説明

含水調整土砂の製造システム及び製造方法

【課題】 不具合を有した自然乾燥法や土質改良法を使用せず、原料土砂に対してより簡易的な含水調整手段を施すことによって含水調整土砂を製造することができるシステム及び方法を提供すること。
【解決手段】 原料土砂が、搬入装置2によって搬送されて、処理容器3の投入口3aへ供給され、投入口3aから貯留空間10内へ投入される。貯留空間10内では、複数本のパドルミキサ11が回転駆動されており、これらのパドルミキサ11によって土砂が攪拌されながら投入口3a側から排出口3b側へと移送される。このとき、空気噴射装置5によって、圧縮空気が処理容器3の貯留空間10内で攪拌されている土砂に対して連続的に噴射され続ける。すると、処理容器3の投入口3aから投入された当初高含水比であった土砂は、処理容器3内を通過して排出口3bから排出されるまでの間に、その含水比が数ポイント程度低減されて、処理済土砂として排出口3bから排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高含水比でかつ液性限界以下である原料土砂に対して含水調整を施すことで得られる処理済土砂であって含水比が土木工事施工管理基準に準拠した範囲内に調整されるもの(以下「含水調整土砂」ともいう。)を製造するシステム及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
土砂は、砂、粘土、シルト若しくは礫又はこれらのうち2種以上を含んだ土質を有しており、各種の土木工事において利用されている。また、このような土砂を用いた盛土、路盤又は築堤などの構造物(以下「土構造物」ともいう。)の施工(以下「土工」ともいう。)では、その土構造物の強度を確保するため、土工に使用される土砂の締固め度Dcが、土木工事施工管理基準に準拠した範囲(以下「管理基準範囲」という。)内となるように調整されている。
【0003】
例えば、盛土の管理基準範囲には締固め度Dc=85〜95%以上が、路床の管理基準範囲には締固め度Dc=90〜95%以上が、一般的に多く採用されている。
【0004】
ところが、土砂の締固め度Dcは、土砂の含水比Wの高低によって変化する性質があることから、土構造物の施工管理では、土砂の含水比Wを調整することによって、土砂の締固め度Dcが調整されている。ここで、まず、土砂の締固め度Dcとは、土砂の最大乾燥密度ρmaxに対する実際の土砂の乾燥密度ρの比(ρ/ρmax)を、百分率(%)を用いて表したものをいう(Dc=100×(ρ/ρmax))。
【0005】
また、土砂の最大乾燥密度ρmaxとは、「突固めによる土の締固め試験方法」(JIS−A1210)に準拠した締固め曲線における乾燥密度ρの最大ピーク値をいう。さらに、締固め曲線とは、土砂の含水比Wと乾燥密度ρとの関係を表した含水比−乾燥密度曲線であって、一般的には最大乾燥度ρmaxを最大ピーク値とした山形状の曲線のことをである。
【0006】
ときに、締固め曲線によれば、最大乾燥密度ρmaxのときの含水比Wが最適含水比Woptと定義されており、この最適含水比Woptと含水比Wとの偏差ΔWの絶対値|ΔW|(=|Wopt−W|)(以下「含水比絶対偏差」という。)が大きくなる程、その乾燥密度ρの値が低下し、締固め度Dcの値も低下することが知られている。
【0007】
このため、土構造物の施工に使用される土砂の含水比Wが高い場合、即ち、土砂の含水比Wが最適含水比Woptの湿潤側であって、土砂の締固め度Dcが管理基準範囲外となってしまう場合には、土砂の締固め度Dcが管理基準範囲内になり、かつ、土砂の含水比Wが最適含水比Woptより湿潤側となるように、土工用の土砂に対する含水調整が行われている。
【0008】
ところで、現場発生土、購入土砂、泥土又は浚渫土などの土砂であって、その含水比Wが液性限界以下にあるものに関しては、その多くが、含水調整を施して含水比W(%)を数パーセントポイント(例えば3〜5パーセントポイント)(以下単に「ポイント」ともいう。)程度低減しさえすれば、当該含水比W(%)を最適含水比Woptの湿潤側にしたまま、締固め度Dcを管理基準範囲内に調整することができるのである。
【0009】
例えば、ある土砂について、その最適含水比がWopt=22%で、管理基準範囲内となる締固め度がDc=90%以上であって、この管理基準範囲内となる締固め度Dcの値に対応する含水比W(%)の範囲(以下「含水比調整範囲」ともいう。)がWopt(%)の±6(%)の範囲である場合、具体的な土砂の含水比調整範囲は、含水比Wが16%以上かつ28%以下(16%≦W≦28%)の範囲となる。
【0010】
かかる場合、即ち、土砂の含水比調整範囲が16%≦W≦28%である場合に、土砂の含水調整前の含水比Wが32%とするならば、これを僅か5ポイント低減するように含水調整できれば、土砂の含水調整後の含水比Wは27%(=32%−5%)となり、土砂の含水比が含水比調整範囲内であって最適含水比Woptより湿潤側(Wopt<W)に調整されることとなるのである。
【0011】
つまり、土砂の含水比Wが含水比調整範囲外で、最適含水比Woptよりも湿潤側で、なおかつ、液性限界以下にある場合には、その多くの土砂に関しては、その含水比を僅かに数ポイント程度低減できる簡易な含水調整手段が存在しさえすれば、土構造物の施工に適した締固め度を具備した土砂に極めて簡単に改質できて再利用できるのである。
