説明

吸込具およびそれを用いた電気掃除機

【課題】掃除作業を行う際の違和感をなくし快適に清掃作業ができる吸込具を提供する。
【解決手段】ボデー12の軸方向に対して回動自在でかつボデー12の上側外周に設けた吸込部材13と、吸込部材13の反対側に位置しボデー12の下側外周に回動自在に設けられた支持板14と、吸込部材13を、ボデー12の軸方向に対して一定の角度を有して回動突出した位置まで回動させる附勢手段と、吸込部材13と支持板14を、ボデー12の軸方向に対して略平行な位置に保持するビジョウ上17と、吸込部材13と支持板14を、ボデー12の軸方向に対して略平行な位置まで移動させる腕部13a、14aとを備え、支持板14の被掃除面側の面14bに、被掃除面との接触をやわらかくする接触部材19を設けた吸込具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機などの吸引装置に接続されて使用する吸込具及びそれを用いた電気掃除機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の吸込具および電気掃除機とし、パイプ部材と、パイプ部材の軸方向に対して回動自在で、かつパイプ部材の外周又は一部に配設されブラシを植毛した吸込部材と、吸込部材を、パイプ部材の軸方向に対して回転方向に附勢する弾性体と、吸込部材がパイプ部材の軸方向に対して一定の角度を有して回動突出した位置まで回動する手段と、パイプ部材の軸方向に対して略平行な位置に保持する手段と、吸込部材をパイプ部材の軸方向に対して略平行な位置まで移動させる手段を有する吸込具が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以上のように、上記構成により、従来の吸込具は、吸込具の着脱時に吸込具に触れずに吸込具の収納が掃除作業の延長で行うことができ、衛生的で使用性に優れたものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−21058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来吸込具の構成では、吸込具を使用するときに吸込部材が突出するが、吸込部材にあるブラシにて清掃作業を行う際に、吸込部材の下端が被掃除面に当たることがあった。吸込部材はポリプロピレンなどのやわらかい樹脂でできているため傷をつけることはないが、樹脂でできているためにコツコツと被掃除面を叩くので掃除感触が悪い、という課題があった。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、被掃除面にやわらかく接触することで掃除作業を行う際の違和感をなくし快適に清掃作業を行える吸込具及び電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の吸込具は、ボデーと、前記ボデーの軸方向に対して回動自在で、かつ前記ボデーの上側外周に設けられた吸込部材と、前記吸込部材の反対側に位置するように、前記ボデーの下側外周に回動自在に設けられた支持板と、前記吸込部材を、前記ボデーの軸方向に対して一定の角度を有して回動突出した位置まで回動させる第1の手段と、前記吸込部材と前記支持板を、前記ボデーの軸方向に対して略平行な位置に保持する第2の手段と、前記吸込部材と前記支持板を、前記ボデーの軸方向に対して略平行な位置まで移動させる第3の手段とを備え、前記支持板の被掃除面側の面に、被掃除面との接触をやわらかくする接触部材を設けたもので、吸込具を使用する際には、第1の手段により、吸込部材が回動突出するので、すぐ使用することができ、吸込具を使用しないときは、第2、第3の手段で、前記吸込部材と支持板が、ボデーの軸方向に対して略平行な位置まで移動した後、保持されるので、吸込部材と支持板の収納がスムーズで、さらに、支持板に設けた接触部材により被掃除面への接触をやわらかくすることができ、掃除作業を行う際の違和感をなくし快適に清掃作業を行えるようになるものである。
【0008】
また、本発明の電気掃除機は、吸引力を発生する電動送風機と、前記電動送風機の吸気上流側に配設され塵埃を捕集する集塵室を有する掃除機本体と、前記集塵室の吸気口部に接続される本体接続部を一端に有するホースと、請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸込具とを備え、前記ホースの他端に前記吸込具を接続したもので、非常に使用勝手が良く、しかも狭いところに掃除が容易な電気掃除機を提供することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の吸込具およびそれを用いた電気掃除機は、吸込具の使用時に、吸込部材が突出するとともに支持板が被掃除面側に展開すると共に、支持板に、被掃除面への接触をやわらかくする接触部材が取り付けられているので、掃除作業を行う際の違和感をなくし快適に清掃作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1における吸込具を備えた電気掃除機の斜視図
【図2】同吸込具の前面図
【図3】同吸込具の側部断面図
【図4】同吸込具の吸込部材と支持板が展開したときの側部断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1の発明は、ボデーと、前記ボデーの軸方向に対して回動自在で、かつ前記ボデーの上側外周に設けられた吸込部材と、前記吸込部材の反対側に位置するように、前記ボデーの下側外周に回動自在に設けられた支持板と、前記吸込部材を、前記ボデーの軸方向に対して一定の角度を有して回動突出した位置まで回動させる第1の手段と、前記吸込部材と前記支持板を、前記ボデーの軸方向に対して略平行な位置に保持する第2の手段と、前記吸込部材と前記支持板を、前記ボデーの軸方向に対して略平行な位置まで移動させる第3の手段とを備え、前記支持板の被掃除面側の面に、被掃除面との接触をやわらかくする接触部材を設けたもので、吸込具を使用する際には、第1の手段により、吸込部材が回動突出するので、すぐ使用することができ、吸込具を使用しないときは、第2、第3の手段で、前記吸込部材と支持板が、ボデーの軸方向に対して略平行な位置まで移動した後、保持されるので、吸込部材と支持板の収納がスムーズで、さらに、支持板に設けた接触部材により被掃除面への接触をやわらかくすることができ、掃除作業を行う際の違和感をなくし快適に清掃作業を行えるようになるものである。
【0012】
第2の発明は、特に、第1の発明の支持板が被掃除面側に展開するように回動動作することで、吸込部材が突出するようにしたもので、吸込具を使用する際に支持板と共に吸込部材が展開することにより使用するための準備が簡単に行えるものである。
【0013】
第3の発明は、特に、第1又は第2の支持板の回動中心を、吸込部材の回動中心より前方に位置させたもので、支持板が展開する動作を行うことで吸込部材を突出させる動作を行えるため、吸込具を使用する準備が自動的に行えるようになるものである。
【0014】
第4の発明は、特に、第1〜3のいずれか一つの発明の支持板が、バネなどの附勢手段により展開される側に動作するように設けられたもので、支持板が使用状態に附勢手段により自動的に展開されるため、簡単に使用状態に移行できるものである。
【0015】
第5の発明は、特に、第1〜4のいずれか一つの発明の支持板が吸込部材の前方側に回動しないように規制されたもので、吸込具を使用し終えた際に支持板が規定の位置より回動しすぎて収納の邪魔にならないようにすることができる。
【0016】
第6の発明は、特に、第1〜5のいずれか一つの発明の接触部材を、起毛布などで形成したもので、接触部材を安価に形成することができると共に、組み立ても容易である。
【0017】
第7の発明にかかる電気掃除機は、吸引力を発生する電動送風機と、前記電動送風機の吸気上流側に配設され塵埃を捕集する集塵室を有する掃除機本体と、前記集塵室の吸気口部に接続される本体接続部を一端に有するホースと、請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸込具とを備え、前記ホースの他端に前記吸込具を接続したもので、非常に使用勝手が良く、しかも狭いところに掃除が容易な電気掃除機を提供することができる。
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0019】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1における吸込具及び電気掃除機の一例について、図1〜4を参照して具体的に説明する。
【0020】
図1は、本実施の形態における吸込具を備えた電気掃除機の斜視図、図2は、同吸込具の前面図、図3は、同吸込具の側部断面図、図4は、同吸込具の吸込部材と支持板が展開したときの側部断面図である。
【0021】
図1において、本実施の形態に係る吸込具8は、典型的なキャニスター型の電気掃除機1に備えられているものである。
【0022】
電気掃除機1は、掃除機本体2と、吸引ホース3と、手元操作部4と、吸引延長管5と、吸込具本体6を備えている。
【0023】
