説明

同軸ケーブル用コネクタ

【課題】 はんだ付けや圧着工具を使用することなく同軸ケーブルの中心導体を接続することができる同軸ケーブル用コネクタを得る。
【解決手段】 中心コンタクト導体の後端縁が拡径状に分岐した複数の拡径分岐部と、拡径分岐部の各々の後端に軸方向に形成された挟持部と、中心コンタクト導体が後端方向へ移動する際に拡径分岐部を縮径するテーパー面を有する貫通孔を備えた第1絶縁物と、後端部が筒状導体フェルールの拡径先端部内に嵌合された第2絶縁物と、筒状導体フェルールと第2絶縁物との軸心部を貫通してコンタクト導体の後端の孔に連通する貫通孔と、を備えた第1圧着手段と;後端が同軸ケーブルの芯線導体を覆う絶縁層と外部導体との間に進入可能な径を有する筒状導体フェルールの筒状後端部と、筒状部材に進入された同軸ケーブルのシース層外径を緊締する寸法である筒状締付金具の貫通孔の内径とを備えた第2圧着手段とを備えたもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般には高周波同軸コネクタとも呼ばれている同軸ケーブル用コネクタに関するものであり、今後、細径化の進む同軸ケーブルの端末に取付けられるに最適な同軸ケーブル用コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、同軸ケーブル先端への取付作業が簡便で安定した圧着効果を得ることのできる自己圧着方式の同軸ケーブル用コネクタを既に提供している(特許文献1参照)。この同軸ケーブル用コネクタは、中心コンタクト導体の外周面には後端から先端方向に間隔をおいた位置に形成された凹部の縮径作用により、同軸ケーブルの芯線導体との圧着効果を得ることができる。
【0003】
さて、アナログ放送が2011年に終わり、地上波デジタル放送が本格的に開始される。アンテナから受像器に電送する同軸ケーブルはデジタル信号であるため、ノイズの除去が容易であるため、アナログ放送時の太い同軸ケーブルを使用する必要が無くなるものであり、同軸ケーブルの細径化も念頭におかれる。
【0004】
折しもインターネット環境が整い、無線LANにおける無線データの暗号化の煩わしさ等から、家庭における有線LANの要望が高まり、既存の室内アンテナ配線を有効に利用することが試みられている。即ち、既存の同軸ケーブルを、細径化された同軸ケーブルとLANケーブル等の他のケーブルとに置換えたり、細径化された同軸ケーブルと一緒に他のケーブルとを束ねて新たに設置する等の試みがなされつつある。
【0005】
従来の同軸ケーブル用コネクタは、同軸ケーブルの中心導体と接続する場合には、同軸ケーブル用コネクタの中心コンタクトと同軸ケーブルの中心導体とをはんだ付けまたは圧着工具等を使用し接続するのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
同軸ケーブル用コネクタの取付工事では、場所によりはんだ付け作業が困難な場合も考えられ、圧着工具を使用するものはその同軸ケーブル用コネクタに合った圧着工具をその都度準備しなければならないと言う煩わしさが有る。
【0007】
また、同軸ケーブルの中心導体径の細い同軸ケーブルでは、引っ張り力によって容易にケーブルがコネクタから外れ易い問題もあった。更に、同軸ケーブルの中心導体にはんだ付けの熱や圧着による塑性変形の影響のために、同軸ケーブルの引っ張り等による中心導体の破断事故が生じる問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7−230855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、はんだ付けや圧着工具を使用することなく同軸ケーブルの中心導体を接続することができる同軸ケーブル用コネクタを得ることを目的とし、細径化されて中心導体径の細い同軸ケーブルであっても、引っ張り力に充分に対抗することのできる同軸ケーブル用コネクタを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載された発明に係る同軸ケーブル用コネクタは、同軸ケーブルの芯線導体先端部を受け入れるために軸方向の孔が後端に開口された中心コンタクト導体と、
