説明

吸収性物品

【課題】ウエスト部のめくれを起こし難く、フィット性に優れた吸収性物品を提供すること。
【解決手段】腹側部B及び/又は背側部Aにおける吸収性物品1のウエスト部Dに、吸収性コア5が配されておらず且つコアラップシート6が配されているコアラップシート単独配置領域20が存している。コアラップシート単独配置領域20におけるコアラップシート6の幅方向両側縁部60,60が、該コアラップシート6の幅方向中央部61に比して剛性が高くなっている。両側縁部60,60は好ましくは、コアラップシート6の延出部65が吸収性コア5の幅方向内方に向けて折り返されて形成されており、且つその折り返し部66と、該折り返し部66と折り返し線Lを挟んで対向する折り返し対向部67との間が、接着剤70で接合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつ等の吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつ等の吸収性物品は、一般的に、肌当接面を形成する表面シート、非肌当接面を形成する裏面シート及び両シート間に介在された吸収体を備え、該吸収体が、液保持性の吸収性コア及び該吸収性コアを包むコアラップシートを備えている。斯かる構成の吸収性物品の改良技術に関し、例えば特許文献1及び2には、吸収本体の裏面側に配された台紙(コアラップシート)が、該吸収本体の左右両側縁から外方に向けて延出され、その延出部が内方に向けて折り返されて、該台紙の左右両側縁が吸収体の表面側の左右両側縁部上に位置するように配されており、該延出部における台紙の重ね合わせ部に、接着剤や液浸透抑制手段を設ける技術が記載されている。特許文献1及び2に記載の技術によれば、漏れ防止性に優れ且つ生産性の高い吸収性物品が得られるとされている。
【0003】
また特許文献3には、液保持性の吸収体を具備する吸収性本体と、該吸収性本体の非肌当接面側に積層された外装体とを備え、該外装体の長手方向の一方の部位における両側縁部にウエストバンド部が連接され、該外装体の長手方向の他方の部位に該ウエストバンド部の止着部が設けられている使い捨ておむつが記載されている。特許文献3に記載のおむつにおいては、吸収体がおむつの長手方向の略全長に亘って配されており、吸収体の長手方向端部が、おむつのウエスト端部に略達している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−342622号公報
【特許文献2】特開2000−342627号公報
【特許文献3】特開2004−305601号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の使い捨ておむつは、着用者の腰回りを包囲するウエスト部が、着用者の動きによって身体と反対側にめくれる(折れ曲がる)ことがあり、そのため漏れを誘発するおそれがあった。このようなウエスト部のめくれを防止する技術として、おむつの腹側部や背側部におむつの幅方向に伸縮可能な伸縮部材を配設してウエスト回りを締め付けるようにする技術が知られているが、斯かる技術をおむつに採用しても、おむつ着用中に着用者の腹部が膨れると、そのウエスト部が身体と反対側に折れ曲がって伸縮部材の伸縮機能の発現が阻害されてしまい、結局ウエスト部のめくれを十分に防止できないのが現状である。
【0006】
従って本発明の課題は、ウエスト部のめくれを起こし難く、フィット性に優れた吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、肌当接面を形成する表面シート、非肌当接面を形成する裏面シート及び両シート間に介在された吸収体を備え、実質的に縦長で腹側部、股下部、背側部を長手方向に有し、該吸収体が、液保持性の吸収性コア及び該吸収性コアを包むコアラップシートを備えた吸収性物品であって、前記腹側部及び/又は前記背側部における前記吸収性物品のウエスト部に、前記吸収性コアが配されておらず且つ前記コアラップシートが配されているコアラップシート単独配置領域が存しており、前記コアラップシート単独