説明

吸収性物品

【課題】装着者の歩行、着座等にともなう太股からの力により前身頃と後身頃との係合に剥がれが生じない連結手段を有する使い捨ておむつを提供する。
【解決手段】外装シート20の前身頃Fまたは後身頃Bのいずれかの身頃の両側部の内面と、前記身頃に対向する身頃の両側部の内面に支持部材41を設け、支持部材41の上側部の内面に第3係合部46を、下側部の外面に第2係合部45を取付け、前記身頃の両側部の内面と第2係合部45とが係合し、前記身頃の外面と第3係合部46とが係合し連結する構成により解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前後身頃を係合かつ分離可能な連結手段を有する使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、後身体パネルの前身体パネル側にフック部材を取付け、フック部材を前身身体パネルの両側部内面に沿って係合し連結される使い捨ておむつが記載されている。
特許文献2には、後胴周り域の両側部内面にループ部材を取付け、前胴周り域の両側部内面にZ字形に畳まれた支持部材を設け、支持部材の先端部内面にフック部材を取付け、ループ部材とフック部材とを係合し連結される使い捨ておむつが記載されている。
しかし、特許文献1に記載された使い捨ておむつでは、フック部材が係合する前身体パネルの側縁に、装着者の手が触れたり、着衣がこすれたりすると前身体パネルの側縁から係合が剥がれるおそれがある。
同様に、特許文献2に記載された使い捨ておむつでも前胴周り域の側縁に装着者の手が触れたり、着衣がこすれたりすると前胴周り域の側縁から係合が剥がれるおそれがある。
そこで、そのような問題を解決するため、特許文献3には、後胴周り域の両側部にループ部材を取付け、前胴周り域の両側部にZ字形に畳まれた支持部材を設け、支持部材の先端部にフック部材を取付け、支持部材が設けられていない前胴周り域の先端部を前胴周り域の外面方向に折返す手段が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2005−533529号公報
【特許文献2】特開2008―12115号公報
【特許文献3】特開2009―273731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、装着者の歩行、着座等にともなう太股からの力により後胴周り域と前胴周り域との係合が剥がれ連結手段が不用意に分離されるおそれがあり、特に、太股から前胴周り域に内面から外面方向に垂直力が作用した場合、後胴周り域と前胴周り域との係合が容易に剥がれ連結手段が分離されるおそれが高い。
また、パッドを内装体の内面に入れて使用し、排尿後にパッドを交換する場合において、排尿後フック部材とループ部材を剥がし新しいパッドを装着しフック部材とループ部材を合わせて使用する際に当初合わさっていた元の位置からずれて装着することが多く、垂直力が作用すると剥がれが発生しやすくなる。立ち状態で装着する際においても、フック部材とループ部材を剥がして立ったままで装着する際も同じようにフック部材とループ部材がズレて装着されることが多く、垂直力が作用すると剥がれが発生しやすくなる。
係合の剥がれが進行するに従い、使い捨ておむつの密着性が損なわれ使い捨ておむつの外部に漏れを生ずるおそれがあり、また、全ての係合が剥がれた場合には、使い捨ておむつが装着者から脱落するおそれもある。
そこで、本発明の課題は、装着者の歩行、着座等にともなう太股からの力により前身頃と後身頃との係合に剥がれが生じない連結手段を有する使い捨ておむつを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
前身頃及び後身頃を有する外装シートと、この外装シートの内面に固定された、吸収体を含む内装体とを備え、前記外装シートの前身頃と後身頃とが係合かつ分離可能な連結手段により連結されることにより、ウエスト開口部及び左右一対のレッグ開口部が形成された、使い捨ておむつにおいて、
前記連結手段が、外装シートの前身頃または後身頃のいずれかの身頃の両側部の内面と、
前記身頃に対向する前身頃または後身頃のいずれかの身頃の両側部の内面に支持部材を設け、
前記支持部材の上側部の内面に下側部の側縁に沿って縦方向延びる第2係合部を取付け、
前記支持部材の下側部の外面に上側部の側縁に沿って縦方向延びる第3係合部を取付け、
外装シートの連結時に、前記身頃の両側部の内面と第2係合部とが係合し、前記身頃の外面と第3係合部とが係合することにより前身頃と後身頃とが連結される
ことを特徴とする使い捨ておむつ。
【0006】
(作用効果)
請求項1記載の発明は、外装シートの連結時に、前記身頃の両側部の内面と第2係合部とが係合し、前記身頃の外面と第3係合部とが係合することから、太股からレッグ開口部の近傍の前身頃または後身頃に内面から外面方向に垂直力が作用した場合にあっても、身頃の外面と第3係合部との連結は確実に維持される。
また、前身頃または後身頃の側縁に装着者の手が触れたり、着衣がこすれた場合にあっても、第2係合部または第3係合部のいずれか一方の連結は確実に維持される。
よって、使い捨ておむつの密着性は維持され、使い捨ておむつの外部に体液等の漏れは発生しない。
【0007】
<請求項2記載の発明>
前記外装シートの前身頃または後身頃のいずれかの身頃の両側部の内面に側縁に沿って縦方向延びる第1係合部を取付け、
外装シートの連結時に、前記第1係合部と第2係合部とが係合し、前記第1係合部が取付けられた身頃の外面と第3係合部とが係合することにより前身頃と後身頃とが連結される請求項1記載の使い捨ておむつ。
