説明

吸収性物品

【課題】吸収性物品を製造する際の廃棄物の量を削減する。
【解決手段】吸収性物品1は、バックシート部材、および、バックシート部材上に重ねられて外縁部がバックシート部材に接合される吸収性シート部材20を備える。吸収性シート部材20は、着用者の股間部に対向する位置に、開口が形成される予定の開口形成領域250を有し、開口形成領域250を囲む破断可能な線である開口形成線251をさらに有する。吸収性物品1の製造時には、開口形成領域250においてコア被覆シート21は切除されず、吸収性物品1を使用する際に、コア被覆シート21が開口形成線251にて破断され、破断シート252が吸収コア22とバックシート部材との間のポケット内へと折り返されることにより開口が形成される。このため、吸収性物品1を製造する際の廃棄物の量を削減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着用者からの排泄物を受ける吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、使い捨ておむつ等の吸収性物品では、水分を多く含む軟便が排泄された場合に、軟便が着用者と吸収性物品との間で広がって着用者の肌に広範囲に亘って付着することを防止するため、様々な提案が行われている。例えば、特許文献1の吸収性物品では、着用者の腹側および背側に前部吸収コアおよび後部吸収コアが配置され、前部吸収コアおよび後部吸収コアとバックシートとの間に前部ポケットおよび後部ポケットが形成される。そして、これらのポケットに軟便等の排泄物が収容されることにより、排泄物が着用者の肌に広範囲に亘って付着することが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−125200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の吸収性物品では、前部吸収コアおよび後部吸収コアの上面および下面がトップシートに被覆されており、当該トップシートには、前部吸収コアと後部吸収コアとの間にて着用者の股間部に対向する開口が形成される。当該開口は、吸収性物品の製造時に、透液性の不織布により形成されたトップシートのおよそ中央部を切除することにより形成され、切除された不織布は、他の目的に利用されることなく廃棄物として廃棄される。一般に、吸収性物品の製造現場では多数の吸収性物品を製造するため、上述の切除された不織布を含む大量の廃棄物が排出される。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、吸収性物品を製造する際の廃棄物の量を削減することを主な目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、着用者からの排泄物を受ける吸収性物品であって、バックシート部材と、前記バックシート部材上に重ねられて前記バックシート部材に外縁部が接合される吸収性シート部材と、前記吸収性シート部材の左右両側部上において長手方向に伸び、弾性部材が長手方向に沿ってそれぞれ接合される一対の起立ギャザー部とを備え、前記吸収性シート部材が、前記着用者の股間部に対向する位置に、開口が形成される予定の開口形成領域を有し、前記吸収性シート部材が、破断可能または破断されている線である開口形成線を有し、前記開口形成線にて前記吸収性シート部材が破断されている状態で、前記開口形成領域内の部位が、その周囲の部位と部分的に連続し、前記開口形成領域内の前記部位を前記吸収性シート部材の上側または下側に折り返すことにより前記開口が形成され、前記開口が形成されることにより、前記吸収性シート部材と前記バックシート部材との間の空間が、前記開口から前記長手方向に広がるポケットとなる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の吸収性物品であって、前記開口形成線が、断続的に切断が行われた線である。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の吸収性物品であって、前記ポケットが、前記開口から前記長手方向における前後両側に広がり、前記開口形成線が、前記長手方向を向く略H字状である。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載の吸収性物品であって、前記ポケットが、前記開口から前記着用者の前側に対応する前方向に少なくとも広がり、前記開口形成線が、前記前方向に上側を向けた略U字状である。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1または2に記載の吸収性物品であって、前記ポケットが、前記開口から前記着用者の後側に対応する後方向に少なくとも広がり、前記開口形成線が、前記後方向に上側を向けた略U字状である。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1または2に記載の吸収性物品であって、前記開口形成線が、前記長手方向に対して横を向く略H字状である。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項4ないし6のいずれかに記載の吸収性物品であって、前記ポケットが、前記開口から前記長手方向における前後両側に広がる。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載の吸収性物品であって、着用者が着用する外装物品の内側に取り付けられる補助吸収具である。
【0014】
請求項9に記載の発明は、着用者からの排泄物を受ける吸収性物品であって、バックシート部材と、前記バックシート部材上に重ねられて前記バックシート部材に外縁部が接合される吸収性シート部材と、前記吸収性シート部材の左右両側部上において長手方向に伸び、弾性部材が長手方向に沿ってそれぞれ接合される一対の起立ギャザー部とを備え、前記吸収性シート部材が、前記着用者の股間部に対向する位置に、開口が形成される予定の開口形成領域を有し、前記吸収性シート部材が、破断可能な線である開口形成線を前記開口形成領域の全周に亘って有し、前記開口形成線の一部または全体が破断されることにより前記開口が形成され、前記開口が形成されることにより、前記吸収性シート部材と前記バックシート部材との間の空間が、前記開口から前記長手方向に広がるポケットとなる。
