプロモーターは、一般的に、「誘導性プロモーター」または「調節性プロモーター」と呼ばれる。誘導性プロモーターの非限定的な例は、TetO誘導性プロモーターである。大抵の場合、調節配列の厳密な境界は完全には規定されていないために、異なる長さのDNAフラグメントが同一のプロモーター活性を有し得ることが、さらに認識される。
【0090】
プロモーター配列は、典型的に、その3'末端で転写開始部位によって結合されており、上流(5'方向)に伸長し、バックグラウンドを超えて検出可能なレベルで転写を開始させるに必要な最小数の塩基またはエレメントを含む。プロモーター配列内には、(例えば、ヌクレアーゼS1でのマッピングによって便宜上規定される)転写開始部位、ならびにRNAポリメラーゼの結合を担うタンパク質結合ドメイン(コンセンサス配列)が見られる。
【0091】
RNAポリメラーゼがコード配列をmRNAに転写し、次いで、これが、(コード配列がイントロンを含む場合に)トランスRNAスプライシングされ、コード配列によってコードされる蛋白質へ翻訳される場合、コード配列は、細胞中において転写および翻訳制御配列の「制御下」にある。
【0092】
終止制御領域、即ち、ターミネーターまたはポリアデニル化配列はまた、好ましい宿主に対してネイティブな種々の遺伝子に由来し得る。任意で、終止部位は、不必要であり得、しかし、それは含まれ得る。本発明の一態様において、終止制御領域は、合成配列、合成ポリアデニル化シグナル、SV40後期ポリアデニル化シグナル、SV40ポリアデニル化シグナル、ウシ成長ホルモン(BGH)ポリアデニル化シグナル、ウイルスターミネーター配列などから構成され得るか、またはそれらに由来し得る。
【0093】
用語「トランスフェクション」は、細胞による外因性または異種RNAまたはDNAの取り込みを指す。外因性または異種RNAまたはDNAが細胞内部に導入された場合、細胞はこのようなRNAまたはDNAによって「トランスフェクト」されている。トランスフェクトされたRNAまたはDNAは、宿主細胞のゲノムを構成する染色体DNA中へ組み込まれ(共有結合され)得る。
【0094】
「形質転換」は、遺伝的に安定な遺伝が生じる、宿主生物のゲノム中への核酸フラグメントの導入を指す。
【0095】
用語「調節する(modulate)」および「調節する(modulates)」は、核酸または遺伝子発現を誘導、低下または阻害し、タンパク質またはポリペプチド産生の誘導、低下または阻害をそれぞれ生じさせることを意味する。
【0096】
「RNA転写産物」は、DNA配列のRNAポリメラーゼ触媒転写から生じる産物を指す。RNA転写産物が、DNA配列の完全な相補的なコピーである場合、それは一次転写産物と呼ばれ、または、それは、一次転写産物の転写後プロセッシングに由来するRNA配列であり得、成熟RNAと呼ばれる。「メッセンジャーRNA(mRNA)」は、イントロンを有さず、細胞によってタンパク質へ翻訳され得るRNAを指す。「cDNA」は、mRNAに相補的でありかつこれに由来する二本鎖DNAを指す。「センス」RNAは、mRNAを含み、従って、細胞によってタンパク質へ翻訳され得る、RNA転写産物を指す。
【0097】
本発明の一態様は、第1ポリヌクレオチドフラグメントおよび第2ポリヌクレオチドフラグメントを含む合成5'UTRポリヌクレオチドであって、
a.第1ポリヌクレオチドフラグメントが、第1真核生物遺伝子の少なくとも1つのスプライス部位を含み、
b.第2ポリヌクレオチドフラグメントが、第2真核生物遺伝子の5'非翻訳領域の少なくとも一部を含み、かつ
c.第1ポリヌクレオチドフラグメントが、第2ポリヌクレオチドフラグメントの5'側に配置されている、
合成5'UTRポリヌクレオチドである。
【0098】
本発明の別の態様において、合成5'UTRは、第1ポリヌクレオチドフラグメントおよび第2ポリヌクレオチドフラグメントを含むキメラポリヌクレオチドであって、
a.第1ポリヌクレオチドフラグメントが、筋小胞体/小胞体カルシウムATPアーゼ遺伝子の第2イントロンを含み、
b.第2ポリヌクレオチドフラグメントが、カゼイン遺伝子の5'非翻訳(5'UTR)領域の少なくとも一部を含み、かつ
c.第1ポリヌクレオチドフラグメントが、第2ポリヌクレオチドフラグメントの5'側に配置されている、
キメラポリヌクレオチドである。
【0099】
筋小胞体/小胞体カルシウムATPアーゼ遺伝子の第2イントロンを含むポリヌクレオチドフラグメントは、任意の真核生物の筋小胞体/小胞体カルシウムATPアーゼ遺伝子に由来し得る。本発明の一態様において、真核生物の筋小胞体/小胞体カルシウムATPアーゼ遺伝子の第2イントロンを含むポリヌクレオチドフラグメントは、SERCA2遺伝子に由来する。他の態様において、それは、SERCA1またはSERCA3遺伝子に由来する。第2イントロンを含むポリヌクレオチドフラグメントの供給源である筋小胞体/小胞体カルシウムATPアーゼ遺伝子は、任意の真核生物種に由来し得る。一態様において、筋小胞体/小胞体カルシウムATPアーゼ遺伝子は、哺乳類種に由来する。別の態様において、筋小胞体/小胞体カルシウムATPアーゼ遺伝子は、鳥類種に由来する。別の態様において、筋小胞体/小胞体カルシウムATPアーゼ遺伝子は、魚類種に由来する。特定の態様において、第2イントロンを含むポリヌクレオチドフラグメントは、ヒト、イヌ、またはマウスの筋小胞体/小胞体カルシウムATPアーゼ遺伝子に由来する。他の特定の態様において、第2イントロンを含むポリヌクレオチドフラグメントは、ラット、チンパンジー、ニワトリ、ウマ、ウシ、ヘラジカ、ブタ、ネコ、アカゲザル、またはゼブラフィッシュの筋小胞体/小胞体カルシウムATPアーゼ遺伝子に由来する。
【0100】
本発明の別の態様において、筋小胞体/小胞体カルシウムATPアーゼ遺伝子の第2イントロンを含むポリヌクレオチドフラグメントは、5'末端にフランキングするエキソン2の部分および3'末端にフランキングするエキソン3の部分を含む。別の態様において、筋小胞体/小胞体カルシウムATPアーゼ遺伝子の第2イントロンを含むポリヌクレオチドフラグメントは、5'末端にフランキングするエキソン2の全部および3'末端にフランキングするエキソン3の全部を含む。
【0101】
筋小胞体/小胞体カルシウムATPアーゼ遺伝子の第2イントロンを含むポリヌクレオチドフラグメントは、長さが少なくとも約50ヌクレオチドであり得る。他の態様において、筋小胞体/小胞体カルシウムATPアーゼ遺伝子の第2イントロンを含むポリヌクレオチドフラグメントは、長さが少なくとも約60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、または250ヌクレオチドであり得る。
【0102】
本発明の別の態様において、筋小胞体/小胞体カルシウムATPアーゼ遺伝子の第2イントロンを含むポリヌクレオチドフラグメントは、推定コンセンサスポリA部位で突然変異されている。別の態様において、筋小胞体/小胞体カルシウムATPアーゼ遺伝子の第2イントロンを含むポリヌクレオチドフラグメントは、エキソン2の5'フランキング部分およびエキソン3の3'フランキング部分を含み、推定コンセンサスポリA部位で突然変異されており、イヌSERCA2遺伝子に由来し;特定の態様において、それは、配列番号:2によって示される。
【0103】
他の態様において、筋小胞体/小胞体カルシウムATPアーゼ遺伝子の第2イントロンを含むポリヌクレオチドフラグメントは、野生型または突然変異部分SERCA2配列である。ポリヌクレオチドフラグメントは、任意の種の任意の全長SERCA2遺伝子に由来し得る。例えば、一態様において、筋小胞体/小胞体カルシウムATPアーゼ遺伝子の第2イントロンを含むポリヌクレオチドフラグメントは、5'末端にフランキングするエキソン2の部分および3'末端にフランキングするエキソン3の部分を含む野生型部分イヌSERCA2ゲノム配列であり;特定の態様において、それは、配列番号:4によって示される。配列番号:4は、図1Aおよび図1Cに図示される。別の態様において、筋小胞体/小胞体カルシウムATPアーゼ遺伝子の第2イントロンを含むポリヌクレオチドフラグメントは、5'末端にフランキングするエキソン2および3'末端にフランキングするエキソン3を含む野生型部分ヒトSERCA2ゲノム配列であり;特定の態様において、それは、配列番号:5によって示される。別の態様において、筋小胞体/小胞体カルシウムATPアーゼ遺伝子の第2イントロンを含むポリヌクレオチドフラグメントは、5'末端にフランキングするエキソン2および3'末端にフランキングするエキソン3を含む野生型部分マウスSERCA2ゲノム配列であり;特定の態様において、それは、配列番号:6によって示される。配列番号:5および配列番号:6は、図1Bおよび図1Cにおいて図示される。他の態様において、筋小胞体/小胞体カルシウムATPアーゼ遺伝子の第2イントロンを含むポリヌクレオチドフラグメントは、突然変異または野生型の部分ラットSERCA2配列、ウマSERCA2配列、ウシSERCA2配列、チンパンジー(Pan troglodytes)SERCA2配列、ネコ(Felis catus)SERCA2配列、ウサギ(Ortolagus cuniculus)SERCA2配列、イノシシ(Sus scrofa)SERCA2配列、アカゲザル(Macaca mulatta)SERCA2配列、アカシカ(Cervus elaphus)SERCA2配列、ニワトリ(Gallus gallus)SERCA2配列、またはゼブラフィッシュ(Danio rerio)SERCA2配列である。
