説明

吊り下げられたゴンドラ車を有する観覧車タイプの遊戯用乗り物装置

【課題】耐久性向上、構造の簡素化を図る事が可能な観覧車タイプの乗り物装置の提供。
【解決手段】吊り下げられたゴンドラ車Cを有する観覧車タイプの遊戯用乗り物装置10は、地面12に直立させられるとともにランニングトラック14を支持するための囲まれた輪郭を有する固定中央機構11を備え、ランニングトラック14は、ゴンドラ車Cにしっかりと取り付けられた運び台を移動させるため、主として垂直なフレーム形状からなる。運び台は、機械的連結手段により互いに連結され、そしてガイド手段によって少なくともランニングトラック14の一部と平行に配置された閉ループ線形駆動手段のランニングアクションにより動かされ、これによって、おおむね一定の間隔で設けられた移動可能なゴンドラ車Cのノリアが構成される。線形駆動手段は、ランニングトラック14に沿って設けられた平行移動用デバイス18と共に作動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吊り下げられたゴンドラ車を有する観覧車タイプの遊戯用乗り物装置に関し、とりわけ、地面に直立させられるとともにランニングトラックを支持するための囲まれた輪郭を有する固定中央機構を備え、ランニングトラックは、ゴンドラ車にしっかりと取り付けられた運び台を移動させるため、主として垂直なフレーム形状からなり、運び台は、機械的連結手段により互いに連結され、そしてガイド手段によって少なくともランニングトラックの一部と平行に配置された閉ループ線形駆動手段のランニングアクションにより動かされ、これによって、おおむね一定の間隔で設けられた移動可能なゴンドラ車のノリアが構成され、閉ループ線形駆動手段は、ランニングトラックに沿って設けられた平行移動用デバイスと共に作動し、各運び台は、運び台を線形駆動手段に取り付けるための取付手段を有し、これによって、線形駆動手段のランニングの間、運び台と線形駆動手段の間で線形駆動手段のランニング方向における相対移動が発生するのを防ぐことができる活性状態と、運び台を線形駆動手段から取り外すことができる不活性状態とをとることができることを特徴とする遊戯用乗り物装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吊り下げられたゴンドラ車を有する観覧車タイプの遊戯用乗り物装置は、地面から一定の距離を有する位置にしっかりと固定された水平軸の周りを回転する中央機構を有している。ゴンドラ車は、ゴンドラ車を水平に保つことができる連結具によって、回転する中央機構の周囲に固定される。この中央機構は、比較的低い速度で回転する。第1の欠点は、回転質量が非常に大きいために、中央機構の回転を確保するためのベアリングの寿命が短いという点である。第2の欠点は、特に、中央機構を回転させることができなくなるという問題が起こった際などに、中央機構の周囲全域にわたってすべてのゴンドラ車を退避させることが不可能であるという危険性から生じる。
【0003】
これらの2つの課題を解決するため、米国特許出願公開第2007/113753号明細書(特許文献1)は、地面に直立した固定中央支持構造を備え、しっかりとゴンドラ車に取り付けられた運び台を動かすためのランニングトラックを支持する囲まれた円形の輪郭を有する。ゴンドラ車は、牽引のみを行う連結ロープにより互いに連結されており、そして閉ループにおいてランニングトラックに平行に駆動ロープのランニングアクションによって移動する。駆動ロープは、ランニングトラックに沿って配置された平行移動用デバイスと共に作動し、そして、一連のゴンドラ車により、所定の間隔で並べられた可動性のゴンドラ車のノリアシステムが構成される。駆動ロープは、2つの連続した円形状のループを構成するために、乗り物装置の下半分のうち平行移動用デバイスが配置されている場所で交差されており、各ループは、摩擦によりゴンドラ車に取り付けられたホイールを駆動する。また、2つの連続したループを有するロープと各ゴンドラ車との間を、取り外し可能な留め具により連結することも示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国特許出願公開第2007/113753号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この乗り物装置において、連結ロープは牽引のみを行う。上半分のゴンドラ車を結合するロープのみが牽引状態にあり、一方、下半分のゴンドラ車の間のロープは張りつめられておらず、従って、何の役割も果たさない。このため、上半分のゴンドラ車の全重量は固定中央構造の上半分により支持されることとなり、一方、下半分のゴンドラ車の全重量は固定中央構造の下半分により支持されることとなる。上半分におけるこれらの非常に大きい力に耐えるため、中央支持構造は過剰な寸法で設計される必要がある。