【0012】
ところで、従来は、このような液性限界以下の含水比を有した土砂の含水調整する簡易な方法として、例えば、天日干し等の自然乾燥法や、固化材を用いた土質改良法などが、一般的に採用されていた。
【0013】
ここに、天日干しによる自然乾燥法は、含水調整の対象となる土砂を、面積の広い仮置ヤードに一定の厚みで敷き詰め積み上げ、この土砂の水分を太陽光の熱により自然蒸発させて、土砂を乾燥させるという含水調整法である。
【0014】
また、土質改良法は、石灰やセメントなどの固化材が含水調整対象となる土砂に混合されることで、この固化材と土砂中の水分とが水和反応させられ、この反応熱を利用して土砂の水分を蒸発させて、土砂を乾燥させるという含水調整法である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】「河川土工マニュアル 第7章各論」p.5、財団法人国土技術研究センター(平成21年4月)[平成23年9月21日検索]インターネット<URL:http://www.jice.or.jp/tosh、o/pdf/dokouh21_07.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、上記した自然乾燥法は、土砂を自然乾燥させる広い面積の仮置ヤードが必要となることに加え、土砂中の水分を蒸発させるための長い工期も必要になるという問題点があった。また、かかる自然乾燥法は、天候の影響を受けやすく、そのうえ太陽光が積み上げられた土砂の表面又は表層部にしか当たらないため、土砂内部の含水比を低下させ難く、土砂全体を均一に含水調整できないという問題点もあった。
【0017】
さらに、上記した土質改良法は、自然乾燥法に比べれば、土砂の含水調整を短期間に行えはするが、結局は、土砂の含水調整のために固化材と土砂中の水分とを水和反応させる養生期間が数日程度必要となり、なおかつ、養生期間中改良土砂を仮置する広いストックヤードが必要となるという問題点があった。
【0018】
しかも、土質改良法にあっては、それに使用する固化材が石灰やセメントなどの粉体であるため、含水調整に際して粉塵対策を施したり、更には、土構造物施工後の周辺環境への悪影響、例えば、周辺の植生類等や地下水の汚染などをへの影響を回避せねばならないという問題点もあった。
【0019】
特に、固化材の混合により改良された土砂(以下、単に「改良土砂」ともいう。)からの六価クロムの溶出等や、土工後の改良土砂が高アルカリ性に変質してしまう恐れがあるからである。
【0020】
そのうえ、土質改良法は、土砂の含水調整のために固化材を使用することから継続的なコストも発生し、それに加え、使用される固化材の性能やその添加量によって含水調整後の含水比が不均一となることもあった。そのうえ、原料土砂に固化材を大量に混合すると、土砂が本来の性質を喪失してしまい、改良土砂が再利用不能となる危険性もあった。
【0021】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、上記したような不具合を有した自然乾燥法や土質改良法を使用せず、原料土砂に対してより簡易的な含水調整手段を施すことによって含水調整土砂を製造することができるシステム及び方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0022】
この目的を達成するために請求項1の含水調整土砂の製造システムは、土砂を貯留可能な空間が内部に形成される処理容器と、その処理容器内に貯留される土砂を攪拌する攪拌装置と、その攪拌装置により攪拌されている前記処理容器内の土砂に圧縮空気を噴射する噴射装置と、その噴射装置により圧縮空気が噴射されている前記処理容器内から空気を強制的に排気する排気装置とを備えている。
【0023】
請求項2の含水調整土砂の製造方法は、土砂を処理容器内の空間にて攪拌する攪拌工程と、その攪拌工程により処理容器内で攪拌される土砂に圧縮空気を噴射する噴射工程と、その噴射工程を継続しつつ処理容器内から空気を強制的に排気する排気工程とを備えている。
【0024】
この本願発明の含水調整土砂の製造システム又はその製造方法によれば、原料となる土砂が攪拌装置又は攪拌工程によって処理容器内の空間で攪拌され、この攪拌状態にある土砂に対し、噴射装置又は噴射工程により噴射された圧縮空気が吹き付けられ衝突させられることによって、土砂に含まれる水分の一部が土砂から分離除去されて、土砂の湿気が低減される。
【0025】
そして、こうした土砂の攪拌と土砂に対する圧縮空気の噴射とともに、処理容器内の空気が排気装置によって処理容器の外へ強制的に排気される。すると、土砂から分離除去された水分が処理容器内で空気に混入している場合には、このような水分が空気と一緒に処理容器外へ排気される結果、処理容器内の湿度上昇も抑制される。
【0026】
これらのことを液性限界以下の原料土砂に施すことによって、かかる原料土砂の含水比が含水比調整範囲外でかつ最適含水比よりも湿潤側であっても、その含水比が簡単に数ポイント程度低減されて含水比調整範囲内に調整され、かかる原料土砂が土構造物の施工に適した締固め度を具備した土砂として再利用できるものに改質される。
