説明

吸入装置

乾燥粉末吸入器は振動機構を包含している。乾燥粉末の供給源は前記振動機構に機能的に結合されている。電源は前記振動機構と連通している。センサは前記振動機構と通信している。フィードバック制御装置は前記センサおよび前記電源と通信している。前記フィードバック制御装置は前記振動機構の性能に関して、前記センサによって与えられた情報に対して前記振動機構に送達される電力を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して吸入装置の分野、より詳しくは、吸入された(吸入空気などの)気体ストリームへの粉末(粉末状薬物など)の浮遊を促進するのに振動を利用する吸入装置に関連する。
【背景技術】
【0002】
ある種の呼吸器疾患では、治療薬の直接投与による治療に効果が見られることが知られている。これらの薬剤は乾燥粉末状での利用が最も容易なので、その投与は、鼻または口から粉末状物質を吸入することによって実施されるのが最も好都合である。所望の部位および作用が必要とされるところに薬品が確実に付着するという点で、こうして粉末状であるために薬物がさらに利用されやすくなり、ゆえに非常に微量の薬品が、他の手段により投与される大量の薬品と等しい効き目を持つことが多く、その結果、不適当な副作用の発生および薬物コストの抑制が顕著となる。あるいは、この形の薬品が呼吸系以外の疾患の治療に使用されてもよい。肺の非常に広い表面積に薬品が付着すると、急速に血流に吸収される。ゆえにこの投与方法は、注射、錠剤、他の従来手段による投与に代わるものである。
【0003】
呼吸器に送達される薬品粒子のサイズが1から5ミクロンである時に薬品の生物学的利用能が最適となるというのが、製薬業界の見解である。薬品粒子がこのサイズ範囲に含まれなければならない時には、乾燥粉末送達システムはいくつかの問題に対処する必要がある。
(1)サイズの小さい粒子は、製造および保管中に自然に帯電する。これは粒子を凝集させる、つまり集合させ、結果的に5ミクロンを超える有効サイズを持つ粒子の塊体が生じる。すると、これら大きな塊体が肺深部に達する可能性が低下する。今度はこれが、封入薬品が患者に吸収される割合が低くなるという結果を生む。
(2)患者へ送達される必要のある活性薬品の量は、数十マイクログラム程度である。例えば喘息に使用される薬品であるアルブテロールの場合には、通常、これは25から50マイクログラムである。最新の製造設備では、ミリグラム用量範囲の均等量の薬品を許容精度で有効に生産することができる。そのため標準的な作業は、活性薬品を充填材またはラクトースなどの膨張性薬剤と混合することである。この添加剤はまた、薬品を「流れやすく」する。この充填材は、静電気または化学結合により薬品粒子がこれらの粒子に固着するので、キャリアとも呼ばれる。これらキャリア粒子のサイズは、薬品粒子よりも非常に大きい。乾燥粉末吸入器がキャリアから薬品を分離する能力は、設計の有効性において重要な性能パラメータである。
(3)5ミクロンを超えるサイズの活性薬品粒子は、口と喉のいずれかに付着する。すると、これらの箇所における薬品の生物学的利用能および吸収は肺と異なるので、別のレベルの不確実性が生じる。乾燥粉末吸入器では、これらの箇所での薬品の付着を最小限に抑えて、薬品の生物学的利用能に関連する不確実性を低下させる必要がある。
【0004】
先行技術による乾燥粉末吸入器(DPI)は通常、薬品(活性薬品とキャリア)を高速気流へ導入するための手段を有する。高速の空気ストリームは、微粉粒子の塊体を分解する、または薬品粒子をキャリアから分離するための主な仕組みとして使用される。この粉末状の薬物を供与するのに有益ないくつかの吸入装置が、先行技術から周知である。例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5には、吸入時に穿孔済みカプセルから利用者の口へ吸引される粉末状薬物を収容するカプセルに穿孔するための手段を有する吸入装置が開示されている。これら特許のいくつかには、吸入時にカプセルからの粉末の供与を助ける推進手段が開示されているため、カプセルから粉末を吸引するのに吸入空気のみに頼る必要はない。例えば特許文献6には、吸入前には下室に入れられている粉末収容カプセルを有して、利用者が穿孔ピンを手で押すことによりカプセルが穿孔されるという装置が開示されている。穿孔後に吸入が開始され、カプセルが装置の上室へ吸引され、カプセルは全方向へ動いて穿孔穴および吸入空気ストリームへ粉末を供与する。特許文献7は、吸入時に推進手段が吸入空気ストリームへの粉末の供与を助けるように、多数の穿孔ピンと、推進手段と、外部からの手の操作により推進手段を作動させるための内蔵電源とを有する吸入装置を開示している。
