説明

吸湿性ポリマー粒子の製造方法

【課題】
含水ポリマー粒子群を乾燥させて、熱による分解・劣化なしに、吸湿性ポリマー粒子群を効率よく生産する方法を提供することである。
【解決手段】
含水ポリマー粒子群に対して熱風を供給し、熱風を含水ポリマー粒子群中を通過させると共に、含水ポリマー粒子群に対して熱風の供給する側と反対側に熱風とは別の熱を印可して含水ポリマー粒子群を乾燥する乾燥工程を含むことを特徴とする吸湿性ポリマー粒子の製造方法、及び含水ポリマー粒子群を保持するためのプレート(1)と、乾燥機の内部へ熱風を吸入させるための吸気口(2)と、含水ポリマー粒子群中を通過した熱風を乾燥機の外部へ排出するための排気口(3)と、含水ポリマー粒子群に対して吸気口(2)と反対側に熱を印可するための加熱装置(4)とを備えることを特徴とする乾燥機を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吸湿性ポリマー粒子の製造方法に関する。さらに詳しくは吸水性樹脂粒子の製造方法として好適な吸湿性ポリマー粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
含水ポリマーを乾燥して吸湿性ポリマー粒子を得る方法としては、含水ポリマー粒子群に対して熱風を供給し、この熱風を含水ポリマー粒子群中を通過させて乾燥する乾燥工程を含む方法が知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開平8−73518号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の方法では、吸湿性ポリマー粒子群の中に未乾燥物が残るという欠点がある。この未乾燥物はトラブル(未乾燥物が乾燥機や後工程粉砕機に付着する等)の原因になる。
一方、このようなトラブルを回避するため、含水ポリマー粒子群の厚みを薄くしたり、処理速度を落とす方策等が考えられるが、吸湿性ポリマー粒子の生産能力を著しく低下させるという問題がある。また、乾燥温度等の熱容量を大きくする方策が考えられるが、エネルギーコストが大きくなるだけでなく吸湿性ポリマー粒子が熱による分解・劣化が生じるという問題がある。
本発明の目的は、未乾燥物を含まない吸湿性ポリマー粒子群を得る方法、すなわち、含水ポリマー粒子群を乾燥させて、熱による分解・劣化なしに、吸湿性ポリマー粒子群を効率よく生産する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明の吸湿性ポリマー粒子の製造方法は、含水ポリマー粒子群に対して熱風(N1)を供給し、この熱風(N1)を含水ポリマー粒子群中を通過させると共に、含水ポリマー粒子群に対して熱風(N1)の供給する側と反対側に熱風(N1)とは別の熱(N2)を印可して含水ポリマー粒子群を乾燥する乾燥工程を含む点を要旨とする。
【0005】
また、本発明の乾燥機の特徴は、含水ポリマー粒子群を保持するためのプレート(1)と、
乾燥機の内部へ熱風(N1)を吸入させるための吸気口(2)と、
含水ポリマー粒子群中を通過した熱風(N1)を乾燥機の外部へ排出するための排気口(3)と、
含水ポリマー粒子群に対して吸気口(2)と反対側に熱(N2)を印可するための加熱装置(4)とを備える点を要旨とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の製造方法は、含水ポリマー粒子群を乾燥させて、熱による分解・劣化なしに、吸湿性ポリマー粒子群を効率よく生産できる。したがって、未乾燥物を含まない吸湿性ポリマー粒子群を容易に得ることができるため、トラブルが激減する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
含水ポリマー粒子群としては含水ポリマー粒子からなる集合であれば、含水ポリマー粒子の個数や配列に制限はない。しかし、含水ポリマー粒子群中を熱風(N1)が通過できる必要がある。すなわち、含水ポリマー粒子群に、熱風(N1)が通過できる隙間が存在している。