【0015】
請求項10に記載の発明は、着用者からの排泄物を受ける吸収性物品であって、バックシート部材と、前記バックシート部材上に重ねられて前記バックシート部材に外縁部が接合される吸収性シート部材と、前記吸収性シート部材の左右両側部上において長手方向に伸び、弾性部材が長手方向に沿ってそれぞれ接合される一対の起立ギャザー部とを備え、前記吸収性シート部材が、前記着用者の股間部に対向する位置に、開口が形成される予定の開口形成領域を有し、前記吸収性シート部材が、破断されている線である開口形成線を有し、前記開口形成領域内の部位が、その周囲の部位と部分的に連続し、前記開口形成領域内の前記部位を前記吸収性シート部材の上側または下側に折り返すことにより前記開口が予め形成されており、前記吸収性シート部材と前記バックシート部材との間の空間が、前記開口から前記長手方向に広がるポケットである。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、吸収性物品を製造する際の廃棄物の量を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1の実施の形態に係る吸収性物品の平面図である。
【図2】吸収性物品の断面図である。
【図3】吸収性物品の断面図である。
【図4】吸収性物品の断面図である。
【図5】吸収性物品の平面図である。
【図6】吸収性物品の断面図である。
【図7】吸収性物品の断面図である。
【図8】第2の実施の形態に係る吸収性物品の平面図である。
【図9】吸収性物品の平面図である。
【図10】吸収性物品の断面図である。
【図11】第3の実施の形態に係る吸収性物品の平面図である。
【図12】吸収性物品の平面図である。
【図13】吸収性物品の断面図である。
【図14】第4の実施の形態に係る吸収性物品の平面図である。
【図15】吸収性物品の平面図である。
【図16】吸収性物品の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る吸収性物品1を長手方向(すなわち、図1中の上下方向)に広げた状態にて示す平面図である。吸収性物品1は、着用者が着用する外装物品である使い捨ておむつ等の内側に取り付けられ、着用者からの軟便等の排泄物を受ける補助吸収具である。図1では、着用者に接する面(すなわち、着用者側)を手前側にして吸収性物品1を描いている。
【0019】
図1に示すように、吸収性物品1は、平面視において略矩形状である略シート状の本体部2、および、本体部2の長手方向に垂直な左右方向(本体部2の幅方向であり、図1中の左右方向に一致する。)の両側において長手方向のおよそ全長に亘って設けられた一対のサイドシート3を備える。
【0020】
本体部2の図1中における上側の部位201および下側の部位203はそれぞれ、着用者の腹側および背側の肌に接する部位であり、以下の説明では、「前方部201」および「後方部203」と呼ぶ。また、前方部201と後方部203との間において前方部201および後方部203から連続するとともに着用者の股間部に対向する部位202を「中間部202」と呼ぶ。
【0021】
図2および図3はそれぞれ、吸収性物品1を、図1中に示すA−Aの位置、および、B−Bの位置にて、吸収性物品1の長手方向(すなわち、図1中の上下方向)に垂直な面で切断した断面図であり、図4は、吸収性物品1をC−Cの位置にて吸収性物品1の左右方向に垂直な面で切断した断面図である。なお、吸収性物品1では、後方部203の構造は前方部201の構造とほぼ同様であり、後方部203の長手方向に垂直な断面図は図2と同様である。
【0022】
図1ないし図3に示すように、一対のサイドシート3はそれぞれ、本体部2の左右両側部上に接合される帯状の固定部33、固定部33に連続するとともに少なくとも一部が起立するギャザー部34、および、ギャザー部34に長手方向に沿って接合される複数の起立ギャザー部弾性部材32a〜32cを備える。サイドシート3は、疎水性繊維(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン)にて形成された撥水性または不透液性の不織布(例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS(スパンボンド・メルトブロー・スパンボンド)不織布)を、長手方向に伸びる折り曲げ線にて2つ折りにし、折り重ねられた2つの部位の間に起立ギャザー部弾性部材32a〜32cを挟むことにより形成される。起立ギャザー部弾性部材32a〜32cとしては、例えば、ポリウレタン糸、帯状のポリウレタンフィルム、糸状または帯状の天然ゴム等が用いられ、本実施の形態ではポリウレタン糸が利用される。
【0023】
ギャザー部34は、長手方向の両端部にて本体部2上に接合される。吸収性物品1では、起立ギャザー部弾性部材32a〜32cが収縮することにより、ギャザー部34の長手方向の両端部を除く部位341(以下、「起立ギャザー部341」という。)が、図2および図3に示すように、本体部2の側方において着用者側に向かって起立し、着用時に着用者の足の付け根近傍に当接する立体ギャザーが形成される。また、起立ギャザー部弾性部材32a〜32cが長手方向に沿って接合された起立ギャザー部341が、長手方向に伸びる折り返し線342にて左右方向の外側へと広がるように折り返されることにより、立体ギャザーの自由端343(すなわち、着用者側の端部)側の部位が着用者の肌の広い範囲に亘って密着する。
【0024】
図3に示すように、起立ギャザー部341には、自由端343から離間した位置に後述する側部吸収コア222が接合されており、起立ギャザー部弾性部材32cは、起立ギャザー部341と側部吸収コア222との接合領域344に重なる。起立ギャザー部341の折り返し線342は、自由端343と接合領域344との間に位置し、起立ギャザー部弾性部材32a,32bは、起立ギャザー部341の自由端343と折り返し線342との間に配置される。起立ギャザー部弾性部材32a,32bは、自由端343と折り返し線342との間に配置されるのであれば、自由端343において自由端343に沿って配置されてもよく、折り返し線342上において折り返し線342に沿って配置されてもよい。本実施の形態では、起立ギャザー部弾性部材32a,32bはそれぞれ、起立ギャザー部341の自由端343および折り返し線342上に配置される。起立ギャザー部341が折り返し線342にて折り返されない場合には、起立ギャザー部弾性部材32a,32bは、起立ギャザー部341の自由端343と接合領域344との間に配置される(上記と同様に、自由端343に配置される場合も含む。)。
