説明

吊下げ陳列箱

【課題】天面部に設けられる識別表示用タブを安定した状態で立設させて、識別表示用タブによる識別機能を容易に保持させる吊下げ陳列箱を提供する。
【解決手段】吊下用のフック13と識別表示用タブ12とを備え、陳列棒14に吊り下げた状態で陳列される吊下げ陳列箱10であって、識別表示用タブ12は、箱本体11を構成するブランク15のタブ形成用フラップ片16を折り曲げて箱本体11の天部11bに形成される。タブ形成用フラップ片16は、折り曲げ線17a,17b,17cを挟んで連続する、正面側立設部18aと背面側立設部18bとベース部19a,19bとからなる。識別表示用タブ12は、正面側立設部18aと背面側立設部18bとを重ね合わせ、ベース部19a,19bを折り曲げて天部11bに沿って配設し、ベース部19bを外側から覆って天面外側フラップ片23による押付け片20を配置して、天部11bから立設させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吊下げ陳列箱に関し、特に、吊り下げた状態で前後方向に複数重ねて陳列される吊下げ陳列箱に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、小物の下着類やその他の各種の商品を店頭に陳列する陳列形態として、商品が収容された扁平な形状の陳列箱を、これの天面部に取り付けた吊り下げ用のフックを介して、陳列棚の奥から手前側に突き出して設けられた陳列棒に吊り下げて陳列するものが知られている。このような陳列形態によれば、商品に関する情報や、広告・宣伝用の装飾等が施された正面部を前方に配置すると共に、陳列棒の前後方向に重ねて吊り下げることによって、多数の陳列箱を、取り出しが容易で且つ安定した状態で、効率良く陳列することが可能になる。
【0003】
一方、上述のような陳列形態では、例えば同じ商品であってもサイズや色等について異なる属性があることから、このような商品の異なる属性について消費者が明確に認識できるように、陳列箱の正面部に施された商品に関する情報等とは別に、例えば陳列箱の天面部から立設する識別表示用のタブを設けて、消費者が商品を購入する際の利便性を向上させるようにする技術も開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1のタブ付き包装体では、例えば商品サイズを示すタブが、異なる商品サイズ毎に包装体の異なる位置に取り付けられており、陳列棒の前後方向に重ねて包装体が吊り下げられた際に、タブが取り付けられた位置の相違によって、所望のサイズの商品の包装体を、容易に取り出して購入することが可能である。またこれによって、サイズの異なる商品の包装体を、サイズ毎に別の陳列棒から吊り下げることなく、サイズの異なる商品の包装体を混在させた状態で同じ陳列棒から吊り下げても、消費者がサイズの相違を容易に識別できるので、陳列棚の陳列棒による陳列スペースを有効に活用することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−17998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の吊下げ陳列用の包装体(吊下げ陳列箱)では、識別表示用のタブは、例えば箱本体の天面部の縁部に沿って立設していて、傾倒しやすい状態で取り付けられているので、特に陳列される前の商品の入荷時や、商品を陳列する作業を行なう際に、タブが傾倒することで、これらの作業を行い難くなる場合がある。例えば、多数の商品をまとめて入荷するために、多数の吊下げ陳列箱を互いに密着させて縦横に並べてダンボール箱等に梱包した際に、天面部の縁部に取り付けたタブが傾倒して、隣接する一対の吊下げ陳列箱の間に挟み込まれた状態となってしまうと、識別表示用のタブの表示内容を識別することができなくなって、吊下げ陳列箱の陳列作業等を迅速に行うことが困難になる。
【0007】