含水ポリマー粒子群は、乾燥効率及び生産効率の観点等から、シート状であることが好ましい。シート状である場合、シートの厚さ(mm)は、12〜360が好ましく、さらに好ましくは24〜240、特に好ましくは36〜120、最も好ましくは48〜60である。
【0008】
含水ポリマー粒子としては、水と吸湿性ポリマーとからなる粒子を意味する。
水の含有割合に制限はないが、以下の範囲であると、従来技術に比較して本発明の効果をより発揮できる。すなわち、水の含有量(重量%)は、含水ポリマー粒子の重量に基づいて、10〜99が好ましく、さらに好ましくは40〜90、特に好ましくは60〜80である。
【0009】
なお、含水ポリマー粒子中に含まれる水の含有量は、赤外線水分計(例えば、株式会社ケット科学研究所社製、FD−230)を用いて、測定試料5gを150℃、15分間、加熱乾燥して、その前後の重量差から算出することができる。
【0010】
吸湿性ポリマーとしては、水を吸収できるポリマーであれば特に限定されないが、(1)〜(19)のポリマー等が含まれる。以下の吸湿性ポリマーの製造途中における含水ポリマー粒子等を、そのまま含水ポリマー粒子として用いてもよいし、吸湿性ポリマーに対して水を用いた処理(たとえば、表面架橋処理、着色処理、薬剤含浸処理)を施して含水ポリマー粒子としてもよい。
【0011】
(1)特公昭53−46199号公報又は特公昭53−46200号公報等に記載のデンプン−アクリル酸(塩)グラフト架橋共重合体。
(2)特開昭55−133413号公報等に記載の水溶液重合(断熱重合、薄膜重合又は噴霧重合等)により得られる架橋ポリアクリル酸(塩)。
(3)特公昭54−30710号公報、特開昭56−26909号公報又は特開平11−5808号公報等に記載の逆相懸濁重合により得られる架橋ポリアクリル酸(塩)。
(4)特開昭52−14689号公報又は特開昭52−27455号公報等に記載のビニルエステルと不飽和カルボン酸又はその誘導体との共重合体のケン化物。
(5)特開昭58−2312号公報又は特開昭61−36309号公報等に記載のアクリル酸(塩)とスルホ(スルホネート)基含有モノマーとの共重合体。
(6)米国特許第4389513号等に記載のイソブチレン−無水マレイン酸共重合架橋体のケン化物。
(7)特開昭46−43995号公報等に記載のデンプン−アクリロニトリル共重合体の加水分解物。
(8)米国特許第4650716号等に記載の架橋カルボキシメチルセルロース。
(9)高分子ゲルの最新動向(シーエムシー出版、2004年発行)等に記載のポリアルキレン(エチレン、プロピレン等)グリコール架橋体。
(10)高分子ゲルの最新動向(シーエムシー出版、2004年発行)等に記載のポリビニルアルコール架橋体。
(11)特開2003−48997号公報に記載のデンプン放射線架橋体。
(12)特開平9−85080号公報に記載のカルボキシル基含有架橋セルロース。
(13)特開平10−251402号公報に記載のポリアミノ酸放射線架橋体。
(14)特開2002−179770号公報に記載の架橋ポリアスパラギン酸。
(15)特開2001−120992号公報に記載の多糖類の多価金属イオン架橋体。
(16)特開2003−052742号公報、特開2003−082250号公報、特開2003−165883号公報、特開2003−176421号公報、特開2003−183528号公報、特開2003−192732号公報、特開2003−225565号公報、特開2003−238696号公報、特開2003−335970号公報、特開2004−091673号公報、特開2004−121400号公報、特開2004−123835号公報、特開2005−075982号公報、特開2005−095759号公報、特開2005−097569号公報、特開2005−186015号公報、特開2005−186016号公報等に記載された高性能吸水性樹脂。
(17) 特開昭64−43188号公報、特開昭58−36630号公報、特開平8−73691号公報、特開平9−316271号公報等に記載のポリビニルアルコール系ポリマー。
(18)特許第2812863号公報に記載のポリアクリルアミド系ポリマー。
(19)特開平9−51794号公報に記載の親水性ウレタン樹脂系ポリマー。