【0025】
図2ないし図4に示すように、本体部2は、バックシート部材23、および、バックシート部材23上(すなわち、バックシート部材23の着用者側)に重ねられて外縁部がバックシート部材23に接合される吸収性シート部材20を備える。図1、図3および図4に示すように、吸収性シート部材20は、長手方向の中央よりもやや後側(すなわち、図1中の下側)において着用者の股間部に対向する位置に、開口が形成される予定の開口形成領域250を有する。また、吸収性シート部材20は、図1に示すように、開口形成領域250を囲む破断可能な線である開口形成線251をさらに有する。開口形成線251は、後述するコア被覆シート21に対して断続的に切断が行われた線であり、複数の略直線状の短い切れ目の集合(いわゆる、ミシン目)である。図1では、図の理解を容易にするために、開口形成領域250に平行斜線を付すとともに開口形成線251を極太の長破線にて描く(図8、図11および図14においても同様)。開口形成領域250の左右両側では、一対の起立ギャザー部341が吸収性シート部材20の左右両側部上において長手方向に伸びる。
【0026】
吸収性シート部材20は、吸収性物品1の着用時に着用者の前側(腹側)に配置される前部吸収コア221、開口形成領域250の左右方向の両側に配置される一対の側部吸収コア222、および、着用者の後側に配置される後部吸収コア223を備える。前部吸収コア221の長手方向の長さは、後部吸収コア223の長手方向の長さよりも大きい。前部吸収コア221、一対の側部吸収コア222および後部吸収コア223は、吸収性シート部材20の長手方向(バックシート部材23の長手方向でもある。)に連続して一体的に形成されており、開口形成領域250に対応する位置にこれらの吸収コアに囲まれる開口を有する。以下の説明では、前部吸収コア221、一対の側部吸収コア222および後部吸収コア223をまとめて、「吸収コア22」ともいう。図1中では、図の理解を容易にするために、吸収コア22の輪郭を太い破線にて描く(図5においても同様)。
【0027】
吸収性シート部材20は、また、図2ないし図4に示すように、吸収コア22のそれぞれの上面および下面(すなわち、前部吸収コア221、側部吸収コア222および後部吸収コア223のそれぞれの着用者側およびバックシート部材23側)を被覆する透液性のコア被覆シート21を備える。コア被覆シート21は、吸収コア22の上面を覆う第1被覆シート211、および、吸収コア22の下面を覆う第2被覆シート212を備える。開口形成領域250では、第1被覆シート211と第2被覆シート212とが積層されて接合される。
【0028】
吸収コア22は、粉砕したパルプ繊維やセルロース繊維等の親水性繊維に粒状の吸水性ポリマー(例えば、SAP(Super Absorbent Polymer))を混合したものをティッシュペーパーや透液性不織布等により包み込んで形成され、コア被覆シート21を透過した水分を吸収して迅速に固定する。親水性繊維を包むティッシュペーパーや透液性不織布等は、親水性繊維および吸水性ポリマーとホットメルト接着剤により接合されて、親水性繊維の型崩れ、および、吸水性ポリマーの脱落(特に、吸水後における脱落)を防止する。本実施の形態では、吸収コア22はパルプ繊維およびSAPを含む。
【0029】
コア被覆シート21は、透液性のシート材料であり、着用者からの排泄物の水分を速やかに捕捉して吸収コア22へと移動させる。コア被覆シート21としては、例えば、表面を界面活性剤により親水処理した疎水性繊維(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン等)にて形成された透液性の不織布(ポイントボンド不織布やエアスルー不織布、スパンボンド不織布等)が利用される。なお、コア被覆シート21として、セルロースやレーヨン、コットン等の親水性繊維により形成された不織布(例えば、スパンレース不織布)が利用されてもよい。
【0030】
図1に示すように、前部吸収コア221の開口形成領域250近傍のコアエッジ2211は、左右方向の中央にて長手方向に凹状となる(すなわち、後部吸収コア223から離れる方向に凹状となる)凹状部を有する。また、後部吸収コア223の開口形成領域250近傍のコアエッジ2231も、左右方向の中央にて長手方向に凹状となる(すなわち、前部吸収コア221から離れる方向に凹状となる)凹状部を有する。一対の側部吸収コア222の開口形成領域250近傍のコアエッジ2221は、長手方向に伸びる直線状である。
【0031】
開口形成線251は、前部吸収コア221のコアエッジ2211、一対の側部吸収コア222のコアエッジ2221、および、後部吸収コア223コアエッジ2231に沿って(すなわち、吸収コア22の開口のエッジに沿って)これらのコアエッジの内側に配置される2本の第1開口形成線255、および、開口形成領域250の長手方向の略中央にて左右方向に伸びるとともに2本の第1開口形成線255を接続する第2開口形成線256を備える。前部吸収コア221のコアエッジ2211の中央部近傍、および、後部吸収コア223のコアエッジ2231の中央部近傍には開口形成線251は設けられない。すなわち、開口形成線251は長手方向を向く略H字状である。
【0032】
吸収性シート部材20は、左右方向の中央領域において長手方向に沿って前部吸収コア221に接合される前部吸収コア弾性部材241、および、当該中央領域において長手方向に沿って後部吸収コア223に接合される後部吸収コア弾性部材243を備える。吸収性シート部材20では、前部吸収コア弾性部材241が収縮することにより前部吸収コア221に長手方向の収縮力が作用し、後部吸収コア弾性部材243が収縮することにより後部吸収コア223に長手方向の収縮力が作用する。
