説明

吸収性物品

【課題】体液の量が多いことに起因する漏れを十分に防止することができながら、スキントラブルを軽減することができる吸収性物品とする。
【解決手段】排液部分C2と、この後側に位置する臀部部分B2とを有し、液透過性表面シート22、液不透過性裏面側シート21、並びにこれらの間に介在された吸収体23が、排液部分C2から臀部部分B2にかけて備えられた吸収性物品であって、吸収体23は、排液部分23Cと臀部部分23Bとの境界部に、当該吸収体23が前後方向に連続しない不連続部30を有し、臀部部分B2の吸収体23Bの裏面側に、排液部分C2側が開口する袋体40が備えられ、この袋体40の開口と不連続部30とが連通する構成とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつ、補助パッド等の吸収性物品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
尿などの体液を吸収する吸収性物品としては、パンツ型おむつ、テープ型おむつ等の使い捨ておむつや、尿採りパッド等の吸収パッドなどが知られており、体液の漏れ防止やスキントラブルの軽減などを課題として日々改良が重ねられている。
体液の漏れ防止を課題とする吸収性物品としては、例えば、紙おむつ本体部の前見頃の肌に接する面に陰茎挿入用の袋体を設けた形態が存在する(特許文献1)。この形態によると、袋体内に体液が保持されるため、体液の量が多いことに起因する漏れを防止することができる。
しかしながら、この形態は、陰茎を袋体内に納めるものであるため、スキントラブルの問題を十分に解決することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007‐97645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする主たる課題は、体液の量が多いことに起因する漏れを十分に防止することができながら、スキントラブルを軽減することができる吸収性物品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題を解決した本発明は、次の通りである。
〔請求項1記載の発明〕
排液部分と、この排液部分の後側に位置する臀部部分と、を有し、
液透過性表面シート、液不透過性裏面側シート、並びにこれら表面シート及び裏面側シートの間に介在された吸収体が、少なくとも前記排液部分から前記臀部部分にかけて備えられた吸収性物品であって、
前記吸収体は、前記排液部分と前記臀部部分との境界部に、当該吸収体が前後方向に連続しない不連続部を有し、
前記臀部部分の吸収体の裏面側に、排液部分側が開口する袋体が備えられ、
この袋体の開口と前記不連続部とが連通する構成とされている、
ことを特徴とする吸収性物品。
【0006】
(作用効果)
吸収体の排液部分と臀部部分との境界部に当該吸収体が前後方向に連続しない不連続部を有すると、排液部分において排出された体液の少なくとも一部は、臀部部分へ拡散する前に、不連続部を通して裏面側へ移動する。したがって、臀部部分の吸収体の裏面側に排液部分側が開口する袋体が備えられ、この袋体の開口と前記不連続部とが連通する構成とされていると、裏面側へ移動した体液が袋体内に保持される。結果、体液の量が多いことに起因する漏れが防止される。
また、臀部部分にかかる体圧は相対的に小さいため、袋体内に保持された体液が逆戻りするおそれは少なく、スキントラブルが軽減される。
【0007】
〔請求項2記載の発明〕
一端部が前記表面シートと繋がり、前記不連続部を通り抜け、他端部が前記袋体内に至る体液の誘導シートが備えられている、
請求項1記載の吸収性物品。
【0008】
(作用効果)
一端部が表面シートと繋がり、不連続部を通り抜け、他端部が袋体内に至る体液の誘導シートが備えられていると、臀部部分へ拡散する前に、不連続部を通して裏面側へ移動する体液の量が増える。したがって、上記作用効果がより確実に奏せられる。
【0009】
〔請求項3記載の発明〕
前記吸収体の両側部に沿って起立ギャザーが備えられ、かつ、
前記誘導シートとして、一端部が前記臀部部分の表面シートに固定され、前記不連続部を通り抜け、他端部が前記袋体内に至ることにより、前記臀部部分の吸収体の少なくとも排液部分側端部を挟み込んだ状態とされた臀部側誘導シートが備えられ、
この臀部側誘導シートの前記一端部が前記起立ギャザーの起立部に固定されている、
請求項2記載の吸収性物品。
【0010】
(作用効果)