本発明は、天面部に設けられる識別表示用タブを安定した状態で立設させて、識別表示用タブによる識別機能を容易に保持することのできる吊下げ陳列箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、箱本体の天部から立設する吊下用のフックと識別表示用タブとを備え、陳列棒に前記フックを係止して吊り下げた状態で、前記陳列棒の前後方向に複数重ねて陳列される吊下げ陳列箱であって、前記識別表示用タブは、前記箱本体を構成するブランクに設けたタブ形成用フラップ片を折り曲げることで前記箱本体の天部に形成されており、前記タブ形成用フラップ片は、折り曲げ線を挟んで連続する、正面側立設部と背面側立設部とベース部とを含んで前記ブランクに設けられており、前記識別表示用タブは、前記箱本体の天部を形成する際に、前記正面側立設部と前記背面側立設部とを裏面同士を対向させて重ね合わせることで形成されると共に、前記ベース部は、重ね合わせた前記正面側立設部及び前記背面側立設部に対して折り曲げられて前記天部に沿って配設され、且つ配設された前記ベース部を外側から覆って前記天部の構成片による押付け片を配置することで前記ベース部を押え付けて、前記識別表示用タブが前記天部から立設した状態を保持する吊下げ陳列箱を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の吊下げ陳列箱によれば、天面部に設けられる識別表示用タブを安定した状態で立設させて、識別表示用タブによる識別機能を容易に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(a),(b)は、本発明の好ましい一実施形態に係る吊下げ陳列箱の構成を説明する斜視図である。
【図2】本発明の好ましい一実施形態に係る吊下げ陳列箱を吊り下げて陳列した状態を説明する斜視図である。
【図3】本発明の好ましい一実施形態に係る吊下げ陳列箱を形成するためのブランクの平面図である。
【図4】ブランクに設けたタブ形成用フラップ片を折り曲げて識別表示用タブを形成した状態を説明する、吊下げ陳列箱を背面側から見た要部斜視図である。
【図5】破断線を破断させて取出し開口を形成する状態を説明する、吊下げ陳列箱を背面側から見た斜視図である。
【図6】フック部材を箱本体に取り付ける状況を説明する、吊下げ陳列箱を背面側から見た要部斜視図である。
【図7】フック部材を箱本体に取り付けた状態を説明する要部断面図である。
【図8】タブ形成用フラップ片による識別表示用タブの他の形態を例示する、吊下げ陳列箱を背面側から見た要部斜視図である。
【図9】タブ形成用フラップ片による識別表示用タブの他の形態を例示する略示斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、本発明を具体的に説明する。図1(a),(b)に示す本発明の好ましい一実施形態に係る吊下げ陳列箱10は、商品として例えば男性用の下着類を箱本体11に収容し、図2に示すように、例えば陳列棚の奥から手前側に突き出して設けられた陳列棒14から吊り下げた状態で、店頭に陳列して用いるものである。また、本実施形態では、吊下げ陳列箱10の箱本体11の正面部11aには、商品に関する情報や、広告・宣伝用の装飾等が施されていると共に、これらの情報や装飾等とは別途に、商品が例えばMサイズのものであるかLサイズのものであるかの属性を表示するための、識別表示用タブ12が設けられていて、消費者が購入する際に商品サイズを容易に識別できるようになっている。
【0012】
さらに、本実施形態では、吊下げ陳列箱10が陳列棒14から吊り下げられた状態においては、Mサイズの商品を収容した吊下げ陳列箱10では、識別表示用タブ12が吊下用のフック13の左側に配置される一方で、Lサイズの商品を収容した吊下げ陳列箱10では、識別表示用タブ12が吊下用のフック13の右側に配置されるようになっている。これらによって、吊下げ陳列箱10が陳列棒14の前後方向に多数重ねて吊り下げられた場合でも、これらの識別表示用タブ12を介して商品サイズを容易に識別できるようになっている。さらにまた、本実施形態では、識別表示用タブ12を、陳列箱10の箱本体11の天部11bから安定した状態で立設させる機能を備えている。
【0013】