前記中心コンタクト導体を内部に絶縁状に保持すると共に前記中心コンタクト導体と対をなす外部コンタクト導体としての機能の少なくとも一部を担う筒状本体金具と、
前記筒状本体金具の内部にて前記中心コンタクト導体の後端の近傍に同軸状に間隔をあけて配置されると共に前記同軸ケーブルの外部導体と前記筒状本体金具との電気的接続を果たす筒状導体フェルールと、
前記筒状導体フェルールを囲むように前記筒状本体金具の後端側から外周に螺合される筒状締付金具と、
前記筒状締付金具が前記筒状本体金具に螺入された時に、前記中心コンタクト導体と同軸ケーブルの芯線導体先端部とを圧着する第1圧着手段と、
同じく前記筒状締付金具が前記筒状本体金具に螺入された時に、前記筒状導体フェルールと同軸ケーブルの外部導体シース層とを圧着する第2圧着手段とを備えた同軸ケーブル用コネクタであって、
第1圧着手段として、
前記中心コンタクト導体の後端縁が後方に向かって拡径状に分岐した複数の拡径分岐部と、
前記拡径分岐部の各々の後端に軸方向に向けて形成された挟持部と、
前記中心コンタクト導体が貫通され後端方向へ移動する際に前記拡径分岐部を縮径するテーパー面を有する貫通孔を備えた第1絶縁物と、
この第1絶縁物の後端側が嵌合可能な凹部を先端に備え後端部が、前記筒状導体フェルールの拡径先端部内に嵌合された第2絶縁物と、
前記筒状導体フェルールと第2絶縁物との軸心部を貫通して前記コンタクト導体の後端の孔に連通する貫通孔とを備え、
第2圧着手段として、
後端が前記同軸ケーブルの芯線導体を覆う絶縁層と外部導体との間に進入可能な径を有する前記筒状導体フェルールの筒状後端部と、
前記筒状部材に進入された同軸ケーブルのシース層外径を緊締する寸法である前記筒状締付金具の貫通孔の内径とを備えたことを特徴とするものである。
【0011】
請求項2に記載された発明に係る同軸ケーブル用コネクタは、請求項1に記載の中心コンタクト導体の拡径分岐部が、コレットチャック状に形成されたものであることを特徴とするものである。
【0012】
請求項3に記載された発明に係る同軸ケーブル用コネクタは、請求項1に記載の中心コンタクト導体の拡径分岐部が、他端子と電気的に接続する丸棒部の後端部を後方に向かうに従って互いに離れるように対向した一対の平板状からなるものであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、はんだ付けや圧着工具を使用することなく同軸ケーブルの中心導体を接続することができる同軸ケーブル用コネクタを得ることができる。また、細径化されて中心導体径の細い同軸ケーブルであっても、引っ張り力に充分に対抗することができる同軸ケーブル用コネクタを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の同軸ケーブル用コネクタの一実施例の構成を示す説明図であり、a図は部分断面を示す平面図、b図は中心軸を含む平面による断面図、c図は正面図、d図は同軸ケーブルの先端部を示す平面図である。
【図2】図1のコネクタの内部に装着されている中心コンタクト導体と第1絶縁物と第2絶縁物と筒状導体フェルールとの組体の動作状態を示す説明図であり、a図は中央コンタクト導体の後端の拡径分岐部が開放された状態を示す説明図、b図は中央コンタクト導体の後端の拡径分岐部が閉塞された状態を示す説明図である。
【図3】本発明の同軸ケーブル用コネクタの別の実施例の構成を示す説明図であり、a図は部分断面を示す平面図、b図は中心軸を含む平面による断面図である。
