説明

吐水装置

【課題】給湯器の制御を容易に行うことのできる吐水装置を提供する。
【解決手段】シャワーヘッド10に、給湯器から供給される湯水を吐水する吐水口11と、給湯器から供給される湯水を吐水口11へ導く通水路12と、通水路12中の湯水の温度を検出する温度センサ15と、環境光によって発電を行う太陽電池16と、給湯器で湯水の温度を変化させる際の温度設定をする操作部と、太陽電池16で発電した電力で動作すると共に、温度センサ15で検出した温度情報と操作部で設定した温度設定情報とに基づく制御信号を給湯器へ無線送信する吐水側無線回路25を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
給湯器で温度を変化させた水を吐水口から吐水させて使用する場合、吐水する水の温度や流量は、給湯器の運転状態を切り替えることにより調節するが、給湯器は、吐水口から離れた位置に設置される場合が多い。このため、従来の吐水装置の中には、給湯器から離れた位置からの給湯器の制御を可能にしているものがある。
【0003】
例えば、特許文献1に記載された給湯装置では、ソレノイドによって開閉可能な流水開閉手段を設け、定量止水栓が予め設定した吐水量を吐水している場合には、流水開閉手段の開閉制御を行って定量止水栓の作動情報を流量変動に暗号化し、給湯制御を行う給湯制御装置で、この流動変動を検知することにより作動情報を解読し、給湯器の制御を行っている。
【0004】
また、従来の吐水装置の中には、給湯装置を直接制御はしないが、吐水口の近傍で吐水状態の切り替えを可能にしているものがある。例えば、特許文献2に記載された湯水混合装置では、シャワーヘッドに温度設定器と流量設定器とを設け、温度設定器や流量設定器に対して入力操作を行うことにより、湯水混合水栓を遠隔操作している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−71260号公報
【特許文献2】特開昭61−153422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された給湯装置では、吐水の状態を給湯制御装置に伝達する手段として水の流量変動を用いているため、吐水の流量も変化し、使い勝手が悪くなっている。また、特許文献2に記載された湯水混合装置は、温度設定器や流量設定器で湯水混合水栓を遠隔操作するものであるため、温度設定器や流量設定器と湯水混合水栓とを電気的に接続して外部の電力を用いて、有線や無線で信号を送信する必要がある。
【0007】
また、特許文献2に記載された湯水混合装置では、湯水混合水栓を遠隔操作するものであるため、給湯器を制御することは不可能になっており、温度設定器や流量設定器に対して入力操作を行うことによる吐水状態の範囲は、現在の給湯器の運転状態の範囲内になっている。これらのように、給湯器の制御を、使い勝手よく行うことは大変困難なものとなっていた。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、給湯器の制御を容易に行うことのできる吐水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る吐水装置は、給湯器から供給される湯水を吐水する吐水口と、前記給湯器から供給される湯水を前記吐水口へ導く通水路と、前記通水路中の湯水の温度を検出する温度検出手段と、環境光によって発電を行う光発電部と、前記給湯器で湯水の温度を変化させる際の温度設定をする操作部と、前記光発電部で発電した電力で動作すると共に、前記温度検出手段で検出した温度情報と前記操作部で設定した温度設定情報とに基づく制御信号を前記給湯器へ無線送信する無線送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、上記吐水装置において、前記操作部は、前記吐水口からの吐水を開始及び停止させる吐止水スイッチを有しており、前記無線送信手段は、前記吐止水スイッチの操作に基づく吐水設定情報を前記給湯器へ無線送信することが好ましい。
【0011】