そして、本実施形態の吊下げ陳列箱10は、箱本体11の天部11bから立設する吊下用のフック13と識別表示用タブ12とを備え、陳列棒14にフック13を係止して吊り下げた状態で、陳列棒14の前後方向に複数重ねて陳列される陳列箱であって、図3及び図4にも示すように、識別表示用タブ12は、箱本体を構成するブランク15に設けたタブ形成用フラップ片16を折り曲げることで箱本体11の天部11bに形成されており、タブ形成用フラップ片16は、折り曲げ線17a,17b,17cを挟んで連続する、正面側立設部18aと背面側立設部18bとベース部19a,19bとを含んでブランク15に設けられている。また識別表示用タブ12は、箱本体11の天部11bを形成する際に、正面側立設部18aと背面側立設部18bとを裏面同士を対向させて重ね合わせることで形成されると共に、ベース部19a,19bは、重ね合わせた正面側立設部18a及び背面側立設部18bに対して折り曲げられて、天部11bに沿って配設され、且つ配設された少なくとも一方のベース部19bを外側から覆って天部11bの構成片(天面外側フラップ片23)による押付け片20を配置することでベース部19bを押え付けて、識別表示用タブ12が天部11bから立設した状態を保持するようになっている。
【0014】
さらに、本実施形態では、ベース部19a,19bは、正面側立設部18aのベース部側基端部と折り曲げ線17aを挟んで連続する正面側ベース部19aと、背面側立設部18bのベース部側基端部と折り曲げ線17cを挟んで連続する背面側ベース部19bとからなり、正面側ベース部19aと背面側ベース部19bとは、重ね合わせた正面側立設部18a及び背面側立設部17bに対して折り曲げられて天部11bに沿って配設され、正面側ベース部19aと背面側ベース部19bの少なくとも何れか一方として、背面側ベース部19bが、天面外側フラップ片23による押付け片20によって外側から覆われることで、識別表示用タブ12が立設した状態を保持するようになっている(図4参照)。
【0015】
本実施形態では、吊下げ陳列箱10の箱本体11は、所定の形状に裁断された一枚の薄板状のシート材料である図3に示すような板紙製のブランク15を、立体形状に組み付けることにより、図1(a),(b)に示すような、天部11bと底部11cとを備え、正面部11aと背面部11dと両側の一対の側部11eとによって構成される胴部が、側部11eにより両端部が面取りされた略菱形の横断面形状を有する、扁平な中空の包装箱として形成される。
【0016】
すなわち、本実施形態では、ブランク15は、折り曲げ線21aを介して横方向に連設する、正面板22a、一対の側面板22b、背面板22c、接合側面板22d等を含んで構成される。正面板22aには、これの上辺部から折り曲げ線21bを介して上方に連設して、天面外側フラップ片23とタブ形成用フラップ片16とが、切込み線30aを挟んで分離可能に設けられている。また正面板22aには、これの下辺部から折り曲げ線21cを介して下方に連設して、底面外側フラップ片24と第1底面内側フラップ片25とが、切込み線30bを挟んで分離可能に設けられている。背面板22cには、これの上辺部から折り曲げ線21dを介して上方に連設して、第1天面内側フラップ片26と第2天面内側フラップ片27とが、切込み線30cを挟んで分離可能に設けられている。また背面板22cには、これの下辺部から折り曲げ線21eを介して下方に連設して、第2底面内側フラップ片28と差込みフラップ片29とが、離間した状態で設けられている。
【0017】
背面板22cの上辺部の、第1天面内側フラップ片26と第2天面内側フラップ片27との間の折り曲げ線21dには、これらのフラップ片26,27の中央部分に、フラップ差込用切込み31a,31bが各々形成されている。これらのフラップ差込用切込み31a,31bには、箱本体11を立体形状に組み付ける際に、正面板22aの上辺部に連設する天面外側フラップ片23の外周縁部に設けた一対の差込みフラップ片32が、各々差込まれて係止される。
【0018】
背面板22cの下辺部の、第2底面内側フラップ片28との間の折り曲げ線21eには、フラップ片28の中央部分にフラップ差込用切込み31cが形成されている。このフラップ差込用切込み31cには、箱本体11を立体形状に組み付ける際に、正面板22aの下辺部に連設する底面外側フラップ片24の外周縁部に設けた差込みフラップ片33が差込まれて係止される。
【0019】