【0027】
なお、以下に請求項1の含水調整土砂の製造システム又は請求項2の含水調整土砂の製造方法についての変形例を示す。
【0028】
第1変形の含水調整土砂の製造システムは、請求項1の製造システムにおいて、前記処理容器内に投入される原料土砂は、その含水比が最適含水比よりも湿潤側であって液性限界以下のものである。
【0029】
なお、第1変形例は、請求項2の含水調整土砂の製造方法にも準用する。この場合において、第1変形例において、「請求項1」とあるのは「請求項2」と、「製造システム」とあるのは「製造方法」と読み替えるものとする。
【0030】
第2変形例の含水調整土砂の製造システムは、請求項1又は第1変形例の製造システムにおいて、前記処理容器は、原料土砂が投入される投入口と、その投入口から投入される原料土砂を一時的に貯留する貯留空間と、その貯留空間から処理済土砂を排出する排出口とを備えており、前記攪拌装置は、その処理容器の貯留空間内で土砂を攪拌しながら前記投入口側から前記排出口側へと移送するものである。
【0031】
この第2変形例によれば、原料土砂は、処理容器の投入口からその貯留空間へ投入され、その貯留空間を攪拌されながら通過して、その排出口から排出されるまでの間に含水調整がなされるので、含水調整後の処理済土砂を定量的かつ連続的に製造し続けることができる。このため、バッチ方式のように土砂を出し入れする間に含水調整処理を中断する必要がなく、その分、処理済土砂の生産性を高めることができる。
【0032】
なお、第2変形例は、請求項2の含水調整土砂の製造方法又は第1変形例で読み替えた含水調整土砂の製造方法にも準用する。この場合において、第2変形例において、「請求項1」とあるのは「請求項2」と、「製造システム」とあるのは「製造方法」と、「攪拌装置」とあるのは「攪拌工程」と読み替えるものとする。
【発明の効果】
【0033】
本発明の含水調整土砂の製造システム又は製造方法によれば、従来の含水調整法である自然乾燥法や土質改良法を使用せずに、攪拌状態にある土砂に対して圧縮空気を噴射して吹き付けることで、仮に、原料土砂の含水比が液性限界以下で、含水比調整範囲外で、かつ、最適含水比よりも湿潤側である場合であっても、その含水比を簡単に数ポイント程度低減させて含水比調整範囲内に調整でき、その結果、原料土砂を土構造物の施工に適した締固め度を具備した土砂へと改質できるという効果がある。
【0034】
また、本発明によれば、上記した従来の含水調整法を使用せず、土砂を攪拌しながら圧縮空気を吹き付けることで強制的に土砂から水分を除去することから、天日干しのための期間や場所や作業も不要となり、その分、含水調整土砂の製造に伴うコストを大幅に低減できるという効果もある。しかも、土砂を連続的に攪拌している状態で、この土砂に圧縮空気を噴射するので、処理容器内に収容される土砂にむらなく圧縮空気を吹き付けることができ、土砂全体の含水調整を均一に行えるという効果もある。
【0035】
さらに、土砂から分離された水分のうち処理空間内に混入した部分については、排気装置又は排気工程によって処理空間から空気と一緒に強制的に排気されるので、空気中の水分が土砂に再付着等して含水比が再増加することも回避される。
【0036】
そのうえ、本発明によれば、土質改良法のように石灰やセメントなどの固化材を使用する必要もないので、かかる固化材の粉体が飛散することもなく、この飛散防止のための粉塵対策も不要となり、当該固化材の飛散に伴う土構造物施工後の周辺環境への悪影響も回避できるという効果がある。
【0037】
しかも、本発明によれば、土質改良法のような養生処理も不要であるので、そのための期間や場所や作業も不要となり、その分、含水調整土砂の製造に伴うコストを大幅に低減できるという効果もある。なおかつ、固化材に要する継続的なコストも不要となり、固化材の添加量の調整ミスに伴う含水比の不均一化や、再利用不能な改良土砂の発生などの不具合も根本的に解消できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態である土砂製造システムの構成図である。
【図2】処理容器の内部構造を示した説明図であって、処理容器を縦断面視した側面図である。
【図3】処理容器の内部構造を示した説明図であって、処理容器を横断面視した平面図である。
【図4】給気ホースの接続状態の一例を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。なお、図1及び図2中では、土砂を2点鎖線により図示している。図1は、本発明の一実施形態である土砂製造システム1の構成図であり、図中では、土砂を2点鎖線で図示している。この土砂製造システム1は、含水調整の対象となる原料土砂について、その含水比を3〜5%程度低減するためのシステム及び方法に関するものである。ここで、原料土砂は、その含水比が液性限界以下のものである。
【0040】
<土砂製造システム>
図1に示すように、土砂製造システム1は、原料土砂を搬送供給する搬入装置2と、その搬入装置2により投入口3aから投入される原料土砂を一時的に貯留する処理容器3と、その処理容器3内で土砂を攪拌しつつ投入口3a側から排出口3b側へ移送する攪拌移送装置4と、その攪拌移送装置4により処理容器3内で攪拌される土砂の含水比を低減させるために圧縮空気を処理容器3内へ噴射する空気噴射装置5と、処理容器3内から水分を含んだ空気を強制的に排気する排気装置6と、処理容器3の排出口3bから排出される処理済土砂を搬送する搬出装置7とを備えている。
