説明

吐水装置

【課題】赤外線リモコン信号の受信性に優れた吐水装置を提供する。
【解決手段】水を吐出し、赤外線信号を発信する送信部20を有するヘッド部2と、前記赤外線信号が透過可能な受信窓44を有し、前記受信窓44を透過した前記赤外線信号を受信する受信部40を格納するケーシング4と、前記ヘッド部2への前記水の供給量を調節する弁部6と、前記受信部40が受信した前記赤外線信号の情報に基づいて前記弁部6の動作を制御する制御部5と、前記弁部6から前記ヘッド部に前記水を供給するホース部3と、を備え、前記受信窓44は、カウンター10の前面、または下面に配置されることを特徴とする吐水装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐水装置に関し、より詳細には赤外線信号を送受信することにより吐止水や吐水流量などを制御する吐水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、使用者の操作性を向上させるために、電波や赤外線などのリモコン信号を用いて湯温や湯量を制御するシャワー装置が提案されている(例えば、特許文献1)。リモコンの送信部は、例えばシャワー水が吐水されるヘッド部に設けることができ、これにより使用者はシャワーヘッドを持ちながらシャワーの吐止水や流量調節などの操作を行うことができる。
【0003】
各種リモコンの中で、赤外線リモコンは、安価である、多くの情報を乗せることができる、ノイズの影響を受けにくく誤動作が少ない、という特徴を有し、家電製品などに広く用いられている。
【0004】
ここで、赤外線リモコンを用いる場合には、受信側にフォトダイオードなどの受信素子を設けて赤外線を感知するが、これら受信素子は、赤外線のみならず可視光をも感知することがある。これにより、誤動作が生じることがある。このため、一般に、受信側には可視光を遮断するフィルタ(受信窓)が設けられている。受信窓は、例えば受信素子を覆う部材の一部に設けられ、受信素子は受信窓を透過した赤外線を感知する。
【0005】
しかしながら、受信窓は湯水が直接かかりやすいところに配置されることが多いため、受信窓には水が溜まりやすくなる。そのため、受信窓に水垢が発生しやすく、水垢による赤外線信号の受信不良を起こすおそれがある。
【0006】
さらに、受信窓を水栓装置や周辺部材の上部に配置された場合には、受信窓上に洗浄剤を置かれたりすることで、受信不良を起こすおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭61−27447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、赤外線リモコン信号の受信性に優れた吐水装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、水を吐出し、赤外線信号を発信する送信部を有するヘッド部と、前記赤外線信号が透過可能な受信窓を有し、前記受信窓を透過した前記赤外線信号を受信する受信部を格納するケーシングと、前記ヘッド部への前記水の供給量を調節する弁部と、前記受信部が受信した前記赤外線信号の情報に基づいて前記弁部の動作を制御する制御部と、前記弁部から前記ヘッド部に前記水を供給するホース部と、を備え、前記受信窓は、前記カウンターの前面、または下面に配置されることを特徴とする吐水装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、赤外線リモコン信号の受信性に優れた吐水装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る吐水装置1を例示する模式斜視図である。
【図2】吐水装置1の主構成を例示するブロック図である。
【図3】吐水装置1を浴室に配置した状況を例示する模式斜視図である。
【図4】ヘッド部2を例示する模式図である。
【図5】操作部21を例示する模式平面図である。
【図6】受信窓44の他の構成を例示する模式図である。
【図7】ケーシング4及びその周辺の構成を例示する模式図である。
【図8】ケーシング4及びその周辺の構成を例示する模式図である。
【図9】ケーシング4及びその周辺の構成を例示する模式図である。
【図10】カウンター10及びその周辺の構成を例示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
第1の発明は、水を吐出し、赤外線信号を発信する送信部を有するヘッド部と、前記赤外線信号が透過可能な受信窓を有し、前記受信窓を透過した前記赤外線信号を受信する受信部を格納するケーシングと、前記ヘッド部への前記水の供給量を調節する弁部と、前記受信部が受信した前記赤外線信号の情報に基づいて前記弁部の動作を制御する制御部と、前記弁部から前記ヘッド部に前記水を供給するホース部と、を備え、前記受信窓は、前記カウンターのの前面、または下面に配置されることを特徴とする吐水装置である。