【0104】
カゼイン遺伝子5'非翻訳領域の少なくとも一部を含むポリヌクレオチドフラグメントは、任意の哺乳類種に由来し得る。一態様において、5'非翻訳領域の少なくとも一部を含むポリヌクレオチドフラグメントは、ウシβ-カゼイン遺伝子に由来し;特定の態様において、それは、配列番号:3によって示される。別の態様において、5'非翻訳領域の少なくとも一部を含むポリヌクレオチドフラグメントは、マウスβ-カゼイン遺伝子に由来し;特定の態様において、それは、配列番号:8によって示される。別の態様において、5'非翻訳領域の少なくとも一部を含むポリヌクレオチドフラグメントは、ラットβ-カゼイン遺伝子に由来し;特定の態様において、それは、配列番号:9によって示される。別の態様において、5'非翻訳領域の少なくとも一部を含むポリヌクレオチドフラグメントは、ヒツジβ-カゼイン遺伝子に由来し;特定の態様において、それは、配列番号:10によって示される。他の態様において、5'非翻訳領域の少なくとも一部を含むポリヌクレオチドフラグメントは、スイギュウ(Bubalus bubalis)β-カゼイン遺伝子、ヤギ(Capra hircus)β-カゼイン遺伝子、ウマβ-カゼイン遺伝子、イノシシβ-カゼイン遺伝子、ラクダ(Camelus dromedaries)、ウサギ(Oryctolagus cuniculus)β-カゼイン遺伝子、またはオオカミ(Canis lupus)β-カゼイン遺伝子に由来する。
【0105】
カゼイン遺伝子5'非翻訳領域の少なくとも一部を含むポリヌクレオチドフラグメントは、長さが少なくとも約25ヌクレオチドであり得る。他の態様において、5'UTRの少なくとも一部を含むカゼイン遺伝子のポリヌクレオチドフラグメントは、長さが少なくとも約30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、85、90、100またはそれ以上のヌクレオチドであり得る。別の態様において、カゼイン遺伝子5'UTRの少なくとも一部を含むポリヌクレオチドフラグメントは、天然5'UTR配列の少なくとも約50%を示し得る。他の態様において、カゼイン遺伝子5'UTRの少なくとも一部を含むポリヌクレオチドフラグメントは、天然5'UTR配列の少なくとも約55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%またはそれ以上を示し得る。別の態様において、カゼイン遺伝子5'UTRの少なくとも一部を含むポリヌクレオチドフラグメントは、天然5'UTR配列全体を示し得る。
【0106】
他の態様において、個々の構成要素(筋小胞体/小胞体カルシウムATPアーゼ遺伝子の第2イントロンを含むポリヌクレオチドフラグメント、および、カゼイン遺伝子の5'UTRの少なくとも一部を含むポリヌクレオチドフラグメント)の機能的変異体が、合成5'UTRを作製するために使用される。機能的変異体は、置換、挿入および欠失変異体ならびにそれらの組み合わせを包含する。置換変異体は、ヌクレオチド配列中の少なくとも1つの塩基が除去され、異なる塩基がその場所に挿入されているものである。核酸の挿入変異体は、1つまたは複数のヌクレオチドが、配列中の所定の部位中へ導入されているものである。核酸の欠失変異体は、核酸からの1つまたは複数のヌクレオチドの除去を特徴とする。前記構成要素の機能が本質的に同一のままである限り、即ち、機能的変異体が、本発明の合成5'UTRにおいて使用される場合に、関心対象の配列、合成遺伝子、または導入遺伝子の発現を増加させる限り、置換、欠失または挿入の任意の組み合わせが生じ得る。
【0107】
さらに、本明細書に開示される筋小胞体/小胞体カルシウムATPアーゼ遺伝子の第2イントロンを含むポリヌクレオチドフラグメントの特定の態様(配列番号:2、配列番号:4、配列番号:5、および配列番号:6)に相同な配列、ならびにカゼインの5'UTRの少なくとも一部を含むポリヌクレオチドフラグメントの特定の態様(配列番号:3、配列番号:8、配列番号:9、および配列番号:10)に相同な配列が、合成5'UTRを構築するために使用され得る。前述したように、合成5'UTRを作製するためのフラグメントの好適な供給源は、任意の真核生物種の筋小胞体/小胞体カルシウムATPアーゼ遺伝子および任意の哺乳類種のカゼイン遺伝子を含む。一態様において、筋小胞体/小胞体カルシウムATPアーゼ遺伝子の第2イントロンを含むポリヌクレオチドフラグメントは、イヌSERCA2、マウスSERCA2、またはヒトSERCA2のオルソログに由来する。別の態様において、カゼインの5'UTRの少なくとも一部を含むポリヌクレオチドフラグメントは、ウシカゼイン-β、マウスカゼイン-β、ラットカゼイン-β、またはヒツジカゼインβのオルソログに由来する。
【0108】
筋小胞体/小胞体カルシウムATPアーゼホモログまたはカゼイン5'UTRホモログの検索および同定のための方法は、当業者に公知である。このような方法は、以下を含む:GAP(Needleman and Wunsch, J. Mol. Biol. 48; 443453 (1970))、BESTFIT(Miller, W., Myers, E. W. & Lipman, D. J., J. Mol. Biol. 215:403-410 (1990))、FASTAおよびTFASTA(W. R. Pearson and D. J. Lipman Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444-2448 (1988))などの、配列のアライメントまたは比較について当技術分野において周知のアルゴリズムを使用した、MIPS、GenBank、またはEMBL Nucleotide Sequence Databaseなどの、World Wide Webにおいて入手可能な公開データベースにおいて入手可能である配列と、コンピュータ読み取り可能な形式の、配列番号:2〜6および8〜10によって示される配列との比較。BLAST分析を行うためのソフトウエアは、National Centre for Biotechnology Informationより公的に入手可能である。好適なホモログは、BLASTデフォルトパラメータ(BLOSUM62マトリックス、ギャップ・オープニング・ペナルティー11およびギャップ伸長ペナルティー1)を使用して同定され得る。
【0109】
さらに、イヌ、ヒト、またはマウスSERCA2に対するホモログもまた、SERCA2遺伝子内の保存配列を検索することによって同定され得る。例えば、配列番号:11などのイヌSERCA2エキソン3の全配列が、BLAST検索においてクエリ配列として使用され得る。BLAST検索内でクエリ配列としてエキソン配列を使用することによって、イントロン配列を含む配列を使用することよりも、より多数のSERCA2ホモログが引き出されることが予想される。同様に、ウシ、マウス、ラット、またはヒツジカゼイン-βに対するホモログは、クエリ配列としてコード部分を使用することによって同定され得る。
【0110】
