説明

吸入活動をシミュレートするための装置及び方法

吸入器、特に息により駆動される乾燥粉末吸入器とともに用いるための吸入シミュレーションシステムを提供する。このシミュレーションシステムは、使用中の吸入器から生成される特徴的な信号の検出のための検知監視装置に取り付けられた吸入器で得られた患者の吸入特性を再現でき、この信号は、この信号を解析し、患者の吸入特性が同時ないしリアルタイムに再現されあるいは後日の利用のため記録されるよう吸入シミュレーションシステムの構成部分を動作させる送信器を経由して新たな信号を生成するよう構成されたアルゴリズムを有するコンピューターへと送信される。吸入器のパフォーマンスを計測する方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに示すのは、患者が吸気動作を行っている間に生成された生理学的状態に基づいて、主要な物理的計測結果を、例えばリアルタイムに記録し、転送し、表示するためのインタラクティブな装置及び方法である。特にこの装置は、単独で、あるいは、患者の吸入活動を記録して再現でき、あるいはシミュレートできる吸入シミュレーションシステムと組み合わせて用いることができる。
【背景技術】
【0002】
局所性あるいは全身性の疾患を治療するにあたり、気道を経由した治療用の物質の投与、特に肺への供給を行うための吸入装置が商業的に利用可能である。例えば、ぜんそく、気道の感染症、及び糖尿病のような全身性の疾患の治療のため、噴霧器、スプレー用ガスを充填した装置および乾燥粉末吸入器が用いられてきた。
【0003】
疾患の治療にあたり、治療用の物質を必要な投薬量だけ患者へと供給する効率は装置の効率に依存するものであり、全体的な供給量は、たとえば適切な吸入の手法を、この装置の使用中に患者に教示するための適切なフィードバック機構を患者に対して用意することにより、向上させることができる。装置を不適切に使用したり吸入の手法が劣悪であったりすると、治療用の物質の服用が所期の量より低い投薬量で行われたり、治療用の物質が、患者にとり有害であり得るより高い投薬量となることによって、疾患の治療の効率の欠如へとつながり得る。治療用の物質を気道へと効率的に供給するためには、患者ないしユーザーが、装置を適切な手法で用いるための訓練または指導を受けることが考えられる。
【0004】
薬剤を肺に供給するための乾燥粉末吸入器は、通常バルクで供給され、あるいは、ゼラチンカプセル、カートリッジもしくはブリスターパックのような、服用の単位ごとの区画に格納された個々の服用分ごとに小分けされた、粉末状の処方薬のための投薬システムを含んでいる。投薬の再現性のためには、薬剤の処方が均一であること、及び、投与分が患者に対し一貫して再現性のある結果をもって供給され得ることが求められる。それゆえ投薬は、たとえば、患者に適切な吸入操作を行わせることに実行される処方を最適化することによって向上させることができる。
【0005】
治療用の物質を肺管を経由して適切に供給するよう患者を訓練するための装置は、たとえば特許文献1に記述されており、同特許は、エアロゾル吸入器の使用における、適切な吸入の手順を用いた空気の流量に対する体積のデータに基づくフィードバック表示を含んだ、患者のインタラクティブな訓練のための装置を開示している。さらに、米国特許出願第10/759,859(特許文献2)は、薬剤吸入器たとえば乾燥粉末吸入器のための訓練装置を開示しており、この訓練装置は、圧力差を測定して吸入速度及び吸入の流速のピークの双方に相当する1個の値を表示することに基づいていて、また、乾燥粉末吸入器のシミュレーターを含んでいる。
【0006】
特許文献3及び特許文献4につき、乾燥粉末吸入器に関してこれらが教示しているすべての事項を参照するためここにこれらの全体を援用するが、これらに記述しているような乾燥粉末吸入器及びカートリッジシステムは、吸入操作の間に、吸入器及びカプセルないしカートリッジの中で粉末状の処方物の塊を砕くことによって、第一次的な薬剤の粒子ないしは適切な吸入用の煙流を生成することができる。肺循環を経由して薬剤を供給することの利点は、動脈へと速やかに入っていくこと、肝臓の代謝による第一関門の薬剤劣化が防止されること、たとえば注射など他の経路による投薬に比べて不快感がなく利用が容易であること、など数多い。これらの装置は臨床において用いられてきており、患者はこのような吸入器に関して適切に訓練されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5333106号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0187869号明細書
【特許文献3】米国特許第7305986号明細書
【特許文献4】米国特許第7464706号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
吸入システムの適切な使用につき患者を訓練するための装置のデザイン及び製造には、技術的な改善の必要がある。吸入システムを使用中の患者の監視、漏れや欠陥の存在といった、吸入システムのパフォーマンスの監視、患者の吸入の特性を再現するシステムと結合できること、等においてである。本開示は、これらの目的を達成する装置及び方法を提示するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ここに記述するのは、吸入システムの使用の間に吸入特性の主要なパラメーターを測定するための装置である。この装置、及びこの装置を使用する方法は、たとえば、医薬、活性成分あるいは薬剤を肺及び肺循環へと供給するための高抵抗の乾燥粉末の吸入システム等の吸入器の使用を必要とする患者を訓練し及び/または監視するのに有用である。この装置は、患者の吸入特性のパラメーターの測定及び複製を同時に行い、また、得られた吸入特性を記録して、記録された情報を後で複製することができる。
【0010】
以下に開示した吸入システムの実施例は、患者が、呼吸器系を経由した治療薬の効率的な供給のための最適ないし適切な呼吸または吸入の操作を体得する際の、訓練及び/または監視を効率化する視覚的な合図のための表示手段を備える。このシステムは、薬剤の最大供給量を実現するうえで患者個人にとって望ましい流速及び/または降圧特性を実現するための、当該患者が行う吸入装置の適切な使用の訓練を効率化する。この装置及び方法はまた、吸入システムのパフォーマンス、たとえば、供給されている服用量の検出、供給されている薬剤の定量化、供給されている服用量の投薬の継続時間、患者に対しなされた服用の回数、を監視することができ、またこの吸引システムの機械的な健全性を監視することができる。
【0011】
実施例のひとつにおいて、この装置はインタラクティブに動作でき、たとえばこの装置は、データの遠隔取得を可能とする無線通信インターフェースを備え、このデータを、インタラクティブなデータ表示、データの記録及び/またはウェブを基礎とした情報の転送を提供する、コンピューター/マイクロプロセッサを基礎としたシステムへと送ることができる。この代替として、他の実施例は、有線通信インターフェースを備えていてもよい。
【0012】
実施例のひとつにおいて、この装置は、たとえば米国特許第7,305,986号及び第7,464,706号並びに米国特許出願第12/413,405号及び第12/484,125号に記述されているような高抵抗の粉末乾燥粉末吸入器に適応できる。乾燥粉末吸入器に関してこれらが教示しているすべての事項を参照するためここにこれらの全体を援用する。しかしながら、いかなるタイプの吸入器も使用可能である。この装置は、薬剤の処方物を格納したカートリッジを有しまたは有しない吸入器と、圧力センサー、温度センサー、電気音響的ないし音声センサー、光学センサーのような電気的、電子的、電気機械的、電磁気的、フォトニクス的なあるいは光発電性の1個以上の変換器と、信号処理回路群及び/またはソフトウェアプログラムと、電子的信号通信手段と、出力ディスプレイとを備える。このような実施例では、この装置は、アナログまたはデジタルのセンサー、増幅等の適切な信号処理、信号のフィルタリング、アナログ−デジタル変換、オンボード処理のためのマイクロプロセッサ、及び、後続の信号処理及び/またはリアルタイムな出力表示のための遠隔的なコンピュータないしは携帯情報端末(PDA)と通信する無線通信器とともに用いることができる。この装置は、あらかじめ計量された単位服用量のカートリッジに収容された、肺循環に供給するための活性成分を含んだ治療用の混合物を供給するために用いることができる。代替の実施例では、検知監視装置は、空であるかまたは肺への供給に適した乾燥粉末を格納しているカートリッジを有する乾燥粉末吸入器からなる吸入システム上に、または当該吸入システムの内部に取り付けることができる。
【0013】
実施形態のひとつでは、この装置は、測定されたパラメーターを、患者の測定された特性を再現して患者の吸入操作を患者が吸入するのと同時にまたは後で再現ないしシミュレートすることができるシステムへと供給するために用いることができる。この実施形態では、このシミュレーション吸入システムは、マイクロプロセッサーを有するコンピューターと、アルゴリズムを実現する処理デバイスにより実行可能な、マシン読み取り可能な命令のセットとからなっており、このアルゴリズムは、少なくとも1個のセンサーからデータを受信するステップと、データをフィルタリングするステップと、データを変換するステップと、データを解析するステップと、記録された患者の情報の概略を表示するステップとを含んだ、データを取り扱う命令を含む。具体的な実施形態では、このアルゴリズムは、シリンジポンプを動かすモーターコントローラーを作動させ、真空を作り出し、これにより患者の吸引をシミュレートする。実施形態のひとつでは、患者の吸引の特性を再現する装置は、制御されたチャンバー内で圧力降下、体積及び流量の測定値を自動的に生成し、解剖学的モデルを用いた、実質的に正確な上気道ないし気流を有するシステムに取り付けられた吸入器に格納された粉末を、結果として生成された圧力降下及び流速で排出する閉ループ系を備えている。実施形態のひとつでは、この装置は、事前に患者から測定された吸入の特性を再現することができ、吸気圧のピーク、圧力が変化する時点における圧力の増加率ないし速度、体積、及び圧力ないし流速のピークに至る時間などの吸入のパラメーターの特徴付けが可能となる。
【0014】