【図4】図3のコネクタの内部に装着されている中心コンタクト導体と第1絶縁物と第2絶縁物と筒状導体フェルールとの組体の動作状態を示す説明図であり、a図は中央コンタクト導体の後端の拡径分岐部が開放された状態を示す説明図、b図は中央コンタクト導体の後端の拡径分岐部が閉塞された状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明においては、同軸ケーブルの芯線導体先端部を受け入れるために軸方向の孔が後端に開口された中心コンタクト導体と、中心コンタクト導体を内部に絶縁状に保持すると共に前記中心コンタクト導体と対をなす外部コンタクト導体としての機能の少なくとも一部を担う筒状本体金具と、筒状本体金具の内部にて前記中心コンタクト導体の後端の近傍に同軸状に間隔をあけて配置されると共に前記同軸ケーブルの外部導体と前記筒状本体金具との電気的接続を果たす筒状導体フェルールと、筒状導体フェルールを囲むように前記筒状本体金具の後端側から外周に螺合される筒状締付金具と、筒状締付金具が前記筒状本体金具に螺入された時に、前記中心コンタクト導体と同軸ケーブルの芯線導体先端部とを圧着する第1圧着手段と、同じく前記筒状締付金具が前記筒状本体金具に螺入された時に、前記筒状導体フェルールと同軸ケーブルの外部導体シース層とを圧着する第2圧着手段とを備えた同軸ケーブル用コネクタである。
【0016】
そのようなコネクタにおいて、第1圧着手段として、前記中心コンタクト導体の後端縁が後方に向かって拡径状に分岐した複数の拡径分岐部と、前記拡径分岐部の各々の後端に軸方向に向けて形成された挟持部と、前記中心コンタクト導体が貫通され後端方向へ移動する際に前記拡径分岐部を縮径するテーパー面を有する貫通孔を備えた第1絶縁物と、この第1絶縁物の後端側が嵌合可能な凹部を先端に備え後端部が、前記筒状導体フェルールの拡径先端部内に嵌合された第2絶縁物と、前記筒状導体フェルールと第2絶縁物との軸心部を貫通して前記コンタクト導体の後端の孔に連通する貫通孔とを備える。
【0017】
更に、第2圧着手段として、後端が前記同軸ケーブルの芯線導体を覆う絶縁層と外部導体との間に進入可能な径を有する前記筒状導体フェルールの筒状後端部と、前記筒状部材に進入された同軸ケーブルのシース層外径を緊締する寸法である前記筒状締付金具の貫通孔の内径とを備える。
【0018】
本発明の中心コンタクト導体は、同軸ケーブルの芯線導体が挿入して挟持される挟持部が、中心コンタクト導体の後端縁が後方に向かって拡径状に分岐した複数の拡径分岐部の各々の後端に軸方向に向けて形成されている。その拡径分岐部の先端の分岐部近傍はテーパー形状であり、これと係合する第1絶縁物の貫通孔のテーパー面によって、同軸ケーブルの芯線導体を挿入した後、第1絶縁物の貫通孔移動させて中心コンタクト導体の拡径分岐部(太い部分)を縮径させることで挟持部同士が近づいて同軸ケーブルの芯線導体を圧着保持する。
【0019】
このときの中心コンタクト導体の拡径分岐部のたわみは、バネ性の低い材料を選択することにより材料の弾性限度範囲外に設定して、縮径を解除した場合でも縮径状態を維持させることも可能であるし、逆に、バネ性の高い材料を選択することにより材料の弾性限度範囲内に設定することにより、第1絶縁物を移動させて縮径を解除した場合に、拡径分岐部が元の状態に戻って拡径することにより、芯線導体の圧着を繰り返し行うこともできる。作業性を考慮するならば、後者の方が芯線導体の圧着を繰り返し行えるため、有利である。
【0020】