これらのうち、(1)、(2)、(3)及び(16)が好ましく、さらに好ましくは (1)、(2)及び(16)、特に好ましくは(2)及び(16)である。
すなわち、吸湿性ポリマー粒子のうち、吸水性樹脂粒子が好ましい。
【0012】
含水ポリマー粒子の大きさに制限はないが、乾燥効率の観点等から、含水ポリマー粒子群の全重量の80重量%以上(好ましくは85重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上)の大きさ(mm、最大長)が、0.5〜15であることが好ましく、さらに好ましくは0.5〜10、次に好ましくは0.5〜8、特に好ましくは1〜7、最も好ましくは2〜5である。
なお、含水ポリマー粒子の大きさは、裸眼による目視観察又は顕微鏡観察等によって計測される。これらのいずれの場合も写真撮影及び画像処理等を活用することができる。
含水ポリマー粒子の大きさが上記範囲より大きい場合、細断して調整することができる。細断するための装置(細断機)としては、ロールミル、ピンミル、フィッツミル、インターナルミキサー(バンバリーミキサー)、セルフクリーニング型ミキサー、スクリュー型押し出し機、スクリュー型ニーダー、ミンチ機、ナウターミキサー及び双腕型ニーダー等が好適に用いられる。これらは複数個を組み合わせて使用することもできる。ハサミやカッター等を用いて、手作業により細断してもよい。
【0013】
含水ポリマー粒子群に対して供給する熱風(N1)としては、含水ポリマー粒子群中を通過させることができる熱風であれば制限がない。
熱風(N1)の温度(℃)は、乾燥効率、吸湿性及び着色の観点等から、80〜300が好ましく、さらに好ましくは100〜270、特に好ましくは120〜240、最も好ましくは150〜220である。
熱風(N1)の風量(m3/分)は、乾燥効率及び生産効率の観点等から、含水ポリマー粒子1kgあたり、1〜20が好ましく、さらに好ましくは、3〜10、特に好ましくは5〜7である。
熱風(N1)は含水ポリマー粒子群の中を通過するように供給すれば、乱流、層流及びこれらの組合せの何れでもよいが、通過しやすさの観点等から、層流が好ましい。
熱風(N1)は、吸気口(2)から乾燥機内に入り、含水ポリマー粒子群の中を通過した後、排気口(3)から乾燥機の外部へ排出する(図1、4の中抜き矢印を参照)。
【0014】
熱風(N1)は、スチームや電熱器等により加熱された熱、可燃物(ガス、灯油等)の燃焼熱(たとえば、特開2002−221090号公報等)等のいずれに起因するものでもよい。
【0015】
含水ポリマーに対して熱風(N1)の供給する側と反対側に、印可する熱(N2)は、熱風(N1)と別の熱であれば制限ない。しかし、熱(N2)としては、含水ポリマー粒子群を保持する金属プレートを加熱して得られる間接熱(N21)及び/又は含水ポリマー粒子群を直接加熱する直接熱(N22)であるであることが好ましい。
【0016】
間接熱(N21)としては、シーズヒーター加熱、電磁誘導加熱(IHヒーター)及び電磁波加熱(遠赤外線加熱、高周波加熱及びマイクロ波加熱)からなる群より選ばれる少なくとも1種等が含まれる。
直接熱(N22)としては、シーズヒーター加熱及び電磁波加熱(遠赤外線加熱、高周波加熱及びマイクロ波加熱)からなる群より選ばれる少なくとも1種等が含まれる。
これらのうち、直接熱(N22)が好ましく、さらに好ましくはシーズヒーター加熱、遠赤外線加熱、高周波加熱及びマイクロ波加熱からなる群より選ばれる少なくとも1種、特に好ましくは遠赤外線加熱、高周波加熱及びマイクロ波加熱からなる群より選ばれる少なくとも1種、次に好ましくは高周波加熱及びマイクロ波加熱からなる群より選ばれる少なくとも1種、最も好ましくはマイクロ波加熱である。
【0017】
含水ポリマー粒子群は、プレート(1)の上に載せてもよく、熱風(N1)で浮遊させていてもよい。
以上の乾燥工程において、含水ポリマー粒子群を連続的に供給しながら乾燥してもよいし、バッチ式で乾燥してもよい。
【0018】
以上のような乾燥工程に好適な乾燥機としては、含水ポリマー粒子群を保持するためのプレート(1)と、
含水ポリマー粒子群中に熱風(N1)を通過させるための吸気口(2)と、