【0006】
本発明は、先行文献の遊戯用乗り物における不利な点を克服することができる遊戯用乗り物装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による遊戯用乗り物装置は、連結手段が多数の硬い連結バーから形成されている点で優れている。ここで、各連結バーは2つの連続した運び台を、その端部を介して連結する。連結バーの端部は、機械的ジョイントリンクにより対応する運び台に取り付けられており、これによって、連結バーが運び台に対して、互いに独立に自由に旋回し、そして平行移動することが可能となる。
【0008】
運び台の間の連結ロープとは異なり、連結バーは、押圧力を発生させることができる。押圧するよう働くことにより、1つの運び台からその真下の運び台へ力を伝達することが可能となる。これによって、頂点部分を走行している運び台の重量の一部および慣性力が、ランニングトラックの底部へと伝達される。そのような下方への力の伝達により、固定中央構造に対して一般的に必要とされる機械的力を削減することができる。しかしながら、下方に伝達される力の比率を制限するために(この比率がほとんど1に等しくなることなく、かつ、固定中央構造がその下半分の部分において過剰な寸法で設計されることなく)、連結バーと運び台との間における自由な平行移動の機会が提供される。このようにして、また、特許文献1における装置とは異なる装置により、上半分の運び台の全重量の一部のみが、固定中央構造の上半分により支持され、一方、中央構造の下半分が、下半分の運び台の重量の全部に加えて、上半分の運び台の重量の残りを支持する。このように力が不均一に分散していることにより、特許文献1に記載の装置とは異なり、固定中央構造を単純化し、そして中央構造の下半分が過剰寸法で設計されることを避けることができる。
【0009】
好ましい実施の形態として、線形駆動手段は駆動ロープからなり、そして取付手段は、駆動ロープを取り付けるための取り外し可能なグリップから形成される。本発明による装置は、
-運び台と駆動ロープとを分離するために、駆動ロープのランニング方向において平行移動用デバイスの上方に設けられ、グリップを自動的に分離するよう制御するデバイスと、
-運び台を駆動ロープに再び取り付けるために、駆動ロープのランニング方向において平行移動用デバイスの下方に設けられ、グリップを自動的に取り付けるよう制御するデバイスと、
を備えている。
【0010】
そのような装置において、駆動ロープは、単純な牽引または推進によって、運び台の運動を確実にし、これによって、ゴンドラ車の運動も確実にされる。この場合、駆動ロープは、取り外し可能なグリップによって運び台に着脱自在に固定されている。
【0011】
その他の技術的特徴が、単独で、若しくは組み合わせて利用される。
-ランニングトラックは、2つの向かい合うベアリング表面を有する少なくとも1つのガイドレールを備え、各ガベアリング表面は、少なくとも1つの摩擦ホイールと関連して同時に作動する。各摩擦ホイールは、ゴンドラ車のノリアの運び台を有している。
-平行移動用デバイスは、その周囲に溝が形成された駆動プーリを備え、駆動ロープは、牽引により協働するためにこの駆動プーリに係合される。
-ランニングトラックは、乗客がゴンドラ車の中へ、若しくはゴンドラ車から乗り/降りするためのプラットフォームに沿って配置されたストレート部分を備えている。
-乗り/降りするためのプラットフォームは、乗客を搬送するコンベアシステムを備え、コンベアシステムは、ストレート部分におけるゴンドラ車の運動軌道と一致する軌道を有している。
-各運び台は、固定手段により対応するゴンドラ車へしっかりと固定されており、この固定手段は、少なくとも1つの回転軸に従ってゴンドラ車を運び台に対して向ける手段と、前記回転軸の周りで回転することによりゴンドラ車のバランスを水平に自動的に維持する機構とを有している。