本発明の拡径分岐部としては、中心コンタクト導体の先端で他端子と電気的に接続する丸棒材の後端部を拡径状に加工して拡径部を形成させ、中心軸に平行なスリットを複数個形成することによりコレットチャック状の挟持部を軸方向に形成させた拡径分岐部であったり、或いは、後方に向かうに従って互いに離れるように対向した一対の平板状の拡径分岐部を中心コンタクト導体の丸棒部の後端部に形成して用いる。尚、拡径分岐部の後端縁部には互いに軸方向に向かって形成された挟持部を備える。また、一対の平板状の拡径分岐部を後端部に形成する中心コンタクト導体の先端部の丸棒部は丸棒材を用いてもよいし、平板を円筒状に曲げ加工して形成させてもよい。
【0021】
また、第1絶縁物の移動作業は同軸ケーブル用コネクタ本体に筒状締付金具を締付けることで自動的に移動して、芯線導体をしっかりと圧着保持することができる。また、中心コンタクト導体と、第1絶縁物と、第2絶縁物と、筒状導体フェルールとを同軸ケーブル用コネクタ本体から取り出し、作業員によって第1絶縁物を第2絶縁物側に移動させて、同軸ケーブルの芯線導体を中心コンタクト導体の拡径分岐部に導入した後に、第1絶縁物を第2絶縁物に嵌合させた上で、筒状締付金具をしっかり螺合させることにより、芯線導体を仮止めしつつ最終的にはしっかりと圧着保持することができる。
【0022】
また、中心コンタクト導体と、第1絶縁物と、第2絶縁物と、筒状導体フェルールとは、これらを組体として、筒状本体金具及び筒状締付金具から取り外し可能とすることにより、ケーブルへの接続作業が容易となる。即ち、組体を筒状本体金具及び筒状締付金具から取り外し、筒状締付金具の貫通孔を通した同軸ケーブルの端末の芯線導体を装着した後に、第1絶縁物を第2絶縁物に嵌合させて中心コンタクト導体の拡径分岐部を縮径させて圧着させる。その後、組体を筒状本体金具に装着して筒状締付金具を螺入して緊締する。
【0023】
更に、好ましくは、筒状導体フェルールの筒状部の端縁部に抜け止め用のかえし部が形成されているものでは、同軸ケーブルが更に外れ難くなる利点を有する。
【0024】
以上のように、同軸ケーブルの外部導体接続は本品のフェルールを同軸ケーブルの絶縁物と外部導体の間に挿入しフェルールが本体に挿入した時点で同軸ケーブルの外部導体が接続される。また、筒状締付金具を筒状本体金具に締付けたとき同軸ケーブルの外部導体がフェルールと筒状締付金具に固定され、同軸ケーブルのシース層が筒状締付金具に固定される。
【0025】
筒状締付金具を筒状本体金具に締付けたとき同軸ケーブルが固定されるため、はんだ付けや圧着工具が不要となり、特に施工業者等が工事現場で使用するのに適している。また、構造上、中心コンタクト・第1絶縁物・第2絶縁物およびフェルールが一体構造となっているため同軸ケーブルの接続作業時に部品の紛失する可能性が低い。更に、同軸ケーブルの芯線導体にはんだ付けの熱や圧着による塑性変形の影響が出ないため同軸ケーブルの引っ張り等による芯線導体の破断事故が低くできる等の利点を有する。
【実施例】
【0026】
図1は本発明の同軸ケーブル用コネクタの一実施例の構成を示す説明図であり、a図は部分断面を示す平面図、b図は中心軸を含む平面による断面図、c図は正面図、d図は同軸ケーブルの先端部を示す平面図である。図2は図1のコネクタの内部に装着されている中心コンタクト導体と第1絶縁物と第2絶縁物と筒状導体フェルールとの組体の動作状態を示す説明図であり、a図は中央コンタクト導体の後端の拡径分岐部が開放された状態を示す説明図、b図は中央コンタクト導体の後端の拡径分岐部が閉塞された状態を示す説明図である。
【0027】
図に示す通り、本実施例のコネクタ10は、同軸ケーブル1aの芯線導体2aの先端部を受け入れるために軸方向の孔が後端に開口された中心コンタクト導体11と、中心コンタクト導体11を内部に絶縁体12を介して保持すると共に前記中心コンタクト導体11と対をなす外部コンタクト導体としての機能の少なくとも一部を担う筒状本体金具13と、筒状本体金具13の先端部に配された接続対象の接栓に螺合すべき六角締付ナット部14と、筒状本体金具13の内部にて前記中心コンタクト導体11の後端の近傍に同軸状に間隔をあけて配置されると共に前記同軸ケーブル1aの外部導体4aと前記筒状本体金具13との電気的接続を果たす筒状導体フェルール15と、筒状導体フェルール15を囲むように前記筒状本体金具13の後端側から外周に螺合される筒状締付金具16とを備える。