含水ポリマー粒子群中を通過した熱風(N1)を乾燥機の外部へ排出するための排気口(3)と、
含水ポリマー粒子群に対して吸気口(2)と反対側に熱(N2)を印可するための加熱装置(4)とを備えることを特徴とする乾燥機等が含まれる。
【0019】
含水ポリマー粒子群を保持するためのプレート(1)としては、熱風(N1)が含水ポリマー粒子群の中を通過するのを妨げにくいものが好ましく、たとえば、金網又は多孔板等が含まれる。
金網又は多孔板の穴の目開き(mm)は、含水ポリマー粒子群の大きさによって適宜決定されるが、乾燥効率の観点等から、0.1〜12が好ましく、さらに好ましくは1〜10、特に好ましくは3〜7である。
含水ポリマー粒子群を連続的に供給しながら乾燥する場合、プレート(1)としては、コンベア型(バンド型、図1参照)、ドラム型(円筒型)又は円盤型等が含まれる。
これらのうち、コンベア型(バンド型)及びドラム型(円筒型)が好ましく、さらに好ましくはコンベア型である。
プレート(1)がコンベア型(バンド型)等の場合、乾燥機の内部を複数の乾燥ゾーンに分割することができる。プレート(1)がコンベア型のように長い場合に複数の乾燥ゾーンに分割することにより、含水ポリマー粒子群の中を熱風(N1)がさらに通過しやすくなる。
一方、含水ポリマー粒子群をバッチ式で乾燥する場合、一枚の棚であってもよいし、複数枚の棚であってもよい。
【0020】
乾燥機の内部へ熱風(N1)を吸入させるための吸気口(2)としては、乾燥機の内部へ熱風(N1)を吸入できれば何ら制限がない。
吸気口(2)は、プレート(1)に対して、上方向又は下方向に備えることが好ましい。
【0021】
含水ポリマー粒子群中を通過した熱風(N1)を乾燥機の外部へ排出するための排気口(3)としては、乾燥機の外部へ熱風(N1)を排出できれば何ら制限がない。
排気口(3)は、プレート(1)に対して、上方向又は下方向であって、かつ吸気口(2)の備えられる箇所とは反対方向に備えることが好ましい。
【0022】
含水ポリマー粒子群に対して吸気口(2)と反対側に熱(N2)を印可するため
の加熱装置(4)としては、含水ポリマー粒子群に対して吸気口(2)と反対側{排気口(3)の側}に熱(N2)を印可するように配される。
加熱装置(4)としては、間接熱(N21)を発生する装置及び直接熱(N22)を発生する装置等が含まれる。
間接熱(N21)を発生する装置としては、シーズヒーター加熱装置、電磁波誘導加熱装置(IHヒーター)及び電磁波加熱装置(遠赤外線加熱装置、高周波加熱装置及びマイクロ波加熱装置)からなる群より選ばれる少なくとも1種等が含まれる。
直接熱(N22)を発生する装置としては、シーズヒーター加熱装置及び電磁波加熱装置(遠赤外線加熱装置、高周波加熱装置及びマイクロ波加熱装置)からなる群より選ばれる少なくとも1種等が含まれる。
これらのうち、直接熱(N22)を発生する装置が好ましく、さらに好ましくはシーズヒーター加熱装置、遠赤外線加熱装置、高周波加熱装置及びマイクロ波加熱装置からなる群より選ばれる少なくとも1種、特に好ましくは遠赤外線加熱装置、高周波加熱装置及びマイクロ波加熱装置からなる群より選ばれる少なくとも1種、次に好ましくは高周波加熱装置及びマイクロ波加熱装置からなる群より選ばれる少なくとも1種、最も好ましくはマイクロ波加熱装置である。
【実施例】
【0023】
以下、特に記載がない限り、部は重量部を意味し、%は重量%を意味する。
ハンター白度は以下の方法で測定した。
<ハンター白度>
JIS Z8722:2000の5.3に準拠して、条件dによって測定される刺激値(Z)を用いて次式から算出した{測色色差計ZE-2000(日本電色工業株式会社製)を用いた}。ハンター白度は、値が大きいほど、着色が少ないことを示す。なお、25℃、65RH%雰囲気下で測定した。
(ハンター白度)=0.847×Z
【0024】
<水の含有量(含水率)>
含水ポリマー粒子群又は吸湿性ポリマー粒子の中に含まれる水の含有量(含水率)は、赤外線水分計(株式会社ケット科学研究所社製、FD−230)を用いて、測定試料5gを150℃、15分間、加熱乾燥して、その前後の重量差から算出した。
【0025】
<製造例>