また、上記吐水装置において、さらに、前記通水路を流れる湯水の流量を検出する流量検出手段を備えており、前記無線送信手段は、前記流量検出手段で検出した流量情報を前記給湯器へ無線送信することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る吐水装置は、温度検出手段で検出した温度情報と操作部で設定した温度設定情報とに基づく制御信号を、光発電部で発電した電力を用いて無線送信手段で給湯器へ無線送信するため、吐水装置と外部電源とを接続したり、吐水装置と給湯器とを接続したりすることなく、吐水装置単体で給湯器の運転制御を行うことができ、給湯器の制御を容易に行うことができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、実施形態1に係るシャワーヘッド及び給湯システムの構成例を示す摸式図である。
【図2】図2は、図1に示すシャワーヘッドの断面図である。
【図3】図3は、実施形態2に係るシャワーヘッドの断面図である。
【図4】図4は、実施形態3に係るシャワーヘッドの断面図である。
【図5】図5は、図4のA部詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る吐水装置及び給湯システムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0015】
〔実施形態1〕
図1は、実施形態1に係るシャワーヘッド及び給湯システムの構成例を示す摸式図である。同図に示す給湯システム1は、浴室等に設置される吐水装置として、給湯器40から供給された湯水を吐水するシャワーヘッド10を有している。このシャワーヘッド10は、当該シャワーヘッド10から吐水する湯水の温度を上昇させる熱交換器である給湯器40が供給する湯水が流れる湯水配管41に対して、水栓(図示省略)等を介して接続されるシャワーホース30が接続されている。これにより、シャワーヘッド10には、給湯器40で温度を上昇させた湯水が給湯器40から供給可能になっている。なお、給湯器40は、水の温度を上昇させる際の熱源として、電気を用いるものや、ガス、ヒートポンプ、太陽熱、地熱を用いるものなど、いずれの形態のものでも適用することができる。
【0016】
図2は、図1に示すシャワーヘッドの断面図である。シャワーヘッド10には、シャワーホース30が接続されている側の端部側の端部付近に、給湯器40から供給される湯水を吐水する吐水口11が形成されており、さらに、シャワーホース30を介して給湯器40から供給された湯水を吐水口11へ導く通水路12が内部に形成されている。この通水路12は、シャワーヘッド10におけるシャワーホース30が接続されている側の端部側から吐水口11が位置する側の端部の方向に向かって形成されており、吐水口11は、シャワーヘッド10の外部と通水路12とを連通する無数の孔によって形成されている。この吐水口11を形成する孔は、シャワーヘッド10或いは通水路12が延在する方向に対して略直交する方向に向かって形成されており、このため吐水口11は、シャワーヘッド10或いは通水路12が延在する方向に対して略直交する方向に開口している。
【0017】
また、通水路12には、当該通水路12中の湯水の温度を検出する温度検出手段である温度センサ15が設けられている。この温度センサ15は、少なくとも一部が通水路12内に露出することにより、通水路12内を流れる湯水の温度を検出することが可能になっている。
【0018】
また、シャワーヘッド10には、給湯器40で湯水の温度を変化させる際の温度設定をする操作部20が設けられている。即ち、給湯器40は、給湯器40に対して給水を行う給水配管42から供給された水の温度を上昇させるが、操作部20は、このように給湯器40を運転させて湯水の温度を上昇させる場合における温度設定が可能になっている。さらに、操作部20は、吐水口11からの吐水を開始及び停止させる吐止水スイッチ21を有しており、吐止水スイッチ21を切り替えることにより、給湯器40からの湯水の供給と、湯水の止水とを切り替えることができる。
【0019】
さらに、シャワーヘッド10には、各種の情報を表示する表示部である液晶ディスプレイ23が配設されている。この液晶ディスプレイ23は、例えば、操作部20で設定する温度設定の内容や、エネルギの算出結果等を表示可能になっている。
【0020】
また、シャワーヘッド10には、外部の通信機器に対して所定の情報を電波によって無線送信する無線送信手段である吐水側無線回路25が設けられている。一方、給湯器40は、吐水側無線回路25から送信した電波を受信する無線アンテナ46と給湯器無線回路45とを有している。このため、シャワーヘッド10と給湯器40とは、無線通信が可能になっている。
【0021】
このうち、シャワーヘッド10が有する吐水側無線回路25は、温度センサ15と操作部20とに電気的に接続されている。これにより、吐水側無線回路25は、温度センサ15で検出した温度情報と、操作部20で設定した温度設定情報、及び吐止水スイッチ21の操作に基づく吐水設定情報に基づく制御信号を、給湯器無線回路45を備える給湯器40へ無線送信する。