【0008】
(作用効果)
請求項2記載の発明は、外装シートの前身頃または後身頃のいずれかの身頃の両側部の内面に側縁に沿って縦方向延びる第1係合部を取付け、外装シートの連結時に、第1係合部と第2係合部とが係合し、第1係合部が取付けられた身頃の外面と第3係合部とが係合することから、第1係合部と第2係合部とは強固に連結されており、前身頃または後身頃の側縁に装着者の手が触れたり、着衣がこすれた場合にあっても、第1係合部と第2係合部との剥がれを抑制することができる。
【0009】
<請求項3記載の発明>
前記指示部材の側部には、第2係合部と第3係合部との間に側縁から幅方向内側に向かいスリットが設けられている請求項1または2記載の使い捨ておむつ。
【0010】
(作用効果)
請求項3記載の発明によれば、指示部材の両側部には、第2係合部と第3係合部との間に側縁から幅方向内側に向かいスリットが設けられていることから、身頃の外面と第3係合部とを係合する際に、身頃の側部が指示部材のスリットにより挟み込まれるため、太股による垂直力に対する抗力となり、また、垂直力を分散し、外装シートの前身頃と後身頃との剥がれを少なくすることができる。
【0011】
<請求項4記載の発明>
前記第3係合部の幅方向内側の支持部材の中間片が、幅方向に伸張可能にされていることを特徴とする請求項1乃至3記載の使い捨ておむつ。
【0012】
(作用効果)
請求項4記載の発明によれば、第3係合部の幅方向内側の支持部材の中間片が、幅方向に伸張可能にされていることから、身頃の外面と第3係合部とを係合する際に、第3係合部を適切位置まで引き延ばし使い捨ておむつを装着者に密着して装着することができる。
また、太股による垂直力を対する抗力として作用し、垂直力を分散し、外装シートの前身頃と後身頃との剥がれをより少なくすることができる。
【0013】
<請求項5記載の発明>
前記支持部材は、逆Z型に畳まれ身頃側から内面方向に向かい順に下部片、中間片、上部片をなし、
前記中間片の下側部の外面に第2係合部を取付け、上部片の上側部の内面に第3係合部が取付けられ、
前記下部片の内面と下部片の内面に対向する中間片の内面と、並び、中間片の外面と中間片の外面に対向する上部片の外面とは仮止めされ、
第1係合部と第2係合部および第3係合部とが係合し仮止めされている請求項1乃至4のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
【0014】
(作用効果)
請求項5記載の発明によれば、支持部材の下部片の内面と中間片の内面と、並び、中間片の外面と上部片の外面とが仮止めされ、第1係合部と第2係合部および第3係合部とが係合し仮止めされていることから、装着者自身で使い捨ておむつを装着する場合、第1係合部と第2係合部とを分離し再係合する必要がなく使い捨ておむつを容易に装着できる。
【0015】
<請求項6記載の発明>
前記第1係合部が前身頃に取付けられ、前記支持部材が後身頃に設けられている請求項1乃至5のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
【0016】
(作用効果)
請求項6記載の発明によれば、第1係合部が前身頃に取付けられ、支持部材が後身頃に設けられていることから、装着者自身で使い捨ておむつを装着する場合、支持部材に取付けられた第2係合部および第3係合部を装着者の前側に引き寄せ係合でき使い捨ておむつをより容易に装着できる。
【0017】
<請求項7記載の発明>
前記第1係合部が後身頃に取付けられ、前記支持部材が前身頃に設けられている請求項1乃至5のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
【0018】
(作用効果)
請求項7記載の発明によれば、第1係合部が後身頃に取付けられ、支持部材が前身頃に設けられていることから、介護補助者が装着者に使い捨ておむつを装着する場合、支持部材に取付けられた第2係合部および第3係合部を装着者の前側から係合でき使い捨ておむつをより容易に装着できる。
【発明の効果】
【0019】
以上のとおり、本発明によれば、装着者の歩行、着座等にともなう太股からの力により前身頃と後身頃との係合に剥がれが生じない連結手段を有する使い捨ておむつが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】展開状態の使い捨ておむつの内面平面図である。
【図2】第2,3係合部が畳まれた状態の使い捨ておむつの内面平面図である。
【図3】展開状態の使い捨ておむつの外面平面図である。
【図4】図1のA−A断面図である。
【図5】図1のB−B断面図である。
【図6】図1のC−C断面図である。
【図7】図1のD−D断面図である。
【図8】図1のE−E断面図である。
【図9】図2のF−F断面図である。
【図10】図2のG−G断面図である。
【図11】使い捨ておむつの装着状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。以下の説明において、「内面」とは使い捨ておむつの装着面側をいい、「外面」とは使い捨ておむつの装着面側とは反対側面をいうものとする。
また、「上側部」とはレッグ開口部側の部位をいい、「下側部」とはウエスト開口部側の部位をいうものとする。
