説明

吸収性物品

【課題】 良好に尿を捕集することができる吸収性物品を提供する。
【解決手段】 接合部材11は、略矩形状のシート材であり、接合部材11の上端11b側は、吸収パッド5の上辺部25に固定されている。一方、接合部材11の下端11c側は、折り返し線11aを中心にして上端11b側に折り返し可能とされている。巻き付け部材12は、吸収パッド5の上辺部25に設けられており、左右方向に延びるシート材であり、接合部材11の下端側と接合されている。(1)接合部材11が折り返し線11aを中心にして折り返され、続いて、(2)巻き付け部材12の一端部12bおよび他端部12cが、折り返されることにより、着用者の陰茎は採尿袋の開口付近で固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収パッドを折り曲げて袋状に形成された吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、吸収パッドを折り曲げて形成された採尿袋が知られている(特許文献1)。特許文献1に開示されているように、着用者の陰茎は採尿袋内に収容される。そして、排尿時、陰茎から排出された尿は、採尿袋内で捕集される。
【0003】
【特許文献1】特開2002−336285号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の採尿袋において、陰茎は取込口から挿入されているのみで、陰茎が採尿袋から外れる可能性がある。その結果、確実に尿が捕集されないという問題が生ずる。
【0005】
そこで、本発明では、良好に尿を捕集することができる吸収性物品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、開口を有する袋体として形成される吸収性物品であって、前記袋体の開口縁部に沿って設けられた帯状の巻き付け部材、を備え、前記巻き付け部材は、前記開口から前記袋体内に挿入された陰茎に巻き付けられることにより、前記陰茎を前記開口付近で固定することを特徴とする。
【0007】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の吸収性物品において、前記袋体は、略矩形状の吸収パッドを2つ折りにするとともに、折り曲げ端に連なる前記吸収パッドの側辺部を接合することによって形成されており、前記巻き付け部材は、前記吸収パッドの上辺部に設けられており、左右方向に延びる帯状体であることを特徴とする。
【0008】
また、請求項3の発明は、請求項2に記載の吸収性物品において、上端側が前記吸収パッドの上辺部に固定されるとともに、下端側が前記上端側に折り返し可能とされた接合部材、をさらに備え、前記巻き付け部材は、前記接合部材の下端側に固定されていることを特徴とする。
【0009】
また、請求項4の発明は、請求項3に記載の吸収性物品において、前記接合部材の左右方向の幅は、前記吸収パッドの左右方向の幅より広いことを特徴とする。
【0010】
また、請求項5の発明は、請求項2ないし請求項3のいずれかに記載の吸収性物品において、前記吸収パッドの左右から張り出す前記巻き付け部の張り出し長さは、左右で相違することを特徴とする。
【0011】
また、請求項6の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の吸収性物品において、前記巻き付け部材の表面のうち着用者の肌と当接する当接面は、不織布によって形成されていることを特徴とする。
【0012】
また、請求項7の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の吸収性物品において、前記巻き付け部材は、ポリウレタンを基材とすることを特徴とする。
【0013】
また、請求項8の発明は、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の吸収性物品において、前記巻き付け部材の長手方向一端部に設けられており、前記陰茎の巻き付け時に前記巻き付け部材を止着することにより、前記巻き付け部材を筒状とする第1止着部材、をさらに備えることを特徴とする。
【0014】
また、請求項9の発明は、請求項8に記載の吸収性物品において、前記巻き付け部材の長手方向他端部に設けられており、前記陰茎の巻き付け時に筒状とされた前記巻き付け部材を、前記袋体の前記開口縁部に止着する第2止着部材、をさらに備えることを特徴とする。
【0015】
また、請求項10の発明は、請求項9に記載の吸収性物品において、前記巻き付け部材の巻き付け方向に沿った前記第2止着部材の長さは、前記巻き付け方向に沿った前記第1止着部の長さより大きいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1ないし請求項10に記載の発明によれば、袋体とされた吸収性物品の開口付近で陰茎を固定することができる。そのため、尿を袋内で確実に捕集することができる。
【0017】
特に、請求項2に記載の発明によれば、陰茎を固定する巻き付け部材と、吸収パッドと、は別体とされており、吸収パッド自体は、陰茎の固定に使用されない。これにより、陰茎が固定される場所(すなわち、巻き付け部材が設けられている開口付近)におけるかさばり感が抑制され、着用者への締め付け感が少ない。そのため、着用者は、良好な着用感を得ることができる。
【0018】
特に、請求項3に記載の吸収性物品によれば、接合部材が折り返されつつ、巻き付け部が陰茎に巻き付けられると、袋体の開口は、折り返された接合部材によって塞がれる。そのため、一旦袋体内で捕集された尿が開口を介して袋体外に漏れることを防止できる。
【0019】
特に、請求項4に記載の吸収性物品によれば、接合部材の左右方向の幅が吸収パッドの左右方向の幅より広く設定されており、袋体の開口は、折り返された接合部材によってさらに良好に塞がれる。そのため、一旦袋体内で捕集された尿が袋体外に漏れることをさらに良好に防止できる。
【0020】
特に、請求項5に記載の吸収性物品において、巻き付け部材の張り出し長さの小さい方を内側にして陰茎に巻き付けると、巻き付け時の筒体内側でかさばる巻き付け部材の量(長さ)を抑制できる。そのため、陰茎の巻き付け作業を、陰茎サイズによらず良好に行うことができる。また、巻き付け直し作業についても、容易に行うことができる。
【0021】
特に、請求項6に記載の発明によれば、巻き付け部材のうち着用者の肌と当接する当接面は、肌触りの良い不織布によって形成されている。そのため、着用者は、良好な着用感を得ることができる。
【0022】
特に、請求項7に記載の吸収性物品によれば、巻き付け部材は、柔らかく弾力性に富み、肌に沿った形状に変形するポリウレタンを基材としている。そのため、巻き付け部を陰茎に容易に巻き付けることができ、陰茎を開口付近で容易に固定することができる。
【0023】
特に、請求項8に記載の吸収性物品によれば、陰茎に巻き付けられて筒状とされた巻き付け部材は、第1止着部材によって止着される。これにより、着用者の陰茎は、筒体とされた巻き付け部材に保持される。そのため、巻き付け部材によって陰茎を開口付近で確実に固定することができる。
【0024】
特に請求項9に記載の吸収性物品によれば、陰茎の巻き付け時において、袋体の開口縁部に筒状とされた巻き付け部材を止着することができる。これにより、袋体の開口を良好に塞ぐことができる。そのため、一旦袋体内で捕集された尿が袋体外に漏れることをさらに良好に防止できる。
【0025】
特に、請求項10に記載の吸収性物品によれば、筒状とされた巻き付け部材は、開口縁部の広い範囲で止着される。そのため、袋体からの尿漏れをさらに良好に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0027】
<1.第1の実施の形態>
<1.1.採尿袋の全体構成>
図1は、採尿袋1の使用態様を説明するための断面図である。図2は、本実施の形態における採尿袋1を示す斜視図である。図3は、採尿袋1を形成する吸収パッド5の平面図である。図4は、図3の吸収パッド5をVI−VI’線から見た断面図である。図5は、図3の吸収パッド5をVII−VII’線から見た断面図である。なお、図3および以降の各図には、それらの方向関係を明確にすべく必要に応じて適宜、Z軸方向を鉛直方向とし、XY平面を水平面とするXYZ直交座標系が付されている。
【0028】
採尿袋1は、男性の排泄物や体液(例えば、尿)を捕集する吸収性物品である。図1に示すように、採尿袋1は、おむつや下着等の着用物品9とともに使用され、例えば、排尿時の尿を吸収する。なお、採尿袋1は、おむつとともに使用される場合、補助的な吸収具として使用される。
【0029】
採尿袋1は、平面視略矩形状の吸収パッド5(図3参照)によって形成されており、この吸収パッド5は、次の手順により袋体の採尿袋1とされる。まず、吸収パッド5の上辺部25と下辺部26とが重なるように、吸収パッド5が折り曲げ端21を中心として折り返される。これにより、表面シート30は袋体内となり、背面シート40は袋体の外表面を構成することになる。
【0030】
なお、「矩形」には、長方形だけでなく、正方形も含まれるものとする。また、採尿袋1は、開口18を有する袋体として形成されていればよく、採尿袋1の形成手順は、上述のものに限定されない。
【0031】