筋小胞体/小胞体カルシウムATPアーゼホモログまたはカゼイン5'UTRホモログの同定のためのゲノム配列の分析も可能である。生のDNA配列中の遺伝子の同定のためのいくつかのアルゴリズムおよびソフトウエアツールが、入手可能である。通常、これらのツールは、DNA配列中の統計パラメータの分析と、データベース中の相同配列を同定するための相同性ベースの方法とを組み合わせる。これらの方法はいずれも単独では良い予想について十分には信頼できないが、種々のプログラムの組み合わせは、通常、良い結果を提供する。World Wide Webにおいて公的に入手可能であるこのようなツールの周知の例としては、GeneMark(Borodovsky, M. and McIninch J. GeneMark: Parallel Gene Recognition for both DNA Strands. Computers & Chemistry, 17, 123-133 (1993))、Gene Locator and Interpolated Markov Modeler(GLIMMER)(A. L. Delcher et al. Improved microbial gene identification with GLIMMER. Nucleic Acids Research, 27, 4636-4641.(1999))、Gene Recognition and Assembly Internet Link(GRAIL)、GenScan(Burge, C. and Karlin, S. Prediction of complete gene structures in human genomic DNA. J. Mol. Biol. 268, 78-94 (1997))、およびGeneBuilder(Milanesi L. et al. GeneBuilder: interactive in silico prediction of genes structure. Bioinformatics, 15 (7):612-621 (1999))が挙げられる。組み合わせた分析は、GeneMark、GlimmerM、GRAIL、GenScan、およびFgenesなどの他の注釈ソフトウエアからのアウトプットを使用して遺伝子モデルを予測する、TIGR Combinerプログラム(J. E. Allen et al. Computational gene prediction using multiple sources of evidence. Genome Research, 14(1), 142-148 (2004))を用いて行われ得る。それは、統計アルゴリズムを使用し、遺伝子モデルに対応する証拠のパターンを同定する。
【0111】
筋小胞体/小胞体カルシウムATPアーゼ遺伝子の第2イントロンは、ペアワイズアライメントプログラムにおいて遺伝子のゲノムDNA配列とそのmRNAまたはcDNA配列のそれとを比較することなどの、通常の方法によって同定され得る。相同性の領域はエキソンを示し、一方、cDNA配列中に存在しないがゲノムDNA中には存在する介在配列はイントロンを示す。イントロン配列の先端および末端は、そのフランキング5' GTおよびフランキング3' AGによって同定され得る。このアプローチを使用して、公開アクセッション番号NM_001003214によって示されるイヌSERCA2 mRNA配列は、イヌSERCA2ゲノム配列中のイントロンを同定するために有用であり、一方、ヒトおよびマウスSERCA2 mRNA配列(それぞれ、NM_170665およびNM_009722)は、それらのそれぞれのゲノム配列中のイントロンを同定するために使用され得る。
【0112】
筋小胞体/小胞体カルシウムATPアーゼホモログまたはカゼイン5'UTRホモログはまた、別の種のゲノムまたはcDNAフラグメントのライブラリーを調べることによって同定され得る。例えば、関心対象の種のゲノムDNAが、プラスミドまたはλベクターなどの選択されるベクター中への挿入のために、好適なサイズのフラグメントへ断片化され得る。ベクターは、次いで、好適な制限酵素で消化され、次いで、ゲノムフラグメントの完全な混合物と連結される。細菌細胞をベクターで形質転換し、次いで、アガロースプレート上に平板培養する。次いで、コロニーまたはファージプラークDNAを膜へ結合させる。一態様において、配列番号:2〜6および8〜10によって示されるフラグメントまたはそれらの部分が、相同配列を含有するライブラリーのクローンのDNAへのハイブリダイゼーションの標識プローブとして使用される。同様の手順が、cDNAライブラリーをスクリーニングするために使用され得る。さらに、ホモログは、ゲノムまたはcDNAサザンハイブリダイゼーション実験の標識プローブとして、配列番号:2〜6および8〜10によって示されるフラグメントまたはそれらの部分を使用することによって、同定され得る。他の態様において、より多くの保存配列、例えば、筋小胞体/小胞体カルシウムATPアーゼ遺伝子(例えば、配列番号:11)もしくはカゼイン遺伝子のコード領域またはそれらの部分を含むものが、ライブラリーをスクリーニングするためにまたはサザンハイブリダイゼーション実験において、プローブとして使用される。
【0113】
好適なハイブリダイゼーション条件が、温度、塩濃度、または%ホルムアミドの好適な組み合わせによりハイブリダイゼーション実験のストリンジェンシーを低下させることによって別の種由来のプローブとフラグメントとのハイブリダイゼーション(部分的にミスマッチのプローブ−標的ハイブリッド)を可能にするように選択され得る。例えば、ハイブリダイゼーション実験のストリンジェンシーは、温度を低下させることまたは塩濃度を増加させることによって、下げられ得る。好適なハイブリダイゼーション条件を同定するための手順は、当技術分野において周知であり、Sambrook (2001) Molecular Cloning: a laboratory manual, 3rd Edition Cold Spring Harbor Laboratory Press, CSH, New Yorkに記載されている。
【0114】
本発明の別の態様は、配列番号:1〜10のうちの1つによって示されるポリヌクレオチドと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一のポリヌクレオチドである。
【0115】
本発明の別の態様は、配列番号:2および4〜6のうちの1つによって示されるポリヌクレオチドと配列番号:3および8〜10のうちの1つによって示されるポリヌクレオチドとを含む合成5'UTRである。
【0116】
本発明の別の態様は、配列番号:2および4〜6のうちの1つによって示されるポリヌクレオチドと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるポリヌクレオチドと、配列番号:3および8〜10のうちの1つによって示されるポリヌクレオチドと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるポリヌクレオチドとを含む、合成5'UTRである。
【0117】
本発明の別の態様は、配列番号:1によって示されるポリヌクレオチドと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるポリヌクレオチドを含む合成遺伝子構築物である。
【0118】
本発明の別の態様は、配列番号:7によって示されるポリヌクレオチドと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるポリヌクレオチドを含む合成遺伝子構築物である。
【0119】
別の態様において、合成5'UTR配列は、参照により本明細書に組み入れられる、WO 2007/038276に記載されるようなUltra Vector Production System(Intrexon Corp., Blacksburg, VA)中への挿入を妨げる制限部位を欠いている。特定の態様において、合成5'UTR配列は、以下の制限エンドヌクレアーゼ:AsiS I、Pac I、Sbf I、Fse I、Asc I、Mlu I、SnaB I、Not I、Sal I、Swa I、Rsr II、BsiW I、Mfe I、Nhe I、Nsi I、Cla I、Nde I、Nsi I、Kpn I、Nco IおよびPst Iの内部認識配列を欠いている。
【0120】
合成5'UTR配列は、ベクター中へのクローニングを容易にするために5'および3'末端に制限部位を任意で含む。特定の態様において、合成5'UTR配列は、5'末端にMlu Iの認識配列および3'末端にMfe Iの認識配列を含む。
【0121】
特定の態様において、合成5'UTRは、配列番号:1によって示される。配列番号:1は、以下の特徴を有する:MluI制限部位、配列番号:2、KpnI制限部位、配列番号:3、MfeI制限部位。配列番号:1は、図2Aによって図示される。
【0122】
別の特定の態様において、合成5'UTRは、配列番号:7によって示される。配列番号:7は、以下の特徴を有する:AscI制限部位、MluI制限部位、配列番号:4、KpnI制限部位、配列番号:3、MfeI制限部位。配列番号:7は、図2Bよって図示される。
【0123】
一態様において、合成5'UTR配列は、長さが約500ヌクレオチド未満である。別の態様において、合成5'UTR配列は、長さが約400ヌクレオチド未満である。別の態様において、合成5'UTR配列は、長さが約350ヌクレオチド未満である。別の態様において、合成5'UTR配列は、長さが約300ヌクレオチド未満である。別の態様において、合成5'UTR配列は、長さが約240ヌクレオチド未満である。別の態様において、合成5'UTR配列は、長さが約200ヌクレオチド未満である。