【0022】
さらに、シャワーヘッド10には、環境光によって発電を行う光発電部である太陽電池16が設けられている。この太陽電池16は、少なくともシャワーヘッド10が設置される浴室等に設けられる照明35の点灯時の光によって発電することが可能になっており、シャワーヘッド10の外面において、吐水口11が開口する方向の反対側の面に配設されている。この太陽電池16は、温度センサ15と吐水側無線回路25とに接続されており、温度センサ15と吐水側無線回路25とは、太陽電池16で発電した電力で動作する。つまり、温度センサ15は、太陽電池16で発電した電力を用いて通水路12中の湯水の温度を検出し、吐水側無線回路25は、太陽電池16で発電した電力を用いて、各種情報の無線送信を行う。
【0023】
また、給湯システム1を備える建物内には、建物内で使用するエネルギを集中して管理する集中管理部50が設置されている。この集中管理部50は、CPU(Central Processing Unit)等を有する処理部や、RAM(Random Access Memory)等の記憶部等を有して構成されており、各種の演算処理や情報の保存が可能になっている。
【0024】
また、集中管理部50は、少なくとも吐水側無線回路25で無線送信した電波の受信が可能な無線アンテナ52と管理部無線回路51とを備えている。このため、集中管理部50も、給湯器40と同様に、シャワーヘッド10との間で無線通信が可能になっている。さらに、集中管理部50は、給湯器無線回路45を備える給湯器40との間でも無線送信が可能になっている。このため、集中管理部50は、シャワーヘッド10と給湯器40との双方の間で、双方向通信を行うことができる。
【0025】
さらに、集中管理部50は、管理部無線回路51で受信した情報に基づいて、給湯器40の運転時におけるエネルギを算出するエネルギ算出部55を有している。このエネルギ算出部55は、集中管理部50を構成する処理部や記憶部等が組み合わされることにより構成され、予め記憶部に記憶されたプログラムに沿って処理部で演算処理を行うことにより、給湯器40の運転時におけるエネルギを算出する。
【0026】
本実施形態1に係るシャワーヘッド10及び給湯システム1は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。シャワーヘッド10は、浴室に設置されているため、シャワーヘッド10の使用時は、浴室の照明35を点灯させた状態で使用する。照明35を点灯させた場合、照明35からの光は、シャワーヘッド10も照射するため、シャワーヘッド10の太陽電池16は、この照明35からの光エネルギで発電をする。これにより、温度センサ15や吐水側無線回路25は、太陽電池16で発電した電気で作動可能な状態になる。
【0027】
この状態のシャワーヘッド10から吐水する場合には、使用者が操作部20を操作して吐止水スイッチ21をONにする。吐水側無線回路25は、吐止水スイッチ21をONにした際における吐水設定情報を、太陽電池16で発電した電気を用いて給湯器40へ無線送信する。
【0028】
給湯器40は、吐水側無線回路25から送信された信号を無線アンテナ46及び給湯器無線回路45で受信し、この信号に基づいて運転を開始する。具体的には、給水配管42から供給された水の温度を、電気やガスを用いた熱交換によって上昇させ、温度が上昇した湯水を、湯水配管41流す。これにより、この湯水はシャワーホース30からシャワーヘッド10の通水路12に流入し、吐水口11は、通水路12を通った湯水を吐水する。
【0029】
また、操作部20は、吐水口11から吐水する湯水の温度設定が可能になっているが、操作部20で設定した温度は、液晶ディスプレイ23で表示する。また、給湯器40を運転する場合には、吐水側無線回路25は、操作部20で設定した温度設定情報も給湯器40に送信する。この温度設定情報を受信した給湯器40は、温度設定情報に基づいて、給水配管42から供給された水の温度を上昇させる。
【0030】
なお、操作部20による温度設定は、シャワーヘッド10の使用状態に関わらず、温度設定を変更するまで設定した温度は維持される。このため、シャワーヘッド10の使用開始時の設定温度は、前回使用を終了した際における設定温度になっている。
【0031】