【0005】
これらの先行技術装置はいくつかの問題を呈し、本発明の吸入装置により改善されるいくつかの短所を有している。例えばこれらの先行技術装置では、穿孔されたカプセルから吸入空気ストリームへの粉末の供与または抜出を実施するため、利用者は吸入時にかなりの労力を払う必要がある。これらの先行技術装置では概して、吸入により生じるカプセルの穿孔穴からの粉末の吸引によってカプセルから粉末のすべてまたは大部分でさえも抜出することができず、ゆえに薬物の無駄が生じる。またこのような先行技術装置では、均一に分散された制御量の粉末が一定して吸入されるというより、非制御量の塊状の粉末状物質が利用者の口へ吸入される結果となる。
【0006】
周知の先行技術は、一次および二次空気入口通路と出口通路とを有する本体部分を含む粉末状薬物の吸入を促進するための装置を含む。二次入口通路は、粉末状薬物を収容するカプセルの封入部となり、出口通路は本体から突出するマウスピースの形状である。電気機械式振動器によるカプセルの振動時に粉末状薬品がカプセルから放出されるように、回転時にカプセルの一つ以上の穴を押圧するカプセル穿孔構造が設けられている。Wilke et al.に開示された穿孔手段は、トロコイド室に装着された3本の径方向装着・ばね付勢の穿孔ニードルを含む。室を手で回転させると、ニードルが同時に径方向内向きに動くことでカプセルに穿孔する。室をさらに回転させると、ばね装着により針が最初の位置へ後退してニードルをカプセルから抜出する。
【0007】
電気機械式振動器は、入口通路と出口通路との交点に突出する振動プランジャロッドを最内端部に含む。プランジャロッドに接続されているのは、ロッドを励磁して振動させるための機械式ソレノイドブザーである。ブザーは高エネルギー電池を電源とし、外部ボタンスイッチによって起動する。出口通路を通る吸入、およびこれと同時の電気機械式振動手段を起動させるためのスイッチの押下の際に、入口通路から空気が吸引され、二次入口通路を通る空気ストリームが振動プランジャロッドに抗してカプセルを持ち上げる。こうしてカプセルが急速に振動し、粉末が流動化して穿孔穴から供与される。粉末を流動化してこれをホッパ出口から出すようにホッパが振動する、ホッパから粉末を供与するための製造にこの技術がよく使用される。カプセルの穿孔穴はホッパ出口となる。入口通路からの空気ストリームは、カプセルからの粉末の抜出を助け、出口通路を通って利用者の口へこの粉末を運ぶ。電気機械式振動手段は入口室に対して直角に配置され、振動の振幅および周波数は、吸入器の供与特性を調整するように変更される。
【0008】
こうして上記のように、振動器の吸入器は、ソレノイドブザーにより駆動されるロッドで構成される電気機械装置である。この電気機械手段はカムを駆動するモータでよい。この吸入器実行例の短所は、ロッドがカプセルを有効に振動させるのに必要な比較的大きな機械的運動である。カプセル壁の弾性と、薬品およびカプセルの慣性とにより、通常は数百ミクロンほどのロッドの大きな運動が必要である。
【0009】
また、ソレノイドブザーは一般的に5Khz未満の動作周波数を有する。この動作周波数は騒音となりやすく、そのため患者の視点からは、乾燥粉末吸入器に取り入れるのは望ましくない。電気化学的アクチュエータのさらなる短所は高エネルギー源を必要とすることで、ゆえに大型のバッテリ源または携帯ユニット用バッテリパックの頻繁な交換を必要とすることである。これらの特徴はともに、患者の安全性および「使い勝手」から望ましくない。
【0010】