肺への供給に適した微粒子からなる乾燥粉末は、たとえば米国特許第6,428,771号及び6,071,497号に開示されているような技術においてよく知られており、この微粒子に関してこれらが教示しているすべての事項を参照するためここにこれらの全体を援用する。それぞれの実施例において、乾燥粉末、活性成分は,たとえばタンパク質、ペプチド、ないしはポリペプチドとこれらの組み合わせであってもよく、また、インスリン、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)、パラチロイドホルモンないしその類似体などの内分泌ホルモンであってもよい。
【0015】
ある実施形態では、肺循環へと供給するための乾燥粉末の処方物は、ペプチド、タンパク質、ホルモン、これらの類似体ないしこれらの組み合わせなどの活性成分ないし作用剤からなり、この活性成分は、インスリン、カルシトニン、成長ホルモン、エリスロポエチン、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、絨毛性ゴナドトロピン放出因子、黄体放出ホルモン、卵胞刺激ホルモン(FSH)、血管作動性腸管ペプチド、パラチロイドホルモン(クロクマPTHを含む)、パラチロイドホルモン関連タンパク質、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)、エキセンディン、オキシントモジュリン、ペプチドYY、スマトリプタン等のトリプタン、インターロイキン2−誘導性チロシンキナーゼ、ブルトン型チロシンキナーゼ1(BTK)、イノシトール要求キナーゼ(IRE1)またはこれらの類似体、活性断片、PC−DAC修飾誘導体もしくはO−グリコシル化体である。具体的な実施形態では、治療用の混合物ないし乾燥粉末処方物はフマリルジケトピペラジンからなっており、活性成分は、インスリン、パラチロイドホルモン1−34、GLP−1、オキシントモジュリン、ペプチドYY、ヘパリン、PTHrP、これらの類似体及びこれらの組み合わせのうち1個以上選択されたものである。
【0016】
ここに記載する実施例は、乾燥粉末吸入器と連絡するセンサーであって、圧力、温度、この乾燥粉末吸入システムからの音響ないし音声を含むうち少なくとも1種類の信号を検出し、解析、記録、印刷または表示のための少なくとも1個の装置へと、たとえばリアルタイムに信号を送信するセンサーを備える乾燥粉末吸入器である。このような実施例では、センサーは乾燥粉末吸入器の内部に、または乾燥粉末吸入器に取り付け可能に配置され、また、このセンサーはマイクロホンであってもよい。
【0017】
実施形態のひとつでは、吸入システムは、気流に対し高抵抗を有し、抵抗値が約0.065(√kPa)/リットル毎分と約0.200(√kPa)/リットル毎分との間である乾燥粉末吸入器を備える。高抵抗の吸入システムは、上述した検知及び監視を行う装置とともに提供されてもよいが、低抵抗または他のタイプの吸入器も本システムに適応可能である。実施形態のひとつでは、センサーは、使用中の吸入器により生成された、本質的特性の信号を検出できる。他の実施例では、センサーは、音声検出装置ないしマイクロホンなどの音声センサーであり、音声信号を有線または無線の通信モードで、システム内の少なくとも1個の他の装置へと送信する。ここに記述する、乾燥粉末吸入器のための検知及び監視を行う装置は、さらに、信号の解析及び処理のために配置されているマイクロプロセッサへの音声信号のような、少なくとも1個の信号を伝達する、アナログ−デジタル変換器に結びつけられていてもよい。他の実施例では、少なくとも1個の装置はアナログ−デジタル変換器である。
【0018】
実施例のひとつでは、少なくとも1個のセンサーを備える監視装置と、アナログ−デジタル変換器と、データ記録媒体と、を備える、乾燥粉末吸入器のための監視システムを記述しており、このデータ記録媒体は、アルゴリズムを実現する処理デバイスにより実行可能な、マシン読み取り可能な命令のセットを含んでおり、このアルゴリズムは、少なくとも1個のセンサーからデータを受信するステップと、データをフィルタリングするステップと、データを変換するステップと、データを解析するステップと、得られたデータを用いて患者を監視するステップとを含んだ、データを操作し解析する命令からなっている。
【0019】
少なくとも1個のセンサーがマイクロホンである実施例においては、監視装置は吸入器内部の任意の箇所たとえば気流の導管の内部に、あるいは、吸入器の外部に別個の部品として、配置される。他の実施例では、監視装置は実装できるよう構成された取りはずし可能な装置であってもよいし、吸入器に取り付け可能でもよく、たとえば乾燥粉末吸入器に取り付けられるジャケットないしこれと同様の構造物であればよい。さらに他の実施例では、監視装置は、患者がこの装置を用いて行った吸入のリアルタイムな表現であるグラフィカルな表示を提供する。
【0020】
他の実施例では、信号は音声信号の振幅、音声信号の周波数またはこれらの組み合わせである。さらに他の実施例では、センサーはさらに、異なる周波数で少なくとも1個の音声信号を計測する。他の実施例では、乾燥粉末吸入器はカートリッジを備えており、このカートリッジは、肺に供給するための乾燥粉末を備えることができる。実施形態のひとつでは、乾燥粉末はたとえば、置換ジケトピペラジン微粒子、たとえばフマリルジケトピペラジン、などのジケトピペラジン微粒子と、少なくとも1個の活性成分とからなる。さらに他の実施形態では少なくとも1個の薬剤は、インスリン、GLP−1、パラチロイドホルモン、スマトリプタン、カルシトニン、これらの類似体、またはこれらの組み合わせからなる。
【0021】
さらなる実施形態では、検知及び/または監視の装置は、患者に供給中の服用分からの信号を検知するよう構成されている。この実施形態では、検知及び監視のシステムは、粒子、たとえば吸入器内部、また選択的には使用中のカートリッジシステム内部の粉末の粒子の、粉末の供給開始から粉末の供給終了までの動きを検知でき、センサーは、吸入器の音声及び吸入システムから発する粉末粒子の音声の本質的特性の変化を検知する。検知記録から得られたデータは、これを解析し、吸入システムを通じて放出ないし供給された服用量、服用分の供給のために経過した時間及び吸入システムのパフォーマンスとの相関をとることができる。
【0022】
他の実施例としては、検知及び監視の装置は、ジャケット、サドル、または吸入器たとえば乾燥粉末吸入器に適合する任意の構造のような、取り付け及び取り外し可能な装置として提供されてもよい。この実施形態において、取り外し可能な装置は、吸入器の構造ないし配置と動作が変更ないし妥協を受けないため、吸入システムの使用を効率化する。従って,ひとたび吸入器の特徴的なパフォーマンスが特定され患者が適切にこれを用いるようになれば、同一の吸入器をジャケットなしで用いることができる。この実施形態では、小型マイクロホンのようなセンサーは、ジャケットの任意のエリアに好適に装着でき、たとえばジャケットないしアダプターの壁面に埋め込むこともでき、あるいはジャケットの壁面から延伸することもできる。この実施形態では、検知及び監視の装置は、使用中の吸入器及びカートリッジシステムから発する音声の特徴がより高い精度で得られる。
【0023】
実施例のひとつは、吸入操作の間の圧力差を計測するために方法が記述されており、この方法は、患者に吸入器を提供し、吸入器は、吸入器から生成された、音声信号の少なくとも1個の振幅、音声信号の少なくとも1個の周波数またはこれらの組み合わせを検知するよう構成されたセンサーを備え、患者に少なくとも1秒間吸入を行わせ、データのセットを生成するコンピューターシステムのマイクロプロセッサにより提供されるアルゴリズムを用いて、前記音声信号の少なくとも1個の振幅、前記音声信号の少なくとも1個の周波数またはこれらの組み合わせを解析し、データのセットを時間及び圧力の関数として表示、印刷または記録する。
【0024】
ここに記述されているさらなる実施例は、少なくとも1個のセンサーを備える監視装置と、アナログ−デジタル変換器と、データ記録媒体と、を備える、乾燥粉末吸入器とともに用いるための監視システムを記述しており、このデータ記録媒体は、アルゴリズムを実現する処理デバイスにより実行可能な、マシン読み取り可能な命令のセットを含んでおり、このアルゴリズムは、患者による吸入の間に少なくとも1個のセンサーからデータを受信するステップと、データをフィルタリングするステップと、データを変換するステップと、データを解析するステップと、得られたデータを表示するステップとこのデータを用いて患者の吸入を監視するステップとを含んだ、データを操作しあるいは解析する命令からなっている。
【0025】
さらに、ここに記述する実施形態のひとつは、吸入操作の間の圧力差を計測するための方法であり、この方法は、患者に吸入器を提供し、吸入器は、吸入器から生成された、音声信号の少なくとも1個の振幅、音声信号の少なくとも1個の周波数またはこれらの組み合わせを検知するよう構成されたセンサーを備え、患者に少なくとも1秒間吸入を行わせ、データのセットを生成するコンピューターシステムのマイクロプロセッサにより提供されるアルゴリズムを用いて、前記音声信号の少なくとも1個の振幅、前記音声信号の少なくとも1個の周波数またはこれらの組み合わせを解析し、データのセットを時間及び圧力の関数として表示、印刷または記録する。
【0026】
ここに記述する他の実施形態は、カートリッジを備え、流れに対する抵抗の値が約0.065(√kPa)/リットル毎分と約0.200(√kPa)/リットル毎分との間である乾燥粉末吸入器と、使用中の吸入器から生成された信号を検知するよう構成された変換器と、ユーザにより行われる吸入操作をリアルタイムに表示するよう構成された表示装置と、を備えるユーザーにより行われる吸入を監視するためのインタラクティブな乾燥粉末吸入システムである。他の実施形態では、変換器は吸入器内部の圧力差を検知して計測する。さらに、変換器は、乾燥粉末吸入器の空気路を通る流速を検出及び計測するよう構成された流量計であってもよい。変換器は、たとえば、吸入器内部からの音声信号を検知して計測するよう構成されたマイクロホンのような電気音響装置であってもよい。
【0027】