【0033】
前部吸収コア221には、上記中央領域においてコアエッジ2211から長手方向に沿って伸びるスリット2212(すなわち、前部吸収コア221においてパルプ繊維やSAPが存在しない領域)が形成されており、スリット2212は前部吸収コア弾性部材241に重なる。したがって、前部吸収コア弾性部材241は、正確には、前部吸収コア221が設けられる領域において、前部吸収コア221の上面および下面を被覆する第1被覆シート211および第2被覆シート212に接合される(図2参照)。後部吸収コア223には、上記中央領域においてコアエッジ2231から長手方向に沿って伸びるスリット2232が形成されており、スリット2232は後部吸収コア弾性部材243に重なる。したがって、後部吸収コア弾性部材243は、正確には、後部吸収コア223が設けられる領域において、後部吸収コア223の上面および下面を被覆する第1被覆シート211および第2被覆シート212に接合される。
【0034】
吸収性シート部材20は、また、図1および図3に示すように、開口形成領域250の左右方向の両側に長手方向に沿って配置される二対の(すなわち、左右2本ずつの)側部吸収コア弾性部材242を備える。側部吸収コア弾性部材242としては、例えば、ポリウレタン糸、帯状のポリウレタンフィルム、糸状または帯状の天然ゴム等が用いられ、本実施の形態では、ポリウレタン糸が使用される。
【0035】
二対の側部吸収コア弾性部材242は、平面視において一対の側部吸収コア222に重なっており、側部吸収コア222のバックシート部材23に対向する面に配置される。本実施の形態では、各側部吸収コア弾性部材242は、側部吸収コア222とコア被覆シート21の第2被覆シート212との間に配置され、側部吸収コア222および第2被覆シート212に伸張状態にて接合されて側部吸収コア222に収縮力を作用させる。側部吸収コア弾性部材242の長手方向の前側の部位は前部吸収コア221に重なっており、後側の部位は後部吸収コア223に重なっている。吸収性シート部材20では、例えば、吸収コア22の下面を覆う第2被覆シート212が、2枚の透液性の不織布を積層することにより形成されてもよい。この場合、側部吸収コア弾性部材242や上述の前部吸収コア弾性部材241および後部吸収コア弾性部材243は、当該2枚の不織布の間に接合されてもよい。これにより、これらの弾性部材の接合が容易とされる。
【0036】
バックシート部材23は、図2ないし図4に示すように、撥水性または不透液性の外装シート231、外装シート231上(すなわち、外装シート231の着用者側)に設けられた非常に薄い吸収シート233、並びに、外装シート231および吸収シート233上に積層された親水性シート232を備える。図2ないし図4では、図示の都合上、吸収シート233を太実線にて示している。
【0037】
外装シート231としては、疎水性繊維(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン)にて形成された撥水性または不透液性の不織布(例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS不織布)や、撥水性または不透液性のプラスチックフィルム、あるいは、これらの不織布とプラスチックフィルムとが積層された積層シートが利用され、バックシート部材23に到達した排泄物の水分等が、本体部2の外側にしみ出すのを防止する。外装シート231にプラスチックフィルムが利用される場合、吸収性物品1のムレを防止して着用者の快適性を向上するという観点からは、透湿性(通気性)を有するプラスチックフィルムが利用されることが好ましい。
【0038】
吸収シート233は、2枚のシート、および、当該2枚のシートの間に設けられた高吸収性樹脂層を備え、高吸収性樹脂層は、SAP等の粒状の吸水性ポリマーをホットメルト接着剤により2枚のシートに固定することにより形成される。2枚のシートとしては、親水性繊維により形成される不織布、親水処理した疎水性繊維により形成される不織布、あるいは、ティッシュ等が利用される。高吸収性樹脂層(すなわち、粒状の吸水性ポリマー)は、上記2枚のシートの間で長手方向に伸びるストライプ状に配置される。換言すれば、長手方向に伸びる複数の高吸収性樹脂層のそれぞれの間に、吸水性ポリマーが存在しない領域が設けられる。そして、吸水性ポリマーが存在しない領域において2枚のシートが接合されることにより、複数の高吸収性樹脂層がそれぞれ封止される。
【0039】
なお、吸収シート233に代えて、SAP等の粒状の吸水性ポリマーを外装シート231上に散布し、ホットメルト接着剤等により外装シート231に接着することにより、高吸収性樹脂層が外装シート231上に直接形成されてもよい。また、親水性シート232としては、好ましくは、セルロースやレーヨン、コットン等の親水性繊維により形成された不織布(例えば、スパンレース不織布)、あるいは、表面を界面活性剤により親水処理した疎水性繊維(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン)にて形成された透液性の不織布が利用される。
【0040】
吸収性物品1が使用される際には、まず、吸収性シート部材20のコア被覆シート21が、図1に示す開口形成線251にて破断される。コア被覆シート21の開口形成領域250内の部位である破断シート252のうち、第2開口形成線256よりも前側の部位である第1破断シート253は、左右方向の中央部においてコア被覆シート21の前部吸収コア221を被覆する部位と連続し、第2開口形成線256よりも後側の部位である第2破断シート254は、左右方向の中央部においてコア被覆シート21の後部吸収コア223を被覆する部位と連続する。換言すれば、コア被覆シート21が破断されている状態において、破断シート252は、その周囲の部位と部分的に連続する。
【0041】