図1〜図10に示すように、使い捨ておむつ1は、前身頃F及び後身頃Bを有する外装シート20と、この外装シート20の内面に固定され一体化された内装体10とを有しており、内装体10は液透過性表面シート11と液不透過性裏面側シート12との間に吸収体13が介在されてなるものである。製造に際しては、外装シート20の内面(上面)に対して内装体10の裏面がホットメルト接着剤Gなどの接合手段によって固定された後に、内装体10および外装シート20が前身頃F及び後身頃Bの境界である縦方向(前後方向)中央で折り畳まれ、その両側部が相互に係合かつ分離可能な連結手段によって連結されることによって、ウエスト開口部及び左右一対のレッグ開口部が形成された使い捨ておむつとなる。
使い捨ておむつ1は、前身頃Fの両側部にループ部材からなる第1係合部40が取付けられ、後身頃Bの両側部に支持部材41を介してフック部材からなる第2係合部45、第3係合部46が取付けられているが、前身頃Fの両側部に支持部材41を介してフック部材からなる第2係合部45、第3係合部46を取付け、後身頃Bの両側部にループ部材からなる第1係合部40を取付けてもよい。
【0022】
(外装シート)
図4〜図8に示すように、外装シート20は、上層不織布20A及び下層不織布20Bからなる2層構造の不織布シートとされ、上層不織布20Aと下層不織布20Bとの間、及び下層不織布20Bをウエスト開口縁で内面側に折り返してなる折り返し部分20Cの不織布間に各種弾性部材が配設され、伸縮性が付与されている。平面形状は、中間両側部に夫々脚部開口を形成するために形成された凹状の脚回りライン29により、全体として擬似砂時計形状をなしている。
【0023】
図1〜図3に示すように、外装シート20の弾性部は、ウエスト開口部近傍23に配置されたウエスト部弾性部材24,24…と、前身頃F及び後身頃Bに、縦方向に間隔をおいて幅方向に沿って配置された複数の腰回り弾性部材25,25…とを有するとともに、前身頃F及び後身頃Bのそれぞれにおいて、腰回り弾性部材群25,25…とは別に、前身頃Fと後身頃Bとを連結する連結側部21、22から幅方向中央に向かうにつれて反対の身頃側へ向かうように湾曲しつつ、内装体10の両側部と重なる部位まで(又は両側部の近傍まで等、必ずしも重ならなくても良い)延在するとともに、互いに交差することなく間隔をおいて配置された複数本の湾曲弾性部材26…、28…を備えている。なお、本外装シート20では、脚回りライン29に沿って実質的に連続する、所謂脚回り弾性部材は設けられていない。
【0024】
ウエスト部弾性部材24,24…は、前身頃Fと後身頃Bとが連結された連結側部21、22の範囲の内、ウエスト開口縁近傍に上下方向に間隔をおいて配設された複数条の糸ゴム状弾性部材であり、身体のウエスト部回りを締め付けるように伸縮力を与えることにより使い捨ておむつを身体に装着するためのものである。このウエスト部弾性部材24は、図示例では糸ゴムを用いたが、例えばテープ状の伸縮部材を用いてもよい。また、図示形態のウエスト部弾性部材24,24…は、ウエスト部における下層不織布20Bの折り返し部分20Cの不織布間に挟持されているが、上層不織布20Aと下層不織布20Bとの間に挟持しても良い。
【0025】
腰回り弾性部材25,25…は、連結側部21、22の内、概ね上部から下部までの範囲に亘り、上下方向に間隔をおいて幅方向に沿って配設された糸ゴム状の弾性部材であり、前身頃F及び後身頃Bの腰回り部分に夫々幅方向の伸縮力を与え、使い捨ておむつを身体に密着させるためのものである。なお、ウエスト部弾性部材24、24…と腰回り弾性部材25、25…との境界は必ずしも明確でなくてよい。例えば、前身頃F及び後身頃Bに上下方向に間隔をおいて幅方向に配置された弾性部材の内、数は特定できなくても、上部側の何本かがウエスト部弾性部材として機能し、残りの弾性部材が腰回り弾性部材として機能していればよい。
【0026】
後身頃Bにおいて、腰回り弾性部材25,25…とは別に配設された背側湾曲弾性部材26、26…は、その長手方向中間に縦方向との鋭角側交差角θ(以下、縦方向交差角ともいう)が最小となる最小点を有するとともに、この最小点から幅方向両側に向かうにつれて縦方向交差角θが0度〜90度の範囲内で増加する所定の曲線であって、且つ使い捨ておむつを展開した状態で内装体の両側部と重なる領域内に縦方向交差角θが60°以下となる交差部分70を有する所定の曲線に沿って配置されているものである。背側湾曲弾性部材26は、一本であっても良いが複数本であるのが好ましく、図示例では5本の糸ゴム状弾性部材であり、これら背側湾曲弾性部材26、26…は互いに交差することなく、間隔をおいて配置されている。この背側湾曲弾性部材群26、26…は、2,3本程度の弾性伸縮部材を間隔を密にして実質的に一束として配置されるのではなく、所定の伸縮ゾーンを形成するように3〜20mm、好ましくは6〜16mm程度の間隔を空けて、3本以上、好ましくは5本以上配置される。
【0027】
外装シート20の前身頃Fにおいて、腰回り弾性部材群25,25…とは別に配設された腹側湾曲弾性部材28,28…も、その長手方向中間に縦方向との縦方向交差角θが最小となる最小点を有するとともに、この最小点から幅方向両側に向かうにつれて縦方向交差角θが0度〜90度の範囲内で増加する所定の曲線であって、且つ使い捨ておむつを展開した状態で内装体の両側部と重なる領域内に縦方向交差角θが60°以下となる交差部分70を有する所定の曲線に沿って配置されている。腹側湾曲弾性部材2826は、一本であっても良いが複数本であるのが好ましく、図示例では5本の糸状弾性部材であり、これら腹側湾曲弾性部材28,28…は、互いに交差することなく、間隔をおいて配置されている。この腹側湾曲弾性部材群28、28…も、2,3本程度の弾性伸縮部材を間隔を密にして実質的に一束として配置されるのではなく、所定の伸縮ゾーンを形成するように3〜20mm、好ましくは6〜16mm程度の間隔を空けて、3本以上、好ましくは5本以上配置される。
【0028】
なお、図示例では、前身頃F及び後身頃Bに配置された腰回り弾性部材25,25…及び湾曲弾性部材26…、28…は、内装体10を横切る部分には設けられておらず、当該部分が非伸縮領域とされている。このように、弾性部材を有しない又は設けられていない形態には、弾性部材が存在しない形態の他、弾性部材は存在するが収縮力が作用しない程度に細かく切断させている形態も含まれる。例えば、後者の例としては、腰回り弾性部材25,25…及び湾曲弾性部材26…、28…を、一方側の連結側部22から内装体10を横切って他方(反対)側の連結側部22まで連続的に設けた後に、内装体10を横切る部分の一部又は全部を切断し、不連続とする一般的な形態が含まれる。弾性部材を内装体10と重なる部分で不連続とすることにより、内装体(特に吸収体13)の幅方向の縮こまりをより防止することができる。もちろん、腰回り弾性部材25,25…及び湾曲弾性部材26…、28…を、内装体10を横切って連続的に配置することもできる。
【0029】
上述した外装シート20は、例えば特開平4−28363号公報や、特開平11−332913号公報記載の技術により製造することができる。また、湾曲弾性部材26…、28…を内装体10上で切断し不連続化するには、特開2002−35029号公報、特開2002−178428号公報及び特開2002−273808号公報に記載される切断方法が好適に採用される。
【0030】
図示例とは異なり、湾曲弾性部材を、前身頃F及び後身頃Bのいずれか一方にのみ設けるだけでも良い。また、湾曲弾性部材26…、28…を、前身頃F及び後身頃Bの両方に設ける場合、前身頃F側に配置された湾曲弾性部材の群の一部又は全部と、後身頃B側に配置された湾曲弾性部材Bの群の一部又は全部とが交差する形態(図示せず)も採用できるが、図示例のように、前身頃F側に配置された湾曲弾性部材28の群と、後身頃B側に配置された湾曲弾性部材Bの群とは互いに交差することなく前後方向中間部、特に前身頃Fに若干偏った位置で縦方向に離間している形態が好適であり、その縦方向離間範囲90における最小縦方向離間距離は10〜15mm程度とし、この部分に後述する広幅の固定領域を設けるのが好ましい。
さらに、湾曲弾性部材26…、28…は図示例のようにその全体が湾曲していなくても良く、部分的に直線状の部分を有していても良い。
【0031】
(連結手段)
図1、図3、図6〜図8に示すように、外装シート20の前身頃Fの両側部である連結側部21には、それぞれ外装シート20の内面に、公知の接着剤、サーマルまたはウルトラソニックボンドにより連結側部21の側縁に沿って縦方向に延びるループ部材からなる第1係合部40が取付けられている。
外装シート20の内面と第1係合部40と剥がれを防止するため、第1係合部40が取付けられる外装シート20の連結側部21には、ウエスト部弾性部材24,24…、腰回り弾性部材25、25…、腹側湾曲弾性部材28,28…を配設しないのが好ましい。
【0032】
外装シート20の後身頃Bの両側部である連結側部22には、それぞれ外装シート20の内面に、公知の接着剤、サーマルまたはウルトラソニックボンドにより幅方向に延出する支持部材41が設けられている。
後述する第3係合部46を容易に引き起し外装シート20の前身頃Fの外面に連結させるため、支持部材41の上側部、すなわちレッグ開口部側の部位は、支持部材41の下側部、すなわちウエスト開口部側の部位より幅方向の外側に延出している。
【0033】
使い捨ておむつ1の指示部材41の側部には、第2係合部45と第3係合部46との間に側縁から幅方向内側に向かいスリット47が設けることが好適である。
前身頃Fの外面に第3係合部46を係合する際に、指示部材41のスリット47がそれぞれ前身頃Fの側部を挟み込むことにより、装着者の太股による垂直力に対する抗力として作用し、また、垂直力を分散させ、外装シート20の前身頃Fと後身頃Bとの剥がれを防止することができる。
スリット47は、支持部材41の湾曲開始端部の側縁から第2係合部45の幅方向内側縁に対向する部位まで設けるのが好適であり、スリット47に替えて指示部材41の側部にミシン目を設けても良く、この場合、装着者が使い捨ておむつ1を装着する際に、ミシン目を破断しスリット47とする。
【0034】
支持部材41としては、不織布、織布、網布等の種々の材料を用いることができるが、装着者に使い捨ておむつ1を密着して装着させるため、幅方向に伸縮する伸縮性不織布を用いることができ、第3係合部46が取付けられた支持部材41の上部片44と外装シート20の後身頃Bの側部に取付ける支持部材41の下部片42との間の中間片43に幅方向に伸縮する伸縮性不織布を用いるのが好適である。
前身頃Fの外面と第3係合部46とを係合する際に、第3係合部46を適切な位置まで引き延ばせ、使い捨ておむつを装着者に密着して装着することができる。
また、伸縮性不織布は太股による垂直力を対する抗力として作用し、垂直力を分散し、外装シート20の前身頃Fと後身頃Bとの剥がれを防止することができる。
【0035】
支持部材41の上側部には、支持部材41の内面に、公知の接着剤、サーマルまたはウルトラソニックボンドにより支持部材41の側縁に沿って縦方向に延びるフック部材からなる第3係合部46が取付けられ、支持部材41の下側部には、支持部材41の外面に、公知の接着剤、サーマルまたはウルトラソニックボンドにより支持部材41の側縁に沿って縦方向に延びるフック部材からなる第2係合部45が取付けられている。
また、第3係合部46を容易に引き起し外装シート20の前身頃Fの外面に連結させるため、支持部材41の幅方向の側縁より4〜8mmに幅方向内側に第3係合部46は取付けられている。
【0036】
第1係合部40の大きさは、使い捨ておむつ1のサイズにより異なるが、通常の大人用の使い捨ておむつ1の場合、所要の係合強度を有するため、幅25〜35mm、縦160〜180mmである。
なお、係合強度とは、使い捨ておむつ1の片側の第1係合部40と第2係合部45、第3係合部46と外装シート20の前身頃Fの外面とをそれぞれ連結した状態において、連結されていない使い捨ておむつ1の片側を幅方向に引張り、使い捨ておむつ1の他片側の第1係合部40と第2係合部45、第3係合部46と外装シート20の前身頃Fの外面とを連結する際に、使い捨ておむつ1の片側の第1係合部40と第2係合部45の係合面、第3係合部46と外装シート20の前身頃Fの外面との係合面に作用するせん断力に対する強さをいうものとする。
【0037】
第3係合部46の大きさは、使い捨ておむつ1のサイズにより異なるが、通常の大人用の使い捨ておむつ1の場合、所要の係合強度を有するため、幅20〜30mm、縦30〜65mmである。なお、使い捨ておむつ1にあっては、第3係合部46は支持部材41の上側部の形状に合わせ略台形形状に形成されている。
【0038】
第2係合部45の大きさは、使い捨ておむつ1のサイズにより異なるが、通常の大人用の使い捨ておむつ1の場合、所要の係合強度を有するため、幅10〜20mm、縦60〜80mmである。
【0039】
使い捨ておむつ1のサイズにより異なるが、通常の大人用の使い捨ておむつ1の場合、
第1係合部40と第2係合部45とのせん断応力は5N/cm2以上であり、係合強度は60N以上であるのが好適である。
係合強度が60N以下の場合には、装着者の歩行、着座等にともなう太股からの力により第1係合部40と第2係合部45との連結が分離されるおそれがあるからである。
同様に、第3係合部46と外装シート20の前身頃Fの外面との剪断応力は5N/cm2以上であり、係合強度は60N以上であるのが好適である。
係合強度が60N以下の場合には、装着者の歩行、着座等にともなう太股からの力により第3係合部46と外装シート20の前身頃Fの外面との連結が分離されるおそれがあるからである。
【0040】
使い捨ておむつ1では、第2係合部45と第3係合部46とは同一のフック部材を用いているが、それぞれ異なるフック部材を用いることもできる。
また、使い捨ておむつ1では、第1係合部40にループ部材を、第2係合部45にフック部材を用いているが、係合強度が十分確保できる場合にあっては、第1係合部40にループ部材を取付けることなく、直接、第2係合部45と外装シート20の内面とを連結することができる。
さらに、第1係合部40にフック部材を、第2係合部45にループ部材を用いることもできる。
【0041】
図2、図9、図10に示すように、装着前の使い捨ておむつ1にあっては、支持部材41は逆Z型に畳まれ第2係合部45、第3係合部46は、それぞれ第1係合部40と係合し仮止めされている。
逆Z型に畳まれた支持部材41は、外装シート20の後身頃Bの内面から内面方向に向かい順に、相互に連続する下部片42、中間片43、上部片44をなし、下部片42の内面と下部片42の内面に対向する中間片43の内面とは、公知の接着剤、サーマルまたはウルトラソニックボンドにより取り外し可能に接着され仮止めされている。
同様に、中間片43の外面と中間片43の外面に対向する上部片44の外面とは、公知の接着剤、サーマルまたはウルトラソニックボンドにより取り外し可能に接着され仮止めされている。
なお、使い捨ておむつ1の支持部材41の下側部には、中間片43から幅方向に延びる上部片44は形成されていない。
【0042】
支持部材41の下側部の中間片43の外面に第2係合部45が、支持部材41の上側部の上部片44の内面に第3係合部46が、公知の接着剤、サーマルまたはウルトラソニックボンドにより取付けられている。
【0043】
支持部材41を逆Z型に畳み、第2係合部45、第3係合部46がそれぞれ第1係合部40と係合し仮止めされていることから、装着者が使い捨ておむつ1を装着する際、第1係合部と第2係合部45とを分離し再係合する必要がなく使い捨ておむつ1を容易に装着できる。
また、装着者の体型にもよるが、装着者と装着前の使い捨ておむつ1の密着性が優れる場合には、第1係合部と第3係合部46とを分離し、第3係合部46を外装シート20の前身頃Fの外面することなく使い捨ておむつ1を装着することも可能である。
【0044】
図11に示すように、装着者が使い捨ておむつ1を装着する場合、第1係合部40と第2係合部45とを係合し、外装シート20の前身頃Fの外面と第3係合部46とを係合することにより外装シート20の前身頃Fと後身頃Bとが連結する。
装着者の歩行、着座等にともなう太股からの力が、使い捨ておむつ1の内側から外側に向かって作用した場合にあっても、外装シート20の前身頃Fの外面と第3係合部46とを係合による連結は確実に維持することができ、装着者と使い捨ておむつ1の密着性は維持され、使い捨ておむつ1の外部に体液等の漏れは発生することは少ない。
また、外形シート20の前身頃Fまたは後身頃Bの側縁に装着者の手が触れたり、着衣がこすれた場合にあっても、第1係合部40と第2係合部45または外装シート20の前身頃Fの外面と第3係合部46のいずれか一方の連結は確実に維持することができる
【0045】
(外装シート20の柔軟化に関する構成)