ここに記述する、さらに他の実施形態は、乾燥粉末吸入器に取り付けられるよう構造的に構成された取りはずし可能な装置と、吸入器内で生成された音声を検知するためのマイクロホンを備えた取りはずし可能な装置と、からなり、乾燥粉末吸入器は、流れに対する抵抗の値が約0.065(√kPa)/リットル毎分と約0.200(√kPa)/リットル毎分との間である、乾燥粉末吸入器のような吸入器に取り付けるための、検知監視装置である。
【0028】
さらに、実施形態のひとつは、乾燥粉末吸入システムのための、検知監視装置であり、この乾燥粉末吸入システムは、乾燥粉末吸入器及びカートリッジを備えており、検知監視装置は乾燥粉末吸入システムから発する乾燥粉末処方物から生成される音声信号を検知するよう構成されたマイクロホンを備える。
【0029】
ここに記述する検知監視装置の他の実施形態は、閉ループ内において、シリンジポンプのような圧力差を生成可能なシミュレーティングモジュールに結合されている。シミュレーティングモジュールは、人が所定時間の吸入を実行する際の吸入の特性を再現するための所望の真空ないし圧力降下をシリンジポンプに生成ないし創出させるための規制ないし制御を行うための命令を有するマイクロプロセッサを有するコンピュータと、信号を介して通信できる。この実施形態では、患者から得られた吸入の特性はシステムに記録して、所要服用量を吸入器を用いて供給するために患者が必要とする活動を評価及び決定するために生体外で再現ないしシミュレートできる。この実施形態及び他の実施形態では、シミュレーティングモジュールはさらに、吸入器を受けるよう構成された口部を有する、実質的に正確な解剖学的な頭部を備え、また、実質的に正確な気道のモデル、たとえば、シリンジポンプに接続されたシリンダーあるいは管などの接続用の構造物に適合し取り付け可能であるよう構成されたものであるベンヘッドを有する。この実施形態及び他の実施形態では、実質的に正確な解剖学的な頭部はさらに、粉末状の薬剤をシミュレーティングモジュールの使用中に捕捉するための人工肺装置あるいは濾過装置に適合するよう構成されていてもよい。
【0030】
実施例のひとつは、乾燥粉末吸入器と、乾燥粉末吸入器と通信するセンサーと、口部を含む実質的に正確な上気道を備える人工的な解剖学的な頭部と、校正シリンジポンプと、電源と、マイクロプロセッサ、アルゴリズム及びディスプレイモニターを備えるコンピュータと、を備え、センサーは、粉末吸入器から生成された少なくとも1種類の信号を検知し、少なくとも1種類の信号を、解析、記録、印刷及び/または表示のための少なくとも1個の装置へと送信するよう構成される、乾燥粉末吸入システムである。
【0031】
無線または有線の第1のセンサー及び第1のラジオ送信器に取り付けられた第1の吸入器を患者に提供し、第1の吸入器ないし吸入を通じた圧力差を生成するため、患者に、第1の吸入器を通じて吸入を行わせ、患者は、信号受信器と、第1のセンサーから生成された信号を解析及び処理してコンピュータによる記録及び/または同時的な使用が可能なデータのセットを生成するよう構成されたアルゴリズムと、を備えるマイクロプロセッサを有するコンピュータと、モーターコントローラーと、モーターと、校正されたシリンジポンプのような真空源と、人工的な実質的に正確な解剖学的な上気道と、を備える吸入シミュレーション装置の近傍に位置することが可能であり、第2の吸入器は、無線または有線の第2のセンサーと、第2のラジオ送信器と、選択的に乾燥粉末処方物とを備えており、少なくとも1種類の信号を、第1の吸入器内で生成された流れから収集し、コンピュータないしマイクロプロセッサにおいてアルゴリズムを用い、信号を、第1のセンサーにより供給された患者の吸引からのデータのセットへと変換し、コンピューターにおいて、患者の吸入により生成された圧力差に等しい圧力差を生成するためモーターにシリンジポンプを駆動させるようコントローラーに命令するための第2の信号の組を生成する、患者による吸入操作をシミュレートする方法もまた提供している。
【0032】
他の実施形態は、患者に提供されたものと同種の吸入器とともに提供され、吸入器に適合したセンサーと、薬剤を含む粉末処方物と、を備え、吸入器が、人工的な実質的に正確な解剖学的な上気道に適合しており、吸入器により供給される粉末の性状を患者への吸入器を用いた投与に先立って評価ないし決定するため、透明で透けて見えるシリンダーに接続された人工的な実質的に正確な解剖学的な上気道に粉末処方物を供給するよう構成されているシミュレーションシステムである。この手法により、吸入器の供給効率を個々の患者について評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】乾燥粉末吸入器訓練装置の実施形態の右側面の等角図を示す。
【図2】図1の実施形態の左側面の等角図を示すものであり、筐体の一部は乾燥粉末吸入器訓練装置内部の部品を図示するため除去してある。
【図3】図1の実施形態の背面図を示す。
【図4】図1の実施形態の右側面の等角図を示すであり、装置のカバーは装置内部の付加的な部品を図示するため除去してある。
【図5】ここに開示する訓練システム全体のブロックダイアグラムを示す。
【図6】指導を受けずに患者が行った吸入操作を図示する。
【図7】深く息をするようにとのみ指導を受けて患者が行った吸入操作を図示する。
【図8】乾燥粉末吸入器を用いる訓練を訓練装置を用いて適切に受けた患者が行った吸入操作を図示する。
【図9A】一体型の検知監視装置を有する代替の実施形態の等角図を示す。
【図9B】一体型の検知監視装置を有しない代替の実施形態の等角図を示す。
【図10】乾燥粉末吸入器に適合するジャケットの一部として提供される、検知及び/または監視を行う装置のさらに他の実施形態の等角図を示す。
【図11】乾燥粉末吸入器に適合するジャケットの一部として提供される、図10に示す検知及び/または監視を行う装置の等角図を示すものであり、乾燥粉末吸入器システムは開かれた配置で描いてある。
【図12】検知及び/または監視を行う装置が図10及び図11に示す乾燥粉末吸入器に搭載されたところを示す背面図を示す。
【図13】図12に示す検知及び/または監視を行う装置の底面図を示す。
【図14】カートリッジを定位置に置き、検知及び/または監視を行う装置を装備した、乾燥粉末吸入器の縦中心線を通る断面の側面図を示す。
【図15】検知及び/または監視を行う装置を装備した乾燥粉末吸入器の近位図を示す。
【図16】図10−図15に描いた検知及び/または監視を行う装置の実施形態の等角図を示す。
【図17】乾燥粉末吸入器に適合させるための、検知及び/または監視を行う装置の代替の実施形態の等角図を示す。
【図18】ここに開示する検知及び/または監視を行う装置の例全体のブロックダイアグラムを示す。
【図19】深く息をするように訓練を受けて患者が行った吸入操作を図示し、同一の圧力差において乾燥粉末の服用分があるとき及びないときにおける特性を示す。
【図20】患者の吸入操作を再現ないしシミュレートするシステムとともに用いられる乾燥粉末吸入器訓練または監視及び検知の装置の代替の実施形態を図示する。
【図21】ここに開示する吸入シミュレーターシステム結合された検知及び/または監視を行う装置の例全体のブロックダイアグラムを示す。
【図22】ここに開示する検知監視装置に適合する乾燥粉末吸入器を用いて患者(A)が行った吸入操作を図示し、このグラフはまた、吸入シミュレーション装置(B)によりリアルタイムで再現された患者の吸入操作を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
ここに記述するのは、さまざまな応用に係るシステムを用いた吸入シミュレーションシステム及び方法である。実施例のひとつにおいては、この吸入シミュレーションシステムは、2個の構成部分からなる閉ループシステムである。第1の構成部分は、吸入器を備える吸入装置と、圧力変化ないし圧力降下及び/または流速の特性を吸入操作の間の患者から計測し、ないし監視するインタラクティブシステムと、からなっており、第2の構成部分は、第1の構成部分のデータを用いて患者の吸入から取得した吸入特性のような情報を受信及び変換し、患者の吸入を生体外で再現する情報を複製する。
【0035】
ここに記述する具体的な実施形態では、第1の吸入装置は、吸入器と、検知ないし探知するよう構成されたインタラクティブシステム、及び吸入の間、患者が吸入を行うにつれリアルタイムないし実質的に同時に得られる出力情報とからなっており、この情報ないしデータは、情報が得られるたびに記録及び/または表示され得る。この吸入装置は、患者が吸入装置と協働して行う吸気操作の効率を最大化するよう患者を訓練するために用いることができ、薬剤の供給の間に、服用分の適切な供給、服用分の供給のタイミング、及び使用中の吸入器の適切なパフォーマンスを検知するよう、吸入を監視するためにも用いることができる。実施例のひとつでは、探知して監視する装置は、任意の種類の吸入器とともに用いることができる。しかしながら、ここに記述する具体的な実施形態では、システムは乾燥粉末吸入器を含む高抵抗の吸入器と協働した形で応用される。
【0036】
吸入装置は、圧力、空気の流量、空気の体積、湿度及び温度を含む測定変数の少なくともひとつを変換できる変換器ないしセンサーを備える。この装置はさらに、フィルタリング、増幅及びアナログ−デジタル変換のような適切な信号調整回路群と、生成された信号を、信号の表示のためにリアルタイムでコンピュータあるいは携帯情報端末(PDA)へと転送する、マイクロプロセッサ、有線または無線通信インターフェース等のような処理回路群を備える。実施形態のひとつでは、出力ディスプレイは、表示装置が患者に反復的な吸入操作をリアルタイムで教えるための視覚的な補助を提供し、これにより薬剤の適切な吸入による供給を効率化するようにするためのインタラクティブなディスプレイであってもよい。他の実施例では、データは、後日の解析のために記録されてもよいし、他のアプリケーションに用いられてもよい。
【0037】
他の実施の形態では、検知及び監視は、チャンバーと、チャンバー内に圧力差及び/または流速を生成できるシリンジポンプないしはピストンにより駆動される装置のような真空源とを備える吸入シミュレーティング装置への信号の送信ないし同装置との通信に適合し得る。シリンジポンプは、有線または無線でコントローラーへと送信可能なコンピューターからの信号により駆動できるマイクロプロセッサを備える。コンピューター信号は、アルゴリズムにより解析されている患者の吸入特性から、吸入操作の間に同時的に、あるいは、コンピュータシステムの構成部分に記録された患者の吸入特性から得られた情報から生成できる。