【0041】
<搬入装置・搬出装置>
搬入装置2は、土砂の採取場所や仮置場所などから土砂を処理容器3へ搬送して供給するものである一方、搬出装置7は、処理容器3から排出される処理済土砂を次工程へ搬送するものである。これらの搬入装置2や搬出装置7には、例えば、土砂搬送用のベルトコンベアが用いられる。そして、搬入装置2の搬送方向下流側(図1右側)には処理容器3が配設され、この処理容器3は搬出装置7の搬送方向上流側(図1左側)に配設されている。
【0042】
<処理容器>
図2及び図3は、処理容器3の内部構造を示した説明図であって、特に、図2は、処理容器3を縦断面視した側面図であり、図3は、処理容器3を横断面視した平面図である。なお、図2では、土砂を2点鎖線で図示し、噴射孔15から噴射される圧縮空気の流れを矢印を用いて図示している。
【0043】
図2に示すように、処理容器3は、その前方側(図2左側)上部に土砂を供給する投入口3aが開口形成されている。この投入口3aは、搬入装置2の搬送方向下流側端部の下側の位置している。また、処理容器3には、その後方側(図2右側)下部に処理済土砂を排出する排出口3bが設けられている。この排出口3bは、搬出装置7の搬送方向上流側端部の上側に位置している。
【0044】
この処理容器3は、土砂を貯留する貯留空間10を内部に有した中空箱状に形成されており、土砂の乾燥による含水比の低減効率を高めるため、不必要な外気の流入を防止するため、投入口3a及び排出口3bの開口箇所を除けば、密閉構造となっている。
【0045】
処理容器3の貯留空間10は、その内部に投入口3aから投入された土砂の含水比の調整を行うための空間である。そして、この貯留空間10には、土砂の含水調整のため、上記した攪拌移送装置4における各パドルミキサ11と、空気噴射装置5における複数の噴射孔15と、排気装置6における排気口18とが、更に設けられている。
【0046】
<攪拌移送装置>
攪拌移送装置4は、複数本のパドルミキサ11と、この各パドルミキサ11を回転させる駆動力を伝達する伝達機構であるギア機構12と、そのギア機構12を介して各パドルミキサ11に駆動力を供給する駆動装置である油圧モータ13とを備えている。なお、以下、パドルミキサ11が2本である攪拌移送装置4について説明する。
【0047】
複数本のパドルミキサ11は、貯留空間10内に互いに平行に配設されている(図3参照。)。各パドルミキサ11は、貯留空間10内の前後方向に水平状に延びる軸状体である回転軸11aと、この回転軸11aの軸方向に所定間隔おきに多数設けられるパドル11bとを備えている。各パドルミキサ11の回転軸11aは、その軸方向両端部が処理容器3の前後両側に回動自在に軸支されており、その後方側の端部にギア機構12を介して油圧モータ13の出力軸13aが連結されている。
【0048】
複数本のパドルミキサ11は、油圧モータ13が駆動されてその出力軸13aが回転されることで、ギア機構12を介してそれぞれ回転軸11aが同時に回転されるように構成されており、なおかつ、互いに隣り合うパドルミキサ11同士は、ギア機構12を介して互いに反対方向に回転駆動されるようになっている。
【0049】
パドルミキサ11のパドル11bは、回転軸11aから径方向に延出される突出片状の固定支持体11b1と、この固定支持体11b1に固定されて支持される板状の攪拌体11b2とを備えている。各攪拌体11b2は、その片面が固定支持体11b1に当着され、もう片面が土砂の受け面11b3となっており、この受け面11b3が処理容器3の後方側、即ち、回転軸11aにおける排出口3b側の端部へ向けられ、この回転軸11aの軸方向に対して所定の傾斜角θを成して傾斜させられている。
【0050】
このように攪拌移送装置4によれば、パドルミキサ11がギア機構12を介して油圧モータ13により回転駆動される場合、各攪拌体11b2の受け面11b3が貯留空間10の後方側へ向けられ、かつ、回転軸11aの軸方向に対して傾斜角θがつけられるので、投入口3aから貯留空間10内に供給された土砂を、貯留空間10内で攪拌しながら排出口3b側へ向けて移送することができ、最終的に排出口3bから処理容器3の外へ排出できるのである。
【0051】
しかも、このパドルミキサ11による攪拌に伴う衝撃によって、土砂の塊(以下「土砂塊」という。)は、大塊のものから小塊(土砂の粒子を含む。)のものへと砕かれる。
【0052】
<空気噴射装置>
図1及び図2に示すように、空気噴射装置5は、圧縮空気を生成及び供給する空気圧縮機14と、その空気圧縮機14から供給される圧縮空気を処理容器3の貯留空間10内へ噴射する複数の噴射孔15と、複数の噴射孔15へ空気圧縮機14から吐出された圧縮空気を供給する流路である給気ホース16とを備えている。
【0053】
空気圧縮機14は、主として、大気中の空気を吸込口から吸入して圧縮して圧縮空気を生成して吐出する圧縮機本体14aと、この圧縮機本体14aにより生成される圧縮空気を給気ホース16へ供給する供給ポート14cとを備えている。ここで、圧縮機本体14aには、そのレシーバタンク14bが接続されており、圧縮機本体14aから吐出される圧縮空気は、このレシーバタンク14b内にて一時的に貯留される。