配置領域における前記コアラップシートの幅方向両側縁部が、該コアラップシートの幅方向中央部に比して剛性が高い吸収性物品を提供することにより、前記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ウエスト部のめくれを起こし難く、フィット性に優れた吸収性物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態である展開型の使い捨ておむつを各部の弾性部材を伸張させて平面状に拡げた状態を模式的に示す肌当接面側(表面シート側)の平面図である。
【図2】図2は、図1のI−I線断面を模式的に示す断面図である。
【図3】図3は、図1のII−II線断面を模式的に示す縦断面図である。
【図4】図4(a)、図4(b)及び図4(c)は、それぞれ、コアラップシートの剛性の測定方法の説明図である。
【図5】図5は、本発明の第2実施形態の図1相当図(肌当接面側の平面図)である。
【図6】図6は、本発明の第3実施形態の図1相当図(肌当接面側の平面図)である。
【図7】図7は、本発明の第4実施形態の図1相当図(肌当接面側の平面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態の使い捨ておむつを各部の弾性部材を伸張させて平面状に拡げた状態を模式的に示す肌当接面側の平面図、図2は、図1のI−I線断面を模式的に示す断面図、図3は、図1のII−II線断面を模式的に示す断面図である。本実施形態の使い捨ておむつ1は、図1〜図3に示すように、肌当接面を形成する液透過性の表面シート2、非肌当接面を形成する液不透過性の裏面シート3、及びこれら両シート2,3間に配置された液保持性の吸収体4を具備し、実質的に縦長に形成されている。おむつ1は、背側部A、腹側部B及びこれらの間に位置する股下部Cを長手方向に有している。背側部Aは着用者の背側に位置する部位、腹側部Bは着用者の腹側に位置する部位、股下部Cは着用者の股下に位置する部位である。股下部Cは、おむつ1の長手方向中央部に位置している。
【0011】
尚、本明細書において、肌当接面は、吸収性物品及びその構成部材における着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、非肌当接面は、吸収性物品及びその構成部材における着用時に着用者の肌側とは反対側に向けられる面である。また、長手方向は、吸収性物品又はその構成部材の長辺に沿う方向であり、幅方向は、該長手方向と直交する方向である。
【0012】
おむつ1は、股下部Cの両側縁が内向きの円弧状に湾曲しており、全体として長手方向中央部が内方に括れた砂時計状の形状となっている。表面シート2は、吸収体4(コアラップシート6で包まれた吸収性コア5)よりも外形寸法の大きい略矩形状の平面視形状を有しており、裏面シート3の幅方向中央部に配されている。裏面シート3は、おむつの外形形状に一致する砂時計状の外形を有している。表面シート2及び裏面シート3は、それぞれ吸収性コア5の長手方向両端部5a,5b及び幅方向両側縁部5c,5cから外方に延出しており、それらの延出部において直接的に又は他の部材を介在させて互いに接合されている。吸収体4は、平面視して矩形形状をしており、その長手方向をおむつ1の長手方向に一致させて該おむつ1の幅方向中央部に配されている。吸収体4(コアラップシート6)と表面シート2及び裏面シート3との間は、それぞれ、所定部位においてホットメルト接着剤等の接着剤によって接合されている。
【0013】
背側部Aの左右両側縁部には一対のファスニングテープ10,10が設けられている。より具体的には、背側部Aの両側部それぞれには、吸収体4の幅方向両側縁部から幅方向外方に延出するサイドフラップが形成されており、各サイドフラップに、ファスニングテープ10が幅方向外方に延出して取り付けられている。ファスニングテープ10には、メカニカルファスナーのフック部材が取り付けられている。また、腹側部Bの外表面(非肌当接面)上には、ファスニングテープ10止着用のランディングテープ(図示せず)が取り付けられている。該ランディングテープは、基材シート及び該基材シートに貼り合わされたループ材料から構成されている。尚、腹側部Bの両側部にも、それぞれ幅方向外方に延出するサイドフラップが形成されている。