次に、折り曲げ端21に連なる側辺部が接合される。すなわち、折り曲げられることによって重なり合う左側辺部22の上半部と下半部とが接合される。また、重なり合う右側辺部23の上半部と下半部とが接合される。なお、側辺部における接合は、熱接着、超音波接着、あるいは、ホットメルト等のように接合部位にエネルギーを付与する手法によって実現されている。
【0032】
このような手順により、吸収パッド5は、上辺部25側および下辺部26側を開口18とする袋体(採尿袋1)とされる。採尿袋1の着用者(以下、単に、「着用者」とも呼ぶ)の陰茎は、この開口18から採尿袋1内の捕集空間35(図1参照)に挿入される。
【0033】
図3に示すように、袋体を構成する吸収パッド5は、主として、表面シート30と、背面シート40と、吸収体51と、を有している。ここで、図3に示すように、吸収パッド5の各角部は、丸みを持った弧状に形成されている。そのため、吸収パッド5の各角部が着用者の肌に引っ掛かり、着用者の肌が傷つけられるという問題は生じない。
【0034】
表面シート30は、平面視略矩形状のシート材であり、吸収体51を固定するために使用される。図3に示すように、表面シート30は、上辺部25側と下辺部26との間に設けられている。また、表面シート30は、採尿袋1内に挿入された着用者の陰茎と接触するため、肌触りの良い素材によって形成されている。
【0035】
ここで、表面シート30の素材としては、通常使い捨ておむつに使われる透液性のシート材料、例えば、(1)親水性繊維(セルロース、レーヨン、コットン等)を用いた不織布材料、(2)疎水性繊維(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン等)の表面を界面活性剤により処理し透液性とした不織布材料、あるいは、(3)開孔を有するプラスティックフィルム等、が用いられる。
【0036】
吸収体51は、図3ないし図5に示すように、平面視略矩形状の板体である。吸収体51は、表面シート30に包被されており、表面シート30と吸収体51とが接触する部位は、接着剤によって接着されている。また、吸収体51は、例えば、粉砕したパルプ繊維やセルロース繊維等の親水性繊維集合層に粒状のポリマー(高分子吸水体)を混合した吸収コアと、この吸収コアを包被する被膜シート(例えば、ティッシュペーパー)と、を有している。これにより、採尿袋1内の捕集空間35に排出された尿は、吸収体51によって吸収される。
【0037】
背面シート40は、表面シート30と同様に、平面視略矩形状のシート材であり、図4および図5に示すように、主として、透液性の不織布で構成される透液シート41と、撥水シート42と、を有している。これら透液シート41および撥水シート42は、例えば、接着剤によって貼り合わされている。
【0038】
ここで、透液シート41の素材としては、表面シート30と同様に、例えば、(1)親水性繊維を用いた不織布材料、(2)疎水性繊維の表面を界面活性剤により処理し透液性とした不織布材料、あるいは、(3)開孔を有するプラスティックフィルム等、が用いられる。
【0039】
また、撥水シート42の素材としては、撥水性のシート材料、あるいは液不透過性のシート材料、好ましくは、通常使い捨ておむつに用いられる撥水性不織布材料(スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、SMS不織布等)、あるいはプラスティックフィルム(通気性であっても非通気性であっても良いが、より快適な態様としては通気性プラスティックフィルム)、が用いられる。さらに、撥水シート42は、これらの材料を複合して形成されてもよい。
【0040】
ここで、図4に示すように、透液シート41と撥水シート42との間には、多数の粒状ポリマー(高分子吸収体)61が、分散して配置されている。また、背面シート40は、透液シート41と表面シート30とが対向するように、配設されている。したがって、吸収体51で吸収された尿は、採尿袋1外にしみ出ることなく捕集される。
【0041】
上辺部25側および下辺部26側のシール部70は、図3および図4に示すように、表面シート30と背面シート40とを接合する部位である。また、図4および図5に示すように、表面シート30に包被された吸収体51は、背面シート40と接合されておらず、吸収体51は、背面シート40に拘束されず膨張することができる。
【0042】
また、図1に示すように、背面シート40は、各シール部70において襞状に折り畳まれた状態で接合されており、背面シート40には、複数の襞28が形成されている。各襞28は、上辺部25側から下辺部26側(すなわち、背面シート40の長手方向、またはY軸方向)に延びる折り目である。背面シート40が左右方向(すなわち、X軸方向)に引き伸ばされると、背面シート40の左側辺部22および右側辺部23は、中膨らみの円弧状に突出し、背面シート40の面積が増大する。