【0054】
このように圧縮機本体14aは、その吐出空気をレシーバタンク14bに一時的に貯留してから供給ポート14cへ供給するので、圧縮機本体14aの吐出量を超える供給量が供給ポート14cに瞬間的な発生しても、かかるレシーバタンク14bから必要な供給量の空気を供給でき、空気の供給量を一定化することができ、更に供給ポート14cから供給される供給空気の圧力変動を抑制することもできる。
【0055】
また、レシーバタンク14bは、その内部で貯留される圧縮空気の温度低下に伴ってドレン水を分離する水分離機能を備えており、更に、圧縮機本体14aで潤滑油が使用される場合には、この潤滑油を吐出空気から分離する油分離機能も備えている。このレシーバタンク14bによる水分離機能によれば、空気圧縮機14の供給ポート14cから吐出される圧縮空気の湿度低下(除湿)が期待される。
【0056】
なお、上記した空気圧縮機14は、圧縮空気から水分を除去して除湿するための各種の除湿機構を備えたものであっても良い。例えば、レシーバタンク14bの流出口の更に下流側に、図示しないアフタークーラ若しくはエアドライヤ又はこれらに2以上を備えたものであっても良い。さすれば、空気圧縮機14の供給ポート14cから供給される圧縮空気を更に除湿することができる。
【0057】
複数の噴射孔15は、処理容器3の上部を覆う天板部3cに設けられ、この天板部3cの下方にある貯留空間10内へ空気圧縮機14から供給される圧縮空気を噴射するものである。噴射孔15は、処理容器3の天板部3cの複数箇所に設けられており、貯留空間10内で貯留及び攪拌される土砂に全体的に満遍なく圧縮空気の噴射流を衝突できるようになっている。
【0058】
なお、圧縮空気の噴射流の噴射方向は、特に処理容器3の上部から下方へ向けてという方向に限定されるものではなく、土砂に対して気流を噴射衝突させることができれば、処理容器3の下部から上方へ向けた噴射方向や、処理容器3の側方から反対側方、上方又は下方へ向けて噴射するようにしても良い。
【0059】
給気ホース16は、空気圧縮機14の供給ポート14cから各噴射孔15へ圧縮空気を供給する空気用管路である。この給気ホース16は圧縮空気の圧力損失の最小限とするために管路長(長さ)が必要最小限とされている。これによって、空気圧縮機14から吐出された圧縮空気は、その圧力を大きく低下させることなく、処理容器3の各噴射孔15から貯留空間10内へ噴射される。
【0060】
図4は、給気ホース16の接続状態の一例を示したものである。図4に示すように、処理容器3の天板部3cには、ホース用のジョイント17を介して、合計4本の給気ホース16が接続されている。各ジョイント17は、処理容器3の天板部3cに固着され、各給気ホース16の先端が連結されている。
【0061】
各ジョイント17は、その内径部に給気ホース16と連通した貫通孔が形成されており、この貫通孔が圧縮空気を貯留空間10内へ噴射するための噴射孔15となっている。また、4箇所にあるジョイント17(噴射孔15)は、圧縮空気が処理容器3内に満遍なく行き渡るように、処理容器3の天板部3cにおける縦方向及び横方向に互いに間隔を空けて設けられている。
【0062】
なお、図4では、内径部が噴射孔15となったジョイント17を処理容器3の天板部3cに4箇所設けたが、かかるジョイント17の個数は必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、大容量の処理容器3のように寸法サイズが大きなものの場合には、その処理容器3内に貯留される大量の土砂にむらなく圧縮空気を吹き付けるため、更に多くの噴射孔15を処理容器3に設けるようにしても良い。
【0063】
<排気装置>
図1に示すように、排気装置6は、処理容器3の天板部3cに設けられる排気口18と、その排気口18に接続される排気パイプ19と、その排気パイプ19を通じて処理容器3の貯留空間10から空気を吸引する吸引力発生器であるエジェクタ20と、そのエジェクタ20に作動空気を供給する作動空気源である空気圧縮機21と、処理容器3内から排気される空気量を調整する排気量調整装置である調整弁22と、その調整弁22が途中に介設されエジェクタ20に空気圧縮機21を接続する作動空気流路23とを備えている。
【0064】
なお、本実施形態では、排気装置6の吸引力発生器としてエジェクタ20を用いて説明するが、かかる吸引力発生器は必ずしもエジェクタ20に限定されるものでなく、他の吸引方式を用いたもの、例えば、ブロワなどの送風機(図示せず)によって、処理容器3内の空気を強制排気するようにしても良い。また、作動空気源として空気圧縮機21ではなく、ブロワなどの送風機を用いても良い。
【0065】
エジェクタ20は、真空発生器の一種であり、作動圧ポート20aと、真空ポート20bと、排気ポート20cとを備えている。このエジェクタ20は、作動圧ポート20aが作動空気流路23を介して空気圧縮機21の供給ポート21cと接続され、かつ、真空ポート20bが排気パイプ19を介して処理容器3にある排気口18と接続され、更に、排気ポート20cが大気中に開放されている。
【0066】
