説明

吸水ローラー

【目的】 床その他の平面や凹面にある水をスポンジにより吸い取り、かつ簡単に排水できるようにする。
【構成】 吸水性のスポンジにより円筒状に形成したローラー本体11の中心の軸孔に中心軸12を挿入し、その軸方向に対して相対的に移動可能に取り付ける。またローラー本体11を軸方向へ圧縮させるための加圧板13を摺動可能に中心軸12に取り付ける。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は各種吸水用途に使用するため、吸水性のスポンジにより円筒状に形成されたローラー本体を中心軸に回転可能に取り付けた構成を有する相対的に大型のスポンジローラーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば掃除の際に水を排除するには従来、ブラシ類を使用してきた。そのブラシ類にはブラシを有するものやワイパーのようなゴムブレードを有するものなどがあるが、それらによって排除した水は、掃除面から別の場所へ移動するだけである。故に水を完全に排除するには吸い取るなど別の手段を講じる必要がある。
このような事態は床に対する作業のほかに、例えばゴルフ場のグリーンに溜った水を排除する場合にも発生する。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
本考案は前記の点に着目してなされたもので、その課題はとするところは床乃至パッティンググリーンその他の平面や凹面にある水を吸い取ることにより排除し、かつ吸水したものを簡単に排除することができるようにすることである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本考案はローラー本体11を中心軸12に軸方向に対して相対的に移動可能かつローラー本体11の一方の端部を停止可能に取り付け、かつローラー本体11を軸方向へ圧縮させるための加圧板13をローラー本体11の直径より小径に形成するとともに、ローラー本体11の少なくとも他の一方の端部に接する位置の中心軸12に摺動可能に取り付けるという手段を講じたものである。
【0005】
【実施例】
図面は本考案に係る吸水ローラーの標準的な例を示すものでローラー本体10は全体が吸水性のスポンジにより円筒状に形成されている。ローラー本体10は、円筒型内で発泡性樹脂を発泡させた連続気泡を有する継ぎ目無し型の構造が望ましいが、これに限定されるものではない。つまり平板状のスポンジを巻いて円筒型にしたものや、円筒を何層かに積層した構造を有していても良い。なお円筒の軸心に相当する中心にはそこを貫通する軸孔16を設ける。
【0006】
このローラー本体10は床掃除に使用するものを想定しており、大きさの一例を挙げると直径約21cm、長さ約40cmであり、約13リットル内外の容積を有する。故に完全に吸水させると10リットル余りの吸水量を発揮する、相対的に大型のものである。
【0007】
ローラー本体11を回転可能に取り付ける中心軸12は、ローラー本体11の長さより軸保持部分だけ長い直線状の部材である。ローラ−本体11より突出する左右の軸端12a,12bにはローラー本体11を囲むほぼコ字形の枠材の端部が結合してあり、その枠材と中心軸12とで頑丈な四辺形状の基枠14を構成している。
【0008】
その左右の軸端12a、12bの部分の内側には、ローラー本体11の端面に接する位置に夫々加圧板13を介装する。この加圧板13はローラー本体11の直径より小径の円板状の部材からなり、中心の孔に中心軸12を摺動可能に挿し込み、軸端12a、12bとの境界に設けられたストッパー部分18に当接して止まる。
【0009】
左右の加圧板13、13の間隔はローラー本体11の自由長さ(図3鎖線)よりも短く設定されているので、加圧板13、13はローラー本体11によって圧迫され、がたつくことはない。加圧板13、13の板面には複数個の透孔15を開口し、水がそこから出るようにしておく。
【0010】
さらに前記基枠14にはこのローラーを操作するための柄17を取り付ける。
この柄17は、ローラー本体11を回転させるために押すもので、相対的に大型の本案ローラー装置に見あった強度と操作上必要な長さを有する。
【0011】
なお、ローラー本体11は軽量な発泡体であり、中心軸12を含む基枠14は合成樹脂等の管によって軽量に形成され、加圧板13も例えばアルミ合金、合成樹脂等錆びにくく軽量な材料によって形成することによりローラー全体も極力軽量に仕上げる。
【0012】
【考案の効果】
本考案は以上の如く構成されかつ作用するものであるから、ローラー本体11を床その他の水がある部分において回転させるとそれらの部分の水を吸い取ることができ、かつローラー本体11は保水タンクとして廃棄場所へ移動することができ、さらに廃棄する場合は加圧板13を中心方向へ摺動させることによりローラー本体11を圧縮して絞ることができるので(図2参照)、吸水から廃棄に到る作業が非常に円滑に行なえるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に係る吸水ローラーの実施例を示す斜視図。
【図2】同上ローラーにより水気を絞る作業を示す平面図。
【図3】図上ローラーの縦断面図。
【図4】同じく横断面図。

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 吸水性のスポンジにより円筒状に形成されたローラー本体を中心軸に回転可能に取り付けた構成を有する相対的に大型のスポンジローラーであって、前記ローラー本体11は中心軸12に軸方向に対して相対的に移動可能かつローラー本体11の一方の端部を停止可能に取り付け、かつローラー本体11を軸方向へ圧縮させるための加圧板13をローラー本体11の直径より小径に形成するとともに、ローラー本体11の少なくとも他の一方の端部に接する位置の中心軸12に摺動可能に取り付けたことを特徴とする吸水ローラー。
【請求項2】 中心軸12は、当該中心軸を一辺とする概ね四辺形状の基枠14を構成しており、この基枠14は人力で操作し得る量の水を吸った大型のローラー本体11を支えるために必要な構造強度を備えている請求項第1項記載の吸水ローラー。
【請求項3】 加圧板13は板面に開口した複数個の透孔15を有する請求項第1項記載の吸水ローラー。
【請求項4】 吸水性のスポンジにより円筒状に形成されたローラー本体を中心軸に回転可能に取り付けた構成を有する相対的に大型のスポンジローラーであって、全体を吸水性のスポンジにより円筒状に形成し、円筒の軸心に相当する位置に軸孔16を開口したローラー本体11と、前記軸孔16に挿通する中心軸12を有し、ローラー本体11を囲みかつその端面から突出した中心軸12の軸端12a、12bに接続される概ね四辺形状の基枠14並びにその基枠14に取り付けた操作用の柄17と、ローラー端面に接触可能に前記の軸端12a、12bに摺動可能に取り付けた加圧板13とによって構成された吸水ローラー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【登録番号】第3002796号
【登録日】平成6年(1994)7月27日
【発行日】平成6年(1994)10月4日
【考案の名称】吸水ローラー
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平6−4730
【出願日】平成6年(1994)4月5日
【出願人】(391063466)菊池機工株式会社 (1)