【0124】
本発明の別の態様において、合成5'UTRポリヌクレオチドは、第1ポリヌクレオチドフラグメントおよび第2ポリヌクレオチドフラグメントを含む、真核生物発現ベクターの構成要素であって、
a.第1ポリヌクレオチドフラグメントが、第1真核生物遺伝子の少なくとも1つのスプライス部位を含み、
b.第2ポリヌクレオチドフラグメントが、第2真核生物遺伝子の5'非翻訳領域(5'UTR)の少なくとも一部を含み、かつ
c.第1ポリヌクレオチドフラグメントが、第2ポリヌクレオチドフラグメントの5'側に配置されている、
真核生物発現ベクターの構成要素である。
【0125】
一態様において、少なくとも1つのスプライス部位を含むポリヌクレオチドフラグメントは、本明細書に記載される真核生物の筋小胞体/小胞体カルシウムATPアーゼ遺伝子のフラグメントである。別の態様において、5'非翻訳領域の少なくとも一部を含むポリヌクレオチドフラグメントは、本明細書に記載されるカゼイン遺伝子のフラグメントである。
【0126】
本発明はまた、本明細書に記載の合成5'UTRを含むベクターを提供する。ベクターは、本明細書に記載の合成5'UTRポリヌクレオチド配列の任意の態様を含むように企図される。例えば、本発明のある態様は、真核生物の筋小胞体/小胞体カルシウムATPアーゼ遺伝子の第2イントロンを含むポリヌクレオチドフラグメントとカゼイン遺伝子の5'UTRの少なくとも一部を含むポリヌクレオチドフラグメントとを含む合成5'UTRポリヌクレオチド配列を含むベクターである。
【0127】
本発明の別の態様は、配列番号:1〜10のうちの1つによって示されるポリヌクレオチドと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるポリヌクレオチドを含むベクターである。
【0128】
別の態様において、ベクターは、合成5'UTRを含む合成遺伝子構築物を含む発現ベクターである。合成遺伝子構築物は、合成5'UTRの一方の末端にフランキングするプロモーターと、合成5'UTRの他方の末端にフランキングする発現される関心対象の配列とを含み得る。合成遺伝子構築物は、ポリアデニル化部位をさらに含み得る。
【0129】
例えば、本発明の別の態様は、5'から3'へ並べられた場合、プロモーター、キメラポリヌクレオチド、および発現される関心対象の配列を含む合成遺伝子構築物を含む発現ベクターであって、
a.キメラポリヌクレオチドが、少なくとも1つのスプライス部位を含む第1真核生物遺伝子のポリヌクレオチドフラグメントと、5'非翻訳領域の少なくとも一部を含む第2真核生物遺伝子のポリヌクレオチドフラグメントとを含み、かつ
b.キメラポリヌクレオチドが、プロモーターと、発現される関心対象の配列との間に位置付けられており、ここで、第1真核生物遺伝子のポリヌクレオチドフラグメントが、プロモーターへ向かって位置付けられており、第2真核生物遺伝子のポリヌクレオチドフラグメントが、発現される関心対象の配列へ向かって位置付けられている、
発現ベクターである。
【0130】
図3Aは、ベクター骨格中へ挿入された本発明の合成遺伝子構築物の態様を図示している。この態様において、図3A中のSPLは、少なくとも1つのスプライス部位を含むポリヌクレオチドフラグメントを指し、UTRは、5'非翻訳領域の少なくとも一部を含むポリヌクレオチドフラグメントを指す。SPLおよびUTRは、一緒に合成5'UTRを構成する。合成遺伝子構築物のプロモーターは、合成5'UTRおよび関心対象の配列のRNA発現を指令するように位置付けられる。さらに、発現される関心対象の配列は、翻訳が開始するための開始コドンを含む。
【0131】
このベクター構造を含む例示的な発現ベクターを、図10および図11に図示する。図10のベクターの配列を配列番号:12に提供し;図11のベクターの配列を配列番号:13に提供する。
【0132】
別の態様において、ベクターは、5'から3'へ並べられた場合、プロモーター、キメラポリヌクレオチド、およびクローニング部位を含む発現ベクターであって、
a.キメラポリヌクレオチドが、少なくとも1つのスプライス部位を含む第1真核生物遺伝子のポリヌクレオチドフラグメントと、5'非翻訳領域の少なくとも一部を含む第2真核生物遺伝子のポリヌクレオチドフラグメントとを含み、かつ
b.キメラポリヌクレオチドが、プロモーターとクローニング部位との間に位置付けられており、ここで、第1真核生物遺伝子のポリヌクレオチドフラグメントが、プロモーターへ向かって位置付けられており、第2真核生物遺伝子のポリヌクレオチドフラグメントが、クローニング部位へ向かって位置付けられている、
発現ベクターである。
【0133】
発現ベクターのクローニング部位は、関心対象の配列が挿入され得るように、1つまたは複数の特有の制限部位を含み得る。別の態様において、クローニング部位は、関心対象の配列が部位特異的組換えによって挿入され得るように、リコンビナーゼ結合部位を含み得る。
【0134】
発現ベクターの態様を図3Bに図示する。図3Bにおいて、SPLは、スプライス部位を含むポリヌクレオチドフラグメントを指し、UTRは、5'非翻訳領域の少なくとも一部を含むポリヌクレオチドフラグメントを指す。SPLおよびUTRは、一緒に合成5'UTRを構成する。
【0135】
発現ベクター中のスプライス部位を含むポリヌクレオチドフラグメントは、任意の真核生物遺伝子のフラグメントであり得る。発現ベクター内で使用され得る例示的なポリヌクレオチドフラグメントとしては、本明細書に記載される真核生物の筋小胞体/小胞体カルシウムATPアーゼ遺伝子のスプライス部位を含むものが挙げられる。さらに、5'非翻訳領域の少なくとも一部を含むポリヌクレオチドフラグメントは、任意の真核生物遺伝子のフラグメントであり得る。発現ベクター内で使用され得る例示的なポリヌクレオチドフラグメントとしては、本明細書に記載されるカゼイン遺伝子の5'UTRの少なくとも一部を含むものが挙げられる。
【0136】
本発明の発現ベクターは、関心対象の配列によってコードされるポリペプチドとのインフレーム融合を作製するために関心対象の配列またはクローニング部位の下流に1つまたは複数の追加のポリヌクレオチド配列をさらに含み得る。例えば、関心対象の配列の下流の追加のポリヌクレオチドは、エピトープタグ、レポーター、または精製タグをコードし得る。エピトープタグは、当技術分野において公知であり、myc、血球凝集素(hemagluttinin)(HA)、およびFLAGを含む。レポーターの例としては、緑色蛍光タンパク質およびその変異体、β-ガラクトシダーゼ(LacZ)、β-グルクロニダーゼ(Gus) クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)およびルシフェラーゼが挙げられる。精製タグの例としては、His6およびGSTが挙げられる。発現ベクターはまた、関心対象の配列またはクローニング部位の下流にポリA部位を含み得る。
【0137】
所望の結果に依存して、合成5'UTRを含有する発現ベクターのプロモーター部分は、構成的プロモーター、非構成的プロモーター、組織特異的プロモーター(構成的または非構成的)、病原もしくは疾患関連プロモーター、発生特異的プロモーター、または選択的に制御されるプロモーター、例えば、誘導性プロモーターであり得る。選択的に制御される異なるプロモーターは、異なる機構によって制御される。例えば、テトラサイクリン誘導性プロモーターは、該プロモーターおよび他の必要な細胞因子を含有する細胞がテトラサイクリンで処理されると、下流のコード配列を発現させるように活性化される。他の誘導性プロモーターは、他の薬物または因子によって活性化される。RHEOSWITCHは、New England Biolabs (Ipswich, MA)から入手可能な誘導性プロモーターシステムである。温度感受性プロモーターもまた、遺伝子発現を増加または減少させるために使用され得る。本発明の態様は、その発現が誘導性プロモーターによって制御される合成5'UTRを含有する遺伝子構築物を含む。
【0138】
本発明は、合成5'UTRを含むベクター骨格が、真核細胞中における関心対象の配列の発現に好適な配列を含む、態様を含む。一態様において、合成5'UTRを含むベクター骨格は、哺乳動物の細胞中における関心対象の配列の発現に好適な配列を含む。哺乳類発現ベクターは、非転写エレメント、例えば、複製起点、発現される関心対象の配列へ連結された好適なプロモーターおよびエンハンサー、および他の5'または3'フランキング非転写配列、ならびに5'または3'非翻訳配列、例えば、必要なリボソーム結合部位、ポリアデニル化部位、および転写終結配列を含み得る。哺乳類発現ベクターの例は、当技術分野において周知であり、pcDNA3(Invitrogen)およびpRSVneo(ATTC)を含む。