掃除機本体2は、内部に電動送風機9と、集塵室10を備えている。掃除機本体2の前部には、集塵室10に連通する吸気口部2aが設けられ、吸引ホース3の一端に設けた本体接続部である接続パイプ11が、吸気口部2aに着脱自在に接続されている。
【0024】
吸引ホース3の他方の端には、手元操作部4が設けられており、この手元操作部4の先端に対して、吸引延長管5の一方の端が着脱自在に接続されている。さらに、吸引延長管5の他方の端には、吸込具8が着脱自在に取り付けられている。
【0025】
このようにして、電動送風機9の動作により吸引力が発生し、吸引ホース3、吸引延長管5を介して吸込具本体6に吸引力が発生する。
【0026】
電気掃除機1の使用時には、手元操作部4を操作して、掃除機本体2の電源を入れる。これにより、電動送風機9の動作によって吸込具本体6に吸引力が発生するので、床面上の塵埃が吸引され、吸引延長管5、吸引ホース3、接続パイプ11を介して集塵室10に集められる。
【0027】
使用者は、手元操作部4を把持して、床面上で吸込具本体6の位置を移動させることで、掃除する床面の領域を変える。
【0028】
また、床面ではなく、部屋の隅、家具等の隙間等の狭い領域を掃除したい場合には、吸引延長管5から先を取り外し、掃除を行う。このとき、手元操作部4の先端には、吸込具8があり、吸引延長管5を外すことにより使用することができる。
【0029】
電気掃除機1における具体的な構成、すなわち、掃除機本体2、吸引ホース3、手元操
作部4、吸引延長管5等は特に限定されず、電気掃除機の分野で公知の各種構成を好適に用いることができる。
【0030】
次に、本実施の形態に係る吸込具8の具体的な構成について、図2から図4を参照して説明する。
【0031】
本実施の形態に係る吸込具8のボデー12に、吸込部材13と支持板14が回動自在に設けられている。ボデー12には、回動軸(図示せず)が2箇所設けられており、一方に吸込部材13が、他方に支持板14がそれぞれ回動自在に軸支されている。支持板14の回動軸の中心が、吸込部材13の回動軸の中心より前方に位置している。また、支持板14の回動軸上には、バネなどからなる附勢手段15があり、支持板14は、この附勢手段15により、ボデー12に対して後方側に回動するように附勢されている。
【0032】
本実施の形態では、支持板14が、後方に回動することにより、支持板14の腕部14aが吸込部材13の腕部13aを押して、吸込部材13が前方に回動して、吸込部材13に植毛された多数のブラシ16がボデー12より突出する構成となっている。
【0033】
すなわち本実施の形態では、附勢手段15が、吸込部材13を、ボデー12の軸方向に対して一定の角度まで回動突出させる第1の手段を構成している。
【0034】
吸込部材13は、ビジョウ上17によりボデー12から突出することが規制されている。ビジョウ上17が、吸込部材13に掛かっている間は、支持板14も動作が止められており展開することができない状態となっている。なお、支持板14はボデー12に対して前方方向に回動できないように規制されている。
【0035】
すなわち、本実施の形態では、ビジョウ上17が、吸込部材13と支持板14を、ボデー12の軸方向と略平行な位置に保持する第2の手段を構成している。
【0036】
ボデー12の下面には、ビジョウ下18が設けられており、ビジョウ下18により、手元操作部4にボデー12が保持される用になっている。
【0037】
支持板14の、支持板14が後方に回動したときに斜め前方に面する面14b上には、起毛布などでできた接触部材19が設けられている。
【0038】
以上のように構成された本実施の形態における吸込具8の動作、作用を説明する。
【0039】
吸込具8を使う際にはまず吸引延長管5を抜くことから行う。吸引延長管5を抜くと、手元操作部4の先端が現れ、手元操作部4の先端に取り付けられた吸込具8が使えるようになる。
【0040】
ビジョウ上17を押すことにより、ビジョウ上17による吸込部材13の保持が外れ、同時に、附勢手段15により、支持板14が後方に回動する。そして、支持板14の腕部14aが吸込部材13の腕部13aを押すことにより、吸込部材13が前方に回動し、吸込部材13のブラシ16がボデー12より突出し掃除作業ができるようになる。また、支持板14が後方に回動することより、接触部材19が被掃除面側を向くことになる。
【0041】
掃除作業を行う際には、ブラシ16を被掃除面に当てて行うが、このときに、ボデー12の下面を当てるようにして吸込具8を支えて行うことになる。このときに、支持板14の接触部材19が被掃除面に当たることになり、被掃除面への接触がやわらかくなるので、掃除作業を行う際の違和感をなくし快適に清掃作業を行えるようになるものである。ま