【0043】
したがって、吸収体51が尿を吸収して膨張した場合であっても、吸収体51と背面シート40との間に空間を確保することができる。そのため、吸収体51は、襞28を有しない場合と比較して、より多くの尿を蓄積することができる。
【0044】
なお、各シール部70における接合は、左右側辺部22、23の接合と同様に、熱接着、超音波接着、あるいは、ホットメルト等のように接合部位にエネルギーを付与する手法によって実現されている。
【0045】
固定部材13は、吸収パッド5の上辺部25に設けられている。吸収パッド5が袋体とされると、固定部材13は、開口18付近に位置し、採尿袋1内に挿入された着用者の陰茎を固定する。なお、固定部材13の詳細については、後述する。
【0046】
<1.2.固定部材の構成>
図6は、固定部材13の構成の一例を示す平面図である。図6に示すように、固定部材13は、主として、接合部材11と、巻き付け部材12と、を有している。接合部材11は、平面視略矩形状のシート材であり、図3および図6に示すように、接合部材11の上端11b側は、吸収パッド5の上辺部25に固定されている。一方、接合部材11の下端11c側は、折り返し線11aを中心にして上端11b側に折り返し可能とされている。また、図3に示すように、接合部材11の左右方向の幅W1は、吸収パッド5の左右方向の幅W2より広くなるように設定されている。
【0047】
さらに、接合部材11の各角部は、丸みを持った弧状に形成されている。そのため、接合部材11の各角部が着用者の肌に引っ掛かり、着用者の肌が傷つけられるという問題は生じない。
【0048】
巻き付け部材12は、開口18から採尿袋1内に挿入された陰茎に巻き付けられることにより、陰茎を開口18付近で固定する。図2に示すように、巻き付け部材12は、採尿袋1の開口縁部18aに沿って設けられた帯状の部材である。また、図3に示すように、巻き付け部材12は、左右方向に延びるシート材であり、袋体から平面状に展開された吸収パッド5の上辺部25に設けられている。
【0049】
また、図4ないし図6に示すように、巻き付け部材12は、接合部材11の下端11c側と接合されており、接合部材11が非折り曲げ姿勢の場合において、巻き付け部材12は、表面シート30と対向する。さらに、巻き付け部材12は、吸収パッド5の左右から張り出す張り出し長さPR1、PR2が左右で相違するように形成されている。
【0050】
さらに、巻き付け部材12の各角部は、接合部材11と同様に、丸みを持った弧状に形成されている。そのため、接合部材11の各角部が着用者の肌に引っ掛かり、着用者の肌が傷つけられるという問題は生じない。
【0051】
第1および第2止着部材15a、15bは、面ファスナーのフック側として機能する。図3および図6に示すように、第1および第2止着部材15a、15bは、それぞれ巻き付け部材12の左右方向(長手方向)の一端部12bおよび他端部12cに設けられている。さらに、図3および図6に示すように、第2止着部材15bの左右方向の長さL2は、第1止着部材15aの左右方向の長さL1より大きくなるように設定されている。すなわち、巻き付け部材12の巻き付け方向に沿った第2止着部材15bの長さL2は、第1止着部材15aの長さL1より大きい。
【0052】
ここで、第1止着部材15aは、陰茎の巻き付け時に筒状とされた巻き付け部材12の主面を止着する(図1および図8参照)。すなわち、巻き付け部材12の主面は、面ファスナーのループ側として機能する。
【0053】
また、第2止着部材15bは、陰茎の巻き付け時に筒状とされた巻き付け部材12を、吸収パッド5の下辺部26に止着する(図1および図8参照)。すなわち、吸収パッド5の下辺部26は、面ファスナーのループ側として機能し、巻き付け部材12は、開口縁部18aに止着される。
【0054】
図7および図8は、接合部材11および巻き付け部材12によって陰茎を固定する手法を説明するための図である。開口18から採尿袋1内に挿入された陰茎は、次の手順によって開口18付近で固定される。
【0055】
まず、接合部材11の下端11c側が、折り返し線11aを中心にして矢印AR1方向に折り返される。これにより、接合部材11の上端11bと下端11cとは重なり合い、巻き付け部材12の当接面12aは、採尿袋1内に挿入された着用者の陰茎と対向する(図7参照)。
【0056】
次に、巻き付け部材12の一端部12bが矢印AR2方向に、他端部12cが矢印AR3方向に、それぞれ折り返される。そして、筒状とされた巻き付け部材12(図8参照)の直径と、が略同一となるように、陰茎に巻き付け部材12が巻き付けられて、着用者の陰茎が、開口18付近で固定される。