吸収体の両側部に沿って起立ギャザーが備えられ、かつ、前記誘導シートとして、一端部が臀部部分の表面シートに固定され、前記不連続部を通り抜け、他端部が前記袋体内に至ることにより、前記臀部部分の吸収体の少なくとも排液部分側端部を挟み込んだ状態とされた臀部側誘導シートが備えられ、この臀部側誘導シートの前記一端部が前記起立ギャザーの起立部に固定されていると、起立ギャザーが起立するのにともなって、臀部部分の吸収体の臀部側誘導シートに挟み込まれた部分が肌面側(表面側)に浮き上がる。結果、臀部部分の吸収体が排液部分の吸収体に対して表面側にずれた(移動した)状態となり、前記不連続部が開口を形成するため、体液が袋体内へ移動し易くなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、体液の量が多いことに起因する漏れを十分に防止することができながら、スキントラブルを軽減することができる吸収性物品となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】展開状態の吸収パッドの表面(肌面)側を示す平面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】図1のIV−IV線断面図である。
【図5】排液部分側の吸収体と臀部部分側の吸収体との位置関係を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の形態例について添付図面を参照しながら詳説する。
なお、本発明の用語のうち「排液部分」及び「臀部部分」とは、本物品における相対的な位置関係を示すための用語であり、「排液部分」が装着時に尿等の体液が排出される側の部分を、「臀部部分」が排液部分の前後方向後側(背側)に位置する部分を、それぞれ意味する。したがって、物品によって排液部分及び臀部部分の前後方向の長さや、両者の長さ比は異なることになる。ただし、吸収体の「不連続部」の存在を必須とする本物品においては、この不連続部の前後方向前側(腹側)が排液部分、前後方向後側(背側)が臀部部分と定義される。
【0014】
以下では、吸収性物品が尿採りパッド等の吸収パッドである場合を例に説明するが、本発明に係る吸収性物品を吸収パッドに限定する趣旨ではなく、例えば、パンツ型おむつ、テープ型おむつ等の使い捨ておむつにも適用することもできる。
【0015】
図1〜図4は、本形態に係る吸収パッド200を示している。この吸収パッド200は、装着時に尿等の体液が排出される排液部分C2と、この排液部分C2の後側(背側)に延在する臀部部分B2とを有する。
【0016】
吸収パッド200の各部の寸法は適宜定めることができ、例えば、物品全長(前後方向の長さ)Mは350〜700mm、全幅W1は130〜400mmとすることができる。そして、この場合における排液部分C2の前後方向の長さは50〜350mm、臀部部分B2の前後方向の長さは350〜650mmとすることができる。
【0017】
吸収パッド200は、液透過性表面シート22、液不透過性裏面側シート21、並びにこれら表面シート22及び裏面側シート21の間に介在された吸収体23が、排液部分C2から臀部部分B2にかけて備えられた基本構造を有している。また、裏面側シート21の裏面(外面)には外装シート25が積層されている。
【0018】
裏面側シート21としては、例えば、ポリエチレンフィルム等のほか、ムレ防止の点から遮水性を損なわずに透湿性を備えたシートも用いることができる。この遮水性・透湿性を有するシートとしては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成し、このシートを一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性シートを用いることができる。
【0019】
外装シート25は、裏面側シート21の両側縁より外方へはみ出している。この外装シート25としては、各種の不織布を用いることができる。この不織布を構成する素材繊維としては、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維のほか、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができる。
【0020】
本形態において、表面シート22は、吸収体23よりも幅狭とされ、吸収体23の両側部が表面シート22の両側縁から外方へはみ出した構造とされているが、吸収体23の両側部がはみ出さないように表面シート22の幅を広げることもできる。
【0021】