【0139】
例えば、合成5'UTRを含有する発現ベクターのプロモーター部分は、動物または哺乳類プロモーターであり得る。例示的な動物または哺乳類プロモーターとしては、以下が挙げられる:SV40初期(SV40e)プロモーター領域、ラウス肉腫ウイルス(RSV)の3'末端反復配列(LTR)中に含まれるプロモーター、アデノウイルス(Ad)のE1Aまたは主要後期プロモーター(MLP)遺伝子のプロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)初期プロモーター、単純ヘルペスウイルス(HSV)チミジンキナーゼ(TK)プロモーター、伸長因子1α(EF1)プロモーター、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモーター、ユビキチン(Ubc)プロモーター、アルブミンプロモーター、マウスメタロチオネイン-Lプロモーターおよび転写制御領域の調節配列、ユビキタスプロモーター(HPRT、ビメンチン、β-アクチン、チューブリンなど)、中間径フィラメント(デスミン、神経フィラメント、ケラチン、GFAPなど)のプロモーター、(MDR、CFTRまたは第VIII因子型などの)治療遺伝子のプロモーター、病原もしくは疾患関連プロモーター、ならびに組織特異性を示しかつトランスジェニック動物において使用されてきたプロモーター、例えば、膵腺房細胞中において活性であるエラスターゼI遺伝子制御領域;膵β細胞中において活性なインスリン遺伝子制御領域、リンパ球様細胞中において活性な免疫グロブリン遺伝子制御領域、精巣、乳房、リンパ球様およびマスト細胞中において活性なマウス乳癌ウイルス制御領域;肝臓において活性なアルブミン遺伝子、Apo AIおよびApo AII制御領域、肝臓中において活性なα-フェトプロテイン遺伝子制御領域、肝臓中において活性なα1-アンチトリプシン遺伝子制御領域、骨髄系細胞中において活性なβ-グロビン遺伝子制御領域、脳中の乏突起膠細胞中において活性なミエリン塩基性タンパク質遺伝子制御領域、骨格筋中において活性なミオシン軽鎖2遺伝子制御領域、および視床下部中において活性な性腺刺激ホルモン放出ホルモン遺伝子制御領域;ピルビン酸キナーゼプロモーター、ビリンプロモーター、脂肪酸結合腸タンパク質のプロモーター、平滑筋細胞β-アクチンのプロモーターなど。発現ベクター内のプロモーターは、エンハンサーまたは調節配列などの付加によって修飾され得る。
【0140】
合成5'UTRを含有する発現ベクターの関心対象の配列部分は、任意の真核生物遺伝子由来の配列もしくはその部分、または天然もしくは非天然のコードもしくは非コード配列であり得る。本発明において使用され得るコード配列の非限定的な例としては、レポーター(例えば、ルシフェラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、蛍光タンパク質)、エピトープ、実験ポリペプチド、または治療ポリペプチドをコードする配列が挙げられる。関心対象の核酸配列の追加の例としては、RNA分子、例えば、スモールRNA、マイクロRNA、リボソームRNA、治療RNA、およびリボザイムが挙げられる。
【0141】
本発明の別の局面において、多数の非冗長合成5'UTRが、単一のベクター中の多重遺伝子性の遺伝子構築物の文脈において使用される。
【0142】
別の態様において、ベクターは、合成5'UTRを含む合成遺伝子構築物を含む遺伝子治療ベクターである。遺伝子治療ベクターは、非ウイルスベクターまたはウイルスベクター、例えば、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、またはレトロウイルスベクターを含む、当技術分野において公知の任意の遺伝子治療ベクターであり得る。合成遺伝子構築物は、図3Aに示されるように、合成5'UTRの5'末端にフランキングするプロモーターと合成5'UTRの3'末端にフランキングする関心対象の治療遺伝子とを含み得る。プロモーターは、構成的プロモーター、組織特異的プロモーター、および誘導性プロモーター、または本明細書に記載される他のプロモーターであり得る。遺伝子治療ベクター中に含まれ得る関心対象の治療遺伝子のクラスの例としては、非限定的に、以下をコードする遺伝子が挙げられる:サイトカイン、ケモカイン、ホルモン、抗体、遺伝子操作された免疫グロブリン様分子、一本鎖抗体、融合タンパク質、酵素、免疫共刺激分子、免疫調節分子、標的タンパク質のトランスドミナントネガティブ突然変異体、毒素、条件付き毒素、化学療法もしくは放射線治療増感剤、抗原、腫瘍抑制タンパク質、成長因子、膜タンパク質、血管作動性タンパク質およびペプチド、抗ウイルスタンパク質またはそれらの変異体。
【0143】
関心対象の治療遺伝子の具体例は、無数にあり、非限定的に、エリスロポエチン、インスリン、VEGF、FGF、第VIII因子、第IX因子、エンドスタチン、アンジオスタチン、GDNF、BDNF、NGF、EGF、CFTR、PEGF、IFN-α、IFN-γ、IL-I、IL-2、IL-4、IL-6、IL-7、IL-10、IL-12、IL-21、GM-CSF、G-CSF、M-CSF、TNF-α、TNF-β、TGF-α、TGF-β、CD40、ヒルジンなどを含む。
【0144】
本発明はまた、本発明のポリヌクレオチド配列を含むキットを提供する。例えば、一態様において、本発明は、配列番号:1〜10のうちの1つによって示されるポリヌクレオチドと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一である少なくとも1つのポリヌクレオチドを含むキットを提供する。キットは、上記のベクターまたはそれらの組立てを可能にする構成要素を含み得る。例えば、キットは、ユーザーが合成5'UTRまたは合成5'UTRの個々の構成要素を挿入することを可能にする部位での制限酵素を用いての消化によって線形化され得るベクターを含み得る。キットは、ベクターの組立てのための追加の構成要素、例えば、制限酵素、リガーゼ、バッファーなどをさらに含み得る。
【0145】
本発明は、宿主細胞中において遺伝子産物または関心対象の配列を発現させるための方法をさらに提供する。
【0146】
例えば、本発明の別の態様は、本明細書に記載される合成5'UTRを含む合成遺伝子構築物を宿主細胞にトランスフェクトする工程を含む、遺伝子産物を発現させる方法である。
【0147】
本発明の別の態様は、配列番号:1または配列番号:7によって示されるポリヌクレオチドと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一のポリヌクレオチドを含む合成遺伝子構築物を宿主細胞にトランスフェクトする工程を含む、遺伝子産物を発現させる方法である。
【0148】
本発明の別の態様は、以下の工程を含む、宿主細胞中において関心対象の配列を発現させる方法である:
a.本明細書に記載される合成遺伝子構築物を含む発現ベクターを宿主細胞にトランスフェクトする工程;および
b.関心対象の配列の発現を得るのに好適な条件下で前記宿主細胞を培養する工程。
【0149】
宿主細胞中において関心対象の配列を発現させる別の方法において、関心対象の配列は、プロモーター、合成5'UTR、およびクローニング部位を含む本明細書に記載の発現ベクター中へ挿入され得る。例えば、本発明の別の態様は、以下の工程を含む、宿主細胞中において関心対象の配列を発現させる方法である:
a.プロモーター、合成5'UTR、およびクローニング部位を含む本明細書に記載の発現ベクター内のクローニング部位に、発現される関心対象の配列を挿入する工程、ここで、発現される関心対象の配列は、RNAまたはポリペプチドコード配列を含む;
b.発現ベクターを宿主細胞にトランスフェクトする工程;および
c.関心対象の配列の発現を得るのに好適な条件下で前記宿主細胞を培養する工程。
【0150】
宿主細胞中において関心対象の配列を発現させる別の方法において、合成5'UTR内の真核生物遺伝子のスプライスエレメントを含む部分が、プロモーターへ向かって位置付けられ、別の真核生物遺伝子の5'UTRの少なくとも一部を含む部分が、関心対象の配列へ向かって位置付けられるように、合成5'UTRが、発現ベクター中のプロモーターと関心対象の配列との間に挿入され得る。
【0151】
例えば、本発明の別の態様は、以下の工程を含む、宿主細胞中において関心対象の配列を発現させる方法である:
a.発現ベクター中の、プロモーターと発現される関心対象の配列との間に、本明細書に記載の合成5'UTRを挿入する工程、ここで、発現される関心対象の配列は、RNAまたはポリペプチドコード配列を含む;
b.発現ベクターを宿主細胞にトランスフェクトする工程;および
c.関心対象の配列の発現を得るのに好適な条件下で前記宿主細胞を培養する工程。
【0152】
本発明の別の態様は、以下の工程を含む、宿主細胞中において関心対象の配列を発現させる方法である:
a.発現ベクター中の、プロモーターと発現される関心対象の配列との間に、配列番号:1または配列番号:7によって示されるポリヌクレオチドに対して少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%のポリヌクレオチドを挿入する工程、ここで、発現される関心対象の配列は、RNAまたはポリペプチドコード配列を含む;
b.発現ベクターを宿主細胞にトランスフェクトする工程;および
c.関心対象の配列の発現を得るのに好適な条件下で前記宿主細胞を培養する工程。
【0153】
本発明の方法は、通常の技術を使用して行われる。特に記載されない限り、組換えDNA技術は、Sambrook(上記参照)またはAusubel et al. (1994), Current Protocols in Molecular Biology, Current Protocolsの第1および2巻に記載される標準プロトコルに従って行われる。
【0154】
本発明はまた、合成5'UTRを含む宿主細胞を提供する。宿主細胞は、本明細書に記載される合成5'UTRポリヌクレオチド配列の任意の態様を含むように企図される。例えば、本発明の別の態様は、カゼイン遺伝子の5'UTR領域の少なくとも一部を含むポリヌクレオチドフラグメントへ融合された、真核生物の筋小胞体/小胞体カルシウムATPアーゼ遺伝子の第2イントロンを含むポリヌクレオチドフラグメントを含む、合成5'UTRポリヌクレオチド配列を含む、宿主細胞である。
【0155】
一態様において、宿主細胞は、哺乳類宿主細胞である。特定の態様において、宿主細胞は、ハムスター細胞、マウス細胞、ラット細胞、ウサギ細胞、ネコ細胞、イヌ細胞、ウシ細胞、ヤギ細胞、ウシ細胞、ブタ細胞、ウマ細胞、ヒツジ細胞、シミアン細胞、モンキー細胞、チンパンジー細胞、またはヒト細胞である。合成5'UTRを含む本発明の宿主細胞の具体例としては、A549、ARPE-19、CH3/10T1/2、C2C12、aco2、COS7、FL-83B、HEK-293、HEPG2、HeLa、HT-1080、MDCK、P19、SH-SY5Y、Sol 8、およびU87が挙げられるが、これらに限定されない。
【0156】
本発明の宿主細胞は、合成5'UTRを含むポリヌクレオチドでトランスフェクトされる。宿主細胞トランスフェクションは、当技術分野において周知であり、エレクトロポレーション、ウイルス感染、プラスミド/ベクタートランスフェクション、非ウイルスベクター媒介トランスフェクション、微粒子銃などを含むがこれらに限定されない種々の方法によって達成され得る。所望の遺伝子産物の発現は、トランスフェクトされた宿主細胞を好適な条件下で培養する工程、およびトランスフェクトされた遺伝子の発現を測定する工程を含む。培養条件および真核細胞における遺伝子発現プロトコルは、当技術分野において周知である。
【0157】
本発明はまた、本明細書に記載される合成5'UTRを含む宿主生物を提供する。合成5'UTRは、インビボで宿主生物のゲノムへ直接挿入され得る。例えば、一態様において、置き換えられる野生型5'UTRにフランキングする配列に相同な配列によってフランキングされた本発明の合成5'UTRを含有するベクターを宿主生物中へ直接導入することによって、合成5'UTRは、宿主生物中へ導入され、野生型5'UTRを置き換える。別の態様において、合成5'UTRを含む合成遺伝子構築物は、該遺伝子構築物を含む組込みベクターを宿主生物中へ導入することによって、宿主生物のゲノム中へ挿入される。挿入の組織特異性は、例えば、ベクター投与経路によって、制御され得る。別の態様において、合成5'UTRを含む合成遺伝子構築物は、該遺伝子構築物を含む非組込みベクターを宿主生物中へ導入することによって、宿主生物中へ導入される。
【0158】
合成5'UTRまたは合成5'UTRを含む合成遺伝子構築物はまた、エクスビボアプローチによって宿主生物中へ導入され得る。例えば、自己または非自己細胞が、合成5'UTRを含むベクターで形質転換され、次いで、宿主生物中へ導入され得る。
【0159】
別の態様において、合成5'UTRは、部位特異的リコンビナーゼシステム、例えば、Cre/loxPシステムを使用して、宿主細胞または生物のゲノム中へ導入される。この態様において、ゲノム中への、合成5'UTRまたは合成5'UTRを含む合成遺伝子構築物を含むフラグメントなどのDNAフラグメントの安定な組込みは、組込まれたDNAの再切断を防止するドナーベクターおよびゲノム中への修飾lox部位の導入によって達成される(Metzger and Feil, Current Opinion in Biotechnology, 10:470-476 (1999)を参照のこと;これは参照により本明細書に組み入れられる)。さらに、異種特異的loxP部位が、置き換えられる領域にフランキングするようにゲノム中へ導入され(「フロックスされ(floxed)」)得る(Metzger and Feil(上記参照));例えば、ドナープラスミド上の合成5'UTRおよび内因性5'UTRである。ゲノム中にlox P染色体部位が導入されているトランスジェニック動物は、当技術分野において公知である、組織または細胞特異的プロモーターによって駆動されるCreリコンビナーゼを発現するトランスジェニックマウスと交雑され得る。この交雑の子孫への合成5'UTRを含むドナープラスミドの投与は、特定の組織または細胞型内での組込みを生じさせる。
【0160】
他の態様において、他の部位特異的組換えシステム、例えば、米国特許出願公開第20060172377号(参照により本明細書に組み入れられる)に開示されるものが、宿主生物のゲノム中へ合成5'UTRを導入するために使用される。
【0161】
本発明の別の態様は、配列番号:1〜10によって示されるポリヌクレオチドと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一のポリヌクレオチドを含む非ヒト生物である。
【0162】
本発明の別の態様は、配列番号:1〜10によって示されるポリヌクレオチドと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一のポリヌクレオチドを含む合成遺伝子構築物を含む非ヒト生物である。
【0163】
さらに、合成5'UTRまたは合成5'UTRを含む遺伝子構築物を含むマウスなどのトランスジェニック生物が作製され得る。例えば、トランスジェニックマウスは、合成5'UTRを含む好適なベクターを受精マウス卵母細胞の前核へ注射することによって作製され得る。または、該ベクターは、マウス胚性幹細胞中へ導入され得、次いで、これらは、マウス胚盤胞中へマイクロインジェクションされる。形質転換された接合子または胚盤胞(blastocyt)は、次いで、偽妊娠の雌性マウス中へ移植される。得られた仔は、PCRまたはサザンブロッティングによって、前記ポリヌクレオチドの存在についてスクリーニングされる。次いで、ヘテロ接合性トランスジェニック動物を、互いに交雑し、ホモ接合体を作製する。一態様において、合成5'UTRは、相同組換えによって、トランスジェニック動物中において関心対象の遺伝子の内因性5'UTRに取って代わる。
【0164】
従って、本発明の別の態様は、カゼイン遺伝子の5'UTRの少なくとも一部を含むフラグメントへ融合された、第2イントロンを含む真核生物の筋小胞体/小胞体カルシウムATPアーゼ遺伝子のフラグメントを含む、合成5'UTRポリヌクレオチド配列を含む、トランスジェニック動物である。
【0165】
本発明の別の態様は、配列番号:1〜10によって示されるポリヌクレオチドと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一のポリヌクレオチドを含むトランスジェニック生物である。
【0166】
本発明の別の態様は、配列番号:1〜10によって示されるポリヌクレオチドと少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%同一のポリヌクレオチドを含む合成遺伝子構築物を含むトランスジェニック生物である。
【0167】
下記の実施例は、本発明の態様の例示であって限定ではない。当業者に自明である他の好適な修飾および適合が、本発明の精神および範囲内にある。
【実施例】
【0168】
実施例1