【0028】
更に、筒状締付金具16が前記筒状本体金具13に螺入された時に、中心コンタクト導体11と同軸ケーブル1aの芯線導体2a先端部とを圧着する第1圧着手段と、同じく前記筒状締付金具16が筒状本体金具13に螺入された時に、前記筒状導体フェルール15と同軸ケーブル1aの外部導体4a及びシース層5aとを圧着する第2圧着手段とを備える。
【0029】
第1圧着手段としては、中心コンタクト導体11の後端縁が後方に向かって拡径状に分岐した複数の拡径分岐部17と、この拡径分岐部の各々の後端に軸方向に向けて形成された挟持部18とを備える。より具体的には、中心コンタクト導体11の先端で他端子と電気的に接続する丸棒材の後端部を拡径状に加工して拡径部を形成させ、中心軸に平行なスリットを複数個形成することによりコレットチャック状の挟持部18を軸方向に形成させた拡径分岐部17とを備えている。
【0030】
更に、中心コンタクト導体11が貫通され後端方向へ移動する際に前記拡径分岐部17を縮径するテーパー面を有する貫通孔19を備えた第1絶縁物20と、この第1絶縁物20の後端側が嵌合可能な凹部を先端に備え後端部が、前記筒状導体フェルールの拡径先端部内に嵌合された第2絶縁物21と、前記筒状導体フェルール15と第2絶縁物21との軸心部を貫通して前記コンタクト導体の後端の孔に連通する貫通孔22とを備える。
【0031】
更に、第2圧着手段として、後端が前記同軸ケーブル1aの芯線導体2aを覆う絶縁層3aと外部導体4aとの間に進入可能な径を有する前記筒状導体フェルール15の筒状後端部23と、前記筒状部材に進入された同軸ケーブル1aのシース層5a外径を緊締する寸法である前記筒状締付金具16の貫通孔24の内径とを備える。また、筒状導体フェルール15の筒状後端部23の外方に広がった同軸ケーブル1aの外部導体4aを筒状導体フェルール15の型部26と、筒状締付金具16との間に介されるワッシャー25で圧着することにより、同軸ケーブル1aが更に外れ難くなる。
【0032】
本コネクタ10の接続手順は次の通りである。
(1) コネクタ10の筒状締付金具16を筒状本体金具13から取り外し、同軸ケーブル1aに挿入する。
(2) 同軸ケーブル1aの端末を図1のd図のように加工する。
(3) 同軸ケーブル1aの端末の芯線導体2aをフェルール15及び第2絶縁物21の貫通孔22に挿入し、同軸ケーブル1aの外部導体4aをフェルール15の筒状後端部23の外方の型部26に広げる。
(4) 筒状締付金具16を筒状本体金具13に締め付ける。この時、次の順番で部品が移動し、同軸ケーブル1aが固定される。
(a) フェルール15が筒状締付金具16の締付によって筒状本体金具13側に移動される。
(b) 第1絶縁物20の貫通孔19のテーパー面によって中心コンタクト導体11の拡径分岐部17に圧力が加わり縮径することにより、同軸ケーブルの中心導体を圧接保持する。
(c) 同軸ケーブルの外部導体は、フェルール15とワッシャー25との間で挟み込まれて固定される。
【0033】
図3は本発明の同軸ケーブル用コネクタの別の実施例の構成を示す説明図であり、a図は部分断面を示す平面図、b図は中心軸を含む平面による断面図である。図4は図3のコネクタの内部に装着されている中心コンタクト導体と第1絶縁物と第2絶縁物と筒状導体フェルールとの組体の動作状態を示す説明図であり、a図は中央コンタクト導体の後端の拡径分岐部が開放された状態を示す説明図、b図は中央コンタクト導体の後端の拡径分岐部が閉塞された状態を示す説明図である。
【0034】