アクリル酸81.8部、N,N’−メチレンビスアクリルアミド0.3部及び脱イオン水241部からなる水溶液を、攪拌・混合しながら、1〜2℃に保った。
次いでこの水溶液中に窒素を1リットル/分で30分間流入した後、密閉状態とし、次いで、1%過酸化水素水溶液1部、0.2%アスコルビン酸水溶液1.2部及び2%の2,2’−アゾビスアミジノプロパンジハイドロクロライド水溶液2.8部を添加・撹拌して重合反応を開始させた(このときの水溶液の温度は約5℃であった)。
重合と共に温度が上昇し約70℃に達するが、引き続き、密閉下で70〜80℃で約8時間温度を保つことにより、含水ゲルを得た。この含水ゲルをミンチ機{WMG−M221:ワタナベフーマック(株)製}で最大長が3〜7mmの大きさになるように細断して細断含水ゲルを得た。引き続き、この細断含水ゲル325部に48%の水酸化ナトリウム水溶液67.5部を添加してカルボキシル基の72当量%を中和して、含水ポリマー粒子群を得た。
なお、含水ポリマー粒子群の含水率は74.1%であった。なお、JIS K0113−1997に準拠(0.1規定水酸化カリウム水溶液を滴定液として使用、電位差滴定法、変曲点法)して測定した酸価から算出した含水ポリマー粒子群の中和度は70.1当量%であった。
【0026】
<実施例1>
実施例1で用いた乾燥機(図1〜3)は、おおよそ、縦300cm×横2500cm×高さ300cm(内寸)のコンベア型乾燥機であって、4つの乾燥ゾーンA〜Dを備え、
含水ポリマー粒子群の投入口(5)と吸湿性ポリマー粒子の排出口(6)とを備え、
乾燥ゾーンA〜Dを貫くようにして乾燥機の中央に、プレート(1){幅3m、長さ20m、目開き4mmのステンレス製エンドレスベルト}を備え、
プレート(1)の上部(乾燥機の天板)に、150℃の熱風を乾燥機の内部へ吸入するための吸気口(2){開口径80cm}を、乾燥ゾーンA〜Dのそれぞれに対応して各1つずつ(合計4つ)備え、
プレート(1)の下部(乾燥機の底板)に、含水ポリマー粒子粒子群中を通過した熱風を乾燥機の外部へ排出するための排気口(3){開口径80cm}を、乾燥ゾーンA〜Dのそれぞれに対応して、各1つずつ(合計4つ)備え、
プレート(1)の内部(エンドレスベルトの行きベルトと帰りベルトとの間)に、加熱装置{シーズヒーターHPS3013、八光(株)製、3.4kW}を、乾燥ゾーンA〜Bのそれぞれに対応して、各1つずつ(合計2つ)備えている。
【0027】
プレート(1){ステンレス製エンドレスベルト}を1.6m/分で回転させ、吸気口(2)から150℃の熱風を乾燥ゾーンA〜Dにそれぞれ風量6m3/分で吸入させると共に、加熱装置{シーズヒーター}の電源を入れた。
次いで、30分後に、含水ポリマー粒子群を投入口(5)から250kg/分で連続的に投入して{プレート(1)上の含水ポリマー粒子群の厚さは約5cmとなった}、排出口(6)から出てきた乾燥粒子のうち、10kgを25℃、65RH%の恒温恒湿室内で冷却した後、ファイバーミキサー(MX−X53:松下電器産業社製)で、30秒間粉砕した後、目開き150μmのふるいと同710μmのふるいを用いてふるい分けし、150〜710μmの粒度の吸湿性ポリマー粒子を得た。吸湿性ポリマー粒子のハンター白度は68、含水率は12.5%であった。
【0028】
<実施例2>
実施例2で用いた乾燥機は、加熱装置{シーズヒーター}を加熱装置{遠赤外線ヒーターインフラジェットSF型、ジャード(株)製、2kW}に変更したこと以外、実施例1と同じである。
そして、実施例1と同様にして、吸湿性ポリマー粒子を得た。このハンター白度は70、含水率は10.1%であった。
【0029】
<実施例3>
実施例3で用いた乾燥機は、加熱装置{シーズヒーター}を加熱装置{高周波加熱装置MDW−20S、山本ビニター(株)製、40kW、周波数13MHz}に変更したこと以外、実施例1と同じである。
そして、実施例1と同様にして、吸湿性ポリマー粒子を得た。このハンター白度は70、含水率は10.8%であった。
【0030】
<実施例4>
実施例4で用いた乾燥機は、加熱装置{シーズヒーター}を加熱装置{マイクロ波加熱装置HMC18−6、広電(株)製、18kW、周波数2450MHz}に変更した以外、実施例1と同じである。