図5は、開口25が形成された状態の吸収性物品1の平面図であり、図6は、吸収性物品1を図5中のD−Dの位置にて左右方向に垂直な面で切断した断面図である。また、図7は、吸収性物品1を図5中のE−Eの位置にて左右方向に垂直な面で切断した断面図である。吸収性物品1では、図5および図6に示すように、第1破断シート253が吸収性シート部材20の前部吸収コア221の下側(すなわち、前部吸収コア221とバックシート部材23との間)に折り返され、第2破断シート254が後部吸収コア223の下側に折り返されることにより、吸収性シート部材20の着用者の股間部に対向する位置に開口25が形成される。バックシート部材23の開口25から露出する露出領域234は、着用者の股間部に直接対向する。
【0042】
吸収性物品1では、上述のように、吸収性シート部材20の外縁部がバックシート部材23に接合され、吸収コア22のバックシート部材23と対向する面がバックシート部材23と非接合とされる。このため、吸収性シート部材20に開口25が形成されることにより、図5および図6に示すように、前部吸収コア221とバックシート部材23との間(すなわち、吸収性シート部材20の前部吸収コア221に対応する部位とバックシート部材23との間)の空間が、開口25から着用者の前側に対応する前方向に広がる前部ポケット26になる。また、図5および図7に示すように、一対の側部吸収コア222とバックシート部材23との間の空間が、開口25から左右方向に広がる一対の側部ポケット28になる。さらに、図5および図6に示すように、前部ポケット26と同様に、後部吸収コア223とバックシート部材23との間の空間が、開口25から着用者の後側に対応する後方向に広がる後部ポケット27になる。一対の側部ポケット28は、前部ポケット26および後部ポケット27と連続している。以下の説明では、前部ポケット26、後部ポケット27および一対の側部ポケット28をまとめて、「ポケット29」ともいう。吸収性物品1では、ポケット29は、開口25から長手方向における前後両側および左右方向における両側(すなわち、前後両方向および左右両方向)に広がる。
【0043】
図5に示す吸収性物品1では、着用者から排泄された軟便等の排泄物が、開口25を介してバックシート部材23へと向かい、バックシート部材23の露出領域234にて受けられる。露出領域234にて受けられた排泄物は、前部ポケット26、側部ポケット28および後部ポケット27の内部空間へと移動して収容される。本実施の形態では、開口25が吸収性シート部材20の長手方向の中央よりも後側に設けられており、上述のように、前部吸収コア221が後部吸収コア223よりも長くなっている。このため、前部ポケット26の長手方向の長さが後部ポケット27の長手方向の長さよりも大きくなり、前部ポケット26が、排泄物を主に収容する主ポケットとなる。
【0044】
吸収性物品1では、上述のように、一対の側部吸収コア222が一対の起立ギャザー部341の内面(すなわち、バックシート部材23と対向する面)にコア被覆シート21(図3参照)を介して接合される。このため、一対の起立ギャザー部弾性部材32a、および、もう一対の起立ギャザー部弾性部材32bが収縮することにより、起立ギャザー部341が大きく起立するとともに側部吸収コア222がバックシート部材23から大きく離間する。これにより、開口25近傍における吸収性シート部材20とバックシート部材23との間の厚さ方向の距離を大きく維持することができる。その結果、吸収性物品1では、排泄物を前部ポケット26、側部ポケット28および後部ポケット27に確実に収容して保持することができ、排泄物が着用者の肌に広範囲に亘って付着することが防止される。
【0045】
このように、吸収性物品1は、着用者の肌の比較的狭い範囲のみを覆うにも拘わらず排泄物を確実に収容して保持することができるため、使い捨ておむつ等の外装物品の内側に取り付けられて容易に交換可能な補助吸収具に特に適している。
【0046】
ところで、吸収性物品1の着用者は、仰臥位や側臥位または座位等の体位を取ることが多いため、着用者の前側には体圧がほとんど加わらない。吸収性物品1では、上述のように、着用者の前側に配置される前部吸収コア221とバックシート部材23との間に形成された前部ポケット26が、排泄物を主に収容する主ポケットとなる。したがって、吸収性物品1は、仰臥位や側臥位または座位等、様々な体位を取る着用者からの排泄物の収容に特に適しているといえる。
【0047】
以上に説明したように、吸収性物品1の製造時には、開口形成領域250においてコア被覆シート21は切除されず(すなわち、開口25は形成されず)、吸収性物品1を使用する際に、コア被覆シート21が開口形成線251にて破断され、破断シート252が吸収性シート部材20の下側に折り返されることにより開口25が形成される。このため、吸収性物品1を製造する際の廃棄物の量を削減することができる。また、開口形成線251がコア被覆シート21に対して断続的に切断が行われた線であるため、吸収性物品1の製造の際に開口形成線251を容易に形成することができる。
【0048】
吸収性物品1では、第1破断シート253を前部ポケット26内に折り込む際に、第1破断シート253に皺が形成され、当該皺により、開口25近傍において前部ポケット26の内表面の表面積(具体的には、吸収性シート部材20側の面の表面積)が増大し、前部ポケット26における排泄物の保持力が向上する。また、前部ポケット26に排泄物が収容された後、第1破断シート253が前部吸収コア221のコアエッジ2211近傍から下方へとバックシート部材23に向かって垂れ下がり、排泄物が前部ポケット26内から露出領域234へと戻ることが抑制される。すなわち、第1破断シート253は、排泄物の前部ポケット26からの逆流を抑制する逆止弁のような働きをする。これにより、前部ポケット26における排泄物の保持力がより向上する。
【0049】
後部ポケット27においても同様に、第2破断シート254を後部ポケット27内に折り込む際に、第2破断シート254の皺により開口25近傍において後部ポケット27の内表面の表面積が増大し、後部ポケット27における排泄物の保持力が向上する。また、後部吸収コア223のコアエッジ2231近傍からバックシート部材23に向かって垂れ下がる第2破断シート254が逆止弁として働き、排泄物が後部ポケット27内から露出領域234へと戻ることが抑制される。これにより、後部ポケット27における排泄物の保持力がより向上する。このように、前部ポケット26および後部ポケット27における排泄物の保持力を向上させることにより、排泄物が着用者の肌に広範囲に亘って付着することがより一層防止される。