吐水口11から湯水を吐水する場合には、さらに、太陽電池16で発電した電気で作動する温度センサ15によって、通水路12中の湯水の温度を検出し、吐水側無線回路25は、この検出した温度情報も給湯器40へ無線送信する。給湯器40は、吐水側無線回路25から送信された温度情報と温度設定情報とに基づいて、温度情報が温度設定情報に近付くように、湯水の温度を変化させる。
【0032】
また、これらのように吐水側無線回路25から送信した情報、即ち、吐水設定情報と、温度設定情報と、温度情報とは、集中管理部50の無線アンテナ52及び管理部無線回路51でも受信する。これらの情報を受信した集中管理部50では、受信した情報に基づいて給湯器40の運転時におけるエネルギを、エネルギ算出部55で算出する。例えば、吐水設定情報と温度情報とより、給湯器40の運転を開始してからの時間と、運転時における出力とがわかるため、これらに基づいて給湯器40の運転時におけるエネルギを算出する。集中管理部50で算出したエネルギの情報は、管理部無線回路51からシャワーヘッド10に対して送信する。シャワーヘッド10では、管理部無線回路51から送信されたエネルギの情報を吐水側無線回路25で受信し、この受信した情報を、給湯器40の運転時におけるエネルギ情報として液晶ディスプレイ23で表示する。
【0033】
給湯器40を運転することにより、シャワーヘッド10の吐水口11から所望の時間吐水を行った後、吐水を停止させる場合には、使用者は操作部20の吐止水スイッチ21をOFFにする。これにより、吐水側無線回路25は、吐止水スイッチ21をOFFにした際における吐水設定情報を給湯器40へ無線送信する。給湯器40は、吐水側無線回路25から送信された吐水設定情報の信号を受信することにより、運転を停止する。これにより、給湯器40は、シャワーヘッド10側への湯水の供給を停止するため、シャワーヘッド10の吐水口11からの吐水が停止する。
【0034】
このように、シャワーヘッド10からの吐水を停止する場合にも、吐水側無線回路25から送信した吐水設定情報は、集中管理部50でも受信する。これにより、集中管理部50は、給湯器40の運転が停止したことを認識するため、エネルギ算出部55は、給湯器40の給湯によって消費されるエネルギは「0」として算出する。
【0035】
以上の実施形態1に係るシャワーヘッド10は、温度センサ15で検出した温度情報と操作部20で設定した温度設定情報とに基づく制御信号を、太陽電池16で発電した電力を用いて吐水側無線回路25で給湯器40へ無線送信している。これにより、シャワーヘッド10と外部電源とを接続したり、シャワーヘッド10と給湯器40とを電気的に接続したりすることなく、シャワーヘッド10単体で給湯器40の運転制御を行うことができる。この結果、給湯器40の制御を容易に行うことができる。
【0036】
また、操作部20は吐止水スイッチ21を有しており、吐水側無線回路25は、吐止水スイッチ21の操作に基づく吐水設定情報を給湯器40へ無線送信するため、吐止水スイッチ21を操作することにより、シャワーヘッド10単体の操作のみで吐水と止水との切り替えを行うことができる。この結果、給湯器40の制御を、より容易に行うことができる。
【0037】
また、本実施形態1に係る給湯システム1は、シャワーヘッド10の吐水側無線回路25で無線送信をした情報を受信する集中管理部50を有しており、集中管理部50では、受信した情報に基づいて給湯器40の運転時におけるエネルギをエネルギ算出部55で算出している。これにより、給湯器40の運転状態、即ち給湯器40による給湯状態を把握しながら給湯することができ、エネルギ効率の良い給湯を行うことができる。この結果、給湯器40の制御を容易に行うことができると共に、エネルギ効率の向上を図ることができる。
【0038】
[実施形態2]
実施形態2に係るシャワーヘッド60は、実施形態1に係るシャワーヘッド10と略同様の構成であるが、通水路12を流れる湯水の流量を検出する流量センサ61が設けられている点に特徴がある。他の構成は実施形態1と同様なので、その説明を省略すると共に、同一の符号を付す。
【0039】
図3は、実施形態2に係るシャワーヘッドの断面図である。本実施形態2に係るシャワーヘッド60は、実施形態1に係るシャワーヘッド10と同様に、太陽電池16と、温度センサ15と、操作部20(図1参照)と、液晶ディスプレイ23と、吐水側無線回路25と、を備えている。これにより、吐水側無線回路25は、温度センサ15で検出した湯水の温度等の情報を、太陽電池16で発電した電力を用いて給湯器40へ無線送信が可能になっている。
【0040】