た、使用時に、ビジョウ上17を操作することですぐに使用状態になることにより簡便に使用することができるようになるものである。
【0042】
吸込具8での掃除作業を終え、再び吸込具本体6による掃除作業を行う場合は、吸引延長管5の先端を、斜め前方から吸込部材13に差込みながら、持ち上げると、吸込部材13が後方に回動すると共に、同時に吸込部材13の腕部13aが、附勢手段15による附勢力に抗して支持板14の腕部14aを押して、最終的には、図3に示すように、吸込部材13と支持板14が共に、ボデー12の軸方向と略並行な位置まで移動する。
【0043】
すなわち、本実施の形態では、吸込部材13の腕部13aと支持板14の腕部14aとで、吸込部材13と支持板14を、ボデー12の軸方向と略並行な位置まで移動させる第3の手段を構成している。
【0044】
なお、吸引延長管5の先端を吸込部材13に斜め前方から差し込む代わりに、あらかじめ、附勢手段15による支持板14を介して伝わる附勢力に抗して吸込部材13を指で後方に回動させ、ビジョウ上17で吸込部材13を保持した後、吸引延長管5を差し込んでも良い。
【0045】
また、吸引延長管5の先端の下部を、支持板14の上面14cに当接させるように押し込んでも、支持板14を、附勢手段15による附勢力に抗して、前方に回動させることもできる。この場合は、吸込部材13は、吸引延長管5の挿入動作に追随して、後方に回動することになる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上のように、本発明では、吸込具を使用する際に支持板が被掃除面側に回動し、支持板に設けた接触部材が被掃除面に面するので、被掃除面への接触をやわらかくして、掃除作業を行う際の違和感をなくし快適に清掃作業を行えるようになるものである。
【符号の説明】
【0047】
12 ボデー
13 吸込部材
13a、14a 腕部(第3の手段)
14 支持板
14b 面
15 附勢手段(第1の手段)
17 ビジョウ上(第2の手段)
19 接触部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボデーと、前記ボデーの軸方向に対して回動自在で、かつ前記ボデーの上側外周に設けられた吸込部材と、前記吸込部材の反対側に位置するように、前記ボデーの下側外周に回動自在に設けられた支持板と、前記吸込部材を、前記ボデーの軸方向に対して一定の角度を有して回動突出した位置まで回動させる第1の手段と、前記吸込部材と前記支持板を、前記ボデーの軸方向に対して略平行な位置に保持する第2の手段と、前記吸込部材と前記支持板を、前記ボデーの軸方向に対して略平行な位置まで移動させる第3の手段とを備え、前記支持板の被掃除面側の面に、被掃除面との接触をやわらかくする接触部材を設けたことを特徴とする吸込具。
【請求項2】
支持板が被掃除面側に展開するように回動動作することで、吸込部材が突出するようにした請求項1に記載の吸込具。
【請求項3】
支持板の回動中心を、吸込部材の回動中心より前方に位置させた請求項1又は2に記載の吸込具。
【請求項4】
支持板が、バネなどの附勢手段により展開される側に動作するように設けられた請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸込具。
【請求項5】
支持板が吸込部材の前方側に回動しないように規制された請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸込具。
【請求項6】
接触部材を、起毛布などで形成した請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸込具。
【請求項7】
吸引力を発生する電動送風機と、前記電動送風機の吸気上流側に配設され塵埃を捕集する集塵室を有する掃除機本体と、前記集塵室の吸気口部に接続される本体接続部を一端に有するホースと、請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸込具とを備え、前記ホースの他端に前記吸込具を接続した電気掃除機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−94212(P2013−94212A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236871(P2011−236871)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】