特徴的には、腰回り弾性部材25…を有する縦方向範囲と湾曲弾性部材26…、28…を有する縦方向範囲31とが一部(又は全部でも良い)重複しており、且つこの重複範囲30内に腰回り弾性部材25…が複数本(例えば5〜10本程度)含まれるとともに、そのうちの少なくとも一部の腰回り弾性部材25…の相互間隔d1が他の腰回り弾性部材25…の相互間隔d2よりも広くなっている。また、重複範囲30外においても、湾曲弾性部材26…、28…を有する縦方向範囲31とウエスト部弾性部材24を有する縦方向範囲との間の中間範囲32に、腰回り弾性部材25…が複数本(例えば10〜16本程度)設けられている。
【0046】
このように、腰回り弾性部材25…を有する縦方向範囲と湾曲弾性部材26…、28…を有する縦方向範囲との重複範囲30をある程度許容しつつ、その範囲内に腰回り弾性部材25…の相互間隔の広い部分を設けることによって、フィット性を損ねずに、弾性部材の密集を抑制することができる。その結果、上記重複範囲30において外装シート20にプリーツが密集せず、厚みの不必要な増加、弾性部材自体及びその接着による硬質化が抑制され、もって柔軟で快適な装着感が得られるようになる。
【0047】
通常の場合、上述の腰回り弾性部材25…の相互間隔d1は15〜50mm程度、他の腰回り弾性部材25…の相互間隔d2は10〜20mm程度とするのが好ましい。また、重複範囲30の縦方向長さは展開状態での使い捨ておむつの全長の15〜30%程度であるのが好ましく、重複範囲30に占める腰回り弾性部材25…の相互間隔の広い間隔部分35の割合は縦方向長さの比(すなわち、間隔d1の総和/重複範囲30の縦方向長さ)で60〜100%程度であるのが好ましい。上記重複範囲30が狭すぎると、腰回り弾性部材25…の間隔を広げる意義が薄くなり、広過ぎると腰回り弾性部材25…の間隔の広い部分35が増加することによりフィット性が低下する。また、上記重複範囲30内に占める腰回り弾性部材25…の相互間隔の広い部分35の割合が少な過ぎると柔軟性の向上は見込めるものの顕著な向上は困難となる。
【0048】
具体的に、図示例の場合、重複範囲30に占める腰回り弾性部材25…の相互間隔d1の広い部分35の割合は、前身頃Fでは40%程度、後身頃Bでは100%となっている。このように、柔軟性向上に関する構成は、前身頃Fと後身頃Bとで異ならしめることができ、外装シート20における前身頃F及び後身頃Bのいずれか一方にのみ適用することも可能である(以下同じ)。
【0049】
(内装体の構造例)
内装体10は、図4〜図8に示すように、不織布などからなる液透過性表面シート11と、ポリエチレン等からなる液不透過性裏面側シート12との間に、吸収体13を介在させた構造を有しており、表面シート11を透過した排泄液を吸収保持するものである。
【0050】
吸収体13の表面側(肌当接面側)を覆う液透過性表面シート11としては、有孔または無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維は、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法は嵩高でソフトである点で優れている。液透過性表面シート11に多数の透孔を形成した場合には、尿などが速やかに吸収されるようになり、ドライタッチ性に優れたものとなる。液透過性表面シート11は、吸収体13の側縁部を巻き込んで吸収体13の裏面側まで延在している。
【0051】
吸収体13の裏面側(非肌当接面側)を覆う液不透過性裏面側シート12は、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどの液不透過性プラスチックシートが用いられるが、近年はムレ防止の点から透湿性を有するものが好適に用いられる。この遮水・透湿性シートは、たとえばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートである。
【0052】
吸収体13としては、公知のもの、例えばパルプ繊維の積繊体、セルロースアセテート等のフィラメントの集合体、あるいは不織布を基本とし、必要に応じて高吸収性ポリマーを混合、固着等してなるものを用いることができ、図示例では平面形状を略方形状として成形されたものが使用され、その幅寸法は股間部への当たりによって装着者にゴワ付き感を与えない寸法幅となっている。この吸収体13は、形状及びポリマー保持等のため、必要に応じてクレープ紙等の、液透過性及び液保持性を有する包装シート14によって包装することができる。吸収体13の形状は、図示形態のように長方形状とする他、背側及び腹側に対して股間部の幅が狭い砂時計形状(括れ形状)とすることもできる。
【0053】
内装体10の両側部には脚周りにフィットする立体ギャザーBSが形成されているのが好ましい。この立体ギャザーBSはギャザー不織布15により形成される、ギャザー不織布としては、図5〜図8に示されるように、折返しによって二重シートとした不織布が好適に用いられ、液透過性表面シート11によって巻き込まれた吸収体13の側縁部をさらにその上側から巻き込んで吸収体13の裏面側まで延在して接着されている。より具体的には、ギャザー不織布15は、使い捨ておむつ1の長手方向中間部では、立体ギャザーBS形成部分を残し、幅方向中間部から吸収体13の裏面側に亘る範囲がホットメルト接着剤等によって接着され、また長手方向前後端部では、幅方向中間部から一方側端縁までの区間が吸収体13の裏面側に亘る範囲で接着されるとともに、立体ギャザーBSを形成する部分を吸収体13の上面部にて折り畳むようにしながらホットメルト接着剤等により接着している。
【0054】
二重シート不織布によって形成されたギャザー不織布15の内部には、起立先端側部分に複数本の糸状弾性伸縮部材16、16…が配設されている。糸状弾性伸縮部材16、16…は、製品状態において図5に二点鎖線で示すように、弾性伸縮力により吸収体側縁部より突出する不織布部分を起立させて立体ギャザーBSを形成するためのものである。
【0055】
液不透過性裏面側シート12は、二重シート状のギャザー不織布15の内部まで進入し、図5に示されるように、立体ギャザーBSの下端側において防漏壁を構成するようになっている。この液不透過性裏面側シート12としては、排便や尿などの褐色が出ないように不透明のものを用いるのが望ましい。不透明化としては、プラスチック中に、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、ホワイトカーボン、クレイ、タルク、硫酸バリウムなどの顔料や充填材を内添してフィルム化したものが好適に使用される。
【0056】
糸状弾性伸縮部材16としては、通常使用されるスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等の素材を用いることができる。また、外側から見え難くするため、太さは925dtex以下、テンションは150〜350%、間隔は7.0mm以下として配設するのがよい。なお、糸状弾性伸縮部材に代えて、ある程度の幅を有するテープ状弾性伸縮部材を用いるようにしてもよい。
【0057】
前述のギャザー不織布15を構成する素材繊維も液透過性表面シート11と同様に、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工方法に得られた不織布を用いることができるが、特にはムレを防止するために坪量を抑えて通気性に優れた不織布を用いるのがよい。さらにギャザー不織布15については、尿などの透過を防止するとともに、カブレを防止しかつ肌への感触性(ドライ感)を高めるために、シリコン系、パラフィン金属系、アルキルクロミッククロイド系撥水剤などをコーティングした撥水処理不織布を用いるのが望ましい。
【0058】
(前後押えシート)
図1、図4にも示されるように、外装シート20の内面上に取り付けられた内装体10の前後端部をカバーし、且つ内装体10の前後縁からの漏れを防ぐために、前後押えシート50,60が設けられている。図示形態について更に詳細に説明すると、前押えシート50は、前身頃F内面のうちウエスト側端部の折り返し部分20Cの内面から内装体10の前端部と重なる位置まで幅方向全体にわたり延在しており、後押えシート60は、後身頃B内面のうちウエスト側端部の折り返し部分20Cの内面から内装体10の後端部と重なる位置まで幅方向全体にわたり延在している。前後押えシート50,60の股下側縁部に幅方向の全体にわたり(中央部のみでも良い)若干の非接着部分を設けると、接着剤が食み出ないだけでなく、この部分を表面シートから若干浮かせて防漏壁として機能させることができる。
【0059】
図示形態のように、前後押えシート50,60を別体として取り付けると、素材選択の自由度が高くなる利点があるものの、資材や製造工程が増加する等のデメリットもある。そのため、外装シート20を使い捨ておむつ1内面に折り返してなる折り返し部分20Cを、吸収パッド200と重なる部分まで延在させて、前述の押えシート50,60と同等の部分を形成することもできる。
【0060】
(外装シートを構成する不織布ついて)
外装シート20を構成する不織布のうち、少なくとも最も外側に位置する不織布20Bとして、捻れ度が3.8gf・cm/cm以下のものが好適である。外装シート20を構成する不織布全て、つまり最も外側に位置しない他の不織布20A、50,60についても最外側不織布20Bと同様の不織布を採用するのが望ましい(以下同じ。)。このように、捻れ度が十分に低い不織布を用いると、使い捨ておむつ全体としてのしなやかさが顕著に増加し、その結果、ゴワゴワした装着感や、肌との擦れによりかゆみやかぶれ等の肌トラブルが軽減し、脱ぎ着し易くなる等の利点がもたらされる。捻れ度が十分に低くないとしなやかさの改善効果は発現しない。このような捻れ度は、例えば原料繊維の種類の選択、繊度を細くする、繊維長を短くする、目付けや厚みを減らす等により達成することができる。
【0061】
また、最外側不織布20Bにおける平均表面摩擦係数と平均偏差との比MIU/MMDが20以上であるのが好ましく、特に25以上であるのがより好ましい。MIU/MMD比を十分に大きくすることにより、外装シート表面の触感が良好となることにより、しなやかさが補われ、例えば肌との擦れによりかゆみやかぶれ等の肌トラブルがより一層軽減されるようになる。このようなMIU/MMD比は、例えば、繊度を細くする、表面加工を施す等により達成することができる。
【0062】
また、外装シート20としての基本機能(隠蔽機能、強度等)を損ねないよう、最外側不織布20Bは、目付けが10〜30g/m2であり、且つ圧力0.5g/cm2のときの厚みT0が0.1〜1.0mmであるのが好ましい。より好ましい目付けは13〜22g/m2、厚みT0は0.1〜0.5mmである。
【0063】
さらにしなやかさを補うため、最外側不織布20BのJIS−L−1096(45度カンチレバー法)による剛軟度は45mm以下であるのが好ましく、35mm以下であるのがより好ましい。これにより、特にゴワゴワ感の軽減及び脱ぎ着のし易さがより一層好ましいものとなる。このような剛軟度は、例えば、原料繊維の種類の選択や割合の変更、エンボス圧を下げる、目付や厚みを減らす等により達成することができる。
【0064】
しなやかさを向上させると強度が低下し易いため、最外側不織布20Bは、JIS−P−8113に規定される引張強度が幅方向において40〜120kgf/m、特に60〜100kgf/m、前後方向において10〜80kgf/m、特に25〜60kgf/mであり、JIS−P−8116に規定される引裂強度が前後方向において4〜30kgf/m、特に8〜25kgf/mであるのが好ましい。このような引張強度及び引裂強度は、例えば、繊維同士の絡まり度合いを増す等により達成することができる。
【0065】
最外側不織布20Bの圧縮特性もしなやかさと密接に関連するものである。よって、最外側不織布20Bの圧縮特性は、圧縮硬さLCが0.3〜1.0、特に0.5〜0.9であり、且つ圧縮仕事量WCが0.01〜0.10、特に0.01〜0.07であり、圧縮レジリエンスRCが20〜90%、特に25〜70%であるのが好ましい。このような圧縮硬さLC、圧縮仕事量WC、圧縮レジリエンスRCは、例えば、原料繊維の種類の選択や割合の変更、目付や厚みを減らす等により達成することができる。
【0066】
最外側不織布20Bは、原料繊維の物質、構造、製法、繊度、繊維長(短繊維、フィラメント)等については、特に限定されない。例えば、原料繊維としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維等から適宜選択でき、また繊維構造としては並列型、芯鞘型等の2層型複合繊維、多層型複合繊維、非複合繊維、混合繊維、分割繊維等から適宜選択することができる。さらに、製法としては、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等、公知の方法から適宜選択して用いることができる。繊維の繊度や繊維長についても公知の仕様を採用することができるが、繊度は0.7〜3dtex、特に1〜2.5dtexが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、使い捨ておむつにおいて利用できるものである。
【符号の説明】
【0068】
1 使い捨ておむつ
10 内装体
11 液透過性表面シート
12 液不透過性裏面側シート
13 吸収体
14 包装シート
15 ギャザー不織布
20 外装シート
21 連結側部
22 連結側部
24 ウエスト部弾性部材
25 腰回り弾性部材
26 背側湾曲弾性部材
28 腹側湾曲弾性部材
40 第1係合部
41 支持部材
42 下部片
43 中間片
44 上部片
45 第2係合部
46 第3係合部
47 スリット
50 前押えシート
60 後押えシート
F 前身頃
B 後身頃。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前身頃及び後身頃を有する外装シートと、この外装シートの内面に固定された、吸収体を含む内装体とを備え、前記外装シートの前身頃と後身頃とが係合かつ分離可能な連結手段により連結されることにより、ウエスト開口部及び左右一対のレッグ開口部が形成された、使い捨ておむつにおいて、
前記連結手段が、外装シートの前身頃または後身頃のいずれかの身頃の両側部の内面と、
前記身頃に対向する前身頃または後身頃のいずれかの身頃の両側部の内面に支持部材を設け、
前記支持部材の上側部の内面に下側部の側縁に沿って縦方向延びる第2係合部を取付け、
前記支持部材の下側部の外面に上側部の側縁に沿って縦方向延びる第3係合部を取付け、
外装シートの連結時に、前記身頃の両側部の内面と第2係合部とが係合し、前記身頃の外面と第3係合部とが係合することにより前身頃と後身頃とが連結される
ことを特徴とする使い捨ておむつ。
【請求項2】
前記外装シートの前身頃または後身頃のいずれかの身頃の両側部の内面に側縁に沿って縦方向延びる第1係合部を取付け、
外装シートの連結時に、前記第1係合部と第2係合部とが係合し、前記第1係合部が取付けられた身頃の外面と第3係合部とが係合することにより前身頃と後身頃とが連結される請求項1記載の使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記指示部材の側部には、第2係合部と第3係合部との間に側縁から幅方向内側に向かいスリットが設けられている請求項1または2記載の使い捨ておむつ。
【請求項4】
前記第3係合部の幅方向内側の支持部材の中間片が、幅方向に伸張可能にされていることを特徴とする請求項1乃至3記載の使い捨ておむつ。
【請求項5】
前記支持部材は、逆Z型に畳まれ身頃側から内面方向に向かい順に下部片、中間片、上部片をなし、
前記中間片の下側部の外面に第2係合部を取付け、上部片の上側部の内面に第3係合部が取付けられ、
前記下部片の内面と下部片の内面に対向する中間片の内面と、並び、中間片の外面と中間片の外面に対向する上部片の外面とは仮止めされ、
第1係合部と第2係合部および第3係合部とが係合し仮止めされている請求項1乃至4のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項6】
前記第1係合部が前身頃に取付けられ、前記支持部材が後身頃に設けられている請求項1乃至5のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項7】
前記第1係合部が後身頃に取付けられ、前記支持部材が前身頃に設けられている請求項1乃至5のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−10904(P2012−10904A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−149637(P2010−149637)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】