表面シート22としては、有孔又は無孔の不織布や穴あきプラスチックシート等を用いることができる。この表面シート22に用いる不織布を構成する素材繊維としては、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維のほか、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができる。
【0022】
表面シート22と吸収体23との間には、図示はしないが、例えば、メッシュフィルム等からなる中間シートを介在させることができる。この中間シートは、吸収体23が吸収した体液の逆戻りを防止するに有用であり、したがって、保水性が低くかつ透液性の高い素材であるメッシュフィルムを用いるのが好ましい。
【0023】
表面シート22の前端を0%とし表面シート22の後端を100%としたとき、中間シートの前端は0〜11%の範囲に位置しているのが好ましく、中間シートの後端は92〜100%の範囲に位置しているのが好ましい。また、中間シートの幅は、吸収体23の幅の50〜90%であるのが好ましい。
【0024】
吸収パッド200の前後方向両端部においては、外装シート25、裏面側シート21及び表面シート22の吸収体23の前後方向両端縁よりも前方又は後方に延在する部分が貼り合わされて、吸収体23の存在しないエンドフラップ部EFが形成されている。
【0025】
また、吸収パッド200の幅方向両側端部においては、外装シート25が吸収体23の両側縁よりも両側方へ延在しており、この延在部から表面シート22の側部までの部分の表面(肌面)上に、起立ギャザーを構成するバリヤシート24の幅方向外側の部分24xが前後方向全体にわたって貼り付けられ、もって吸収体23の存在しないサイドフラップ部SFが形成されている。
【0026】
これらエンドフラップ部EF及びサイドフラップ部SFの貼り合わせは、例えば、ホットメルト接着剤、ヒートシール、超音波シール等によって行うことができる。また、エンドフラップ部EF及びサイドフラップ部SFは、吸収パッド200の周縁部を構成し、この周縁部によって囲まれる部分が吸収パッド200の本体部を構成している。
【0027】
なお、外装シート25を設けない場合は、当該外装シート25に代えて裏面側シート21をより幅広にし、サイドフラップ部SFの外面側を構成させることができる。
【0028】
バリヤシート24としては、例えば、プラスチックシートやメルトブローン不織布を用いることができるが、肌への感触性の点で、不織布にシリコーン剤等による撥水処理を施した撥水性加工不織布を用いるのが好ましい。
【0029】
バリヤシート24の幅方向中央側の部分24cは、表面シート22上に延在しており、幅方向中央側の端部には、特に図示例では折返し部分内側には、細長状の弾性部材24Gが前後方向に沿って伸張状態でホットメルト接着剤等によって固定されている。
【0030】
この細長状の弾性部材24Gとしては、例えば、糸状、紐状、帯状等の形状とされた、スチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコーン、ポリエステル等の通常用いられる素材を用いることができる。
【0031】
また、バリヤシート24は、幅方向外側の部分24xが前後方向全体にわたって物品内面に、図示例では表面シート22や外装シート25等の表面に貼り合わされて固定されている。他方、バリヤシート24の幅方向中央側の部分24cは、前後方向両端部では物品表面に、図示例では表面シート22の表面に貼り合わされて固定され、前後方向両端部間では物品表面、図示例では表面シート22の表面に固定されていない。この非固定部分は、図3に示すように、物品の表面から、図示例では表面シート22の表面(肌面)から起立する起立ギャザーの起立部(バリヤ)となる部分であり、この起立部の起立基端はバリヤシート24における幅方向外側の固定部分24xと幅方向内側の非固定部分24cとの境界に位置する。
【0032】
吸収体23としては、例えば、パルプ繊維の積繊体、セルロースアセテート等のフィラメントの集合体、不織布等を基本とし、必要に応じて粒子状等の吸収性ポリマーを混合、固着等してなるものを用いることができる。また、吸収体23の形状は、図示例では、相対的に臀部部分B2側が排液部分C2側よりも幅広な帯状とされているが、この他にも、例えば、長方形状、台形状、砂時計状等の適宜の形状とすることができる。
【0033】
図示例のように、吸収体23を臀部部分B2側が排液部分C2側よりも幅広な帯状とする場合、この幅広部分の幅を幅狭部分の幅の100〜180%とすることができる。また、物品前端を0%とし物品後端を100%とした場合において、幅狭部分の後端は40〜65%の範囲に位置しているのが好ましい。