正面板22aの下辺部に連設する底面外側フラップ片24の外周縁部には、折り曲げ線21fを介して幅広差込みフラップ片34が連設している。この幅広差込みフラップ片34の基端部分の折り曲げ線21fには、これの中央部分にフラップ差込用切込み31dが形成されている。このフラップ差込用切込み31dには、箱本体11を立体形状に組み付ける際に、背面板22cの下辺部から折り曲げ線21eを介して連設する差込みフラップ片29が、差込まれて係止される。また差込みフラップ片29の基端部両側から背面板22cに食い込むようにして、サイド切込み35が設けられており、これによって差込みフラップ片29を幅広差込みフラップ片34のフラップ差込用切込み31dに着脱する操作を、行い易くなっている。
【0020】
本実施形態では、正面板22a及び背面板22cの中央部分を縦方向に縦断して、好ましくは折れ癖線36が各々設けられている。これらの折れ癖線36を介して正面板22a及び背面板22cの中央部分を鈍角で折り曲げることにより、箱本体11を立体形状に組み付ける際に、略菱形の横断面形状を備える胴部を容易に形成することが可能になる。
【0021】
また、背面板22cには、ブランク15の側縁部から側面板22bとの間の折り曲げ線21bに向けて略半長円形状に延設して、取出し開口の形成用のミシン目による破断線37が、背面板22cを横断して設けられている。箱本体11が組み立てられた後に、破断開始部分に設けられた摘み部40を摘んで、破断線37を破断させることで、図5に示すように、取出し開口41を容易に形成して、収容物である商品をスムーズに取り出すことが可能になる。
【0022】
さらに、図3に示すように、正面板22aの上方に連設する天面外側フラップ片23には、略菱形の天部11bの中央部に配置される位置に、外側フック差込接合穴38が設けられている。背面板22cの上方に連設する第2天面内側フラップ片27には、略菱形の天部11bの中央部に配置される位置に、内側フック差込接合穴39が設けられている。箱本体11を立体形状に組み付ける際に、第2天面内側フラップ片27の内側フック差込接合穴39に天面外側フラップ片23の外側フック差込接合穴38を合致させて、図6に示すように、フック部材42の差込基端部42aを差し込んで係止することで、フック部材42が、フック13を立設させた状態で天部11bに接合される。
【0023】
本実施形態では、図3に示すブランク15を用いて天部11bが形成されており、フック部材42の差込基端部42aが係止される部分の内側フック差込接合穴39や外側フック差込接合穴38の周縁部は、図7に示すように、各フラップ片16,23,26,27を折り重ねて天部11bが形成されることで、第2天面内側フラップ片27と天面外側フラップ片23との間に、第1天面内側フラップ片26の一部やタブ形成用フラップ片16の正面側ベース部19aの一部が挟み込まれた状態となった、三重構造を備えることになる。このような三重構造の周縁部にフック部材42の差込基端部42aが係止されることで、各フラップ片16,23,26,27による天部11bを強固に形成することが可能になると共に、天面外側フラップ片23の押付け片20によってタブ形成用フラップ片16の背面側ベース部19bを上方から押え付ける機能を、さらに効果的に発揮させることが可能になる。
【0024】
そして、本実施形態では、図3に示すように、ブランク15には、正面板22aの上辺から折り曲げ線21bを介して一体として連設して、タブ形成用フラップ片16が設けられている。このタブ形成用フラップ片16を用いて、識別表示用タブ12が、箱本体11の天板11bの中央部分に設けられた吊下げ用のフック13と同一又は略同一の直線上に立設して形成されることになる。
【0025】
すなわち、本実施形態では、タブ形成用フラップ片16は、正面板22aの上辺と折り曲げ線21bを挟んで連続する正面側ベース部19aと、正面側ベース部19aと折り曲げ線17aを挟んで連続する直角台形状の正面側立設部18aと、正面側立設部18aと折り曲げ線17bを挟んで連続する、正面側立設部18aと対称な直角台形状の背面側立設部18bと、背面側立設部18bと折り曲げ線17cを挟んで連続する、直角台形状の背面側立設部18bの底辺の片側略1/3の領域から張り出して設けられた、略矩形形状の背面側ベース部19bとが連設した形状を有している。
【0026】