【0014】
吸収体4は、液保持性の吸収性コア5及び該吸収性コア5を包む液透過性の2枚のコアラップシート6を備えている。吸収性コア5は、平面視して矩形形状をしており、該吸収性コア5と同形状(矩形形状)を有し且つ該吸収性コア5よりも寸法の大きい2枚のコアラップシート6の間に挟持されている。これによって、吸収性コア5の肌当接面側及び非肌当接面側の全域がコアラップシート6によって被覆されている。吸収性コア5とコアラップシート6との間は、所定の部位においてホットメルト接着剤等の接着剤により接合されていても良い。その場合、接着剤の塗布パターンは、コアラップシートから吸収性コアへ効率よく液を浸透させる観点から、接着剤を被塗布面に均一に塗布するいわゆるベタ塗りではなく、例えばスパイラルパターンのような、接着剤の塗布部と非塗布部とが被塗布面に分散配置されるような塗布パターンが好ましい。
【0015】
第1実施形態においては、背側部A及び腹側部Bにおけるウエスト部Dに、吸収性コア5が配されておらず且つコアラップシート6が配されているコアラップシート単独配置領域20が存している。コアラップシート単独配置領域20は、背側部A及び腹側部Bそれぞれのウエスト部Dの幅方向中央部に存している。より具体的には、吸収性コア5は、股下部Cの幅方向中央部をおむつ1の長手方向に縦断し且つ背側部A及び腹側部Bそれぞれに向けて延出するように配されており、その長手方向両端部5a,5bは、おむつ1のウエスト両端部1a,1bに達しておらず、該ウエスト両端部1a,1bよりもおむつ1の長手方向内方に位置している。また、吸収性コア5を包んでいる2枚のコアラップシート6は、吸収性コア5の長手方向両端部5a,5bから長手方向外方に向けて延出し、おむつ1のウエスト両端部1a,1bに達している。こうして、背側部A及び腹側部Bにおけるウエスト部Dの幅方向中央部に、吸収体4と略同幅のコアラップシート単独配置領域20が形成されている。尚、ウエスト部Dは、背側部A及び腹側部Bそれぞれにおけるおむつ1のウエスト端部(長手方向端部)1a,1bから該おむつ1の長手方向内方に該おむつ1の長手方向の全長のおよそ5%の長さの領域である。
【0016】
そして、第1実施形態においては、ウエスト部Dのコアラップシート単独配置領域20におけるコアラップシート6の幅方向両側縁部60,60が、該コアラップシート6の幅方向中央部61に比して剛性が高くなっている。より具体的には、コアラップシート6は、その幅方向中央部に吸収性コア5を重ねたときに、該吸収性コア5の幅方向両側縁部5c,5cから幅方向外方に向けて延出する延出部65を、該コアラップシート6のおむつ長手方向の全長に亘って有しており、ウエスト部Dにおけるコアラップシート6の幅方向両側縁部60,60(即ちウエスト部Dに配されているコアラップシート6において相対的に剛性が高くなっている部位)は、図3に示すように延出部65が幅方向内方に向けて折り返されて形成されている。即ち、ウエスト部Dにおけるコアラップシート6の側縁部60は、該コアラップシート6を折り重ねて形成されているため、折り重ねられていない該コアラップシート6の中央部61に比して、剛性が高くなっている。延出部65は、おむつ長手方向に沿って延びる折り返し線Lにおいて、肌当接面側に折り返されており、吸収性コア5の存在域(股下部C)においては、図2に示すように、折り返された延出部65のおむつ長手方向に沿った側縁部が、吸収性コア5の側縁部5c上に位置している。
【0017】
このように、ウエスト部Dに配されているコアラップシート6の幅方向両側縁部60,60が、該コアラップシート6の幅方向中央部61に比して剛性が高くなっていることにより、おむつ1を着用したときに、該両側縁部60,60が、ウエスト部Dにおいて着用者の腰回りと直交する方向に伸びる高剛性の支柱として機能するため、該ウエスト部Dが身体と反対側にめくれる不都合が効果的に防止され、延いては漏れが防止される。また、両側縁部60,60間に挟まれているコアラップシート6の幅方向中央部61は、該両側縁部60,60のように剛性が高められていないため、該中央部61が配されている、ウエスト部Dの幅方向中央部は、斯かる部位が本来有している柔軟性が実質的に損なわれておらず、そのためウエスト部Dを肌に当ててもごわごわ感が少なく、良好なフィット性を得ることができる。