なお、空気圧縮機21は、圧縮機本体21aと、レシーバタンク21bと、供給ポート21cとを備えており、上記した空気圧縮機14とは符号は相違するが同種のものであるため、その詳細について説明は省略する。
【0067】
このエジェクタ20は、空気圧縮機21(の供給ポート21c)から作動流体として圧縮空気が作動圧ポート20aへ供給され、この作動圧ポート20aへ流入した圧縮空気が排気ポート20cから排出されるように形成されている。エジェクタ20は、この圧縮空気の流れによってエジェクタ20の真空ポート20bを負圧化して吸引力を発生させ、この吸引力によって処理容器3内の空気を強制的に吸引して排気ポート20cから大気中へ排気することができる。
【0068】
調整弁22は、エジェクタ20の作動圧ポート20aへ供給される圧縮空気の流量若しくは圧力又はその双方を調整するための手動式の制御弁であり、作動空気流路23の途中に介設されている。この調整弁22は、そのハンドルが回転させることによって圧縮空気の流量若しくは圧力又はその双方が調整され、この調整によって、エジェクタ20の真空ポート20bへ吸引される空気量、即ち、処理容器3から強制的に排気される空気量が調整される。
【0069】
なお、調整弁22は必ずしも手動式のものに限定される訳ではなく、電動式、電磁式又は空気圧によるパイロット式の自動制御弁であっても良い。また、空気圧縮機21の供給ポート14cとエジェクタ20の作動圧ポート20aとを作動空気流路23を介して直接に接続することで、この調整弁22の設置を省略しても良く、後述する実施例では当該調整弁22の設置を省略している。
【0070】
次に、上記のように構成された土砂製造システム1を用いた土砂製造方法について説明する。
【0071】
まず、原料土砂が、搬入装置2によって搬送されて、処理容器3の投入口3aへ供給され、投入口3aから貯留空間10内へ投入される。貯留空間10内では、複数本のパドルミキサ11がギア機構12を介して油圧モータ13により回転駆動されており、これらのパドルミキサ11によって土砂が攪拌されながら投入口3a側から排出口3b側へと移送される(攪拌工程)。
【0072】
このとき、空気噴射装置5によって、圧縮空気が処理容器3の貯留空間10内で攪拌されている土砂に対して連続的に噴射され続ける(噴射工程)。すると、この攪拌されている土砂に含まれる水分の一部が分離除去されて、土砂の湿気が低減される。なお、このように土砂に噴射される圧縮空気の気流は、その噴射以前に加熱又は加温された熱風又は温風などではなく、その温度が外気温度と同程度であるか、又は、噴射後の膨張により外気温度に比べて若干低温化しているものと考えられる。
【0073】
ここで、このように土砂から分離除去された湿気(水分)には、土砂の粒子に再付着したり又は吸収されたり、或いは、処理容器3内で水滴となって残存するものもあるが、そのうち一部は、水蒸気や微細な水滴となって処理容器3内の空気中へ混入し、処理容器3内の空気の湿度上昇を招来させるものと考えられる。
【0074】
そこで、攪拌移送装置4による攪拌工程、及び、空気噴射装置5による圧縮空気の噴射工程を継続するのと並行して、排気装置6による処理容器3からの排気が行われる(排気工程)。
【0075】
排気工程では、圧縮空気が作動空気源である空気圧縮機21から作動空気流路23を通じてエジェクタ20の作動圧ポート20aへ供給される排気ポート20cから排出されることで、エジェクタ20の真空ポート20bを負圧化して処理容器3内の空気を排気パイプ19を真空ポート20bへ吸引して排気ポート20cから圧縮空気と一緒に排気させる。
【0076】
このように処理容器3内の空気に混入した水分が強制的に処理容器3外へ排出されることで、処理容器3内の湿度上昇も抑制され、加えて、処理容器3内の空気中に含まれる水分の土砂への再付着又は再吸収なども抑制又は低減されるので、処理済土砂の含水比の低減率(以下「含水比低減率」ともいう。)が不均一となったり、或いは、処理済土砂の含水比が含水比調整範囲外となることも抑制又は低減される。
【0077】
これらの攪拌工程、噴射工程及び排気工程を原料土砂が処理容器3を通過する間に施すことによって、この原料土砂の含水比が液性限界以下で、含水比調整範囲外で、かつ、最適含水比よりも湿潤側であっても、その含水比が簡単に数ポイント程度低減されて含水比調整範囲内に調整されるのである。
【0078】
そして、処理容器3を通過し終えた土砂は、土構造物の施工に適した締固め度を具備した処理済土砂となって、処理容器3の排出口3bから排出され、搬出装置7によって次工程へ搬送されるのである。
【0079】
なお、処理済土砂の含水比が含水比調整範囲内にならず、含水調整不足である場合には、この処理済土砂を原料土砂として搬入装置2へ載せて、処理容器3へ再投入するようにしても良く、この再投入を処理済土砂の含水比が含水比調整範囲となるまで繰り返すようにしても良い。
【0080】
以上説明した土砂製造システム1及び土砂製造方法によれば、空気圧縮機14により圧縮かつ除湿された圧縮空気は、大気に比べて低湿度化されていることから、これが処理容器3内に大量に噴射されることによって、貯留空間10内の雰囲気の湿度低下が期待でき、結果、かかる低湿度の雰囲気内で高含水比の原料土砂を攪拌することで当該土砂の水分低減が促進されるという有利な効果が得られるものと考えられる。
【0081】