【0057】
このとき、巻き付け部材12の一端部12bが、筒体とされた巻き付け部材12の内周側となるように折り返され、第1止着部材15aは、巻き付け部材12の当接面12aを止着する。そのため、着用者の陰茎は、筒体とされた巻き付け部材12によって保持され、開口18付近で確実に固定される。
【0058】
また、第2止着部材15bは、筒体とされた巻き付け部材12を下辺部26側に止着する。これにより、下辺部26側の開口18は、良好に塞がれる。そのため、一旦採尿袋1内で捕集された尿が採尿袋1外に漏れることを良好に防止できる。特に、本実施の形態のように、筒体とされた巻き付け部材12が下辺部26側の広い範囲で止着される場合、採尿袋1からの尿漏れをさらに良好に防止できる。
【0059】
このように、巻き付け部材12は、採尿袋1の開口18付近で陰茎を固定することができる。そのため、尿を採尿袋1内で確実に捕集することができる。また、陰茎を固定する巻き付け部材12と、吸収パッド5とは別体とされており、吸収パッド5自体は、陰茎の固定に使用されない。これにより、巻き付け部材12におけるかさばり感が抑制され、締め付け感が少ない。そのため、着用者は、良好な着用感を得ることができる。
【0060】
特に、本実施の形態のように、巻き付け部材12の張り出し長さの小さい方(一端部12b側)を内側にして陰茎に巻き付ける場合、巻き付け時において内側でかさばる巻き付け部材12の量(長さ)を抑制できる。そのため、陰茎の巻き付け作業を、陰茎サイズによらず良好に行うことができる。また、巻き付け直し作業についても、容易に行うことができる。
【0061】
また、接合部材11が折り返されつつ、巻き付け部材12が陰茎に巻き付けられると、採尿袋1の開口18は、折り返された接合部材11によって塞がれる。そのため、一旦採尿袋1内で捕集された尿が開口を介して採尿袋1外に漏れることを防止できる。特に、本実施の形態のように、接合部材11の左右方向の幅W1が吸収パッド5の左右方向の幅W2より広く設定されている場合、採尿袋1外への漏れは、さらに良好に防止される。
【0062】
図9は、図6の巻き付け部材12をVIII−VIII’線から見た断面図である。図9に示すように、巻き付け部材12は、柔らかく弾力性に富み、肌に沿った形状に変形するポリウレタン(弾性部材)を基材14aとして使用している。そのため、巻き付け部材12は、着用者の陰茎に容易に巻き付けられる。そのため、陰茎は、開口18付近で容易に固定される。
【0063】
また、巻き付け部材12の主面のうち、少なくとも着用者の肌と当接する着用者の肌と当接する当接面12a(図7参照)は、肌触りの良い不織布によって形成されている。そのため、着用者は、良好な着用感を得ることができる。
【0064】
なお、巻き付け部材12だけでなく接合部材11も、ポリウレタンのような弾力性に富む部材を基材として使用し、着用者の肌と当接する当接面を不織布によって形成してもよい。この場合、着用者の陰茎は、開口18付近でさらに容易に固定され、着用者はさらに良好な着用感を得ることができる。
【0065】
<1.3.第1の実施の形態の採尿袋の利点>
以上のように、第1の実施の形態の採尿袋1は、採尿袋1の開口18付近で陰茎を固定することができる。そのため、尿を採尿袋1内で確実に捕集することができる。また、陰茎を固定する巻き付け部材12と、吸収パッド5と、は別体とされており、吸収パッド5自体は、陰茎の固定に使用されない。これにより、巻き付け部材12におけるかさばり感が抑制され、締め付け感が少ない。そのため、着用者は、良好な着用感を得ることができる。
【0066】
<2.第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態における採尿袋100は、第1の実施の形態と比較して、吸収パッドの構成が異なる点を除いては、第1の実施の採尿袋1と同様である。そこで、以下ではこの相違点を中心に説明する。
【0067】
なお、以下の説明において、第1の実施の形態の採尿袋1における構成要素と同様な構成要素については同一符号を付している。これら同一符号の構成要素は、第1の実施の形態において説明済みであるため、本実施の形態では説明を省略する。
【0068】
<2.1.採尿袋の全体構成>
図10は、採尿袋100を形成する吸収パッド105の平面図である。図11は、図10の吸収パッド105をVIV−VIV’線から見た断面図である。図12は、図10の吸収パッド105をVV−VV’線から見た断面図である。
【0069】