【0050】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る吸収性物品について説明する。図8は、第2の実施の形態に係る吸収性物品1aの平面図である。吸収性物品1aは、開口形成線の形状が異なる点を除き、図1に示す吸収性物品1と同様の構造を有する。以下の説明では、吸収性物品1の各構成に対応する吸収性物品1aの構成に同符号を付す。
【0051】
図8に示すように、吸収性物品1aの吸収性シート部材20は、図1に示す吸収性物品1と同様に、開口形成領域250を囲む破断可能な線である開口形成線251aを有する。開口形成線251aは、コア被覆シート21に対して断続的に切断が行われた線であり、複数の略直線状の短い切れ目の集合(いわゆる、ミシン目)である。開口形成線251aは、前部吸収コア221のコアエッジ2211、一対の側部吸収コア222のコアエッジ2221、および、後部吸収コア223のコアエッジ2231に沿って(すなわち、吸収コア22の開口のエッジに沿って)これらのコアエッジの内側に配置されるが、前部吸収コア221のコアエッジ2211の中央部近傍には設けられない。すなわち、開口形成線251aは、前方向に上側を向けた略U字状である。
【0052】
図9は、開口25が形成された状態の吸収性物品1aの平面図であり、図10は、吸収性物品1aを図9中のF−Fの位置にて左右方向に垂直な面で切断した断面図である。吸収性物品1aが使用される際には、コア被覆シート21が開口形成線251aにて破断され、図9および図10に示すように、破断シート252が吸収性シート部材20の前部吸収コア221の下側に折り返されることにより、吸収性シート部材20の着用者の股間部に対向する位置に開口25が形成される。
【0053】
吸収性物品1aでは、第1の実施の形態と同様に、製造時に開口25が形成されないため、吸収性物品1aを製造する際の廃棄物の量を削減することができ、また、コア被覆シート21を断続的に切断することにより、開口形成線251aを容易に形成することができる(第3および第4の実施の形態に係る吸収性物品においても同様)。
【0054】
吸収性物品1aでは、破断シート252を前部ポケット26内に折り込むことにより、開口25近傍において前部ポケット26の内表面の表面積が増大し、前部ポケット26における排泄物の保持力が向上する。また、破断シート252全体を前部ポケット26に折り込むことにより、主ポケットである前部ポケット26における排泄物の保持力をより向上することができる。さらに、破断シート252が前部ポケット26内にて逆止弁として働き、排泄物が前部ポケット26内から逆流することが抑制される。これにより、前部ポケット26における排泄物の保持力がさらに向上する。その結果、排泄物が着用者の肌に広範囲に亘って付着することが防止される。
【0055】
次に、本発明の第3の実施の形態に係る吸収性物品について説明する。図11は、第3の実施の形態に係る吸収性物品1bの平面図である。吸収性物品1bは、開口形成線の形状が異なる点を除き、図1に示す吸収性物品1と同様の構造を有する。以下の説明では、吸収性物品1の各構成に対応する吸収性物品1bの構成に同符号を付す。
【0056】
図11に示すように、吸収性物品1bの吸収性シート部材20は、図1に示す吸収性物品1と同様に、開口形成領域250を囲む破断可能な線である開口形成線251bを有する。開口形成線251bは、コア被覆シート21に対して断続的に切断が行われた線であり、複数の略直線状の短い切れ目の集合(いわゆる、ミシン目)である。開口形成線251bは、前部吸収コア221のコアエッジ2211、一対の側部吸収コア222のコアエッジ2221、および、後部吸収コア223コアエッジ2231に沿って(すなわち、吸収コア22の開口のエッジに沿って)これらのコアエッジの内側に配置されるが、後部吸収コア223のコアエッジ2231の中央部近傍には設けられない。すなわち、開口形成線251bは、後方向に上側を向けた略U字状である。
【0057】
図12は、開口25が形成された状態の吸収性物品1bの平面図であり、図13は、吸収性物品1bを図12中のG−Gの位置にて長手方向に垂直な面で切断した断面図である。吸収性物品1bが使用される際には、コア被覆シート21が開口形成線251bにて破断され、図12および図13に示すように、破断シート252が吸収性シート部材20の後部吸収コア223の上側(すなわち、着用者側)に折り返されることにより、吸収性シート部材20の着用者の股間部に対向する位置に開口25が形成される。
【0058】
吸収性物品1bでは、後部吸収コア223の上側に折り返された破断シート252が、左右方向の中央へとまとめられて長手方向に伸びる突出部とされ、当該突出部は着用者の臀部中央の窪みに配置される。これにより、軟便等の排泄物が、臀部中央の窪みを介して着用者の背側へと広がることが防止される。その結果、着用者の背側への排泄物の付着や背側からの排泄物の漏出を防止することができる。また、使用済みの吸収性物品1bを丸めて廃棄する際に、開口25を覆うように破断シート252を配置することにより、ポケット29内に収容された排泄物が開口25から流出することを抑制することができる。
【0059】
次に、本発明の第4の実施の形態に係る吸収性物品について説明する。図14は、第4の実施の形態に係る吸収性物品1cの平面図である。吸収性物品1cは、開口形成線の形状が異なる点を除き、図1に示す吸収性物品1と同様の構造を有する。以下の説明では、吸収性物品1の各構成に対応する吸収性物品1cの構成に同符号を付す。
【0060】
図14に示すように、吸収性物品1cの吸収性シート部材20は、図1に示す吸収性物品1と同様に、開口形成領域250を囲む破断可能な線である開口形成線251cを有する。開口形成線251cは、コア被覆シート21に対して断続的に切断が行われた線であり、複数の略直線状の短い切れ目の集合(いわゆる、ミシン目)である。
【0061】