そして、実施例1と同様にして、吸湿性ポリマー粒子を得た。このハンター白度は72、含水率は8.5%であった。
【0031】
<実施例5>
実施例5で用いた乾燥機は、加熱装置{シーズヒーター}を加熱装置{マイクロ波加熱装置HMC18−6、広電(株)製、18kW、周波数2450MHz}に変更した以外、実施例1と同じである。
熱風の風量6m3/分を4m3/分に変更したこと以外、実施例1と同様にして、吸湿性ポリマー粒子を得た。このハンター白度は72、含水率は10.2%であった。
【0032】
<実施例6>
実施例6で用いた乾燥機は、加熱装置{シーズヒーター}を加熱装置{マイクロ波加熱装置HMC18−6、広電(株)製、18kW、周波数2450MHz}に変更した以外、実施例1と同じである。
プレート(1)の回転数1.6m/分を2m/分に変更したこと以外、実施例1と同様にして、吸湿性ポリマー粒子を得た。このハンター白度は72、含水率は9.6%であった。
【0033】
<実施例7>
実施例7で用いた乾燥機(図5〜6)は、縦50cm×横50cm×高さ100cm(内寸)の箱形乾燥機であって、
乾燥機内部(底板から高さ約60cmの位置)に、中央に20.1cm×20.1cmの正方形の穴をもつステンレス製棚(7)(50cm×50cm×0.5cm)と、この穴をちょうど塞ぐことができるプレート(1){目開き4mmのステンレス製金網の底とステンレス製の四角柱(内寸:縦20cm×横20cm×高さ10cm)とから構成されるトレイ}とを備え、プレート(1)の上部(乾燥機の天板)に、150℃の熱風を乾燥機の内部へ吸入するための吸気口(2){開口径12cm}を備え、
プレート(1)の下部(乾燥機の底板)に、含水ポリマー粒子群中を通過した熱風を乾燥機の外部へ排出するための排気口(3){開口径12cm}を備え、
乾燥機内部(底板から高さ約30cmの位置)に、目開き10mmのステンレス製金網の棚(8)と、この棚の中央に加熱装置{シーズヒーターHPS3013、八光(株)製、3.4kW}とを備えている。
【0034】
含水ポリマー粒子群1.2Kgを、プレート(1)上に約5cmの厚さになるように広げて載せた後、吸気口(2)から150℃の熱風を風量6m3/分で吸入させると共に、加熱装置{シーズヒーター}の電源を入れた。15分後に、乾燥粒子をプレート(1)と共に、乾燥機から取り出して、25℃、65RH%の恒温恒湿室内で冷却した後、ファイバーミキサー(MX−X53:松下電器産業社製)で、30秒間粉砕した後、目開き150μmのふるいと同710μmのふるいを用いてふるい分けし、150〜710μmの粒度の吸湿性ポリマー粒子を得た。吸湿性ポリマー粒子のハンター白度は69、含水率は11.8%であった。
【0035】
<実施例8>
実施例8で用いた乾燥機は、加熱装置{シーズヒーター}を加熱装置{遠赤外線ヒーターインフラジェットSF型、ジャード(株)製、2kW}に変更したこと以外、実施例7と同じである。
そして、実施例7と同様にして、吸湿性ポリマー粒子を得た。このハンター白度は71、含水率は9.2%であった。
【0036】
<実施例9>
実施例9で用いた乾燥機は、加熱装置{シーズヒーター}を加熱装置{高周波加熱装置MDW−20S、山本ビニター(株)製、40kW、周波数13MHz}に変更したこと以外、実施例7と同じである。
そして、実施例7と同様にして、吸湿性ポリマー粒子を得た。このハンター白度は70、含水率は10.2%であった。
【0037】
<実施例10>
実施例10で用いた乾燥機は、加熱装置{シーズヒーター}を加熱装置{マイクロ波加熱装置HMC18−6、広電(株)製、18kW、周波数2450MHz}に変更した以外、実施例7と同じである。
そして、実施例7と同様にして、吸湿性ポリマー粒子を得た。このハンター白度は73、含水率は7.8%であった。
【0038】
<比較例1>
比較例1で用いた乾燥機は、乾燥ゾーンC〜Dの各1つ(合計2つ)の吸気口(2)を排気口(3)に変更したこと、乾燥ゾーンC〜Dの各1つの排気口(3)を吸気口(2)に変更したこと、及びシーズヒーターを備えていないこと以外、実施例1と同じである。