さらに、本実施形態2に係るシャワーヘッド60は、通水路12を流れる湯水の流量を検出する流量検出手段である流量センサ61を備えている。この流量センサ61は、少なくとも一部が通水路12内に露出しており、太陽電池16で発電した電力で動作することにより、通水路12内を流れる湯水の流量を検出することが可能になっている。この流量センサ61は、温度センサ15等と同様に吐水側無線回路25に電気的に接続されている。
【0041】
また、操作部20は、吐水口11から吐水する湯水の流量、即ち、給湯器40からシャワーヘッド60に供給する湯水の流量設定も行うことが可能になっている。つまり、操作部20は、吐水口11から吐水する湯水の流量と温度の設定が可能になっている。これらのため、吐水側無線回路25は、給湯器40の制御信号を無線送信する際には、流量センサ61で検出した流量情報と、操作部20で設定した流量設定情報も含めて送信する。同様に、液晶ディスプレイ23は、操作部20で設定した流量設定情報も表示する。
【0042】
本実施形態2に係るシャワーヘッド60は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。シャワーヘッド60の使用時は、浴室の照明35からの光によって太陽電池16で発電し、流量センサ61は、太陽電池16で発電した電気を用いて、通水路12を流れる湯水の流量を検出する。
【0043】
また、操作部20は、吐水口11から吐水する湯水の流量設定が可能になっているが、給湯器40を運転する場合には、吐水側無線回路25は、操作部20で設定した流量設定情報も給湯器40に送信する。この流量設定情報を受信した給湯器40は、流量設定情報に基づいて、シャワーヘッド60に供給する湯水の流量を変化させる。
【0044】
なお、操作部20による流量設定は、シャワーヘッド10の使用状態に関わらず、流量設定を変更するまで設定した流量は維持される。このため、シャワーヘッド10の使用開始時の設定流量は、前回使用を終了した際における設定流量になっている。
【0045】
吐水側無線回路25は、これらの流量情報と流量設定情報も、給湯器40へ無線送信する。給湯器40は、吐水側無線回路25から送信された流量情報と流量設定情報とに基づいて、流量情報が流量設定情報に近付くように、給湯器40からシャワーヘッド60に供給する湯水の流量を変化させる。
【0046】
また、吐水側無線回路25から送信した情報を集中管理部50で受信する際には、吐水側無線回路25から送信した流量情報と流量設定情報も受信する。これにより、集中管理部50のエネルギ算出部55では、給湯器40の運転時におけるエネルギを算出する際に、給湯器40からシャワーヘッド10側に供給する湯水の流量情報も含めて算出する。
【0047】
以上の実施形態2に係るシャワーヘッド60は、流量センサ61で検出した流量情報と操作部20で設定した流量設定情報も含めて、吐水側無線回路25で給湯器40へ制御信号を無線送信している。シャワーヘッド10単体で給湯器40の運転制御を行う際に、より確実に所望の吐水状態で吐水を行わせることができる。この結果、給湯器40の制御を、より確実に、且つ、容易に行うことができる。
【0048】
[実施形態3]
実施形態3に係るシャワーヘッド70は、実施形態2に係るシャワーヘッド60と略同様の構成であるが、通水路12を流れる湯水の流量を検出する流量検出手段として、発電手段を兼ねる発電流量計71が用いられている点に特徴がある。他の構成は実施形態2と同様なので、その説明を省略すると共に、同一の符号を付す。
【0049】
図4は、実施形態3に係るシャワーヘッドの断面図である。本実施形態3に係るシャワーヘッド70は、実施形態2に係るシャワーヘッド10と同様に、太陽電池16と、温度センサ15と、操作部20(図1参照)と、液晶ディスプレイ23と、吐水側無線回路25と、を備えており、操作部20は、湯水の流量設定も行うことが可能になっている。また、本実施形態3にシャワーヘッド70では、通水路12を流れる湯水の流量を検出する流量検出手段として、発電流量計71が設けられている。
【0050】
図5は、図4のA部詳細図である。発電流量計71は、通水路12を流れる湯水の流れを受ける水車72を有すると共に水車72の回転により発電する発電手段を兼ねている。詳しくは、発電流量計71の水車72が、当該水車72と一体となって回転する回転軸73に結合しており、この水車72と回転軸73とは、回転軸73の軸方向が、通水路12が延在する方向と一致する向きで、通水路12内に回転軸73を中心として回転可能に内設されている。
【0051】
