名寄せ装置及び名寄せ方法
【課題】交通ICカードの名寄せを高精度で行うことを目的とする。
【解決手段】本発明の名寄せ装置は、複数の携帯用情報記憶媒体を利用する複数の利用者の同一性を決定する名寄せ装置であって、携帯用情報記憶媒体の識別子に関連付けて、利用者の属性情報が記憶される利用者属性情報と、携帯用情報記憶媒体の識別子に関連付けて、携帯用情報記憶媒体を用いて交通機関を利用した時刻及び区間が記憶される利用履歴情報と、が格納される記憶部と、同一の利用者が利用している可能性がある携帯用情報記憶媒体の識別子の組合せを、属性情報に基づいて取得し、取得した携帯用情報記憶媒体の識別子の組合せを、利用履歴情報に基づいて、同一の利用者が利用している可能性がより大きい携帯用情報記憶媒体の識別子の組合せとして絞り込みを行う制御部と、を有することを特徴とする。
【解決手段】本発明の名寄せ装置は、複数の携帯用情報記憶媒体を利用する複数の利用者の同一性を決定する名寄せ装置であって、携帯用情報記憶媒体の識別子に関連付けて、利用者の属性情報が記憶される利用者属性情報と、携帯用情報記憶媒体の識別子に関連付けて、携帯用情報記憶媒体を用いて交通機関を利用した時刻及び区間が記憶される利用履歴情報と、が格納される記憶部と、同一の利用者が利用している可能性がある携帯用情報記憶媒体の識別子の組合せを、属性情報に基づいて取得し、取得した携帯用情報記憶媒体の識別子の組合せを、利用履歴情報に基づいて、同一の利用者が利用している可能性がより大きい携帯用情報記憶媒体の識別子の組合せとして絞り込みを行う制御部と、を有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、名寄せ装置及び名寄せ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通乗車券及び電子マネーとして利用可能な交通IC(Integrated Circuit)カードが急速に普及し、それに伴い、交通ICカードを用いた各種情報サービスも普及しつつある。例えば、特許文献1に開示されている発明は、移動する個人の位置情報と時刻情報の集合である交通ICカードの利用履歴から、時間ごとの駅周辺滞在率を算出する。そして、この駅周辺滞在率を地域情報とマッチングすることにより、交通ICカードの利用者に適した情報を提供する。
一方、このような情報提供サービスを提供する場合、一人の利用者が複数の交通ICカードを保持していることが考えられる。そこで、「名寄せ」を行うことが必要となる。「名寄せ」とは、例えば金融機関等において、住所、氏名、電話番号等の、顧客を特定可能な属性情報をキーとして、同一の顧客には一意なキーを割り当てる処理である。
交通ICカードの場合、登録されている属性情報が不正確であることがある。さらには、その情報の入力が任意であるため、ある項目自体が登録されていないこともある。これに起因し、交通ICカードの名寄せを高精度で行うことは一般的に困難である。交通ICカードの名寄せを行う発明として、例えば特許文献2が開示されている。特許文献2の発明は、属性情報の他に顧客のクレジットカード番号を用いて名寄せを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−102950号公報(段落0010)
【特許文献2】特開2010−55227号公報(段落0008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の発明は、名寄せを行うことを全く想定していない。特許文献2の発明は、一人の利用者が、1つのクレジットカードのみを使用して商品等の購入をする場合には有効である。しかしながら、一人の利用者が、複数のクレジットカードを使用する場合、又は、そもそもクレジットカードを使用せず商品等の購入を行う場合は、名寄せが行えない。
そこで、本発明は、交通ICカードの名寄せを高精度で行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の名寄せ装置は、複数の携帯用情報記憶媒体を利用する複数の利用者の同一性を決定する名寄せ装置であって、携帯用情報記憶媒体の識別子に関連付けて、利用者の属性情報が記憶される利用者属性情報と、携帯用情報記憶媒体の識別子に関連付けて、携帯用情報記憶媒体を用いて交通機関を利用した時刻及び区間が記憶される利用履歴情報と、が格納される記憶部と、同一の利用者が利用している可能性がある携帯用情報記憶媒体の識別子の組合せを、属性情報に基づいて取得し、利用履歴情報に基づいて、取得した組合せごとに判定結果を生成する制御部と、を有し、判定結果は、同一の利用者が、取得した組合せの2つの携帯用情報記憶媒体を利用していることを示す第1の判定結果、同行する2人の利用者が、取得した組合せの2つの携帯用情報記憶媒体を利用していることを示す第2の判定結果、異なる利用者が、取得した組合せの2つの携帯用情報記憶媒体を利用していることを示す第3の判定結果、及び、第1の判定結果、第2の判定結果及び第3の判定結果のうちのいずれであるとも言えないことを示す第4の判定結果、のうちの何れかであることを特徴とする。
その他の手段については、発明を実施するための形態において詳述する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、交通ICカードの名寄せを高精度で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施形態に係る名寄せ装置と、乗車券システム及び情報端末装置との関係を説明する図である。
【図2】本実施形態に係る名寄せ装置の構成を説明する図である。
【図3】本実施形態に係る名寄せ装置が実行する処理の概要を説明する図である。
【図4】本実施形態に係る名寄せ条件情報の一例を示す図である。
【図5】本実施形態に係る利用者属性情報の一例を示す図である。
【図6】本実施形態に係る利用履歴情報の一例を示す図である。
【図7】本実施形態に係る乗換時間情報の一例を示す図である。
【図8】(a)は、本実施形態に係る名寄せ中間情報の一例を示す図である。(b)は、本実施形態に係る名寄せ結果情報の一例を示す図である。
【図9】本実施形態に係る名寄せ条件設定処理手順のフローチャートである。
【図10】本実施形態に係る名寄せ処理手順のフローチャートである。
【図11】本実施形態に係る名寄せ処理手順(続き)のフローチャートである。
【図12】本実施形態に係る名寄せ条件設定画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態(「本実施形態」という)を、図等を参照しながら詳細に説明する。以下では、交通ICカードの利用者(以下、単に「利用者」と呼ぶ場合がある)が、鉄道を利用する例を説明する。しかしながら、利用者が、鉄道以外の交通機関、例えば、路線バス等を利用する場合、さらに、鉄道と鉄道以外の交通機関を併用する場合にも本発明は広く適用可能である。
【0009】
(名寄せ装置の位置付けほか)
図1に沿って、名寄せ装置1と、乗車券システム2及び情報端末装置3との関係を説明する。名寄せ装置1は、ネットワーク4a、4bを介して、それぞれ、乗車券システム2及び情報端末装置3と相互に接続可能である。
【0010】
名寄せ装置1は、一般的なコンピュータであり、交通ICカード9の利用者の名寄せを行う(詳細後記)。情報端末装置3もまた、一般的なコンピュータであり、名寄せ装置1のユーザが、名寄せ装置1に対して、名寄せ条件情報(詳細後記)の設定を行う際に使用される。名寄せ装置1は、通常、鉄道会社によって、又は、鉄道会社に対して名寄せを行うサービスを提供する主体によって管理され、その数は1台である。情報端末装置3も通常、鉄道会社によって、又は、鉄道会社に対して「名寄せ」を行うサービスを提供する主体によって管理されるが、その数は複数である。
なお、「携帯用情報記憶媒体」には、交通ICカードが相当する。
【0011】
乗車券システム2は、自動改札機5、駅サーバ6及び管理サーバ7を含んで構成される。自動改札機5と駅サーバ6とは、ネットワーク8aを介して相互に通信可能である。駅サーバ6と管理サーバ7とは、ネットワーク8bを介して相互に通信可能である。自動改札機5は、ICカードリーダを有する入退場ゲートである。自動改札機5は、自動改札機5を通過する交通ICカード9に記憶された情報を読み取る。なお、交通ICカード9は、例えば定期乗車券、記名式プリペイドカード等である。自動改札機5は、通常、1つの駅に複数台存在する。
【0012】
駅サーバ6は、一般的なコンピュータであり、自動改札機5が読み取った利用履歴情報33(詳細後記)を駅ごとに蓄積する。駅サーバ6は、通常、1つの駅に1台存在する。管理サーバ7もまた、一般的なコンピュータであり、自動改札機5が読み取った利用履歴情報33を鉄道会社ごとに蓄積する。管理サーバ7は、通常、1つの鉄道会社に1台存在する。
以上から明らかなように、通常、乗車券システム2は、鉄道会社の数だけ存在し、1つの乗車券システム2は、1台の管理サーバ7、複数の駅サーバ6及び複数の自動改札機5を有することになる。
【0013】
(名寄せ装置)
図2に沿って、名寄せ装置1の構成を説明する。名寄せ装置1は、中央制御装置11、主記憶装置12、補助記憶装置13、入力装置14、出力装置15及び通信インタフェース16を有する。これらは、相互にバスで接続されている。補助記憶装置13は、名寄せ条件情報31、利用者属性情報32、利用履歴情報33、乗換時間情報34、名寄せ中間情報35及び名寄せ結果情報36を格納する(詳細後記)。名寄せ部21及び名寄せ条件設定部22は、プログラムである。以降において、「○○○部は、」と動作の主体を記した場合は、中央制御装置11が、プログラムとしての○○○部を補助記憶装置13から読み出し、主記憶装置12にロードしたうえで、当該プログラムの機能(詳細後記)を実行するものとする。
【0014】
情報端末装置3、駅サーバ6及び管理サーバ7のそれぞれは、相互にバスで接続された、中央制御装置、主記憶装置、補助記憶装置、入力装置、出力装置及び通信インタフェースを有する(図示せず)。
【0015】
(処理の概要)
図3に沿って、名寄せ装置1が実行する処理の概要を説明する。
名寄せ装置1は、ユーザからの入力に基づき、名寄せ条件情報を作成する(名寄せ条件設定処理P1)。名寄せ条件情報には、利用者属性情報名寄せ処理P3及び利用履歴情報名寄せ処理P5において必要な検索条件等が記憶されている。
名寄せ装置1は、乗車券システム2から利用者属性情報を取得する(利用者属性情報取得処理P2)。利用者属性情報には、利用者の属性情報(氏名、性別等)が記憶されている。名寄せ装置1は、乗車券システム2から利用履歴情報を取得する(利用履歴取得処理P4)。利用履歴情報には、交通ICカード9の利用履歴が記憶されている。
【0016】
名寄せ装置1は、名寄せ条件情報に基づいて利用者属性情報を検索し、名寄せ中間情報を作成する(利用者属性情報名寄せ処理P3)。名寄せ中間情報とは、利用履歴情報を検索することなく、利用者属性情報だけを検索して作成された、名寄せについての未完成の中間結果である。
名寄せ装置1は、名寄せ中間情報及び名寄せ条件情報に基づいて利用履歴情報を検索し、名寄せ結果情報を作成する(利用履歴情報名寄せ処理P5)。名寄せ結果情報とは、利用者属性情報及び利用履歴情報の両者を検索して作成された、名寄せについての最終結果である。
【0017】
(名寄せ条件情報)
図4に沿って、名寄せ条件情報31を説明する。名寄せ条件情報31においては、条件項目欄101に記憶された条件項目に関連付けて、条件項目値欄102には条件項目値が記憶されている。
【0018】
条件項目欄101の条件項目は、前記した、利用者属性情報名寄せ処理P3及び利用履歴情報名寄せ処理P5において使用される、検索キー及び閾値の項目である。ここでは、条件項目として、「属性キー」、「頻度」、「乗換時間幅」及び「同行行動時間幅」の少なくとも4つが存在する(詳細後記)。
条件項目値欄102の条件項目値は、条件項目の具体的な値であり、前記した検索キー及び閾値そのものである。
【0019】
(利用者属性情報)
図5に沿って、利用者属性情報32を説明する。利用者属性情報32においては、カードID欄111に記憶されたカードIDに関連付けて、氏名欄112には氏名が、性別欄113には性別が、生年月日欄114には生年月日が、電話番号欄115には電話番号が、定期区間欄116には定期区間が、定期種別欄117には定期種別が記憶されている。
カードID欄111のカードIDは、交通ICカード9を一意に特定する識別子である。
氏名欄112の氏名は、利用者の氏名である。
性別欄113の性別は、利用者の性別である。
生年月日欄114の性別は、利用者の生年月日である。
電話番号欄115の電話番号は、利用者の電話番号である。
定期区間欄116の定期区間は、交通ICカード9が「定期乗車券」を兼ねている場合、乗車回数に拘わらず運賃が定額料金となる区間の、起点となる駅名及び終点となる駅名の組合せである。交通ICカード9が「定期乗車券」を兼ねていない場合、「−」が記憶される。
【0020】
定期種別欄117の定期種別は、交通ICカード9が「定期乗車券」を兼ねている場合の、定期乗車券のカテゴリを示す。ここでは、「通学」又は「通勤」の何れかである。交通ICカード9が「定期乗車券」を兼ねていない場合、「−」が記憶される。