【0034】
吸収体23は、例えば、形状保持を図るために、あるいは吸収性ポリマー粒子の散逸を防止するために、クレープ紙や不織布等で形成されたコアラップ26によって覆うことができる。吸収体23は、コアラップ26によって包み込むこともできるが、図示例のように、両サイドが切断された状態とすることもできる。
【0035】
コアラップ26として用いる不織布としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンや、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン(登録商標)等のポリアミドなどの熱可塑性ポリマーからなる繊維を構成繊維とするものを例示することができる。これらの構成繊維は、例えば、芯鞘型、サイドバイサイド型等の複合型とすることもできる。
【0036】
本形態の吸収体23は、排液部分C2(排液部分C2に位置する吸収体23を符号23Cで示す。)と臀部部分B2(臀部部分B2に位置する吸収体23を符号23Bで示す。)との境界部に、当該吸収体23が前後方向に連続しない不連続部30を有する。この不連続部30は、吸収体23の幅方向全長にわって設けられていても、図示例のように、吸収体23の幅方向中央部のみに設けられていてもよい。なお、表面シート22は、図示例のように吸収体23とともに不連続として排液部分C2側の表面シート22Cと臀部部分B2側の表面シート22Bとに分離されたものとしても、分離されていないものとしてもよい。
【0037】
不連続部30の形成方法は特に限定されず、例えば、吸収体23を幅方向全長にわたって、あるいは幅方向中央部において切断することによって形成することができる。ただし、不連続部30が吸収体23の幅方向全長にわって設けられる形態とする場合は、吸収体23として排液部分C2に配置する吸収体と臀部部分B2に配置する吸収体との2つを用意し、これら2つの吸収体を前後方向に並べて形成することも考えられる。
【0038】
また、排液部分C2側の吸収体23Cと臀部部分B2側の吸収体23Bとは、図5の(a)に例示するように当接していても、図5の(b)に例示するように離間していてもよい。排液部分C2側の吸収体23Cと臀部部分B2側の吸収体23Bとが当接している場合(前者の場合)は、不連続部30が平面視(吸収体23を貫く方向に視た場合)でライン状(線状)になり、排液部分C2側の吸収体23Cと臀部部分B2側の吸収体23Bとが離間している場合(後者の場合)は、不連続部30が平面視で開口状になる。
【0039】
臀部部分B2の吸収体23Bの裏面側には、図示例では、コアラップ26と裏面側シート21との間には、排液部分C2側が開口する袋体40が備えられ、この袋体40の開口と不連続部30とが連通する構成とされている。排液部分C2側の吸収体23Cと臀部部分B2側の吸収体23Bとの境界部に吸収体23が前後方向に連続しない不連続部30が設けられていると、排液部分C2において排出された体液の少なくとも一部が、臀部部分B2側の吸収体23Bへ拡散する前に、不連続部30を通して臀部部分B2側の吸収体23Bの裏面側へ移動する。したがって、臀部部分B2側の吸収体23Bの裏面側に排液部分C2側が開口する袋体40が備えられ、この袋体40の開口と不連続部30とが連通する構成とされていると、裏面側へ移動した体液が袋体40内に保持される。結果、体液の量が多いことに起因する漏れが防止される。また、本物品200において臀部部分B2(特に臀部部分B2のうち前後方向に関して排液部分C2側の部分、いわゆる股間部。)にかかる体圧は相対的に小さいため、袋体40内に保持された体液が逆戻りするおそれは少なく、スキントラブルが軽減される。
【0040】
さらに、これらの効果を得るにおいて、吸収パッド200の外形(外縁形状)や肌面(表面)が従来の物品と異なるものとされないため、装着者等に違和感等を与えるおそれがない。しかも、吸収パッド200は、前述特許文献1に開示された形態と異なり、肌面に陰茎挿入用の袋体が設けられるものではないため、男性用としてだけではなく、女性用としても用いることができる。
【0041】
ここで、袋体40の開口と不連続部30とが「連通」するとは、単に体液の移動(流れ)を阻止するための材料が設けられていないことを意味し、積極的に体液の移動を促進する材料が設けられている形態も、当該促進材料が設けられていない形態も含む。
【0042】
本形態において、袋体40の形状、形成方法等は特に限定されず、例えば、略長方形状のシート素材を折り返して重ね合わせ、この重ね合わせ部分の両側縁をホットメルト接着剤、ヒートシール、超音波シール等によって貼り合わせることにより、三方閉じ構造の袋体を形成することができる。