【0038】
図1から図4は、乾燥粉末吸入訓練装置を備えた吸入装置の例を示す。ここに記述するこの訓練装置は、米国特許第7,305,986号及び第7,464,706号並びに米国特許出願第11/934,643号(US2008/0053437)、第11/949,707号(US2008/0127970)及び第12/102,625号に記述されているような高抵抗の乾燥粉末吸入器に適合するインタラクティブシステムを備えており、また、他の高抵抗の乾燥粉末吸入器は米国特許出願第12/413,405号及び第12/484,125号に開示されている。乾燥粉末吸入器に関してこれらが開示しているすべての事項を参照するため、これらのそれぞれの開示内容をここに援用する。
【0039】
訓練装置100は、作動ボタン102、筐体104、マウスピース106、混合部108、混合部108の上部にあるキャップないし蓋110、空気注入口112及び空気排出口114を備えている。空気注入口112と空気排出口114との間に空気路が確立される。図2は、筐体104の左側パネル(図示せず)を取り除いて、筐体104内部の信号処理/インターフェースボード116及びセンサー118の位置を示した状態の訓練装置100を示す。図3は、電源を用意するための、カバー120のある区画を右側に有する筐体104を図示する、訓練装置100の背面図を示す。
【0040】
実施例のひとつでは、アナログ形式のセンサー118は筐体104の内部に位置しており、図4に示す電池122もそうであるが、システムに電力を供給する電源に接続された作動ボタン102が押下されることにより訓練装置100に電源が投入されると、訓練装置100から圧力差を検出する。センサー118は、訓練装置100の空気路内の任意の点に位置していてよい。いくつかの実施例では、センサー118は、筐体104の空気路内に位置していてよい。他の実施例では、センサー118は、混合チャンバー(図示せず)またはマウスピース106の空気路の内部に位置し得る。
【0041】
図5は、訓練装置100のような吸入装置のブロックダイアグラムを示すもので、操作上のさまざまな構成部分を示す。図5において、システム500は、2個の構成部分である吸入訓練装置502及び処理システム504からなっている。処理システム504はPDAまたはコンピュータ506、ディスプレイ508、無線通信器510及び出力512を含んでいてもよく、出力512は、デジタル記録装置の形でもよいし、ウェブインターフェース、プリントアウト等でもよい。この実施例では、ユーザーは、たとえば訓練装置100の作動ボタン102等の電源ボタンを押下することにより、吸入訓練装置502を作動させることができ、これとともに処理システム504もまた作動させることができる。コンピューター506に組み込まれたソフトウェアプログラムが準備できると、開始信号がディスプレイ508に現れる。システムを作動させると、吸入514により吸入訓練装置502の中に圧力降下が生成され、センサー118により電気信号へと変換される。この実施形態では、センサー118は、アナログまたはデジタルの、圧力、流量、音声、光学、ガス、湿度または温度の変換器であればよい。そして、センサー118からの電気信号516は、雑音など不要な信号を除去するために信号調整器518へと伝送される。そして、調整された電気信号520は信号増幅器522へと伝送され、調整された電気信号518はそこで所定の電圧レンジへと増幅され、増幅された信号524として伝送され得る。そして、増幅された信号524はアナログ−デジタル変換器528を通じ、デジタル信号526へと変換される。そして、デジタル信号526はマイクロプロセッサー530を通過し、コンピューター506への送信のため、接続部534を通じて第2の無線通信器532へと通り、コンピューター506は、無線信号536を受信するための無線通信器510を有している。マイクロプロセッサー530またはコンピューター506に組み込まれ/プログラムされたソフトウェアプログラムは、電気信号516を、グラフィカルに表示可能な圧力値へと変換する。ある実施形態では、ユーザーの吸入操作をガイドするための参照基準として吸入訓練装置502のベースライン曲線が提供される。従って、吸入の間、ユーザーは彼/彼女の吸入操作とベースライン基準とを視覚的に比較できる。この手法により、ユーザーは彼/彼女の吸入活動を基準が要求するところに適合するよう改めることができる。患者が行ったそれぞれの吸入について表示されたデータは、第2の接続部538を介して出力512に保存でき、そこで然るべくデータを記録しあるいは転送することができる。たとえば、出力512はフラッシュドライブまたはプリンターの形をとることができ、あるいは、検討しまたは必要に応じてさらに訓練するために、電子メールを介して医師に送信され得る。実施形態のひとつでは、吸入訓練装置からの信号はコンピューター/PDAへと転送でき、コンピューター/PDAからの信号は吸入訓練装置により受信されることができ、これにより2個のコンピュータ間での2方向の通信が確立される。
【0042】
さらに、ボードに搭載された他の装置540は、マイクロプロセッサー530からのデータを1個以上のケーブル542を通じて送信及び受信することができる。たとえば、ボードに搭載された他の装置には、デジタル出力センサー、温度センサー、発光ダイオード(LEDs)、音声警報装置、及びその他のボードに搭載されたセンサーが含まれていてよい。
【0043】
ブロックダイアグラム500の他の構成も構成し得る。たとえば、信号増幅に次いで、増幅された信号524を第2の無線通信器532を経由して直接にコンピューター506へと伝送してもよく、このコンピューターがアナログ−デジタル変換及び他の必要な解析ステップを行ってもよい。
【0044】
患者との訓練のセッションから得られるデータの例を図6から図8に示す。それぞれの図は、ここに記述する訓練システムにより吸入操作の後で表示されたデータのグラフ(600、700、800)を描いたものである。これらのグラフは、圧力をキロパスカル(kPa)単位でy軸に、時間をミリ秒単位でx軸に、プロットしたものである。訓練装置100のためのベースラインである吸入パフォーマンスの標準は領域602として示してあり、その周囲は警戒領域604、及び、許容ないし推奨領域606により縁取られている。領域602、604及び606は、吸入の間の個人のパフォーマンスを監視するにあたって各領域の識別を効率化するため、異なる色で提供されてもよい。領域602が、たとえば、吸入操作がベースラインの要求を満たさなかったことを示すものとして赤色で描かれてもよい。それゆえ、供給システムは薬剤の供給を効率的に行う上で最適な状態にないと考えられる。警戒領域604は、吸入操作が許容範囲外のパフォーマンスに近づいていることの警告を示すものとして、黄色で描かれていてもよい。推奨領域606は、吸入のパフォーマンスが、薬剤を効率的に供給するうえで許容できる活動の範囲にあることを示すものとして、緑色で描かれていてもよい。
【0045】
図6は、訓練を何ら受けることなく、また、吸入操作の間にコンピューターのディスプレイを見ることを許されない状態で患者により行われた吸入操作の例を図示するものである。この吸入の結果は曲線608としてプロットされている。図6に図示されているように、吸入の手順全体の間にこの患者の吸入活動は許容範囲外の領域602に陥っている。
【0046】
図7は、装置の使用に関していくつかのガイダンスを受け、また、吸入操作の間にコンピューターのディスプレイを見ることを許された状態で患者により行われた吸入操作の例を図示するものである。曲線610としてプロットされているように、この操作では、この患者は、推奨領域606の中に入っている終点612により示されているように、許容範囲内の期間吸入を行っているものの、領域602の中に入っている領域614及び616により示されるように、許容範囲内の値を得るのに十分な速さないし十分な活動を行わなかったものである。
【0047】
図8は、装置の使用に関して完全な訓練を受け、また、吸入操作の間にコンピューターのディスプレイを見ることを許された状態で患者により行われた吸入操作の例を図示するものである。曲線618としてプロットされているように、この操作では、この患者は、全体を推奨領域606の中に入る値の範囲内で行っている。
【0048】
図6−9及び19に示すグラフは、コンピュータープログラムに取り込んで、そこからスクリーンショットとしてキャプチャーすることができる。ここに記述する装置及びシステムの他の機能は、コンピューターまたはマイクロプロセッサーを用いて制御でき、またオンスクリーンディスプレイを通じて視覚化できる。
【0049】
いくつかの実施例においては、許容できる吸入活動を、全吸入時間、ピーク吸気圧,ピーク吸気圧に至る時間、ピークから全吸入時間の約75%に至るまでの平均圧力、を含む1個以上の主要なパラメーターによって定義できる。ある実施形態においては、全吸入時間は5秒より大きくなり得て、ピーク吸気圧は6kPaより大きくなり得て,ピーク吸気圧に至る時間は1.1秒より小さくなり得て、ピークから全吸入時間の約75%に至るまでの平均圧力は約4kPaである。これらの値は、訓練装置100の値の代表であり、吸入訓練装置を変更するために、吸入器の薬剤の最適な供給のために必要な、抵抗値などのパフォーマンスパラメーターに応じて変えてよい。
【0050】
図9A及びBに示す他の実施例では、乾燥粉末吸入器900は、患者による吸入操作の間に乾燥粉末吸入器900によりまたはその内部で生成された信号を監視及び/または検知できる、検知及び/または監視を行う装置902とともに提供される。図9Aは、装置に組み込まれたセンサー装置も装置に取り付けられたセンサー装置もない乾燥粉末吸入器900を図示する。代わりに、図9Bに描かれた実施例では、監視装置902が、マウスピース904または筐体906のうち所望の方の上にある乾燥粉末吸入器900と一体を成す部分として提供され得る。図9Bに示す乾燥粉末吸入器900は、吸入器の内部に適合した監視装置902を有し、マウスピース904及び筐体906を備える。実施形態のひとつでは、センサーは、マウスピース、筐体、吸入器の流れの通路のひとつに突き出されるそりなど、吸入器900の部品の壁の内部に組み込むことができる。乾燥粉末吸入器900は、空気注入口908、空気排出口910及び選択的なマウスピースカバー912(図10)を有する空気路を備える。小型ないし極小のマイクロホンを含む監視装置902は、マウスピース904を有するよう構成された乾燥粉末吸入器900の内部に設けられ、また、導線914(図13)とともに設けられ、この導線はアナログ−デジタル変換器。表示装置及び/またはコンピューターに接続され得る。
