説明

吸汗・脱臭パッド

【目的】装脱着が簡単で、性能が優れた吸汗・脱臭パッドを提供すること。
【構成】上記目的は、柔軟で通気性の良い不織布等の布基材、柔軟な吸水体(及び脱臭体)、並びに柔軟で通気性の良い不織布等の布基材を順次積層してなる吸汗(脱臭)部材の一面に剥離紙で粘着剤露出面を覆った両面粘着テープを貼着し、また上記と同じ面に該両面テープと交叉する方向に伸縮性及び通気性に富んだ低皮膚刺激性粘着テープを、粘着剤露出面を剥離紙で被い、上記吸汗(脱臭)部材からはみ出させて貼着したことを特徴とするパッドとすることによって達成することができる。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
高温多湿の夏季などに正装して、腋下に吹き出す汗や臭いに悩まされる人が多い。本考案はそのような腋下に吹き出した汗や腋下の臭いを吸収するための、一般消費者が手軽に利用出来る部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
腋下の汗や臭いを吸収するために、これまでに、多くの製品が提案されてきている。例えば、吸水体を内包した円形のパッドを折り返して三日月状にして腋下へ装着しやすくしたパッド(特公平4-66921号公報記載)、表面フィルム材と吸汗不織布間に隙間を形成させて湿り気感を無くしたパッド(特開平3-198849号公報記載)、袖部の脇下部内部面に吸汗パッドを取付けた下着(実開昭57-133507号公報記載)、吸汗パッドを取付けた肌襦袢(実公平1-18564号公報記載)、脱臭剤で形成したパッド体と該パッド体と一体成形した貼着部とからなる人体、衣服双方に貼着可能な脱臭パッド(実開平2-23550号公報記載)、肩掛け紐を持った脱臭パッド(実開平5-13422号公報記載)、直接腋下皮膚に貼り付けるようにした汗取りパッド(実開平6-10304号公報記載)等がある。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
上記したように、これまでに、吸汗、脱臭効果を有する各種の腋下用パッドが提案されているが、装脱着がさらに簡単で、長時間装着した場合の使い勝手が良く、かつ、性能の優れた吸汗、脱臭パッドが望まれていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、柔軟な不織布等の通気性布基材間に柔軟な吸水体、又は吸水体と脱臭体とを内包した、吸汗作用又は吸汗及び脱臭作用を有する吸汗部材又は吸汗・脱臭部材の片面の一部に弱粘着性面を剥離紙で被った片面弱粘着性両面粘着テープを貼着し、更に同じ面で該両面テープと交叉する方向に伸縮性及び通気性に富む低皮膚刺激性の粘着テープを、粘着剤露出面を剥離紙で被って、上記吸汗部材又は吸汗脱臭部材から十分はみ出させて貼着したパッドとすることによって解決することができる。
【0005】
上記吸水体としては、粉砕パルプをティッシュ上に積層したものなどが使用可能であるが、更にデンプン・アクリル酸グラフト共重合系樹脂のような高吸水性材料を用いると長時間の使用に耐えるものを得ることができる。
【0006】
また、上記脱臭体としては、安価な天然ゼオライトを繊維に練り込んだものも用い得るが、さらに強い脱臭性を得たい場合には銀イオンや銅イオンを保持させた合成セラミックスを使用する。
【0007】
吸汗、脱臭機能を有する布製部材を衣服に固定するには、幅10mm程度の両面粘着テープを使用する。この両面粘着テープは片面強粘着性、他の面は弱粘着性のものを使用する。また、上記部材を直接皮膚に付着させる場合には、幅10mm程度の伸縮性布基材に低皮膚刺激性の弱粘着性粘着剤を塗布した片面粘着テープを使用する。
【0008】
【作用】
本考案になる吸汗・脱臭パッドは、利用者の好みに応じて、衣服あるいは皮膚のどちらにでも装着出来る特徴を有している。衣服に装着する場合には両面テープの粘着面を被覆していた剥離紙を取り除いて貼り付ければよい。該両面テープは強粘着面と弱粘着面とから形成されており、強粘着面はパッド本体に貼着されている。弱粘着面を衣服に貼り付けるため、使用後にパッドを衣服から取り除く際に衣服側に粘着テープが残留するようなことはない。
【0009】
また、皮膚に付着させるための粘着テープは、低皮膚刺激性かつ低粘着性であるので、着用中に皮膚を刺激することがないか、またたとえ刺激したとしても、極めて弱いものである。皮膚からの脱着も容易である。また、該粘着テープは伸縮性の布基材を用いているため腕の曲げ伸ばし等を行っても違和感が少ない。
【0010】
なお、上記粘着テープはパッドの一部分を被っているのみであるのでパッド全体の通気性を阻害することはない。
【0011】
本考案になるパッドは、粘着面を覆っている剥離紙を除去すれば、衣服、皮膚の何れにも望みに応じてワンタッチで装着可能である。
【0012】
【実施例】
以下、本考案の吸汗脱臭パッドの構成について、実施例によって具体的に説明する。
【0013】
【実施例1】
図1は本考案になる吸汗パッドを皮膚に接する方向から見た概念図である。図において1は吸汗部材、2は背面に貼られている両面粘着テープ、3は吸汗部材からはみ出して背面に貼られている粘着テープである。また、図2は図1吸汗パッドの断面を概念的に示した図である。図2において4及び4'はポリエステル製の不織布である。5は吸水体で粉砕パルプを混入したティッシュで作製した。
吸水体5とその上下の不織布4、4'とは周辺部を縫い合わせて一体化してある。両面粘着テープ2の強粘着面11は吸汗部材に貼り合わされており、弱粘着面12は外部に向き、剥離紙7を被覆してある。皮膚に貼り合わせるための片面粘着テープ3及び3'は、長手方向に伸縮性を有する布基材上に皮膚刺激性の低分子量化合物を慎重に除去したアクリル系の弱粘着性粘着剤を塗工したもので、通気性に優れたものを使用する。なお、粘着剤面13及び13'は吸汗部材に向き、吸汗部材からはみ出している部分には剥離紙7'及び7''を被覆しておく。
【0014】
上記パッドを実際に被験者に着用させて効果を調べた。その結果、パッドは十分腋下の汗を吸収し、また、長時間違和感なく装着することができた。皮膚に直接装着した場合にもかぶれ等の発生はなかった。
【0015】
【実施例2】
図3は本考案になる吸汗・脱臭パッドの断面を概念的に示したものである。約30メッシュの天然ゼオライトを練り込んだポリエステル繊維からなる脱臭体6を吸水体5と不織布4'との間に挟んだ構成したもので、その他は実施例1の場合と同じ構成である。
【0016】
本吸汗・脱臭パッドの吸汗能力は実施例1の吸汗パッドの場合と変らず、また官能テストによる脱臭性も十分満足すべきものであった。
【0017】
【考案の効果】
以上述べてきたように、吸汗・脱臭パッドを本考案構成の吸汗・脱臭パッドとすることによって、装脱着がさらに簡単で、長時間装着した場合の使い勝手が良く、かつ、性能の優れた吸汗・脱臭パッドを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案吸汗パッドの概念を示す上面図。
【図2】図1の断面図。
【図3】本考案吸汗・脱臭パッドの概念を示す断面図。
【符号の説明】
1…吸汗部材、2…両面粘着テープ、3、3'…伸縮性粘着テープ、4、4'…不織布、5…吸水体、6…脱臭体、7、7'、7''…剥離紙、11…強粘着面、12…弱粘着面、13、13'…低皮膚刺激性弱粘着面。