また、回転軸73にはマグネット74が、水車72や回転軸73と一体回転可能に接続されており、マグネット74は、水車72よりも吐水口11寄りの位置に配設されている。換言すると、水車72は、マグネット74よりも、通水路12を流れる水の流れ方向における上流側に配設されている。さらに、回転軸73を中心とする径方向におけるマグネット74の外方側には、コイル75とヨーク76とが回転不可の状態で配設されている。
【0052】
発電流量計71は、これらのように構成されていることにより発電可能になっており、吐水側無線回路25は、太陽電池16で発電した電気のみでなく、発電流量計71で発電した電気も用いて無線送信を行うことが可能になっている。
【0053】
本実施形態3に係るシャワーヘッド70は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。シャワーヘッド70を使用する場合、吐水側無線回路25は、使用者が吐止水スイッチ21をONにした際における吐水設定情報を、太陽電池16で発電した電気を用いて給湯器40へ無線送信する。これにより、給湯器40は給湯を開始し、シャワーヘッド70の通水路12には湯水が流れる。これにより、通水路12に配設されている発電流量計71は、発電を行う。
【0054】
つまり、通水路12に湯水が流れる場合、発電流量計71は、通水路12に配設される水車72が、通水路12を流れる湯水を受けて回転する。この水車72の回転により、当該水車72と一体に回転可能なマグネット74も回転し、コイル75の周囲の磁界が変化することにより、発電流量計71は発電をする。
【0055】
発電流量計71での発電時に変化する磁界の変化の周波数は、通水路12を流れる湯水の量で変化し、湯水の流量が多くなるに従って周波数が高くなるため、この周波数の値は、通水路12を流れる湯水の量を示している。即ち、発電流量計71は、検出した湯水の流量を、周波数の形で出力する。このように発電流量計71で発電した電気の大部分は、吐水側無線回路25に送られる。その際に、発電流量計71は、通水路12を流れる湯水の流量を、発電電流パルスに基づいて検出し、検出した流量情報を吐水側無線回路25に伝達する。即ち、発電流量計71は、通水路12を流れる湯水によって発電した電気と、通水路12を流れる湯水の流量情報との双方を吐水側無線回路25に伝達する。
【0056】
また、発電流量計71で発電した電気は、温度センサ15にも伝達され、温度センサ15は、太陽電池16で発電した電気のみでなく、この発電流量計71で発電した電気も用いて湯水の温度を検出する。
【0057】
湯水の流量情報等が伝達された吐水側無線回路25は、太陽電池16で発電した電気のみでなく、温度センサ15と同様に、発電流量計71で発電した電気も用いて無線送信を行う。給湯器40は、吐水側無線回路25から送信された流量情報等に基づいて、給湯器40からシャワーヘッド70に供給する湯水の流量や温度を調節する。また、吐水側無線回路25から送信した情報は、集中管理部50でも受信し、集中管理部50は、受信した情報に基づいて、給湯器40の運転時におけるエネルギを算出する。
【0058】
以上の実施形態3に係るシャワーヘッド70は、通水路12を流れる湯水の流量を検出する流量検出手段として、通水路12を流れる湯水の流れを受けて発電する発電手段しても設けられる発電流量計71を用いている。このため、吐水側無線回路25で無線送信を行う場合には、太陽電池16で発電した電気のみでなく、発電流量計71で発電した電気も用いることができる。従って、より大きな出力で無線送信を行うことができ、給湯器40の制御信号を、より確実に給湯器40に伝達することができる。この結果、給湯器40の制御を、より確実に、且つ、容易に行うことができる。
【0059】
なお、上述した給湯システム1では、集中管理部50は、シャワーヘッド10、60、70の吐水側無線回路25から無線送信された電波を受信することにより、給湯器40の運転状態の情報を取得し、給湯器40の運転時におけるエネルギを算出しているが、集中管理部50は、吐水側無線回路25から送信される電波以外によって情報を取得してもよい。例えば、給湯器40は、水の温度を上昇させる際の熱源に関わらず電気を使用するため、電源に接続されている。このため、給湯器40は、大きな電力を使用することが可能になっているため、吐水側無線回路25から無線送信された情報を給湯器40で受信した後、電源から供給される電気を用いて、給湯器40から集中管理部50に送信してもよい。これにより、給湯器40から集中管理部50に対しては、大きな出力で送信することができるので、給湯器40の運転状態の情報を、より確実に集中管理部50に伝達することができるため、より確実にエネルギ効率の向上を図ることができる。なお、給湯器40から集中管理部50への情報の送信は、電波を使用した無線送信でもよく、給湯器40と集中管理部50とを電気的に接続して有線で行ってもよい。