開口形成線251cは、前部吸収コア221のコアエッジ2211、および、後部吸収コア223のコアエッジ2231に沿ってこれらのコアエッジの内側に配置される2本の第1開口形成線255a、および、開口形成領域250の左右方向の略中央にて長手方向に伸びるとともに2本の第1開口形成線255aを接続する第2開口形成線256aを備える。一対の側部吸収コア222のコアエッジ2221近傍には開口形成線251cは設けられない。すなわち、開口形成線251cは左右方向を向く(すなわち、長手方向に対して横を向く)略H字状である。
【0062】
図15は、開口25が形成された状態の吸収性物品1cの平面図であり、図16は、吸収性物品1cを図15中のH−Hの位置にて長手方向に垂直な面で切断した断面図である。吸収性物品1cが使用される際には、コア被覆シート21が開口形成線251cにて破断され、図15および図16に示すように、破断シート252のうち第2開口形成線256a(図14参照)の左側の第1破断シート253aが左側の側部吸収コア222の下側に折り返される。また、破断シート252のうち第2開口形成線256aの右側の第2破断シート254aが右側の側部吸収コア222の下側に折り返される。これにより、吸収性シート部材20の着用者の股間部に対向する位置に開口25が形成される。
【0063】
吸収性物品1cでは、第1破断シート253aおよび第2破断シート254a(すなわち、破断シート252)を一対の側部ポケット28内に折り込むことにより、開口25近傍において側部ポケット28の内表面の表面積が増大し、側部ポケット28における排泄物の保持力が向上する。また、第1破断シート253aおよび第2破断シート254aが側部ポケット28内にて逆止弁として働き、排泄物が側部ポケット28内から逆流することが抑制される。これにより、側部ポケット28における排泄物の保持力がさらに向上する。その結果、排泄物が着用者の肌に広範囲に亘って付着することが防止される。
【0064】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0065】
第1の実施の形態に係る吸収性物品1では、開口形成線251は、左右方向に伸びる第2開口形成線256の両端から前方向および後方向に伸びる2本の第1開口形成線255を有する形状(すなわち、長手方向を向く略H字状)であれば様々な形状とされてよい。例えば、第1開口形成線255は、側部吸収コア222のコアエッジ2221に沿う直線状であり、前部吸収コア221および後部吸収コア223のコアエッジ2211,2231に沿う部位は有しなくてもよい。また、第1開口形成線255は、必ずしも側部吸収コア222のコアエッジ2221に平行である必要はなく、例えば、長手方向に対して傾斜して設けられてもよい。
【0066】
第2の実施の形態に係る吸収性物品1aでは、開口形成線251aは、後部吸収コア223のコアエッジ2231に沿って左右方向に伸びる部位、および、当該部位の左右両端から前方向に伸びる部位を有する形状(すなわち、前方向に上側を向けた略U字状)であれば様々な形状とされてよく、例えば、上述の開口形成線251aのうち、前部吸収コア221のコアエッジ2211に沿う部位が省略されてもよい。
【0067】
第3の実施の形態に係る吸収性物品1bでは、開口形成線251bは、前部吸収コア221のコアエッジ2211に沿って左右方向に伸びる部位、および、当該部位の左右両端から後方向に伸びる部位を有する形状(すなわち、後方向に上側を向けた略U字状)であれば様々な形状とされてよく、例えば、上述の開口形成線251bのうち、後部吸収コア223のコアエッジ2231に沿う部位が省略されてもよい。
【0068】
第4の実施の形態に係る吸収性物品1cでは、開口形成線251cは、長手方向に伸びる第2開口形成線256aの両端から左右両方向に伸びる2本の第1開口形成線255aを有する形状(すなわち、長手方向に対して横を向く略H字状)であれば様々な形状とされてよい。例えば、上述の第1開口形成線255aの左右両端から側部吸収コア222のコアエッジ2221に沿って前方向または後方向に伸びる部位が設けられてもよい。
【0069】
吸収性物品では、開口形成領域250内の部位である破断シート252を吸収性シート部材20の上側または下側に折り返すことにより開口25が形成されるのであれば、破断可能な線である開口形成線の形状は適宜変更されてよい。例えば、開口形成領域250の全周に亘る開口形成線が設けられ、使用者により当該開口形成線の一部が破断されることにより開口25が形成されてもよい。この場合、周囲の部位と部分的に連続する破断シート252をどの方向に(あるいは、どんな形状に)折り返すかについて、使用者による決定の自由度が向上される。また、開口形成線全体が破断されて開口形成領域250内の部位が切除されることにより、開口25が形成されてもよい。
【0070】
開口形成線は、必ずしも複数の略直線状の短い切れ目の集合である必要はなく、例えば、複数の小さい円形の穴が配列されることにより形成されてもよい。また、開口形成線は、その大部分が連続する切れ目であり、当該切れ目上の例えば3点において開口形成領域250と周囲の部位とが連結されていてもよい。あるいは、連続する非貫通切り込みである開口形成線が吸収性シート部材20に設けられてもよい。
【0071】
上記実施の形態では、開口形成線は吸収性物品の使用時に破断されるが、破断された状態の開口形成線と同様の形状にコア被覆シート21が予め(すなわち、吸収性物品の製造時に)切断されてもよい。このように、破断されている線である開口形成線が吸収性シート部材20に設けられることにより、吸収性物品の使用時に開口形成線を破断することなく、破断シート252を吸収性シート部材20の上側または下側に折り返すだけで開口25を容易に形成することができる。予め破断シート252が形成されている場合、破断シート252上の小さい領域にホットメルト接着剤の塗布等により仮止着部が形成され、当該仮止着部がバックシート部材23の露出領域234(となる予定の領域)に仮止めされてもよい。また、破断シート252が、吸収性物品の製造時に吸収性シート部材20の上側または下側に折り返されることにより、開口25が予め形成されていてもよい。なお、吸収性シート部材20の上側または下側に折り返された破断シート252は、上記以外の方法にて利用されてよい。
【0072】