本実施の形態の採尿袋100は、平面視略矩形状の吸収パッド105(図10参照)によって形成される。すなわち、採尿袋100は、第1の実施の形態の吸収パッド5と同様に、(1)吸収パッド105の上辺部25と下辺部26とが重なるように吸収パッド105が折り曲げ端21を中心として折り返され、続いて、(2)折り曲げ端21に連なる側辺部が接合されることにより、袋体として形成される。なお、図10に示すように、吸収パッド105の各角部は、第1の実施の形態の吸収パッド105と同様に、丸みを持った弧状に形成されている。そのため、吸収パッド105の各角部が着用者の肌に引っ掛かり、着用者の肌が傷つけられるという問題は生じない。
【0070】
図10ないし図12に示すように、吸収パッド105は、主として、表面シート130と、背面シート140と、吸収体51と、を有しており、表面シート130および背面シート140の間に吸収体51が挟み込まれることによって形成される。表面シート130および背面シート140のそれぞれは、平面視略矩形状のシート材であり、少なくとも、上辺部25側および下辺部26側のシール部170で接合されている。
【0071】
ここで、表面シート130の素材としては、第1の実施の形態の表面シート30と同様に、例えば、(1)親水性繊維を用いた不織布材料、(2)疎水性繊維の表面を界面活性剤により処理し透液性とした不織布材料、あるいは、(3)開孔を有するプラスティックフィルム等、が用いられる。
【0072】
また、背面シート14の素材としては、第1の実施の形態の撥水シート42と同様に、撥水性のシート材料、あるいは液不透過性のシート材料、好ましくは、通常使い捨ておむつに用いられる撥水性不織布材料、あるいはプラスティックフィルム、が用いられる。
【0073】
また、図10に示すように、固定部材13は、吸収パッド105の上辺部25には、主として、接合部材11と、巻き付け部材12とを有する固定部材13が設けられている。吸収パッド105が袋体とされると、第1止着部材15aによって筒状とされた巻き付け部材12は、採尿袋100内に挿入された着用者の陰茎を固定する。なお、固定部材13、および第1および第2止着部材15a、15bの構成については、第1の実施の形態で説明済みであり、ここでは説明を省略する。
【0074】
<2.2.第2の実施の形態の採尿袋の利点>
以上のように、第2の実施の形態の採尿袋100は、第1の実施の形態の採尿袋1と同様に、開口18付近で陰茎を固定することができる。そのため、尿を採尿袋105内で確実に捕集することができる。また、陰茎を固定する巻き付け部材12と、吸収パッド105とは別体とされており、吸収パッド105自体は陰茎の固定に使用されない。これにより、巻き付け部材12におけるかさばり感が抑制され、締め付け感が少ない。そのため、着用者は良好な着用感を得ることができる。
【0075】
<3.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0076】
(1)第1および第2の本実施の形態では、接合部材11が非折り曲げ姿勢の場合、巻き付け部材12は表面シート30と対向する位置に固定されているものとして説明したが、巻き付け部材12の固定位置はこれに限定されるものでない。例えば、接合部材11が折り曲げ姿勢の場合において、巻き付け部材12は、2つ折りにされた接合部材11に挟まれるように固定されていてもよい。
【0077】
(2)また、第1および第2の実施の形態において、着用者の陰茎の固定に使用される接合部材11および巻き付け部材12のうちの少なくとも巻き付け部材12に、弾性を付与してもよい。例えば、図9のように構成された巻き付け部材12の場合、基材14aと不織布14bとの間に左右方向に延びるゴム体を接着する。これにより、巻き付け部材12は、巻き付け方向に伸縮可能とされ、着用者の陰茎に対してさらに容易に巻き付けられる。そのため、着用者の陰茎は、開口18付近でさらに容易に固定されることになる。
【0078】
(3)さらに、第2の実施の形態において、吸収パッド105は、表面シート130および背面シート140の間に吸収体51が挟み込まれることによって形成されるものとして説明したが、これに限定されるものでない。例えば、表面シート130と背面シート140との間には、多数の粒状ポリマー(高分子吸収体)が分散して配置されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の第1の実施の形態における採尿袋の使用態様を説明するための断面図である。
【図2】本発明の第1および第2の実施の形態における採尿袋を示す斜視図である。
【図3】第1の実施の形態における採尿袋を平面状に展開した図である。
【図4】図3の吸収パッドをVI−VI’線から見た断面図である。
【図5】図3の吸収パッドをVII−VII’線から見た断面図である。