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】柔軟で通気性の良い不織布等の布基材、柔軟な吸水体及び柔軟で通気性の良い不織布等の布基材を順次積層し、周辺部を縫合してなる吸汗部材の片面に、片面弱粘着性で該弱粘着性面を剥離紙で保護した両面粘着テープを貼着し、且つ該両面粘着テープと交叉する方向に、低皮膚刺激性粘着剤を用いた伸縮性及び通気性に富む粘着テープを、粘着剤露出面を剥離紙で保護して、上記吸水部材から十分はみ出させて貼着したことを特徴とする吸汗パッド。
【請求項2】柔軟で通気性の良い不織布等の布基材、柔軟な吸水体、柔軟な脱臭体及び柔軟で通気性の良い不織布等の布基材を順次積層し、周辺部を縫合してなる吸汗・脱臭部材の片面に、片面弱粘着性で、該弱粘着性面を剥離紙で保護した両面粘着テープを貼着し、かつ、該両面粘着テープと交叉する方向に、低皮膚刺激性粘着剤を用いた伸縮性及び通気性に富む粘着テープを、粘着剤露出面を剥離紙で保護して、上記吸水部材から十分はみ出させて貼着したことを特徴とする吸汗・脱臭パッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【登録番号】第3015718号
【登録日】平成7年(1995)6月28日
【発行日】平成7年(1995)9月12日
【考案の名称】吸汗・脱臭パッド
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平7−1754
【出願日】平成7年(1995)3月13日
【出願人】(000194332)株式会社スリオンテック (46)