本実施例のコネクタも図1,2のコネクタと同様に、本実施例のコネクタ30は、同軸ケーブル1bの芯線導体2bの先端部を受け入れるために軸方向に開口された中心コンタクト導体31と、中心コンタクト導体31を内部に絶縁体32を介して保持すると共に前記中心コンタクト導体31と対をなす外部コンタクト導体としての機能の少なくとも一部を担う筒状本体金具33と、筒状本体金具33の先端部に配された接続対象の接栓に螺合すべき六角締付ナット部34と、筒状本体金具33の内部にて前記中心コンタクト導体31の後端の近傍に同軸状に間隔をあけて配置されると共に前記同軸ケーブル1bの外部導体4bと前記筒状本体金具33との電気的接続を果たす筒状導体フェルール35と、筒状導体フェルール35を囲むように前記筒状本体金具33の後端側から外周に螺合される筒状締付金具36とを備える。
【0035】
更に、筒状締付金具36が前記筒状本体金具33に螺入された時に、中心コンタクト導体31と同軸ケーブル1bの芯線導体2b先端部とを圧着する第1圧着手段と、同じく前記筒状締付金具36が筒状本体金具33に螺入された時に、前記筒状導体フェルール35と同軸ケーブル1bの外部導体4b及びシース層5bとを圧着する第2圧着手段とを備える。
【0036】
第1圧着手段としては、中心コンタクト導体31の後端から先端方向に間隔をおいた位置に形成された拡径分岐部37と、この拡径分岐部37に軸方向に形成された挟持部38とを備える。具体的には、中心コンタクト導体31の拡径分岐部37は、他端子と電気的に接続する丸棒部の後端部を後方に向かうに従って互いに離れるように対向した一対の平板状からなり、拡径分岐部37の後端縁部には互いに軸方向に向かって形成された挟持部38を備える。
【0037】
更に、中心コンタクト導体31が貫通され後端方向へ移動する際に前記拡径分岐部37を縮径するテーパー面を有する貫通孔39を備えた第1絶縁物40と、この第1絶縁物40の後端側が嵌合可能な凹部を先端に備え後端部が、前記筒状導体フェルールの拡径先端部内に嵌合された第2絶縁物41と、前記筒状導体フェルール35と第2絶縁物41との軸心部を貫通して前記コンタクト導体の後端の開口部に連通する貫通孔42とを備える。
【0038】
更に、第2圧着手段として、後端が前記同軸ケーブル1bの芯線導体2bを覆う絶縁層3bと外部導体4bとの間に進入可能な径を有する前記筒状導体フェルール35の筒状後端部43と、前記筒状部材に進入された同軸ケーブル1bのシース層5b外径を緊締する寸法である前記筒状締付金具36の貫通孔44の内径とを備える。尚、本実施例では、筒状導体フェルールの型部と、筒状締付金具との間にワッシャーは介されず、筒状導体フェルール35の型部46とこれに対向する対向面45が筒状締付金具36に形成されており、互いに圧着することにより、同軸ケーブル1bが更に外れ難くなる。
【0039】
また、筒状後端部43には、同軸ケーブル1bの芯線導体2bを覆う絶縁層3bと外部導体4bとの間に進入させた筒状後端部43を抜け難くするために、その後端縁部に断面が楔状に肉厚としたかえし部47を備える。
【0040】
本コネクタ30の接続手順は次の通りである。
(1) コネクタ30の筒状締付金具36を筒状本体金具33から取り外し、同軸ケーブル1bに挿入する。
(2) 同軸ケーブル1bの端末を加工し、同軸ケーブル1bの端末の芯線導体2bをフェルール35及び第2絶縁物41の貫通孔42に挿入し、同軸ケーブル1bの外部導体4bをフェルール35の筒状後端部43の外方の型部46に広げる。
(3) 筒状締付金具36を筒状本体金具33に締め付ける。この時、次の順番で部品が移動し、同軸ケーブル1bが固定される。
(a) フェルール35が筒状締付金具36の締付によって筒状本体金具33側に移動される。
(b) 第1絶縁物40の貫通孔39のテーパー面によって中心コンタクト導体31の拡径分岐部37に圧力が加わり縮径することにより、同軸ケーブルの中心導体を圧接保持する。