-前記固定手段は、迅速に取り外すことができるタイプであり、固定手段のうちゴンドラ車と運び台とを取り外す取り付け/取り外し領域は、ランニングトラックに沿って設けられている。この取り付け/取り外し領域は、取り外されたゴンドラ車を輸送する手段により、取り外されたゴンドラ車を保管する領域に連結される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
その他の利点および特徴は、本発明による特定の形態を示す以下の記述によって、より明白となる。これらの記述は、非限定的に実施の形態を示すためのものにすぎない。そのような実施の形態を以下の図とともに示す。
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態における装置を示す正面図。
【図2】図2は、図1に示す装置の側面図。
【図3】図3は、図1に示す装置を詳細に示す図。
【図4】図4は、図3に示す装置の側面図。
【図5】図5は、図1に示す装置のうち平行移動用デバイスを詳細に示す図。
【図6】図6は、本発明による第2の実施の形態における装置を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1において、本発明の第1の実施の形態における遊戯用乗り物装置が符号10で示されている。この吊り下げられたゴンドラ車Cを有する観覧車タイプの遊戯用乗り物装置10は、地面12に直立させられた固定中央構造11を備えている。この固定中央構造11は、2つの脚部13a、13bからなる支持手段により直立させられており、この2つの脚部13a、13bは、水平面上で地面12に平行な左右方向D1において少しずらして配置されている。示された実施の形態において、非限定的な態様として、固定中央構造11は、円環状の囲まれた外部輪郭を有する王冠形状を示している。固定中央構造11としては様々な形状が考えられるが、固定中央構造11は、主として垂直フレームの形状からなるランニングトラック14を支持する囲まれた輪郭を備えている。示された実施の形態において、ランニングトラック14により形成されるフレームは鉛直圏形状からなる。
【0014】
ランニングトラック14は、ゴンドラ車Cにしっかりと取り付けられた運び台(carriage)Tを案内するよう設計されている。これによって、ゴンドラ車Cは、所定の軌道を移動することができる。従って、ランニングトラック14は、乗り物が移動している間は静止している。ここで各乗り物は、ゴンドラ車Cと、ゴンドラ車に対応する運び台Tにより形成されている。
【0015】
図3に示されているように、運び台Tはすべて、複数の硬い連結バー15により形成された機械的連結手段によって互いに固定されている。ここで各連結バー15は、その端部151、152を介して2つの連続する運び台Tを連結するものである。示されている実施の形態において、連結バー15の端部151、152は、機械的ジョイントリンクによって、対応する運び台Tに取り付けられている。この機械的ジョイントリンクは、運び台Tにしっかりと連結された回転軸32を備えている。この回転軸32は、連結バー15に設けられている、連結バー15の方向において細長く延びた形状を有する楕円形の穴153に沿って移動することができる。連結バー15の端部151、152は、このように機械的ジョイントリンクによって対応する運び台Tに取り付けられており、これによって、連結バー15は運び台Tに対して、互いに独立に、自由に旋回し、かつ自由に平行移動することができる。この場合、自由な平行移動の方向は、連結バー15の方向に一致している。図示されてはいないが、自由な平行移動は、旋回ピン軸32を用いることで実現されてもよい。この旋回ピン32は、連結バー15の端部151、152にしっかりと連結されており、また、運び台Tに設けられた楕円形の穴に沿って移動することができる。運び台Tに設けられた楕円形の穴は、例えばバーの方向において細長く延びた形状を有している。
【0016】
ランニングトラック14に沿って案内される運び台Tは、駆動ロープ16のランニング動作によって動かされる。この駆動ロープ16は、ランニングトラック14に沿って固定された回転する滑車17によって形成されるガイド手段により、ランニングトラック14と平行に閉ループを形成するよう配置されている。各運び台Tは,少なくとも1つの取り外し可能なグリップPを有し、このグリップPにより、運び台Tが駆動ロープ16に締結される。ゴンドラ車Cの運動軌道は、駆動ロープ16の運動軌道に、そのランニング運動において対応している。