【0051】
図10−16は、乾燥粉末吸入器900が、取りはずし可能でジャケットまたはキャップとして与えられた検知監視装置1000を備える代替の実施形態を描いたものであり、検知監視装置1000は、乾燥粉末吸入器に取り付けられる取りはずし可能な部品として提供され得る。この実施形態においてジャケットは、分離した、取りはずし可能な装置として製造され、センサー、たとえば信号を検知でき信号を記録し、送信しあるいは表示することができるマイクロホンを備える。この実施形態では、センサーは、図12に描かれているようにジャケットの底部に位置しており、これによりこのセンサーは、吸入器の空気路内に位置する。他の実施例では、センサーに接続された無線装置も設けられ得る。乾燥粉末のある状態またはない状態で使用されている吸入器から発する音声波はマイクロホンにより検出され、信号を解析し、用いられたセンサーの種類に応じて、乾燥粉末が存在する状態での粉末の投与の時間、流速、吸入操作の間の粉末の投与の終了、吸入器の通路内部の温度等との相関をとることができる。たとえば、音声の増加と、装置を通じた流速及び/または供給の間の空気流内部における粉末粒子の衝突の増加との相関をとることができる。
【0052】
マイクロホンなどのセンサーは、サイズが小さいことの帰結として、吸入器内部の任意の場所に位置させることができる。センサーが圧力変換器である実施形態では、センサーは、吸入器の区画のいずれかを通る空気路の内部に位置させてもよい。センサーは、たとえば吸入器の上または内部の空気路内に設けられていてもよく、また、吸入器に対して分離した、取りはずし可能な付属品としての部品として、取り付け対象の吸入器に取り付け可能な形状ないし構成を有するよう設けられていてもよく、吸入器に適合ないし搭載できるキャップ、ジャケット、スリーブまたはサドル様の構成を含んでいてもよい。取りはずし可能な実施形態については、検知監視装置は、製造が容易かつ安価でプラスチックから作ることができ、高抵抗の乾燥粉末吸入器とともに良好に動作する。たとえば、図10に示す実施形態では、図12に描いたセンサー1202が、マウスピース904の空気路内部に設けられる。このセンサーは任意のセンサーであってよく、たとえば、熱電対ワイヤー、圧力変換器、アナログセンサー、マイクロホン、光学センサー、ガスセンサーあるいは吸入器内部で生成された信号を検知できるいかなるセンサーであってもよい。センサー1202は、たとえばマイクロホンである。ここに記述するセンサーは無線装置によって通信ないし信号の送信をしてもよく、信号はアナログ−デジタル変換器への有線接続916を用いて送信されあるいは記録されてもよい。
【0053】
代わって、吸入装置内部にアナログ−デジタル変換器が設けられ、結果として得られるデジタルデータは、装置外へと直接に送信される。ここに記述するセンサーにより提供される信号は、吸入器内で空気路を通過する空気の流れ及び/または空気流の通路で引き込まれた粉末粒子の衝突により生成された音声の形をとってもよい。吸入器から生成された信号はセンサーにより検知し、記録し、送信しあるいは表示され得る。信号からデータが生成され、定性的及び/または定量的に解析されてもよい。この手法で、服用分の放出の時間も計測されてよい。
【0054】
図11は、図10で示した検知及び/または監視をする装置の等角図を描いたものであり、乾燥粉末吸入器900は,開いた配置で描いてある。乾燥粉末吸入器900は、マウスピース904と、筐体906と、蝶番機構とを備えており、蝶番機構は、乾燥粉末吸入器900を開閉するためのギアを備えている。図11に示す開いた配置のマウスピース904の可動部は、投薬のためのカートリッジ1102の搭載が可能である。マウスピース904の可動部は、図9に示すように、筐体906の上に、蝶番機構に取り付けられたスライドトレイを備える乾燥粉末吸入器900の閉じたあるいは投薬時の配置をとると、カートリッジ1102を投薬時の位置へと再配置し、カートリッジ1102及びマウスピース904を通じる空気の経路を生成する。
【0055】
実施例のひとつでは、取りはずし可能な検知監視装置1000(図12、13及び16)が、訓練あるいは患者の吸入操作からの情報の収集する際、患者あるいは医療供給者の必要に応じて用いられ、そして、乾燥粉末吸入器900が機能し続けている時点で乾燥粉末吸入器904から除去され得る。図11は、取りはずし可能な検知監視装置1000が、繰り返しの利用においてカートリッジ1102の装填及び抜き取りの間固定されて動かずフィットするよう乾燥粉末吸入器900に取り付けられる実施例を描いている。取りはずし可能な検知監視装置1000は、使用後に除去でき、再度の吸入の際に必要に応じて再び搭載できる。この実施の形態では、取りはずし可能なシステムが、吸入システムの特性上の抵抗値に干渉ないし影響することのない簡潔な装置を実現する。
【0056】
図12は、図10及び11においては乾燥粉末吸入器900に搭載されている取りはずし可能な検知監視装置1000が吸入器から除去されたところの背面図を示す。図12に示すように、取りはずし可能な検知監視装置1000は、第1のフランジ1204及び第2のフランジ1206を有するよう構成されており、これらはいずれもマウスピース904と固定的にフィットするよう契合し、閉じた位置にあるときの乾燥粉末吸入器900上の対応する第1の溝918及び第2の溝920の内部に位置することにより、筐体906との衝突を回避する。このような実施形態では、乾燥粉末吸入器900は、ワイヤー接続916、または、取りはずし可能な検知監視装置1000の横断部分1208にあるセンサー1202により検出された信号がデータに変換されるようにアナログ−デジタル変換器に接続できる少なくとも1個の導線を備えることができる。代替の実施形態においては、取りはずし可能な検知監視装置1000は、計測された信号を受信器に送るための無線送信器に取り付けられる。
【0057】
図12及び16は、異なる乾燥粉末吸入器の構成に対応するようサドル型に構成された、取りはずし可能な検知監視装置1000を示す。取りはずし可能な検知監視装置1000は、上部面1210、底部面1212、及び取りはずし可能な検知監視装置1000の底部面1212上の縦中心軸に配置されたセンサー1202を有する。取りはずし可能な検知監視装置1000はまた、乾燥粉末吸入器900に契合して取り付けられる第1のフランジ1204及び第2のフランジ1206に加えて、少なくとも1個の止め具ないし突起1214を備えていてもよい。実施例のひとつでは、取りはずし可能な検知監視装置1000は、センサーのワイヤ1302を支持して乾燥粉末吸入器900の空気路内の気流の障害物を避けるために表面下が中空になっている隆起した領域1216を備える。
図13は、取りはずし可能な検知監視装置1000の底面図を描いており、センサーワイヤー1302に結合されたセンサー1202及びデジタル−アナログ変換器に接続するためのワイヤー接続916を示している。
【0058】
図14は、図11に示す取りはずし可能な検知監視装置1000を装着した状態の乾燥粉末吸入器900の側面の断面図を示す。断面はその縦中心線を通り、カートリッジ1102は定位置にあり、ジャケット内部のセンサー1202の位置が図示してある。図14及び15もまた、センサー1202たとえばマイクロホンの、マウスピース904の空気の経路内での位置を示している。いくつかの実施の形態では、吸入器の空気の経路に取り付けるためのジャケット内部のセンサーは、吸入器に応じて異なる位置に配置できる。この手法で、ジャケットは、一体に組み込まれたセンサーを有するようにして、ジャケットが吸入器に取り付けられたときこのセンサーが吸入器の空気路の上流、下流または中流に位置して、音声信号ないし振動が、吸入器の壁を介して、または空気の経路に直接に面して検出されるようにするよう、構成することができる。
【0059】
図17は、乾燥粉末吸入器900のような乾燥粉末吸入器に適合させるための、代替的な取りはずし可能な検知装置1700の等角図を示す。この実施例では、第1側板1702及び第2側板1704が、乾燥粉末吸入器900との間に強固なフィットを形成するため。マウスピース904の第1吸入器側板922及び第2吸入器側板924に取り付けられる。代替的な取りはずし可能な検知装置1700はさらに、乾燥粉末吸入器900と契合するために用いられる第1の底部フランジ1706、第2の底部フランジ1708、第1の前部フランジ1710及び第2の前部フランジ1712を備える。第1の底部フランジ1706及び第2の底部フランジ1708は、第1吸入器側板922及び第2吸入器側板924の各底部を把持し、第1の前部フランジ1710及び第2の前部フランジ1712は、マウスピース904の側部を把持して、乾燥粉末吸入器900上の第1の溝918及び第2の溝920の内部でフィットする。代替的な取りはずし可能な検知装置1700はさらに、センサー及び付随するワイヤー(図示せず)を格納するための隆起部1714を、その表面下部分に有する。領域1718を把持することにより、ジャケットの運搬がし易くなる。
【0060】
図18は、ここに開示する検知及び/または監視を行う装置及びシステム全体の例示的構成のブロックダイアグラム1800を示す。このような実施例では、吸入器1802は、ユーザーの吸入1806を検出してアナログ信号1808を供給するするマイクロホン1804を備える。ユーザーの吸入1806の間、吸入器1802の空気路に空気の流れが入る際にこの空気の流れにより生成される音声波が、マイクロホン1804により検出される。マイクロホン1804は、使用中の吸入器の圧力、応力、粒子の変位及び粒子の速度の変化から生成される、15から20000ヘルツにわたる音声信号を検出できる。マイクロホン1804は、装置内部の流速ないし圧力を決定づける粉末がある状態またはない状態で使用中の吸入器から内因的に生成される周波数の放出分の変化ないし変形の結果として生じる信号パターンを用い、この流速ないし圧力は、解析の際にユーザ及び/または装置のパフォーマンスとの相関をとり得る。マイクロホンの振動信号はアナログ信号1808(たとえば、電圧)に変換され、アナログ−デジタル変換器1810へと伝送される。アナログ/デジタル変換器1812からの信号は、アナログ/デジタル変換器1812から受信した信号を解析するためのアルゴリズムを用いるマイクロプロセッサを有するコンピューター/PDA1814へと送られる。処理されたデータは、周波数、時間及び振幅のパラメータで表され、ディスプレイ1816に供給され、あるいは、後日の利用のための記録、ウェブベースのデジタル記録装置への送信、及び/または印刷のため、出力手段1818に供給される。このような実施例では、信号周波数の時間変化を監視することにより、アナログ信号1808の振幅を決定できる。各乾燥粉末吸入器は、使用中の吸入器に発現する典型的な音響パターン、すなわちフィンガープリントを有しており、このパターンは、検出して特定の信号へと変換し、解析して記録し、あるいはコンピューターモニターのような表示装置に表示することができる。