【0018】
ウエスト部Dのコアラップシート単独配置領域20におけるコアラップシート6の幅方向両側縁部60,60の剛性は、それぞれ、好ましくは10〜100cN、更に好ましくは20〜80cNである。また、両側縁部60,60間に挟まれているコアラップシート6の幅方向中央部61の剛性は、好ましくは5〜80cN、更に好ましくは10〜50cNである。また、両者の剛性の比(側縁部60/中央部61)は、好ましくは1.25〜2.0、更に好ましくは1.6〜2.0である。コアラップシートの剛性は次のようにして測定される。図4は、コアラップシートの剛性の測定方法の説明図であり、図4(a)は、測定に使用するテンシロン圧縮試験機に測定サンプルをセットした状態の正面図、図4(b)は、同状態の側面図、図4(c)は、測定サンプルを圧縮している状態の図4(b)相当図である。
【0019】
<コアラップシートの剛性の測定方法>
吸収性物品の所定部位に配置されているコアラップシートから、該吸収性物品(吸収体)の長手方向に50mm、該長手方向と直交する幅方向に15mmの矩形形状を切り出し、この切り出し片を測定サンプルとする。尚、測定サンプルの吸収性物品長手方向の長さは最低15mmあれば良く、また、測定サンプルの吸収性物品幅方向の長さが15mmに満たない場合は、該測定サンプルの剛性の測定値を15mm幅に換算する。例えば、ウエスト部Dのコアラップシート単独配置領域20におけるコアラップシート6の幅方向側縁部60の剛性を測定する場合において、その幅方向の長さW2(図1参照)が15mmより小さい場合は、該長さW2が極力大きくなるように測定サンプルを採取し、その剛性の測定値を15mm換算する。即ち、例えば、採取した測定サンプルの吸収性物品幅方向の長さW2が10mmであった場合、該測定サンプルの剛性を下記手順で測定し、その測定値を15/10倍した値を、該測定サンプルの剛性とする。こうして用意した測定サンプル(図4中符号Sで示す)を、図4(a)及び(b)に示すように、テンシロン圧縮試験機(株式会社テイ・エス・エンジニアリング製、OLIENTEC TENSILON「RTC−1150A」)のチャック90,91間にセットする。チャック90,91それぞれは、図4(b)に示すように、2枚の相対向する板状具を含んで構成されている。上方に位置するチャック90を構成する2枚の板状具間には、幅方向の長さT1が30mm、厚みが2mmのステンレス製の押し板92が挟持固定されている。一方、下方に位置するチャック91を構成する2枚の板状具は、所定距離T2を置いて対向配置されている。距離T2は10mmとする。チャック91を構成する両板状具の上端に、測定サンプルSを、該測定サンプルSの吸収性物品幅方向(長さW2の方向)を押し板92の幅方向(長さT1の方向)に一致させて載置する。このとき、押し板92の下端から測定サンプルSに向けて鉛直方向と平行な仮想直線を引いたときに、該仮想直線がチャック91上の測定サンプルSの吸収性物品長手方向の略中央部を通過するように、測定サンプルSを載置する。そして、図4(c)に示すように、チャック90を測定サンプルSに向けて速度100mm/分で下降させることにより押し板92で測定サンプルSを圧縮し、その圧縮過程における最大点荷重を、測定サンプルSの剛性とする。斯かる測定を5回行い(n=5)、それらの平均値をコアラップシートの当該部位の剛性とする。
【0020】