プレート(1)の回転数1.6m/分を1m/分に変更したこと以外、実施例1と同様にして、吸湿性ポリマー粒子を得た。このハンター白度は65、含水率は18.4%であった。また、篩い分け後、ふるい(710μm)上に約600gの未乾燥物(乾燥ポリマー粒子10kg当たり)が確認された。
【0039】
<比較例2>
比較例2で用いた乾燥機は、加熱装置{シーズヒーター}を備えていないこと以外、実施例7と同じである。
乾燥時間15分を40分に変更したこと以外、実施例7と同様にして、含水ポリマー粒子群を乾燥させて、吸湿性ポリマー粒子を得た。このハンター白度は62、含水率は11.2%であった。また、篩い分け後、ふるい(710μm)上に約50gの未乾燥物(含水吸湿ポリマー粒子群1.2kg当たり)が確認された。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】実施例1〜6で用いた乾燥機を模式的に示した断面図である{中抜き矢印は熱風の流れを示している}。
【図2】実施例1〜6で用いた乾燥機を上方向から模式的に示した平面図である。
【図3】実施例1〜6で用いた乾燥機を下方向から模式的に示した裏面図である。
【図4】実施例7〜10で用いた乾燥機を模式的に示した断面図である{中抜き矢印は熱風の流れを示している。A−B又はC−D断面(図5)}。
【図5】実施例7〜10で用いた乾燥機を上方向又は下方向から模式的に示した平面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 プレート
2 吸気口
3 排気口
4 加熱装置
5 投入口
6 排出口
7 ステンレス製棚
8 ステンレス製金網の棚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
含水ポリマー粒子群に対して熱風(N1)を供給し、この熱風(N1)を含水ポリマー粒子群中を通過させると共に、含水ポリマー粒子群に対して熱風(N1)の供給する側と反対側に熱風(N1)とは別の熱(N2)を印可して含水ポリマー粒子群を乾燥する乾燥工程を含むことを特徴とする吸湿性ポリマー粒子の製造方法。
【請求項2】
熱(N2)が、含水ポリマー粒子群を保持する金属プレートを加熱して得られる間接熱(N21)及び/又は含水ポリマー粒子群を直接加熱する直接熱(N22)である請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
熱(N2)がシーズヒーター加熱、電磁誘導加熱及び電磁波加熱からなる群より選ばれる少なくとも1種によって得られる熱である請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
熱(N2)がシーズヒーター加熱、遠赤外線加熱、高周波加熱及びマイクロ波加熱からなる群より選ばれる少なくとも1種によって得られる熱である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
吸湿性ポリマー粒子が吸水性樹脂粒子である請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
含水ポリマー粒子群を保持するためのプレート(1)と、
乾燥機の内部へ熱風(N1)を吸入させるための吸気口(2)と、
含水ポリマー粒子群中を通過した熱風(N1)を乾燥機の外部へ排出するための排気口(3)と、
含水ポリマー粒子群に対して吸気口(2)と反対側に熱(N2)を印可するための加熱装置(4)とを備えることを特徴とする乾燥機。
【請求項7】
プレート(1)が金網又は多孔板である請求項6に記載の乾燥機。
【請求項8】
加熱装置(4)がシーズヒーター加熱装置、電磁誘導加熱装置、遠赤外線加熱装置、高周波加熱装置及びマイクロ波加熱装置からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項6又は7に記載の乾燥機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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