説明

吸着材の製造方法および吸着材

【課題】多数の細孔を有する吸着材を形成するための吸着材形成用成形体を保形性に優れた成形体にさせ、吸着材を自由な形状に形成することができ、単位時間当たり大量の吸着材を製造可能とすることを課題とする。
【解決手段】少なくとも、微粒状の無機または金属の充てん材M1と、当該充てん材M1と等重量以下の溶融状態の樹脂M2と、を含む素材を押出機構A1にて混合して不定形の状態で押し出し、押出機構A1から押し出された素材を不定形のまま所定の導入部A2に導入し、吸着材形成用成形体の形状に所定の成形機構にて成形可能とする成形用素材M5を導入部A2に導入された不定形の素材M4から生成し、生成した成形用素材M6を成形機構A4にて成形して吸着材形成用成形体M7を形成し、形成した吸着材形成用成形体M7から樹脂M2を除去して多数の細孔M9を形成することにより吸着材M8を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数の細孔を有する吸着材の製造方法および吸着材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載された活性アルミナ成形体のように、多数の細孔を有する吸着材が知られている。特許文献1では、アルミナ粉体を水と混合して球状に造粒して球状成形体とし、この球状成形体を湿潤雰囲気中又は水中に保持して再水和して再水和成形体とし、この再水和成形体を焼成して球状の活性アルミナ成形体とすることが記載されている。
【特許文献1】特開2003−63854号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した従来の技術では、ペレットよりも大きな形状に成形すると、アルミナ粉体に水を混合して成形するため、再水和成形体を加熱して活性アルミナ成形体とする際に再水和成形体が崩れてしまうことがあり、再水和成形体の保形性が十分でないことがあった。その結果、活性アルミナ成形体の形状の自由度が小さかった。また、水と混合するアルミナ粉体の量を多くすると、アルミナ粉体と水を混合した素材をダイから押し出すことができす、吸着材形成用成形体の形状に成形することができない。
【0004】
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、多数の細孔を有する吸着材を形成するための吸着材形成用成形体を保形性に優れた成形体にさせ、吸着材を自由な形状に形成することができ、単位時間当たり大量の吸着材を製造することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる吸着材の製造方法の発明は、少なくとも、微粒状の無機または金属の充てん材と、当該充てん材と等重量以下の溶融状態の樹脂と、を含む素材を押出機構にて混合して不定形の状態で押し出す押出工程と、上記押出機構から押し出された素材を不定形のまま所定の導入部に導入し、多数の細孔を有する吸着材を形成するための吸着材形成用成形体の形状に所定の成形機構にて成形可能とする成形用素材を同導入部に導入された不定形の素材から生成する成形用素材生成工程と、生成した成形用素材を上記成形機構にて成形して吸着材形成用成形体を形成する成形工程と、形成された吸着材形成用成形体から上記樹脂を除去して多数の細孔を形成することにより吸着材を製造する吸着材形成工程とを備えることを特徴とする。
すなわち、押出工程では、少なくとも、微粒状の無機または金属の充てん材(フィラー)と、当該充てん材と等重量以下の溶融状態の樹脂と、を含む素材が押出機構にて混合されて不定形の状態で押し出される。成形用素材生成工程では、押出機構から押し出された素材が不定形のまま所定の導入部に導入され、導入部に導入された不定形の素材から一旦、成形用素材が生成される。成形工程では、生成した成形用素材が成形機構にて成形されて吸着材形成用成形体が形成される。吸着材形成工程では、形成された吸着材形成用成形体から樹脂が除去されて多数の細孔が形成され、吸着材が製造される。
【0006】
押出工程では素材を不定形の状態で押し出し、成形用素材生成工程では不定形のまま素材を導入部に導入すればよいので、素材の押出流量は制限されない。すると、溶融状態の樹脂が充てん材と等重量以下のような流動性の小さい素材であっても、単位時間当たりに成形用素材を大量に生成することが可能となり、この成形用素材を用いて単位時間当たり大量の吸着材形成用成形体を形成して、吸着材を大量生産することが可能となる。ここで、吸着材形成用成形体には樹脂が含まれているので、吸着材を形成する際に吸着材形成用成形体は崩れず、保形性の良好な吸着材形成用成形体が得られる。また、樹脂が充てん材の重量以下の重量とされているので、吸着材形成用成形体から吸着材への収縮度合が小さい。従って、多数の細孔を有する吸着材を形成するための吸着材形成用成形体を保形性に優れた成形体にさせ、吸着材を自由な形状に形成することができ、単位時間当たり大量の吸着材を製造することが可能となる。
【0007】
ここで、微粒状は、粉末状ないしペレットよりも細かい粒状をいい、粉末状や微細な繊維状を含む。以下、同じである。
上記押出機構は、様々な構成が考えられ、汎用的な一軸スクリュー混練押出機や多軸スクリュー混練押出機などを適用して軟化した素材を不定形の状態で押し出すことができる。
溶融可能な樹脂は、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、等が考えられる。
【0008】
上記吸着材形成工程では、上記吸着材形成用成形体を焼結して当該吸着材形成用成形体から上記樹脂を除去して多数の細孔を形成してもよい。吸着材形成用成形体の焼結では、吸着材形成用成形体を充てん材の融点以下の温度で加熱し、強度を向上させる。吸着材形成用成形体を焼結すると、樹脂を確実に除去して多数の細孔を形成することができる点で好適である。
【0009】
上記充てん材が水に接触して硬化する材料であるとともに、上記樹脂が水溶性の樹脂である場合、上記吸着材形成工程では、上記吸着材形成用成形体を水に接触させて当該吸着材形成用成形体から上記水溶性の樹脂を除去して多数の細孔を形成してもよい。焼結設備が不要であるので、吸着材の製造設備が簡素で済む。
【0010】
ところで、上記吸着材に形成される細孔を所望の径にさせるための条件であって、上記充てん材の粒径の条件と、上記素材中の充てん材の配合割合の条件と、上記素材中の樹脂の配合割合の条件と、の一つ以上の条件を決定する条件決定工程をさらに備え、上記押出工程では、上記条件決定工程にて決定された条件で上記充てん材と上記溶融状態の樹脂とが少なくとも含まれた素材を上記押出機構にて混合して不定形の状態で押し出す構成としてもよい。すなわち、充てん材の粒径と、素材中の充てん材の配合割合と、素材中の樹脂の配合割合と、の一つ以上が細孔を所望の径にさせるように決定され、吸着材形成用成形体が形成されて、径の調整された細孔を有する吸着材が製造される。
【0011】
また、上記吸着材に形成される細孔を所望の径にさせるための条件であって上記吸着材形成用成形体を焼結する焼結温度の条件を決定する条件決定工程をさらに備え、上記吸着材形成工程では、上記成形工程にて形成された吸着材形成用成形体を上記条件決定工程にて決定された焼結温度の条件で焼結して当該吸着材形成用成形体から上記樹脂を除去して多数の細孔を形成する構成としてもよい。すなわち、吸着材形成用成形体の焼結温度が細孔を所望の径にさせるように決定され、吸着材形成用成形体が形成されて、径の調整された細孔を有する吸着材が製造される。
【0012】
請求項4に記載の吸着材の製造方法において、上記条件決定工程では、上記充てん材を所定の粒径とし、上記素材中の充てん材および樹脂の配合割合を所定の配合割合として、上記押出工程と上記成形用素材生成工程と上記成形工程と上記吸着材形成工程とに従って吸着材を形成し、形成した吸着材の比重を測定するとともに、測定した比重に基づいて、上記充てん材の粒径の条件と、上記素材中の充てん材の配合割合の条件と、上記素材中の樹脂の配合割合の条件と、の一つ以上の条件を決定する構成としてもよい。すなわち、一旦形成した吸着材の比重から、充てん材の粒径と、素材中の充てん材の配合割合と、素材中の樹脂の配合割合と、の一つ以上が細孔を所望の径にさせるように決定され、吸着材形成用成形体が形成されて、より所望の径となるように径の調整された細孔を有する吸着材が製造される。
【0013】
上記導入部に導入された不定形の素材をペレット形状に成形して上記成形用素材とする場合、上記成形工程では、ペレット形状の成形用素材が上記成形機構にて成形されて吸着材形成用成形体が製造される。成形用素材がペレットとされているので、当該ペレットを原料として成形機構により容易に吸着材形成用成形体の形状に成形することができる。
【0014】
上記導入部に導入された不定形の素材を所定の粉砕機構にて粉砕し、粉砕後の素材をペレット形状に成形して上記成形用素材とする場合、不定形の素材が一旦粉砕されてペレットとされるので、成形用素材をより均質にさせ、吸着材形成用成形体をより均質にさせて、より均質で良質の吸着材を得ることが可能となる。また、当該ペレットを原料として吸着材形成用成形体の形状に成形する時に、原料段階ではペレット形状が維持される一方、混練段階でペレットがより崩れやすくなって分散性が向上するので、より容易に吸着材形成用成形体の形状に成形することが可能となる。さらに、不定形の素材が粉砕されることによってペレット形状の成形用素材を成形する際に成形用の穴や隙間等に入りやすくなるので、単位時間当たりの成形用素材の生成量がさらに増え、吸着材の生産量をさらに増やすことが可能となる。
【0015】
成形用素材をペレット形状にする場合、成形用素材を成形機構にて押出成形または射出成形により成形して吸着材形成用成形体を形成すると、吸着材の量産に好適である。
【0016】
上記導入部に導入された不定形の素材を所定の粉砕機構にて粉砕して上記成形用素材とする場合、上記成形工程では、粉砕された状態の成形用素材が上記成形機構にて成形されて吸着材形成用成形体が形成される。成形用素材が粉砕されているので、成形用素材をより均質にさせ、吸着材形成用成形体をより均質にさせて、より均質で良質の吸着材を得ることが可能となる。
成形用素材を粉砕された状態にする場合、成形用素材を成形機構にてプレス成形によりプレス成形して吸着材形成用成形体を形成すると、単位時間当たりの吸着材の生産量を向上させ、保形性に優れた吸着材形成用成形体を形成して吸着材を製造可能とする好適な構成を提供することができる。
【0017】
上記樹脂が熱可塑性樹脂であり、上記成形機構が上記成形用素材を混合して所定のダイから押し出して上記吸着材形成用成形体の形状に成形する場合、熱可塑性樹脂を溶融状態にさせる第一加熱工程と、成形用素材を加熱して軟化させる第二加熱工程とを設けてもよい。すなわち、押出工程では、第一加熱工程にて加熱された素材が上記押出機構にて混合して不定形の状態で押し出される。成形工程では、第二加熱工程にて軟化された成形用素材が上記成形機構にて混合されて上記ダイから押し出されて成形することにより上記吸着材形成用成形体が形成される。これにより、充てん材に熱可塑性樹脂を混合する場合に吸着材を量産することができる。
ここで、充てん材と熱可塑性樹脂の好ましい配合割合は、充てん材51〜99重量%(より好ましくは70〜95重量%)、熱可塑性樹脂1〜49重量%(より好ましくは5〜30重量%)である。
【0018】
また、第一の冷却機構にて成形用素材を冷却する第一冷却工程をさらに備え、上記第二加熱工程では、冷却された成形用素材を加熱して軟化させる構成にしてもよい。すると、成形用素材を速やかに固化させることができる。また、成形用素材をペレット形状にするときには、ペレット形状の成形用素材が相互に接着してしまうことを防止することができる。さらに、成形用素材を冷却することにより容易に成形用素材を適宜保管することができ、保管した成形用素材を用いて吸着材形成用成形体を形成することも可能となるので、吸着材の生産の自由度を向上させることができる。
さらに、第二の冷却機構にて吸着材形成用成形体を冷却する第二冷却工程をさらに備える構成にしてもよい。すると、吸着材形成用成形体を速やかに固化させることができる。また、吸着材形成用成形体が相互に接着してしまうことを防止することができる。さらに、吸着材形成用成形体を冷却することにより容易に吸着材形成用成形体を適宜保管することができ、保管した吸着材形成用成形体を用いて吸着材を製造することも可能となるので、吸着材の生産の自由度を向上させることができる。