第1実施形態においては、図3に示すように、ウエスト部Dのコアラップシート単独配置領域20における延出部65の折り返し部66と、該折り返し部66と折り返し線Lを挟んで対向する折り返し対向部67との間が、接合処理されて接合されている。ここで、接合処理としては、例えば、接着剤の塗布;ヒートシール、超音波シール等のシール処理等が挙げられる。第1実施形態では、前記接合処理として、接着剤の塗布が採用されており、折り返し部66と折り返し対向部67との間は接着剤70で接合されている。このように、ウエスト部Dに配されているコアラップシート6の幅方向両側縁部60,60が接合処理されて(接着剤70を含んで)構成されていることにより、両側縁部60,60の剛性が更に高まり、これにより上述したウエスト部Dのめくれ防止効果が更に高まる。
【0021】
このような、接合処理による剛性の向上効果を確実に奏させるようにする観点から、接合処理は、ウエスト部Dのコアラップシート単独配置領域20における折り返し部66の全域に亘って施されることが好ましい。例えば接合処理として第1実施形態のように接着剤70を用いる場合、接着剤70は、ウエスト部Dのコアラップシート単独配置領域20における折り返し部66の全域に均一に塗布(いわゆるベタ塗り)されることが好ましい。接着剤70の塗布量は、好ましくは5〜30g/m2、更に好ましくは10〜20g/m2である。
【0022】
一方、図2に示すように、股下部Cにおけるコアラップシート6の延出部65は、該延出部65を他の部分と接合させる前記接合処理が施されていない。即ち、股下部Cにおける延出部65の折り返し部66と、該折り返し部66と折り返し線Lを挟んで対向する折り返し対向部67との間は、接合されていない。このように、股下部Cに配されているコアラップシート6の幅方向両側縁部60,60が接合処理されていない(接着剤を含んでいない)ことにより、斯かる部位が本来有している柔軟性が損なわれず、股下部において良好なフィット性、着用感が得られる。第1実施形態においては、股下部Cのみならず、背側部A及び腹側部Bにおけるウエスト部D以外の領域においても、コアラップシート6の延出部65には接着剤が塗布されていない。
【0023】
ウエスト部Dにおけるコアラップシート単独配置領域20の幅方向の長さW1(図1参照)と、おむつ1のウエスト端部1a(1b)の幅方向の全長Wとの比(W1/W)は、好ましくは0.2〜0.8、更に好ましくは0.25〜0.5である。また、コアラップシート単独配置領域20におけるコアラップシート6の幅方向両側縁部60〔折り返し部66と折り返し対向部67とが重ね合わされている部分(接着剤70が塗布されている部分)〕の幅方向の長さW2(図1参照)と、ウエスト端部1a(1b)の幅方向の全長Wとの比(W2/W)は、好ましくは0.01〜0.05、更に好ましくは0.015〜0.035である。また、側縁部60の幅方向の長さW2は、好ましくは3〜15mm、更に好ましくは5〜10mmである。また、側縁部60の長手方向の長さW3は、好ましくは15〜100mm、更に好ましくは15〜50mmである。
【0024】
おむつ1における各部の形成材料について説明すると、表面シート2及び裏面シート3としては、当該技術分野において従来用いられている各種のものを用いることができる。表面シート2としては、不織布や開孔フィルム等の各種液透過性のシート材を用いることができる。裏面シート3としては、透湿性を有しない樹脂フィルムや、微細孔を有し、透湿性を有する樹脂フィルム、撥水不織布等の不織布、これらと他のシートとのラミネート体等を用いることができる。また、吸収体4を構成する吸収性コア5としては、当該技術分野において吸収体として用いられるものを特に制限無く用いることができ、例えば、木材パルプ等の親水性繊維からなる繊維集合体、該繊維集合体に粒子状の吸水性樹脂を保持させたもの等を用いることができる。
【0025】
また、コアラップシート6としては、例えば、紙、不織布、開孔フィルム等の液透過性のシートを用いることができる。これらの中でも特に紙は、剛性が比較的高いため、上述した本発明に係るウエスト部のめくれ防止技術と組み合わせることで、ウエスト部のめくれをより効果的に防止できる。また、コアラップシート6の坪量は、剛性を維持しながら尿等の液透過性を阻害しないようにする観点から、好ましくは5〜30g/m2、更に好ましくは10〜20g/m2である。
【0026】