この吐水装置によれば、赤外線リモコン信号の受信性に優れた吐水装置が提供される。
【0013】
第2の発明は、第1の発明において、前記ケーシングは、前記受信窓を複数有することを特徴とする吐水装置である。
この吐水装置によれば、赤外線信号の受信性能がさらに向上する。
【0014】
第3の発明は、第1〜2のいずれか1つの発明において、前記カウンターは、前記弁部を格納することを特徴とする吐水装置である。
この吐水装置によれば、受信部と制御部とを結ぶ配線や、制御部と弁部とを結ぶ配線などが外部に露出しないようにすることができる。このため、カウンターにおいて部材間の接合部を低減することができ、カウンター内部へ水が進入する可能性を低減することができる。これにより、カウンター内の構成要素や配線の汚損等を抑制することができる。
【0015】
第4の発明は、第1〜3のいずれか1つの発明において、前記受信窓は、表面に親水性を有していることを特徴とする吐水装置である。
この吐水装置によれば、受信窓の水滴の影響を少なくすることができ、水使用環境での赤外線信号の受信不良を防ぐことができる。
【0016】
第5の発明は、第1〜3のいずれか1つの発明において、前記受信窓は、表面に撥水性を有していることを特徴とする吐水装置である。
この吐水装置によれば、受信窓の水滴の影響を少なくすることができ、水使用環境での赤外線信号の受信不良を防ぐことができる。
【0017】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施形態に係る吐水装置1を例示する模式斜視図である。
図2は、吐水装置1の主構成を例示するブロック図である。
図3は、吐水装置1を浴室に配置した状況を例示する模式斜視図である。
【0018】
図1〜図3に表したように、本実施形態に係る吐水装置1は、浴室のシャワー装置などに適用することができ、水を吐出し、赤外線信号を発信する送信部20を有するヘッド部2と、赤外線信号が透過可能な受信窓44を有し、受信窓44を透過した赤外線信号を受信する受信部40を格納するカウンター10と、ヘッド部2への水の供給量を調節する弁部6と、受信部40が受信した赤外線信号の情報に基づいて弁部6の動作を制御する制御部5と、弁部6からヘッド部2に水を供給するホース部3と、を備える。また、ヘッド部2は、操作部21を有する。使用者は、操作部21を操作して吐止水や吐水流量などの指示情報を入力し、送信部20は、この入力情報に応じた赤外線信号を発信する。送信部20から発信された赤外線信号は、直接受信窓44の方向に進むこともあり、また浴室100などの天井面103、床面101、壁面102などで反射して受信窓44の方向に進むこともある。そして、受信部40は、受信窓44を透過した赤外線信号を受信して、この赤外線信号を制御部5に伝送する。制御部5は、受理した赤外線信号に基づいて弁部6の動作を制御する。これにより、吐止水や吐水流量などが制御される。なお、本願明細書において「水」という場合には、冷水のみならず、加熱された温水や湯も含むものとする。
図3に表したように、吐水装置1は、浴室100において壁面102のうち浴槽104や照明灯105の周辺に設けることができる。吐水装置1の周辺には、鏡106や図示しない石鹸置きなどを設けることができる。これにより、使用者は照明灯105から照明を受け、鏡106を見ながら身体の洗浄を行うことができ、また洗浄後速やかに浴槽104に入ることができる。また、吐水装置1は、浴室のサイズや使用形態などにより他の任意の箇所に設けることができる。
【0019】
ここで、本実施形態において、受信窓44は前記カウンターの前面、または下面に配置される。「水平方向」とは、地球の重力の方向に対して垂直な方向である。図1では、カウンターの前面部分が傾斜面となっており、受信窓44の略全体も傾斜面となっている。すなわち、受信窓44は水平方向に対して傾斜して設けられている。かかる構成により、受信窓44上の水は傾斜した受信窓44を伝って鉛直下方に流れやすくなる。このため、受信窓44に水が溜まりにくくなり、受信窓44に水垢が発生することを抑制することができる。これにより、水垢による赤外線信号の受信不良を抑制することができ、受信性能が適切に確保される。
【0020】
次に、各構成要素について詳細に説明する。
図4は、ヘッド部2を例示する模式図である。図4(A)及び(C)は模式側面図であり、図4(B)及び(D)はそれぞれ図4(A)及び(C)に対応した模式平面図である。
【0021】