【0061】
他の実施形態において、吸入器のための検知監視システムは、吸入器に適合するよう構造的に構成された検知及び/または監視を行う装置と、アナログ−デジタル変換器と、データ記録装置とを含んでいる。データ記録装置には、ディスクドライブ、CD−ROM、サーバー、フラッシュカードまたはドライブ、メモリーカード等が含まれ、また、アルゴリズムを実現するマイクロプロセッサまたは他の処理装置により実行可能な、マシン読み取り可能な命令の組も含まれる。このアルゴリズムは、実行されると、検出された信号から派生する論理サブシステム生成番号を生成するステップと、論理サブシステム生成番号と処理装置内のクラスタ生成番号とを比較し、論理サブシステム生成番号を論理サブシステム内のデータトラックにセーブするステップと、吸入操作の結果としてアルゴリズムからの情報を記録及び/または表示するステップと、を開始する。
【0062】
図19は、圧力差に応答し乾燥粉末吸入システムを用いて行われた吸入操作のグラフィックディスプレイ1900の例を示すものであり、この乾燥粉末吸入システムは、マイクロホンセンサを備えているものである。図6−9と同様に、グラフィックディスプレイ1900は、許容領域1902及び非許容領域1904を有する。これらの領域は、赤色及び緑色、あるいは、吸入操作の習得を助ける他の任意の色の組み合わせで色付けしてよい。患者は、吸入器を用いて4から5秒間深く息をするように指導を受け、通常通り息を吐くことを許されている。このグラフは、図10−16に示す検知監視装置を用いた計測結果を示す患者の吸気特性を示す。図19は、時間をx軸に、また圧力差をy軸として、データを示している。
【0063】
吸入操作は、乾燥粉末処方物が入っていないカートリッジを有する状態の吸入器を用いて行われ、第1の曲線1906により描かれ、また、乾燥粉末処方物が入った状態で行われ、第2の曲線1908により描かれている。この結果は、検知監視装置が、システムから放出された粉末の存在、粉末放出の時間及びシステムから放出された粉末の量を検出できることを示している。曲線1906は、システムに粉末が入っていない状態での吸入の間にマイクロホンにより生成された信号であり、曲線1908は、システムに粉末が入っている状態での吸入の間にマイクロホンにより生成された信号である。曲線1908と1906との差は、システムから放出された粉末の存在及び量と、放出の時間を表す。図19は、検知監視装置が、吸入器のカートリッジシステムから放出される服用分の量の計測に効果的であることを示す。
【0064】
実施例のひとつでは、吸入シミュレーションシステムの各構成部分は互いに独立して用いることができる。実施形態のひとつでは、吸入シミュレーションシステムの第2の構成部分を単独であるいは患者により行われた吸入の特性から記録された情報とともに用いることができ、アルゴリズムにより解析されたコンピュータ、及び、患者の吸入活動を生体外で再現できるコンピュータ内のプログラムされたソフトウェアに、いくつかの付加的な装置を用いて記録することができる。この吸入シミュレーションシステムは、個々の患者の特性を備えていてもよく、また、システムは、患者の吸入をシミュレートないし再現する特定のパラメーターを用いてプログラムされていてもよく、これはたとえば、使用に供された吸入器のパフォーマンスをテストし、吸入器を特定の吸入活動を行う個人の必要のためデザイン及び開発しまた吸入器の粉末のパフォーマンスを決定するために用いることができる。
【0065】
実施例のひとつにおいて、図20及び図21に吸入シミュレーションシステム1910を示す。図20は第1及び第2の構成部分の観点を示す吸入シミュレーションシステムの実施形態を図示したものである。吸入シミュレーションシステム1910は、第1の構成部分の一部である取り付け可能な検知監視装置を有する乾燥粉末吸入器からなる第1の吸入装置1919を備える。システム1910の第2の構成部分は、記録されあるいはコンピューター1921から同時的に取得された患者の吸気特性データを複製する同一の吸入装置1918を備える。
【0066】
図20は、第1の装置1919による患者の吸入操作を再現ないしシミュレートするためのシステムとともに用いられる乾燥粉末吸入器訓練または監視及び検知装置1918を示す。検知監視装置1919による吸入操作から得られたデータは受信器へと送信され、このシミュレーションシステムは、患者により生成された吸入パラメーターを同時にまたは後で記録または複製できる。この実施形態では、図20に示すように、シミュレーションモジュールシステム1910は検知監視装置1918を備え、検知監視装置1918は、筐体、電池(図示せず)、センサー、及び、図示するように吸入器に適合する無線ジャケットであるラジオ送信器を備える。検知監視装置1919は、患者に使用されると、吸入の間の吸入装置のパフォーマンスの少なくとも1個の観点、たとえば、流量、圧力差、及び/または音声を検知できる。検出された信号はデータ信号へと変換して有線または無線の送信器によりコンピューター1921へと送信でき、コンピューター1921は、受信器と、シミュレーションシステム1910を制御するためのアルゴリズムを実現するマイクロプロセッサーとを備える。具体的な実施形態では、データは、たとえばモニター1922上にリアルタイムに表示できる。コンピューターへと中継された、アルゴリズムを備えるこのデータは、リアルタイムに表示されてもよいし、後日実行されるシミュレーションに用いるため、あるいは、将来行う解析のために、記録されてもよい。
【0067】
実施形態のひとつでは、吸入シミュレーションシステム1910は、人工的な、実質的に正確な解剖学的な頭部1911を備え、頭部1911は、上気道/空気路のモデルと、ベンヘッドとを備え、ベンヘッドは、実質的に正確で代表的な男性の上再気道のモデルであって、中心を通る縦軸で二分され、両半分は使用中に固い封をなす。ベンヘッドはエポキシ樹脂から作られていればよく、口部と、反対側の端にある開口部を有し、この開口部は、たとえば濾過システム、人工肺、流量計、そして、校正されたシリンジポンプのような真空源など、さまざまな装置に取り付けることができる。吸入シミュレーションシステムはまた、吸入器に一体となった部分であってもよくまた吸入器に結合されたものであってもよい監視検知装置1918と、電源(図示せず)と、モーターコントローラーと、モーターと、シリンジポンプとして機能するピストン/シリンジの組み合わせ1920と、アルゴリズムを有するマイクロプロセッサー1921を備えるコンピューターとを備え、具体的な実施形態では、シミュレーションシステムにより収集する出力データを視覚化するディスプレイモニター1922を備える。このシミュレーションシステムはさらに、フィルターアダプターと、試料管1925と、Pall Life Sciencesにより供給されているガラス繊維フィルターのような、粉末がシミュレーションシステム1910他の構成部分に入ることを防止するためのフィルターと、流れを制御するためのバルブ1023,1924を備えていてもよい。粉末は、服用分の供給の計量と服用分の質のためフィルター及び試料管から回収できる。
【0068】
動作の際は、モーターコントローラーが動きを特定する入力を、記録されておりまたはシステムに同時的に受信された情報に基づいてコンピューターから受け取る。コントローラーは、モーターの回転の動きをピストンの直線状の動きに変換するためにピストンに機械的に結合された電気的モーターの動きを制御するよう、ひとたび作動させられる。ピストンが動くと、シリンダー内の体積が変化し、これによりシリンダーへと流れが生じ、これが、監視検知装置1918に取り付けられた吸入装置の導管に真空を生じる。吸入器1918により生成された圧力差/空気流の結果として生成された音声は、装置内の、あるいは装置に取り付けられたセンサーにより捕捉される。代替の実施形態では、センサーは乾燥粉末吸入器に一体に組み込まれていてもよい。もしも粉末処方物が、センサー1918を有する吸入器に入っていると、装置内で生成された圧力降下がこの粉末が吸入器を放出し、流量、圧力差及び/または音声が検知監視装置1918により検出されコンピューター1921へと送信され得る。
【0069】
実施形態のひとつでは、服用分なしで使用中の患者の吸入器内の流れを計測するよう構成でき、また、同じ流れの特性、たとえば速さ、大きさ、第2の装置における吸入操作の持続時間を、服用分のある状態で再現できるような装置を提供するため、検知監視装置1919が吸入シミュレーションシステム1910に結合されている。この実施形態では、患者は活性のある薬剤にさらされることなく吸入を行って、吸入器及び患者のパフォーマンスの計測結果、たとえば吸入器から放出される服用分の量、粒子のサイズの分布を確かめることができ、同様のものを投薬で結果として実現できる。代替の実施形態では、1918は、服用分をシミュレーターシステムへと供給できる吸入器のみを備えていてもよく、あるいは、患者の吸入操作のシミュレーションの忠実度を評価できるように、監視検知手段をさらに備えてもよい。いくつかの実施形態では、フィルターアダプター1925はさらに、たとえば目あるいは高速ビデオカメラによる、“吸入された”粉末の塊の視覚的観察を可能とする透明なチューブ(図示せず)を備える。代替の実施形態では、乾燥粉末吸入器から放出された、粉末の混合物を含んだ煙流を計測するためにレーザー回折装置を用いてもよい。レーザー回折システムは、透明のチューブを横切り、煙流の粒子のサイズの分布を計測するのに適合し得る。