また、ウエスト部Dにおいてコアラップシート6の延出部65の折り返し部66と折り返し対向部67との間を接合する接着剤70としては、例えばゴム系やオレフィン系等のホットメルト接着剤等を用いることができる。
【0027】
第1実施形態のおむつ1は、この種の展開型の使い捨ておむつと同様に使用することができる。第1実施形態の使い捨ておむつ1によれば、ウエスト部Dのコアラップシート単独配置領域20におけるコアラップシート6の幅方向両側縁部60,60が、該コアラップシート6における吸収性コア5の幅方向両側縁部5c,5cからの延出部65を、該吸収性コア5の幅方向内方に向けて折り返して形成し且つその折り返し部66と折り返し対向部67との間を接着剤70で接合することにより形成されており、該コアラップシート6の幅方向中央部61に比して剛性が高くなっているため、着用時にウエスト部Dが身体と反対側にめくれることを効果的に防止することができる。また、ウエスト部Dの幅方向中央部に位置しているコアラップシート6の幅方向中央部61は、側縁部60のように剛性が意図的に高められておらず、柔軟性が損なわれていないため、ウエスト部D全体としては、ごわごわ感が少なく、身体に対するフィット性に優れている。
【0028】
特に、第1実施形態のおむつ1は、背側部A及び腹側部Bのウエスト部Dに、おむつ1の幅方向に伸縮可能な伸縮部材(いわゆるウエスト弾性部材)が配されていないため、このようなウエスト弾性部材が配されているおむつに比して、本質的にウエスト部Dのめくれが発生し易いものであるところ、上述した剛性の不均一構造を有するコアラップシート単独配置領域20の採用により、このようなウエスト部のめくれに関する不利な点を充分にカバーすることができる。即ち、「ウエスト部のコアラップシート単独配置領域におけるコアラップシートの幅方向両側縁部が、該コアラップシートの幅方向中央部に比して剛性が高い」という構成は、特に、ウエスト部に弾性部材が配されていない吸収性物品に有効であると言える。
【0029】
また、第1実施形態のおむつ1は、股下部Cにおけるコアラップシート6の延出部65に、接着剤の塗布等の接合処理が施されておらず、股下部Cにおける吸収体4の幅方向両側縁部4c,4cが硬すぎずにある程度の柔軟性を有しているため、股下部Cが着用者の身体に追従し、これにより股下部において良好なフィット性が得られる。
【0030】
次に、本発明の吸収性物品の他の実施形態について図面を参照して説明する。後述する吸収性物品の他の実施形態については、上述した第1実施形態のおむつ1と異なる構成部分を主として説明し、同様の構成部分は同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない構成部分は、第1実施形態のおむつ1についての説明が適宜適用される。
【0031】
図5は、本発明の第2実施形態である使い捨ておむつの図1相当図(肌当接面側の平面図)である。第2実施形態のおむつ1においては、背側部Aに、おむつ1の幅方向の全長に亘って吸収性コア5及びコアラップシート6が配されていない吸収体材料非配置領域30が存しており、該吸収体材料非配置領域30を挟んでおむつ1の長手方向外方にコアラップシート単独配置領域20が存し、おむつ1の長手方向内方に吸収体4(コアラップシート6で包まれた吸収性コア5)が存している。
【0032】
そして、吸収体材料非配置領域30には、吸収体4の肌当接面側を被覆しているシート(第2実施形態では表面シート2)と該吸収体4の非肌当接面側を被覆しているシート(第2実施形態では裏面シート3)とが延出しており、該領域30において両シート間が、接合処理されて接合されている。即ち、表面シート2及び裏面シート3は、領域30において接着剤(図示せず)によって接合され一体化されている。斯かる構成の吸収体材料非配置領域30が背側部Aに存していることにより、背側部Aにおける尿漏れ、あるいは吸収性コア5に含有されている吸水性樹脂等が該コア5における背側部A側の長手方向端部5aから脱落することが効果的に防止される。ここでいう尿漏れは、吸収体(吸収性コア)に一旦吸収された尿等の体液が、おむつ着用時の体圧等により、該吸収体の端部から滲み出すことをいう。