【0017】
運動状態にするため、駆動ロープ16は、ランニングトラック14に沿って配置された平行移動用デバイス18と共に作動する。この平行移動用デバイス18は、例えば、脚部13a、13bのうちの1つである脚部13aの高さに配置されている(図1参照)。図5に示すように、平行移動用デバイス18は、その周囲に溝が設けられた駆動プーリ19を備え、駆動ロープ16はこの駆動プーリ19の溝と係合する。そして、駆動ロープ16と駆動プーリ19の溝との間に働く摩擦力により、駆動ロープ16と駆動プーリ19とが協働する。
【0018】
示されている実施の形態において、ランニングトラック14により形成されるフレームは円形であり、このため、駆動ロープ16により形成されるループもまた全体的に円形である。しかしながら、平行移動用デバイス18の近傍において、駆動ロープ16は、円に沿って角度的にずらして配置された2つの転換プーリ20a、20bに係合している。駆動ロープ16のランニング方向にある第1転換プーリ20aは、円の接線方向から半径方向へ、円の中心に向かう方向において半径方向にずらして配置された駆動プーリ19に駆動ロープ16が係合するまで、駆動ロープ16の方向を変化させる。対称的に、第2転換プーリ20bは、駆動プーリ19から来る駆動ロープ16の方向を、円の半径方向から接線方向へと変化させる。
【0019】
駆動プーリ19は、駆動プーリ19の軸方向においてずらして配置された2つの溝を有する。駆動プーリ19の各溝は、駆動プーリ19のうち約180度の中心角に対応する領域において、駆動ロープ16を一巻き受け入れる。駆動ロープ16が駆動プーリ19の1つの溝を超えて他の溝に到達することは、円の外側に向かう方向において駆動プーリ19に対して半径方向にずらして配置された補助のカウンターホイール21に駆動ロープ16を係合させ、これによって180度のループが形成されることにより実現される。このような配置により、駆動プーリ19から駆動ロープ16へ伝達される力を二倍にすることができる。
【0020】
図5に示されているように、駆動プーリ19と補助のカウンターホイール21はベース22に取り付けられている。張力調整機構23を動作させることにより、このベース22を半径方向に移動することができる。すなわち張力調整機構23を動作させることにより、ベース22が円の中心に向かう方向において動かされ、そして、駆動ロープ16の張力が調整される。
【0021】
グリップPを自動的に分離するよう制御するデバイス24は、駆動ロープ16のランニング方向において、平行移動用デバイス18の上方に設けられている。このデバイス24によって、運び台Tと駆動ロープ16とを分離することができる(図5参照)。相補的に、グリップPを自動的に取り付けるよう制御するデバイス25は、駆動ロープ16のランニング方向において、平行移動用デバイス18の下方に設けられている。これによって、運び台Tを駆動ロープ16に再び取り付けることができる。デバイス24、25は、運び台Tが通り過ぎるときに、デバイス24、25が自動的にグリップPと協働できる位置で、固定中央構造11またはランニングトラック14にしっかりと取り付けられている。例えば、デバイス24、25は、グリップPにより支持された作動レバーに作用することにより、グリップPを開くおよび閉じるようそれぞれ自動的に制御するレールにより形成されていてもよい。
【0022】
連結バー15により互いに連結された一連の運び台Tは、おおむね固定間隔で配置されたゴンドラ車Cによるノリア型水車(noria)を形成する。何時でも、ゴンドラ車Cのノリアは、その運び台TがグリップPによってしっかりと駆動ロープ16に取り付けられている第1グループと、その運び台Tが駆動ロープ16に取り付けられておらず、グリップPが分離位置にある第2グループとに分類される。第2グループのゴンドラ車Cは、その運び台Tが、自動的な分離を制御するデバイス24と、自動的な取付けを制御するデバイス25との間にあるランニングトラック14の部分に位置している。第2グループのゴンドラ車Cの運び台Tは駆動ロープ16に取り付けられていないが、第2グループのゴンドラ車Cは、自動的な分離を制御するデバイス24の上方にある第1グループのゴンドラ車Cから連結バー15を介して伝達される押圧力と、自動的な取付けを制御するデバイス25の下方にある第1グループのゴンドラ車Cから連結バー15を介して伝達される牽引力とによって動かされる。従って、ノリアにおけるすべてのゴンドラ車Cは同時に移動可能である。