利用者属性情報32のレコードは、交通ICカード9が発行される都度、駅の定期乗車券発行窓口等の端末装置からの入力に基づいて1つずつ作成される。データ入力時の本人確認は必須ではない。よって、利用者属性情報32のレコードのデータは、正確性が完全ではなく、また、最新データに更新されていない場合も多い。
【0021】
(利用履歴情報)
図6に沿って、利用履歴情報33を説明する。利用履歴情報33においては、カードID欄121に記憶されたカードIDに関連付けて、時刻欄122には時刻が、処理名欄123には処理名が、端末名欄124には端末名が、利用金額欄125には利用金額が記憶されている。
カードID欄121のカードIDは、図5のカードIDと同じである。
時刻欄122の時刻は、自動改札機5が交通ICカード9を読み取った月日時分である。なお、時刻は、年、秒を含んでいてもかまわない。
【0022】
処理名欄123の処理名は、自動改札機5が行った処理の名称である。交通ICカード9が自動改札機5に読み取られる際、駅構外から駅構内に向かって交通ICカード9が通過する場合、処理名は「入場」となる。駅構内から駅構外に向かって交通ICカード9が通過する場合、処理名は「出場」となる。また、本実施形態においては、自動改札機5は、例えば、駅の内外に所在する商店等で、利用者が交通ICカード9を使用して買い物をする場合に、商店において交通ICカード9を読み取る自動販売機等も含む。この場合、処理名は「商品購入」となる。さらに、自動改札機5は、例えば、利用者が交通ICカード9に対して現金をチャージする際に使用される、駅の内外に所在するチャージ機等も含む。この場合、処理名は「チャージ」となる。
【0023】
端末名欄124の端末名は、自動改札機5(自動販売機、チャージ機等を含む)を一意に特定する識別子である。なお、端末名は、例えば、「A駅0001」、「B駅自動販売機01」のように、自動改札機5が配置されている駅の名称を含むことにより、利用者が通過した場所を特定できるものとする。利用者は、入場した後必ず出場するので、当該「場所」は、交通機関を利用した区間を示すことになる。
利用金額欄125の利用金額は、交通ICカード9に記憶されているチャージ残高が、当該処理の前後において変化した金額である。減少した場合には負数が、増加した場合には正数が記憶される。通常、負数は、「商品購入」又は(定期乗車券利用以外の)「出場」に対応し、正数は、「チャージ」に対応する。処理名「入場」には、通常、利用金額「0」が対応する。
【0024】
(乗換時間情報)
図7に沿って、乗換時間情報34を説明する。乗換時間情報34においては、駅1欄131に記憶された駅名1と、駅2欄132に記憶された駅名2との組合せに関連付けて、乗換時間欄133には乗換時間が記憶されている。
利用者がある駅の自動改札機5を通過しその駅構外に出て、続いて、他の駅の自動改札機5を通過しその駅構内に入ること、すなわち、ある駅を「出場」した後所定の時間(後記する「乗換時間」である)内に、他の駅に「入場」することを本実施形態では「乗換」という。「ある駅」と「他の駅」とは、同一の鉄道会社の駅である必要はない。さらに、「ある駅」と「他の駅」とは、同一の駅名を有している必要もない。
【0025】
駅1欄131の駅名1は、前記した「ある駅」の名称である。ここでは、さらに詳しく、鉄道会社名、路線名及び駅名の組合せである。
駅2欄132の駅名2は、前記した「他の駅」の名称である。ここでは、さらに詳しく、鉄道会社名、路線名及び駅名の組合せである。
乗換時間欄133の乗換時間は、利用者が「ある駅」を出場し、「他の駅」に入場するまでの平均的な時間である。乗換時間は、「ある駅」と「他の駅」との間の距離、混雑度などによって異なる。
【0026】
(名寄せ中間情報)
図8(a)に沿って、名寄せ中間情報35を説明する。名寄せ中間情報35は、唯一の欄である同一利用者カードID欄141を有する。各レコードには、名寄せ装置1が、利用者属性情報名寄せ処理P3において、同一の利用者が使用している可能性があると判断する、複数の交通ICカード9のカードIDが、同一利用者カードIDとして記憶されている。
例えば、1行目のレコードを参照すると、カードIDが「12345」である交通ICカード9と、カードIDが「78901」である交通ICカード9とは、同一の利用者によって使用されていると、名寄せ装置1が、利用者属性情報名寄せ処理P3(図3)において判断していることがわかる。同様に、2行目のレコードを参照すると、カードIDが「37777」である交通ICカード9と、カードIDが「40000」である交通ICカード9と、カードIDが「12789」である交通ICカード9とは、同一の利用者によって使用されていると、名寄せ装置1が、利用者属性情報名寄せ処理P3において判断していることがわかる。
【0027】
(名寄せ結果情報)
図8(b)に沿って、名寄せ結果情報36を説明する。名寄せ結果情報36においては、同一利用者カードID欄151に記憶された同一利用者カードIDに関連付けて、判定結果欄152には判定結果が記憶されている。
同一利用者カードID欄151の同一利用者カードIDは、図8(a)の同一利用者カードIDと同じである。
判定結果欄152の判定結果は、名寄せ装置1が、利用履歴情報名寄せ処理P5(図3)において、複数の同一利用者カードIDがどのような関係にあるかについて最終的に判断した結果を示す情報である。本実施形態では、判定結果には、「同一利用者」、「同行行動者」、「異なる利用者」及び「不明」の4種類が存在する。
【0028】
「同一利用者」は、複数の交通ICカード9が、同一の利用者に利用されていることを示す。1人の利用者が鉄道会社ごとに、又は路線ごとに、交通ICカード9を使い分けている場合等が「同一利用者」に相当する。この場合、名寄せを行うことによって、例えば、複数の交通ICカード9の利用代金の合計額に応じて、利用者に対してポイントを付与する、複数の交通ICカード9が利用される複数の駅近辺の地域情報を同一の利用者にまとめて提供する、のようなサービスが可能になる。
【0029】
「同行行動者」は、複数の交通ICカード9が、別々の利用者によって利用されているが、これらの利用者が共に行動していることを示す。例えば、親が子供に対して記名式プリペイドカードを貸し与えて家族で移動するような場合等が「同行行動者」に相当する。この場合、名寄せを行うことによって、例えば、家族旅行やグループ旅行等、親しい者同士に対して提供可能なサービスの案内を行うことが可能になる。
【0030】
「異なる利用者」は、複数の交通ICカード9が、異なる利用者に利用されていることを示す。例えば、ある利用者が、ある駅を通過するほぼ同じ時刻に、当該利用者である可能性がある利用者が、ある駅から遠く離れた駅を通過する場合が「異なる利用者」に相当する。ある利用者が「入場」した後「出場」するまでの間に、当該利用者である可能性がある利用者が、別途「入場」(又は「出場」)する場合も「異なる利用者」に相当する。
「不明」は、名寄せ装置1が、利用履歴情報名寄せ処理P5(図3)において、2つの交通ICカード9の関係を、「同一利用者」であるとも、「同行行動者」であるとも、さらに「異なる利用者」であるとも判断できなかったことを示す。
【0031】
(処理手順)
以降、図9〜図11に沿って、本実施形態の処理手順を説明する。処理手順には、(1)名寄せ条件設定処理手順、及び、(2)名寄せ処理手順の2つが存在する。(2)が実行されるためには、(1)が終了していることが前提になっている。(1)は、図3の符号P1の処理に対応する。(2)は、図3の符号P2〜P5の処理に対応する。
【0032】
(名寄せ条件設定処理手順)
図9に沿って、名寄せ条件設定処理手順を説明する。
ステップS301において、名寄せ装置1の名寄せ条件設定部22は、名寄せ条件設定画面41(図12)を表示する。名寄せ条件設定画面41が表示されるのは、情報端末装置3の出力装置である。名寄せ条件設定画面41は、名寄せ条件情報31(図4)を作成するためにデータの入力を受け付ける画面である。名寄せ条件設定画面41は、属性名寄せ条件欄161、利用履歴名寄せ条件欄162及び終了ボタン163を有する。属性名寄せ条件欄161は、名寄せ条件情報31の1行目のレコードに対応しており、ユーザが、氏名、性別、生年月日等の項目を属性キー(検索キー)として選択できるようになっている。利用履歴名寄せ条件欄162は、名寄せ条件情報31の2〜4行目のレコードに対応しており、ユーザが、乗換時間幅等の閾値を入力できるようになっている。
【0033】
ステップS302において、名寄せ条件設定部22は、「初期登録」又は「設定変更」を受け付ける。具体的には、名寄せ条件設定部22は、第1に、『初めて名寄せ条件情報を登録する場合は「初期登録」を入力して下さい。それ以外の場合は「設定変更」を入力してください』のようなメッセージを情報端末装置3の出力装置に表示する。
名寄せ条件設定部22は、第2に、ユーザがキーボード等の入力装置を介して「初期登録」又は「設定変更」を入力するのを受け付ける。
【0034】
ステップS303において、名寄せ条件設定部22は、「設定変更」が入力されたか否かを判断する。具体的には、名寄せ条件設定部22は、ステップS302の「第2」において「設定変更」を受け付けた場合(ステップS303“YES”)は、ステップS304に進み、それ以外の場合(ステップS303“NO”)は、ステップS306に進む。
【0035】
ステップS304において、名寄せ条件設定部22は、変更後の項目条件値を受け付けたか否かを判断する。具体的には、名寄せ条件設定部22は、ステップS303が終了した後所定の時間が経過するまでの間に、名寄せ条件設定画面41(図12)の属性名寄せ条件欄161において少なくとも1つの属性キーが選択され、かつ、利用履歴名寄せ条件欄162において3つの閾値が入力されたうえで、終了ボタン163が押下された場合(ステップS304“YES”)は、ステップS305に進む。それ以外の場合(ステップS304“NO”)は、名寄せ条件設定処理手順を終了する。名寄せ条件設定部22は、既存の登録済み属性キー及び閾値を強調表示(上書きを促進するような点滅表示等)し、「登録済みのデータに対して変更値を設定してください」のようなメッセージも表示してもよい。
【0036】
ステップS305において、名寄せ条件設定部22は、名寄せ条件情報31のレコードを更新する。具体的には、名寄せ条件設定部22は、名寄せ条件情報31の既存のレコードに対して、ステップS304において選択(又は入力)された、属性キー及び閾値を、上書きして記憶する。
その後、名寄せ条件設定処理手順を終了する。
【0037】
ステップS306において、名寄せ条件設定部22は、条件項目値を受け付ける。具体的には、名寄せ条件設定部22は、ユーザが、名寄せ条件設定画面41(図12)の属性名寄せ条件欄161において少なくとも1つの属性キーを選択し、かつ、利用履歴名寄せ条件欄162において3つの閾値を入力したうえで、終了ボタン163を押下するのを受け付ける。
【0038】
ステップS307において、名寄せ条件設定部22は、名寄せ条件情報31のレコードを作成する。具体的には、名寄せ条件設定部22は、名寄せ条件情報31を新たに作成し、各レコードに対して、ステップS306において選択された(又は入力された)属性キー及び閾値を記憶する。
その後、名寄せ条件設定処理手順を終了する。
【0039】
(名寄せ処理手順)
図10及び図11に沿って、名寄せ処理手順を説明する。
ステップS401において、名寄せ装置1の名寄せ部21は、名寄せ条件情報31(図4)及び利用者属性情報32(図5)を取得する。
【0040】
ステップS402において、名寄せ部21は、名寄せ中間情報35(図8(a))を作成する。具体的には、名寄せ部21は、第1に、名寄せ条件情報31の1行目のレコードの条件項目値(属性キー)を取得する。ここでは、「氏名」、「性別」及び「生年月日」が取得されたとする。
名寄せ部21は、第2に、利用者属性情報32の各欄のうち、ステップS402の「第1」において取得された条件項目値(属性キー)を見出しに有する欄の値を、ハッシュ関数に対して入力し、出力として「ハッシュ値」を取得する。当該処理は利用者属性情報32のすべてのレコードについて行う。例えば、「鈴木和夫、男性、1990/01/01」をハッシュ関数に入力すると、桁数や大きさの範囲が正規化されており、相互に比較することが容易であるハッシュ値が出力される。そして、このハッシュ値が相互に近似している場合は、文字列・数値等の入力値が相互に近似していることになる。
【0041】
名寄せ部21は、第3に、利用者属性情報32の複数のレコードを、ハッシュ値が同一であるもの同士、又は、同一とまでは言えなくても相互の差分が所定の数値範囲内にあるもの同士でグルーピングする。つまり、ステップS402の「第1」において取得された、すべての条件項目値(属性キー)が近似しているレコードをグルーピングする。同一グループに属するレコードの数は、複数であればいくつでもよい。なお、ハッシュ値を使用したグルーピングはあくまでも一例であり、名寄せ部21は、他の公知の方法によってグルーピングを行ってもよい。
【0042】
名寄せ部21は、第4に、名寄せ中間情報35のレコードをグループの数だけ新たに作成する。そして、グループに属するすべてのレコードのカードIDの組合せを、グループごとに、新たに作成したレコードの同一利用者カードID欄141に記憶する。
【0043】
ステップS403において、名寄せ部21は、名寄せ中間情報35のレコードを1つ取得する。ここでは、例えば図8(a)の1行目のレコードが取得されたとする。ここで取得されたレコードを、以降、「名寄せ対象レコード」ということがある。
【0044】
ステップS404において、名寄せ部21は、利用履歴情報33(図6)を取得する。具体的には、名寄せ部21は、第1に、名寄せ対象レコードに記憶されている同一利用者カードIDのうちの、任意の1つ(例えば「12345」)を検索キーとして、利用履歴情報33を検索し、該当したレコードの群を「第1の群」とする。
名寄せ部21は、第2に、名寄せ対象レコードに記憶されている同一利用者カードIDのうちの他の任意の1つ(例えば「78901」)を検索キーとして、利用履歴情報33を検索し、該当したレコードの群を「第2の群」とする。
【0045】
ステップS405において、名寄せ部21は、駅の利用頻度を集計する。具体的には、名寄せ部21は、第1に、第1の群及び第2群のそれぞれについて、端末名に含まれる駅名をキーとして、レコードを並び替え、同じ駅名を含むレコードの数を集計する。この処理において、名寄せ部21は、カードIDと駅名の組合せごとに利用頻度を関連付ける、[カードID、駅名、利用頻度]という情報を取得することになる。なお、名寄せ部21は、取得した[カードID、駅名、利用頻度]という情報のうち、利用頻度が名寄せ条件情報31の2行目の条件項目値(頻度)に満たないものを削除してもよい。
【0046】
名寄せ部21は、第2に、[カードID、駅名、利用頻度]を、利用頻度の高い順にならべることによって、カードIDごとに、[カードID、最も利用頻度が高い駅名、2番目に利用頻度が高い駅名、3番目に・・・、]という情報を取得する。
【0047】
ステップS406において、名寄せ部21は、定期駅と利用頻度の高い駅との一致を調べる。具体的には、名寄せ部21は、第1に、第1の群のカードIDを検索キーとして、利用者属性情報32(図5)を検索し、該当したレコードの定期区間に含まれる「起点となる駅名」及び「終点となる駅名」を取得する。
名寄せ部21は、第2に、取得済みである[カードID、最も利用頻度が高い駅名、2番目に利用頻度が高い駅名、3番目に・・・、]という情報のうち、第2の群のカードIDを有するものを特定し、特定した情報に含まれる「最も利用頻度が高い駅名」を取得する。
名寄せ部21は、第3に、ステップS406の「第1」において取得した「起点となる駅名」及び「終点となる駅名」のうちの少なくとも一方と、ステップS406の「第2」において取得した「最も利用頻度が高い駅名」とが一致するか否かを調べる。そして、調査結果として、名寄せ部21は、「一致する」又は「一致しない」の何れかを生成する。
なお、「起点となる駅名」及び「終点となる駅名」が取得できない(定期乗車券の利用がない)場合、名寄せ部21は、ステップS406及びS407を省略して、ステップS408に進むものとする。
【0048】
ステップS407において、名寄せ部21は、定期駅と利用頻度の高い駅とが一致するか否かを判断する。具体的には、名寄せ部21は、ステップS406の「第3」において生成された調査結果が「一致する」である場合(ステップS407“YES”)は、ステップS418に進み、それ以外の場合(ステップS407“NO”)は、ステップS408に進む。
【0049】
ステップS408において、名寄せ部21は、利用頻度の高い駅同士の一致を調べる。具体的には、名寄せ部21は、第1に、取得済みである[カードID、最も利用頻度が高い駅名、2番目に利用頻度が高い駅名、3番目に・・・、]という情報のうち、第1の群のカードIDを有するものを特定し、特定した情報に含まれる「最も利用頻度が高い駅名」を取得する。
名寄せ部21は、第2に、ステップS408の「第1」において取得した「最も利用頻度が高い駅名」と、ステップS406の「第2」において取得した「最も利用頻度が高い駅名」とが一致するか否かを調べる。ステップS406を経由していない場合は、名寄せ部21は、取得済みである[カードID、最も利用頻度が高い駅名、2番目に利用頻度が高い駅名、3番目に・・・、]という情報のうち、第2の群のカードIDを有するものを特定し、特定した情報に含まれる「最も利用頻度が高い駅名」を取得した後、一致するか否かを調べる。そして、調査結果として、名寄せ部21は、「一致する」又は「一致しない」の何れかを生成する。
【0050】
ステップS409において、名寄せ部21は、利用頻度の高い駅同士が一致するか否かを判断する。具体的には、名寄せ部21は、ステップS408の「第2」において生成された調査結果が「一致する」である場合(ステップS409“YES”)は、ステップS418に進み、それ以外の場合(ステップS409“NO”)は、ステップS410に進む。
【0051】
ステップS410において、名寄せ部21は、乗換に該当する履歴があるか否かを調べる。具体的には、名寄せ部21は、第1に、第1の群のカードID及び処理名「出場」を検索キーとして利用履歴情報33を検索し、該当したレコードの端末名に含まれる駅名を「出場乗換駅」として特定し、そのレコードの時刻を「出場時刻」として特定する。該当したレコードが複数ある場合もあり得る。
【0052】
名寄せ部21は、第2に、第2の群のカードID及び処理名「入場」を検索キーとして利用履歴情報33を検索し、該当したレコードの端末名に含まれる駅名を「入場乗換駅」として特定し、そのレコードの時刻を「入場時刻」として特定する。該当したレコードが複数ある場合もあり得る。
【0053】
名寄せ部21は、第3に、以下の条件1〜条件4がすべて満たされる履歴が少なくとも1つ存在するか否かを調べる。
(条件1)「入場乗換駅」と「出場乗換駅」の組合せが、図7の駅名1及び駅名2の組合せの何れかに一致する。なお、一致した組合せを「乗換駅組合せ」という。
(条件2)「出場時刻」に含まれる「月日」が、「入場時刻」に含まれる「月日」と一致する。
(条件3)条件2において「月日」が一致した「出場時刻」及び「入場時刻」について、「出場時刻」に含まれる「時分」が「入場時刻」に含まれる「時分」よりも時間的に前である。
(条件4)条件2において「月日」が一致した「出場時刻」及び「入場時刻」について、「入場時刻」に含まれる「時分」から「出場時刻」に含まれる「時分」を控除した差分が、「乗換駅組合せ」を有する乗換時間情報34のレコードの乗換時間に対して名寄せ条件情報31の3行目の条件項目値(乗換時間幅)を加算した値よりも小さい。
名寄せ部21は、第4に、調査結果として「存在する」又は「存在しない」の何れかを生成する。
【0054】
ステップS411において、名寄せ部21は、乗換に該当する履歴があるか否かを判断する。具体的には、名寄せ部21は、ステップS410の「第4」において生成された調査結果が「存在する」である場合(ステップS411“YES”)は、ステップS418に進み、それ以外の場合(ステップS411“NO”)は、ステップS412に進む。
【0055】
ステップS412において、名寄せ部21は、同行行動に該当する履歴があるか否かを調べる。具体的には、名寄せ部21は、第1に、第1の群のカードID及び処理名「入場」又は「出場」を検索キーとして利用履歴情報33を検索し、該当したレコードの端末名に含まれる駅名を「同行入出場駅1」として特定し、そのレコードの時刻を「同行入出場時刻1」として特定する。該当したレコードが複数ある場合もあり得る。
【0056】
名寄せ部21は、第2に、第2の群のカードID及び処理名「入場」又は「出場」を検索キーとして利用履歴情報33を検索し、該当したレコードの端末名に含まれる駅名を「同行入出場駅2」として特定し、そのレコードの時刻を「同行入出場時刻2」として特定する。該当したレコードが複数ある場合もあり得る。
なお、「第1」において「入場」を検索キーとする場合は、「第2」においても「入場」を検索キーとする。同様に、「第1」において「出場」を検索キーとする場合は、「第2」においても「出場」を検索キーとする。
【0057】
名寄せ部21は、第3に、以下の条件5〜条件7がすべて満たされる履歴が少なくとも1つ存在するか否かを調べる。
(条件5)「同行入出場駅1」と、「同行入出場駅2」とが一致する。
(条件6)「同行入出場時刻1」に含まれる「月日」が、「同行入出場時刻2」に含まれる「月日」と一致する。
(条件7)条件6において「月日」が一致した「同行入出場時刻1」及び「同行入出場時刻2」について、「同行入出場時刻1」に含まれる「時分」から、「同行入出場時刻2」に含まれる「時分」を控除した差分の絶対値が、名寄せ条件情報31の4行目のレコードの条件項目値(同行行動時間幅)よりも小さい。
名寄せ部21は、第4に、調査結果として「存在する」又は「存在しない」の何れかを生成する。
【0058】
ステップS413において、名寄せ部21は、同行行動に該当する履歴があるか否かを判断する。具体的には、名寄せ部21は、ステップS412の「第4」において生成された調査結果が「存在する」である場合(ステップS413“YES”)は、ステップS419に進み、それ以外の場合(ステップS413“NO”)は、ステップS414に進む。
【0059】
ステップS414において、名寄せ部21は、異なる利用者に該当する履歴があるか否かを調べる。具体的には、名寄せ部21は、以下の条件8〜条件10がすべて満たされる履歴が少なくとも1つ存在するか否かを調べる。
(条件8)「同行入出場駅1」と、「同行入出場駅2」とが異なる。
(条件9)「同行入出場時刻1」に含まれる「月日」が、「同行入出場時刻2」に含まれる「月日」と一致する。
(条件10)条件9において「月日」が一致した「同行入出場時刻1」及び「同行入出場時刻2」について、「同行入出場時刻1」に含まれる「時分」から、「同行入出場時刻2」に含まれる「時分」を控除した差分の絶対値が、名寄せ条件情報31の4行目のレコードの条件項目値(同行行動時間幅)よりも小さい。
名寄せ部21は、調査結果として「存在する」又は「存在しない」の何れかを生成する。
【0060】
名寄せ部21は、前記したステップS414の処理に代替して以下のステップS414(その2)を実行してもよい。
ステップS414(その2)において、名寄せ部21は、異なる利用者に該当する履歴があるか否かを調べる。具体的には、名寄せ部21は、第1に、第1の群のカードID及び処理名「入場」を検索キーとして利用履歴情報33を検索し、該当したレコードの端末名に含まれる駅名を「同行入場駅1」として特定し、そのレコードの時刻を「同行入場時刻1」として特定する。該当したレコードが複数ある場合もあり得る。
【0061】
名寄せ部21は、第2に、第1の群のカードID及び処理名「出場」を検索キーとして利用履歴情報33を検索し、該当したレコードの端末名に含まれる駅名を「同行出場駅1」として特定し、そのレコードの時刻を「同行出場時刻1」として特定する。該当したレコードが複数ある場合もあり得る。
【0062】
名寄せ部21は、第3に、第2の群のカードID及び処理名「入場」を検索キーとして利用履歴情報33を検索し、該当したレコードの端末名に含まれる駅名を「同行入場駅2」として特定し、そのレコードの時刻を「同行入場時刻2」として特定する。該当したレコードが複数ある場合もあり得る。
【0063】
名寄せ部21は、第4に、第2の群のカードID及び処理名「出場」を検索キーとして利用履歴情報33を検索し、該当したレコードの端末名に含まれる駅名を「同行出場駅2」として特定し、そのレコードの時刻を「同行出場時刻2」として特定する。該当したレコードが複数ある場合もあり得る。
【0064】
名寄せ部21は、第5に、以下の条件11〜条件13がすべて満たされる履歴が少なくとも1つ存在するか否かを調べる。
(条件11)「同行入場駅1」と「同行入場駅2」とが異なる。又は、「同行出場駅1」と「同行出場駅2」とが異なる。
(条件12)「同行入場時刻1」に含まれる「月日」が、「同行入場時刻2」に含まれる「月日」、「同行出場時刻1」に含まれる「月日」、及び、「同行出場時刻2」に含まれる「月日」のすべてと一致する。
(条件13)条件12において「月日」が一致した「同行入場時刻1」等について、「同行入場時刻1」に含まれる「時分」と、「同行出場時刻1」に含まれる「時分」との間の期間内に、「同行入場時刻2」に含まれる「時分」又は「同行出場時刻2」に含まれる「時分」のうちの何れかが含まれる。
名寄せ部21は、第6に、調査結果として「存在する」又は「存在しない」の何れかを生成する。
【0065】
ステップS415において、名寄せ部21は、異なる利用者に該当する履歴があるか否かを判断する。具体的には、名寄せ部21は、ステップS414において(又はステップS414(その2)の「第6」において)生成された調査結果が「存在する」である場合(ステップS415“YES”)は、ステップS417に進み、それ以外の場合(ステップS415“NO”)は、ステップS416に進む。
【0066】
ステップS416において、名寄せ部21は、名寄せ結果情報36(図8(b))に「不明」を追加する。具体的には、名寄せ部21は、第1に、名寄せ結果情報36の新たなレコードを作成する。
名寄せ部21は、第2に、新たなレコードの同一利用者カードID欄151に、「名寄せ対象レコード」の同一利用者カードIDを記憶し、判定結果欄152に、「不明」を生成した上で記憶する。
【0067】
ステップS417において、名寄せ部21は、名寄せ結果情報36(図8(b))に「異なる利用者」を追加する。具体的には、名寄せ部21は、第1に、名寄せ結果情報36の新たなレコードを作成する。
名寄せ部21は、第2に、新たなレコードの同一利用者カードID欄151に、「名寄せ対象レコード」の同一利用者カードIDを記憶し、判定結果欄152に、「異なる利用者」を生成した上で記憶する。
【0068】
ステップS418において、名寄せ部21は、名寄せ結果情報36(図8(b))に「同一利用者」を追加する。具体的には、名寄せ部21は、第1に、名寄せ結果情報36の新たなレコードを作成する。
名寄せ部21は、第2に、新たなレコードの同一利用者カードID欄151に、「名寄せ対象レコード」の同一利用者カードIDを記憶し、判定結果欄152に、「同一利用者」を生成した上で記憶する。
【0069】
ステップS419において、名寄せ部21は、名寄せ結果情報36(図8(b))に「同行行動者」を追加する。具体的には、名寄せ部21は、第1に、名寄せ結果情報36の新たなレコードを作成する。
名寄せ部21は、第2に、新たなレコードの同一利用者カードID欄151に、「名寄せ対象レコード」の同一利用者カードIDを記憶し、判定結果欄152に、「同行行動者」を生成した上で記憶する。
【0070】
ステップS420において、名寄せ部21は、名寄せ中間情報35(図8(a))の次のレコードがあるか否かを判断する。具体的には、名寄せ部21は、名寄せ中間情報35に、次の「名寄せ対象レコード」となるべき未処理のレコードが残っている場合(ステップS420“YES”)は、ステップS403に戻り、それ以外の場合(ステップS420“NO”)は、名寄せ処理手順を終了する。
【0071】
(ステップS403〜S420の補足説明)
前記においては、名寄せ対象レコードに含まれる同一利用者カードIDが2つである場合を想定した。例えば、名寄せ対象レコードが図8(a)の1行目のレコードである場合、同一利用者カードIDは、「12345」と「78901」の2つである。このとき、名寄せ部21は、「12345」と「78901」との判定結果が、「同一利用者」、「同行行動者」、「異なる利用者」及び「不明」のうちの何れかであるかを決定する。
【0072】
しかしながら、名寄せ対象レコードに含まれる同一利用者カードIDが3つ以上である場合もあり得る。例えば、名寄せ対象レコードが図8(a)の2行目のレコードである場合、同一利用者カードIDは、「37777」、「40000」及び「12789」の3つである。このとき、名寄せ部21は、2つの同一利用者カードIDのすべての組合せについて、ステップS403〜S419の処理を実行する。具体的には、名寄せ部21は、まず、「37777」と「40000」との判定結果が、「同一利用者」、「同行行動者」、「異なる利用者」及び「不明」のうちの何れかであるかを決定し、次に、「37777」と「12789」との判定結果についても同様の処理を行い、最後に、「40000」と「12789」との判定結果についても同様の処理を行う。つまり、同一利用者カードIDの組合せごとに判定結果が異なる場合もあり得る。
【0073】
このような場合、名寄せ部21は、ステップS416(S417、S418、S419)において、名寄せ結果情報36の判定結果を記憶する際、判定結果を、その判定の対象となった同一利用者カードIDの組合せに関連付けて記憶する。たとえば、「37777と40000は同一利用者、37777と12789は同一利用者、40000と12789は不明」のように記憶する。
【0074】
(変形例1)
前記では、複数の乗車券システム2が存在する場合、乗車券システム2から取得する利用者属性情報32はすべて同一のデータ型式を有することを前提に説明を行った。さらに、乗車券システム2から取得する利用履歴情報33もすべて同一のデータ型式を有すること前提に説明を行った。
しかしながら、乗車券システム2が異なれば(鉄道会社が異なれば)、通常は、利用者属性情報32及び利用履歴情報33のデータ型式は異なる。そこで、名寄せ装置1は、プログラムとして、データ型式変換部を備えることとする。データ型式変換部は、ステップS401において、取得した利用者属性情報32のデータ型式を、名寄せ装置1において処理可能な特定のデータ型式に変換する。さらに、データ型式変換部は、ステップS404において、取得した利用履歴情報33のデータ型式を、名寄せ装置1において処理可能な特定のデータ型式に変換する。
【0075】
(変形例2)
利用履歴情報33のレコード数は膨大である。したがって、名寄せ装置1の名寄せ部21は、ステップS404において、例えば、「現在の月」を、時刻を検索する検索キーとして加えることによって、処理速度を速めることが可能である。さらに、特定の時刻の範囲(春季、秋季等)を検索キーとすることによって、名寄せ装置1は、当該特定の時刻の範囲についての判定結果を得ることができる。
【0076】
(変形例3)
利用履歴情報33の情報の種類は、図6に示されたものに限定されない。例えば、駅係員窓口や自動精算機での精算処理時の時刻及び場所(端末名)、スタンプラリーやクーポン券取得等で情報端末に接触した際の時刻及び場所が利用履歴情報33に記憶されてもよい。
【0077】
(変形例4)
前記したすべての閾値は、固定値に限定されるものではなく、可変値であってもかまわない。例えば、名寄せ条件情報31(図4)における乗換時間幅及び同行行動時間幅は、平均入出場数に応じて、駅ごと、時刻(季節)ごとに変化させてもよい。
【0078】
(本実施形態の効果)
本実施形態によれば、名寄せを高精度で行うことが可能になる。したがって、利用者の行動エリアや購買嗜好により適合した販促情報を提供することが可能になる。例えば、1人の利用者に対して、乗換前後の駅周辺の販促情報を同時に提供すること、複数の交通ICカードのポイントをまとめて集計すること、家族・グループ向けの販促情報を提供すること等が可能になる。
【0079】
本発明は、前記した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更実施が可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 名寄せ装置
2 乗車券システム
3 情報端末装置
4a、4b、8a、8b ネットワーク
5 自動改札機
6 駅サーバ
7 管理サーバ
9 交通ICカード(携帯用情報記憶媒体)
11 中央制御装置(制御部)
12 主記憶装置(記憶部)
13 補助記憶装置(記憶部)
14 入力装置
15 出力装置
16 通信インタフェース
21 名寄せ部
22 名寄せ条件設定部
31 名寄せ条件情報
32 利用者属性情報
33 利用履歴情報
34 乗換時間情報
35 名寄せ中間情報
36 名寄せ結果情報
41 名寄せ条件設定画面
【技術分野】
【0001】
本発明は、名寄せ装置及び名寄せ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通乗車券及び電子マネーとして利用可能な交通IC(Integrated Circuit)カードが急速に普及し、それに伴い、交通ICカードを用いた各種情報サービスも普及しつつある。例えば、特許文献1に開示されている発明は、移動する個人の位置情報と時刻情報の集合である交通ICカードの利用履歴から、時間ごとの駅周辺滞在率を算出する。そして、この駅周辺滞在率を地域情報とマッチングすることにより、交通ICカードの利用者に適した情報を提供する。
一方、このような情報提供サービスを提供する場合、一人の利用者が複数の交通ICカードを保持していることが考えられる。そこで、「名寄せ」を行うことが必要となる。「名寄せ」とは、例えば金融機関等において、住所、氏名、電話番号等の、顧客を特定可能な属性情報をキーとして、同一の顧客には一意なキーを割り当てる処理である。
交通ICカードの場合、登録されている属性情報が不正確であることがある。さらには、その情報の入力が任意であるため、ある項目自体が登録されていないこともある。これに起因し、交通ICカードの名寄せを高精度で行うことは一般的に困難である。交通ICカードの名寄せを行う発明として、例えば特許文献2が開示されている。特許文献2の発明は、属性情報の他に顧客のクレジットカード番号を用いて名寄せを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−102950号公報(段落0010)
【特許文献2】特開2010−55227号公報(段落0008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の発明は、名寄せを行うことを全く想定していない。特許文献2の発明は、一人の利用者が、1つのクレジットカードのみを使用して商品等の購入をする場合には有効である。しかしながら、一人の利用者が、複数のクレジットカードを使用する場合、又は、そもそもクレジットカードを使用せず商品等の購入を行う場合は、名寄せが行えない。
そこで、本発明は、交通ICカードの名寄せを高精度で行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の名寄せ装置は、複数の携帯用情報記憶媒体を利用する複数の利用者の同一性を決定する名寄せ装置であって、携帯用情報記憶媒体の識別子に関連付けて、利用者の属性情報が記憶される利用者属性情報と、携帯用情報記憶媒体の識別子に関連付けて、携帯用情報記憶媒体を用いて交通機関を利用した時刻及び区間が記憶される利用履歴情報と、が格納される記憶部と、同一の利用者が利用している可能性がある携帯用情報記憶媒体の識別子の組合せを、属性情報に基づいて取得し、利用履歴情報に基づいて、取得した組合せごとに判定結果を生成する制御部と、を有し、判定結果は、同一の利用者が、取得した組合せの2つの携帯用情報記憶媒体を利用していることを示す第1の判定結果、同行する2人の利用者が、取得した組合せの2つの携帯用情報記憶媒体を利用していることを示す第2の判定結果、異なる利用者が、取得した組合せの2つの携帯用情報記憶媒体を利用していることを示す第3の判定結果、及び、第1の判定結果、第2の判定結果及び第3の判定結果のうちのいずれであるとも言えないことを示す第4の判定結果、のうちの何れかであることを特徴とする。
その他の手段については、発明を実施するための形態において詳述する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、交通ICカードの名寄せを高精度で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施形態に係る名寄せ装置と、乗車券システム及び情報端末装置との関係を説明する図である。
【図2】本実施形態に係る名寄せ装置の構成を説明する図である。
【図3】本実施形態に係る名寄せ装置が実行する処理の概要を説明する図である。
【図4】本実施形態に係る名寄せ条件情報の一例を示す図である。
【図5】本実施形態に係る利用者属性情報の一例を示す図である。
【図6】本実施形態に係る利用履歴情報の一例を示す図である。
【図7】本実施形態に係る乗換時間情報の一例を示す図である。
【図8】(a)は、本実施形態に係る名寄せ中間情報の一例を示す図である。(b)は、本実施形態に係る名寄せ結果情報の一例を示す図である。
【図9】本実施形態に係る名寄せ条件設定処理手順のフローチャートである。
【図10】本実施形態に係る名寄せ処理手順のフローチャートである。
【図11】本実施形態に係る名寄せ処理手順(続き)のフローチャートである。
【図12】本実施形態に係る名寄せ条件設定画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態(「本実施形態」という)を、図等を参照しながら詳細に説明する。以下では、交通ICカードの利用者(以下、単に「利用者」と呼ぶ場合がある)が、鉄道を利用する例を説明する。しかしながら、利用者が、鉄道以外の交通機関、例えば、路線バス等を利用する場合、さらに、鉄道と鉄道以外の交通機関を併用する場合にも本発明は広く適用可能である。
【0009】
(名寄せ装置の位置付けほか)
図1に沿って、名寄せ装置1と、乗車券システム2及び情報端末装置3との関係を説明する。名寄せ装置1は、ネットワーク4a、4bを介して、それぞれ、乗車券システム2及び情報端末装置3と相互に接続可能である。
【0010】
名寄せ装置1は、一般的なコンピュータであり、交通ICカード9の利用者の名寄せを行う(詳細後記)。情報端末装置3もまた、一般的なコンピュータであり、名寄せ装置1のユーザが、名寄せ装置1に対して、名寄せ条件情報(詳細後記)の設定を行う際に使用される。名寄せ装置1は、通常、鉄道会社によって、又は、鉄道会社に対して名寄せを行うサービスを提供する主体によって管理され、その数は1台である。情報端末装置3も通常、鉄道会社によって、又は、鉄道会社に対して「名寄せ」を行うサービスを提供する主体によって管理されるが、その数は複数である。
なお、「携帯用情報記憶媒体」には、交通ICカードが相当する。
【0011】
乗車券システム2は、自動改札機5、駅サーバ6及び管理サーバ7を含んで構成される。自動改札機5と駅サーバ6とは、ネットワーク8aを介して相互に通信可能である。駅サーバ6と管理サーバ7とは、ネットワーク8bを介して相互に通信可能である。自動改札機5は、ICカードリーダを有する入退場ゲートである。自動改札機5は、自動改札機5を通過する交通ICカード9に記憶された情報を読み取る。なお、交通ICカード9は、例えば定期乗車券、記名式プリペイドカード等である。自動改札機5は、通常、1つの駅に複数台存在する。
【0012】
駅サーバ6は、一般的なコンピュータであり、自動改札機5が読み取った利用履歴情報33(詳細後記)を駅ごとに蓄積する。駅サーバ6は、通常、1つの駅に1台存在する。管理サーバ7もまた、一般的なコンピュータであり、自動改札機5が読み取った利用履歴情報33を鉄道会社ごとに蓄積する。管理サーバ7は、通常、1つの鉄道会社に1台存在する。
以上から明らかなように、通常、乗車券システム2は、鉄道会社の数だけ存在し、1つの乗車券システム2は、1台の管理サーバ7、複数の駅サーバ6及び複数の自動改札機5を有することになる。
【0013】
(名寄せ装置)
図2に沿って、名寄せ装置1の構成を説明する。名寄せ装置1は、中央制御装置11、主記憶装置12、補助記憶装置13、入力装置14、出力装置15及び通信インタフェース16を有する。これらは、相互にバスで接続されている。補助記憶装置13は、名寄せ条件情報31、利用者属性情報32、利用履歴情報33、乗換時間情報34、名寄せ中間情報35及び名寄せ結果情報36を格納する(詳細後記)。名寄せ部21及び名寄せ条件設定部22は、プログラムである。以降において、「○○○部は、」と動作の主体を記した場合は、中央制御装置11が、プログラムとしての○○○部を補助記憶装置13から読み出し、主記憶装置12にロードしたうえで、当該プログラムの機能(詳細後記)を実行するものとする。
【0014】
情報端末装置3、駅サーバ6及び管理サーバ7のそれぞれは、相互にバスで接続された、中央制御装置、主記憶装置、補助記憶装置、入力装置、出力装置及び通信インタフェースを有する(図示せず)。
【0015】
(処理の概要)
図3に沿って、名寄せ装置1が実行する処理の概要を説明する。
名寄せ装置1は、ユーザからの入力に基づき、名寄せ条件情報を作成する(名寄せ条件設定処理P1)。名寄せ条件情報には、利用者属性情報名寄せ処理P3及び利用履歴情報名寄せ処理P5において必要な検索条件等が記憶されている。
名寄せ装置1は、乗車券システム2から利用者属性情報を取得する(利用者属性情報取得処理P2)。利用者属性情報には、利用者の属性情報(氏名、性別等)が記憶されている。名寄せ装置1は、乗車券システム2から利用履歴情報を取得する(利用履歴取得処理P4)。利用履歴情報には、交通ICカード9の利用履歴が記憶されている。
【0016】
名寄せ装置1は、名寄せ条件情報に基づいて利用者属性情報を検索し、名寄せ中間情報を作成する(利用者属性情報名寄せ処理P3)。名寄せ中間情報とは、利用履歴情報を検索することなく、利用者属性情報だけを検索して作成された、名寄せについての未完成の中間結果である。
名寄せ装置1は、名寄せ中間情報及び名寄せ条件情報に基づいて利用履歴情報を検索し、名寄せ結果情報を作成する(利用履歴情報名寄せ処理P5)。名寄せ結果情報とは、利用者属性情報及び利用履歴情報の両者を検索して作成された、名寄せについての最終結果である。
【0017】
(名寄せ条件情報)
図4に沿って、名寄せ条件情報31を説明する。名寄せ条件情報31においては、条件項目欄101に記憶された条件項目に関連付けて、条件項目値欄102には条件項目値が記憶されている。
【0018】
条件項目欄101の条件項目は、前記した、利用者属性情報名寄せ処理P3及び利用履歴情報名寄せ処理P5において使用される、検索キー及び閾値の項目である。ここでは、条件項目として、「属性キー」、「頻度」、「乗換時間幅」及び「同行行動時間幅」の少なくとも4つが存在する(詳細後記)。
条件項目値欄102の条件項目値は、条件項目の具体的な値であり、前記した検索キー及び閾値そのものである。
【0019】
(利用者属性情報)
図5に沿って、利用者属性情報32を説明する。利用者属性情報32においては、カードID欄111に記憶されたカードIDに関連付けて、氏名欄112には氏名が、性別欄113には性別が、生年月日欄114には生年月日が、電話番号欄115には電話番号が、定期区間欄116には定期区間が、定期種別欄117には定期種別が記憶されている。
カードID欄111のカードIDは、交通ICカード9を一意に特定する識別子である。
氏名欄112の氏名は、利用者の氏名である。
性別欄113の性別は、利用者の性別である。
生年月日欄114の性別は、利用者の生年月日である。
電話番号欄115の電話番号は、利用者の電話番号である。
定期区間欄116の定期区間は、交通ICカード9が「定期乗車券」を兼ねている場合、乗車回数に拘わらず運賃が定額料金となる区間の、起点となる駅名及び終点となる駅名の組合せである。交通ICカード9が「定期乗車券」を兼ねていない場合、「−」が記憶される。
【0020】
定期種別欄117の定期種別は、交通ICカード9が「定期乗車券」を兼ねている場合の、定期乗車券のカテゴリを示す。ここでは、「通学」又は「通勤」の何れかである。交通ICカード9が「定期乗車券」を兼ねていない場合、「−」が記憶される。
利用者属性情報32のレコードは、交通ICカード9が発行される都度、駅の定期乗車券発行窓口等の端末装置からの入力に基づいて1つずつ作成される。データ入力時の本人確認は必須ではない。よって、利用者属性情報32のレコードのデータは、正確性が完全ではなく、また、最新データに更新されていない場合も多い。
【0021】
(利用履歴情報)
図6に沿って、利用履歴情報33を説明する。利用履歴情報33においては、カードID欄121に記憶されたカードIDに関連付けて、時刻欄122には時刻が、処理名欄123には処理名が、端末名欄124には端末名が、利用金額欄125には利用金額が記憶されている。
カードID欄121のカードIDは、図5のカードIDと同じである。
時刻欄122の時刻は、自動改札機5が交通ICカード9を読み取った月日時分である。なお、時刻は、年、秒を含んでいてもかまわない。
【0022】
処理名欄123の処理名は、自動改札機5が行った処理の名称である。交通ICカード9が自動改札機5に読み取られる際、駅構外から駅構内に向かって交通ICカード9が通過する場合、処理名は「入場」となる。駅構内から駅構外に向かって交通ICカード9が通過する場合、処理名は「出場」となる。また、本実施形態においては、自動改札機5は、例えば、駅の内外に所在する商店等で、利用者が交通ICカード9を使用して買い物をする場合に、商店において交通ICカード9を読み取る自動販売機等も含む。この場合、処理名は「商品購入」となる。さらに、自動改札機5は、例えば、利用者が交通ICカード9に対して現金をチャージする際に使用される、駅の内外に所在するチャージ機等も含む。この場合、処理名は「チャージ」となる。
【0023】
端末名欄124の端末名は、自動改札機5(自動販売機、チャージ機等を含む)を一意に特定する識別子である。なお、端末名は、例えば、「A駅0001」、「B駅自動販売機01」のように、自動改札機5が配置されている駅の名称を含むことにより、利用者が通過した場所を特定できるものとする。利用者は、入場した後必ず出場するので、当該「場所」は、交通機関を利用した区間を示すことになる。
利用金額欄125の利用金額は、交通ICカード9に記憶されているチャージ残高が、当該処理の前後において変化した金額である。減少した場合には負数が、増加した場合には正数が記憶される。通常、負数は、「商品購入」又は(定期乗車券利用以外の)「出場」に対応し、正数は、「チャージ」に対応する。処理名「入場」には、通常、利用金額「0」が対応する。
【0024】
(乗換時間情報)
図7に沿って、乗換時間情報34を説明する。乗換時間情報34においては、駅1欄131に記憶された駅名1と、駅2欄132に記憶された駅名2との組合せに関連付けて、乗換時間欄133には乗換時間が記憶されている。
利用者がある駅の自動改札機5を通過しその駅構外に出て、続いて、他の駅の自動改札機5を通過しその駅構内に入ること、すなわち、ある駅を「出場」した後所定の時間(後記する「乗換時間」である)内に、他の駅に「入場」することを本実施形態では「乗換」という。「ある駅」と「他の駅」とは、同一の鉄道会社の駅である必要はない。さらに、「ある駅」と「他の駅」とは、同一の駅名を有している必要もない。
【0025】
駅1欄131の駅名1は、前記した「ある駅」の名称である。ここでは、さらに詳しく、鉄道会社名、路線名及び駅名の組合せである。
駅2欄132の駅名2は、前記した「他の駅」の名称である。ここでは、さらに詳しく、鉄道会社名、路線名及び駅名の組合せである。
乗換時間欄133の乗換時間は、利用者が「ある駅」を出場し、「他の駅」に入場するまでの平均的な時間である。乗換時間は、「ある駅」と「他の駅」との間の距離、混雑度などによって異なる。
【0026】
(名寄せ中間情報)
図8(a)に沿って、名寄せ中間情報35を説明する。名寄せ中間情報35は、唯一の欄である同一利用者カードID欄141を有する。各レコードには、名寄せ装置1が、利用者属性情報名寄せ処理P3において、同一の利用者が使用している可能性があると判断する、複数の交通ICカード9のカードIDが、同一利用者カードIDとして記憶されている。
例えば、1行目のレコードを参照すると、カードIDが「12345」である交通ICカード9と、カードIDが「78901」である交通ICカード9とは、同一の利用者によって使用されていると、名寄せ装置1が、利用者属性情報名寄せ処理P3(図3)において判断していることがわかる。同様に、2行目のレコードを参照すると、カードIDが「37777」である交通ICカード9と、カードIDが「40000」である交通ICカード9と、カードIDが「12789」である交通ICカード9とは、同一の利用者によって使用されていると、名寄せ装置1が、利用者属性情報名寄せ処理P3において判断していることがわかる。
【0027】
(名寄せ結果情報)
図8(b)に沿って、名寄せ結果情報36を説明する。名寄せ結果情報36においては、同一利用者カードID欄151に記憶された同一利用者カードIDに関連付けて、判定結果欄152には判定結果が記憶されている。
同一利用者カードID欄151の同一利用者カードIDは、図8(a)の同一利用者カードIDと同じである。
判定結果欄152の判定結果は、名寄せ装置1が、利用履歴情報名寄せ処理P5(図3)において、複数の同一利用者カードIDがどのような関係にあるかについて最終的に判断した結果を示す情報である。本実施形態では、判定結果には、「同一利用者」、「同行行動者」、「異なる利用者」及び「不明」の4種類が存在する。
【0028】
「同一利用者」は、複数の交通ICカード9が、同一の利用者に利用されていることを示す。1人の利用者が鉄道会社ごとに、又は路線ごとに、交通ICカード9を使い分けている場合等が「同一利用者」に相当する。この場合、名寄せを行うことによって、例えば、複数の交通ICカード9の利用代金の合計額に応じて、利用者に対してポイントを付与する、複数の交通ICカード9が利用される複数の駅近辺の地域情報を同一の利用者にまとめて提供する、のようなサービスが可能になる。
【0029】
「同行行動者」は、複数の交通ICカード9が、別々の利用者によって利用されているが、これらの利用者が共に行動していることを示す。例えば、親が子供に対して記名式プリペイドカードを貸し与えて家族で移動するような場合等が「同行行動者」に相当する。この場合、名寄せを行うことによって、例えば、家族旅行やグループ旅行等、親しい者同士に対して提供可能なサービスの案内を行うことが可能になる。
【0030】
「異なる利用者」は、複数の交通ICカード9が、異なる利用者に利用されていることを示す。例えば、ある利用者が、ある駅を通過するほぼ同じ時刻に、当該利用者である可能性がある利用者が、ある駅から遠く離れた駅を通過する場合が「異なる利用者」に相当する。ある利用者が「入場」した後「出場」するまでの間に、当該利用者である可能性がある利用者が、別途「入場」(又は「出場」)する場合も「異なる利用者」に相当する。
「不明」は、名寄せ装置1が、利用履歴情報名寄せ処理P5(図3)において、2つの交通ICカード9の関係を、「同一利用者」であるとも、「同行行動者」であるとも、さらに「異なる利用者」であるとも判断できなかったことを示す。
【0031】
(処理手順)
以降、図9〜図11に沿って、本実施形態の処理手順を説明する。処理手順には、(1)名寄せ条件設定処理手順、及び、(2)名寄せ処理手順の2つが存在する。(2)が実行されるためには、(1)が終了していることが前提になっている。(1)は、図3の符号P1の処理に対応する。(2)は、図3の符号P2〜P5の処理に対応する。
【0032】
(名寄せ条件設定処理手順)
図9に沿って、名寄せ条件設定処理手順を説明する。
ステップS301において、名寄せ装置1の名寄せ条件設定部22は、名寄せ条件設定画面41(図12)を表示する。名寄せ条件設定画面41が表示されるのは、情報端末装置3の出力装置である。名寄せ条件設定画面41は、名寄せ条件情報31(図4)を作成するためにデータの入力を受け付ける画面である。名寄せ条件設定画面41は、属性名寄せ条件欄161、利用履歴名寄せ条件欄162及び終了ボタン163を有する。属性名寄せ条件欄161は、名寄せ条件情報31の1行目のレコードに対応しており、ユーザが、氏名、性別、生年月日等の項目を属性キー(検索キー)として選択できるようになっている。利用履歴名寄せ条件欄162は、名寄せ条件情報31の2〜4行目のレコードに対応しており、ユーザが、乗換時間幅等の閾値を入力できるようになっている。
【0033】
ステップS302において、名寄せ条件設定部22は、「初期登録」又は「設定変更」を受け付ける。具体的には、名寄せ条件設定部22は、第1に、『初めて名寄せ条件情報を登録する場合は「初期登録」を入力して下さい。それ以外の場合は「設定変更」を入力してください』のようなメッセージを情報端末装置3の出力装置に表示する。
名寄せ条件設定部22は、第2に、ユーザがキーボード等の入力装置を介して「初期登録」又は「設定変更」を入力するのを受け付ける。
【0034】
ステップS303において、名寄せ条件設定部22は、「設定変更」が入力されたか否かを判断する。具体的には、名寄せ条件設定部22は、ステップS302の「第2」において「設定変更」を受け付けた場合(ステップS303“YES”)は、ステップS304に進み、それ以外の場合(ステップS303“NO”)は、ステップS306に進む。
【0035】
ステップS304において、名寄せ条件設定部22は、変更後の項目条件値を受け付けたか否かを判断する。具体的には、名寄せ条件設定部22は、ステップS303が終了した後所定の時間が経過するまでの間に、名寄せ条件設定画面41(図12)の属性名寄せ条件欄161において少なくとも1つの属性キーが選択され、かつ、利用履歴名寄せ条件欄162において3つの閾値が入力されたうえで、終了ボタン163が押下された場合(ステップS304“YES”)は、ステップS305に進む。それ以外の場合(ステップS304“NO”)は、名寄せ条件設定処理手順を終了する。名寄せ条件設定部22は、既存の登録済み属性キー及び閾値を強調表示(上書きを促進するような点滅表示等)し、「登録済みのデータに対して変更値を設定してください」のようなメッセージも表示してもよい。
【0036】
ステップS305において、名寄せ条件設定部22は、名寄せ条件情報31のレコードを更新する。具体的には、名寄せ条件設定部22は、名寄せ条件情報31の既存のレコードに対して、ステップS304において選択(又は入力)された、属性キー及び閾値を、上書きして記憶する。
その後、名寄せ条件設定処理手順を終了する。
【0037】
ステップS306において、名寄せ条件設定部22は、条件項目値を受け付ける。具体的には、名寄せ条件設定部22は、ユーザが、名寄せ条件設定画面41(図12)の属性名寄せ条件欄161において少なくとも1つの属性キーを選択し、かつ、利用履歴名寄せ条件欄162において3つの閾値を入力したうえで、終了ボタン163を押下するのを受け付ける。
【0038】
ステップS307において、名寄せ条件設定部22は、名寄せ条件情報31のレコードを作成する。具体的には、名寄せ条件設定部22は、名寄せ条件情報31を新たに作成し、各レコードに対して、ステップS306において選択された(又は入力された)属性キー及び閾値を記憶する。
その後、名寄せ条件設定処理手順を終了する。
【0039】
(名寄せ処理手順)
図10及び図11に沿って、名寄せ処理手順を説明する。
ステップS401において、名寄せ装置1の名寄せ部21は、名寄せ条件情報31(図4)及び利用者属性情報32(図5)を取得する。
【0040】
ステップS402において、名寄せ部21は、名寄せ中間情報35(図8(a))を作成する。具体的には、名寄せ部21は、第1に、名寄せ条件情報31の1行目のレコードの条件項目値(属性キー)を取得する。ここでは、「氏名」、「性別」及び「生年月日」が取得されたとする。
名寄せ部21は、第2に、利用者属性情報32の各欄のうち、ステップS402の「第1」において取得された条件項目値(属性キー)を見出しに有する欄の値を、ハッシュ関数に対して入力し、出力として「ハッシュ値」を取得する。当該処理は利用者属性情報32のすべてのレコードについて行う。例えば、「鈴木和夫、男性、1990/01/01」をハッシュ関数に入力すると、桁数や大きさの範囲が正規化されており、相互に比較することが容易であるハッシュ値が出力される。そして、このハッシュ値が相互に近似している場合は、文字列・数値等の入力値が相互に近似していることになる。
【0041】
名寄せ部21は、第3に、利用者属性情報32の複数のレコードを、ハッシュ値が同一であるもの同士、又は、同一とまでは言えなくても相互の差分が所定の数値範囲内にあるもの同士でグルーピングする。つまり、ステップS402の「第1」において取得された、すべての条件項目値(属性キー)が近似しているレコードをグルーピングする。同一グループに属するレコードの数は、複数であればいくつでもよい。なお、ハッシュ値を使用したグルーピングはあくまでも一例であり、名寄せ部21は、他の公知の方法によってグルーピングを行ってもよい。
【0042】
名寄せ部21は、第4に、名寄せ中間情報35のレコードをグループの数だけ新たに作成する。そして、グループに属するすべてのレコードのカードIDの組合せを、グループごとに、新たに作成したレコードの同一利用者カードID欄141に記憶する。
【0043】
ステップS403において、名寄せ部21は、名寄せ中間情報35のレコードを1つ取得する。ここでは、例えば図8(a)の1行目のレコードが取得されたとする。ここで取得されたレコードを、以降、「名寄せ対象レコード」ということがある。
【0044】
ステップS404において、名寄せ部21は、利用履歴情報33(図6)を取得する。具体的には、名寄せ部21は、第1に、名寄せ対象レコードに記憶されている同一利用者カードIDのうちの、任意の1つ(例えば「12345」)を検索キーとして、利用履歴情報33を検索し、該当したレコードの群を「第1の群」とする。
名寄せ部21は、第2に、名寄せ対象レコードに記憶されている同一利用者カードIDのうちの他の任意の1つ(例えば「78901」)を検索キーとして、利用履歴情報33を検索し、該当したレコードの群を「第2の群」とする。
【0045】
ステップS405において、名寄せ部21は、駅の利用頻度を集計する。具体的には、名寄せ部21は、第1に、第1の群及び第2群のそれぞれについて、端末名に含まれる駅名をキーとして、レコードを並び替え、同じ駅名を含むレコードの数を集計する。この処理において、名寄せ部21は、カードIDと駅名の組合せごとに利用頻度を関連付ける、[カードID、駅名、利用頻度]という情報を取得することになる。なお、名寄せ部21は、取得した[カードID、駅名、利用頻度]という情報のうち、利用頻度が名寄せ条件情報31の2行目の条件項目値(頻度)に満たないものを削除してもよい。
【0046】
名寄せ部21は、第2に、[カードID、駅名、利用頻度]を、利用頻度の高い順にならべることによって、カードIDごとに、[カードID、最も利用頻度が高い駅名、2番目に利用頻度が高い駅名、3番目に・・・、]という情報を取得する。
【0047】
ステップS406において、名寄せ部21は、定期駅と利用頻度の高い駅との一致を調べる。具体的には、名寄せ部21は、第1に、第1の群のカードIDを検索キーとして、利用者属性情報32(図5)を検索し、該当したレコードの定期区間に含まれる「起点となる駅名」及び「終点となる駅名」を取得する。
名寄せ部21は、第2に、取得済みである[カードID、最も利用頻度が高い駅名、2番目に利用頻度が高い駅名、3番目に・・・、]という情報のうち、第2の群のカードIDを有するものを特定し、特定した情報に含まれる「最も利用頻度が高い駅名」を取得する。
名寄せ部21は、第3に、ステップS406の「第1」において取得した「起点となる駅名」及び「終点となる駅名」のうちの少なくとも一方と、ステップS406の「第2」において取得した「最も利用頻度が高い駅名」とが一致するか否かを調べる。そして、調査結果として、名寄せ部21は、「一致する」又は「一致しない」の何れかを生成する。
なお、「起点となる駅名」及び「終点となる駅名」が取得できない(定期乗車券の利用がない)場合、名寄せ部21は、ステップS406及びS407を省略して、ステップS408に進むものとする。
【0048】
ステップS407において、名寄せ部21は、定期駅と利用頻度の高い駅とが一致するか否かを判断する。具体的には、名寄せ部21は、ステップS406の「第3」において生成された調査結果が「一致する」である場合(ステップS407“YES”)は、ステップS418に進み、それ以外の場合(ステップS407“NO”)は、ステップS408に進む。
【0049】
ステップS408において、名寄せ部21は、利用頻度の高い駅同士の一致を調べる。具体的には、名寄せ部21は、第1に、取得済みである[カードID、最も利用頻度が高い駅名、2番目に利用頻度が高い駅名、3番目に・・・、]という情報のうち、第1の群のカードIDを有するものを特定し、特定した情報に含まれる「最も利用頻度が高い駅名」を取得する。
名寄せ部21は、第2に、ステップS408の「第1」において取得した「最も利用頻度が高い駅名」と、ステップS406の「第2」において取得した「最も利用頻度が高い駅名」とが一致するか否かを調べる。ステップS406を経由していない場合は、名寄せ部21は、取得済みである[カードID、最も利用頻度が高い駅名、2番目に利用頻度が高い駅名、3番目に・・・、]という情報のうち、第2の群のカードIDを有するものを特定し、特定した情報に含まれる「最も利用頻度が高い駅名」を取得した後、一致するか否かを調べる。そして、調査結果として、名寄せ部21は、「一致する」又は「一致しない」の何れかを生成する。
【0050】
ステップS409において、名寄せ部21は、利用頻度の高い駅同士が一致するか否かを判断する。具体的には、名寄せ部21は、ステップS408の「第2」において生成された調査結果が「一致する」である場合(ステップS409“YES”)は、ステップS418に進み、それ以外の場合(ステップS409“NO”)は、ステップS410に進む。
【0051】
ステップS410において、名寄せ部21は、乗換に該当する履歴があるか否かを調べる。具体的には、名寄せ部21は、第1に、第1の群のカードID及び処理名「出場」を検索キーとして利用履歴情報33を検索し、該当したレコードの端末名に含まれる駅名を「出場乗換駅」として特定し、そのレコードの時刻を「出場時刻」として特定する。該当したレコードが複数ある場合もあり得る。
【0052】
名寄せ部21は、第2に、第2の群のカードID及び処理名「入場」を検索キーとして利用履歴情報33を検索し、該当したレコードの端末名に含まれる駅名を「入場乗換駅」として特定し、そのレコードの時刻を「入場時刻」として特定する。該当したレコードが複数ある場合もあり得る。
【0053】
名寄せ部21は、第3に、以下の条件1〜条件4がすべて満たされる履歴が少なくとも1つ存在するか否かを調べる。
(条件1)「入場乗換駅」と「出場乗換駅」の組合せが、図7の駅名1及び駅名2の組合せの何れかに一致する。なお、一致した組合せを「乗換駅組合せ」という。
(条件2)「出場時刻」に含まれる「月日」が、「入場時刻」に含まれる「月日」と一致する。
(条件3)条件2において「月日」が一致した「出場時刻」及び「入場時刻」について、「出場時刻」に含まれる「時分」が「入場時刻」に含まれる「時分」よりも時間的に前である。
(条件4)条件2において「月日」が一致した「出場時刻」及び「入場時刻」について、「入場時刻」に含まれる「時分」から「出場時刻」に含まれる「時分」を控除した差分が、「乗換駅組合せ」を有する乗換時間情報34のレコードの乗換時間に対して名寄せ条件情報31の3行目の条件項目値(乗換時間幅)を加算した値よりも小さい。
名寄せ部21は、第4に、調査結果として「存在する」又は「存在しない」の何れかを生成する。
【0054】
ステップS411において、名寄せ部21は、乗換に該当する履歴があるか否かを判断する。具体的には、名寄せ部21は、ステップS410の「第4」において生成された調査結果が「存在する」である場合(ステップS411“YES”)は、ステップS418に進み、それ以外の場合(ステップS411“NO”)は、ステップS412に進む。
【0055】
ステップS412において、名寄せ部21は、同行行動に該当する履歴があるか否かを調べる。具体的には、名寄せ部21は、第1に、第1の群のカードID及び処理名「入場」又は「出場」を検索キーとして利用履歴情報33を検索し、該当したレコードの端末名に含まれる駅名を「同行入出場駅1」として特定し、そのレコードの時刻を「同行入出場時刻1」として特定する。該当したレコードが複数ある場合もあり得る。
【0056】
名寄せ部21は、第2に、第2の群のカードID及び処理名「入場」又は「出場」を検索キーとして利用履歴情報33を検索し、該当したレコードの端末名に含まれる駅名を「同行入出場駅2」として特定し、そのレコードの時刻を「同行入出場時刻2」として特定する。該当したレコードが複数ある場合もあり得る。
なお、「第1」において「入場」を検索キーとする場合は、「第2」においても「入場」を検索キーとする。同様に、「第1」において「出場」を検索キーとする場合は、「第2」においても「出場」を検索キーとする。
【0057】
名寄せ部21は、第3に、以下の条件5〜条件7がすべて満たされる履歴が少なくとも1つ存在するか否かを調べる。
(条件5)「同行入出場駅1」と、「同行入出場駅2」とが一致する。
(条件6)「同行入出場時刻1」に含まれる「月日」が、「同行入出場時刻2」に含まれる「月日」と一致する。
(条件7)条件6において「月日」が一致した「同行入出場時刻1」及び「同行入出場時刻2」について、「同行入出場時刻1」に含まれる「時分」から、「同行入出場時刻2」に含まれる「時分」を控除した差分の絶対値が、名寄せ条件情報31の4行目のレコードの条件項目値(同行行動時間幅)よりも小さい。
名寄せ部21は、第4に、調査結果として「存在する」又は「存在しない」の何れかを生成する。
【0058】
ステップS413において、名寄せ部21は、同行行動に該当する履歴があるか否かを判断する。具体的には、名寄せ部21は、ステップS412の「第4」において生成された調査結果が「存在する」である場合(ステップS413“YES”)は、ステップS419に進み、それ以外の場合(ステップS413“NO”)は、ステップS414に進む。
【0059】
ステップS414において、名寄せ部21は、異なる利用者に該当する履歴があるか否かを調べる。具体的には、名寄せ部21は、以下の条件8〜条件10がすべて満たされる履歴が少なくとも1つ存在するか否かを調べる。
(条件8)「同行入出場駅1」と、「同行入出場駅2」とが異なる。
(条件9)「同行入出場時刻1」に含まれる「月日」が、「同行入出場時刻2」に含まれる「月日」と一致する。
(条件10)条件9において「月日」が一致した「同行入出場時刻1」及び「同行入出場時刻2」について、「同行入出場時刻1」に含まれる「時分」から、「同行入出場時刻2」に含まれる「時分」を控除した差分の絶対値が、名寄せ条件情報31の4行目のレコードの条件項目値(同行行動時間幅)よりも小さい。
名寄せ部21は、調査結果として「存在する」又は「存在しない」の何れかを生成する。
【0060】
名寄せ部21は、前記したステップS414の処理に代替して以下のステップS414(その2)を実行してもよい。
ステップS414(その2)において、名寄せ部21は、異なる利用者に該当する履歴があるか否かを調べる。具体的には、名寄せ部21は、第1に、第1の群のカードID及び処理名「入場」を検索キーとして利用履歴情報33を検索し、該当したレコードの端末名に含まれる駅名を「同行入場駅1」として特定し、そのレコードの時刻を「同行入場時刻1」として特定する。該当したレコードが複数ある場合もあり得る。
【0061】
名寄せ部21は、第2に、第1の群のカードID及び処理名「出場」を検索キーとして利用履歴情報33を検索し、該当したレコードの端末名に含まれる駅名を「同行出場駅1」として特定し、そのレコードの時刻を「同行出場時刻1」として特定する。該当したレコードが複数ある場合もあり得る。
【0062】
名寄せ部21は、第3に、第2の群のカードID及び処理名「入場」を検索キーとして利用履歴情報33を検索し、該当したレコードの端末名に含まれる駅名を「同行入場駅2」として特定し、そのレコードの時刻を「同行入場時刻2」として特定する。該当したレコードが複数ある場合もあり得る。
【0063】
名寄せ部21は、第4に、第2の群のカードID及び処理名「出場」を検索キーとして利用履歴情報33を検索し、該当したレコードの端末名に含まれる駅名を「同行出場駅2」として特定し、そのレコードの時刻を「同行出場時刻2」として特定する。該当したレコードが複数ある場合もあり得る。
【0064】
名寄せ部21は、第5に、以下の条件11〜条件13がすべて満たされる履歴が少なくとも1つ存在するか否かを調べる。
(条件11)「同行入場駅1」と「同行入場駅2」とが異なる。又は、「同行出場駅1」と「同行出場駅2」とが異なる。
(条件12)「同行入場時刻1」に含まれる「月日」が、「同行入場時刻2」に含まれる「月日」、「同行出場時刻1」に含まれる「月日」、及び、「同行出場時刻2」に含まれる「月日」のすべてと一致する。
(条件13)条件12において「月日」が一致した「同行入場時刻1」等について、「同行入場時刻1」に含まれる「時分」と、「同行出場時刻1」に含まれる「時分」との間の期間内に、「同行入場時刻2」に含まれる「時分」又は「同行出場時刻2」に含まれる「時分」のうちの何れかが含まれる。
名寄せ部21は、第6に、調査結果として「存在する」又は「存在しない」の何れかを生成する。
【0065】
ステップS415において、名寄せ部21は、異なる利用者に該当する履歴があるか否かを判断する。具体的には、名寄せ部21は、ステップS414において(又はステップS414(その2)の「第6」において)生成された調査結果が「存在する」である場合(ステップS415“YES”)は、ステップS417に進み、それ以外の場合(ステップS415“NO”)は、ステップS416に進む。
【0066】
ステップS416において、名寄せ部21は、名寄せ結果情報36(図8(b))に「不明」を追加する。具体的には、名寄せ部21は、第1に、名寄せ結果情報36の新たなレコードを作成する。
名寄せ部21は、第2に、新たなレコードの同一利用者カードID欄151に、「名寄せ対象レコード」の同一利用者カードIDを記憶し、判定結果欄152に、「不明」を生成した上で記憶する。
【0067】
ステップS417において、名寄せ部21は、名寄せ結果情報36(図8(b))に「異なる利用者」を追加する。具体的には、名寄せ部21は、第1に、名寄せ結果情報36の新たなレコードを作成する。
名寄せ部21は、第2に、新たなレコードの同一利用者カードID欄151に、「名寄せ対象レコード」の同一利用者カードIDを記憶し、判定結果欄152に、「異なる利用者」を生成した上で記憶する。
【0068】
ステップS418において、名寄せ部21は、名寄せ結果情報36(図8(b))に「同一利用者」を追加する。具体的には、名寄せ部21は、第1に、名寄せ結果情報36の新たなレコードを作成する。
名寄せ部21は、第2に、新たなレコードの同一利用者カードID欄151に、「名寄せ対象レコード」の同一利用者カードIDを記憶し、判定結果欄152に、「同一利用者」を生成した上で記憶する。
【0069】
ステップS419において、名寄せ部21は、名寄せ結果情報36(図8(b))に「同行行動者」を追加する。具体的には、名寄せ部21は、第1に、名寄せ結果情報36の新たなレコードを作成する。
名寄せ部21は、第2に、新たなレコードの同一利用者カードID欄151に、「名寄せ対象レコード」の同一利用者カードIDを記憶し、判定結果欄152に、「同行行動者」を生成した上で記憶する。
【0070】
ステップS420において、名寄せ部21は、名寄せ中間情報35(図8(a))の次のレコードがあるか否かを判断する。具体的には、名寄せ部21は、名寄せ中間情報35に、次の「名寄せ対象レコード」となるべき未処理のレコードが残っている場合(ステップS420“YES”)は、ステップS403に戻り、それ以外の場合(ステップS420“NO”)は、名寄せ処理手順を終了する。
【0071】
(ステップS403〜S420の補足説明)
前記においては、名寄せ対象レコードに含まれる同一利用者カードIDが2つである場合を想定した。例えば、名寄せ対象レコードが図8(a)の1行目のレコードである場合、同一利用者カードIDは、「12345」と「78901」の2つである。このとき、名寄せ部21は、「12345」と「78901」との判定結果が、「同一利用者」、「同行行動者」、「異なる利用者」及び「不明」のうちの何れかであるかを決定する。
【0072】
しかしながら、名寄せ対象レコードに含まれる同一利用者カードIDが3つ以上である場合もあり得る。例えば、名寄せ対象レコードが図8(a)の2行目のレコードである場合、同一利用者カードIDは、「37777」、「40000」及び「12789」の3つである。このとき、名寄せ部21は、2つの同一利用者カードIDのすべての組合せについて、ステップS403〜S419の処理を実行する。具体的には、名寄せ部21は、まず、「37777」と「40000」との判定結果が、「同一利用者」、「同行行動者」、「異なる利用者」及び「不明」のうちの何れかであるかを決定し、次に、「37777」と「12789」との判定結果についても同様の処理を行い、最後に、「40000」と「12789」との判定結果についても同様の処理を行う。つまり、同一利用者カードIDの組合せごとに判定結果が異なる場合もあり得る。
【0073】
このような場合、名寄せ部21は、ステップS416(S417、S418、S419)において、名寄せ結果情報36の判定結果を記憶する際、判定結果を、その判定の対象となった同一利用者カードIDの組合せに関連付けて記憶する。たとえば、「37777と40000は同一利用者、37777と12789は同一利用者、40000と12789は不明」のように記憶する。
【0074】
(変形例1)
前記では、複数の乗車券システム2が存在する場合、乗車券システム2から取得する利用者属性情報32はすべて同一のデータ型式を有することを前提に説明を行った。さらに、乗車券システム2から取得する利用履歴情報33もすべて同一のデータ型式を有すること前提に説明を行った。
しかしながら、乗車券システム2が異なれば(鉄道会社が異なれば)、通常は、利用者属性情報32及び利用履歴情報33のデータ型式は異なる。そこで、名寄せ装置1は、プログラムとして、データ型式変換部を備えることとする。データ型式変換部は、ステップS401において、取得した利用者属性情報32のデータ型式を、名寄せ装置1において処理可能な特定のデータ型式に変換する。さらに、データ型式変換部は、ステップS404において、取得した利用履歴情報33のデータ型式を、名寄せ装置1において処理可能な特定のデータ型式に変換する。
【0075】
(変形例2)
利用履歴情報33のレコード数は膨大である。したがって、名寄せ装置1の名寄せ部21は、ステップS404において、例えば、「現在の月」を、時刻を検索する検索キーとして加えることによって、処理速度を速めることが可能である。さらに、特定の時刻の範囲(春季、秋季等)を検索キーとすることによって、名寄せ装置1は、当該特定の時刻の範囲についての判定結果を得ることができる。
【0076】
(変形例3)
利用履歴情報33の情報の種類は、図6に示されたものに限定されない。例えば、駅係員窓口や自動精算機での精算処理時の時刻及び場所(端末名)、スタンプラリーやクーポン券取得等で情報端末に接触した際の時刻及び場所が利用履歴情報33に記憶されてもよい。
【0077】
(変形例4)
前記したすべての閾値は、固定値に限定されるものではなく、可変値であってもかまわない。例えば、名寄せ条件情報31(図4)における乗換時間幅及び同行行動時間幅は、平均入出場数に応じて、駅ごと、時刻(季節)ごとに変化させてもよい。
【0078】
(本実施形態の効果)
本実施形態によれば、名寄せを高精度で行うことが可能になる。したがって、利用者の行動エリアや購買嗜好により適合した販促情報を提供することが可能になる。例えば、1人の利用者に対して、乗換前後の駅周辺の販促情報を同時に提供すること、複数の交通ICカードのポイントをまとめて集計すること、家族・グループ向けの販促情報を提供すること等が可能になる。
【0079】
本発明は、前記した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更実施が可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 名寄せ装置
2 乗車券システム
3 情報端末装置
4a、4b、8a、8b ネットワーク
5 自動改札機
6 駅サーバ
7 管理サーバ
9 交通ICカード(携帯用情報記憶媒体)
11 中央制御装置(制御部)
12 主記憶装置(記憶部)
13 補助記憶装置(記憶部)
14 入力装置
15 出力装置
16 通信インタフェース
21 名寄せ部
22 名寄せ条件設定部
31 名寄せ条件情報
32 利用者属性情報
33 利用履歴情報
34 乗換時間情報
35 名寄せ中間情報
36 名寄せ結果情報
41 名寄せ条件設定画面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の携帯用情報記憶媒体を利用する複数の利用者の同一性を決定する名寄せ装置であって、
前記携帯用情報記憶媒体の識別子に関連付けて、前記利用者の属性情報が記憶される利用者属性情報と、
前記携帯用情報記憶媒体の識別子に関連付けて、前記携帯用情報記憶媒体を用いて交通機関を利用した時刻及び区間が記憶される利用履歴情報と、
が格納される記憶部と、
同一の利用者が利用している可能性がある2つの前記携帯用情報記憶媒体の識別子の組合せを、前記属性情報に基づいて取得し、
前記利用履歴情報に基づいて、前記取得した組合せごとに判定結果を生成する制御部と、
を有し、
前記判定結果は、
同一の利用者が、前記取得した組合せの2つの携帯用情報記憶媒体を利用していることを示す第1の判定結果、
同行する2人の利用者が、前記取得した組合せの2つの携帯用情報記憶媒体を利用していることを示す第2の判定結果、
異なる利用者が、前記取得した組合せの2つの携帯用情報記憶媒体を利用していることを示す第3の判定結果、及び、
前記第1の判定結果、前記第2の判定結果及び前記第3の判定結果のうちのいずれであるとも言えないことを示す第4の判定結果、
のうちの何れかであること、
を特徴とする名寄せ装置。
【請求項2】
複数の前記携帯用情報記憶媒体のうちの少なくとも1つは、定期乗車券を兼ねるものであり、
前記制御部は、
前記属性情報に含まれる定期乗車券入場駅又は定期乗車券出場駅を取得し、
前記利用履歴情報の前記区間から、利用頻度の高い駅を取得し、
前記取得した定期乗車券入場駅又は定期乗車券出場駅が、前記取得した利用頻度の高い駅と一致する場合は、前記第1の判定結果を生成すること、
を特徴とする請求項1に記載の名寄せ装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記利用履歴情報から、前記携帯用情報記憶媒体の識別子ごとに、利用頻度の高い区間を取得し、
前記取得した利用頻度の高い区間同士が一致する場合は、前記第1の判定結果を生成すること、
を特徴とする請求項1に記載の名寄せ装置。
【請求項4】
前記利用履歴情報は、
前記携帯用情報記憶媒体の識別子に関連付けて、前記利用者が前記交通機関の駅に入場したこと及び前記交通機関の駅を出場したことを示す情報を記憶しており、
前記制御部は、
前記利用履歴情報から、第1の利用者が出場した駅及び時刻を特定し、
前記利用履歴情報から、第2の利用者が入場した駅及び時刻を特定し、
前記出場した駅が、前記入場した駅と一致し、かつ、前記入場した時刻が、前記出場した時刻から所定の時間が経過するまでの期間内にある場合は、前記第1の利用者と前記第2の利用者とが同じであるとして、前記第1の判定結果を生成すること、
を特徴とする請求項1に記載の名寄せ装置。
【請求項5】
前記利用履歴情報は、
前記携帯用情報記憶媒体の識別子に関連付けて、前記利用者が前記交通機関の駅に入場したこと及び前記交通機関の駅を出場したことを示す情報を記憶しており、
前記制御部は、
前記利用履歴情報から、第1の利用者が入場又は出場した駅及び時刻を特定し、
前記利用履歴情報から、第2の利用者が入場又は出場した駅及び時刻を特定し、
前記第1の利用者が入場又は出場した駅が、前記第2の利用者が入場又は出場した駅と一致し、かつ、前記第1の利用者が入場又は出場した時刻と、前記第2の利用者が入場又は出場した時刻との差分が所定の時間内である場合には、前記第1の利用者と前記第2の利用者とは同行する別人であるので、前記第2の判定結果を生成すること、
を特徴とする請求項1に記載の名寄せ装置。
【請求項6】
前記利用履歴情報は、
前記携帯用情報記憶媒体の識別子に関連付けて、前記利用者が前記交通機関の駅に入場したこと及び前記交通機関の駅を出場したことを示す情報を記憶しており、
前記制御部は、
前記利用履歴情報から、第1の利用者が入場又は出場した駅及び時刻を特定し、
前記利用履歴情報から、第2の利用者が入場又は出場した駅及び時刻を特定し、
前記第1の利用者が入場又は出場した駅が、前記第2の利用者が入場又は出場した駅とは異なり、かつ、前記第1の利用者が入場又は出場した時刻と、前記第2の利用者が入場又は出場した時刻との差分が所定の時間内である場合には、前記第1の利用者と前記第2の利用者とは別人であるので、前記第3の判定結果を生成すること、
を特徴とする請求項1に記載の名寄せ装置。
【請求項7】
前記利用履歴情報は、
前記携帯用情報記憶媒体の識別子に関連付けて、前記利用者が前記交通機関の駅に入場したこと及び前記交通機関の駅を出場したことを示す情報を記憶しており、
前記制御部は、
前記利用履歴情報から、第1の利用者が入場又は出場した駅及び時刻を特定し、
前記利用履歴情報から、第2の利用者が入場又は出場した駅及び時刻を特定し、
前記第1の利用者が入場又は出場した駅が、前記第2の利用者が入場又は出場した駅とは異なり、かつ、前記第1の利用者が入場した時刻と前記第1の利用者が出場した時刻との間の期間内に、前記第2の利用者が入場又は出場した時刻が該当する場合には、前記第1の利用者と前記第2の利用者とは別人であるので、前記第3の判定結果を生成すること、
を特徴とする請求項1に記載の名寄せ装置。
【請求項8】
前記制御部は、
データ形式の異なる複数の前記利用者属性情報、又は、データ形式の異なる複数の前記利用履歴情報が複数存在する場合は、異なるデータ形式を任意のデータ型式に変換すること、
を特徴とする請求項1に記載の名寄せ装置。
【請求項9】
前記制御部は、
同一の利用者が利用している可能性がある3つ以上の前記携帯用情報記憶媒体の識別子を、前記属性情報に基づいて取得した場合は、
前記3つ以上の前記携帯用情報記憶媒体の識別子のうちの、2つの前記携帯用情報記憶媒体の識別子のすべての組合せごとに、前記利用履歴情報に基づいて、前記判定結果を生成すること、
を特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の名寄せ装置。
【請求項10】
複数の携帯用情報記憶媒体を利用する複数の利用者の同一性を決定する名寄せ装置の名寄せ方法であって、
前記名寄せ装置の記憶部は、
前記携帯用情報記憶媒体の識別子に関連付けて、前記利用者の属性情報が記憶される利用者属性情報と、
前記携帯用情報記憶媒体の識別子に関連付けて、前記携帯用情報記憶媒体を用いて交通機関を利用した時刻及び区間が記憶される利用履歴情報と、
を格納しており、
前記名寄せ装置の制御部は、
同一の利用者が利用している可能性がある前記携帯用情報記憶媒体の識別子の組合せを、前記属性情報に基づいて取得し、
前記利用履歴情報に基づいて、前記取得した組合せごとに判定結果を生成し、
前記判定結果は、
同一の利用者が、前記取得した組合せの2つの携帯用情報記憶媒体を利用していることを示す第1の判定結果、
同行する2人の利用者が、前記取得した組合せの2つの携帯用情報記憶媒体を利用していることを示す第2の判定結果、
異なる利用者が、前記取得した組合せの2つの携帯用情報記憶媒体を利用していることを示す第3の判定結果、及び、
前記第1の判定結果、前記第2の判定結果及び前記第3の判定結果のうちのいずれであるとも言えないことを示す第4の判定結果、
のうちの何れかであること、
を特徴とする名寄せ方法。
【請求項1】
複数の携帯用情報記憶媒体を利用する複数の利用者の同一性を決定する名寄せ装置であって、
前記携帯用情報記憶媒体の識別子に関連付けて、前記利用者の属性情報が記憶される利用者属性情報と、
前記携帯用情報記憶媒体の識別子に関連付けて、前記携帯用情報記憶媒体を用いて交通機関を利用した時刻及び区間が記憶される利用履歴情報と、
が格納される記憶部と、
同一の利用者が利用している可能性がある2つの前記携帯用情報記憶媒体の識別子の組合せを、前記属性情報に基づいて取得し、
前記利用履歴情報に基づいて、前記取得した組合せごとに判定結果を生成する制御部と、
を有し、
前記判定結果は、
同一の利用者が、前記取得した組合せの2つの携帯用情報記憶媒体を利用していることを示す第1の判定結果、
同行する2人の利用者が、前記取得した組合せの2つの携帯用情報記憶媒体を利用していることを示す第2の判定結果、
異なる利用者が、前記取得した組合せの2つの携帯用情報記憶媒体を利用していることを示す第3の判定結果、及び、
前記第1の判定結果、前記第2の判定結果及び前記第3の判定結果のうちのいずれであるとも言えないことを示す第4の判定結果、
のうちの何れかであること、
を特徴とする名寄せ装置。
【請求項2】
複数の前記携帯用情報記憶媒体のうちの少なくとも1つは、定期乗車券を兼ねるものであり、
前記制御部は、
前記属性情報に含まれる定期乗車券入場駅又は定期乗車券出場駅を取得し、
前記利用履歴情報の前記区間から、利用頻度の高い駅を取得し、
前記取得した定期乗車券入場駅又は定期乗車券出場駅が、前記取得した利用頻度の高い駅と一致する場合は、前記第1の判定結果を生成すること、
を特徴とする請求項1に記載の名寄せ装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記利用履歴情報から、前記携帯用情報記憶媒体の識別子ごとに、利用頻度の高い区間を取得し、
前記取得した利用頻度の高い区間同士が一致する場合は、前記第1の判定結果を生成すること、
を特徴とする請求項1に記載の名寄せ装置。
【請求項4】
前記利用履歴情報は、
前記携帯用情報記憶媒体の識別子に関連付けて、前記利用者が前記交通機関の駅に入場したこと及び前記交通機関の駅を出場したことを示す情報を記憶しており、
前記制御部は、
前記利用履歴情報から、第1の利用者が出場した駅及び時刻を特定し、
前記利用履歴情報から、第2の利用者が入場した駅及び時刻を特定し、
前記出場した駅が、前記入場した駅と一致し、かつ、前記入場した時刻が、前記出場した時刻から所定の時間が経過するまでの期間内にある場合は、前記第1の利用者と前記第2の利用者とが同じであるとして、前記第1の判定結果を生成すること、
を特徴とする請求項1に記載の名寄せ装置。
【請求項5】
前記利用履歴情報は、
前記携帯用情報記憶媒体の識別子に関連付けて、前記利用者が前記交通機関の駅に入場したこと及び前記交通機関の駅を出場したことを示す情報を記憶しており、
前記制御部は、
前記利用履歴情報から、第1の利用者が入場又は出場した駅及び時刻を特定し、
前記利用履歴情報から、第2の利用者が入場又は出場した駅及び時刻を特定し、
前記第1の利用者が入場又は出場した駅が、前記第2の利用者が入場又は出場した駅と一致し、かつ、前記第1の利用者が入場又は出場した時刻と、前記第2の利用者が入場又は出場した時刻との差分が所定の時間内である場合には、前記第1の利用者と前記第2の利用者とは同行する別人であるので、前記第2の判定結果を生成すること、
を特徴とする請求項1に記載の名寄せ装置。
【請求項6】
前記利用履歴情報は、
前記携帯用情報記憶媒体の識別子に関連付けて、前記利用者が前記交通機関の駅に入場したこと及び前記交通機関の駅を出場したことを示す情報を記憶しており、
前記制御部は、
前記利用履歴情報から、第1の利用者が入場又は出場した駅及び時刻を特定し、
前記利用履歴情報から、第2の利用者が入場又は出場した駅及び時刻を特定し、
前記第1の利用者が入場又は出場した駅が、前記第2の利用者が入場又は出場した駅とは異なり、かつ、前記第1の利用者が入場又は出場した時刻と、前記第2の利用者が入場又は出場した時刻との差分が所定の時間内である場合には、前記第1の利用者と前記第2の利用者とは別人であるので、前記第3の判定結果を生成すること、
を特徴とする請求項1に記載の名寄せ装置。
【請求項7】
前記利用履歴情報は、
前記携帯用情報記憶媒体の識別子に関連付けて、前記利用者が前記交通機関の駅に入場したこと及び前記交通機関の駅を出場したことを示す情報を記憶しており、
前記制御部は、
前記利用履歴情報から、第1の利用者が入場又は出場した駅及び時刻を特定し、
前記利用履歴情報から、第2の利用者が入場又は出場した駅及び時刻を特定し、
前記第1の利用者が入場又は出場した駅が、前記第2の利用者が入場又は出場した駅とは異なり、かつ、前記第1の利用者が入場した時刻と前記第1の利用者が出場した時刻との間の期間内に、前記第2の利用者が入場又は出場した時刻が該当する場合には、前記第1の利用者と前記第2の利用者とは別人であるので、前記第3の判定結果を生成すること、
を特徴とする請求項1に記載の名寄せ装置。
【請求項8】
前記制御部は、
データ形式の異なる複数の前記利用者属性情報、又は、データ形式の異なる複数の前記利用履歴情報が複数存在する場合は、異なるデータ形式を任意のデータ型式に変換すること、
を特徴とする請求項1に記載の名寄せ装置。
【請求項9】
前記制御部は、
同一の利用者が利用している可能性がある3つ以上の前記携帯用情報記憶媒体の識別子を、前記属性情報に基づいて取得した場合は、
前記3つ以上の前記携帯用情報記憶媒体の識別子のうちの、2つの前記携帯用情報記憶媒体の識別子のすべての組合せごとに、前記利用履歴情報に基づいて、前記判定結果を生成すること、
を特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の名寄せ装置。
【請求項10】
複数の携帯用情報記憶媒体を利用する複数の利用者の同一性を決定する名寄せ装置の名寄せ方法であって、
前記名寄せ装置の記憶部は、
前記携帯用情報記憶媒体の識別子に関連付けて、前記利用者の属性情報が記憶される利用者属性情報と、
前記携帯用情報記憶媒体の識別子に関連付けて、前記携帯用情報記憶媒体を用いて交通機関を利用した時刻及び区間が記憶される利用履歴情報と、
を格納しており、
前記名寄せ装置の制御部は、
同一の利用者が利用している可能性がある前記携帯用情報記憶媒体の識別子の組合せを、前記属性情報に基づいて取得し、
前記利用履歴情報に基づいて、前記取得した組合せごとに判定結果を生成し、
前記判定結果は、
同一の利用者が、前記取得した組合せの2つの携帯用情報記憶媒体を利用していることを示す第1の判定結果、
同行する2人の利用者が、前記取得した組合せの2つの携帯用情報記憶媒体を利用していることを示す第2の判定結果、
異なる利用者が、前記取得した組合せの2つの携帯用情報記憶媒体を利用していることを示す第3の判定結果、及び、
前記第1の判定結果、前記第2の判定結果及び前記第3の判定結果のうちのいずれであるとも言えないことを示す第4の判定結果、
のうちの何れかであること、
を特徴とする名寄せ方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−97654(P2013−97654A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241035(P2011−241035)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]