【0043】
また、この袋体40は、例えば、裏面側シート21の表面側に排液部分C2側の吸収体23Cを配置する等した後に、当該裏面側シート21の表面側に配置し、次いで、臀部部分B2側の吸収体23B、表面シート22等を配置するといった手順で備えることができる。
【0044】
さらに、袋体40の前後方向後端部(非開口部)がどこまで延在するかは特に限定されず、例えば、吸収体23の前後方向後端部と同位置まで延在する形態とすることなどもできる。ただし、体圧が特に小さくなる股間部のみに袋体40が存在するものとすれば、より体液の逆戻りを防止することができるため、股間部のみに袋体40が存在するよう袋体40の前後方向後端部の延在位置を調節するのが好ましい。具体的には、例えば、物品全長Mが350〜700mmである場合において、臀部部分B2側の吸収体23Bの前端を0%、後端を100%としたときは、袋体40の後端縁が1.3〜93.0%の範囲に位置しているのが好ましい。
【0045】
図示例では、袋体40の前後方向後端部が吸収体23の前後方向後端部よりも前後方向前側に留まる形態とされている。この形態においては、袋体40が延在しない部位において、例えば、コアラップ26と裏面側シート21とをホットメルト接着剤やヒートシール、超音波シール等によって貼り合わせておき、袋体40の位置安定性を向上させるのが好ましい。
【0046】
袋体40の素材は特に限定されず、例えば、表面シート22と同様に液透過性の素材で形成することもできるが、長時間経過後も体液の逆戻りが確実に防止されるという点で、裏面側シート21と同様に、液不透過性の素材(軟質合成樹脂フィルム等)で形成するのが好ましい。
【0047】
袋体40は、例えば、内部に吸収性ポリマーを入れておいたり、逆止弁構造としたりして、体液の逆戻りをより確実に防止することもできる。なお、吸収性ポリマーとしては、吸収体23に用いる吸収性ポリマーと同様のものを用いることができる。
【0048】
前述したように本形態の吸収パッド200は、不連続部30に、積極的に体液の袋体40内への移動を促進する材料が設けられていない形態も含むが、本形態においては、臀部側誘導シート32及び排液側誘導シート31が設けられている。
【0049】
臀部側誘導シート32は、一端部が臀部部分B2の表面シート22Bに固定され、特に図示例では表面シート22Bの表面上に固定され、不連続部30を通り抜け、他端部が袋体40内に至るように設けられている。これにより、臀部部分B2側の吸収体23Bの排液部分C2側端部が当該臀部側誘導シート32によって挟み込まれた状態になっている。
【0050】
また、排液側誘導シート31は、一端部が排液部分C2の表面シート22Cに固定され、特に図示例では表面シート22Cの表面上に固定され、不連続部30を通り抜け、他端部が袋体40内に至るように設けられている。
【0051】
以上のように、一端部が表面シート22と固定等によって繋がり、不連続部30を通り抜け、他端部が袋体40内に至る体液の誘導シート31,32が設けられていると、臀部部分B2へ拡散する前に、不連続部30を通して吸収体23の裏面側へ移動する体液の量が増える。したがって、前記漏れ防止効果やスキントラブルの軽減効果がよりいっそう確実に奏せられるようになる。
【0052】
ここで、表面シート22と誘導シート31,32とがどのように「繋がる」かは、特に限定されない。本形態のように別のシートの一端部が表面シート22に固定されて繋がる形態とすることのほか、例えば、表面シート22自体が延在し、この延在部分が誘導シート31,32を構成することで表面シート22及び誘導シート31,32が繋がる形態とすることができる。この後者の形態を、本形態例に適用する場合は、例えば、排液部分C2側の表面シート22C及び排液側誘導シート31を1枚のシートで構成し、臀部部分B2側の表面シート22B及び臀部側誘導シート32を1枚のシートで構成することができる。
【0053】
また、吸収体23の両側部に沿って起立ギャザーが備えられている本形態の吸収パッド200においては、臀部側誘導シート32の前記一端部(表面シート22Bに固定された部位)が起立ギャザーの起立部(前述非固定部)に固定されているとより好ましいものとなる。この形態によると、起立ギャザーが起立するのにともなって、臀部部分B2側の吸収体23Bの臀部側誘導シート32に挟み込まれた部分が、図5の(c)に例示するように、肌面側(表面側)に移動する。結果、臀部部分B2側の吸収体23Bが排液部分C2の吸収体23Cに対して表面側にずれた状態となり、不連続部30が排液部分C2側から臀部部分B2側に向かって視た場合において開口を形成した状態になるため、体液がより確実に不連続部30を通して袋体40内へ移動するようになる。