上記熱可塑性樹脂は、上記第二加熱工程にて加熱された成形用素材の温度におけるMFR(JIS K7210に規定されるメルトマスフローレイト)が10g/10min以上(好ましくは100g/10min以上)とされている構成としてもよい。すると、成形用素材から吸着材形成用成形体の形状に成形する時に良好な流動性が得られ、単位時間当たりの吸着材の生産量を向上させることができる。
【0019】
上記押出工程では、少なくとも、上記充てん材と、上記溶融状態の樹脂と、当該樹脂と相溶性があるとともに親水基を有する相溶化剤と、を含む素材を上記押出機構にて混合して不定形の状態で押し出す構成としてもよい。すると、充てん材と樹脂とのなじみが良好になり、より均質な吸着材形成用成形体を形成することができ、より均質な吸着材を得ることが可能となる。上記押出工程にて混合する素材中の充てん材の好ましい配合割合は51〜99重量%であり、同素材中の樹脂と相溶化剤の合計の好ましい配合割合は1〜49重量%であり、同素材中の相溶化剤の好ましい配合割合は0.1〜5重量%である。
【0020】
上記押出工程では、少なくとも、上記充てん材と、上記溶融状態の樹脂と、樹脂成形用の滑剤と、を含む素材を上記押出機構にて混合して不定形の状態で押し出す構成としてもよい。すると、成形用素材から吸着材形成用成形体の形状に成形する際、充てん材間のすべりが良好となるので、成形しやすくさせることができる。上記押出工程にて混合する素材中の充てん材の好ましい配合割合は51〜99重量%であり、同素材中の樹脂と滑剤の合計の好ましい配合割合は1〜49重量%であり、同素材中の滑剤の好ましい配合割合は0.1〜5重量%である。
【0021】
上記押出工程では、少なくとも、上記充てん材と、上記溶融状態の樹脂と、繊維状素材と、を含む素材を上記押出機構にて混合して不定形の状態で押し出す構成としてもよい。すると、繊維状素材が吸着材形成用成形体を崩れにくくさせる。上記押出工程にて混合する素材中の充てん材の好ましい配合割合は51〜99重量%であり、同素材中の樹脂と繊維状素材の合計の好ましい配合割合は1〜49重量%であり、同素材中の繊維状素材の好ましい配合割合は0.1〜30重量%である。
吸着材形成用成形体を焼結して吸着材を形成する場合、上記相溶化剤や滑剤や繊維状素材は、炭素原子と水素原子と酸素原子のみからなる化合物とされていてもよい。さらに、ハロゲン原子、窒素原子、硫黄原子を含む化合物とされてもよい。このような相溶化剤は焼結しても残留しないので、不要成分の無い高品質の吸着材を得ることができる。
【0022】
なお、充てん材と樹脂のみを上記押出工程にて混合する場合の素材中の充てん材の好ましい配合割合は51〜99重量%であり、同素材中の樹脂の好ましい配合割合は1〜49重量%である。
【0023】
ところで、請求項12にかかる吸着材は、少なくとも、微粒状の無機または金属の充てん材と、当該充てん材と等重量以下の溶融状態の樹脂と、を含む素材を押出機構にて混合して不定形の状態で押し出し、上記押出機構から押し出された素材を不定形のまま所定の導入部に導入し、多数の細孔を有する吸着材を形成するための吸着材形成用成形体の形状に所定の成形機構にて成形可能とする成形用素材を同導入部に導入された不定形の素材から生成し、生成した成形用素材を上記成形機構にて成形して吸着材形成用成形体を形成し、形成した吸着材形成用成形体から上記樹脂を除去して多数の細孔を形成することにより得られる。むろん、請求項2〜請求項11に記載された構成を吸着材に対応させることも可能である。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、請求項1にかかる発明によれば、吸着材を形成するための吸着材形成用成形体を保形性に優れた成形体にさせ、吸着材を自由な形状に形成することができ、単位時間当たり大量の吸着材を製造することが可能となる。
請求項2にかかる発明では、樹脂を確実に除去して多数の細孔を形成することができる具体例を提供することができる。
【0025】
請求項3にかかる発明では、吸着材の製造設備を簡素化させ、吸着材のコストを低減させることが可能となる。
請求項4、請求項5にかかる発明では、吸着材の細孔の径を調整することが可能となる。
【0026】
請求項6にかかる発明では、より確実に吸着材の細孔の径を調整することが可能となる。
請求項7にかかる発明では、容易に吸着材形成用成形体の形状に成形することが可能となる。
【0027】
請求項8にかかる発明では、吸着材形成用成形体をより均質にさせて吸着材をより均質にさせ、成形用素材から吸着材形成用成形体の形状に成形する時にペレット形状とされた成形用素材をより崩れやすくさせてより容易に成形させ、単位時間当たりの吸着材の生産量をさらに向上させることが可能となる。
請求項9にかかる発明では、成形用素材をペレット形状にする場合に、単位時間当たりの吸着材の生産量を向上させ、保形性に優れた吸着材形成用成形体を形成して吸着材を製造可能とする好適な構成を提供することができる。
【0028】
請求項10にかかる発明では、吸着材形成用成形体をより均質にさせて吸着材をより均質にさせることが可能となる。
請求項11にかかる発明では、充てん材に熱可塑性樹脂を混合する場合に、単位時間当たりの吸着材の生産量を向上させ、保形性に優れた吸着材形成用成形体を形成して吸着材を製造可能とする好適な構成を提供することができる。
【0029】
請求項12にかかる発明では、自由な形状に形成された多数の細孔を有する吸着材を得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、下記の順序に従って本発明の実施形態を説明する。
(1)吸着材の製造方法の説明:
(2)本製造方法に用いられる製造装置の構成:
(3)吸着材の製造方法の作用、効果:
(4)各種変形例:
【0031】
(1)吸着材の製造方法の説明:
図1は、本発明の一実施形態にかかる吸着材の製造方法の概略を流れ図により示している。本吸着材の製造方法は、少なくとも、微粒状の無機または金属の充てん材M1と、当該充てん材と等重量以下の溶融状態の樹脂M2と、を含む素材を押出機構A1にて混合して不定形の状態で押し出す押出工程S1と、押出機構A1から押し出された不定形の素材M4を不定形のまま所定の導入部A2に導入し、導入した不定形の素材M4から成形用素材M6を生成する成形用素材生成工程S2と、生成した成形用素材M6を所定の成形機構A4にて成形して吸着材形成用成形体M7を形成する成形工程S3と、形成した吸着材形成用成形体M7から樹脂M2を除去して多数の細孔M9を形成することにより吸着材を製造する吸着材形成工程S4とを備える。ここで、吸着材形成用成形体M7は多数の細孔を有する吸着材M8を形成するための成形体であり、成形用素材M6は成形機構A4にて吸着材形成用成形体の形状に成形可能とする素材である。
【0032】
充てん材M1には、アルミナシリカ、ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ジルコニアシリカ、これらの混合物、等の微粒状(粉末状ないしペレットよりも細かい粒状)の無機素材、金、銀、等の微粒状の金属素材を用いることができる。微粒状の充てん材M1の粒径は、0.01〜1000μmが好ましく、粒径をより揃えるために0.02〜500μm、0.1〜100μmとしてもよい。充てん材M1の粒度を調整すると、吸着材形成用成形体や吸着材の強度を調整することができる。
【0033】
樹脂M2には、ポリプロピレン(PP),ポリエチレン,ポリスチレン,ポリメチルメタアクリレート,塩化ビニル,ポリアミド(ナイロン),ポリカーボネート,ポリアセタール,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンテレフタレート、これらの混合物、等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂,ユリア樹脂,メラミン樹脂,不飽和ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂、これらの混合物、等の熱硬化性樹脂、等を用いることができる。PPやポリエチレン等のポリオレフィン樹脂は、成形用素材を生成して容易に吸着材形成用成形体の形状に成形することができる点で好適な樹脂であるとともに、焼結時に焼却されて除去される点でも好適な樹脂である。
樹脂M2が溶融状態であれば、そのまま充てん材M1と混合して軟化した素材とすることができる。樹脂M2が熱可塑性樹脂である場合、加熱機付き混練押出機に対して固形の原反として樹脂M2を投入可能である。ここで、熱可塑性樹脂を図2や図3の第二の加熱機構A24,A31,A41にて加熱された成形用素材の温度におけるMFRが10g/10min以上(好ましくは100g/10min以上)の樹脂とすると、成形用素材から吸着材形成用成形体の形状に成形する時に良好な流動性が得られ、単位時間当たりの吸着材形成用成形体の形成量を向上させ、吸着材の生産量を向上させることができる。PPのような熱可塑性樹脂では、一般に分子量が小さくなるほど流動性が大きくなる(MFRが大きくなる)ため、比較的低分子量の熱可塑性樹脂を用いると良好な流動性が得られる。樹脂としてPPを用いる場合、200〜230℃程度で成形用素材から吸着材形成用成形体への成形を行うため、この温度範囲内のMFRが10以上(100以上)のPPを使用すればよい。なお、JIS K7210に関連するISO規格に規定されているPPの試験条件はJIS K7210の附属書A表1の条件M(試験温度230℃)であるため、この条件でのMFRが10以上(100以上)のPPを用いてもよい。なお、同じ条件下でMFRが大きい樹脂であるほど成形用素材から吸着材形成用成形体への成形が容易となるため、素材中の樹脂の配合割合をより少なくさせることができる。
樹脂M2が無機成分や金属成分を含まない化合物とされていると、吸着材形成用成形体を焼結したときに残留しないので、不要成分の無い良質の吸着材を製造することができる。焼結時に残留しない樹脂M2としては、C(炭素)原子とH(水素)原子とO(酸素)原子のみからなる高分子化合物が非常に好ましいが、さらにハロゲン原子、窒素原子、硫黄原子を含む高分子化合物でもよい。
【0034】
充てん材M1と樹脂M2のみから不定形の素材M4を生成してもよいが、第三の素材M3も一緒に混合して不定形の素材を生成してもよい。第四の素材、第五の素材、…、があれば、これらも一緒に混合してもよい。このような場合において、第三の素材M3、第四の素材、…、が微粒状であると、充てん材と樹脂を少なくとも含む素材と混合されやすいので、吸着材形成用成形体および吸着材をより確実に均質にさせることが可能となる点で好適である。
本実施形態では、素材中の樹脂M2の重量比を充てん材M1の重量比以下として、フィラー高充填としている。充てん材M1と樹脂M2の好ましい配合割合は、充てん材51〜99重量%(より好ましくは70〜95重量%)に対し、樹脂1〜49重量%(より好ましくは5〜30重量%)である。充てん材を51重量%(70重量%)以上とするのは吸着材形成用成形体を焼結したときに収縮度合を小さくして吸着材を十分に所望の形状にさせるためであり、樹脂を1重量%(5重量%)以上とするのは吸着材形成用成形体の保形性を十分に良好にさせるためである。
【0035】
第三の素材M3として、例えば、樹脂M2と相溶性があり、かつ、親水基を有する相溶化剤を用いると、充てん材と樹脂とのなじみを向上させることができ、吸着材形成用成形体をより均質にさせ、吸着材をより均質にさせる。親水基としては、水酸基(ヒドロキシル基)、カルボキシル基、アルデヒド基、スルホ基、等の官能基がある。相溶化剤をC原子とH原子とO原子のみからなる高分子化合物とすると、あるいは、さらにハロゲン原子、窒素原子、硫黄原子を含む高分子化合物とすると、吸着材形成用成形体を焼結したときに相溶化剤が残留しないので、不要成分の無い高品質の吸着材を得ることができる。