図4(A)〜(D)に表したように、送信部20は、ヘッド部2において、把持部2A(使用者が把持する部分)よりも先端側に設けることができる。これにより、使用者がヘッド部2を使用する際に送信部20が使用者の手で隠れる可能性が低くなり、送信部20から赤外線信号を良好に発信することができる。送信部20は、例えば赤外線LED(LIGHT EMITTING DIODE:発光ダイオード)などの赤外線発光素子を有することができる。送信部20は、単数または複数設けることができるが、複数設けることにより次に説明するように赤外線信号の受信性能が向上する。
【0022】
ヘッド部2及びホース部3を有するハンドシャワーは、一般に使用時に自由に位置が変化する。このため、送信部20の位置も変化し、その結果赤外線信号の送信方向が変化する。これにより、受信窓44の方向に赤外線信号が適切に送信されない可能性がある。
【0023】
そこで、図4(A)〜(D)に表したように、ヘッド部2は2つの送信部20A、20Bを有し、送信部20Aからの送信方向と送信部20Bからの送信方向は、異なる方向、とりわけ略反対の方向(略180度の差を有する方向)となる構成にすることができる。
【0024】
例えば、図4(A)及び(B)に表したように、送信部20Aは吐水面2B側に設け、送信部20Bは吐水面2Bと反対の側に設けることができる。この場合、送信部20Aは水の吐出方向に赤外線信号を発信し、送信部20Bはこれと略反対の方向に赤外線信号を発信する。送信部20A、20Bをこのように配置することにより、送信部20A及び送信部20Bのいずれかから直接受信窓44に向けて赤外線信号が発信される可能性が高くなる。また、反射回数を減らして赤外線信号が受信窓44に導かれる可能性が高くなる。すなわち、赤外線信号を浴室の床面、天井面、壁面などに反射させる回数を減らすことができる。例えば、床面で反射させた後にさらに天井面で反射させて赤外線信号を受信窓44の方向に導くなどの「2回反射」を利用することなく、床面または天井面での「1回反射」を利用することができる。これにより、赤外線信号は良好に受信部40に到達することができる。換言すれば、受信部40は赤外線信号を良好に受信することができる。
【0025】
また、図4(C)及び(D)に表したように、送信部20Aはヘッド部2の先端部2Cに設け、送信部20Bは把持部2Aの近傍に設けることができる。この場合、送信部20Aは把持部2Aから先端部2Cに向かう方向に赤外線信号を発信し、送信部20Bはこれと略反対の方向に赤外線信号を発信する。送信部20A、20Bをこのように配置することにより、図4(A)及び(B)に係る例と同様に、受信部40は赤外線信号を良好に受信することができる。
【0026】
次に、図5は、操作部21を例示する模式平面図である。
図5(A)に表したように、操作部21は、「切」ボタン21Aと、流調ボタン21Bと、を有することができる。流調ボタン21Bは多段階式であり、使用者が流調ボタン21Bを押すごとに段階的に流量が大きくなり、さらに押すと段階的に流量が小さくなる。また、「切」スイッチ21Aを押すと吐水は中止される。
【0027】
あるいは、図5(B)に表したように、操作部21は、「切」スイッチ21Aと、流量アップボタン21Cと、流量ダウンボタン21Dと、を有することができる。この場合、使用者が流量アップボタン21Cを押すと段階的に流量が大きくなり、流量ダウンボタン21Dを押すと段階的に流量が小さくなる。「切」ボタン21Aについては、前述した通りである。
【0028】
なお、送信部20を3つ以上設け、それぞれの送信部20は異なる方向に赤外線信号を発信する構成にしてもよい。これにより、受信性能はさらに向上する。
【0029】
ヘッド部2またはヘッド部2の周辺には、操作部21や送信部20に電気を供給する電源部(図示せず)を設けてもよい。電源としては、電池や発電機が挙げられる。発電機は、例えば水車を有し、水流により水車を回転させて発電する発電機が挙げられる。この場合、発電機は水の流路、例えば把持部2A内の給水路、に設けることができる。また、電源部は、発電機で発電された電気を貯蔵するキャパシタなどの蓄電器をさらに有してもよい。蓄電器を設けることにより、水流がなく発電機が発電できないときでも、蓄電器の電気を用いて吐止水等の各種操作を行うことが可能となる。なお、使用者が操作部21のボタンを押したときだけ通電するような構成にすることにより、節電が図られる。
【0030】
また、図6は、ケーシング4及びカウンター10とその内部構成を例示する模式図である。
【0031】
図6に示したように、カウンター10には吐止水や流量調節に係る操作部41を設けてもよい。操作部41は、例えば図7(B)に関して前述したヘッド部2の操作部21と同様に、「切」ボタン41A、流量アップボタン41C、及び流量ダウンボタン41Dを有することができ、これらボタンは制御部5と接続している。使用者は操作部41から吐止水等の指示情報を入力し、その後この指示情報は制御部5に伝送される。そして、制御部5は指示情報を基に弁部6の動作を制御する。このようにカウンター10にも操作部を設けることにより、使用者はヘッド部2の操作部21と、カウンター10の操作部41と、の両方から吐止水や吐水流量に係る操作を行うことができる。
【0032】
また、図6に示したように、操作部41、制御部5、弁部6などに電気を供給する電源部8を設けることができる。電源部8は、前述したヘッド部2の電源部と同様に、例えば電池、発電機などを有し、また必要に応じ蓄電器(キャパシタ等)を有する。あるいは、商用電源(交流電源)を用いる構成でもよい。
【0033】
図6に表したように、ケーシング4は、制御部5、弁部6、及び/または電源部8を格納することができる。このように、ケーシング4が制御部5等を格納する構成にすることで、受信部40と制御部5とを結ぶ配線や、制御部5と弁部6とを結ぶ配線などが外部に露出しないようにすることができる。このため、ケーシング4において部材間の接合部を低減することができ、ケーシング4内部へ水が進入する可能性を低減することができる。これにより、ケーシング4内の構成要素や配線の汚損等を抑制することができる。
【0034】
図6に表したように、本具体例では、弁部6は3つの電磁弁6A、6B、6Cを有する。なお、電磁弁の設置数は、3つに限定されず、2つ以下であってもよいし4つ以上であってもよい。但し、説明の便宜上、本実施形態では、3つの電磁弁が設置された場合を例に挙げて説明する。
【0035】
電磁弁6A、6B、6Cが閉止された状態において、使用者が例えば図5(A)に示した流調ボタン21Bを押すと、送信部20は「流量を大きくする」という意味を有する赤外線信号を発信する。受信部40がこの赤外線信号を受信すると、制御部5は、電磁弁6Aを開放する。これにより、例えば約6リットル/分程度の吐水流量(弱流量)の水が、ヘッド部2から吐水される。
【0036】
続いて、使用者が流調ボタン21Bを再度押すと、電磁弁6Aが開放された場合と同様にして、制御部5は、電磁弁6Bを開放する。これにより、電磁弁6A、6Bが開放されたことになり、例えば約8リットル/分程度の吐水流量(中流量)の水が、ヘッド部2から吐水される。続いて、使用者が流調ボタン21Bを再度押すと、電磁弁6A、6Bが開放された場合と同様にして、制御部5は、電磁弁6Cを開放する。これにより、電磁弁6A、6B、6Cが開放されたことになり、例えば約10リットル/分程度の吐水流量(強流量)の水が、ヘッド部2から吐水される。
【0037】
続いて、使用者が流調ボタン21Bを再度押すと、制御部5は、電磁弁6Cを閉止する。これにより、電磁弁6A、6Bが開放されていることになり、「中流量」の水がヘッド部2から吐水される。以下、使用者が流調ボタン21Bを押すごとに、「弱流量」と、「中流量」と、「強流量」と、が順次往復するように切り替えられる。
【0038】
そして、温水は、弁部6からホース部3、さらにヘッド部2へと送られ、シャワー水などとして吐出される(図1参照)。
【0039】
図7は、ケーシング4を浴室内に配置した場合の、吐水装置1を浴室に配置した状況を例示する模式斜視図である。ケーシング4を浴室内に配置する事で、浴室壁裏の壁内奥行に関する長さの制約を考慮する必要が無く、施工が容易になる。
【0040】
図7において、図示しない給水路及び給湯路から供給された冷水や湯は、ミキシングサーモ(冷水と湯を混合して所定の温度の温水を生成する装置)9により所定の温度の温水となる。この温水が弁部6(電磁弁6A、6B、6C)に送られ、これにより所望の水温でヘッド部2から吐水を行うことができる。
【0041】
図8は、受信窓44A、44Bと複数設けた状況を例示する模式斜視図である。受信窓44は単数または複数設けた場合は、赤外線信号が受信部40に到達する経路が多くなるため受信性能が高くなる。また、単数または複数の受信窓44(受信窓44A及び/または44B)を水平方向に対して略20〜80度、より好ましくは略30〜60度傾ければ、赤外線信号は天井面、床面、壁面等あらゆる方向から受信窓44に入射することができるため、受信部40は良好に赤外線信号を受信することができる。
【0042】
また図8に示したように、受信窓44A、44Bの内側には、それぞれ受信部40A、40Bが設けられている。受信部40A、40Bは、赤外線を感知するフォトダイオードなどの受信素子を有することができる。受信部40A、40Bは、それぞれ受信窓44A、44Bを透過した赤外線信号を受信する。そして、受信部40A、40Bが受信した赤外線信号は、制御部5に伝送される。制御部5は、受理した赤外線信号を基に弁部6を制御する。これにより、吐止水や吐水流量が制御される。
【0043】
図9は、ケーシング4をカウンター10内に配置した場合の、吐水装置1を浴室に配置した状況を例示する模式斜視図である。ケーシング4をケーシング10内に配置する事で、一体になり、すっきりした構造となることから、ケーシング4及びその周辺への汚れの付着を抑制することができるとともに、構成部材の継ぎ目からの水の進入を抑制することができる。