【0023】
駆動ロープ16を動かしている間における運び台Tの案内を行うため、ランニングトラック14は、遊戯用乗り物装置10から横断方向D2(図2参照)にずらして配置された2つのガイドレール141、142(図4参照)を備えている。これによって、横断方向D2におけるゴンドラ車Cの安定性を良く保証することができる。横断方向D2は、水平方向のうち左右方向D1に対して直交している方向のことである。従って、横断方向D2は、図1における平面に対して直交している。
【0024】
所定のゴンドラ車Cに固定された運び台Tは、旋回するよう取り付けられた4つの輪止め(shoe)Sを備えている。これらの4つの輪止めSは、それぞれ、対応するガイドレール141、142と共に作動する2つの摩擦車(friction wheel)Rを有している。4つの輪止めSのうち2つの輪止めSの摩擦車Rは、ガイドレール141上を動き、その他の輪止めSの摩擦車Rは、ガイドレール142上を動くよう配置されている。
【0025】
各ガイドレール141、142は、向かい合うガイドレール141、142の方向においてU字状に開かれた断面を示している。各ガイドレール141、142において、Uの枝部分(branch)は、2つの対向するベアリング表面1411、1412、1421、1422を形成しており、それらの表面の法線ベクトルは向かい合い、そして、収斂している。各摩擦車Rは、Uの枝部分の間で対応する141、142の中に収容されており、これによって、各摩擦車Rにおいて一部の円周上の領域が、対応するガイドレール141、142のベアリング表面1411、1412、1421、1422の1つにより同時に押圧される。また、各摩擦車Rのうち前記一部の円周上の領域と半径方向において反対の位置にある領域が、他のベアリング表面1411、1412、1421、1422から押圧される。
【0026】
このようにランニングトラック14は、2つの対向するベアリング表面1411、1412、1421、1422を有する少なくとも一対のガイドレール141、142を備えており、各ベアリング表面1411、1412、1421、1422は、それぞれ少なくとも1つの摩擦車Rと共に同時に作動し、そして、ゴンドラ車Cのノリアの各運び台Tが設けられている。この結果を得るため、各ベアリング表面は、各ガイドレール141、142において、対向し、かつ分岐する法線ベクトルを示すよう設けられていてもよい。そのような変形例において、例えば輪止めSは一対に連結されていてもよく、この場合、一対の輪止めSは所定のガイドレールと共に作動する。一対の輪止めSにおいて、各輪止めSにおける摩擦車Rは、対応するガイドレール141、142のベアリング表面を、対向かつ収斂する方向に押圧し、これによってレールに圧着させる。ガイドレールの構造によらず、その数は要求される安定性および強度に応じて変更可能である。
【0027】
内側のベアリング表面1411、1412は、主に遊戯用乗り物装置10の上部分(ランニングトラック14の上半分)に配置されたゴンドラ車Cの重さに耐えるように設計されている。ここで、対向する外側のベアリング表面1412、1422は、主に遊戯用乗り物装置10の下部分(ランニングトラック14の下半分)に配置されたゴンドラ車Cの重さに耐えるように設計されている。
【0028】
乗客がゴンドラ車Cから乗り降りできるようにするため、遊戯用乗り物装置10は、ランニングトラック14に沿って配置された少なくとも1つの乗り/降りプラットフォームを備えている。図1において、乗り/降りプラットフォームは2つ設けられており、それぞれ26a、26bで表されている。プラットフォーム26a、26bは装置10の下半分の部分であって、脚部13a、13bの間に配置されている。しかしながら、プラットフォーム26a、26bは、ランニングトラック14に沿って任意の場所に配置されることができる。
【0029】
上述から明らかなように、取り外し可能なグリップPによって運び台Tに着脱可能に取り付けられた駆動ロープ16は、単純な牽引により、運び台Tの動きを保証し、ゴンドラ車Cの動きも保証する。示されてはいないが、このようにしてゴンドラ車Cの運動を実現することにより、その囲まれた輪郭がランニングトラック14を支持する固定中央構造11において、ランニングトラック14を、乗客が乗り降りするためのプラットフォーム26a、26bに沿って配置されたストレート部分を有する非円形の形状により形成することが可能となる。そのようなストレート部分は、乗客の快適かつ安全な乗り降りを改善する。同じ目的のため、乗り降りプラットフォーム26a、26bは、ストレート部分においてゴンドラ車Cの運動軌道と一致する軌道を有する乗客用コンベアシステム(図示せず)を有していてもよい。そのような乗客用コンベアシステムは、ゴンドラ車Cの周回速度が非常に速い場合に必要となる。
【0030】
各運び台Tは、固定手段によって、対応するゴンドラ車Cにしっかりと取り付けられている。この固定手段は、回転軸Zに従って運び台Tに対してゴンドラ車Cを配向させる手段と、回転軸Zの周りにおける回転によってゴンドラ車Cのバランスを自動的に維持する機構とを有している。この回転軸Zは、横断方向D2と平行である。ゴンドラ車Cのバランスを自動的に維持する機構により、回転軸Zの周りで運び台Tがゴンドラ車Cに対してどのような角度を有している場合でも、ゴンドラ車Cの床の水平位置を保つことが可能となる。
【0031】
1つまたはそれ以上のストレート部分を提供する可能性に加えて、取り外し可能なグリップPで運び台Tを駆動ロープ16に取り付けることによってゴンドラ車Cを搬送することにより、固定中央構造11を採用することが可能となる。この場合、固定中央構造11は、その囲まれた輪郭がランニングトラック14を支持し、ランニングトラック14は、平坦でないフレーム形状、すなわち、平坦でない囲まれた湾曲部を有している。そのような変形例において、固定手段は、少なくとも2つの回転軸に従ってゴンドラ車Cを運び台Tに対して配向させる手段を有している。
【0032】
好ましくは、運び台Tとゴンドラ車Cとの間の固定手段は、迅速な取り外しが可能なタイプのものである。固定手段を取り外すによってゴンドラ車Cと運び台Tとを分離するための取り外し領域27は、ランニングトラック14に沿って設けられている。図1に示す例において、取り外し領域27は、乗り降りプラットフォーム26a、26bの間に配置されている。取り外し領域27は、取り外されたゴンドラ車Cを取り外されたゴンドラ車Cの保管領域29に搬送するための手段28に連結されている。保管領域29は、例えば、左右方向D1において地下12に設けられた水平方向に延びるパーキングトラックによって形成されている。一方、取り外されたゴンドラ車Cを搬送する手段28は、エレベータタイプのリフト機構によって形成されている。この様な取り外しは、メンテナンス作業のとき、または暴風が予報されたときに実施される。
【0033】
図示されていないが、変形例として、乗り降りプラットフォーム26a、26bは、保管領域の高さに設けられていてもよい。これによって、乗り降り動作を、ランニングトラック14に沿った場所以外で行うことが可能となる。
【0034】
ランニングトラック14は、ランニングトラック14の全周にわたって、またはその一部において、各運び台Tに設けられた集電装置のピックアップブラシ31を介してゴンドラ車Cに電力を供給するよう設けられた電力供給レール30を備えている(図4参照)。電力をゴンドラ車Cに伝達することにより、空調装置、照明装置、安全装置、および、各ゴンドラ車に設けられた自動的にバランスを維持する機構に対して電力を供給することが可能となる。
【0035】
最後に、上述から明らかなように、駆動ロープ16を、ランニングトラック14の一部のみに沿って配置させてもよいということは、本発明の範囲から逸脱することなく想到可能なことである。言い換えれば、囲まれたループからなる駆動ロープは、少なくともランニングトラック14の一部に平行に設けられている。
【0036】
そのような可能性が図6に示されている。図6は、本発明による第2の実施の形態における装置10を示す正面図である。この第2の実施の形態は、駆動ロープ16が牽引チェーン33に置き換えられている点においても、図1乃至5に示す第1の実施の形態と異なっている。ここで、牽引チェーン33は閉ループ形状に設けられており、詳細は図示されていないが、平行移動用デバイスにより走行可能な状態にされている。この牽引チェーン33は、ランニングトラック14により形成されるフレームのうち、120度にわたる円弧部分に対応する一部と平行になるよう配置されている。牽引チェーン33と平行しているランニングトラック14の一部は、装置の底部分に対応するよう配置されている。さらに詳述すると、牽引チェーン33により形成されている閉ループは、2つの並行する外側および内側ストランド331、332を有する、湾曲したインゲン豆の形状からなる。ここで、ストランド331、332は互いにその端部において結合されており、2つの対向する輪郭によって、180度で、脚部13a、13b上で回転するよう取り付けられた駆動プーリ34に係合している。図示されているように、外側のストランド331のみが、ランニングトラック14により形成されるフレームのうち120度の中心角に対応する底部分に平行に配置されている。
【0037】
牽引チェーン33は、規則的な間隔で牽引チェーン33に沿って配置されたすべり止め(図示せず)を有している。この牽引チェーン33のすべり止めは、各運び台Tに設けられた双方向のベアリングエレメントと共にストランド331の入口部において自動的に作動するよう設計されている。また牽引チェーン33のすべり止めは、ストランド331の端部において互いに自動的に分離するよう設計されている。
【0038】
上述の第1および第2の実施の形態において、駆動ロープ16および牽引チェーン33はいずれも、少なくともランニングトラック14の一部に平行に配置された、閉ループの線形駆動手段を構成している。このように、線形駆動手段のランニング動作によってゴンドラ車の運動を実現させることにより、固定中央機構を使用することが可能となる。この固定中央機構は、必要に応じて、ランニングトラックを支持する囲まれた輪郭を有している。またランニングトラックは、非円形の形状を有している。非円形の形状とは、例えば楕円形であり、または、ストレートまたは平坦ですらない部分を有する形状である。運び台Tに設けられた締結グリップPまたは双方向ベアリングエレメントは、対応する線形駆動手段を取り付けるための取付手段を構成している。各取付手段は、線形駆動手段が走行している間、線形駆動手段のランニング方向において、運び台Tと線形駆動手段との間における相対的な運動を無効化する活性状態を支配している。また各取付手段は、運び台Tと線形駆動手段とを取り外す不活性状態を支配している。
【0039】
最後に、第1の実施の形態における駆動ロープ16を、ランニングトラックの全域に渡って配置された単一の閉ループを形成する牽引チェーンに置き換えることは可能である。反対に、第2の実施の形態における牽引チェーン33を、ランニングトラックの一部に平行に閉ループを形成するよう配置された駆動ロープに置き換えることも可能である。ここで、ランニングトラックの一部は、ランニングトラックにより形成されたフレームのうち約120度の中心角に対応する部分よりも小さい角度部分に対応している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吊り下げられたゴンドラ車(C)を有する観覧車タイプの遊戯用乗り物装置(10)において、
地面(12)に直立させられるとともにランニングトラック(14)を支持するための囲まれた輪郭を有する固定中央機構(11)を備え、
ランニングトラック(14)は、ゴンドラ車(C)にしっかりと取り付けられた運び台(T)を移動させるため、主として垂直なフレーム形状からなり、
運び台(T)は、機械的連結手段(15)により互いに連結され、そしてガイド手段(17)によって少なくともランニングトラック(14)の一部と平行に配置された閉ループ線形駆動手段(16、33)のランニングアクションにより動かされ、これによって、おおむね一定の間隔で設けられた移動可能なゴンドラ車(C)のノリアが構成され、
閉ループ線形駆動手段(16、33)は、ランニングトラック(14)に沿って設けられた平行移動用デバイス(18)と共に作動し、
各運び台(T)は、運び台(T)を線形駆動手段(16、33)に取り付けるための取付手段を有し、これによって、線形駆動手段(16、33)のランニングの間、運び台(T)と線形駆動手段(16、33)の間で線形駆動手段(16、33)のランニング方向における相対移動が発生するのを防ぐことができる活性状態と、運び台(T)を線形駆動手段(16、33)から取り外すことができる不活性状態とをとることができ、