吸入器は、特許開示で引用された他の吸入器と比べて、カプセルに残留する粉末の量を減少させることを主たる目的としている。しかし、上述した装置は、粒子サイズ、または肺への薬物の有効な送達に必要とされる6ミクロン未満のサイズのまとまりに粉末を分解しない。むしろ先行技術の吸入器のように、空気ストリームへ噴射された粉末を肺への送達に適した粒子サイズに分解するのに、依然として空気ストリーム速度に依存している。
【0011】
別の先行技術吸入装置では、圧電素子などの超音波装置によって液状薬物が霧化される。次に、通常は高速の空気ストリームまたは推進剤が霧化粒子を患者へ運ぶ。噴霧器で液状薬物を霧化するのに必要なエネルギーは著しく高いため、薬品を肺へ送達するこのアプローチはデスクトップユニットとしてのみ実行可能である。必要な機械的変位を発生させるように圧電素子を駆動するための高電圧要件も、装置の重量およびサイズに過酷な影響を与える。粉末薬物を肺へ送達するための乾燥粉末吸入器に噴霧器の動作原理を適用できるかも自明ではない。
【0012】
そのため、先行技術装置を肺への乾燥粉末の送達には不適当なものにするいくつかの短所をこの装置は有する。これらの短所のいくつかは以下の通りである。
【0013】
先行技術吸入器の性能は、利用者により発生される流量に左右される。低流量であると、粉末は完全には分解されず、そのため患者に送達される用量に悪影響を与える。
【0014】
分解プロセスに一貫性が欠如しているため、薬品の生物学的利用能は用量ごとに一定していない。
【0015】
電気機械式吸入器を駆動するための大量エネルギーが必要であることから、装置のサイズは大きくなり、携帯使用には不適当となる。
【0016】
さらに別の先行技術装置は、上記先行技術の上述した短所および欠点と他の短所および欠点を克服する、気体への粉末の浮遊を促進するのに振動を利用する吸入器を含む。より詳しく述べると、吸入器は、粉末を振動させるための圧電振動器を含む。粉末の少なくとも一部分を気体へ最適状態で浮遊させるのに適した粉末の振動を生じさせるように振動器への作動電気の供給(つまり振幅および/または周波数)を制御するための制御装置が設けられる。制御装置は、吸入器に現在使用されている粉末タイプを気体中に最適な状態で浮遊させるための振動周波数および/または振幅を利用者が選択するための利用者操作可能な制御装置を含む。粉末の少なくとも一部分を気体中に最適な状態で浮遊させるように利用者操作可能な制御装置により選択された粉末タイプを振動させるのに必要なものとなるように、振動器へ供給される作動電気の周波数および/または振幅を制御装置に調節させるため、利用者操作可能な制御装置は制御装置とともに予め較正される。利用者操作可能な制御装置は、気体に浮遊される粉末粒子の平均サイズに関する、および/または所望の振動周波数および振幅に関する選択勾配を含む。一般的に、このようなよく使用される粉末状薬物を気体中に最適状態で浮遊させるため、振動周波数は最低約12KHzに調節すべきである。振動周波数および振幅は、使用される特定の粉末状薬物の浮遊を最適にするように調節される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許第3,507,277号明細書
【特許文献2】米国特許第3,518,992号明細書
【特許文献3】米国特許第3,635,219号明細書
【特許文献4】米国特許第3,795,244号明細書
【特許文献5】米国特許第3,807,400号明細書
【特許文献6】米国特許第2,517,482号明細書
【特許文献7】米国特許第3,831,606号明細書
【特許文献8】米国特許第7,318,434号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、上述したような圧電振動器を取り入れた先行技術吸入器に対する改良を提供する。より詳しく述べると、過度の変位は圧電トランスデューサの早期の故障に直接関連することを我々は観察した。ゆえに、乾燥粉末吸入装置の動作中にトランスデューサ変位に関するフィードバックを得ることが有益であろう。機械力と電圧との間の双方向関係を持つ圧電セラミックスが、駆動・フィードバック装置と同時に使用されることが可能であろう。しかし、小型の低コスト装置では、二次的フィードバックシステムは非常に大型で高価になるだろう。本発明はこのようなフィードバックを行う。
【0019】
本発明の実施形態は、乾燥粉末吸入器を用意するためのシステムおよび方法を提供する。簡潔に述べると、構造上、一実施形態のシステムその他は以下のように実施される。システムは振動機構を含む。乾燥粉末の供給源は、振動機構に機能的に結合されている。電源は振動機構と連通している。センサは振動機構と通信する。フィードバック制御装置はセンサおよび電源と通信する。フィードバック制御装置は、振動機構の性能についてセンサにより提供される情報に応じて振動機構へ送達される動力を制御する。
【0020】
本発明は、乾燥粉末吸入器のためのフィードバック制御を行うための方法を提供するものと見ることもできる。これに関して、このような方法その他の一実施形態は、大まかに以下のステップでまとめられる。第1入電力を用いて振動機構を略定常状態まで駆動するステップ。振動機構の少なくとも一部分の振動は継続したままで第1入電力を除去するステップ。電圧入力が除去された後で振動機構の振動を検知するステップ。複数の異なる入電力により駆動、除去、検知のステップを反復するステップ。最大検知振動を発生させたのはどの電圧入力であるかを判断するステップ。乾燥粉末を分解するように振動機構を配置するするステップ。
【0021】
以下の図面および詳細な説明を検討すれば、当業者には本発明の他のシステム、方法、特徴、長所が明らかであるか、明らかとなるだろう。意図しているのは、このような付加的なシステム、方法、特徴、長所のすべてがこの説明に含まれ、本発明の範囲に包含され、添付の請求項により保護されることである。
【0022】
以下の図面を参照すると、本発明の多くの面がより良く理解される。図面中の構成要素は必ずしも一定の比例ではなく、代わりに、本発明の原理を明示するための強調が加えられている。また図面では、同様の参照番号はいくつかの図を通して対応の部品を指す。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第一実施形態による吸入器の側方断面図である。
【図2】本発明の本発明第一実施形態による、図1に示された吸入器のための振動制御システムのブロック図を示すものである。
【図3】本発明の第一実施形態による、上述した乾燥粉末吸入器を用意する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明の第一実施形態による吸入器2の側方断面図である。図1に示されているように、空気10または他の流体が気流通路12へ流入する。空気10の流れは、装置2を吸入する患者の呼吸動作によって引き起こされる。空気10の流れは、吸入器2の末端部14から通路12を通って吸入器2の基端部46へ移動する。患者が吸入する吸入器2の基端部46に、患者のためのマウスピースが設けられてもよい。
【0025】
吸入器2の第3開口部16に近接して振動機構28が設けられる。振動機構28は、圧電素子、超音波音響トランスデューサ、他の電気式/機械式振動機構を含むが、これに限定されるわけではない。振動機構28に近接して容器20が設けられている。容器20および振動機構28は、少なくとも振動機構28により容器20が振動するのに充分なほど近接している。容器20は、開示内容が全体としてここに取り入れられているMicroDose Technologies,Inc.に譲渡された米国特許第7,318,434号(特許文献8)に記載のブリスタカプセルなどのブリスタカプセルでよい。容器20は、振動機構28により分解される粉末50を収容している。吸入器2は、吸入器2の使用のたびに容器20が廃棄または交換されるような構造を持つ。
【0026】
吸入器2には制御回路48が含まれる。制御回路は、アプリケーション固有の集積回路チップおよび/または他の集積回路チップとして具体化される。制御回路48はマイクロプロセッサまたは独立した電気および電子部品の形を取り、吸入器2に遠隔接続された一つ以上の要素を含む。制御回路48は、電源26から振動機構28へ供給される電力の量を決定する。振動機構28が振動するレベルに影響する、電源26から振動機構28へ供給される作動力の振幅および/または周波数を、制御回路が制御する。作動力は、振動機構28と電源26との間の電気結線22により提供され、制御回路48は電気結線22を少なくとも部分的に制御する。電気結線22は、電源26により提供される直流電力を振動機構28のための交流電力に変換する回路デバイスを含むが、この回路デバイスは回路設計分野の当業者には周知である。
【0027】
振動機構28は、高周波数、好ましくは超音波共振振動周波数(約15から100MHzなど)を持つ材料で製作された圧電素子28を含み、印加される励磁電気の周波数および/または振幅に応じた特定の周波数および振幅で振動する。圧電素子を作成するのに使用される材料の例は、石英および多結晶質セラミック材料(チタン酸バリウムおよびチタン酸ジルコニウム酸鉛など)を含む。超音波周波数での圧電素子の振動は、低い(つまり超音波未満の)周波数での圧電素子の振動による騒音を減少させるため、好都合である。
【0028】
図2は、本発明の本発明第一実施形態による、図1に示された吸入器のための振動制御システムのブロック図を示すものである。当業者には理解できるだろうが、図1に示された機能的構成要素は本発明の物理的実施形態として考えられる一形態に関するものである。図1の構成要素は、本発明の範囲から逸脱することなく適切に変形、変更、および/または再構成することができ、他の吸入器形態にとっても、ここに説明する振動制御システムが有益であろう。
【0029】
制御回路48は、作動制御装置70と制御サブシステム72とを含む。作動制御装置70は、気流センサ40から供給される信号に応じて、電源26から制御サブシステム72へ作動力が供給されるようにするための切換機構を含む。気流センサ40は、吸入器2の基端部46から誰かが吸引を行った場合のみに振動機構28の始動を制限する。周囲の気流のため電源26に確実にドレーンが設けられるように、制御回路48にはトグルスイッチ32も設けられてもよい。言い換えると、トグルスイッチ32が「オン」位置に設定されて、気流センサ40が気流通路12で吸入が発生していることを示す信号を作動制御装置70へ供給すると、制御装置70により電源26から制御サブシステム72へ作動力が供給されるのである。しかし、トグルスイッチ32が「オフ」に設定されるか、気流通路12で吸入が行われていないことを気流センサ40から制御装置70へ供給される信号が示している時には、作動制御装置70は、電源26からシステム72へ作動力が流れないようにするのである。
【0030】
作動制御装置70により最初に電源26から制御サブシステム72へ作動力が供給されると、制御サブシステム72は、所定の周波数および振幅の作動力を供給するための制御可能回路74が制御信号を発生させる初期設定状態に入る。初期設定メモリ82に記憶された記憶値に基づいて、制御信号は、所望の初期周波数および振幅の作動力をポンプ回路80に伝達させる。制御可能回路74は、周波数掃引発生器76と周波数発生器78とを含む。制御可能回路74により発生される信号が送られてポンプ回路80を充電し、制御信号によって指定された作動力をポンプ回路80により振動機構28に供給する。
【0031】
振動機構28に供給される作動電気の初期周波数および振幅は、振動機構28を定常状態条件にするように予め較正されることが好ましい。当業者には納得できるように、略定常状態で振動するように圧電素子90が駆動されると、振動機構28から容器20内の粉末50へのほぼ最大限の振動力の伝達が行われる。この結果、容器20からの粉末50が著しく分解されて利用者に吸引される空気に浮遊することが判明している。しかし、容器20または粉末50が振動機構28の上に置かれると、容器20の重量および用量は、分解される粉末50の重量、用量、粒子サイズとともに、振動機構28の振動特性を変化させ、共振周波数と異なる周波数で振動機構28を振動させることになる。結果的に得られる周波数により、振動機構28から粉末50へ伝達される振動エネルギーが減少し、こうして粉末50を分解して利用者によって吸入される空気中に浮遊させる際の振動機構28の効率を低下させることになる。
【0032】
制御回路48では、定常状態がいったん発生すると、ポンプ回路80からの供給信号が停止される。振動機構28はその勢いにより振動を続けるはずである。振動機構28が圧電素子を含む場合には、振動が継続すると、圧電効果により電圧を誘発し、この電圧は、ポンプ回路80からの供給信号が停止した後の最初の数サイクルで、電圧計などのセンサ88により測定される。観察される電圧は、圧電素子90の変位に正比例するはずである。
【0033】
周波数掃引発生器76と周波数発生器78とは、ポンプ回路80により振動機構28へ供給される電気の多様な振幅および周波数を示す制御信号を規則正しく発生させる。周波数発生器78が異なる周波数および振幅「の間を循環」して、ポンプ回路80により供給される信号が断続的に停止すると、これらの異なる周波数および振幅の各々について振動機構28の瞬間的継続振動特性がセンサ88により検出され、センサはこの情報をピーク電力検出器86へ伝達する。ピーク電力検出器86はセンサ88の出力を分析し、動力伝達特性が検出された極大値である時にサンプルホールドフィードバック制御装置84に信号を送る。サンプルホールドフィードバック制御装置84はこれらの極大値を、制御可能回路74の命令により振動機構28へ供給される周波数および振幅と相関させる。サンプルホールドフィードバック制御装置84は、サンプルホールドフィードバック制御装置84との通信状態にあるメモリ500に情報を記憶する。
【0034】
周波数掃引発生器76と周波数発生器78とが、振動機構28により供給される動力の周波数および振幅により掃引を完了させた後、サンプルホールドフィードバック制御装置84は、制御可能回路74に、極大値となる動力の周波数および振幅の間を循環させ、振動機構28により検出された最適動力伝達特性となるのはこれらの周波数および振幅のうちどれかを判断させる。
【0035】
動作時に、上述した方法で容器20は穿孔されて振動機構28の表面と嵌合する。トグルスイッチ32が「オン」位置となり、利用者は基端部46から空気を吸入する。空気10の吸入は気流センサ40によって検知され、制御サブシステム72へ動力を供給する作動制御装置70へ信号で送られる。次に、粉末50が最適状態で分解されて容器20から空気ストリームへ浮遊されるまで、制御サブシステム72が振動機構28へ供給される作動力の振幅および周波数を調節する。
【0036】
図3は、本発明の第一実施形態による、上述の乾燥粉末吸入器2を用意する方法を示すフローチャートである。いかなるプロセス説明またはフローチャートのブロックも、プロセスの特定の論理的機能を実行するための一つ以上の命令を含むモジュール、セグメント、コード部分、ステップを表すものとして理解されるべきであり、本発明の当業者には理解されるように、必要とされる機能性に応じて、ほぼ同時または逆の順序を含む、図示および説明されたものと異なる順序で機能が実行される代替実行例が本発明の範囲に含まれることに注意すべきである。
【0037】
ブロック202に示されているように、第1入電力を用いて振動機構28がほぼ定常状態まで駆動される。第1入電力は除去され、振動機構28の少なくとも一部分の振動が継続する(ブロック204)。電圧入力が除去された後に、振動機構28の振動が検知される(ブロック206)。複数の異なる入電力による駆動、除去、検知のステップが反復される(ブロック208)。最大検知振動を発生される電圧入力が判断される(ブロック210)。乾燥粉末50を分解するように振動機構28が配置される(ブロック212)。
【0038】
上述した本発明の実施形態、特に「好適な」実施形態は、本発明の原理をはっきりと理解するために提示されたに過ぎない単なる可能実行例であることを強調すべきである。本発明の趣旨および原理から実質的に逸脱せずに、上述した本発明の実施形態に多くの変形および変更が加えられてもよい。このような変形および変更はすべて本開示および本発明の範囲に含まれ、以下の請求項により保護されるものとする。
【符号の説明】
【0039】
2 吸入器
10 空気
12 気流通路
14 末端部
16 第3開口部
20 容器
22 電気結線
26 電源
28 振動機構
32 トグルスイッチ
40 気流センサ
46 基端部
48 制御回路構成
50 粉末
70 作動制御装置
72 制御サブシステム
74 制御可能回路
76 周波数掃引発生器
78 周波数発生器
80 ポンプ回路
82 初期設定メモリ
84 サンプルホールドフィードバック制御装置
86 ピーク電力検出器
88 センサ
200 フローチャート
500 メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動機構と、
前記振動機構に機能的に結合された乾燥粉末の供給源と、
前記振動機構と連通する電源と、
前記振動機構と通信するセンサと、
前記センサおよび前記電源と通信するフィードバック制御装置と、
を包含し、
前記フィードバック制御装置が前記振動機構へ送達される電力を制御する、
乾燥粉末吸入器。
【請求項2】
前記振動機構がさらに圧電トランスデューサを包含する、請求項1に記載の乾燥粉末吸入器。
【請求項3】
前記センサがさらに電圧計を包含する、請求項1の乾燥粉末吸入器。
【請求項4】
前記フィードバック制御装置と通信するメモリをさらに包含し、前記フィードバック制御装置から前記電源への少なくとも1回の通信に対して前記センサから前記フィードバック制御装置への少なくとも1回の通信を前記メモリが記憶する、請求項1の乾燥粉末吸入器。
【請求項5】
前記フィードバック制御装置が、前記電源と前記振動機構との間に接続された周波数掃引発生器をさらに包含することにより、前記振動機構へ送達される電力の特性を制御する、請求項1の乾燥粉末吸入器。
【請求項6】
前記センサと通信するピーク電力検出器をさらに包含する、請求項1の乾燥粉末吸入器。
【請求項7】
以下の特徴、すなわち、
(a)前記振動機構が圧電トランスデューサをさらに包含して、前記センサが前記圧電トランスデューサからの電圧出力を検出し、
(b)前記フィードバック制御装置が、前記振動機構に送達される複数の電力形式を前記センサからの複数の出力と相関させ、前記センサからの複数の出力のうち最高出力と相関された、前記振動機構へ送達される前記複数の電力形式の電力特性を、前記フィードバック制御装置が任意で識別する、
のうち一つ以上を特徴とする、請求項1の乾燥粉末吸入器。
【請求項8】
乾燥粉末吸入器においてフィードバック制御を行う方法であって、
第1入電力を用いて振動機構を略定常状態まで駆動するステップと、
前記第1入電力を除去し、前記振動機構の少なくとも一部分の振動は継続するステップと、
前記電圧入力が除去された後に前記振動機構の振動を検知するステップと、
複数の異なる入電力による駆動、除去、検知のステップを反復するステップと、
最大検知振動を発生させたのはどの電圧入力かを判断するステップと、
乾燥粉末を分解させるように前記振動機構を配置するステップと、
を包含する方法。
【請求項9】
前記配置ステップが前記除去ステップに先行する、請求項8の方法。
【請求項10】
以下の特徴、すなわち、
(a)前記振動機構駆動ステップがさらに、振動するように圧電トランスデューサを駆動するステップを包含する、
(b)前記振動検知ステップが、前記圧電トランスデューサからの出力電圧を検出することを包含する、
(c)前記複数の異なる入電力が周波数によって異なる、
(d)前記複数の異なる入電力が振幅によって異なる、
のうち一つ以上を特徴とし、
(e)前記複数の異なる入電力を複数の異なる検知振動と相関させるステップの1以上をさらに包含する、
請求項8の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−500160(P2011−500160A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−529010(P2010−529010)
【出願日】平成20年10月8日(2008.10.8)
【国際出願番号】PCT/US2008/079236
【国際公開番号】WO2009/048975
【国際公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(500566682)マイクロドース セラピューテクス,インコーポレイテッド (17)