【0044】
図10(A)、(B)、(C)に示すように、ケーシング4には受信窓44が設けられている。受信窓44は、例えば可視光を遮断する材料を含む材料からなり、これにより赤外線を選択的に透過することができる。
また、受信窓44の表面に撥水性の機能を持たせてもよい。ここで、撥水性とは、受信窓44に水滴が付着している場合において、水滴と受信窓44とが接する位置における水滴表面の接線と受信窓44の表面とがなす角(接触角)が大きいものをいう。例えば、接触角が100度程度のものでよい。具体的には、例えばシリコン系やフッ素系の透明コーティング剤を用いて受信窓44の表面をコーティングすることで、受信窓44の表面に撥水性の機能を持たせることができる。
【0045】
図10(A)はカウンターの前面に、受信窓44が水平方向に対して垂直に設けられており、これにより、前述したように受信窓44に水垢が発生することを抑制することができる。このため、水垢による赤外線信号の受信不良を抑制することができ、受信性能が適切に確保される。
【0046】
図10(B)はカウンターの前面が傾斜しており、受信窓44がカウンターの前面に水平方向に対して傾斜して設けられており、これにより、前述したように受信窓44に水垢が発生することを抑制することができる。このため、水垢による赤外線信号の受信不良を抑制することができ、受信性能が適切に確保される。
【0047】
図10(C)はカウンターの下面に、受信窓44が水平方向に対して下方に設けられており、これにより、受信窓44に上部からの水や湯の飛沫、身体洗浄用の洗剤等がかからず、水垢が発生することを抑制することができる。このため、水垢による赤外線信号の受信不良を抑制することができ、受信性能が適切に確保される。
【0048】
以上説明したように、本実施形態によれば、赤外線リモコン信号の受信性に優れ、もって操作性に優れた吐水装置が提供される。これにより、使用者はハンドシャワーなどを使用しながら吐止水や流量調節などの各種操作を円滑に行うことができる。本実施形態は、浴室のシャワー装置やキッチンカウンターに設置される吐水装置等に好適に用いることができる。
【0049】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0050】
1 吐水装置、2 ヘッド部、2A 把持部、2B 吐水面、2C 先端部、3 ホース部、4 ケーシング、5 制御部、6 弁部、6A、6B、6C 電磁弁、7 水栓部、8 電源部、9 ミキシングサーモ、10 カウンター、20、20A、20B 送信部、21 操作部、21A 「切」ボタン、21B 流調ボタン、21C 流量アップボタン、21D 流量ダウンボタン、40、40A、40B 受信部、41 操作部、41A 「切」ボタン、41C 流量アップボタン、41D 流量ダウンボタン、44、44A、44B 受信窓、100 浴室、101 床面、102 壁面、103 天井面、104 浴槽、105 照明灯、106 鏡、A 赤外線信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を吐出し赤外線信号を発信する送信部を有するヘッド部と、
前記赤外線信号が透過可能な受信窓を有し、
前記受信窓を透過した前記赤外線信号を受信する受信部を格納する、
水平面を有し水平面に物を置くことのできるカウンターと、
前記ヘッド部への前記水の供給量を調節する弁部と、
前記受信部が受信した前記赤外線信号の情報に基づいて前記弁部の動作を制御する制御部と、
前記弁部から前記ヘッド部に前記水を供給するホース部と、
を備え、
前記受信窓は、前記カウンターの前面、または下面に配置されることを特徴とする吐水装置。
【請求項2】
前記カウンターは、前記受信窓を複数有することを特徴とする請求項1記載の吐水装置。
【請求項3】
前記カウンターは、前記弁部を格納することを特徴とする請求項1〜2のいずれか1つに記載の吐水装置。
【請求項4】
前記受信窓は、表面に親水性を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の吐水装置。
【請求項5】
前記受信窓は、表面に撥水性を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の吐水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−74596(P2011−74596A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−224460(P2009−224460)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】