一方、タブ形成用フラップ片16と切込み線30aを挟んで隣接する天面外側フラップ片23は、これの先端領域の一方の差込みフラップ片32と隣接する部分が、タブ形成用フラップ片16の背面側ベース部19を上方から押え付ける押付け片20として機能するようになっている。
【0027】
本実施形態によれば、例えば箱本体11を組み立てる際に、図4に示すように、タブ形成用フラップ片16の正面側立設部18a及び背面側立設部18bを、裏面同士を密着させるようにして重ね合わせると共に、正面側ベース部19aと背面側ベース部19bとを、重ね合わせた立設部18a,18bに対して直角方向に折り曲げて、タブ形成用フラップ片16を、ベース部19a,19bの中間部分から立設部18a,18b(識別表示用タブ12)が立設するT字断面形状を備える形状に形成する。また、T字断面形状に形成したタブ形成用フラップ片16を折り曲げ線21bを介して折り曲げて、正面側ベース部19aと背面側ベース部19bとを箱本体11の天部11bに沿って配置する。しかる後に、天面外側フラップ片23を折り曲げ線21bを介して折り曲げて、箱本体11の天部11bに沿って配置すると共に、外周縁部の一対の差込みフラップ片32を、背面板22cの上辺部の折り曲げ線21dに形成したフラップ差込用切込み31a,31bに各々差し込んで係止する。これによって、背面側ベース部19が天面外側フラップ片23の押付け片20によって上方から押さえ付けられることで、天部11bから垂直又は略垂直に立設する、正面側立設部18a及び背面側立設部18bからなる識別表示用タブ12が形成されることになる。
【0028】
なお、図3及び図4では、識別表示用タブ12が吊下用のフック13の左側に配置されるMサイズの商品を収容する吊下げ陳列箱10について記載しているが、識別表示用タブ12が吊下用のフック13の右側に配置されるLサイズの商品を収容する吊下げ陳列箱10については、図3に示すブランク15と対称な形状のブランクを用いることによって、Mサイズの商品の吊下げ陳列箱10と同じように形成することができる。
【0029】
本実施形態では、ブランク15から箱本体11を組み立てるには、例えば接着剤を介して接合側面板22dを背面板22cの側縁部分の裏面側に接合すると共に、折り曲げ線21aや折れ癖線36を各々折り曲げることで、正面部11aと背面部11dと両側の一対の側部11eとからなる、略菱形の横断面形状を有する胴部が形成される。また、第1底面内側フラップ片25を折り曲げ線21cを介して底部11cに沿うように折り曲げると共に、第2底面内側フラップ片28を折り曲げ線21eを介して底部11cに沿うように折り曲げ、さらに底面外側フラップ片24を折り曲げ線21cを介して底部11cに沿うように折り曲げる。そして、底面外側フラップ片24の幅広差込みフラップ片34を、背面板22cの下辺部の差込みフラップ片29が設けられた部分の内側に差し込むと共に、差込みフラップ片33を背面板22cの下辺部のフラップ差込用切込み31cに差し込み、さらに、差込みフラップ片29を、底面外側フラップ片24と幅広差込みフラップ片34との間の折り曲げ線21fに設けられたフラップ差込用切込み31dに差し込んで係止する。これらによって、第1底面内側フラップ片25と第2底面内側フラップ片28と底面外側フラップ片24とが重ね合わされた箱本体11の底部11cが形成される。
【0030】
箱本体11の底部11cを形成したら、例えば箱本体11の内部に商品を収容した後に、第1天面内側フラップ片26と第2天面内側フラップ片27と天面外側フラップ片23とタブ形成用フラップ片16とを折り曲げて、天部11bを形成する。すなわち、第1天面内側フラップ片26と第2天面内側フラップ片27とを折り曲げ線21dを介して天部11bに沿うように折り曲げると共に、上述のように、タブ形成用フラップ片16を、T字断面形状を備える形状としてから折り曲げ線21bを介して折り曲げて、正面側ベース部19aと背面側ベース部19bとを箱本体11の天部11bに沿って配置する(図4参照)。しかる後に、上述のように、天面外側フラップ片23を折り曲げ線21bを介して折り曲げて、箱本体11の天部11bに沿って配置すると共に、一対の差込みフラップ片32を、背面板22cの上辺部に形成したフラップ差込用切込み31a,31bに各々差し込んで係止すことによって、識別表示用タブ12が垂直又は略垂直に立設する天部11bが形成されることになる(図4参照)。