(c) 同軸ケーブル1bの外部導体4bは、フェルール35と筒状締付金具36との間で挟み込まれて固定される。
【符号の説明】
【0041】
1a,1b…同軸ケーブル、
2a,2b…芯線導体、
3a,3b…絶縁層、
4a,4b…外部導体、
5a,5b…シース層、
10,30…コネクタ、
11,31…中心コンタクト導体、
12,32…絶縁体、
13,33…筒状本体金具、
14,34…六角締付ナット部、
15,35…筒状導体フェルール、
16,36…筒状締付金具、
17,37…拡径分岐部、
18,38…挟持部、
19,39…貫通孔、
20,40…第1絶縁物、
21,41…第2絶縁物、
22,42…貫通孔、
23,43…筒状後端部、
24,44…貫通孔、
25 …ワッシャー、
45…対向面、
26.46…型部、
47…かえし部、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同軸ケーブルの芯線導体先端部を受け入れるために軸方向の孔が後端に開口された中心コンタクト導体と、
前記中心コンタクト導体を内部に絶縁状に保持すると共に前記中心コンタクト導体と対をなす外部コンタクト導体としての機能の少なくとも一部を担う筒状本体金具と、
前記筒状本体金具の内部にて前記中心コンタクト導体の後端の近傍に同軸状に間隔をあけて配置されると共に前記同軸ケーブルの外部導体と前記筒状本体金具との電気的接続を果たす筒状導体フェルールと、
前記筒状導体フェルールを囲むように前記筒状本体金具の後端側から外周に螺合される筒状締付金具と、
前記筒状締付金具が前記筒状本体金具に螺入された時に、前記中心コンタクト導体と同軸ケーブルの芯線導体先端部とを圧着する第1圧着手段と、
同じく前記筒状締付金具が前記筒状本体金具に螺入された時に、前記筒状導体フェルールと同軸ケーブルの外部導体シース層とを圧着する第2圧着手段とを備えた同軸ケーブル用コネクタであって、
第1圧着手段として、
前記中心コンタクト導体の後端縁が後方に向かって拡径状に分岐した複数の拡径分岐部と、
前記拡径分岐部の各々の後端に軸方向に向けて形成された挟持部と、
前記中心コンタクト導体が貫通され後端方向へ移動する際に前記拡径分岐部を縮径するテーパー面を有する貫通孔を備えた第1絶縁物と、
この第1絶縁物の後端側が嵌合可能な凹部を先端に備え後端部が、前記筒状導体フェルールの拡径先端部内に嵌合された第2絶縁物と、
前記筒状導体フェルールと第2絶縁物との軸心部を貫通して前記コンタクト導体の後端の孔に連通する貫通孔とを備え、
第2圧着手段として、
後端が前記同軸ケーブルの芯線導体を覆う絶縁層と外部導体との間に進入可能な径を有する前記筒状導体フェルールの筒状後端部と、
前記筒状部材に進入された同軸ケーブルのシース層外径を緊締する寸法である前記筒状締付金具の貫通孔の内径とを備えたことを特徴とする同軸ケーブル用コネクタ。
【請求項2】
前記中心コンタクト導体の拡径分岐部が、コレットチャック状に形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の同軸ケーブル用コネクタ。
【請求項3】
前記中心コンタクト導体の拡径分岐部が、他端子と電気的に接続する丸棒部の後端部を後方に向かうに従って互いに離れるように対向した一対の平板状からなるものであることを特徴とする請求項1に記載の同軸ケーブル用コネクタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−165555(P2010−165555A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−6777(P2009−6777)
【出願日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(594043063)株式会社木村電気工業 (4)