この各噴射孔15から噴射される圧縮空気は、処理容器3の貯留空間10内へ連続的に途切れることなく噴射され続け、貯留空間10内で攪拌されている土砂に対して吹き付けられ衝突させられる。この圧縮空気の流れの衝突によって、原料土砂の土砂塊が小塊化されるとともに、土砂粒子の表面に付着した水分が吹き飛ばされて、土砂の含水比の低減調整が図られる。
【0082】
また、圧縮空気の噴射流が吹き付けられる土砂は、貯留空間10内で攪拌によってほぐされて空気が混入し易い状態にあるものと考えられ、かかる状態の土砂に圧縮空気が直接吹き付けられることで、この土砂に含まれる水分も気化し易く、その結果、貯留空間10内で攪拌される土砂の含水比の低減が更に促進されると期待される。
【0083】
しかも、空気圧縮機14から吐出された圧縮空気は、給気ホース16の通過による圧力損失が僅かであれば、大きな圧力低下を伴わずに各噴射孔15から噴射されるので、その土砂の衝突する際の風圧も極めて大きくなり、土砂の粒子表面に付着している水分を吹き飛ばす作用も発揮されるものと考えられ、この作用によって貯留空間10内にある土砂の含水比の低減が更に期待される。
【実施例】
【0084】
以下、上記した本発明の実施形態についての実施例について説明する。本実施例では、上記した土砂製造システム1に関する搬入装置2、処理容器3、攪拌移送装置4、及び、搬出装置7として、既存の土質改良機に装備される各装置が利用される。
【0085】
具体的には、日立建機社製の自走式土質改良機SR−G2000に装備されている、土砂フィーダが搬入装置2、混合槽が処理容器3、2軸式のパドルミキサ11,11が攪拌移送装置4、排出ベルトコンベアが搬出装置7として用いられる。
【0086】
空気圧縮機14としては、北越工業社製のエンジンコンプレッサPDS−90S(供給圧力p=0.7MPa、吐出空気量Q=2.5m/min(=2500l/min)、サービスエアバルブ数=2口)が用いられる。なお、空気圧縮機14の供給ポート14cとしては、上記エンジンコンプレッサのサービスエアバルブが使用される。
【0087】
給気ホース16としては、その内径が20A(3/4B)(21.6mm)程度のゴム製のエアホースが合計4本使用される。各給気ホース16は、空気圧縮機14の供給ポート14cにそれぞれ別々に接続される。このため、空気圧縮機14の供給ポート14cは、給気ホース16の本数分の合計4口必要となるため、上記エンジンコンプレッサは合計2台使用される。
【0088】
なお、空気圧縮機14が上記エンジンコンプレッサの場合、各サービスエアバルブからの吐出される圧縮空気は、その供給圧力がp=0.7MPaで、その空気流量qが当該エンジンコンプレッサ全体の吐出空気量Qの約半分程度となる(q≒1.25m/min(=1250l/min))。
【0089】
複数の噴射孔15は、図4に示したように処理容器3の天板部3cに均等な間隔で合計4箇所設けられ、各噴射孔15の内径が上記エアホースと同程度の21.6mmとされる。
【0090】
ここで、エアホースの圧力損失Δp[MPa]は、エアホースの摩擦係数μ[−]、エアホースの長さL[m]、空気密度γ[kg/m]、空気流量q[l/min]、エアホースの内径[mm]、及び、エンジンコンプレッサのサービスエアバルブの出口圧力(供給圧力)p[MPa]ならば、次式より簡易計算される。
Δp=9.2×10ー3×μ×L×γ×q/{d×(0.1013+p)
【0091】
なお、エアホースの摩擦係数μは、鋼管の場合にμ=0.0078、ゴムホースの場合にμ=0.0097であり、空気密度γは、空気温度t[℃]とすれば、次式より求められる。
γ=1.204×(0.1013+p)/0.1013×293/(273+t)
【0092】
このとき、例えば、空気温度t=30℃で、給気ホース16の長さL=10mで、空気圧縮機14から各給気ホース16に吐出空気量であると仮定するならば、給気ホース16を通過する圧縮空気の圧力損失Δpの計算結果は、Δp≒0.0044MPaとなり、噴射孔15の出口での圧縮空気は、吐出圧力(噴射圧力)pn(=p−Δp)≒0.696MPaとなる。
【0093】
このように空気圧縮機14の供給ポート14cから吐出される圧縮空気は、給気ホース16の長さL、内径d又は空気温度tなどに影響を受けるものの、給気ホース16を通じて各噴射孔15から噴射されるまでの間に、概ね0.1013MPa(≒1気圧)未満程度の圧力低下しか伴わないことから、各噴射孔15から噴射される圧縮空気はかなりの高圧状態であると言える。
【0094】
また、排気装置6の空気圧縮機21としては、上記した空気圧縮機14に使用されるエンジンコンプレッサと同型機が使用される。また、この空気圧縮機21から吐出される圧縮空気は、供給圧力p=0.7MPaで、吐出空気流量Q=2.5m/min(=2500l/min)となっており、排気パイプ19としては、直径200mmの円筒パイプが使用される。
【0095】
【表1】

【0096】
表1は、上記実施例による土砂製造システム1及びそれを用いた土砂製造方法に関する実験結果を表したものであり、具体的には、上記実施例により製造される処理済土砂と、比較例により製造される処理済土砂に関し、含水比と含水比低減率とを比較したものである。なお、表1では、実験を行った際の天候と気温とを参考データとして掲載している。