【0031】
さらに、形成された天部11bの中央部分に開口する、第2天面内側フラップ片27の内側フック差込接合穴39と合致して設けられた天面外側フラップ片23の外側フック差込接合穴38に、フック部材42の差込基端部42aを差し込んで係止することにより、吊下げ用のフック13と識別表示用タブ12とが同一又は略同一の直線上に配置されて天部11bから立設する、本実施形態の吊下げ陳列箱10が形成されることになる。
【0032】
なお、内側フック差込接合穴39に外側フック差込接合穴38を合致させてフック部材42の差込基端部42aを差し込んで係止することで、天部11bを強固に形成することが可能になる。これによって、識別表示用タブ12をさらに安定した状態で垂直に立設させることが可能になると共に、天部を種々の多角形状等の形状で形成することが可能になって、様々な形状の箱本体を設計し易くなる。例えば、上述のように正面板22a及び背面板22cの中央部分を縦方向に縦断する折れ癖線36を設けなくても、略菱形の天部11bの形状を容易に保持することが可能になる。
【0033】
そして、上述の構成を備える本実施形態の吊下げ陳列箱10によれば、箱本体11の天部11bに設けられる識別表示用タブ12を安定した状態で立設させて、識別表示用タブ12による識別機能を容易に保持することが可能になる。すなわち、本実施形態によれば、識別表示用タブ12は、箱本体11を構成するブランク15に設けたタブ形成用フラップ片16を折り曲げることで、正面側立設部18a及び背面側立設部18bの裏面同士を対向させて重ね合わせた状態で形成されるようになっており、且つ背面側立設部18bの基端部に折れ曲って連設する背面側ベース部19bを、天部11bの構成片である天面外側フラップ片23の押付け片20によって上方から押さ付けた状態で立設しているので、正面側立設部18aと背面側立設部18bとによる2重構造によって、強固に立設することが可能になると共に、押付け片20による背面側ベース部19bへの押さえ付け作用によって、さらに安定した立設状態を保持することが可能になる。
【0034】
また、本実施形態によれば、タブ形成用フラップ片16は、正面板22aの上辺と正面側立設部18aとの間に正面側ベース部19aが介在していることで、正面側立設部18a及び背面側立設部18bによる識別表示用タブ12は、正面板22aの上辺や背面板22cの上辺と離間してこれらの中間部分において立設しているので、周囲のものと接触し難く、また周囲のものに押されて傾倒し難くなっていると共に、傾倒した場合でも、天部11bから下方には折り曲げられることがないので、その識別機能を容易に保持することが可能になる。
【0035】
さらに、本実施形態によれば、識別表示用タブ12は、正面側立設部18a及び背面側立設部18bの裏面同士を対向させて重ね合わせた状態で形成されるので、識別表示用タブ12の表裏の何れの面にも、色彩や仕上げが施されていないブランク15の裏面が表出しないことになるので、識別表示用タブ12によって吊下げ陳列箱10の美観が損われるのを効果的に回避することが可能になる。
【0036】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、識別表示用タブは、重ね合わされる正面側立設部及び背面側立設部の両側に正面側ベース部と背面側ベース部とを設けて、正面板の上辺と背面板の上辺との中間部分に識別表示用タブを立設させる必要は必ずしもない。例えば、図8に示すように、正面板22a或いは背面板22cに沿って、正面側立設部18a及び背面側立設部18aからなる識別表示用タブ12を天部11bから立設させるようにしても良い。また、重ね合わせた正面側立設部及び背面側立設部の両側に正面側ベース部と背面側ベース部とを設けた場合に、正面側ベース部と背面側ベース部の双方を、共に天部の構成片による押付け片によって外側から押え付けるようにしても良い。
【0037】
さらに、識別表示用タブが設けられる天部は平坦な面となっている必要は必ずしもなく、上方に凸となった山形状の天部等であっても良い。例えば、図9に示すような形態を有する天部に、フックと共に正面側立設部と背面側立設部とからなる識別表示用タブを、ベース部を天部の構成片による押付け片で押え付けた状態で立設させることもできる。