【0054】
また、特に本形態においては、排液部分C2の両側部に、弾性部材24と並行する補助弾性部材24Gxが設けられている。この補助弾性部材24Gxは、不連続部30の排液部分C2側(前方)から臀部部分B2(後方)側にかけて、つまり側面視で不連続部30を跨ぐように配置され、伸張状態でコアラップ26とバリヤシート24との間に固定されている。
【0055】
この補助弾性部材24Gxの収縮力によって、図5に示すように、排液部分C2側の吸収体23C、あるいは表面側に移動した臀部部分B2側の吸収体23Bが、他方の吸収体23B,23C側へ移動し、両吸収体23B,23Cの端部同士が平面視で重なるようになる。したがって、例えば、吸収体23B,23Cに体圧がかかり前述図5の(c)を参照しながら説明した開口が潰れたとしても、排液部分C2側から臀部部分B2側へ延在するライン状の不連続部30が残ることになる。そして、この不連続部30の延在方向は体液の拡散方向でもあるため、体液は確実に臀部部分B2側の吸収体23Bの裏面側へ移動する。
なお、補助弾性部材24Gxの素材や固定方法等は、弾性部材24Gと同様とすることができる。
【0056】
本形態においては、誘導シート31,32の有無に関わらず、補助弾性部材24Gxを設けることができる。また、これら誘導シート31,32や補助弾性部材24Gxの有無に関わらず、袋体40の上端部を不連続部30の端縁又は開口縁に貼り合わせることができる。この貼り合わせを行うと、不連続部30を通して移動した体液が、袋体40外に拡散するのが防止される。
【0057】
吸収体23における繊維目付け及び吸収性ポリマー目付けは適宜定めることができるが、繊維目付けは100〜600g/m2とするのが好ましく、吸収性ポリマー目付けは0〜400g/m2とするのが好ましい。
【0058】
また、吸収体23の繊維/ポリマー比は、一般的には3以下とするのが好ましいが、排液部分C2側の吸収体23Cと臀部部分B2側の吸収体23Bとで上記のように機能を異ならせる本形態においては、排液部分C2側の吸収体23Cの繊維/ポリマー比を2〜3とし、臀部部分B2側の吸収体23Bの繊維/ポリマー比を1〜2とするのが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、パンツ型おむつ、テープ型おむつ等の使い捨ておむつや、尿採りパッド等の吸収パッドなどとして、適用可能である。
【符号の説明】
【0060】
21…裏面側シート、22…表面シート、23…吸収体、24…バリヤシート、25…外装シート、26…コアラップ、30…不連続部、40…袋体、200…吸収パッド、B2…臀部部分、C2…排液部分。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排液部分と、この排液部分の後側に位置する臀部部分と、を有し、
液透過性表面シート、液不透過性裏面側シート、並びにこれら表面シート及び裏面側シートの間に介在された吸収体が、少なくとも前記排液部分から前記臀部部分にかけて備えられた吸収性物品であって、
前記吸収体は、前記排液部分と前記臀部部分との境界部に、当該吸収体が前後方向に連続しない不連続部を有し、
前記臀部部分の吸収体の裏面側に、排液部分側が開口する袋体が備えられ、
この袋体の開口と前記不連続部とが連通する構成とされている、
ことを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
一端部が前記表面シートと繋がり、前記不連続部を通り抜け、他端部が前記袋体内に至る体液の誘導シートが備えられている、
請求項1記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記吸収体の両側部に沿って起立ギャザーが備えられ、かつ、
前記誘導シートとして、一端部が前記臀部部分の表面シートに固定され、前記不連続部を通り抜け、他端部が前記袋体内に至ることにより、前記臀部部分の吸収体の少なくとも排液部分側端部を挟み込んだ状態とされた臀部側誘導シートが備えられ、
この臀部側誘導シートの前記一端部が前記起立ギャザーの起立部に固定されている、
請求項2記載の吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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