3つの異なる型の合成5'UTRを構築し、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターがβ-ガラクトシダーゼレポーター(LacZコード配列)の発現を指令するベクター中に挿入した。型1において、ポリG(12)を、合成5'UTRとして前記プロモーターとβ-ガラクトシダーゼレポーターとの間に挿入した(図9)。5U2と呼ばれる型2において、配列番号:1を、合成5'UTRとして前記プロモーターとβ-ガラクトシダーゼレポーターとの間に挿入した(図10)。INXN-1と呼ばれる型3において、配列番号:7を、合成5'UTRとして前記プロモーターとβ-ガラクトシダーゼレポーターとの間に挿入した(図11)。各導入遺伝子は、3'調節領域中にSV40ポリアデニル化配列を有する。5U2またはINXN-1合成5'UTRを含有する各ベクターの一般的な型を、図3Aに図示する。HEK-293細胞および1080細胞に、各発現ベクターを一過性にトランスフェクトした。
【0169】
β-ガラクトシダーゼを、下記のプロトコルに従ってApplied Biosystems製のGalacto-Star(商標)システム(カタログ番号BM100S、BM300S、BM2500S、BY100S、BY300S、BY2500S)を使用して、前記細胞から測定した。細胞を、室温で10分間、50μLの溶解液(Galacto-Star(商標)システム)中に溶解させた。100μLのGalacton-Star(登録商標)基質を、ホワイトオパーク96-ウェルマイクロプレートのウェル中へ分注した。10μLの細胞溶解物を、100μLのGalacton-Star(登録商標)基質へ添加し、30分間インキュベートした。光シグナルを、マイクロプレート照度計を使用して測定した。
【0170】
HEK-293細胞からの結果を図4に示す。β-ガラクトシダーゼレポーター発現は、合成5'UTRとしてポリGを含有するベクターと比較して、INXN-1または5U2合成5'UTRを含有するベクターでトランスフェクトされたHEK-293細胞中において著しく増加した。5'UTRとしてポリGを含有するベクターと比較して、INXN-1または5U2を含有するベクターでトランスフェクトされた1080細胞中における増加したレポーター発現を、図5に示す。ポリG 5'UTRを含有するベクター中の導入遺伝子の発現レベルは、5'UTRが存在しないコントロールと同様であった(VVN-2712、図7、図12中のデータ)。アッセイのバックグラウンドを測定するためのネガティブコントロールは、β-ガラクトシダーゼを有さないベクターであった(VVN-2713、図8、図12中のデータ)。図6は、INXN-1合成5'UTRを含有する合成β-ガラクトシダーゼレポーター遺伝子が、5'UTRとしてポリGを含有する合成レポーター遺伝子と比較して、HEK-293細胞においては約7.5倍より高く、1080細胞においては約2.5倍より高く発現され、一方、5U2合成5'UTRを含有する合成レポーター遺伝子が、5'UTRとしてポリGを含有する合成レポーター遺伝子と比較して、HEK-293細胞においては約8倍より高く、1080細胞においては約2.5倍より高く発現されたことを示している。
【0171】
実施例2
クエリ配列として配列番号:4を使用し、デフォルトパラメータでblastnアルゴリズムを使用して、GenBank非冗長ヌクレオチド公開データベースを検索することによって、表1に列挙される下記の代表的なSERCA2ホモログが得られた。配列番号:4は、配列番号:7によって示される合成5'UTRの構成要素を示す。
【0172】
【表1】

【0173】
表1中のBLAST検索結果から同定されたウマ(Equus caballusa)ゲノムのフラグメント(公開アクセッション番号AM137440)を、公的に入手可能なプログラムDNA Strider 1.4f17(DNA Striderの説明については、Marck, C, Nucleic Acids Research 16(5):1829-1837 (1988)およびDouglas, S, Molecular Biotechnology 3(l):37-45 (1995)を参照のこと)においてペアワイズアライメント機能を使用して、ウマSERCA2 mRNA配列NM_001081765と比較した。ミスマッチペナルティーおよびギャップペナルティーについてデフォルトパラメータを使用し、Blocks法を使用して、これらの配列をアライメントした。ウマゲノムおよびmRNA配列のアライメントの一部を、図13に示し、矢印は、ウマSERCA2遺伝子の第2イントロンの先端および末端を示している。該イントロンに対して5'側にある相同性の領域はエキソン2を示し、イントロンに対して3'側にある相同性の領域はエキソン3を示す。
【0174】
次いで、第2イントロンを含むウマSERCA2遺伝子のフラグメントを示すオリゴヌクレオチドを合成し、組換えDNA技術を使用して配列番号:3へ融合し、合成5'UTRを作製する。次いで、合成5'UTRを、ベクター中の、ヒトサイトメガロウイルスプロモーター(CMV)とルシフェラーゼレポーター遺伝子との間に挿入する。次いで、前記ベクターとポリG 5'UTRを有するコントロールベクターとを使用し、3T3細胞にトランスフェクトする。ルシフェラーゼ活性を、照度計を使用して測定し、相対発光量(relative light unit)を両方のセットの細胞間で比較する。合成5'UTRを含有するベクターでトランスフェクトされた細胞中のレポーターの発現は、ポリG 5'UTRを含有するベクターでトランスフェクトされた細胞と比較して高い。
【0175】
実施例3
クエリ配列として配列番号:3を使用し、デフォルトパラメータでblastnアルゴリズムを使用して、GenBank非冗長ヌクレオチド公開データベースを検索することによって、表2に列挙される下記の代表的なホモログが得られた。配列番号:3は、配列番号:1および配列番号:7によって示される合成5'UTRのウシカゼイン5'UTR構成要素を示す。
【0176】
【表2】

【0177】
表1に列挙される各々の代表的なSERCA2遺伝子の第2イントロンを、ゲノム配列とそのそれぞれのmRNA配列とを比較することによって、ペアワイズアライメントプログラムアライメントプログラムを使用して同定する。各SERCA2ホモログのSERCA2の第2イントロンを含む、第1セットのオリゴヌクレオチドを合成する。次いで、表2において同定される各β-カゼインホモログの5'UTRの少なくとも一部を示す、第2セットのオリゴヌクレオチドを合成する。5'UTRの部分は、表2のBLAST結果において同定されたクエリ範囲の部分を含む。次いで、SERCA2の第2イントロンを含む第1セットのオリゴヌクレオチドの唯一のメンバー、または配列番号:2および4〜6によって示されるオリゴヌクレオチドを、5'UTRの少なくとも一部を含む第2セットのオリゴヌクレオチドの唯一のメンバー、または配列番号:3および8〜10によって示されるオリゴヌクレオチドへ融合することによって、組換えDNA技術を使用して、合成5'UTRのセットを構築し、ここで、SERCA2の第2イントロンを含むオリゴヌクレオチドは、5'UTRの部分を含むオリゴヌクレオチドの5'に融合される。次いで、制限部位を、PCRによって合成5'UTRの各末端へ付加する。次いで、各々の唯一の合成5'UTRを、ベクター内の、ヒトCMVプロモーターとlacZプロモーターとの間に挿入する。次いで、96ウェルプレート中の1080細胞に、各ベクターならびにポリG 5'UTRを有するコントロールベクターをトランスフェクトする。次いで、β-ガラクトシダーゼ活性を、実施例1に記載のアッセイを使用して測定し、次いで、ポリG 5'UTRと比べての発現のレベルを比較する。
【0178】
本発明について十分にここで説明したが、本発明は、本発明またはその任意の態様の範囲に影響を与えることなく、広範囲かつ等価な範囲の条件および他のパラメータ内で行われ得ることが、当業者によって理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ポリヌクレオチドフラグメントおよび第2ポリヌクレオチドフラグメントを含むキメラポリヌクレオチドであって、
a.第1ポリヌクレオチドフラグメントが、筋小胞体/小胞体カルシウムATPアーゼ遺伝子の第2イントロンを含み、
b.第2ポリヌクレオチドフラグメントが、カゼイン遺伝子の5'非翻訳(5'UTR)領域の少なくとも一部を含み、かつ
c.第1ポリヌクレオチドフラグメントが、第2ポリヌクレオチドフラグメントの5'側に配置されている、
キメラポリヌクレオチド。
【請求項2】
第1ポリヌクレオチドフラグメントが、筋小胞体/小胞体カルシウムATPアーゼ遺伝子のエキソン2の少なくとも一部をさらに含む、請求項1記載のキメラポリヌクレオチド。