【0097】
ここで、実施例としては、上記実施例に示した土砂製造システム1及びそれを用いた土砂製造方法を使用している。また、比較例としては、原料土砂に対して圧縮空気を噴射させることなく攪拌するだけの土砂製造システム及びそれを用いた土砂製造方法を使用しており、具体的には、空気圧縮機14の運転を停止し、全ての噴射孔15からの圧縮空気の噴射を停止した状態で、上記実施例システム1及び方法を使用したものである。
【0098】
また、含水比は、「土の含水比試験方法」(JIS−A1203)に準拠したものである。表1の「含水比」欄のうち、「原料土砂」欄には、処理前の原料土砂の含水比が、「比較例」欄には、比較例による処理済土砂の含水比が、「実施例」欄には、上記実施例による処理済土砂の含水比が、それぞれ表記されている。
【0099】
また、含水比低減率は、処理済土砂の含水比から原料土砂の含水比を差し引いた値である。表1の「含水比低減率」欄のうち、「比較例」欄には、比較例による含水比低減率(比較例による処理済土砂の含水比から原料土砂の含水比を差し引いた値)が、「実施例」欄には、上記実施例による含水比低減率(実施例による処理済土砂の含水比から原料土砂の含水比を差し引いた値)が、それぞれ表記されている。
【0100】
この表1に示すように、上記実施例によれば、比較例に対し、含水比低減率も相対的に大きく、含水比低減率が全体的に5ポイント以上となっており、良好な含水比低減効果が安定的に得られることが確認された。
【0101】
以上、実施形態及び実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態及び実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、上記実施例では、土砂製造システム1及びそれを使用した土砂製造方法として、攪拌移送装置4によって原料土砂を処理容器3内で移送しつつ含水調整を行うもの、即ち、連続方式のものについて説明したが、当該システム及び方法は、必ずしも連続方式のものに限定される訳ではなく、バッチ方式のものであっても良い。
【0102】
ここで、上記システム及び方法についてバッチ式のものを採用した場合には、例えば、搬入装置2及び搬出装置7並びは不要となり、処理容器3については土砂の投入口3a及び排出口3bを密封すると良く、必ずしも投入口3aと排出口3bとを別々に設ける必要もなく、投入口3a及び排出口3bを兼用した土砂の出入口を処理容器3に一つ設けるようにしても良い。しかも、攪拌移送装置4により処理容器3内で土砂を移送する必要もないことから、攪拌移送装置4を単なる攪拌装置に変更しても良い。
【0103】
また、上記システム及び方法では、攪拌移送装置4の攪拌方式がパドルミキサ11によるのものであったが、攪拌移送装置の攪拌方式は、必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、小松製作所製の自走式土質改良機BZ120やBZ210に装備される多軸式のロータリハンマを用いたものであっても良い。
【符号の説明】
【0104】
1 土砂製造システム(含水調整土砂の製造システム)
2 搬入装置(土砂の搬入装置)
3 処理容器
3a 投入口
3b 排出口
4 攪拌搬送装置(攪拌装置)
5 空気噴射装置(噴射装置)
6 排気装置
7 搬出装置(土砂の搬出装置)
10 貯留空間(処理容器内部の空間)
11 パドルミキサ(攪拌部材、攪拌装置の一部)
12 ギア機構(伝達機構、攪拌装置の一部)
13 油圧モータ(駆動装置、攪拌装置の一部)
14 空気圧縮機(圧縮空気の供給源、噴射装置の一部)
15 噴射孔(圧縮空気の噴射孔、噴射装置の一部)
16 給気ホース(圧縮空気の供給路、噴射装置の一部)
17 ジョイント
18 排気口(排気装置の一部)
19 排気パイプ(排気流路)
20 エジェクタ(吸引力発生器)
21 空気圧縮機(吸引力発生器の作動空気源)
22 調整弁(排気量調整装置)
23 作動空気流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
土砂を貯留可能な空間が内部に形成される処理容器と、
その処理容器内に貯留される土砂を攪拌する攪拌装置と、
その攪拌装置により攪拌されている前記処理容器内の土砂に圧縮空気を噴射する噴射装置と、
その噴射装置により圧縮空気が噴射されている前記処理容器内から空気を強制的に排気する排気装置とを備えていることを特徴とする含水調整土砂の製造システム。
【請求項2】
土砂を処理容器内の空間にて攪拌する攪拌工程と、
その攪拌工程により処理容器内で攪拌される土砂に圧縮空気を噴射する噴射工程と、
その噴射工程を継続しつつ処理容器内から空気を強制的に排気する排気工程とを備えていることを特徴とする含水調整土砂の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−104248(P2013−104248A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249774(P2011−249774)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(597006997)アキュテック株式会社 (4)