素材中の好ましい配合割合は、充てん材51〜99重量%(より好ましくは70〜95重量%)に対し、樹脂と相溶化剤の合計が1〜49重量%(より好ましくは5〜30重量%)であり、相溶化剤のみが0.1〜5重量%である。充てん材を51重量%(70重量%)以上とするのは吸着材形成用成形体を焼結したときに収縮度合を小さくして吸着材を十分に所望の形状にさせるためであり、樹脂と相溶化剤の合計を1重量%(5重量%)以上とするのは吸着材形成用成形体の保形性を十分に良好にさせるためである。また、樹脂と相溶化剤との好ましい配合比は、樹脂50〜99重量%に対し、相溶化剤1〜50重量%である。
【0036】
相溶化剤として、素材に含まれる樹脂M2と相溶性のある合成樹脂の原料に所定の有機酸を添加して合成して得られる酸変性合成樹脂を用いると、吸着材形成用成形体を焼結したときに有機酸が残留しないので、高品質の吸着材を得ることができる。樹脂M2と相溶性のある合成樹脂としては、合成樹脂とされた樹脂M2そのもののでもよいし、樹脂M2とは異なる合成樹脂でもよい。上記有機酸としては、樹脂に親水基を付与するマレイン酸を用いることができるが、フマル酸等のカルボキシル基を有する有機酸でもよい。合成樹脂を有機酸により変性した酸変性合成樹脂も通常変性していない合成樹脂に似た性質を有するため、酸変性合成樹脂のみを樹脂M2として使用してもよい。
熱可塑性樹脂をマレイン酸で変性した酸変性合成樹脂を製造するには、付加重合前の熱可塑性樹脂の原料にマレイン酸を添加して付加重合を行えばよい。すると、付加重合後の高分子には、親水基の一つであるカルボキシル基が付加される。従って、酸変性合成樹脂は、充てん材M1とのなじみが良くなっている。
一般に、合成樹脂を有機酸で変性した酸変性合成樹脂を製造するには、重合前の合成樹脂の原料に有機酸を添加して重合を行えばよい。すると、重合後の高分子には、カルボキシル基が付加され、充てん材M1とのなじみが良くなる。
【0037】
第三の素材M3として、樹脂成形用の滑剤を用いてもよい。すると、成形用素材から吸着材形成用成形体の形状に成形する時に充てん材間のすべりが良好となるので、成形しやすくさせることができる。滑剤としては、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド等の脂肪酸アミド、ラウリン酸メチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸オクチル、ラウリル酸ラウリル、長ステアリン酸ステアリル、長脂肪酸高級アルコールエステル、ベヘニン酸ベヘニン、ミリスチン酸セチル、等の脂肪酸エステル、ステアリン酸亜鉛等のステアリン酸塩、等を用いることができる。滑剤をC原子とH原子とO原子のみからなる高分子化合物とすると、あるいは、さらにハロゲン原子、窒素原子、硫黄原子を含む高分子化合物とすると、吸着材形成用成形体を焼結したときに滑剤が残留しないので、不要成分の無い高品質の吸着材を得ることができる。
素材中の好ましい配合割合は、充てん材51〜99重量%(より好ましくは70〜95重量%)に対し、樹脂と滑剤の合計が1〜49重量%(より好ましくは5〜30重量%)であり、滑剤のみが0.1〜5重量%である。充てん材を51重量%(70重量%)以上とするのは吸着材形成用成形体を焼結したときに収縮度合を小さくして吸着材を十分に所望の形状にさせるためであり、樹脂と滑剤の合計を1重量%(5重量%)以上とするのは吸着材形成用成形体の保形性を十分に良好にさせるためである。また、樹脂と滑剤との好ましい配合比は、樹脂20〜99重量%に対し、滑剤1〜20重量%である。
【0038】
第三の素材M3として、繊維状素材を用いてもよい。すると、繊維状素材が吸着材形成用成形体を崩れにくくさせるので、保形性に優れた吸着材形成用成形体を形成して吸着材を製造することが可能となる。繊維状素材としては、樹脂M2として使用可能な合成樹脂の繊維の他、ガラス繊維、セピオライト(Si12Mg8O30(OH)4(H2O)4・8H2O)、ワラストナイト(CaSiO3)、アスベスト(石綿)、マグネシウムウイスカ、等の鉱物繊維、等を用いることができる。繊維状素材をC原子とH原子とO原子のみからなる高分子化合物とすると、あるいは、さらにハロゲン原子、窒素原子、硫黄原子を含む高分子化合物とすると、吸着材形成用成形体を焼結したときに繊維状素材が残留しないので、不要成分の無い高品質の吸着材を得ることができる。
素材中の好ましい配合割合は、充てん材51〜98.9重量%(より好ましくは70〜95重量%)に対し、樹脂と繊維状素材の合計が1.1〜49重量%(より好ましくは5〜30重量%)であり、繊維状素材のみが0.1〜30重量%である。充てん材を51重量%(70重量%)以上とするのは吸着材形成用成形体を焼結したときに収縮度合を小さくして吸着材を十分に所望の形状にさせるためであり、樹脂と繊維状素材の合計を1.1重量%(5重量%)以上とするのは吸着材形成用成形体の保形性を十分に良好にさせるためである。この条件で、素材中の樹脂の好ましい配合割合は1重量%以上(より好ましくは5重量%以上)である。
【0039】
なお、微粒状の無機素材または金属素材にシランカップリング剤を反応させて充てん材M1を得るシランカップリング工程をさらに設けてもよい。すると、充てん材と樹脂とのなじみが向上し、吸着材形成用成形体をより均質にさせ、吸着材をより均質にさせることができる。ここで、微粒状の無機素材または金属素材としては、そのまま充てん材M1となりうる素材を用いることができる。シランカップリング剤は、分子の一端に加水分解でシラノール基(Si-OH)を与えるエトキシ基やメトキシ基を有し、他端に有機官能基を有する。シランカップリング剤としては、特開平8−252813号公報に記載されたオルガノシラン処理用反応剤SiX1234(X1、X2、X3、X4の少なくとも一つは約10乃至35個の炭素原子を有する非官能化されたアルキルまたはアルケニル基、X1、X2、X3、X4の少なくとも一つはアルコキシ基またはハロゲン化物)等を用いることができる。微粒状の無機素材または金属素材に対してシランカップリング剤を用いてシランカップリング処理を行うと、微粒状の無機素材または金属素材に疎水性の有機官能基が付加され、疎水性が付与される。従って、微粒状の無機素材または金属素材は、樹脂M2とのなじみが良くなる。
シランカップリング処理は、例えば特開平8−252813号公報に記載された方法で行うことができる。すなわち、イソプロピルアルコールまたは約5〜50体積%のイソプロピルアルコールを含む水の中に微粒状の無機素材または金属素材を高速ミキサで一様となるように十分に分散させ、生成したスラリーにオクタデシルトリエトキシシランを徐々に加え、60℃付近の維持して約15〜60分間撹拌し、その後遠心分離機でcake状の表面変性した無機素材または金属素材を分離し、約120℃で約5〜10時間乾燥すればよい。
【0040】
微粒状の無機素材または金属素材にシランカップリング剤を反応させるときのシランカップリング剤の配合量は、微粒状の無機素材または金属素材を基準として0.1〜15重量%が好ましい。
素材中の好ましい配合割合は、シランカップリング処理を行った充てん材51〜99重量%(より好ましくは70〜95重量%)に対し、樹脂が1〜49重量%(より好ましくは5〜30重量%)である。シランカップリング工程で得られた充てん材を51重量%(70重量%)以上とするのは吸着材形成用成形体を焼結したときに収縮度合を小さくして吸着材を十分に所望の形状にさせるためであり、樹脂を1重量%(5重量%)以上とするのは吸着材形成用成形体の保形性を十分に良好にさせるためである。
【0041】
押出機構A1は、充てん材M1と溶融状態の樹脂M2とを少なくとも含む素材を混合して不定形の状態で押し出す。押出機構には、一軸スクリュー混練押出機や二軸スクリュー混練押出機など、種々の押出機を用いることができる。押し出された不定形の素材M4は、所定の導入部A2に導入される。
図2と図3は、樹脂M2として熱可塑性樹脂M11を用い、第三の素材M3として相溶化剤M12を用いた吸着材形成用成形体の製造方法の例を示している。熱可塑性樹脂を用いる場合、第一の加熱機構A11にて充てん材M1と熱可塑性樹脂M11を少なくとも含む素材を加熱すると、熱可塑性樹脂M11を溶融状態にさせることができるので好適である。この場合、押出工程S1は、第一の加熱機構にて充てん材と熱可塑性樹脂を少なくとも含む素材を加熱して当該熱可塑性樹脂を溶融状態にさせる第一加熱工程を有することになり、この第一加熱工程にて加熱された素材を押出機構A1にて混合して不定形の状態で押し出す。なお、相溶化材M12等の第三の素材M3が加熱により溶融する素材であれば、第三の素材M3を固形の原反として押出機構A1に供給することができる。
【0042】
不定形の素材M4を導入する導入部A2には、不定形の素材M4のみを導入してもよいし、樹脂とは物性の異なる第二の樹脂を少なくとも有する第二の素材M5を導入してもよい。第四の素材、第五の素材、…、があれば、これらも一緒に混合してもよい。このような場合において、第二の素材M5、第四の素材、第五の素材、…、が微粒状であると、不定形の素材と混合されやすいので、吸着材形成用成形体および吸着材をより確実に均質にさせることが可能となる点で好適である。
第二の樹脂としては、上記樹脂M2に使用可能な樹脂を用いることができる。
【0043】
成形用素材生成機構A3は、導入部A2に導入された軟化状態の不定形の素材M4から成形用素材M6を生成する。図2の例では、導入部に導入された不定形の素材M4を所定の粉砕機構A12にて粉砕し(粉砕工程S5)、粉砕後の素材(粉砕物M13)をペレット成形機構A13にてペレット形状に成形して(ペレット成形工程S6)、ペレットM14(成形用素材)としている。この場合、工程S5,S6が成形用素材生成工程S2となり、機構A12,A13が成形用素材生成機構A3となる。さらに、ペレット形状の成形用素材を第一の冷却機構にて冷却する第一冷却工程を設けてもよい。粉砕工程を省略し、導入部に導入された不定形の素材M4を直接ペレット成形機構A13にてペレット形状に成形してもよい。粉砕工程S5を設けると、吸着材形成用成形体をより均質にさせて吸着材をより均質にさせ、ペレットM14から吸着材形成用成形体M7の形状に成形する時にペレットM14をより崩れやすくさせてより容易に成形させ、単位時間当たりの吸着材形成用成形体の製造量をさらに向上させることが可能となる。
ペレット成形機構は、例えば、直径3〜5mm程度の押出口を多数有するダイの各押出口から軟化状態の素材を略棒状に押し出してカッターにより長さ3〜7mm程度に切断してペレット形状に成形する成形機を用いることができる。
図3の例では、導入部に導入された不定形の素材M4を所定の粉砕機構A12にて粉砕して(粉砕工程S5)、粉砕した素材(粉砕物M13)を成形用素材M6としている。この場合、粉砕工程S5が成形用素材生成工程S2となり、粉砕機構A12が成形用素材生成機構A3となる。
【0044】
成形機構A4は、成形用素材M6を吸着材形成用成形体M7の形状に成形する。図2の例では、素材中に熱可塑性樹脂が含まれており、ペレット形状とされた成形用素材M6を用いて加熱機(第二の加熱機構)A24付き押出成形装置A20(成形機構A4を有する)にて押出成形により素材を成形する。ペレットM14を押出成形装置A20のホッパA21に投入すると、同装置A20は、加熱機A24にてペレットM14を加熱して軟化させ(第二加熱工程)、軟化したペレットM14を押出機A22にて混合して所定のダイから押し出し、切断機A23にて所定の長さに切断して成形する。成形品を第二の冷却機構にて冷却して吸着材形成用成形体M7とする第二冷却工程を設けてもよい。このようにして、吸着材形成用成形体M7が形成される。
押出成形装置A20の代わりに、加熱機(第二の加熱機構)A31付き射出成形装置A30(成形機構A4を有する)にて射出成形により素材を成形してもよい。ペレットM14を射出成形装置A30に投入すると、同装置A20は、加熱機A31にてペレットM14を加熱して軟化させ(第二加熱工程)、軟化したペレットM14を混合して所定のダイから所定形状の金型内に射出し(押し出し)、所定の形状に成形する。この場合も、成形品を第二の冷却機構にて冷却して吸着材形成用成形体M7とする第二冷却工程を設けてもよい。
【0045】
樹脂M2として熱可塑性樹脂を用いる場合、第二の加熱機構A24,A31にてペレットM14を加熱すると、ペレットM14を軟化させることができるので好適である。
図2の例において、成形工程S3は、第二の加熱機構にてペレットM14を加熱して軟化させる第二加熱工程を有し、この第二加熱工程にて軟化されたペレットM14を成形機構A4にて混合してダイから押し出して成形することにより吸着材形成用成形体M7を形成する。