【0070】
図21は、ここに開示する吸入シミュレーターシステム1910の実施例全体の構成部分間の相互作用のブロックダイアグラムを示す。動作の際、乾燥粉末吸入器などである吸入器1926は、監視検知装置1919が吸入器上の、動く流れの位置の近傍に位置するようにして、取り外し可能な監視検知装置1919に結合され得る。吸入がなされると、流れが装置1926を通じて生成され、検知監視装置1919内のセンサーにより検知される。実施形態のひとつでは、センサーはマイクロホンからなっており、このマイクロホンは、吸入器1926の導管を通じる流れの動きにより生成された音声を計測するために用いられる。音声の振幅は、吸入器1926を横断する圧力降下の大きさと強く相関することが、実験により示されている。実施形態のひとつでは、センサーは圧力変換器または流量計を含んでもよい。検知された流れは、センサーにより、吸入器1928に特徴的な電気信号へと変換され、筐体内部の、動作しているラジオ装置1930、たとえばBluetoothあるいはZigbeeのような無線プロトコルへと中継される。そして、ラジオ装置1930は、解析、表示1940及び/または記録のため、データをコンピューターないしマイクロプロセッサ1932へと送信する。データがコンピューター1930により受信されると、データ信号は規格化され、圧力との相関をとられ、最終的には、ピストン/シリンダー装置1936内の圧力差を生成して吸入器−監視検知システム1918に流れを生成するため、受信した情報がシミュレーションシステム1910により再現されるように、モーター1934を駆動するモーターコントローラーが用いる回転速度へと変換される。シミュレーションシステム内のベンヘッドに取り付けられた吸入器から生成された音声信号は、検知監視装置1918によって流れから検出されるが、この音声信号は吸入器1926に特徴的なもので、センサーにより電気信号に変換され、筐体内部の、動作しているラジオ装置1929、たとえばBluetoothあるいはZigbeeのような無線プロトコルへと中継される。そして、ラジオ装置1929は、解析、表示1940及び/または記録のため、データをコンピューターないしマイクロプロセッサ1932へと送信する。
【0071】
実施形態のひとつでは、吸入シミュレーションシステム1910は、流れが一方向となるよう、一方向的に構成される。システムを使用後に開始位置に戻せるようにするため、バルブ1923及び1924が設けられる。実施形態のひとつでは、解剖学的な人工的頭部1911の気道は、服用分の供給の間に粉末が堆積する生体内の作用を模倣するための人工的な粘液がある状態またはない状態で用いることができる。実施形態のひとつでは、吸入シミュレーションシステムは、使用中の吸入装置1918に格納された粉末から放出される煙流の質を記録するためのカメラを備えていてもよい。
【0072】
[例1 組み込まれた訓練装置の使用]
57歳の2型糖尿病患者は、ヘモグロビンA1cが上昇しコントロール不能と考えられたため、乾燥粉末吸入システムからのインスリンに吸入を受けるよう指示された。この患者は、センサーが組み込まれた、図9Bに示す装置を用いて吸入の訓練を受けた。この患者は装置を与えられ、この訓練装置を使用する際は深く速い息をするよう求められた。
【0073】
データはコンピュータに収集され、患者はこのデータをディスプレイ画面上でリアルタイムで見ることができた。この患者の最初の吸入の試行は低速すぎ、赤色の“非許容領域”に入る旨をオンスクリーンで表示された。この患者は、前回の試行より若干速くなるようにもう一度速く息をするよう指示された。吸入が完了するとすぐ、グラフは、患者の吸入操作が許容できるもので全体がグラフの緑色領域内であることを示した。訓練に際して苦痛はなかったので、この患者は同種の装置を用いるのに支障がない。
【0074】
この患者は、図9Aに示すものと同様なタイプの、患者の糖尿病治療のための吸入可能なインスリンでカートリッジが満たされた乾燥粉末吸入器を処方物された。インスリンの吸入を処方されて6箇月後、この患者の糖尿病はコントロールの下にあると診断された。
【0075】
[例2 取り付け可能な訓練装置の使用]
59歳の2型糖尿病患者は、乾燥粉末吸入システムからのインスリンに吸入を受けるよう指示された。この患者は、センサーが組み込まれた、図9Aに示す装置を用いて吸入の訓練を受けた。この患者は、図12に示すのと同様な取り付け可能なセンサーが装着された状態の装置を与えられ、この訓練装置を使用する際は深く速い息をするよう求められた。
【0076】
データはコンピュータに収集され、患者はこのデータをディスプレイ画面上でリアルタイムで見ることができた。この患者の最初の吸入の試行は許容範囲内のもので、その旨が表示された。訓練に際して苦痛はなかったので、この患者はこの装置を用いるのに支障がない。
【0077】
患者が取り付け可能なセンサーは、乾燥粉末吸入器から取り外された。この患者は、患者の糖尿病治療のための吸入可能なインスリンでカートリッジが満たされた、この乾燥粉末吸入器を処方された。インスリンの吸入を処方されて6箇月後、この患者の糖尿病はコントロールの下にあると診断され、この装置が非常に便利である旨をコメントした。
【0078】
[例3 吸入シミュレーションシステムを用いて吸入器のパフォーマンスを評価するための、取り付け可能な訓練装置及び乾燥粉末吸入器の使用]
45歳の2型糖尿病患者は、乾燥粉末吸入システムからのインスリンに吸入を受けるよう指示された。この患者は、利便性上の理由から吸入システムをリクエストしたものである。この患者は、図9Aに示す装置を用いて適切な吸入操作の訓練を受けた。この患者は、図12に示すのと同様な、吸入器に取り付け可能なジャケットの中に配置された取り付け可能な無線センサー装置が装着された状態の装置を与えられた。この患者は、この吸入器を訓練装置とともに使用する際につき、吸入を実行している間にこのシステムにおける標準の特性と比較してモニターに表示しているときは、患者が望ましい吸入特性を達成するまで深く速い息をするよう求められた。
【0079】
この患者は彼についての望ましい吸入特性を達成するのに苦痛を感じることがなかったので、上述したシミュレーション吸入装置が作動しているときに近づけた吸入をするよう求められた。この患者の訓練装置は、シミュレーションシステムを作動させるコンピューターと通信できる。このシミュレーション吸入装置は患者が用いたものと同じタイプの吸入器に適合するもので、この吸入器は、この吸入器自身に患者の吸入器のものとして取り付け可能な無線センサー装置に取り付けられ、処方された服用分として指示されたインスリン及びフマリルジケトピペラジン(bis−3,6−(N−フマリル−4−アミノブチル)−2,5−ジケト−ジケトピペラジン;FDKP)からなる乾燥粉末処方物を積載している。
【0080】
吸入器のパフォーマンスを評価して患者に適切な服用分を決定するため、患者は、以前行われたように最適に吸入するよう求められる。患者が吸入すると、訓練装置のセンサーからの信号が、コンピューター内のシミュレーションシステムの受信器へと送信される。吸入器からの信号を受信し、この信号から生成されたデータが処理されると、システムのシミュレーション吸入プログラムは、シミュレーションシステムのモーターコントローラにモーターを作動させ、これによりシリンジポンプに、シリンジシステムにより作られる圧力差により生成される患者の吸入特性を再現させ、吸入器のカートリッジから粉末処方物を排出する、吸入器を通じた空気流が生成されるよう命令する信号の組を送る。吸入器により生成される粉末の煙流は人工的な空気路に接続されたフィルターシステム内に集められ、写真撮影を受け、吸入器から放出された服用分の百分率及び放出された服用分における粒子のサイズの分布につき評価を受ける。上気道の人工的モデルの内側では、粉末の堆積のパターンが評価される。吸入器により供給された服用分の効率が特定された後、医師による推奨として患者が受けることとなる粉末処方物の適当な量に対するこの患者の所要服用量が決定される。図22は、患者により用いられた薬剤がなく吸入シミュレーションシステムに結合された検知監視装置からリアルタイムに得られたデータを示す。図22に見られるように、患者の吸入操作(曲線A)が、シミュレーションシステムによりリアルタイムで再現され表示される吸入シミュレーション(B)に加えてモニターに表示される。図22のデータは、再現された吸入操作は患者により行われたシミュレーションとほぼ同一であることを示す。
【0081】
本シミュレーションシステムは、薬剤に触れさせることなく行われる現実の患者の吸入(あるいは複数の患者のそれ)から、吸入パフォーマンス及び現実の投薬の特徴、属性及び性状を特定する、進歩したシステムが可能となる。また、このシステムの使用により、患者の数からくる要求を満たすように吸入器のデザインを最適化することが可能となる。
【0082】
上記の開示は例示的な実施形態である。この技術分野の知識を有する者には、ここに開示された技術が、本開示の実施において十分機能する代表的な技術を明らかにするものであることが理解されることに留意されたい。しかしながら、通常の知識を有する者であれば、本開示に照らし、開示された具体的な実施形態に対して様々な変更を加えることができ、なお本発明の精神及び範囲を逸脱することなく同様の結果を得られることが理解される。
【0083】
成分の量、分子の質量といった性状、反応条件など、明細書及び請求の範囲で用いられた数は、特に断りのない限りすべての場合において“about”という語により変更を受けると理解すべきものである。従って、反対の旨が明示されていない限り、明細書及び添付された請求の範囲に述べる数的パラメータは、本発明によって追求される必要な性状に応じて変更されることのある近似値である。少なくとも、また、請求の範囲について均等論の適用を限定することを意図するものとしてでなく、各々の数的パラメーターは少なくとも報告されている有効桁数に照らして解釈されるべきものであり、また通常の手法による桁の丸めを当てはめて解釈されるべきものである。具体例を記述する数値は可能な限り精密に記しているものの、本発明の広い範囲を記述する数的範囲及びパラメーターは近似値である。しかしながら、いずれの数値も、それぞれの試験的な計測値にみられる標準的な誤差から結果として必然的に生じる生来の誤差を含んでいる。
【0084】