【0038】
さらにまた、箱本体は、扁平な略菱形の横断面形状を有している必要は必ずしもなく、横長の矩形形状、楕円形状、長円形状等の、その他の種々の扁平な断面形状を備えるものであっても良い。
【符号の説明】
【0039】
10 吊下げ陳列箱
11 箱本体
11a 正面部
11b 天部
12 識別表示用タブ
13 吊下用のフック
14 陳列棒
15 ブランク
16 タブ形成用フラップ片
17a,17b,17c 折り曲げ線
18a 正面側立設部
18b 背面側立設部
19a 正面側ベース部
19b 背面側ベース部
20 押付け片
23 天面外側フラップ片
26 第1天面内側フラップ片
27 第2天面内側フラップ片
37 破断線
38 外側フック差込接合穴
39 内側フック差込接合穴
42 フック部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱本体の天部から立設する吊下用のフックと識別表示用タブとを備え、陳列棒に前記フックを係止して吊り下げた状態で、前記陳列棒の前後方向に複数重ねて陳列される吊下げ陳列箱であって、
前記識別表示用タブは、前記箱本体を構成するブランクに設けたタブ形成用フラップ片を折り曲げることで前記箱本体の天部に形成されており、
前記タブ形成用フラップ片は、折り曲げ線を挟んで連続する、正面側立設部と背面側立設部とベース部とを含んで前記ブランクに設けられており、
前記識別表示用タブは、前記箱本体の天部を形成する際に、前記正面側立設部と前記背面側立設部とを裏面同士を対向させて重ね合わせることで形成されると共に、前記ベース部は、重ね合わせた前記正面側立設部及び前記背面側立設部に対して折り曲げられて前記天部に沿って配設され、且つ配設された前記ベース部を外側から覆って前記天部の構成片による押付け片を配置することで前記ベース部を押え付けて、前記識別表示用タブが前記天部から立設した状態を保持する吊下げ陳列箱。
【請求項2】
前記ベース部は正面側ベース部と、背面側ベース部とからなり、前記正面側ベース部と前記背面側ベース部とは、重ね合わせた前記正面側立設部及び前記背面側立設部に対して折り曲げられて前記天部に沿って配設され、前記正面側ベース部と前記背面側ベース部の少なくとも何れか一方が、前記押付け片によって外側から覆われている吊下げ陳列箱。
【請求項3】
前記天部は、前記ブランクの第1天面内側フラップ片と第2天面内側フラップ片と天面外側フラップ片とを折り重ねると共に、前記天面外側フラップ片の縁部に設けた差込みフラップ片をフラップ差込用切込みに差し込むことによって形成される請求項1又は2に記載の吊下げ陳列箱。
【請求項4】
前記天面外側フラップ片には外側フック差込接合穴が設けられていると共に、第2天面内側フラップ片には内側フック差込接合穴が設けられており、前記内側フック差込接合穴に前記外側フック差込接合穴を合致させてフック部材の差込基端部を差し込んで係止することで、フックを立設させた状態で前記フック部材が天部に接合される請求項3記載の吊下げ陳列箱。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載の吊下げ陳列箱を形成するためのブランクであって、
正面板又は背面板の上辺から一体として連設して、折り曲げ線を挟んで連続する前記正面側立設部と前記背面側立設部と前記ベース部とを含む前記タブ形成用フラップ片が設けられており、
且つ前記正面板又は前記背面板の上辺から折り曲げ線を介して一体として連設して前記天部を構成するフラップ片に、前記ベース部を外側から覆って押え付ける前記押付け片が設けられている吊下げ陳列箱形成用ブランク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−11049(P2012−11049A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151350(P2010−151350)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【出願人】(391018743)トーイン株式会社 (8)