【0046】
吸着材形成用成形体を形成する際に押出成形や射出成形を行う場合、素材が粉体状であると、混練段階で原料を均質に混練するのが容易ではない。そこで、押出成形や射出成形により成形する成形機構にて吸着材形成用成形体の形状に成形可能とするため、成形用素材M6をペレット形状としている。むろん、ペレット形状の成形用素材を用いてプレス成形により吸着材形成用成形体の形状に成形可能である。
【0047】
図3の例では、粉砕された状態の成形用素材M6を用いて加熱機(第二の加熱機構)A41付きプレス成形装置A40(成形機構A4を有する)にてプレス成形により粉砕物M13を成形する。粉砕物M13をプレス成形装置A40に投入すると、同装置A40は、粉砕物M13を所定形状の金型内に押し込み、加圧しながら加熱機A41にて熱可塑性樹脂が溶融状態となる温度まで加熱する。金型を開くと、吸着材形成用成形体M7が得られる。成形品を第二の冷却機構にて冷却して吸着材形成用成形体M7とする第二冷却工程を設けてもよい。図3の例において、成形工程S3は、粉砕物M13を成形機構にてプレス成形により成形して吸着材形成用成形体M7を形成する。
【0048】
成形用素材が粉体状であると、押出成形や射出成形を行うのが容易でないが、プレス成形により成形する成形機構にて容易に吸着材形成用成形体の形状に成形することができる。
【0049】
樹脂M2として常温(例えば20℃)で液状の合成樹脂を用いる場合、樹脂を溶融させて成形用素材を軟化させる必要が無くなるので、第一の加熱機構A11(第一加熱工程)や第二の加熱機構A24,A31,A41(第二加熱工程)が不要になる。液状の合成樹脂として熱硬化性樹脂を用いると、従来できなかった熱硬化性樹脂を原料とした吸着材形成用成形体を形成することができる。
【0050】
焼結機構A5は、吸着材形成用成形体M7を焼結して当該吸着材形成用成形体から樹脂M2を除去して多数の細孔M9を形成することにより吸着材M8を形成する。焼結機構は、バッチ式の焼結炉に吸着材形成用成形体を入れて焼結する焼結装置、トンネル式の焼結炉に吸着材形成用成形体を通過させて焼結する焼結装置など、種々の焼結装置を用いることができる。焼結炉を高温にさせる熱源としては、電気ヒータ、ガスバーナ、等、種々の熱源を用いることができる。焼結時の温度は、充てん材の融点以下で、吸着材形成用成形体から吸着材を形成したときに強度が向上する温度にする。焼結時の温度としては、300〜1000℃が好ましく、550〜750℃がさらに好ましい。300℃(550℃)以上にすると樹脂M2を焼却して多数の細孔を形成できる点で好ましい。
以上の各工程により、吸着材が製造される。
【0051】
ところで、吸着材に形成される多数の細孔の径は、充てん材M1の粒径、素材中の充てん材M1の配合割合、素材中の樹脂M2の配合割合、吸着材形成用成形体M7を焼結する焼結温度に応じて変わってくる。
図4に示すように、吸着材形成用成形体M7中で充てん材M31のように充てん材の粒径が比較的小さい場合には吸着材に形成される細孔の径は比較的小さくなり、充てん材M32のように充てん材の粒径が比較的大きい場合には吸着材に形成される細孔の径は比較的大きくなることが推察される。そこで、充てん材の粒径を段階的に異ならせて吸着材を形成して細孔の径を測定し、図の下段に示すように充てん材の粒径と細孔の径との対応関係を決定すると、吸着材に形成される細孔を所望の径R0にさせる充てん材の粒径R1を求めることができる。なお、吸着材の細孔の径R0は、例えばJIS K1150−1994の5.3に規定されている平均細孔直径(水銀圧入法または窒素吸着法)とすることができる。また、充てん材の粒径R1は、例えばJIS1150−1994の5.7に規定されている平均粒子径とすることができる。粒径1μm程度の細かい充てん材であれば、JIS R1619−1995に従って積算粒子径分布を求め、積算値50%における粒子径(平均粒子径)を充てん材の粒径としてもよい。細孔の径R0をなるべく均一にするため、ふるい分け等により充てん材の粒径R1をなるべく平均粒子径付近に揃えるようにしてもよい。
【0052】
図5に示すように、素材中で充てん材M33の配合割合が比較的少ない場合(図の左上)には吸着材に形成される細孔の径は比較的大きくなり、素材中で充てん材M33の配合割合が比較的多い場合(図の右上)には吸着材に形成される細孔の径は比較的小さくなることが推察される。そこで、素材中で充てん材の配合割合を段階的に異ならせて吸着材を形成して細孔の径を測定し、図の中段に示すように素材中の充てん材の配合割合と細孔の径との対応関係を決定すると、吸着材に形成される細孔を所望の径R0にさせる充てん材の配合割合R2を求めることができる。
また、素材中で樹脂の配合割合が比較的多い場合(図の左上)には吸着材に形成される細孔の径は比較的大きくなり、素材中で樹脂の配合割合が比較的少ない場合(図の右上)には吸着材に形成される細孔の径は比較的小さくなることが推察される。そこで、素材中で樹脂の配合割合を段階的に異ならせて吸着材を形成して細孔の径を測定し、図の下段に示すように素材中の樹脂の配合割合と細孔の径との対応関係を決定すると、吸着材に形成される細孔を所望の径R0にさせる樹脂の配合割合R3を求めることができる。
【0053】
図6に示すように、一般に、吸着材形成用成形体を焼結するときの焼結温度に応じて吸着材に形成される細孔の径が変わる。そこで、吸着材形成用成形体の焼結温度を段階的に異ならせて吸着材を形成して細孔の径を測定し、吸着材形成用成形体の焼結温度と細孔の径との対応関係を決定すると、吸着材に形成される細孔を所望の径R0にさせる焼結温度R4を求めることができる。
【0054】
本実施形態では、吸着材M8に形成される細孔を所望の径にさせるための条件であって、充てん材M1の粒径の条件と、素材中の充てん材M1の配合割合の条件と、素材中の樹脂M2の配合割合の条件と、吸着材形成用成形体M7を焼結する焼結温度の条件と、の一つ以上の条件を決定し(条件決定工程)、決定した条件で、成形用素材M6を生成し、吸着材形成用成形体M7を形成して、吸着材M8を製造することにしている。
【0055】
なお、図7に示すように、一般に、形成された吸着材の比重に応じて吸着材に形成される細孔の径が変わる。そこで、互いに比重の異なる複数の吸着材について細孔の径を測定し、吸着材の比重と細孔の径との対応関係を決定すると、形成された吸着材の比重を測定することにより、細孔が所望の径になっているか否かを確認することができるとともに、所望の径により近づくように吸着材に形成される細孔を所望の径にさせるための条件を決定することが可能となる。図の例では、吸着材の比重がR5となっており、吸着材の比重と細孔の径との対応関係から細孔の径はR0’と推定され、所望の径R0より小さくなっていることが示されている。この場合、細孔の径を大きくして所望の径に近づけるため、図4の例では充てん材の粒径を大きくしたり、図5の例では素材中の充てん材の配合割合を少なくしたり樹脂の配合割合を多くしたり、図6の例では焼結温度を低くしたりすればよい。
【0056】
(2)本製造方法に用いられる製造装置の構成:
図8は本吸着材形成用成形体の製造方法の実施に用いるペレット製造装置10の一実施形態の外観側面図であり、図9は当該ペレット製造装置の外観上面図である。同装置10は、概略、各装置11,12,13,20,14、制御盤15を備えている。制御盤15は、複数の操作ボタンと、本装置10の運転条件の設定や運転状態をモニタリングする操作ディスプレイとが前面に配置されている。本装置10の操作者は、この制御盤15を使用して各種操作を行う。なお、樹脂M2として熱可塑性樹脂を用いるものとして説明する。
材料供給装置11は、中空の略円筒形状に形成され、上面に開口部11a1を備えたホッパ装置11aを有している。ホッパ装置11aの内部には、撹拌翼11a2と、この撹拌翼11a2が接続されている撹拌翼接続円板11a3とが配置されており、この撹拌翼接続円板11a3はベルト11a4を介して撹拌翼駆動モータ11a5に接続されている。このモータ11a5の駆動がベルト11a4を介して円板11a3に伝達され、円板11a3と撹拌翼11a2が回転駆動する。微粒状の充てん材と断片形状の熱可塑性樹脂原反とを少なくともホッパ装置11aに投入すると、装置11a内に収容された素材は粒状のまま撹拌されつつ混合され、混合材料供給口11a6から素材搬送装置12に供給される。
【0057】
素材搬送装置12は、混合材料供給口11a6に接続された混合材料流入口12aから、混合された素材の供給を受ける。略円筒形状の中空管12bの内部には、一部(図8、図9の右側)がペレット成形装置20内に挿入されたスクリュー軸12cが配設されている。このスクリュー軸12cは、軸方向に沿って複数フライトの螺旋状ネジ山が形成され、スクリューとされている。流入口12aから流入した素材は、中空管12bとスクリュー軸12cとスクリューのネジ山にて形成される空間に収容される。このスクリュー軸12cは、ギア部12dを介してスクリュー軸駆動モータ12eに接続されている。このモータ12eを駆動してスクリューを回転動作させると、上記中空管12bとスクリュー軸12cとスクリューのネジ山にて形成される空間に収容された素材は、この回転動作によって形成される所定の押出速度に基づいて、混合されながら流動体流出口12fに向かって押し出される。このとき、素材は、素材搬送装置12に併設されている素材加熱装置(加熱機構)13によって加熱され、熱可塑性樹脂が溶融することにより軟化する。従って、押し出される素材は、軟化状態とされる。同装置13は、概略、発熱体を有するヒータ部13aを複数備えるとともに、各ヒータ部13aに対応した複数のブロア部13bを備えている。ヒータ部13aの発熱体により高温とされた空気をブロア部13bにて中空管12bに吹き付けることにより、中空管12b内の素材を加熱する。
【0058】
ここで、ヒータ部は熱可塑性樹脂を溶融させる温度に上昇させることができればよく、熱可塑性樹脂の種類に応じてヒータの加熱能力を決定すればよい。例えば、熱可塑性樹脂としてPPを用いる場合には200〜230℃程度とし、ポリアミドを用いる場合には270〜290℃程度とする。素材搬送装置12が素材を搬送する能力は、軟化された素材の粘度等の性質に応じて決定すればよい。
【0059】
図10はペレット成形装置20の要部の斜視図であり、図11と図12は図9のB方向から見て示した垂直断面図である。なお、図11においてスクリュー軸12cとスクリューのネジ山については側面視して示している。以下、図11と図12を基準とした上下左右の関係により各部材の配置を説明する。
ペレット成形装置20は、軟化状態の素材の押出方向を軸とした円筒形状の金属製外筒部21、同外筒部21の素材出口側(図の右側)の端部に取り付けられた金属製部材とされた出口部22、同出口部22の下側において開口31aを上側に向けて設置されて押し出される不定形の素材m1を導入する導入部31が設けられた粉砕機(粉砕機構)30、同粉砕機30にて粉砕された素材m2を導入する粉砕素材導入部24が形成された成形機用容器23、同容器23内に設けられた二つの押し込みローラ25,25、成形機用容器23の下側にて回転可能に取り付けられた金属製ダイフェースカッタ部26、同ダイフェースカッタ部26を回転駆動する電動モータ27、等を備えている。
外筒部21の左側には、素材流入口21aが設けられており、軟化状態の素材は素材搬送装置12から素材流入口21aに流入するようになっている。外筒部21内にスクリュー12gの先端部(左端部)が挿入されており、外筒部21内に搬送された軟化状態の素材は同スクリュー12gの回転動作により混合されながら右方向に押され、出口部22から右側に押し出され、不定形の素材m1として金属製の粉砕機用ホッパ32内に落下する。なお、素材搬送装置12と外筒部21と出口部22が押出機構を構成する。
出口部22には、製造されるペレットよりもはるかに径の大きい三つの開口22aが形成されており、軟化して混合された素材は同開口22aを貫通して成形されることなく不定形の状態で押し出される。むろん、出口部の開口は様々な数とすることができ、単一の開口とすることもできる。
【0060】
従来は上記出口部22の代わりにペレットと略同じ径とされた貫通穴が多数形成されたダイを外筒部21の右端部に取り付けていた。しかし、熱可塑性樹脂の配合割合が小さい素材では熱可塑性樹脂を溶融させても素材の流動性が小さいため、ダイの部分で大きな抵抗が生じて素材の押出流量は少なく、単位時間当たりに大量のペレットを形成することができなかった。本実施形態ではこのようなダイを外筒部21に取り付けておらず、出口部22では大きな抵抗が生じないため、素材の押出流量は大きくなる。
ペレット成形用のダイ(例えば押出口が直径5mm)を外筒部の端部に取り付けた押出成形機でペレットを成形する成形圧(素材に対して押出口方向に加える圧力)が25MPa以上となる素材では、従来からの押出成形機では機械の耐久性の観点からペレットの成形を行っていない。通常、微粒状の充てん材と熱可塑性樹脂の配合比が重量比で70〜99.9:0.1〜30である素材は樹脂が加熱軟化した状態で成形圧が25MPa以上となってしまうが、このような素材であっても本ペレット製造装置は押出機構にて混練しながら素材を押し出すことができ、大量のペレットを生成することが可能である。
【0061】
粉砕機用ホッパ32は、出口部の開口22aから押し出された不定形の素材m1を一旦収容し、下部開口32bから略上下方向を中心軸とする円筒形状の金属製粉砕室33内へ軟化状態の不定形の素材を供給することができる。ホッパの開口32aは出口部22から離されて同出口部22の下側に位置しているので、押し出した素材m1が後続の素材m1の押し出しを阻害することなく、ホッパ32は出口部の開口22aから押し出された不定形の素材m1を収容することができる。そして、押出機構から押し出された素材を不定形のまま導入する所定の導入部31が、ホッパ32と粉砕室33に形成されていることになる。むろん、導入部は、押出機構から離されておらず一部が押出機構と繋がっているような構造とすることも可能である。
また、図13に示すように、押出機構の出口部22の下側からホッパ32の上側まで不定形の素材m1を載置して移送するコンベア(例えばベルトコンベア)51を設けてもよい。すなわち、押出機構から押し出された不定形の素材m1は、コンベア51上に載置され、ホッパ32方向に移送されて、当該ホッパ32内に収容され、粉砕室33内に供給される。この場合、コンベア51とホッパ32と粉砕室33とから導入部50が構成される。
【0062】
粉砕機(粉砕機構)30は、上記ホッパ32、同ホッパ32の下側において同ホッパの下部開口32bに連通する上部開口が形成された粉砕室33、同粉砕室33内の下部において上下方向に回転軸を向けて回転可能とされて不定形の素材を載置する金属製載置テーブル34、左右方向に向けられた円柱状の軸部材35a,35aを回転軸として載置テーブル34に外周下部が当接して当該テーブル34上を転動可能な複数の金属製粉砕ローラ35,35、上下方向に向けて配設された円柱状の回転駆動軸36aを介して載置テーブル34を回転駆動する電動モータ36、成形機用容器23の上部において下方に向けて開口した図示しない粉体吐出口まで粉砕後の素材を移送する粉体輸送機37、等を備えている。軸部材35a,35aは、粉砕室33の側壁に固定されている。粉砕室33の下側(載置テーブル34の下面から下側)には、当該粉砕室33と略同じ径の円筒形状の金属製粉体収容室33aが設けられており、当該収容室33aに粉砕後の素材が粉体輸送機37へ吸い込まれる粉体吸引口37bが形成されている。
粉砕機30では、常時モータ36に通電してあり、回転駆動軸36aを介して載置テーブル34が回転駆動される。すると、載置テーブル34の上面で当該テーブル34の上下方向を軸とする回転動に従動して粉砕ローラが左右方向を軸として回転動し、粉砕室33内に導入された不定形の素材は、載置テーブル34上と粉砕ローラ35,35周面との間で粉砕される。ここで、導入された素材は微粒状の充てん材に熱可塑性樹脂がなじんだ素材とされており、樹脂となじんだ充てん材を有する軟化状態の素材が粉砕され、均質にされる。また、粉体輸送機37の送風機にも常時通電してあり、粉砕されて粉砕室33の内周面と載置テーブル34の外周面との間33bから収容室33a内に落下した素材が粉体吸引口37bから粉体輸送機37に吸い込まれ、粉体吐出口よりも上側まで斜め上方に移送されて、粉体吐出口37aから下方に向けて吐出される。そして、粉砕後の素材は、落下して成形機用容器23内に収容される。
なお、粉砕機構としては、公知の種々の粉砕機を使用可能である。
【0063】
成形機用容器23は、略上下方向を中心軸とする筒形状の容器用外筒部23aと、同容器用外筒部23aの下側開口を塞ぐように取り付けられた底部円板23bとから構成されている。同容器23の底部となる底部円板23bには、例えば直径3〜5mm程度の多数の貫通穴23dが略上下方向に向けて形成されている。容器用外筒部23aの上側の開口23cは粉砕機の粉体吐出口37aから離されて同吐出口37aの下側に位置しているので、成形機用容器23は吐出口37aから下方に向けて吐出された粉砕後の素材m2を収容することができる。そして、粉砕機構にて粉砕された素材を導入する粉砕素材導入部24が、成形機用容器23に形成されていることになる。むろん、粉砕素材導入部は、粉砕機構から離されておらず一部が粉砕機構と繋がっているような構造とすることも可能である。
【0064】
図14に示すように、底部円板23bは、略円形の貫通穴23dが多数(図では、同心円状に16個×2列)形成されている。なお、ダイフェースカッタ部26の取付位置を点線により示している。各貫通穴23dから押し出される粉砕後の素材は、略棒状とされる。
成形機用容器23内に設けられた押し込みローラ25,25は、略水平に設置された略円柱状の棒状部材25aの両端にて回転可能に取り付けられている。同棒状部材25aは、両端からの中間部にて略上下方向に設けられた回転軸材25bに固定され、同回転軸材25bを中心軸として回転動可能に設けられている。同回転軸材25bは、ローラ駆動用電動モータ25cに取り付けられている。同モータ25cに対して通電を行って動作させ、回転軸材25bを回転させると、棒状部材25aの両端にあるローラ25,25が自ら回転しながら底部円板23b上を周回する(図10では左回り)。このとき、底部円板23bの上面とローラ25,25との間の摩擦力により、ローラ25,25は自ら回転しながら(図11に示されたローラ25では左回り)成形機用容器23内の粉砕後の素材を多数の貫通穴23dの一方の開口(上側開口)から押し込み、他方の開口(下側開口)から略棒状に押し出す。なお、押し込みローラは、一つでも、三つ以上でもよい。
【0065】
図12、図14に示すように、ダイフェースカッタ部26は、カッタ駆動用電動モータ27への取付部となるカッタテーブル26aと、同カッタテーブル26aに取り付けられて固定される複数(本実施形態では2枚)のカッタ26bとを備えている。モータ27によりダイフェースカッタ部26が回転動作すると、各カッタ26bは、底部円板23bの下面を摺動し、貫通穴23dの下側開口から下方へ押し出される略棒状の素材を長さ3〜7mm程度に切断する。これにより、軟化した素材がペレット形状に成形される。なお、複数の貫通穴23dを有する成形機用容器23と、押し込みローラ25,25および同押し込みローラを駆動する機構25a〜cと、カッタ26bを有するダイフェースカッタ部26と、モータ27とが、ペレット成形機構を構成する。
【0066】
ペレット形状に成形された素材は、冷却槽40内に落下し、冷却されて固化し、ペレットm3として冷却槽40から回収される。冷却槽40は、図示しない冷却機にて冷却された冷水が入れられており、ペレット成形装置20から落下する成形後の素材を冷水にて固化させる。冷却槽40と冷却機とは、第一の冷却機構を構成する。成形後の素材を即座に固化させることにより、成形された素材どうしが相互に接着してしまうことを防止することができる。
固化されたペレットは、ペレット流入口14aから選別搬送装置14に流入する。選別搬送装置14は、所定径の略円形状の小穴が多数形成された選別搬送網、搬送網振動モータ、ペレット収容部を有している。ペレットは、順次選別搬送網に投入され、搬送網振動モータによって選別搬送網が振動することにより同選別搬送網の小穴にて大きさが選別される。選別搬送網上に残存するペレットは、同選別搬送網上をペレット回収部に向かって移動していき、図示しないサイクロンによってペレット収容部に収容される。また、選別搬送網から落下したペレットは、回収されて再利用される。
【0067】
生成したペレットは、汎用的な樹脂成形用の押出成形機や射出成形機を用いて吸着材形成用成形体の形状に成形することができる。押出成形機としては、一軸スクリュー混練押出成形機や二軸スクリュー混練押出成形機など、種々の装置を用いることができる。例えば、図15に示すように、ホッパ61、軟化状態の素材の押出方向を軸とした円筒形状の金属製外筒部62、同外筒部62の素材出口側(図の右側)の端部に取り付けられた金属製ダイ63、外筒部62内に挿入されたスクリュー64、同スクリューを回転駆動するスクリュー軸駆動モータ65、外筒部62に併設されて当該外筒部内を所定温度に加熱する加熱機(第二の加熱機構)66、ダイ63の外側(右側)に設けられたカッタ67、を備える加熱機付き一軸スクリュー混練押出成形機60を用いることができる。同押出成形機60は、ダイ63の押出口63aから軟化状態の素材を押し出して吸着材形成用成形体の形状に成形する。吸着材形成用成形体の形状に成形された素材は、図示しない冷却槽にて冷却されて固化し、吸着材形成用成形体M7として冷却槽から回収される。冷却槽には冷却機にて冷却された冷水が供給されるようになっており、これら冷却槽と冷却機とが第二の冷却機構を構成する。成形後の素材を即座に固化させることにより、吸着材形成用成形体どうしが相互に接着してしまうことを防止することができる。
また、射出成形機としては、例えば、上記押出成形機60の各部61〜66と同様の構成を備えるとともに、図16に示すように、基部71、この基部71上に上下動可能に支持された下金型72、この下金型72を上下動させる図示しないシリンダ、下金型72の上面に対向して開閉可能に配置された上金型73、基部71上であって下金型72の左側に設けられて上金型73を回動可能に支持する支持部74、上金型73を回動させる図示しないモータ、下金型72と上金型73とで挟まれる空間に押出口63aから押し出された軟化状態の素材を注入するため図16において上金型73の上面に設けられた注入口75、を備える射出成形機70を用いることができる。同射出成形機は、両金型72,73に挟まれた空間内に軟化状態の素材を射出して吸着材形成用成形体の形状に成形する。そして、図示しない冷却機構にて金型72,73を冷却すると、射出された素材が固化し、吸着材形成用成形体M7が形成される。
【0068】
形成された吸着材形成用成形体M7は、汎用的な焼結装置を用いて吸着材M8にすることができる。例えば、図17に示すように、炉内に複数の棚81aが設けられた焼結炉81、炉内に熱を供給して所定温度に上昇させる熱供給装置82、を備えるバッチ式の焼結装置80を用いることができる。熱供給装置82は、設定温度に対応する電流量の電流を電気ヒータに通電する構成とすることができるが、ガスバーナを併用したり、ガスバーナのみで構成することもできる。同焼結装置は、棚81aの上に載置された吸着材形成用成形体M7を、吸着材に多数の細孔を形成させる充てん材の融点よりも低い所定温度で焼結して、吸着材を製造する。
【0069】
なお、ペレット形状の成形用素材を生成する際に粉砕機構を省略する場合には、図10において、粉砕機30を省略し、不定形の素材が押し出される出口部22の下方に成形機用容器23を配置して、出口部22から不定形の状態で押し出される素材を不定形のまま成形機用容器23内に導入すればよい。この場合のペレット製造装置の構成は、特開2004−17502号公報に開示されたペレット製造装置の構成と同じになる。
また、粉砕された状態の成形用素材を生成する際には、図10において、ペレット成形機構23〜25を省略し、粉砕機の粉体吐出口37aから吐出される粉砕物を成形用素材とすればよい。この場合、粉砕された状態の成形用素材を加熱機付きプレス成形装置に投入し、プレス成形装置にて、成形用素材を所定形状の金型内に押し込み、加熱して成形用素材を軟化させながら加圧すると、吸着材形成用成形体の形状に成形される。そして、金型を開くと、吸着材形成用成形体を取り出すことができる。
【0070】
(3)吸着材の製造方法の作用、効果:
本実施形態では、吸着材に形成される細孔の径を所望の径にするため、まず、充てん材の粒径の条件と、素材中の充てん材の配合割合の条件と、素材中の樹脂の配合割合の条件と、吸着材形成用成形体を焼結するときの焼結温度の条件と、の一つ以上の条件を決定する。
素材中の原料の配合割合や焼結温度を決めている場合、充てん材の粒径を変えることによって吸着材の細孔の径を調整することができる。充てん材の粒径の条件を決めるとき、素材中の原料を所定の配合割合とし、焼結温度を所定温度として、上述した押出工程S1と成形用素材生成工程S2と成形工程S3と吸着材形成工程S4とに従って充てん材の粒径を段階的に異ならせた複数種類の吸着材を形成し、形成される細孔の径を実測する。次に、図4で示したように、例えば、横軸を充てん材の粒径、縦軸を細孔の径として実測値をグラフ上にプロットし、充てん材の粒径と細孔の径との対応関係を決定して当該対応関係を表す曲線を求める。そして、細孔の径が所望の径R0であるときに対応する充てん材の粒径R1をグラフ上の曲線を用いて求めると、充てん材の粒径について吸着材に形成される細孔を所望の径にさせるための条件を決定することができる。
【0071】
充てん材の粒径や焼結温度を決めている場合、素材中の充てん材の配合割合を変えることによって吸着材の細孔の径を調整することができる。素材中の充てん材の配合割合の条件を決めるとき、充てん材を所定の粒径とし、第三の素材を添加するときには素材中の第三の素材を所定の配合割合とし、焼結温度を所定温度として、上述した工程S1〜S4に従って素材中の充てん材の配合割合を段階的に異ならせた複数種類の吸着材を形成し、形成される細孔の径を実測する。次に、図5の中段で示したように、例えば、横軸を充てん材の配合割合、縦軸を細孔の径として実測値をグラフ上にプロットし、充てん材の配合割合と細孔の径との対応関係を決定して当該対応関係を表す曲線を求める。そして、細孔の径が所望の径R0であるときに対応する充てん材の配合割合R2をグラフ上の曲線を用いて求めると、充てん材の配合割合について吸着材に形成される細孔を所望の径にさせるための条件を決定することができる。
【0072】
充てん材の粒径や焼結温度を決めている場合、素材中の樹脂の配合割合を変えることによって吸着材の細孔の径を調整することができる。素材中の樹脂の配合割合の条件を決めるとき、充てん材を所定の粒径とし、第三の素材を添加するときには素材中の第三の素材を所定の配合割合とし、焼結温度を所定温度として、上述した工程S1〜S4に従って素材中の樹脂の配合割合を段階的に異ならせた複数種類の吸着材を形成し、形成される細孔の径を実測する。次に、図5の下段で示したように、例えば、横軸を樹脂の配合割合、縦軸を細孔の径として実測値をグラフ上にプロットし、樹脂の配合割合と細孔の径との対応関係を決定して当該対応関係を表す曲線を求める。そして、細孔の径が所望の径R0であるときに対応する樹脂の配合割合R3をグラフ上の曲線を用いて求めると、樹脂の配合割合について吸着材に形成される細孔を所望の径にさせるための条件を決定することができる。
【0073】
充てん材の粒径や素材中の原料の配合割合を決めている場合、焼結温度を変えることによって吸着材の細孔の径を調整することができる。吸着材形成用成形体を焼結する焼結温度の条件を決めるとき、充てん材を所定の粒径とし、素材中の原料を所定の配合割合として、上述した工程S1〜S4に従って焼結温度を段階的に異ならせた複数種類の吸着材を形成し、形成される細孔の径を実測する。次に、図6で示したように、例えば、横軸を焼結温度、縦軸を細孔の径として実測値をグラフ上にプロットし、焼結温度と細孔の径との対応関係を決定して当該対応関係を表す曲線を求める。そして、細孔の径が所望の径R0であるときに対応する焼結温度R4をグラフ上の曲線を用いて求めると、焼結温度について吸着材に形成される細孔を所望の径にさせるための条件を決定することができる。
【0074】
上述した各条件を複数同時に決定してもよい。例えば、粒径を段階的に異ならせた充てん材を入手して吸着材を製造する場合に充てん材の粒径と充てん材の配合割合の両条件を決めることが考えられる。この場合、まず、図4に示すように吸着材の細孔の径が最も所望の径R0に近くなる粒径R11の充てん材を選択し、この粒径R11に対応する細孔の径R10を図4に示す対応関係から求める。次に、充てん材を粒径R11とし、第三の素材を添加するときには素材中の第三の素材を所定の配合割合とし、焼結温度を所定温度として、上述した工程S1〜S4に従って素材中の充てん材の配合割合を段階的に異ならせた複数種類の吸着材を形成し、形成される細孔の径を実測する。次に、図5の中段で示したように、実測値をプロットし、充てん材の配合割合と細孔の径との対応関係を決定して、細孔の径が所望の径R0であるときに対応する充てん材の配合割合R2をグラフ上の曲線を用いて求めることにより、充てん材の粒径をR11と決定するとともに充てん材の配合割合をR2と決定することができる。
むろん、充てん材の粒径と樹脂の配合割合、充てん材の粒径と焼結温度、素材に第三の素材を添加する場合の充てん材の配合割合と樹脂の配合割合、充てん材の配合割合と焼結温度、樹脂の配合割合と焼結温度、素材に第三の素材を添加する場合の充てん材の粒径と充てん材の配合割合と樹脂の配合割合、充てん材の粒径と充てん材の配合割合と焼結温度、充てん材の粒径と樹脂の配合割合と焼結温度、素材に第三の素材を添加する場合の充てん材の配合割合と樹脂の配合割合と焼結温度、素材に第三の素材を添加する場合の充てん材の粒径と充てん材の配合割合と樹脂の配合割合と焼結温度、の各組み合わせについても同様にして条件を決定することができる。
【0075】
また、上述した工程S1〜S4に従って吸着材を形成し、形成した吸着材の比重を測定するとともに、測定した比重に基づいて、充てん材の粒径の条件と、素材中の充てん材の配合割合の条件と、素材中の樹脂の配合割合の条件と、焼結温度と、の一つ以上の条件を決定してもよい。ここで、互いに比重の異なる複数の吸着材について細孔の径を実測し、例えば図7で示したように、横軸を比重、縦軸を細孔の径として実測値をグラフ上にプロットし、吸着材の比重と細孔の径との対応関係を決定して当該対応関係を表す曲線を求めておく。すると、形成された吸着材の比重を測定することにより、細孔が所望の径になっているか否かを確認することができるとともに、所望の径になっていないときには上記各条件の一つ以上を変更することにより吸着材に形成される細孔を所望の径に近づけることができる。例えば、推定される細孔の径R0’が所望の径R0より小さい場合、図4〜図6の例では、充てん材の粒径を大きくし、充てん材の配合割合を少なくし、樹脂の配合割合を多くし、焼結温度を低くすればよい。一方、推定される細孔の径R0’が所望の径R0より大きい場合、図4〜図6の例では、充てん材の粒径を小さくし、充てん材の配合割合を多くし、樹脂の配合割合を少なくし、焼結温度を高くすればよい。
【0076】
以上の条件決定工程にて各条件を決定すると、決定した粒径の充てん材を用い、決定した配合割合の原料を材料供給装置11に投入する。本実施形態では、微粒状の充てん材と当該充てん材と等重量以下の熱可塑性樹脂を少なくとも投入する。すると、素材搬送装置12は投入された素材を混合しながらペレット成形装置20方向に搬送する。このとき、素材加熱装置13が素材を加熱するので、熱可塑性樹脂は溶融し、素材が軟化する。樹脂としてPPを用いる場合、成形用素材から吸着材形成用成形体への成形時の加熱溶融の温度と同じ200〜230℃程度となるように素材を加熱する。ここで、素材は、フィラー高充填であるので、樹脂が溶融しても固形分が多いことによって流動性は大きくなりすぎず、粉砕可能な程度に軟化する。素材搬送装置12は、軟化した素材をスクリュー12gにより混合しながらペレット成形装置の外筒部21内に押し込む。素材が混合されるので、充てん材に樹脂がなじんだ(相溶化した)不定形の素材が形成される。素材に相溶化剤が添加されている場合には、充てん材に樹脂がさらによくなじんだ不定形の素材が形成される。また、シランカップリング剤を反応させた充てん材を用いた場合にも、充てん材に樹脂がさらによくなじんだ不定形の素材が形成される。軟化した素材は、成形されることなく不定形の状態で押し出される。このときの状態が、図10の不定形の素材m1として示されている。なお、素材中の充てん材の配合割合が多いと素材m1は粉っぽい感じで押し出され、素材中の樹脂の配合割合が多いと素材m1は太いうどん状となって押し出される。以上が、押出工程である。
押し出された不定形の素材m1は、落下して粉砕機用ホッパ32内に収容され、粉砕室33内に供給される。すなわち、同素材m1は、不定形のまま導入部31に導入される。
【0077】
導入部31に導入された不定形の素材m1は、充てん材に樹脂がなじんだ素材とされており、樹脂となじんだ充てん材を少なくとも有する軟化状態の不定形の素材が粉砕機30にて粉砕され、均質にされる。粉砕された素材m2は、粉体吐出口37aから落下して成形機用容器23内に収容される。粉砕素材導入部24に導入された粉砕後の素材は、押し込みローラ25,25により多数の貫通穴23dの上側開口から押し込まれる。なお、素材が粉砕されているので、貫通穴23d内に入り込みやすく、単位時間当たりのペレット成形量が多い。また、貫通穴23dに入った状態で、素材の粒子間に適度な空隙(成形用素材から吸着材形成用成形体への成形時の熱を加える混練工程で崩れる程度の空隙)が生じる。貫通穴23dに押し込まれた粉砕後の素材は、貫通穴23dの下側開口から略棒状に押し出される。そして、カッタ26bが回転すると、略棒状の素材は、同カッタ26bにより断面方向に切断されて、ペレット形状に成形される。
ペレット形状の成形された素材は、冷却槽40内に落下し、冷却されて固化する。生成したペレットは、冷却槽40から回収される。
以上が、成形用素材生成工程である。
【0078】
生成したペレットm3を図15に示す押出成形機60のホッパ61に原料として投入すると、モータ65に回転駆動されたスクリュー64の回転動作により混合されながらダイ方向に押される。このとき、加熱機66がペレットを加熱するので、熱可塑性樹脂が溶融し、ペレットが軟化する。軟化した素材は、ダイ63から押し出され、カッタ67にて所定の長さに切断される。これにより、ペレットから吸着材形成用成形体の形状に成形され、成形物が冷却されることにより吸着材形成用成形体が形成される。また、図16に示す射出成形機70を用いる場合、軟化した素材がダイ63から押し出されて金型72,73で挟まれた空間内に射出される。これにより、ペレットから吸着材形成用成形体の形状に成形され、成形物が冷却されることにより吸着材形成用成形体が形成される。
素材に滑剤を添加していた場合、成形用素材から吸着材形成用成形体の形状に成形する時に充てん材間のすべりが良好となるので、成形しやすくさせることができる。
以上が、成形工程である。
【0079】
形成した吸着材形成用成形体M7を図17に示す焼結装置80の炉内に入れ、条件決定工程にて決定した焼結温度となるように熱供給装置82にて炉内の温度を上昇させる。すると、吸着材形成用成形体は焼結され、吸着材形成用成形体に含まれる樹脂が焼結時に焼却されて除去され、図1で示したように吸着材形成用成形体に多数の細孔M9が形成される。ここで、樹脂の重量が充てん材の重量以下とされているので、吸着材形成用成形体から吸着材への収縮度合は小さい。そして、炉内が冷却されると、吸着材を炉内から取り出すことができる。これにより、多数の細孔を有する吸着材を吸着材形成用成形体から製造することができる。
素材に繊維状素材を添加していた場合、吸着材形成用成形体が崩れにくくなるので、保形性に優れた吸着材形成用成形体を形成して吸着材を製造することが可能となる。
以上が、吸着材形成工程である。
【0080】
製造された吸着材は、形成された細孔の径に応じた種々の物質を吸着して除去することが可能である。空気中で本吸着材を使用する場合には、ダスト、ミスト、浮遊微生物、ウイルス、揮発性の有機化合物、等を吸着することが可能である。水中で本吸着材を使用する場合には、微生物、ウイルス、タンパク質等の有機化合物、各種コロイド粒子、等を吸着することが可能である。また、吸着材の細孔の径に応じて吸着される物質の大きさが変わるので、充てん材の粒径や、素材中の充てん材や樹脂の配合割合や、焼結温度を変えることにより、吸着させる物質の大きさを調整することができる。
なお、吸着材に吸着させた物質が有機系の物質であれば、吸着材を焼結温度以下で焼くことにより吸着した物質を焼却して除去することができるので、繰り返し使用することが可能である。
【0081】
以上説明したように、充てん材と樹脂を少なくとも含む素材を不定形の状態で押し出し、押し出された素材を不定形のまま素材を導入部に導入すればよいので、素材の押出流量は制限されない。従って、溶融状態の樹脂が充てん材の重量以下の重量とされた流動性の小さいフィラー高充填の素材であっても、単位時間当たりに成形用素材を大量に生成することが可能であり、この成形用素材を用いて吸着材形成用成形体を大量生産することが可能となる。また、吸着材形成用成形体には樹脂が含まれているので、吸着材を形成する際に吸着材形成用成形体は崩れず、保形性の良好な吸着材形成用成形体が得られる。さらに、フィラー高充填の素材から吸着材形成用成形体を形成しているので、吸着材形成用成形体から吸着材への収縮度合が小さくて済む。従って、多数の細孔を有する吸着材を形成するための吸着材形成用成形体を保形性に優れた成形体にさせ、吸着材を自由な形状に形成することができ、単位時間当たり大量の吸着材を製造することが可能となる。
【0082】
微粒状の無機素材に何も添加しないでプレス成形により吸着材形成用成形体を形成して吸着材を製造する場合と本発明の製造方法とを比較すると、本発明の製造方法は、吸着材を形成する際に吸着材形成用成形体の崩れが無く、吸着材形成用成形体の保形性が十分であるという有用な効果が得られる。なお、ペレット形状の成形用素材を生成して押出成形や射出成形により吸着材形成用成形体の形状に成形すると、バッチ毎の成形ではなくなり、ランニングコストを低減させ、単位時間当たりの吸着材の製造量を向上させるという有用な効果が得られる。
微粒状の無機素材に水を添加して押出成形により吸着材形成用成形体を形成して吸着材を製造する場合と本発明の製造方法とを比較すると、本発明の製造方法は、素材を不定形の状態で押し出してから成形用素材を生成して吸着材形成用成形体の形状に成形することにより樹脂の重量を充てん材の重量以下とフィラー高充填の素材を成形することが可能になるので、吸着材形成用成形体が焼結中に大きく収縮することが無くなり、吸着材形成用成形体について良好な保形性を得ることができるとともに所望の形状の吸着材を得ることができるという、有用な効果が得られる。また、素材をフィラー高充填とすることによって、吸着材形成用成形体の形状の自由度が向上し、吸着材の形状の自由度が向上するという、有用な効果も得られる。
【0083】
オルガノシラン処理用反応剤で充てん材の表面処理を行う場合と本発明の製造方法とを比較すると、本発明の製造方法は、表面処理を行う必要が無くなり、ランニングコストを低減させ、単位時間当たりの吸着材の製造量を向上させるという有用な効果が得られる。また、オルガノシラン処理用反応剤のシリカ成分が吸着材中に残存せず、高純度の吸着材を得ることができるという有用な効果も得られる。さらに、素材を不定形の状態で押し出してから成形用素材を生成して吸着材形成用成形体の形状に成形することにより樹脂の配合割合が充てん材の配合割合と比べて非常に少ない素材であっても成形することが可能になるので、より充てん材の配合割合の多い素材を吸着材形成用成形体の形状に成形することができ、このような非常にフィラー高充填の素材から吸着材を製造することができるという、有用な効果も得られる。
【0084】
なお、押出機構で押し出された不定形の素材を一旦粉砕してペレット形状に成形すると、より均質にされた状態で素材をペレット形状に成形することができる。これにより、ペレットをより均質化させることができ、吸着材形成用成形体や吸着材をより均質化させることが可能となる。また、充てん材に樹脂が良くなじんだ(相溶化した)後にペレット化されるので、当該ペレットを原料として押出成形や射出成形により吸着材形成用成形体の形状に成形する時に原料段階ではペレット形状を維持させることができる一方、熱が加わる混練段階でペレットをより崩れやすくさせて良好に分散させる。従って、ペレットから吸着材形成用成形体の形状に成形することが容易となる。さらに、不定形の素材が粉砕されることによってペレットを成形する際に成形用の穴や隙間等に入りやすくなるので、単位時間当たりのペレット生成量をさらに増やすことができ、吸着材形成用成形体や吸着材の生産量をさらに増やすことが可能となる。
【0085】
特に、高充填量の充てん材と加熱軟化した熱可塑性樹脂とを含む素材を混合して押し出す(混練する)ことを行わずに粉砕してペレット形状に成形すると、充てん材に樹脂がなじまずにペレット化されるため、充てん材と樹脂とがばらばらに崩れて粉体状になりやすいペレットが形成される。むろん、熱可塑性樹脂を軟化させていなければ、なおさら粉体状に崩れやすいペレットが形成される。すると、当該ペレットを原料として吸着材形成用成形体の形状に成形しようとしたときに原料段階からペレットが粉体状に崩れてしまうため、混練段階で原料を均質に混練するのが容易ではない。本発明の製造方法では、溶融した樹脂と充てん材とを軟化した素材として混合して押し出した後に粉砕してペレット形状に成形するので、充てん材に樹脂が良くなじんだ後にペレット化され、粉体状となるほどには崩れないペレットが形成される。従って、当該ペレットから吸着材形成用成形体への成形時に原料段階ではペレットが粉体状に崩れることなく熱を加える混練段階で崩れて分散するため、混練段階で容易に原料を均質に混練することができる。
【0086】
さらに、素材中の樹脂の配合割合が多くて従来の押出成形機では成形後のペレットどうしがくっついてしまう素材であっても、成形後のペレットどうしがくっつかず分離した状態となる。これは、軟化した素材を不定形の状態で押し出した後、即座にはペレット形状に成形しないため、熱可塑性樹脂を配合した素材では温度低下により、熱硬化性樹脂や接着剤を配合した素材では時間経過により、素材軟化度合が低下すると推察されるためである。ペレットどうしがくっついていると吸着材形成用成形体を形成する時にペレットがスムーズに成形工程に送り込まれないが、ペレットどうしが分離しているため、スムーズに吸着材形成用成形体を形成することができる。
【0087】
なお、樹脂M2を液状の合成樹脂とすると、樹脂を加熱溶融させる第一加熱工程や、成形用素材を加熱軟化させる第二加熱工程を省略することができるので、これらの加熱工程にかかる時間を無くすことができる。これにより、単位時間当たりの吸着材の生産量を増やすことができ、保形性に優れた吸着材形成用成形体を形成して吸着材を製造可能とする好適な構成を提供することができる。
【0088】
(4)各種変形例:
上記成形機用容器を加熱する容器加熱手段を設けてもよい。上記成形機用容器23内にヒータを埋設して同ヒータに通電すると、成形機用容器23を加熱することができる。すると、成形機用容器23内に収容された不定形の素材の冷却による固化を防ぐことができ、ペレットの生成効率をより向上させることができる。
上記カッタを加熱するカッタ加熱手段を設けてもよい。例えば、上記カッタテーブル26a内にヒータを埋設して同ヒータに通電すると、カッタを加熱することができる。すると、熱可塑性樹脂を含む素材をカッタの近傍にて軟化させて容易に切断することができ、ペレットの生成効率をさらに向上させることができる。
ペレット形状の成形用素材を形成する際、特開2004−17502号公報に開示されたように、一対の圧延ロールで不定形の素材を略平板状に圧延し、シュレッダ(樹脂細断機)で細断することによりペレット形状に成形してもよい。
【0089】
図18に示すように、樹脂M2として常温で液状の熱硬化性樹脂M15を用いる場合、押出工程S1では素材を加熱することなく押出機構A1にて不定形の状態で押し出すことができる。そして、成形用素材生成工程S2で例えばペレットM14を形成し、成形工程S3では、成形機構A4にて吸着材形成用成形体の形状に成形した後、成形後の素材を第三の加熱機構A6にて加熱すると、素材中の熱硬化性樹脂が硬化して強固な吸着材形成用成形体M7を形成することができる。すると、吸着材を形成する際に吸着材形成用成形体が崩れることがなく、保形性の非常に良好な吸着材形成用成形体が得られる。
また、ペレットM14のような成形用素材から吸着材形成用成形体の形状に成形する際に熱硬化性樹脂用の硬化剤や硬化促進剤を添加してもよい。すると、成形用素材を加熱することなく素材中の熱硬化性樹脂を硬化させることができるので、強固な吸着材形成用成形体M7を形成することができる。すると、吸着材を形成する際に吸着材形成用成形体が崩れることがなく、保形性の非常に良好な吸着材形成用成形体が得られる。
【0090】
さらに、図19に示すように、微粒状の充てん材M41を水に接触して硬化する材料とし、樹脂M42を液状(溶融状態)の水溶性の樹脂としても、吸着材を形成することができる。水に接触して硬化する充てん材としては、微粒状のフライアッシュ等がある。水溶性の樹脂としては、ポリビニルアルコール、等がある。
押出工程S1では上述したようにして不定形の素材M4を生成することができ、成形用素材生成工程S2でも上述したようにして成形用素材M6を生成することができ、成形工程S3でも上述したようにして吸着材形成用成形体M7を形成することができる。ここで、水を貯留した水貯留タンクA7を設けておき、吸着材形成工程S4では、成形工程にて形成された吸着材形成用成形体M7をタンクA7に入れて水に接触させ、当該吸着材形成用成形体から水溶性の樹脂M2を溶出させて除去して多数の細孔M9を形成することにより、吸着材M8を製造する。
吸着材形成用成形体を水に接触させると水溶性の樹脂が水に溶出するので、充てん材間に多数の細孔が形成される。これにより、焼結設備が不要となるので、吸着材の製造設備を簡素化させ、吸着材のコストを低減させることが可能となる。
一方、吸着材形成用成形体を焼結して吸着材を形成する場合には、樹脂をより確実に除去して多数の細孔を形成することが可能となる。
【0091】
なお、ペレットを形成する際には、図20に示すように、成形用素材生成工程S2にて、導入部A2に導入された不定形の素材M4を粉砕機構にて少なくとも粉砕し、粉砕された素材と、溶融状態の樹脂M2とは物性の異なる第二の樹脂を少なくとも有する第二の素材と、を少なくとも配合して成形用素材M6としてもよい。図1では、第二の素材M5を不定形の素材M4とともに導入部A2に導入してもよいことを示してある。
成形用素材M6を生成する際には、図の上段に示すように少なくとも不定形の第一の素材M4と不定形の第二の素材M21とを粉砕機構A12にて一緒に粉砕して混合物M23を生成してペレットM14等の成形用素材M6を生成してもよいし、図の下段に示すように素材M4,M21を別々に粉砕機構A17,A18にて粉砕した後に、少なくとも、粉砕された第一の素材(粉砕物M24)と、粉砕された第二の素材(粉砕物M25)と、を例えばペレット成形機構A13内で混ぜて混合物M23を生成してもよい。
なお、吸着材形成用成形体を形成するために用いる全ての充てん材と樹脂の好ましい配合割合は、充てん材の合計が51〜99重量%(より好ましくは70〜95重量%)、樹脂の合計が1〜49重量%(より好ましくは5〜30重量%)である。
【0092】
両素材を粉砕前に混ぜる場合、軟化状態の不定形の素材M4,M21を一緒に粉砕することによって混合されるので、両素材の混合を簡素化させることが可能となる点で好適である。なお、不定形の素材M4,M21を一緒に粉砕する際に、第四の素材M22も一緒に粉砕してもよい。第五の素材、第六の素材、…、があれば、これらも一緒に粉砕してもよい。このような場合において、第四の素材M22、第五の素材、…、が微粒状(粉末状ないしペレットよりも細かい粒状)であると、不定形の第一・第二の素材と混合されやすいので、生成される成形用素材をより確実に均質にさせることが可能となる点で好適である。
成形用素材を粉砕された状態にするには、図の上段のペレット成形工程S6を省略し、粉砕された状態の混合物M23を成形用素材M6とすればよい。
【0093】
第一・第二の素材を粉砕後に混ぜる場合、軟化状態の不定形の素材M4,M21を別々に粉砕することによって両素材のなじみを少なくさせることができるので、より確実に互いに異なる複数の樹脂の物性が残された良質のペレットを製造することが可能となる点で好適である。なお、粉砕物M24,M25を混ぜる際に、第四の素材M22も一緒に混ぜてもよい。第五の素材、第六の素材、…、があれば、これらも一緒に混ぜてもよい。このような場合において、第四の素材M22、第五の素材、…、が微粒状または低粘度(高流動性)の液状(例えば混ぜるときの温度におけるMFRが100以上)とされていると、粉砕された第一・第二の素材と混合されやすいので、生成される成形用素材をより確実に均質にさせることが可能となる点で好適である。
また、粉砕機構A17,A18には、単一の粉砕機構を共用してもよい。
成形用素材を粉砕された状態にするには、図の下段のペレット成形工程S6を省略し、粉砕された状態の混合物M23を成形用素材M6とすればよい。
【0094】
以上の構成により、成形用素材を生成する際に複数の樹脂のなじみを少なくさせることができるので、各樹脂のそれぞれの物性が残された成形用素材を生成することができる。この成形用素材を原料として吸着材形成用成形体の形状に成形すると、成形の際に各樹脂が加熱溶融され、この段階で樹脂どうしがなじんで良質のポリマーブレンドを有する吸着材形成用成形体を形成し、吸着材を製造することができる。ペレット形状の成形用素材を生成する場合、第一の樹脂を含むペレットと第二の樹脂を含むペレットと(それ以上の樹脂がある場合には対応する各ペレット)を混合させる必要が無くなるので、樹脂どうしを十分になじませた良質の吸着材形成用成形体を得ることが可能となり、良質の吸着材を得ることが可能となる。また、高流動性の樹脂を用いることによって、成形用素材から吸着材形成用成形体への成形時に流動性を非常に良好にさせることができる。
また、上述の手法を用いることによって、成形用素材から吸着材形成用成形体への成形の成形性に寄与するが、コンパウンド時(混合時)の温度条件により変性したり樹脂等と反応したりしてしまう添加剤(例えば、200℃で変性するオイル)も利用することが可能となる。
【0095】
また、複数種類の樹脂のうち少なくとも一部の種類の樹脂に熱硬化性樹脂を用いることができる。樹脂として熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の双方を用いる場合、成形用素材から吸着材形成用成形体への成形を行うと、この段階で熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とが互いになじんだ新規のポリマーブレンドを有する吸着材形成用成形体を形成することができ、新規の吸着材を製造することができる。
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、多数の細孔を有する吸着材を形成するための吸着材形成用成形体を保形性に優れた成形体にさせ、吸着材を自由な形状に形成することができ、単位時間当たり大量の吸着材を製造することが可能となる。むろん、本製造方法により得られる吸着材にも発明が存在し、良質の吸着材を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】吸着材を製造する過程を示す概略の流れ図。
【図2】熱可塑性樹脂を用いて吸着材形成用成形体を形成する過程を示す概略の流れ図。
【図3】熱可塑性樹脂を用いて吸着材形成用成形体を形成する過程を示す概略の流れ図。
【図4】充てん材の粒径と吸着材の細孔の径との対応関係の例を示す図。
【図5】素材中の充てん材と樹脂の配合割合と吸着材の細孔の径との対応関係の例を示す図。
【図6】吸着材形成用成形体の焼結温度と吸着材の細孔の径との対応関係の例を示す図。
【図7】吸着材の比重と吸着材の細孔の径との対応関係の例を示す図。
【図8】ペレット製造装置の外観側面図。
【図9】ペレット製造装置の外観上面図。
【図10】ペレット成形装置の要部を示す斜視図。
【図11】ペレット成形装置の要部を図5のB方向から見て示す垂直断面図。
【図12】ペレット成形装置の要部を図5のB方向から見て示す垂直断面図。
【図13】粉砕機構の変形例を示す斜視図。
【図14】成形機構の底部円板を上面から見て示す上面図。
【図15】加熱機付き押出成形機の構造を一部断面視して示す要部側面図。
【図16】加熱機付き射出成形機の構造を示す要部断面図。
【図17】焼結装置の構造を一部断面視して示す要部正面図。
【図18】変形例において熱硬化性樹脂を用いて吸着材を製造する過程を示す概略の流れ図。
【図19】変形例において水溶性の樹脂を用いて吸着材を製造する過程を示す概略の流れ図。
【図20】変形例において複数の樹脂を含むペレットを形成する過程を示す概略の流れ図。
【符号の説明】
【0097】
10…ペレット製造装置(成形用素材生成機構)
12…素材搬送装置
13…素材加熱装置(第一の加熱機構)
20…ペレット成形装置(ペレット成形機構)
30…粉砕機(粉砕機構)
31,50…所定の導入部
60…押出成形機(成形機構を有する)
70…射出成形機(成形機構を有する)
80…焼結装置(焼結機構)
A1…押出機構
A2…所定の導入部
A3…成形用素材生成機構
A4…成形機構
A5…焼結機構
A6…第三の加熱機構
A7…水貯留タンク
A11…第一の加熱機構
A12…粉砕機構
A13…ペレット成形機構
A17,A18…粉砕機構
A20…押出成形装置
A21…ホッパ
A22…押出機
A23…切断機
A24,A31,A41…加熱機(第二の加熱機構)
A30…射出成形装置
A40…プレス成形装置
M1,M31〜M33,M41…微粒状の充てん材
M2…溶融状態の樹脂
M3…第三の素材
M4…不定形の素材
M5…第二の素材
M6…成形用素材
M7…吸着材形成用成形体
M8…吸着材
M9…細孔
M11…熱可塑性樹脂
M12…相溶化剤
M13,M24,M25…粉砕物
M14…ペレット
M15…液状の熱硬化性樹脂
M21…不定形の第二の素材
M22…第四の素材
M23…混合物
M42…液状の水溶性樹脂
S1…押出工程
S2…成形用素材生成工程
S3…成形工程
S4…吸着材形成工程
S5…粉砕工程
S6…ペレット成形工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、微粒状の無機または金属の充てん材と、当該充てん材と等重量以下の溶融状態の樹脂と、を含む素材を押出機構にて混合して不定形の状態で押し出す押出工程と、
上記押出機構から押し出された素材を不定形のまま所定の導入部に導入し、多数の細孔を有する吸着材を形成するための吸着材形成用成形体の形状に所定の成形機構にて成形可能とする成形用素材を同導入部に導入された不定形の素材から生成する成形用素材生成工程と、
生成した成形用素材を上記成形機構にて成形して吸着材形成用成形体を形成する成形工程と、
形成された吸着材形成用成形体から上記樹脂を除去して多数の細孔を形成することにより吸着材を製造する吸着材形成工程とを備えることを特徴とする吸着材の製造方法。
【請求項2】
上記吸着材形成工程では、上記成形工程にて形成された吸着材形成用成形体を焼結して当該吸着材形成用成形体から上記樹脂を除去して多数の細孔を形成することを特徴とする請求項1に記載の吸着材の製造方法。
【請求項3】
上記充てん材が水に接触して硬化する材料であるとともに、上記樹脂が水溶性の樹脂であり、
上記吸着材形成工程では、上記成形工程にて形成された吸着材形成用成形体を水に接触させて当該吸着材形成用成形体から上記水溶性の樹脂を除去して多数の細孔を形成することを特徴とする請求項1に記載の吸着材の製造方法。
【請求項4】
上記吸着材に形成される細孔を所望の径にさせるための条件であって、上記充てん材の粒径の条件と、上記素材中の充てん材の配合割合の条件と、上記素材中の樹脂の配合割合の条件と、の一つ以上の条件を決定する条件決定工程をさらに備え、
上記押出工程では、上記条件決定工程にて決定された条件で上記充てん材と上記溶融状態の樹脂とが少なくとも含まれた素材を上記押出機構にて混合して不定形の状態で押し出すことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の吸着材の製造方法。
【請求項5】
上記吸着材に形成される細孔を所望の径にさせるための条件であって上記吸着材形成用成形体を焼結する焼結温度の条件を決定する条件決定工程をさらに備え、
上記吸着材形成工程では、上記成形工程にて形成された吸着材形成用成形体を上記条件決定工程にて決定された焼結温度の条件で焼結して当該吸着材形成用成形体から上記樹脂を除去して多数の細孔を形成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の吸着材の製造方法。
【請求項6】
上記条件決定工程では、上記充てん材を所定の粒径とし、上記素材中の充てん材および樹脂の配合割合を所定の配合割合として、上記押出工程と上記成形用素材生成工程と上記成形工程と上記吸着材形成工程とに従って吸着材を形成し、形成した吸着材の比重を測定するとともに、測定した比重に基づいて、上記充てん材の粒径の条件と、上記素材中の充てん材の配合割合の条件と、上記素材中の樹脂の配合割合の条件と、の一つ以上の条件を決定することを特徴とする請求項4に記載の吸着材の製造方法。
【請求項7】
上記成形用素材生成工程では、上記導入部に導入された不定形の素材をペレット形状に成形して上記成形用素材とし、
上記成形工程では、上記ペレット形状の成形用素材を上記成形機構にて成形して上記吸着材形成用成形体を形成することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の吸着材の製造方法。
【請求項8】
上記成形用素材生成工程では、上記導入部に導入された不定形の素材を所定の粉砕機構にて粉砕し、粉砕後の素材をペレット形状に成形して上記成形用素材とすることを特徴とする請求項7に記載の吸着材の製造方法。
【請求項9】
上記成形機構は、上記成形用素材を押出成形または射出成形により成形する機構とされ、
上記成形工程では、上記ペレット形状の成形用素材を上記成形機構にて押出成形または射出成形により成形して上記吸着材形成用成形体を形成することを特徴とする請求項7または請求項8に記載の吸着材の製造方法。
【請求項10】
上記成形用素材生成工程では、上記導入部に導入された不定形の素材を所定の粉砕機構にて粉砕して上記成形用素材とし、
上記成形工程では、上記粉砕された状態の成形用素材を上記成形機構にて成形して上記吸着材形成用成形体を形成することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の吸着材の製造方法。
【請求項11】
上記樹脂は、熱可塑性樹脂とされ、
上記押出工程は、第一の加熱機構にて上記充てん材および上記熱可塑性樹脂を少なくとも含む素材を加熱して当該熱可塑性樹脂を溶融状態にさせる第一加熱工程を有し、この第一加熱工程にて加熱された素材を上記押出機構にて混合して不定形の状態で押し出し、
上記成形機構は、上記成形用素材を混合して所定のダイから押し出して上記吸着材形成用成形体の形状に成形する機構とされ、
上記成形工程は、第二の加熱機構にて上記成形用素材を加熱して軟化させる第二加熱工程を有し、この第二加熱工程にて軟化された成形用素材を上記成形機構にて混合して上記ダイから押し出して成形することにより上記吸着材形成用成形体を形成することを特徴とする請求項9に記載の吸着材の製造方法。
【請求項12】
少なくとも、微粒状の無機または金属の充てん材と、当該充てん材と等重量以下の溶融状態の樹脂と、を含む素材を押出機構にて混合して不定形の状態で押し出し、
上記押出機構から押し出された素材を不定形のまま所定の導入部に導入し、多数の細孔を有する吸着材を形成するための吸着材形成用成形体の形状に所定の成形機構にて成形可能とする成形用素材を同導入部に導入された不定形の素材から生成し、
生成した成形用素材を上記成形機構にて成形して吸着材形成用成形体を形成し、
形成した吸着材形成用成形体から上記樹脂を除去して多数の細孔を形成することにより得られる吸着材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2006−75801(P2006−75801A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−265486(P2004−265486)
【出願日】平成16年9月13日(2004.9.13)
【出願人】(392008529)ヤマハリビングテック株式会社 (349)
【Fターム(参考)】