【請求項3】
第1ポリヌクレオチドフラグメントが、筋小胞体/小胞体カルシウムATPアーゼ遺伝子のエキソン3の少なくとも一部をさらに含む、請求項1記載のキメラポリヌクレオチド。
【請求項4】
第1ポリヌクレオチドフラグメントが、イヌSERCA2遺伝子、ヒトSERCA2遺伝子、またはマウスSERCA2遺伝子のフラグメントであり、かつ第2ポリヌクレオチドフラグメントが、ウシβ-カゼイン遺伝子、マウスβ-カゼイン遺伝子、ラットβ-カゼイン遺伝子、またはヒツジβ-カゼイン遺伝子のフラグメントである、請求項1記載のキメラポリヌクレオチド。
【請求項5】
第1ポリヌクレオチドフラグメントが、配列番号:2および4〜6のうちの1つと少なくとも80%同一であり、かつ第2ポリヌクレオチドフラグメントが、配列番号:3および8〜10のうちの1つと少なくとも80%同一である、請求項1記載のキメラポリヌクレオチド。
【請求項6】
第1ポリヌクレオチドフラグメントが、配列番号:4の少なくとも60個の連続ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドと少なくとも約80%同一であるポリヌクレオチドを含み、かつ第2ポリヌクレオチドフラグメントが、配列番号:3の少なくとも30個の連続ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドと少なくとも約80%同一であるポリヌクレオチドを含む、請求項1記載のキメラポリヌクレオチド。
【請求項7】
第1ポリヌクレオチドが配列番号:2を含み、かつ第2ポリヌクレオチドが配列番号:3を含む、請求項1記載のキメラポリヌクレオチド。
【請求項8】
第1ポリヌクレオチドが配列番号:4を含み、かつ第2ポリヌクレオチドが配列番号:3を含む、請求項1記載のキメラポリヌクレオチド。
【請求項9】
配列番号:1と少なくとも80%同一である、請求項1記載のキメラポリヌクレオチド。
【請求項10】
配列番号:7と少なくとも80%同一である、請求項1記載のキメラポリヌクレオチド。
【請求項11】
第1ポリヌクレオチドフラグメントおよび第2ポリヌクレオチドフラグメントを含む、真核生物発現ベクターの合成5'UTRポリヌクレオチド構成要素であって、
a.第1ポリヌクレオチドフラグメントが、第1真核生物遺伝子の少なくとも1つのスプライス部位を含み、
b.第2ポリヌクレオチドフラグメントが、第2真核生物遺伝子の5'非翻訳領域(5'UTR)の少なくとも一部を含み、かつ
c.第1ポリヌクレオチドフラグメントが、第2ポリヌクレオチドフラグメントの5'側に配置されている、
合成5'UTRポリヌクレオチド構成要素。
【請求項12】
第1ポリヌクレオチドフラグメントが、第1真核生物遺伝子のイントロンを含む、請求項11記載の合成5'UTRポリヌクレオチド。
【請求項13】
第1ポリヌクレオチドフラグメントが、第1真核生物遺伝子の5'側にフランキングしているエキソンの少なくとも一部をさらに含む、請求項12記載の合成5'UTRポリヌクレオチド。
【請求項14】
第1ポリヌクレオチドフラグメントが、第1真核生物遺伝子の3'側にフランキングしているエキソンの少なくとも一部をさらに含む、請求項12記載の合成5'UTRポリヌクレオチド。
【請求項15】
第1真核生物遺伝子が、真核生物の筋小胞体/小胞体カルシウムATPアーゼ遺伝子であり、かつ第2真核生物遺伝子がカゼイン遺伝子である、請求項11〜14のいずれか一項記載の合成5'UTRポリヌクレオチド。
【請求項16】
以下の制限エンドヌクレアーゼ:AsiS I、Pac I、Sbf I、Fse I、Asc I、Mlu I、SnaB I、Not I、Sal I、Swa I、Rsr II、BsiW I、Mfe I、Nhe I、Nsi I、Cla I、Nde I、Nsi I、Kpn I、Nco IおよびPst Iの認識配列を欠いている、請求項1〜14のいずれか一項記載のポリヌクレオチド。
【請求項17】
ベクター中へのクローニングを容易にするために5'および3'末端に制限部位を含む、請求項1〜14のいずれか一項記載のポリヌクレオチド。
【請求項18】
キメラポリヌクレオチドが、5'末端にMlu Iの認識配列を含み、かつ3'末端にMfe Iの認識配列を含む、請求項16記載のポリヌクレオチド。
【請求項19】
請求項1〜14のいずれか一項記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項20】
請求項1〜14のいずれか一項記載のポリヌクレオチドを含む合成遺伝子構築物。
【請求項21】
請求項1〜14のいずれか一項記載のポリヌクレオチドを含む宿主細胞。
【請求項22】
請求項1〜10のいずれか一項記載のポリヌクレオチドを含む非ヒト生物。
【請求項23】
請求項1〜10のいずれか一項記載のポリヌクレオチドを含むトランスジェニック生物。
【請求項24】
請求項1〜14のいずれか一項記載のポリヌクレオチドを含むキット。
【請求項25】
5'から3'へ並べられた場合にプロモーター、キメラポリヌクレオチド、および発現される関心対象の配列を含む合成遺伝子構築物を含む発現ベクターであって、
a.キメラポリヌクレオチドが、少なくとも1つのスプライス部位を含む第1真核生物遺伝子のポリヌクレオチドフラグメントと、5'非翻訳領域の少なくとも一部を含む第2真核生物遺伝子のポリヌクレオチドフラグメントとを含み、かつ
b.キメラポリヌクレオチドが、プロモーターと発現される関心対象の配列との間に位置付けられており、ここで、第1真核生物遺伝子のポリヌクレオチドフラグメントが、該プロモーターへ向かって位置付けられており、かつ第2真核生物遺伝子のポリヌクレオチドフラグメントが、発現される関心対象の配列へ向かって位置付けられている、
発現ベクター。
【請求項26】
5'から3'へ並べられた場合にプロモーター、キメラポリヌクレオチド、およびクローニング部位を含む発現ベクターであって、
a.キメラポリヌクレオチドが、少なくとも1つのスプライス部位を含む第1真核生物遺伝子のポリヌクレオチドフラグメントと、5'非翻訳領域の少なくとも一部を含む第2真核生物遺伝子のポリヌクレオチドフラグメントとを含み、かつ
b.キメラポリヌクレオチドが、プロモーターとクローニング部位との間に位置付けられており、ここで、第1真核生物遺伝子のポリヌクレオチドフラグメントが、該プロモーターへ向かって位置付けられており、かつ第2真核生物遺伝子のポリヌクレオチドフラグメントが、該クローニング部位へ向かって位置付けられている、
発現ベクター。
【請求項27】
第1真核生物遺伝子が筋小胞体/小胞体カルシウムATPアーゼ遺伝子であり、かつ第2真核生物遺伝子がカゼイン遺伝子である、請求項25または26記載の発現ベクター。
【請求項28】
キメラポリヌクレオチドが、配列番号:1または配列番号:7と少なくとも80%同一である、請求項25または26記載の発現ベクター。
【請求項29】
以下の工程を含む、宿主細胞中において関心対象の配列を発現させるための方法:
a.請求項25記載の発現ベクターを宿主細胞にトランスフェクトする工程;および
b.関心対象の配列の発現を得るのに好適な条件下で前記宿主細胞を培養する工程。
【請求項30】
以下の工程を含む、宿主細胞中において関心対象の配列を発現させるための方法:
a.請求項26記載の発現ベクター内のクローニング部位に、発現される関心対象の配列を挿入する工程;
b.該発現ベクターを宿主細胞にトランスフェクトする工程;および
c.関心対象の配列の発現を得るのに好適な条件下で前記宿主細胞を培養する工程。
【請求項31】
第1真核生物遺伝子が筋小胞体/小胞体カルシウムATPアーゼ遺伝子であり、かつ第2真核生物遺伝子がカゼイン遺伝子である、請求項29または30記載の方法。
【請求項32】
キメラポリヌクレオチドが、配列番号:1または配列番号:7と少なくとも80%同一である、請求項29または30記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2010−539946(P2010−539946A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527223(P2010−527223)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【国際出願番号】PCT/US2008/078028
【国際公開番号】WO2009/042971
【国際公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(508087044)イントレキソン コーポレーション (12)
【Fターム(参考)】