【0033】
吸収体材料非配置領域30におけるシート間の接合処理(接着剤の塗布等)は、上述した効果を確実に奏させるようにする観点から、少なくとも、吸収性コア5を包んでいるコアラップシート6の全幅に亘って施されることが好ましい。
【0034】
また同様の観点から、前記接合処理は、被処理部の全域に亘って施されることが好ましい。即ち、例えば接合処理として第2実施形態のように接着剤を用いる場合、該接着剤の塗布パターンは、例えばスパイラルパターンのような、接着剤の塗布部と非塗布部とが被処理部に分散配置されるような塗布パターンではなく、接着剤を被処理部に均一に塗布するいわゆるベタ塗りが好ましい。前記接着剤の塗布量は、好ましくは1〜20g/m2、更に好ましくは3〜10g/m2である。前記接着剤としては、上述した接着剤70と同様のものを用いることができる。
【0035】
吸収体材料非配置領域30のおむつ長手方向の長さW4は、好ましくは5〜50mm、更に好ましくは10〜30mmである。第2実施形態によっても第1実施形態と同様の効果が奏され、更に、上述した背側部Aにおける尿漏れ防止効果及び吸水性樹脂の脱落効果が奏される。
【0036】
図6は、本発明の第3実施形態である使い捨ておむつの図1相当図(肌当接面側の平面図)である。第3実施形態のおむつ1は、吸収体材料非配置領域30が背側部Aではなく腹側部Bに存している点で、第2実施形態と異なる。腹側部Bあるいはその近傍には通常、排泄された尿を直接受ける排尿ポイントが存しているため、腹側部Bに、尿漏れ防止効果に優れる吸収体材料非配置領域30が存していることは、尿漏れ防止に非常に有効である。
【0037】
図7は、本発明の第4実施形態である使い捨ておむつの図1相当図(肌当接面側の平面図)である。第4実施形態のおむつ1は、背側部Aに、上述した剛性の不均一構造を有するコアラップシート単独配置領域20が存していない点で、第1実施形態と異なる。背側部Aにおけるウエスト部Dは、吸収体材料非配置領域30となっている。本発明の主たる技術課題であるウエスト部のめくれは、特に、おむつ着用者が上体を前に倒したときなどに起こり易く、腹側部Bにおいて顕著であるため、第4実施形態のおむつ1によれば、腹側部Bにおけるウエスト部のめくれを効果的に防止できる。
【0038】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば、前記実施形態においては、コアラップシート6の延出部65は、肌当接面側に折り返されていたが、非肌当接面側に折り返されていても良い。また、前記実施形態においては、背側部A及び腹側部Bの両方又は腹側部Bのみに、上述した剛性の不均一構造を有するコアラップシート単独配置領域20が存していたが、背側部Aのみに前記コアラップシート単独配置領域20が存していても良い。但し、本発明の主たる技術課題であるウエスト部のめくれは、特に、おむつ着用者が上体を前に倒したときなどに起こり易く、腹側部Bにおいて顕著であるため、前記コアラップシート単独配置領域20は、第4実施形態のように、少なくとも腹側部Bのウエスト部Dに存していることが好ましい。
【0039】
また、前記実施形態においては、2枚のコアラップシートによって吸収性コアを包んでいたが、1枚のコアラップシートによって吸収性コアを包んでも良い。例えば、コアラップシートとして、吸収性コアの幅の2倍以上3倍以下の幅を有する液透過性の1枚のシートを用い、該シートの幅方向中央部に該吸収性コアを載置し、該シートの幅方向両側部を該吸収性コアの上面側に折り返し、該シートの幅方向両側縁部同士を接合して筒状に形成して、該吸収性コアを包んでも良い。
【0040】
また、前記実施形態のおむつ1は、長手方向の左右両側に、肌当接面(表面シート2)の上方に起立可能な立体ギャザーを備えていても良く、また、股下部Cの両側縁部に沿って弾性部材が伸長状態で配されてレッグギャザーが形成されていても良い。また、前記実施形態では、背側部A及び腹側部Bのウエスト部Dに、おむつ1の幅方向に伸縮可能な伸縮部材(いわゆるウエスト弾性部材)が配されていなかったが、背側部A及び/又は腹側部Bのウエスト部Dに該ウエスト弾性部材が配されていても良い。