機械的連結手段(15)は、多数の硬い連結バー(15)から形成され、
各連結バー(15)は、2つの連続した運び台(T)を、その端部(151、152)を介して連結し、
連結バー(15)の端部(151、152)は、機械的ジョイントリンクにより対応する運び台(T)に取り付けられており、これによって、連結バー(15)が運び台(T)に対して、互いに独立に自由に旋回し、そして平行移動することができることを特徴とする遊戯用乗り物装置。
【請求項2】
線形駆動手段(16、33)は駆動ロープ(16)からなり、取付手段は、駆動ロープ(16)を取り付けるための取り外し可能なグリップ(P)により形成される請求項1に記載の遊戯用乗り物装置において、
-運び台(T)と駆動ロープ(16)とを分離するために、駆動ロープ(16)のランニング方向において平行移動用デバイス(18)の上方に設けられ、グリップ(P)を自動的に分離するよう制御するデバイス(24)と、
-運び台(T)を駆動ロープ(16)に再び取り付けるために、駆動ロープ(16)のランニング方向において平行移動用デバイス(18)の下方に設けられ、グリップ(P)を自動的に取り付けるよう制御するデバイス(25)と、をさらに備えたことを特徴とする遊戯用乗り物装置。
【請求項3】
請求項2に記載の遊戯用乗り物装置において、
平行移動用デバイス(18)は、その周囲に溝が形成された駆動プーリ(19)を備え、
駆動ロープ(16)は、牽引により協働するためにこの駆動プーリ(19)に係合されることを特徴とする遊戯用乗り物装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の遊戯用乗り物装置において、
ランニングトラック(14)は、2つの向かい合うベアリング表面(1411、1412、1421、1422)を有する少なくとも1つのガイドレール(141、142)を備え、
各ガベアリング表面(1411、1412、1421、1422)は、少なくとも1つの摩擦ホイール(R)と関連して同時に作動し、
各摩擦ホイール(R)は、ゴンドラ車(C)のノリアの運び台(T)を有することを特徴とする遊戯用乗り物装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の遊戯用乗り物装置において、
ランニングトラック(14)は、乗客がゴンドラ車(C)の中へ乗り込む、若しくはゴンドラ車(C)から降りるためのプラットフォーム(26a,26b)に沿って配置されたストレート部分を備えたことを特徴とする遊戯用乗り物装置。
【請求項6】
請求項5に記載の遊戯用乗り物装置において、
乗り/降りするためのプラットフォーム(26a,26b)は、乗客を搬送するコンベアシステムを備え、
コンベアシステムは、ストレート部分におけるゴンドラ車(C)の運動軌道と一致する軌道を有することを特徴とする遊戯用乗り物装置。
【請求項7】
請求項1乃6のいずれかに記載の遊戯用乗り物装置において、
各運び台(T)は、固定手段により対応するゴンドラ車(C)へしっかりと固定され、
固定手段は、少なくとも1つの回転軸(Z)に従ってゴンドラ車(C)を運び台(T)に対して向ける手段と、前記回転軸(Z)の周りで回転することによりゴンドラ車(C)のバランスを水平に自動的に維持する機構とを有することを特徴とする遊戯用乗り物装置。
【請求項8】
請求項7に記載の遊戯用乗り物装置において、
前記固定手段は、迅速に取り外すことができるタイプであり、
固定手段のうちゴンドラ車(C)と運び台(T)とを取り外す取り外し領域(27)は、ランニングトラック(14)に沿って設けられ、
前記取り外し領域(27)は、取り外されたゴンドラ車(C)を輸送する手段(28)により、取り外されたゴンドラ車(C)を保管する領域(29)に連結されていることを特徴とする遊戯用乗り物装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−148570(P2009−148570A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−326030(P2008−326030)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(591108444)ポマガルスキー (16)
【氏名又は名称原語表記】POMAGALSKI