吸収性物品1では、排泄物の収容力を大きくするためには、吸収性シート部材20とバックシート部材23との間に前部ポケット26、側部ポケット28および後部ポケット27が設けられることが好ましい。ただし、排泄物の収容力が十分確保されるのであれば、これらのポケットのうち、いずれかのポケットが省略されてもよい。例えば、第2の実施の形態に係る吸収性物品1aでは、前部ポケット26において排泄物を十分に収容できるのであれば、後部ポケット27および側部ポケット28は省略されてもよい。換言すれば、吸収性物品1aでは、ポケット29は開口25から少なくとも前方向に広がっていればよい。また、第3の実施の形態に係る吸収性物品1bでは、後部ポケット27において排泄物を十分に収容できるのであれば、前部ポケット26および側部ポケット28は省略されてもよい。換言すれば、吸収性物品1bでは、ポケット29は開口25から少なくとも後方向に広がっていればよい。
【0073】
上述の吸収性物品の構造は、外装物品の内側に取り付けられる補助吸収具以外にも、例えば、上端に胴部開口を有し、下部に一対の脚部開口を有するパンツタイプの使い捨ておむつや、着用者の腹側に当接する部位と背側に当接する部位とを止着テープにより腰回りで止着して着用するテープタイプの使い捨ておむつに適用されてよい。
【0074】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせられてよい。
【符号の説明】
【0075】
1,1a〜1c 吸収性物品
20 吸収性シート部材
23 バックシート部材
25 開口
26 前部ポケット
27 後部ポケット
28 側部ポケット
29 ポケット
32a〜32c 起立ギャザー部弾性部材
250 開口形成領域
251,251a〜251c 開口形成線
252 破断シート
341 起立ギャザー部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者からの排泄物を受ける吸収性物品であって、
バックシート部材と、
前記バックシート部材上に重ねられて前記バックシート部材に外縁部が接合される吸収性シート部材と、
前記吸収性シート部材の左右両側部上において長手方向に伸び、弾性部材が長手方向に沿ってそれぞれ接合される一対の起立ギャザー部と、
を備え、
前記吸収性シート部材が、前記着用者の股間部に対向する位置に、開口が形成される予定の開口形成領域を有し、
前記吸収性シート部材が、破断可能または破断されている線である開口形成線を有し、前記開口形成線にて前記吸収性シート部材が破断されている状態で、前記開口形成領域内の部位が、その周囲の部位と部分的に連続し、
前記開口形成領域内の前記部位を前記吸収性シート部材の上側または下側に折り返すことにより前記開口が形成され、
前記開口が形成されることにより、前記吸収性シート部材と前記バックシート部材との間の空間が、前記開口から前記長手方向に広がるポケットとなることを特徴とする吸収性物品。
【請求項2】
請求項1に記載の吸収性物品であって、
前記開口形成線が、断続的に切断が行われた線であることを特徴とする吸収性物品。
【請求項3】
請求項1または2に記載の吸収性物品であって、
前記ポケットが、前記開口から前記長手方向における前後両側に広がり、
前記開口形成線が、前記長手方向を向く略H字状であることを特徴とする吸収性物品。
【請求項4】
請求項1または2に記載の吸収性物品であって、
前記ポケットが、前記開口から前記着用者の前側に対応する前方向に少なくとも広がり、
前記開口形成線が、前記前方向に上側を向けた略U字状であることを特徴とする吸収性物品。
【請求項5】
請求項1または2に記載の吸収性物品であって、
前記ポケットが、前記開口から前記着用者の後側に対応する後方向に少なくとも広がり、
前記開口形成線が、前記後方向に上側を向けた略U字状であることを特徴とする吸収性物品。
【請求項6】
請求項1または2に記載の吸収性物品であって、
前記開口形成線が、前記長手方向に対して横を向く略H字状であることを特徴とする吸収性物品。
【請求項7】
請求項4ないし6のいずれかに記載の吸収性物品であって、
前記ポケットが、前記開口から前記長手方向における前後両側に広がることを特徴とする吸収性物品。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の吸収性物品であって、
着用者が着用する外装物品の内側に取り付けられる補助吸収具であることを特徴とする吸収性物品。
【請求項9】
着用者からの排泄物を受ける吸収性物品であって、
バックシート部材と、
前記バックシート部材上に重ねられて前記バックシート部材に外縁部が接合される吸収性シート部材と、
前記吸収性シート部材の左右両側部上において長手方向に伸び、弾性部材が長手方向に沿ってそれぞれ接合される一対の起立ギャザー部と、
を備え、
前記吸収性シート部材が、前記着用者の股間部に対向する位置に、開口が形成される予定の開口形成領域を有し、
前記吸収性シート部材が、破断可能な線である開口形成線を前記開口形成領域の全周に亘って有し、
前記開口形成線の一部または全体が破断されることにより前記開口が形成され、
前記開口が形成されることにより、前記吸収性シート部材と前記バックシート部材との間の空間が、前記開口から前記長手方向に広がるポケットとなることを特徴とする吸収性物品。
【請求項10】
着用者からの排泄物を受ける吸収性物品であって、
バックシート部材と、
前記バックシート部材上に重ねられて前記バックシート部材に外縁部が接合される吸収性シート部材と、
前記吸収性シート部材の左右両側部上において長手方向に伸び、弾性部材が長手方向に沿ってそれぞれ接合される一対の起立ギャザー部と、
を備え、
前記吸収性シート部材が、前記着用者の股間部に対向する位置に、開口が形成される予定の開口形成領域を有し、
前記吸収性シート部材が、破断されている線である開口形成線を有し、前記開口形成領域内の部位が、その周囲の部位と部分的に連続し、
前記開口形成領域内の前記部位を前記吸収性シート部材の上側または下側に折り返すことにより前記開口が予め形成されており、前記吸収性シート部材と前記バックシート部材との間の空間が、前記開口から前記長手方向に広がるポケットであることを特徴とする吸収性物品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate