説明

吸収体物品

【課題】着用者の臀部が汚れにくく、かつ、尿および便の外部への漏れを効果的に防止することができる吸収体物品の提供。
【解決手段】底面部と、前記底面部の左右両側から上側に立ち上がり、縁部が内側になるように曲がっている一対の側部とを有し、前記底面部と前記一対の側部とにより内部空間を形成している、シート状の第1防漏体と、前記内部空間に少なくとも1層配置された、高吸水性樹脂を含有し体液を吸収しうる吸収体と、前記一対の側部の縁部のそれぞれに沿って設けられた一対の縁部形状保持部材と、前記一対の縁部形状保持部材の各中央部の間にわたって設けられた架橋部材とを具備する吸収体物品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規吸収体物品に関する。
【背景技術】
【0002】
紙おむつ等の吸収体物品は、木材パルプ、高吸水性樹脂(Super Absorbent Polymer、以下「SAP」ともいう。)等の吸収成分を用いた吸収体により着用者から排出された尿を吸収し、また、便(大便)を受容する物品である。
従来の吸収体物品は、尿を吸収し便を受容する部分の左右両側に、インナーギャザーまたはアウターギャザーと呼ばれる、ゴムを挿通して伸縮可能としたひだ状の部材が設けられており、これにより尿や便の外部への漏れを防止するような構造となっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような吸収体物品においては、着用時に中央部が拡張し、左右のインナーギャザーまたはアウターギャザーの間隔が、子供用で70〜80mm程度、大人用で100〜150mm程度となり、着用者の下半身全体を包み込む状態となるため、尿が排出されると、下半身全体が濡れることとなり、また、便が排出されると、着用者の臀部から下半身全体にかけて汚れやすいという問題があった。
また、従来のインナーギャザーまたはアウターギャザーは、伸縮性があり前後左右に伸びうるため、着用者の体位や動作によっては、排出時または排出後に、吸収体物品と着用者の身体との間に隙間が生じ、その隙間から尿や便が外部に漏れる場合があるという問題もあった。
【0004】
したがって、本発明は、尿による下半身の体表面の濡れが少なく、便排出による臀部の汚れが生じにくく、かつ、尿および便の外部への漏れを効果的に防止することができる吸収体物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、新規構造を有する吸収体物品を完成させた。
【0006】
即ち、本発明は、以下の(1)〜(16)を提供する。
【0007】
(1)底面部と、前記底面部の左右両側から上側に立ち上がり、縁部が内側になるように曲がっている一対の側部とを有し、前記底面部と前記一対の側部とにより内部空間を形成している、シート状の第1防漏体と、
前記内部空間に少なくとも1層配置された、高吸水性樹脂を含有し体液を吸収しうる吸収体と、
前記一対の側部の縁部のそれぞれに沿って設けられた一対の縁部形状保持部材と、
前記一対の縁部形状保持部材の各中央部の間にわたって設けられた架橋部材と
を具備する吸収体物品。
【0008】
(2)前記架橋部材が前記縁部形状保持部材の上面に接している、上記(1)に記載の吸収体物品。
【0009】
(3)前記架橋部材が前記縁部形状保持部材の下面に接している、上記(1)または(2)に記載の吸収体物品。
【0010】
(4)前記架橋部材が前記底面部および前記一対の側部と結合することにより、前記内部空間が、前側の尿吸収用空間と後側の便収容用空間とに分離しており、
前記尿吸収用空間に、前記吸収体が配置されている、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の吸収体物品。
【0011】
(5)前記吸収体が、前記内部空間の前側から後側までにわたって伸びており、
前記架橋部材が前記吸収体および前記一対の側部と結合することにより、前記内部空間が、前側の尿吸収用空間と後側の便収容用空間とに分離している、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の吸収体物品。
【0012】
(6)前記便収容用空間に、シート状の第2防漏体を具備する、上記(4)または(5)に記載の吸収体物品。
【0013】
(7)前記便収容用空間において、前記第1防漏体と前記第2防漏体との間に、前記吸収体が配置されている、上記(6)に記載の吸収体物品。
【0014】
(8)前記第2防漏体の前端部が、前記架橋部材の下面と結合し、前記第2防漏体の前端部の下面に、尿導入部形成部材が設けられており、前記吸収体が、前記尿吸収用空間から前記便収容空間の前記第2防漏体の下側にわたって存在している、上記(7)に記載の吸収体物品。
【0015】
(9)前記一対の側部が、それぞれ2段以上に折りたたまれたひだ状に形成されている、上記(1)〜(8)のいずれかに記載の吸収体物品。
【0016】
(10)ひだ状に形成されている前記一対の側部により規定される2段以上の空間のうち、少なくとも二つに、前記吸収体が配置されている、上記(9)に記載の吸収体物品。
【0017】
(11)更に、前記第1防漏体の前記底面部と前記一対の側部の前端から上部の前側にかけての部分とに結合して、前記第1防漏体の前側の開口を閉鎖する前方防漏体、および/または、前記第1防漏体の前記底面部と前記一対の側部の後端から上部の後側にかけての部分とに結合して、前記第1防漏体の後側の開口を閉鎖する後方防漏体を具備する、上記(1)〜(10)のいずれかに記載の吸収体物品。
【0018】
(12)前記吸収体が、左右に離間して配置されている、上記(1)〜(11)のいずれかに記載の吸収体物品。
【0019】
(13)左右に離間して配置されている前記吸収体の間にわたって、液ガイドシートが配置されている、上記(12)に記載の吸収体物品。
【0020】
(14)前記吸収体が、不織布上に前記高吸水性樹脂をコーティングしてなるシート状吸収体である、上記(1)〜(13)のいずれかに記載の吸収体物品。
【0021】
(15)前記吸収体が、左右に離間して配置されており、かつ、前記シート状吸収体が、前記不織布の前記高吸水性樹脂をコーティングされた側を内側として、チューブ状に形成されてなる、上記(14)に記載の吸収体物品。
【0022】
(16)前記シート状吸収体が、前記高吸水性樹脂を50質量%以上含有し、厚さが1mm以下である高吸水性シートである、上記(14)または(15)に記載の吸収体物品。
【発明の効果】
【0023】
本発明の吸収体物品は、尿による下半身の体表面の濡れが少なく、便による臀部の汚れが生じにくく、かつ、尿および便の外部への漏れを効果的に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の吸収体物品を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。なお、本明細書においては、本発明の吸収体物品を実際に着用した場合に、着用者の肌に近い側を「上」といい、遠い側を「下」という。また、本発明の吸収体物品を実際に着用した場合に、着用者の体の前側に対応する側を「前」といい、後側に対応する側を「後」という。また、各図中、理解を容易にするために、実際には接触している部材を離間させて示すことがある。
【0025】
図1は、本発明の吸収体物品の例を示す模式図である。図1(A)は平面図であり、図1(B)は図1(A)中のIB−IB線に沿った横端面図であり、図1(C)は図1(A)中のIC−IC線に沿った横端面図である。
なお、添付した図面中の各平面図においては、図の上側に吸収体物品等の前側が位置するように図示してある。
【0026】
本発明の吸収体物品100は、基本的に、底面部12と、底面部12の左右両側から上側に立ち上がり、縁部が内側になるように曲がっている一対の側部14とを有し、底面部12と一対の側部14とにより内部空間Sを形成している、シート状の第1防漏体10と、内部空間Sに少なくとも1層配置された、高吸水性樹脂を含有し体液を吸収しうる吸収体20と、一対の側部14の縁部のそれぞれに沿って設けられた一対の縁部形状保持部材30と、一対の縁部形状保持部材30の各中央部の間にわたって設けられた架橋部材40とを具備する。
【0027】
第1防漏体10の材質は、一般に、バックシートとして用いられているものを用いることができる。具体的には、例えば、PE、PP、PET、EVA等の樹脂のフィルム;前記樹脂の発泡シート等の体液不透過性シートを用いることができる。体液不透過性シートは、通気性フィルム等の通気性を有するものも好適に用いられる。
また、前記樹脂のフィルムを用いる場合には、感触や外観を向上させるために、フィルムと不織布との複層シートとして用いることもできる。この場合、不織布としては、比較的低目付のSB、SMS、サーマルボンド不織布等が好適に用いられる。
また、前記樹脂のフィルムと後述するシート状吸収体との複層シートを用いることもできる。
また、高耐水性不織布を用いることもできる。この場合、単独で用いてもよく、フィルムと高耐水性不織布との複層シートとして用いることもできる。
【0028】
第1防漏体10は、複数の部材から構成されていてもよい。
【0029】
第1防漏体10は、上述したように、底面部12と、一対の側部14とを有する。一対の側部14は、図1においては底面部12から鋭角に折れ曲がっているが、底面部12の左右両側から上側に立ち上がり縁部が内側になるように曲がっていれば、特に限定されない。
底面部12と一対の側部14とにより、内部空間Sが形成されている。内部空間Sには、吸収体20が配置されている。
【0030】
本発明に用いられる吸収体20は、高吸水性樹脂を含有し体液を吸収しうるものであれば特に限定されず、例えば、粉末状の木材パルプ、無加工のSAP等の粉体状吸収体を用いることもできるが、形態安定性、脱落の可能性等を考慮すると、シート状吸収体が好ましい。中でも、不織布上に前記高吸水性樹脂をコーティングしてなるシート状吸収体が好ましい。
吸収体の種類は、用途に応じて適宜選択することができる。例えば、本発明の吸収体物品を子供用おむつとする場合、新生児用や月齢の低い乳児用(大きさで言えば、Sサイズ)としては、木材パルプの含有量が多いものが好ましく、また、月齢の高い乳児用(大きさで言えば、MサイズやLサイズ)としては、SAPの含有量が多いものが好ましい。
【0031】
シート状吸収体の中でも、SAPを50質量%以上、好ましくは60〜95質量%含有する高吸水性シートであるのが好ましい態様の一つである。
高吸水性シートは、SAPを主成分とする極薄のシート状吸収体である。高吸水性シートは、SAPの含有量が極めて高いため、厚さが極めて薄い。高吸水性シートの厚さは、1.5mm以下であるのが好ましく、1mm以下であるのがより好ましい。
高吸水性シートは、SAPを主成分とする極薄のシート状吸収体であれば、構成や製造方法を特に限定されない。
例えば、Air Laid法で得られる高吸水性シートが挙げられる。Air Laid法は、粉砕した木材パルプとSAPとを混合し、結合剤を添加してシート状に成形して高吸水性シートを得る方法である。この方法で得られる高吸水性シートとしては、例えば、米国レオニヤ(Rayonier)社製のNOVATHIN(米国登録商標)、王子キノクロス社製のB−SAPが知られている。
また、SAPの分散スラリーを不織布等の体液透過性シートの上にコーティングする方法で得られる高吸水性シートも挙げられる。ここで、SAPの分散スラリーは、SAPとミクロフィブリル化セルロース(MFC)とを、水とエタノールとの混合溶媒に分散させたものであるのが好ましい。この方法で得られる高吸水性シートとしては、例えば、(株)日本吸収体技術研究所製のMegaThin(登録商標)が知られている。
そのほかに、例えば、起毛状不織布にSAPを大量に担持させ、ホットメルトバインダー、エマルションバインダー、水性繊維等で固定する方法で得られる高吸水性シート、繊維状SAPをPET(ポリエチレンテレフタレート)繊維と混合してウェブ状に成形する方法で得られる高吸水性シート、SAP層の上下をティッシュで挟んだSAPシートが挙げられる。
【0032】
吸収体は、少なくとも1層配置される。即ち、吸収体は、1層であってもよく、2層以上(複数層)であってもよい。
また、吸収体は、折りたたんだ状態で配置することもできる。
【0033】
一対の側部14の縁部には、それぞれ、縁部に沿って一対の縁部形状保持部材30が設けられている。縁部形状保持部材30は、図1においては、縁部の全長に沿って設けられているが、本発明においてはこれに特に限定されず、縁部の前後の端部付近には縁部形状保持部材が設けられていなくてもよい。
【0034】
縁部形状保持部材30は、側部の縁部の形状を保持させ、縁部を着用者の身体に密着させる機能を有する。これにより、尿や便が第1防漏体10の外側に漏れることが効果的に防止される。また、着用時に、側部において、不均一で大きな凹凸が生じることを防止することができる。
縁部形状保持部材30の材料としては、クッション性(弾性)と、ある程度の厚さがあるのが好ましい。例えば、発泡体(例えば、PU、PP、PP/EVA製)、合成ゴムシート、伸縮性弾性フィルム、ゴムフィラメント、ポリウレタンフィラメントが好適に挙げられる。また、糸ゴムでギャザーを形成し、それを折り返すことにより、クッション性とある程度の厚さを実現することもできる。
【0035】
更に、一対の縁部形状保持部材30の各中央部の間にわたって、架橋部材40が設けられている。
架橋部材40は、一対の縁部形状保持部材30の間を連結することによって、その距離を一定に保持する機能を有する。これにより、従来のインナーギャザーまたはアウターギャザーのように左右に伸びる余地が少なくなり、第1防漏体10の底面部12と着用者の体表面とが比較的狭い範囲しか接触しえないようになるため、尿排出による下半身、特に、その前部の濡れが少なくなり、また、便排出による臀部の汚れが生じにくくなる。
このような効果を得るためには、一対の縁部形状保持部材30の間の距離L1を適切に規定するのが好ましい。例えば、男性用の場合、ペニスと睾丸とが内部空間Sに収容されるような距離とするのが好ましい。また、女性用の場合、大陰唇が内部空間Sに収容されるような距離とするのが好ましい。いずれにおいても、内部空間Sの左右方向に余りが少ないのが好ましい。
【0036】
架橋部材40の材料は、ある程度の吸収体物品の左右方向の形態を保持しうるものであれば、特に限定されない。例えば、PE、PP、ポリウレタン等の発泡体や、それをスライパー等の繊維束と疎水性不織布とで被覆したものが好適に挙げられる。架橋部材40は、クッション性を発揮する程度の厚さであるのが好ましい。
【0037】
架橋部材40の前後方向の長さL2は、男性用においては特に限定されないが、女性用においては着用者の尿道口と肛門との間の距離より短くする必要があるので10〜70mmであるのが好ましい。また、子供用においては5〜40mmであるのが好ましい。
【0038】
第1防漏体の一対の側部および縁部形状保持部材の存在形態は、特に限定されない。
図2は、種々の形状の吸収体物品を示す模式的な平面図である。図2(A)〜図2(D)においては、吸収体は省略されている。第1防漏体の一対の側部および縁部形状保持部材の存在形態は、例えば、図2(A)〜図2(D)に示される各形態とすることができる。
図2(A)に示される吸収体物品100aにおいては、側部30aの縁部の距離が中央部で短く、前後で長くなるように、第1防漏体10aの一対の側部14aおよび縁部形状保持部材30aが構成されている。
図2(B)に示される吸収体物品100bにおいては、側部30bの縁部の距離が中央部から前側が一定で短く、後側が長くなるように、第1防漏体10bの一対の側部14bおよび縁部形状保持部材30bが構成されている。
図2(C)に示される吸収体物品100cにおいては、側部30cの縁部の距離が中央部で長く、前後で短くなるように、第1防漏体10cの一対の側部14cおよび縁部形状保持部材30cが構成されている。
図2(D)に示される吸収体物品101においては、側部30dの縁部の距離が前が長く、後が短くなるように、第1防漏体11の一対の側部15および縁部形状保持部材30dが構成されている。
【0039】
図16は、種々の形態の吸収体物品を示す模式的な横端面図である。図16(A)〜図16(C)においては、吸収体は省略されている。第1防漏体の縁部形状保持部材の形態は、例えば、図16(A)〜図16(C)に示される各形状とすることができる。
図16(A)に示される吸収体物品101aにおいては、第1防漏体11aの一対の側部15aが、糸ゴムで形成されたギャザーからなる縁部形状保持部材31aと一体となっている。一対の縁部形状保持部材31aの間には、架橋部材41aが設けられている。
図16(B)に示される吸収体物品101bにおいては、第1防漏体11bの一対の側部15bが、2段に折りたたまれたひだ状に形成されており、その最上部が糸ゴムで形成されたギャザーからなる縁部形状保持部材31bと一体となっている。一対の縁部形状保持部材31bの間には、架橋部材41bが設けられている。
図16(C)に示される吸収体物品101cにおいては、第1防漏体11cの一対の側部15cが、その最上部で外側に折り返されており、折り返された部分が糸ゴムで形成されたギャザーからなる縁部形状保持部材31cと一体となっている。一対の縁部形状保持部材31cの間には、架橋部材41cが設けられている。
【0040】
架橋部材の位置および形状は、特に限定されない。
図3は、種々の形状の架橋部材を有する吸収体物品を示す模式図である。図3(A)は平面図であり、図3(B)は図3(A)中のIIIB−IIIB線に沿った横端面図であり、図3(C)は平面図であり、図3(D)は図3(C)中のIIID−IIID線に沿った横端面図であり、図3(E)は平面図であり、図3(F)は図3(E)中のIIIF−IIIF線に沿った横端面図である。図3(A)〜図3(F)においては、吸収体は省略されている。架橋部材の位置および形状は、例えば、図3(A)〜図3(F)に示される各形状とすることができる。
【0041】
図3(A)および図3(B)に示される吸収体物品100dにおいては、一対の縁部形状保持部材30の各中央部の間にわたって設けられている架橋部材40dが、縁部形状保持部材30の上面に接した状態で、第1防漏体10dの両側端部まで達している。
図3(C)および図3(D)に示される吸収体物品100eにおいては、第1防漏体10eは第1防漏体10dと同じ形状となっている。この吸収体物品100eにおいては、一対の縁部形状保持部材30の各中央部の間にわたって設けられている架橋部材40eが、縁部形状保持部材30の下面に接した状態で、第1防漏体10eの両側端部まで達している。
図3(E)および図3(F)に示される吸収体物品100fにおいては、第1防漏体10fは第1防漏体10dと同じ形状となっている。この吸収体物品100fにおいては、一対の縁部形状保持部材30の各中央部の間にわたって設けられている架橋部材40dが、縁部形状保持部材30の上面および下面に接した状態で、第1防漏体10fの両側端部付近まで達している。
【0042】
本発明の吸収体物品においては、架橋部材が底面部および一対の側部と結合することにより、内部空間が、前側の尿吸収用空間と後側の便収容用空間とに分離しており、尿吸収用空間に、吸収体が配置されているのが好ましい態様の一つである。
図4は、本発明の別の実施形態の吸収体物品を示す模式図である。図4(A)は平面図であり、図4(B)は図4(A)中のIVB−IVB線に沿った縦端面図であり、図4(C)は図4(A)中のIVC−IVC線に沿った横端面図である。
図4に示される吸収体物品100gにおいては、架橋部材40gが底面部12および一対の側部14dと結合部材50を介して結合することにより、内部空間Sが、前側の尿吸収用空間S1と後側の便収容用空間S2とに分離しており、尿吸収用空間S1には、吸収体20aが配置されている。
結合部材50としては、例えば、接着剤、ゴム、フィルム、フォーム(発泡体)、嵩高不織布が挙げられる。
このように内部空間Sを、尿吸収用空間S1と便収容用空間S2とに分離させることにより、尿便分離処理が可能となる。その結果、尿と便とが混じり合って、臭いが強くなったり、かぶれが発生しやすくなったりするなどの問題をなくすことができる。尿吸収用空間S1と便収容用空間S2との分離は、図4に示される実施形態のように完全であるのが好ましいが、両者がつながっていても、その部分がわずかであれば、または、尿が拡散しにくい吸収体を用いれば、実質的に尿便分離処理が可能となる。
【0043】
この場合、便収容用空間に、シート状の第2防漏体を具備するのが好ましい態様の一つである。
図5は、第2防漏体を有する吸収体物品の例を示す模式図である。図5(A)は平面図であり、図5(B)は図5(A)中のVB−VB線に沿った縦端面図である。
図5に示される吸収体物品100hは、基本的に吸収体物品100gと同じであるが、便収容用空間S2にシート状の第2防漏体60を有する点で異なる。この場合、便を第2防漏体60上に収容することができる。
【0044】
また、図5に示される吸収体物品100hは、架橋部材40gの上面の前後端に、尿ストップ部材42と便ストップ部材44とを有する。尿ストップ部材42は、尿吸収用空間S1に排出された尿が、便収容用空間S2に移動することを防止し、便ストップ部材44は、便収容用空間S2に排出された便が、尿吸収用空間S1に移動することを防止する。この尿ストップ部材42および便ストップ部材44により、尿便分離処理がより効果的に行われる。
図5に示される実施形態においては、第2防漏体が平面状であるが、第2防漏体の形状は特に限定されない。例えば、前後方向の長さおよび位置、左右方向の長さ等を特に限定されない。具体的には、その縁部が上側に持ち上がっている容器状になっている形状が好適に挙げられる。この場合、便が第2防漏体上に収容されやすい。
【0045】
また、便収容用空間において、更に、第1防漏体と第2防漏体との間に吸収体が配置されているのが好ましい態様の一つである。
図6は、第2防漏体を有する吸収体物品の他の例を示す模式図である。図6(A)は平面図であり、図6(B)は図6(A)中のVIB−VIB線に沿った縦端面図である。
図6に示される吸収体物品100iは、基本的に吸収体物品100hと同じであるが、便収容用空間S2において、第1防漏体10gと第2防漏体60との間に、吸収体20bが配置されている。この場合、基本的に便を第2防漏体60上に収容させつつ、軟便である場合に、その水分を吸収体20bに吸収させることができるので、便(軟便)が外に漏れることを防止することができる。
図6に示される実施形態においては、尿処理用空間に配置された吸収体と便収容用空間に配置された吸収体とが分離しているが、後述する図7に示される実施形態のように、両者は一体となっていてもよい。
【0046】
また、第2防漏体の前端部が、架橋部材の下面と結合し、第2防漏体の前端部の下面に、尿導入部形成部材が設けられており、吸収体が、尿吸収用空間から便収容空間の第2防漏体の下側にわたって存在しているのが好ましい態様の一つである。
図7は、尿導入部形成部材を有する吸収体物品の例を示す模式図である。図7(A)は平面図であり、図7(B)は図7(A)中のVIIB−VIIB線に沿った縦端面図であり、図7(C)は図7(A)中のVIIC−VIIC線に沿った横端面図である。
図7に示される吸収体物品100jにおいては、第2防漏体60aの前端部が、架橋部材40の下面と結合し、第2防漏体60aの前端部の下面に、尿導入部形成部材70が設けられており、吸収体20cが、尿吸収用空間S1から便収容空間S2の第2防漏体60aの下側にわたって存在している。
【0047】
尿導入部形成部材70は、第2防漏体60aと結合しているのが好ましく、また、吸収体20cとは結合していても、結合していなくてもよい。
【0048】
尿導入部形成部材70は、第2防漏体60aと吸収体20cとの間の間隙を確保するためにある程度の厚さが必要であるが、それ以外は特に限定されない。尿導入部形成部材70の材料としては、例えば、接着剤、ゴム、フィルム、フォーム(発泡体)、嵩高不織布が挙げられる。接着剤の場合、ある程度の厚さとなるように塗布する。また、ゴム、フィルム、フォームまたは嵩高不織布の場合、細片または帯状体として、その表面と第2防漏体60aの表面とを接着剤等により結合させるのが好ましい。
【0049】
尿導入部形成部材70は、縦(前後方向の長さ)が10mm、横(左右方向の長さ)が20mm、厚さが3mmのウレタンフォームのブロックをホットメルト接着剤で第2防漏体60aの前端部の下面と吸収体20cの上面との間に配置し、固定させたものである。
吸収体物品100jにおいては、尿は、図7(A)中、矢印で示されるように、尿導入部形成部材70の両側を通って吸収体20cの後部に移動する。これは尿導入部形成部材70に用いられたウレタンフォームには液透過性がないためである。このように、尿の流路をある程度制限することにより、大量の尿が特定の箇所に集中して流れるようになるので、尿が吸収体20cの後部に移動しやすくなる。したがって、吸収体20cを有効に活用することができる。
【0050】
また、本発明の吸収体物品においては、吸収体が、内部空間の前側から後側までにわたって伸びており、架橋部材が吸収体および一対の側部と結合することにより、内部空間が、前側の尿吸収用空間と後側の便収容用空間とに分離しているのも好ましい態様の一つである。
図8は、本発明の吸収体物品の他の例を示す模式図である。図8(A)は平面図であり、図8(B)は図8(A)中のVIIIB−VIIIB線に沿った縦端面図であり、図8(C)は図8(A)中のVIIIC−VIIIC線に沿った横端面図である。
図8に示される吸収体物品100kにおいては、吸収体20cが、内部空間Sの前側から後側までにわたって伸びており、架橋部材40gが吸収体20cおよび一対の側部14dと結合部材50aを介して結合することにより、内部空間Sが、前側の尿吸収用空間S1と後側の便収容用空間S2とに分離している。
図8に示される実施形態は、上述した図5〜図7における各構造と組み合わせることができる。
【0051】
また、本発明の吸収体物品においては吸収体が、左右に離間して配置されているのが好ましい態様の一つである。
図9は、本発明の吸収体物品の他の例を示す模式図である。図9(A)は着用前の横端面図であり、図9(B)は着用時の横端面図であり、図9(C)は尿排出直後の横端面図である。
図9に示される吸収体物品100lは、基本的には、吸収体物品100と同じであるが、吸収体20dが、左右に離間して配置されている点で異なる。これにより、以下の効果が得られる。
第1に、左右方向の中央部での変形が容易となる(図9(B)参照。)。このため、着用者が適切な位置に吸収体物品を着用することが容易となる。
第2に、上記変形により、中央部に排出された尿が左右および後側に移動しやすくなるため、吸収体に吸収されやすくなる。
第3に、着用者の股下部に吸収体がないため、着用時、特に尿を吸収した後に、着用者は股下部において不快感を感じない。
第4に、着用者の股下部に吸収体がないため、かぶれ、ムレ等の問題が生じにくい。
第5に、図9(C)に示されるように、左右方向の中央部に吸収体がないため、尿排出直後においては、排出された尿uが一時的に中央部に貯留され、その後、徐々に左右の吸収体に吸収されていくようにすることができるので(図中矢印参照。)、多量の尿が短時間で排出されたときにも、尿を効率的に吸収することができる。
【0052】
更に、左右に離間して配置されている吸収体の間にわたって、液ガイドシートが配置されているのが好ましい。
図10は、液ガイドシートを有する吸収体物品の例を示す模式図である。図10(A)は着用前の横端面図であり、図10(B)は着用時の横端面図である。
図10に示される吸収体物品100mは、基本的には、吸収体物品100lと同じであるが、左右に離間して配置されている吸収体の間にわたって、液ガイドシート80が配置されている。
液ガイドシート80は、尿を移動させるための流路とを有する。着用者の尿道口から第1防漏体の左右方向の中央部に排出された尿は、液ガイドシート80の流路を通って、速やかに吸収体20dに移動する。したがって、着用者は股下部において不快感を感じない。
また、液ガイドシート80は、左右に離間して配置されている吸収体20d間での尿の移動を可能とするのが好ましい。
吸収体物品を使用する際、着用者の姿勢、着用位置等により、左右の吸収体に吸収される尿の量が大幅に偏ってしまうことがある。このような場合、本発明の吸収体物品が液ガイドシートを有すると、尿を多く吸収した吸収体から少ない方へと、尿が移動し、その結果、偏りが緩和される。これにより、吸収体物品の実質的な尿吸収量および使用可能時間が長くなる。
【0053】
液ガイドシート80は、尿の移動を可能とする流路を有する構造であれば特に限定されないが、体液吸収性や体液保持性を有しないのが、尿の移動が速やかに行われる点で好ましい。具体的には、後述する凸部に開孔を有する凹凸シート部材(以下「開孔凹凸シート部材」という。)が好適に挙げられる。
【0054】
図11は、凸部の全部に開孔を有する開孔凹凸シート部材の例を示す模式的な斜視図である。図11に示される開孔凹凸シート部材である液ガイドシート80は、凸部を形成する多数の突起81を有しており、各突起81はその頂点に開孔82を有している。開孔凹凸シート部材においては、凸部の一部に開孔を有していてもよく、凸部の全部に開孔を有していてもよい。
開孔凹凸シート部材は、凹部と凸部を有する凹凸面を少なくとも一つの面として有する。開孔凹凸シート部材においては、多数の凹部が連なって体液の流路として機能する。開孔凹凸シート部材は、凸部が使用時に多少つぶれたとしても、体液の流通が阻害されないという利点を有する。
また、開孔凹凸シート部材においては、開孔も体液の流路として機能する。
本発明においては、開孔凹凸シート部材を、開孔の広い方の面(図11中、見えていない面)を着用者側にして用いるのが好ましい。
【0055】
開孔凹凸シート部材の材料としては、例えば、PE、PP、PVA、ウレタン等の樹脂からなる体液不透過性のフィルムが挙げられる。
開孔凹凸シート部材の具体例としては、本発明者が国際公開第02/065965号パンフレットにおいて提案したものが挙げられる。
【0056】
ガイドシートとして開孔凹凸シート部材を用いる場合、開孔に体液が残存する、液残りが生じ、いわゆるリウェット値が悪くなることがある。この場合、開孔凹凸シート部材の下側に、親水性拡散シートを組み合わせて用いるのが好ましい。これにより、開孔に存在する体液が、親水性拡散シートに浸透して移動するので、リウェット値が大幅に低くなる。また、開孔凹凸シート部材が防漏体とずれることが防止され、形状安定性も向上する。
【0057】
親水性拡散シートとしては、比較的目付の低い親水性不織布状物が好適に用いられる。親水性不織布状物としては、例えば、レーヨン、コットン、木材パルプ等を含有させたティッシュまたは親水性不織布が挙げられる。具体的には、ティッシュペーパー、レーヨンスパンボンド(例えば、TCF、二村化学社製)、コットンスパンレース、レーヨン/PP混合スパンレース、レーヨン/PET混合スパンレースが挙げられる。
また、PP、PEまたはPETのスパンボンド不繊布、PPのサーマルポンド不繊布、PE/PETのスルーエア不織布等の合繊不織布を界面活性剤等で表面処理することにより親水化した不繊布も挙げられる。
開孔凹凸シート部材と親水性拡散シートとは、単に重ね合わせて積層してもよく、ホットメルト、熱ラミネート等により複合化してもよい。
【0058】
親水性拡散シートの下側には、体液不透過性シートを組み合わせて用いるのが好ましい。これにより、体液が親水性拡散シートと防漏体のシート部との間に一時的にも貯留されず、速やかに防漏体の袋部へと移動するようになる。体液不透過性シートの材料としては、例えば、PE、PP、PVA、ウレタン等の樹脂からなるフィルムが挙げられる。
親水性拡散シートと体液不透過性シートとは、単に重ね合わせて積層してもよく、ホットメルト、熱ラミネート等により複合化してもよい。
また、親水性拡散シートを用いずに、開孔凹凸シート部材と体液不透過性シートとを組み合わせて用いてもよい。
開孔凹凸シート部材と体液不透過性シートとは、単に重ね合わせて積層してもよく、ホットメルト、熱ラミネート等により複合化してもよい。
【0059】
図10においては、液ガイドシート80が吸収体20dの下側に配置されているが、液ガイドシートは、上側に配置されていてもよく、上側および下側の両方に配置されていてもよい。
【0060】
更に、吸収体が不織布上に高吸水性樹脂をコーティングしてなるシート状吸収体である場合、不織布の高吸水性樹脂をコーティングされた側を内側として、チューブ状に形成されてなるのが好ましい態様の一つである。
図12は、不織布の高吸水性樹脂をコーティングされた側を内側としてチューブ状に形成されたシート状吸収体(以下「チューブ状吸収体」という。)およびそれを用いた吸収体物品の例を示す模式図である。図12(A)〜図12(C)はチューブ状吸収体の横端面図であり、図12(D)〜図12(F)はそれを用いた吸収体物品の横端面図である。図12(A)および図12(D)は尿吸収前であり、図12(B)および図12(E)は尿吸収初期であり、図12(C)および図12(F)は尿吸収後期である。
図12(A)〜(C)に示されるチューブ状吸収体20eは、不織布22上に、前後方向に長い複数の帯状に、高吸水性樹脂24をコーティングしてなる。図12に示されるチューブ状吸収体20eは、尿吸収前は平面に近い形状であるが(図12(A)参照。)、尿を吸収するに従って、円筒状に近くなっていく(図12(B)および図12(C)参照。)。
図12(D)〜(F)に示される吸収体物品100nは、基本的に吸収体物品100lと同じであるが、チューブ状吸収体20eを用いている点で異なる。吸収体物品100nにおいては、チューブ状吸収体20eが尿を吸収すると、左右方向の中央部に空間を形成する(図12(F)参照。)。これにより、尿が後側に移動しやすくなる。また、着用者の股下部と第1防漏体とがより接触しにくくなるので、着用者の不快感がより少なくなる。
【0061】
また、本発明の吸収体物品においては、一対の側部が、それぞれ2段以上に折りたたまれたひだ状に形成されているのが好ましい態様の一つである。
図13は、本発明の吸収体物品の他の例を示す模式的な横端面図である。図13においては、第1防漏体および吸収体以外の要素は、省略してある。図13中、白抜きの部材は第1防漏体であり、斜線の部材は吸収体である。
図13に示される吸収体物品においては、第1防漏体の一対の側部が、それぞれ2段に折りたたまれたひだ状に形成されている。これにより、第1防漏体が形成しうる空間の容積が大きくなるため、吸収体の量を多くして尿の吸収量を多くすることができる。
【0062】
一対の側部がそれぞれ2段以上に折りたたまれたひだ状に形成されている場合、一対の側部により規定される2段以上の空間のうち、少なくとも二つに、吸収体が配置されているのが好ましい態様の一つである。
図14は、本発明の吸収体物品の他の例を示す模式的な横端面図である。図14においては、第1防漏体および吸収体以外の要素は、省略してある。図14中、白抜きの部材は第1防漏体であり、斜線の部材は吸収体である。
図14(A)〜図14(D)に示される吸収体物品は、基本的に図13に示される吸収体物品と同じであるが、一対の側部により規定される2段の空間にそれぞれ吸収体が配置されている点で相違する。このように2段以上の吸収体を有すると、尿の吸収能力が大きくなる。
図14(A)に示される吸収体物品は、上段および下段とも一体の吸収体が配置されている。図14(B)に示される吸収体物品は、上段は吸収体が左右に離間して配置されており、下段は一体の吸収体が配置されている。図14(C)に示される吸収体物品は、上段は一体の吸収体が配置されており、下段は吸収体が左右に離間して配置されている。図14(D)に示される吸収体物品は、上段および下段とも吸収体が左右に離間して配置されている。
図14(B)〜図14(D)のように、一部または全部の吸収体が左右に離間して配置されていると、上述した吸収体物品100lにおける効果の一部または全部が得られる。
【0063】
本発明の吸収体物品においては、更に、第1防漏体の底面部と一対の側部の前端から上部の前側にかけての部分とに結合して、第1防漏体の前側の開口を閉鎖する前方防漏体、および/または、第1防漏体の底面部と一対の側部の後端から上部の後側にかけての部分とに結合して、第1防漏体の後側の開口を閉鎖する後方防漏体を具備するのが好ましい態様の一つである。
図15は、前方防漏体および後方防漏体を具備する吸収体物品の例を示す模式図である。図15(A)は平面図であり、図15(B)は図15(A)中のXVB−XVB線に沿った縦端面図であり、図15(C)は図15(A)中のXVC−XVC線に沿った横端面図であり、図15(D)は図15(A)中のXVD−XVD線に沿った横端面図である。
図15に示される吸収体物品100oは、基本的に吸収体物品100と同じであるが、更に、前方防漏体90および後方防漏体92を具備する点で異なる。
【0064】
図15に示されるように、前方防漏体90は、第1防漏体10の底面部12と一対の側部14の前端から上部の前側にかけての部分とに結合して、第1防漏体10の前側の開口を閉鎖している。また、後方防漏体92は、第1防漏体10の底面部12と一対の側部14の後端から上部の後側にかけての部分とに結合して、第1防漏体10の後側の開口を閉鎖している。
【0065】
本発明の吸収体物品100は、立位および座位では、前側および後側が上、中央部が下というU字型の状態で着用されるので、尿および便が前側および後側の開口から漏れることはほとんどないが、横臥位および伏臥位においては、漏れるおそれがある。
本発明の吸収体物品100oにおいて、前方防漏体90および後方防漏体92は、第1防漏体と結合して袋状になっている。これにより、前方防漏体90は、排出された尿および便(内部空間が、前側の尿吸収用空間と後側の便収容用空間とに分離している場合は、尿)が、第1防漏体10の前側の開口から、外部へ漏れることを防止する。また、後方防漏体92は、排出された尿および便(内部空間が、前側の尿吸収用空間と後側の便収容用空間とに分離している場合は、便)が、第1防漏体10の後の開口から、外部へ漏れることを防止する。
【0066】
前方防漏体90および後方防漏体92は、第1防漏体10の一対の側部と同様に、その縁部に、縁部形状保持部材を有するのが好ましい態様の一つである。縁部形状保持部材を有すると、尿および便がより漏れにくくなる。この場合、縁部形状保持部材は第1防漏体10の縁部形状保持部材と別個のものであってもよく、第1防漏体10の縁部形状保持部材30が延長されたものであってもよい。
また、図15に示されるように、前方防漏体90および後方防漏体92が、第1防漏体10の一対の側部14および縁部形状保持部材30を上側から被覆するように構成されている場合は、着用時に側部の前側および後側がめくれ上がることを防止する効果も奏する。
【0067】
本発明の吸収体物品においては、第1防漏体の一対の側部が2種以上の材料から構成されていてもよい。
図17は、側部が2種以上の材料から構成されている吸収体物品の例を示す模式的な横端面図である。図17(A)および図17(B)においては、吸収体は省略されている。
図17(A)に示される吸収体物品100pは、基本的には、吸収体物品100lと同じであるが、第1防漏体10hの一対の側部14eの内部に弾性体16aが設けられている。弾性体16aは、その周囲の材料よりも、弾力に富んでいる。これにより、着用者の体表面との密着性がより優れたものになる。
図17(B)に示される吸収体物品100qは、第1防漏体10iの一対の側部14fが、それぞれ2段に折りたたまれたひだ状に形成されており、その上段の内部に弾性体16bが設けられている。弾性体16bは、その周囲の材料よりも、弾力に富んでいる。これにより、着用者の体表面との密着性がより優れたものになる。
上述したように、第1防漏体の一対の側部を2種以上の材料により構成することにより、側部の弾力性を調整して、着用者の体表面との密着性をより優れたものにすることができる。
また、同一の原材料であっても、異なる張力で側部を構成することにより、同様の効果を得ることができる。
【0068】
以下、より具体的な実施態様を挙げて更に詳細に説明する。
<実施態様1>
図18〜図20は、テープ型おむつの態様とした本発明の吸収体物品を示す模式図である。図25は平面図であり、図26(A)は図25中のXXVIA−XXVIA線に沿った縦端面図であり、図26(B)は図21中のXXVIB−XXVIB線に沿った横端面図であり、図27は着用時の状態を示す斜視図である。
【0069】
図18に示される吸収体物品300においては、シート状の第1防漏体202aが前後方向の中央部でやや狭くなった長方形の形態を示し、後側の両端部に、着用時に着用者の腰部で前側の両端部と結合するための結合用テープ219aを有している。
第1防漏体202aの一対の側部213aの縁部には、それぞれ一対の縁部形状保持部材214aが設けられている。縁部形状保持部材214aは、前身頃から後身頃まで連続に配置されている。
また、前後方向の中央付近には、架橋部材207aが、一対の縁部形状保持部材214aの各中央部の間にわたって設けられ、その前側が尿吸収用空間S1、後側が便吸収用空間S2となっている。即ち、両側の縁部形状保持部材214aにより、前後方向に長いチャネル状開口が規定され、このチャネル状開口は、架橋部材207aにより、前身頃と後身頃とに分けられている。架橋部材207aは、縁部形状保持部材214aの上側を通っている。
架橋部材207aと第一防漏体202aおよび縁部形状保持部材214aとは、前後方向の中央付近で斜線で示される結合部217aにより結合している。これにより、左右の第1防漏体202aの側部213a同士が結合されると同時に左右の距離が固定される。
【0070】
第1防漏体202aの内部空間には、前部から後部に至るまで、ほぼ長方形の吸収体203aが配置されている。
吸収体203aの上にはスキンコンタクトシート205aが設けられている。スキンコンタクトシート205aを具備すると、着用時の表面感触が優れたものになる。スキンコンタクトシートは、体液透過性であれば特に限定されず、従来トップシートとして用いられてきた公知のものを用いることができる。具体的には、例えば、PP不織布、PET不織布、PE不織布等の合成繊維の不織布を用いることができる。また、レーヨン、コットン等の親水性繊維と合成繊維とを混合してなる乾式不織布を用いることもできる。
スキンコンタクトシート205aは、吸収体203aの前端より前側の位置からその後端の後側の位置まで、その上面を被覆している。
【0071】
吸収体物品300は、図20に示されるように、着用時には、結合用テープ219aにより、第1防漏体202aの前端と後端とが結合し、一つのウエストホールWと二つのレッグホールLHとを形成する。
【0072】
<実施態様2>
図21〜図23は、テープレス型おむつの態様とした本発明の吸収体物品を示す模式図である。図21は着用時の状態を示す斜視図であり、図22は図21中の結合部227bを分離させて開いた平面図であり、図23(A)は図22中のXXIIIA−XXIIIA線に沿った縦端面図であり、図23(B)は図22中のXXIIIB−XXIIIB線に沿った横端面図である。
図21に示される吸収体物品310は、結合部227bにより前身頃と後身頃とが結合し、一つのウエストホールWと二つのレッグホールLHとを有するパンツの形状となっている。
【0073】
第1防漏体202bは、左右両辺が上に立ち上がって側部213bを形成しており、更にその側部213bが中側に折り返されている。第1防漏体202bの側部213bの縁部には、縁部形状保持部材214bがほぼ全長にわたって設けられている。
この縁部形状保持部材214bの前側の部分は、本発明の吸収体物品の着用時において、尿道口の両側に位置してその上表面が着用者の体と接触して、吸収体物品を弾力的に固定し、尿道口が吸収体物品と直接接触しないように、または、接触しても尿道口に強い圧力がかからないようにする。このようにすることにより、着用時における尿道口への圧迫感をなくすことができる。また、二つの縁部形状保持部材214bの間に形成される空間が、尿の流路となるため、着用者の尿道口およびその周囲が濡れるだけで、その他の部位を濡らすことなく、排尿することができる。
また、吸収体物品310の前側においては、二つの縁部形状保持部材214bの間に性器が収容されることにより、尿が外側に漏れることが防止される。吸収体物品310の後側においては、臀部の丸みに沿って周縁部形態保持材68が着用者の肌に密着するようになり、便、特に軟便が排出されても、外側に漏れることが防止される。その結果、インナーギャザーおよびアウターギャザーが不要となる。ただし、これらを有していてもよい。
第1防漏体202bの内部空間の後部には、便処理用シート221bが設けられている。
【0074】
前後方向の中央付近には、架橋部材207bが設けられ、その前側が尿吸収用空間S1、後側が便吸収用空間S2となっている。吸収体物品300においては架橋部材207aが縁部形状保持部材214aの上に配置されているのに対して、吸収体物品310においては架橋部材207bの左右両端が縁部形状保持部材214bの下になるように配置されている。
架橋部材207bは、それぞれ断面がほぼ楕円形である棒状の尿ストップ部208bと便ストップ部209bとを有する。尿ストップ部208bは前側に傾斜し、尿が後側に移動することを防止する。便ストップ部209bは後側に傾斜し、便が前側に移動することを防止する。尿便ストップ部材207bは、第1防漏体202bの左右方向のほぼ全幅にわたって設けられている。
架橋部材207bの下面と第1防漏体202bとは、結合部217bにより、結合している。また、架橋部材207bの上面の一部と第一防漏体202bの側部213bおよび縁部形状保持部材214bの下面とも、結合部217bにより、結合している。結合部217bは、例えば、感熱性接着剤等の接着剤により形成させることができる。
このように、第1防漏体202bの内部空間は、尿吸収用空間S1と便吸収用空間S2とが相互に独立している。これにより、尿と便との分離をほぼ完全に行うことができる。尿吸収用空間S1には吸収体203bが配置され、便吸収用空間S2には便処理用シート221bが配置されている。
【0075】
吸収体203bの上には、実施態様1と同様に、スキンコンタクトシート205bが設けられている。スキンコンタクトシート205bは、吸収体203bの前端より前側の位置から後端の後側の位置まで、その上面を被覆している。
第1防漏体202bの側部の外側には、不織布からなるアウター部材が設けられている。アウター部材の前後両端には、ウエストギャザー212bが設けられている。
【0076】
<実施態様3>
図24〜図27は、テープ型おむつの態様とした別の本発明の吸収体物品を示す模式図である。図24は平面図であり、図25は図24中のXXV−XXV線に沿った縦端面図であり、図26(A)〜図26(C)はそれぞれ図24中のXXVIA−XXVIA線、XXVIB−XXVIB線およびXXVIC−XXVIC線に沿った横端面図であり、図27は着用時の状態を示す斜視図である。
【0077】
吸収体物品320においては、シート状の第1防漏体202cは、左右両辺が上に立ち上がって側部213cを形成しており、更にその側部213cが中側に折り返されている。第1防漏体202cの側部213cの縁部には、縁部形状保持部材214cがほぼ全長にわたって設けられている。
この縁部形状保持部材214cの前側の部分は、本発明の吸収体物品の着用時において、尿道口の両側および前側に位置してその上表面が着用者の体と接触して、吸収体物品を弾力的に固定し、尿道口が吸収体物品と直接接触しないように、または、接触しても尿道口に強い圧力がかからないようにする。このようにすることにより、着用時における尿道口への圧迫感をなくすことができる。また、左右の二つの縁部形状保持部材214cの間に形成される空間が、尿の流路となるため、着用者の尿道口およびその周囲が濡れるだけで、その他の部位を濡らすことなく、排尿することができる。
また、吸収体物品320の前側においては、左右の二つの縁部形状保持部材214cの間に性器が収容され、また、前側の縁部形状保持部材214cが着用者の体と密着する。
【0078】
吸収体物品320の後側においては、臀部の丸みに沿って縁部形状保持部材214cが着用者の肌に密着するようになり、また、後側の縁部形状保持部材214cが着用者の体と密着する。
【0079】
第1防漏体202cの左右の側壁は、ひだ状に形成されており、途中の折り返し部分により、上下2段に分かれている。これにより、より多量の尿を吸収することが可能になり、長時間の装着に耐えられるようになっている。
第1防漏体202cの上段の後部には、第2防漏体204cが設けられて、その上に便処理用シート221cが設けられている。また、第1防漏体202cの下段の前部から第2防漏体204cの下側に至るまで、および、第1防漏体202cの上段の前部には、ほぼ長方形の吸収体203cが左右に分かれて配置されている。即ち、吸収体203cは、吸収体物品320の前側では2層、後側では1層となっている。吸収体203cは、第1防漏体202cの側部が形成する空間に収納されており、一部のみが露出している。
このように第2防漏体204cの下に存在する吸収体203cは、1層のみであるので、便を受容した際に下側に垂れ下がりやすくなっている。即ち、便の受容量が多くなっている。特に、本実施態様では、第2防漏体204cの前側の中央部がその下の部材(ここでは、液ガイドシート218c)と結合部材226cにより結合しているため、あらかじめ便の受容領域の容積が大きくなっている。
また、吸収体203cが左右に分かれて存在するので、吸収体203cが尿を吸収すると、中央部の容積がより大きくなる。
【0080】
前後方向の中央付近には、架橋部材207cが設けられ、その前側が尿収容用空間S1、後側が便収容用空間S2となっている。架橋部材207cは、それぞれ断面がほぼ楕円形である棒状の尿ストップ部208cと便ストップ部209cとを有する。尿ストップ部208cは前側に傾斜し、尿が後側に移動することを防止する。便ストップ部209cは後側に傾斜し、便が前側に移動することを防止する。架橋部材207cは、第1防漏体202cの左右方向の全幅にわたって設けられている。
架橋部材207cの下面と第2防漏体204cの前端部の上面とは、結合部217cにより直接に結合している。結合部217cは、例えば、感熱性接着剤等の接着剤により形成させることができる。
【0081】
便処理用空間S2においては、第1防漏体202cの折込みの下段の部分にのみ吸収体203cを配置することにより、吸収容量を確保するとともに、上段部分には便収容のための空間を形成させ、下部の吸収体203cが尿を吸収して膨張すると、便収容のための空間が中央部に大きく確保されるようになる。特に、第2防漏体204cの中央の一部が吸収体203cの下に存在する液ガイドシート218cと結合することにより、便処理用空間S2の左右の吸収体203cが膨らむにつれ、第2防漏体204cの中央が凹みを形成し、より効果的に便収容のための空間が確保される。
【0082】
上述したように吸収体203cは左右に離間して設けられ、図12(A)に示されるようにチューブ状を呈しているため、尿の吸収により膨張しやすくなっている。
また、この2本のチューブ状の吸収体203cの間を尿が流れることにより、第2防漏体204cの下に前身頃から連続して存在している吸収体203cが効果的に尿を吸収することができるようになっている。
更に、排尿口の真下に吸収体を存在させないことにより、吸収体が尿を吸収して膨潤した後も着用者に不快感を与えない。また、左右の吸収体203cが体を支えるため、尿道口への圧迫感も軽減される。
【0083】
第2防漏体204cの前端の下側には、液透過性の尿導入部形成部材206cが配置されている。したがって、尿ストップ部208cによって止められた尿は、液透過性の尿導入部形成部材206cを通過して第2防漏体204cの下側に移動する。
【0084】
第2防漏体204cの左右両辺の上面は、第1防漏体202cの側部213cと結合部217cにより結合している。これにより、第2防漏体204cの左右から便が漏れることが防止される。
【0085】
第2防漏体204cの上側には、便処理用シート221cが設けられている。便処理用シートは、便、特に軟便の水分を吸収し、便が広範囲に広がらないようにする。また、便受容用シートは、排便されていない状態では、スキンコンタクトシートとしても機能する。
便処理用シートとしては、例えば、パルプ等で作られた吸水性不織布、具体的には、王子キノクロス社製のキノクロスが好適に用いられる。特に、起毛状の不織布は、軟便を絡めて固定することができる点で好ましい。
【0086】
第1防漏体202cの上部に配置された吸収体203cの上には、実施態様1と同様に、スキンコンタクトシート205cが設けられている。
【0087】
第1防漏体202cの下部に配置された吸収体203cの下には、液ガイドシート218cが設けられている。
液ガイドシート218cは、尿の移動を可能とする流路を有する構造であれば特に限定されないが、体液吸収性や体液保持性を有しないのが、尿の移動が速やかに行われる点で好ましい。具体的には、凸部に開孔を有する凹凸シート部材(開孔凹凸シート部材)が好適に挙げられる。
液ガイドシート218cは、第1防漏体202cで形成される2段構造における下段部分に、第1防漏体202cのすぐ上に配置されるようにして前身頃から後身頃まで続くように配置されており、これにより尿処理用空間S1に排出された尿を瞬時に下段全体に行き渡らせ、吸収体203cが無駄なく使用されるのを助ける役割をする。
【0088】
第1防漏体202cの後端には、帯状のウエストバンド220cが設けられており、その両末端には着脱部材222cが設けられている。第1防漏体202cの前端の下面には、着脱部材223cが設けられている。着脱部材222cと着脱部材223cとは、互いに着脱自在になっている。例えば、各種面ファスナーにより構成されている。
【0089】
この実施態様3においては、尿収容用空間S1と便収容用空間S2とが、相互に独立しているため、尿と便との分離をほぼ完全に行うことができる。
また、実施態様3においては、着用者が自ら装着することが難しい場合、介助者が着用者の尿道口や肛門の位置を確認しながら装着させることができる。
【0090】
<実施態様4>
図28〜図31は、テープ型おむつの態様とした別の本発明の吸収体物品を示す模式図である。図28は平面図であり、図29は図28中のXXIX−XXIX線に沿った縦端面図であり、図30(A)〜図30(C)はそれぞれ図28中のXXXA−XXXA線、XXXB−XXXB線およびXXXC−XXXC線に沿った横端面図であり、図31は着用時の状態を示す斜視図である。
吸収体物品330は、基本的には、吸収体物品320と同じであるが、以下の点で異なる。
第1に、第2防漏体204dおよび便処理用シート221dが、架橋部材207c付近から着用者の尾底骨の位置付近まで存在しており、第2防漏体204cおよび便処理用シート221cよりも短くなっている。更に、第2防漏体204dの後端の上に重なるようにスペーサー228dが配置されている。スペーサー228dは、第1防漏体202dからつながる後方防漏体216dに被覆されている。
これにより、特に、仰臥位等において、仮に便収容用空間S2に尿が入り込んだとしても、速やかに吸収体203dへ尿を移動させることができる。
【0091】
第2に、第1防漏体202dの前部からつながる前方防漏体215dが設けられており、その縁部には縁部形状保持部材224dが設けられている。
これにより、伏臥位等において、前方防漏体215dで尿を貯留し、腹部に漏れるのを防ぐことができる。
【0092】
第3に、吸収体203dは、前身頃において、上段ではスキンコンタクトシート205dを挟み込むように二つ折りになって配置され、下段ではスキンコンタクトシート205dおよび液ガイドシート218cの左右両端を挟み込むようにに二つ折りになって配置されている。
これにより、吸収体203dが膨張するに従って第1防漏体202dが膨張するようになり、尿吸収のための容積がより多く確保されやすくなる。
【0093】
本発明の吸収体物品においては、第2防漏体は、着脱可能とすることができる。この場合、便を受容した後に、第2防漏体を取り外して廃棄することができる。そして、未使用の第2防漏体を装着して再び使用することができる。また、未使用の第2防漏体を装着せず、尿と便とを分離しない通常のおむつとして使用することもできる。
また、本発明の吸収体物品が便処理用シートを有するときも、同様に、便処理用シートを着脱可能とすることができる。そして、未使用の便処理用シートを装着して再び使用することができる。また、未使用の便処理用シートを装着せずに使用することもできる。
【0094】
第2防漏体等を着脱可能とする構成は、特に限定されない。例えば、便処理用シートのみが着脱可能である態様、第2防漏体のみが着脱可能である態様(便処理用シートがない場合)、第2防漏体および尿便ストップ部材が着脱可能である態様、第2防漏体、尿便ストップ部材および尿導入部形成部材が着脱可能である態様が挙げられる。尿便ストップ部材が着脱可能である場合には、その一部(例えば、尿ストップ部、便ストップ部)だけが着脱可能であってもよく、その全部が着脱可能であってもよい。
【0095】
これらの着脱可能な部材は、それぞれの部材が独立に着脱可能であってもよく、一体となって着脱可能であってもよい。
【0096】
以上、本発明の吸収体物品を図示の各実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではなく、例えば、各部の構成は、同様の機能を発揮しうる任意の構成と置換することができる。
また、各実施形態における各部の構成を任意に組み合わせて、別の実施形態とすることもできる。
【0097】
本発明の吸収体物品は、成人男性用、成人女性用および子供用のいずれの用途にも好適に用いられる。
【実施例】
【0098】
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限られるものではない。
1.吸収体物品
実施例としては、図24〜図27に示される本発明の吸収体物品を用いた。吸収体としては、SAPの分散スラリーを不織布の上にコーティングする方法で得られる高吸水性シート((株)日本吸収体技術研究所製のMegaThin(登録商標)、SAP目付量140g/m2)を用いた。
吸収体物品の各部における高吸水性シートの含有量、設計脱水吸収量および設計自由吸収量を第1表に示す。なお、設計自由吸収量は、JIS K7223−1996の「高吸水性樹脂の吸収量試験方法」の規定に準じて行った。設計脱水吸収量は、設計自由吸収量を測定した後、1,000Gで10分間遠心分離をすることにより脱水して求めた。
【0099】
【表1】

【0100】
2.着用試験
着用者として、正常な排尿機構および排便機構を持つ健常者4名(男性1:38才、男性2:64才、女性1:32才、女性2:54才)に、吸収体物品を着用させ、以下のようにして排尿および排便を行わせた。
まず、着用者に、立位、座位、横臥位および仰臥位の各体位を維持させ、通常の尿意を感じたところで排尿させた。排尿が終了した時点で吸収体物品を取り外させ、尿の吸収量を測定した。ついで、同じ吸収体物品を着用させ、同様に、尿の吸収量を測定した。
その後、立位および座位の場合は同じ吸収体物品を着用させ、便意を感じた時点で排便させた。排便が終了した時点で吸収体物品を取り外させ、便の捕獲量を測定し、また、吸収体物品および着用者の汚れの有無ならびに尿便の分離の程度を観察した。
【0101】
排尿1回目および2回目における4人の尿の吸収量の平均を第2表に示す。
第2表から明らかなように、尿の吸収量は、いずれの体位でも設計脱水吸水量を大きく超えており、中でも、立位および座位においては、設計自由吸水量と同程度という高水準まで達した。
【0102】
【表2】

【0103】
また、便の捕獲量ならびに吸収体物品および着用者の汚れの有無を第3表に示す。
第3表から明らかなように、排便後の吸収体物品の汚れは、観察されず、または、観察されてもわずかであった。
排便後の着用者の汚れは観察されなかった。ここで、第3表における着用者腎部とは、臀部のうち肛門周囲を除いた部分を指す。したがって、便の排出に伴い汚れる肛門周囲以外の部分が汚れなかったということは、便が便受容郡にしっかり捕獲されたことを示している。
【0104】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の吸収体物品の例を示す模式図である。
【図2】種々の形態の吸収体物品を示す模式的な平面図である。
【図3】種々の形状の架橋部材を有する吸収体物品を示す模式図である。
【図4】本発明の別の実施形態の吸収体物品を示す模式図である。
【図5】第2防漏体を有する吸収体物品の例を示す模式図である。
【図6】第2防漏体を有する吸収体物品の他の例を示す模式図である。
【図7】尿導入部形成部材を有する吸収体物品の例を示す模式図である。
【図8】本発明の吸収体物品の他の例を示す模式図である。
【図9】本発明の吸収体物品の他の例を示す模式図である。
【図10】液ガイドシートを有する吸収体物品の例を示す模式図である。
【図11】凸部の全部に開孔を有する開孔凹凸シート部材の例を示す模式的な斜視図である。
【図12】チューブ状吸収体およびそれを用いた吸収体物品の例を示す模式図である。
【図13】本発明の吸収体物品の他の例を示す模式的な横端面図である。
【図14】本発明の吸収体物品の他の例を示す模式的な横端面図である。
【図15】前方防漏体および後方防漏体を具備する吸収体物品の例を示す模式図である。
【図16】種々の形態の吸収体物品を示す模式的な横端面図である。
【図17】側部が2種以上の材料から構成されている吸収体物品の例を示す模式的な横端面図である。
【図18】テープ型おむつの態様とした本発明の吸収体物品を示す模式図である。
【図19】テープ型おむつの態様とした本発明の吸収体物品を示す模式図である。
【図20】テープ型おむつの態様とした本発明の吸収体物品を示す模式図である。
【図21】テープレス型おむつの態様とした本発明の吸収体物品を示す模式図である。
【図22】テープレス型おむつの態様とした本発明の吸収体物品を示す模式図である。
【図23】テープレス型おむつの態様とした本発明の吸収体物品を示す模式図である。
【図24】テープ型おむつの態様とした別の本発明の吸収体物品を示す模式図である。
【図25】テープ型おむつの態様とした別の本発明の吸収体物品を示す模式図である。
【図26】テープ型おむつの態様とした別の本発明の吸収体物品を示す模式図である。
【図27】テープ型おむつの態様とした更に別の本発明の吸収体物品を示す模式図である。
【図28】テープ型おむつの態様とした更に別の本発明の吸収体物品を示す模式図である。
【図29】テープ型おむつの態様とした更に別の本発明の吸収体物品を示す模式図である。
【図30】テープ型おむつの態様とした更に別の本発明の吸収体物品を示す模式図である。
【図31】テープ型おむつの態様とした更に別の本発明の吸収体物品を示す模式図である。
【符号の説明】
【0106】
10、10a〜10i、11、11a〜11c、202a〜202d 第1防漏体
12 底面部
14、14a〜14f、15、15a〜15c、213a〜202c 側部
16a、16b 弾性体
20、20a〜20d、203a〜203d 吸収体
20e チューブ状吸収体
22 不織布
24 高吸水性樹脂
30、30a〜30d、31a〜31c、214a〜214c、224d 縁部形状保持部材
40、40a〜40g、41、41a〜41c、207a〜207c 架橋部材
42、208b、208c 尿ストップ部
44、209b、209c 便ストップ部
50、50a、217a〜217c、226c 結合部材
60、60a、204c、204d 第2防漏体
70 尿導入部形成部材
80、218c ガイドシート
90、215d 前方防漏体
92、216d 後方防漏体
【0107】
100、100a〜100q、101、101a〜101c、300、310、320、330 吸収体物品
205a〜205c スキンコンタクトシート
206c 尿導入部形成部材
212b ウエストギャザー
219a 結合用テープ
220c ウエストバンド
221b〜221d 便処理用シート
222c、223c 着脱部材
227b 結合部
228d スペーサー
LH レッグホール
S 内部空間
1 尿吸収用空間
2 便収容用空間
W ウエストホール
u 尿

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面部と、前記底面部の左右両側から上側に立ち上がり、縁部が内側になるように曲がっている一対の側部とを有し、前記底面部と前記一対の側部とにより内部空間を形成している、シート状の第1防漏体と、
前記内部空間に少なくとも1層配置された、高吸水性樹脂を含有し体液を吸収しうる吸収体と、
前記一対の側部の縁部のそれぞれに沿って設けられた一対の縁部形状保持部材と、
前記一対の縁部形状保持部材の各中央部の間にわたって設けられた架橋部材と
を具備する吸収体物品。
【請求項2】
前記架橋部材が前記縁部形状保持部材の上面に接している、請求項1に記載の吸収体物品。
【請求項3】
前記架橋部材が前記縁部形状保持部材の下面に接している、請求項1または2に記載の吸収体物品。
【請求項4】
前記架橋部材が前記底面部および前記一対の側部と結合することにより、前記内部空間が、前側の尿吸収用空間と後側の便収容用空間とに分離しており、
前記尿吸収用空間に、前記吸収体が配置されている、請求項1〜3のいずれかに記載の吸収体物品。
【請求項5】
前記吸収体が、前記内部空間の前側から後側までにわたって伸びており、
前記架橋部材が前記吸収体および前記一対の側部と結合することにより、前記内部空間が、前側の尿吸収用空間と後側の便収容用空間とに分離している、請求項1〜3のいずれかに記載の吸収体物品。
【請求項6】
前記便収容用空間に、シート状の第2防漏体を具備する、請求項4または5に記載の吸収体物品。
【請求項7】
前記便収容用空間において、前記第1防漏体と前記第2防漏体との間に、前記吸収体が配置されている、請求項6に記載の吸収体物品。
【請求項8】
前記第2防漏体の前端部が、前記架橋部材の下面と結合し、前記第2防漏体の前端部の下面に、尿導入部形成部材が設けられており、前記吸収体が、前記尿吸収用空間から前記便収容空間の前記第2防漏体の下側にわたって存在している、請求項7に記載の吸収体物品。
【請求項9】
前記一対の側部が、それぞれ2段以上に折りたたまれたひだ状に形成されている、請求項1〜8のいずれかに記載の吸収体物品。
【請求項10】
ひだ状に形成されている前記一対の側部により規定される2段以上の空間のうち、少なくとも二つに、前記吸収体が配置されている、請求項9に記載の吸収体物品。
【請求項11】
更に、前記第1防漏体の前記底面部と前記一対の側部の前端から上部の前側にかけての部分とに結合して、前記第1防漏体の前側の開口を閉鎖する前方防漏体、および/または、前記第1防漏体の前記底面部と前記一対の側部の後端から上部の後側にかけての部分とに結合して、前記第1防漏体の後側の開口を閉鎖する後方防漏体を具備する、請求項1〜10のいずれかに記載の吸収体物品。
【請求項12】
前記吸収体が、左右に離間して配置されている、請求項1〜11のいずれかに記載の吸収体物品。
【請求項13】
左右に離間して配置されている前記吸収体の間にわたって、液ガイドシートが配置されている、請求項12に記載の吸収体物品。
【請求項14】
前記吸収体が、不織布上に前記高吸水性樹脂をコーティングしてなるシート状吸収体である、請求項1〜13のいずれかに記載の吸収体物品。
【請求項15】
前記吸収体が、左右に離間して配置されており、かつ、前記シート状吸収体が、前記不織布の前記高吸水性樹脂をコーティングされた側を内側として、チューブ状に形成されてなる、請求項14に記載の吸収体物品。
【請求項16】
前記シート状吸収体が、前記高吸水性樹脂を50質量%以上含有し、厚さが1mm以下である高吸水性シートである、請求項14または15に記載の吸収体物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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