本発明を記述する文脈(特に,後述する請求の範囲の文脈)で用いられる“a”、“an”の各語および同様の指示語は、特に断りがなくあるいは文脈に明白に矛盾しない限り、単数及び複数の双方を包含するものとして解釈されるべきである。ここでの数値の範囲の詳説は、当該範囲内にある各個別の値を参照する略記法とすることを意図したにすぎないものである。特に断りのない限り、明細書には、各個別の値があたかも個別に詳説されているが如くに組み込まれている。ここに記述されているすべての方法は、特に断りがなくあるいは文脈に明白に矛盾しない限り、適宜のいずれの順序でも実行可能である。ここに挙げたすべてのまたいずれの例の用法も、あるいは例示語(たとえば“such as”)の用法も、単に本発明をよりよく明らかにすることを意図するものであって、特に断りのない限り、本発明の範囲に限定を設けるものではない。明細書内のいずれの語も、本発明の実施にとって本質的な、請求の範囲の記載外の構成要素を示しているものと解釈されるべきではない。
【0085】
ここに開示された具体的な実施形態は、請求の範囲において、consisting ofまたは及びconsisting essentially ofの語によりさらに限定されることがあり得る。請求の範囲で用いられたとき、出願時の通りであれ、補正により追加された場合であれ、接続語“consisting of”は、請求の範囲において特定されていないいずれの構成要素、ステップあるいは成分も排除する。接続語“consisting essentially of”は、請求項の範囲を、特定された素材またはステップと、基礎及び新規な特徴に実質的に影響しない素材またはステップとに限定する。本発明の実施形態で請求の範囲に記載されたものは、本来的にあるいは明示的に記載され実施可能にしてある。
【0086】
ここに開示された代替の構成要素ないし本発明の実施形態のグループ化は、限定と解釈されるべきものではない。各グループのメンバーは、個別に、または、グループの他のメンバーもしくはここに挙げられた他の要素との組み合わせで参照され、請求項に記載される。便宜上の及び/または特許性の理由から、グループの1個以上のメンバーがグループに含められ、あるいは削除される場合のあり得ることが予定されている。そのような加除が生じたとき、明細書はこのグループを変更された形で含み、従って、追加された請求項で用いられているすべてのマーカッシュグループの記載を充足するものと考えられる。
【0087】
本発明のある実施形態は、本発明を実施する上で発明者が知る最良のモードを含むものとして、ここに記載されている。この技術分野の知識を有する者には、上述した説明を読めば、説明されたこれらの実施形態の変形例が明らかになることは当然である。発明者は、知識を有する者が適宜そのような変形例を取り入れることを予定しており、発明者は、本発明が、ここに具体的に説明された以外の形で実施されることを意図している。従って、本発明は、関係する法令により許された形で添付した請求の範囲に詳説された主題のすべての変形物及び均等物を包含する。加えて、上述した構成要素のすべての可能な変形の任意の組み合わせも、特に断りがなくあるいは文脈に明白に矛盾しない限り、本発明に包含される。
【0088】
さらに、本明細書を通じ、特許及び刊行物に対する多数の参照がある。上記で引用したそれぞれの参照文献及び刊行物は、参照のためその全体をここに個別に援用する。
【0089】
結語として、ここに開示された本発明の実施形態は、本発明の原理を例示したものとして理解されるべきものである。採り入れ得る他の変更は本発明の範囲に属する。このため、限定のためでなく例示のため、本発明の代替的な構成を、ここに教示するところに従って活用してもよい。従って、本発明は、示し説明してきたところに正確に限定されるのではない。
【0090】
(関連出願の相互参照)
本願は、2009年11月3日に出願された米国仮出願61/257,813号に由来する、米国特許法第119条(e)に基づいた利益を主張し、参照のためその開示全体をここに援用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入器と、
前記吸入器と通信するセンサーであって、前記乾燥粉末吸入器から生成された少なくとも1種類の信号を検出し、当該少なくとも1種類の信号を、解析、記録、印刷または表示のための少なくとも1個の装置へと送信するよう構成されているセンサーと、
実質的に正確な上気道を備える人工的な解剖学的頭部と、
真空源と、
電源と、
マイクロプロセッサー、アルゴリズム及び表示装置を備えるコンピューターと、
を備える吸入シミュレーションシステム。
【請求項2】
前記センサーは前記吸入器の内部に配置され、又は、前記吸入器に取り付けられるように配置する、
請求項1に記載の吸入シミュレーションシステム。
【請求項3】
前記乾燥粉末吸入器は、センサーと、当該吸入器の内部に組み込まれ又は当該吸入器に取り付け可能な装置に設けられたマイクロプロセッサとを備える、息により駆動される乾燥粉末吸入器である、
請求項1に記載の吸入シミュレーションシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1種類の信号は、音声信号の振幅、当該音声信号の周波数、又はこれらの組み合わせである、
請求項1に記載の吸入シミュレーションシステム。
【請求項5】
前記センサーは、前記吸入器から生成された前記少なくとも1個の信号をさらに計測し、当該信号をマイクロプロセッサ内又はコンピュータ内の受信器へと送信するよう構成されている、
請求項1に記載の吸入シミュレーションシステム。
【請求項6】
前記センサーはマイクロホンである、
請求項1に記載の吸入シミュレーションシステム。
【請求項7】
前記乾燥粉末吸入器装置は、肺に供給するための乾燥粉末を備えたカートリッジを備える、
請求項3に記載の吸入シミュレーションシステム。
【請求項8】
前記乾燥粉末は、ジケトピペラジン微粒子からなる、
請求項7に記載の吸入シミュレーションシステム。
【請求項9】
前記乾燥粉末は、少なくとも1個の活性成分からなる、
請求項7に記載の吸入シミュレーションシステム。
【請求項10】
前記少なくとも1個の活性成分は、インスリン、GLP−1、成長ホルモン、スマトリプタン、パラチロイドホルモン、又はこれらの類似体からなる、
請求項9に記載の吸入シミュレーションシステム。
【請求項11】
前記乾燥粉末吸入器は、約0.065(√kPa)/リットル毎分と約0.200(√kPa)/リットル毎分との間である抵抗値を有する、
請求項3に記載の吸入シミュレーションシステム。
【請求項12】
前記センサーは、前記音声信号を有線又は無線通信モードで前記少なくとも1個の装置へと送信するよう構成されている、
請求項1に記載の吸入シミュレーションシステム。
【請求項13】
アナログ−デジタル変換器が、前記少なくとも1個の音声信号を、当該少なくとも1個の音声信号を解析及び処理するよう構成されたマイクロプロセッサへと伝送する、
請求項3に記載の吸入シミュレーションシステム。
【請求項14】
前記少なくとも1個の装置はアナログ−デジタル変換器である、
請求項1に記載の吸入シミュレーションシステム。
【請求項15】
前記少なくとも1個の装置は表示装置である、
請求項1に記載の吸入シミュレーションシステム。
【請求項16】
前記表示装置は,コンピューターモニター、PDA、又はプリンターである、
請求項15に記載の吸入シミュレーションシステム。
【請求項17】
前記真空源は、校正されたシリンジポンプ、又はピストン/シリンダー装置である、
請求項1に記載の吸入シミュレーションシステム。
【請求項18】
第1のセンサー及び第1のラジオ送信器に取り付けられた第1の吸入器を被験者に提供し、
前記吸入器ないし吸入を通じた圧力差を生成するため、信号受信器と、第1のセンサーから生成された信号を解析及び処理するよう構成されたアルゴリズムと、を備えるマイクロプロセッサを有するコンピュータと、コントローラーと、モーターと、校正されたシリンジポンプと、人工的な実質的に正確な解剖学的な上気道と、前記人工的な実質的に正確な解剖学的な上気道に取り付けられており、第2のセンサーと、第2のラジオ送信器と、乾燥粉末処方物とを備える第2の吸入器と、を備える吸入シミュレーション装置の近傍で、前記被験者に、前記吸入器を通じて吸入を行わせ、
少なくとも1種類の信号を、前記第1の吸入器内で生成された流れから収集し、前記コンピュータないしマイクロプロセッサにおいて前記アルゴリズムを用い、信号を、前記第1のセンサーにより供給された前記被験者の吸引からの第1のデータのセットへと変換し、
前記コンピューターにおいて、前記被験者の吸入により生成された前記圧力差に等しい圧力差を生成するため前記モーターに前記シリンジポンプを駆動させるよう前記コントローラーに命令するための第2の信号の組を生成する、
被験者による吸入操作をシミュレートする方法。
【請求項19】
前記シリンジポンプは、前記第2の吸入器に接続された口部が配置されている前記人工的な実質的に正確な解剖学的な上気道に接続されている、
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第2の吸入器は、センサー及びラジオ送信器が取り付けられた乾燥粉末吸入器である、
請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記第2の吸入器は、音声信号を電気的インパルスに変換できコンピューター又はマイクロプロセッサー内のラジオ信号受信器と通信するよう構成されたマイクロホンを備える無線又は有線のジャケットが取り付けられている、
請求項18に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公表番号】特表2013−514818(P2013−514818A)
【公表日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537973(P2012−537973)
【出願日】平成22年11月3日(2010.11.3)
【国際出願番号】PCT/US2010/055323
【国際公開番号】WO2011/056889
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ZIGBEE
【出願人】(507302829)マンカインド コーポレ−ション (16)