【0060】
また、上述したシャワーヘッド10、60、70では、給湯器40の運転時におけるエネルギは、集中管理部50で算出しているが、給湯器40の運転時におけるエネルギは、集中管理部50以外で算出してもよい。例えば、シャワーヘッド10、60、70にエネルギ算出部(図示省略)を設け、通水路12中の湯水の温度や流量等に基づいて、シャワーヘッド10、60、70のエネルギ算出部で算出してもよい。この場合、液晶ディスプレイ23で表示するエネルギ情報は、シャワーヘッド10、60、70のエネルギ算出部で算出したエネルギ情報を表示する。このように、給湯器40の運転時におけるエネルギは、シャワーヘッド10、60、70独自で算出してもよい。
【0061】
また、上述した実施形態1〜3に係るシャワーヘッド10、60、70では、太陽電池16や発電流量計71で発電した電気を直接吐水側無線回路25等で使用しているが、発電した電気は蓄電してもよい。シャワーヘッド10、60、70には、蓄電手段として、例えば、蓄電池やキャパシタを設け、太陽電池16や発電流量計71で発電した電気の一部は、これらの蓄電手段で蓄電して必要に応じて使用することにより、太陽電池16や発電流量計71での発電状態に関わらず、電気を使用することができる。このため、シャワーヘッド10、60、70の使用時に、使用者の手が太陽電池16を覆うことにより太陽電池16での発電量が少なくなったり、給湯の開始直後や終了直前で通水路12を流れる量が少ないことにより、発電流量計71での発電量が少なくなったりした場合でも、電力を確保することができる。従って、給湯器40の制御を、より確実に行うことができる。
【0062】
また、上述した実施形態1〜3では、吐水装置の一例としてシャワーヘッド10、60、70を用いて説明したが、本発明に係る吐水装置は、シャワーヘッド以外のものでもよい。例えば、キッチンや洗面台に設置されるスパウト等、給湯器から供給された湯水を吐水口から吐水するものであれば、その形態や用途は問わない。また、実施形態1〜3に係るシャワーヘッド10、60、70及び給湯システム1や各変形例で用いられている構成は、適宜組み合わせてもよく、または、上述した形態を構成するもの以外のものを用いてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 給湯システム
10、60、70 シャワーヘッド
11 吐水口
12 通水路
15 温度センサ
16 太陽電池
20 操作部
21 吐止水スイッチ
25 吐水側無線回路
30 シャワーホース
35 照明
40 給湯器
41 湯水配管
42 給水配管
45 給湯器無線回路
46、52 無線アンテナ
50 集中管理部
51 管理部無線回路
55 エネルギ算出部
61 流量センサ
71 発電流量計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯器から供給される湯水を吐水する吐水口と、
前記給湯器から供給される湯水を前記吐水口へ導く通水路と、
前記通水路中の湯水の温度を検出する温度検出手段と、
環境光によって発電を行う光発電部と、
前記給湯器で湯水の温度を変化させる際の温度設定をする操作部と、
前記光発電部で発電した電力で動作すると共に、前記温度検出手段で検出した温度情報と前記操作部で設定した温度設定情報とに基づく制御信号を前記給湯器へ無線送信する無線送信手段と、
を備えることを特徴とする吐水装置。
【請求項2】
前記操作部は、前記吐水口からの吐水を開始及び停止させる吐止水スイッチを有しており、
前記無線送信手段は、前記吐止水スイッチの操作に基づく吐水設定情報を前記給湯器へ無線送信することを特徴とする請求項1に記載の吐水装置。
【請求項3】
さらに、前記通水路を流れる湯水の流量を検出する流量検出手段を備えており、
前記無線送信手段は、前記流量検出手段で検出した流量情報を前記給湯器へ無線送信することを特徴とする請求項1または2に記載の吐水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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