【図6】固定部材の構成の一例を示す平面図である。
【図7】接合部材および巻き付け部材によって陰茎を固定する手法を説明するための図である。
【図8】接合部材および巻き付け部材によって陰茎を固定する手法を説明するための図である。
【図9】図6の巻き付け部をVIII−VIII’線から見た断面図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態における採尿袋を平面状に展開した図である。
【図11】図10の吸収パッドをVIV−VIV’線から見た断面図である。
【図12】図10の吸収パッドをVV−VV’線から見た断面図である。
【符号の説明】
【0080】
1 採尿袋
5 吸収パッド
11 接合部材
11a 折り返し線
11b 上端
11c 下端
12 巻き付け部材
12a 当接面
12b 一端部
12c 他端部
13 固定部材
14a 基材
14b 不織布
15a 第1止着部材
15b 第2止着部材
18 開口
21 折り曲げ端
22 左側辺部
23 右側辺部
25 上辺部
26 下辺部
30 表面シート
35 捕集空間
40 背面シート
51 吸収体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有する袋体として形成される吸収性物品であって、
前記袋体の開口縁部に沿って設けられた帯状の巻き付け部材、
を備え、
前記巻き付け部材は、前記開口から前記袋体内に挿入された陰茎に巻き付けられることにより、前記陰茎を前記開口付近で固定することを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
請求項1に記載の吸収性物品において、
前記袋体は、略矩形状の吸収パッドを2つ折りにするとともに、折り曲げ端に連なる前記吸収パッドの側辺部を接合することによって形成されており、
前記巻き付け部材は、前記吸収パッドの上辺部に設けられており、左右方向に延びる帯状体であることを特徴とする吸収性物品。
【請求項3】
請求項2に記載の吸収性物品において、
上端側が前記吸収パッドの上辺部に固定されるとともに、下端側が前記上端側に折り返し可能とされた接合部材、
をさらに備え、
前記巻き付け部材は、前記接合部材の下端側に固定されていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項4】
請求項3に記載の吸収性物品において、
前記接合部材の左右方向の幅は、前記吸収パッドの左右方向の幅より広いことを特徴とする吸収性物品。
【請求項5】
請求項2ないし請求項3のいずれかに記載の吸収性物品において、
前記吸収パッドの左右から張り出す前記巻き付け部の張り出し長さは、左右で相違することを特徴とする吸収性物品。
【請求項6】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の吸収性物品において、
前記巻き付け部材の表面のうち着用者の肌と当接する当接面は、不織布によって形成されていることを特徴とする吸収性物品。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の吸収性物品において、
前記巻き付け部材は、ポリウレタンを基材とすることを特徴とする吸収性物品。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の吸収性物品において、
前記巻き付け部材の長手方向一端部に設けられており、前記陰茎の巻き付け時に前記巻き付け部材を止着することにより、前記巻き付け部材を筒状とする第1止着部材、
をさらに備えることを特徴とする吸収性物品。
【請求項9】
請求項8に記載の吸収性物品において、
前記巻き付け部材の長手方向他端部に設けられており、前記陰茎の巻き付け時に筒状とされた前記巻き付け部材を、前記袋体の前記開口縁部に止着する第2止着部材、
をさらに備えることを特徴とする吸収性物品。
【請求項10】
請求項9に記載の吸収性物品において、
前記巻き付け部材の巻き付け方向に沿った前記第2止着部材の長さは、前記巻き付け方向に沿った前記第1止着部材の長さより大きいことを特徴とする吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−72342(P2009−72342A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−243513(P2007−243513)
【出願日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(000110044)株式会社リブドゥコーポレーション (390)
【Fターム(参考)】