【0041】
例えば、前記実施形態では、本発明の吸収性物品の適用例の一つとしていわゆる展開型の使い捨ておむつを挙げたが、予めパンツ型に成形されたパンツ型の使い捨ておむつの他、失禁パッド、生理用ナプキン、パンティライナー(おりものシート)にも適用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 使い捨ておむつ(吸収性物品)
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
5 吸収性コア
6 コアラップシート
10 立体ギャザー
20 コアラップシート単独配置領域
30 吸収体材料非配置領域
60 コアラップシートの幅方向側縁部
61 コアラップシートの幅方向中央部
65 コアラップシートの延出部
66 延出部の折り返し部
67 折り返し対向部
70 接着剤
A 背側部
B 腹側部
C 股下部
D ウエスト部
L 延出部(コアラップシート)の折り返し線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肌当接面を形成する表面シート、非肌当接面を形成する裏面シート及び両シート間に介在された吸収体を備え、実質的に縦長で腹側部、股下部、背側部を長手方向に有し、該吸収体が、液保持性の吸収性コア及び該吸収性コアを包むコアラップシートを備えた吸収性物品であって、
前記腹側部及び/又は前記背側部における前記吸収性物品のウエスト部に、前記吸収性コアが配されておらず且つ前記コアラップシートが配されているコアラップシート単独配置領域が存しており、
前記コアラップシート単独配置領域における前記コアラップシートの幅方向両側縁部が、該コアラップシートの幅方向中央部に比して剛性が高い吸収性物品。
【請求項2】
前記コアラップシートは、その幅方向中央部に前記吸収性コアを重ねたときに該吸収性コアの幅方向両側縁部から幅方向外方に向けて延出する延出部を有しており、
前記ウエスト部の前記コアラップシート単独配置領域における前記コアラップシートの幅方向両側縁部は、前記延出部が幅方向内方に向けて折り返されて形成されている請求項1記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記ウエスト部の前記コアラップシート単独配置領域における前記延出部の折り返し部と、該折り返し部と折り返し線を挟んで対向する折り返し対向部との間が、接合処理されて接合されている請求項2記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記股下部における前記コアラップシートの前記延出部は、該延出部を他の部分と接合させる接合処理が施されていない請求項2又は3記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記腹側部又は前記背側部に、前記吸収性物品の幅方向の全長に亘って前記吸収性コア及び前記コアラップシートが配されていない吸収体材料非配置領域が存しており、
前記吸収体材料非配置領域を挟んで前記吸収性物品の長手方向外方に、前記コアラップシート単独配置領域が存し、該吸収性物品の長手方向内方に前記吸収体が存しており、
前記吸収体材料非配置領域に、前記吸収体の肌当接面側を被覆しているシートと該吸収体の非肌当接面側を被覆しているシートとが延出しており、該吸収体材料非配置領域において両シート間が、接合処理されて接合されている請求項1〜4の何れかに記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記ウエスト部に、前記吸収性物品の幅方向に伸縮可能な伸縮部材が配されていない請求項1〜5の何れかに記載の吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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