説明

吸込口体および電気掃除機

【課題】走行負荷を増加させることなく毛ブラシ部での掃除範囲を拡大できる床ブラシを提供する。
【解決手段】ケース体11に開口形成した吸込口に回転ブラシ22を回転可能に軸支する。毛ブラシ部53を、回転ブラシ22の両端部に、回転ブラシ22の回転軸に対して傾斜状に配置する。回転ブラシ22の回転に伴い、毛ブラシ部53の床面との接触位置が回転ブラシ22の軸方向に変化するので、走行負荷を増加させることなく毛ブラシ部53での掃除範囲を拡大できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転清掃体の端部に清掃部を有する吸込口体およびこれを備えた電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電気掃除機は、電動送風機を収容した掃除機本体を備えている。この掃除機本体には、電動送風機の吸い込み側に連通する集塵部が設けられ、この集塵部は、掃除機本体に形成された本体吸込口と連通している。この本体吸込口には、ホース体、延長管および吸込口体としての床ブラシが順次連通接続される。この床ブラシは、平面視で横長の四角形状のケース体を備え、このケース体の被掃除面である床面に対向する下部には、吸込口が開口形成されている。この吸込口には、床面の塵埃を掻き取る回転清掃体である回転ブラシが回転自在に配置され、この回転ブラシは、ケース体内に配置された駆動手段であるモータによって回転駆動される。また、この回転ブラシの端部には、回転ブラシの回転に伴って回転して床面の塵埃を吸込口へと運ぶ清掃部としての毛ブラシ部が設けられている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−253656号公報(第8−9頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述の吸込口体では、毛ブラシ部が回転ブラシの回転軸に対して略直交する方向に配置されているに過ぎないため、毛ブラシ部の直下に位置する塵埃のみしか掃除することができないという問題点を有している。
【0004】
この点、毛ブラシ部を回転ブラシの軸方向に厚く形成することが考えられるものの、このような場合には、毛ブラシ部が床ブラシの走行の際の負荷となり、走行性が低下するという問題点がある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、走行負荷を増加させることなく清掃部での掃除範囲を拡大できる吸込口体およびこれを備えた電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ケース体に開口形成された吸込口に回転可能に軸支された回転清掃体と、略円盤状に形成され、回転清掃体の少なくとも一端側に、この回転清掃体の回転軸に対して傾斜状に配置され、回転清掃体の回転に伴って回転する清掃部とを具備したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、略円盤状の清掃部を、回転清掃体の少なくとも一端側に、この回転清掃体の回転軸に対して傾斜状に配置することで、回転清掃体の回転に伴い、清掃部の被掃除面との接触位置が回転清掃体の軸方向に変化するので、走行負荷を増加させることなく清掃部での掃除範囲を拡大できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の一実施の形態の吸込口体の構成を図1ないし図7を参照して説明する。
【0009】
図7において、1は掃除機本体で、この掃除機本体1は、内部に収容された電動送風機2の駆動にて生じる吸気風とともに吸い込んだ塵埃を、集塵部に捕集するものである。
【0010】
また、この掃除機本体1には、電動送風機2の動作を制御する制御手段としての図示しない制御回路が収容されているとともに、外部から空気を吸引する本体吸込口3が前部に開口されている。この本体吸込口3には、可撓性を有し湾曲可能な細長略円筒状のホース体4が連通接続されている。このホース体4の先端には、電動送風機2の動作モードなどが選択可能な手元操作部5が設けられている。この手元操作部5には、掃除する際に作業者が把持する把持部6が基端側に向けて突設され、この把持部6には、制御回路に所定の信号を送信して掃除機本体1内の電動送風機2などを複数の動作モードに設定する複数の設定ボタン7が設けられている。
【0011】
さらに、手元操作部5の先端には、伸縮可能な細長略円筒状の延長管8が着脱可能に連通接続されている。すなわち、延長管8は、ホース体4を介して電動送風機2の吸込側に連通接続されている。また、この延長管8の先端には、例えば室内の被掃除面としての床面の絨毯などの上に載置させて、この絨毯上の塵埃を吸い込む吸込口体としての床ブラシ9が着脱可能に連通接続されている。したがって、床ブラシ9は、延長管8、ホース体4および本体吸込口3を介して、電動送風機2の吸込側に連通接続される。
【0012】
そして、床ブラシ9は、図1ないし図6に示すように、吸込口体本体としての横長のケース体11と、このケース体11の後部に設けられた接続管12とを備えている。
【0013】
ケース体11は、上側が開放された下ケース16と、この下ケース16の上部の後側を覆い、下ケース16との間で接続管12を回転可能に挟持する上ケース17と、この上ケース17の前部に取り付けられた蓋部としての前カバー19とを備えている。さらに、このケース体11には、駆動手段としての電動部である駆動源、すなわちモータ21(図2)と、このモータ21により回転される回転清掃体としての回転ブラシ22と、この回転ブラシ22の両端部に位置するとともにこの回転ブラシ22と一体的に回転可能な駆動車輪23a,23bと、回転ブラシ22の安全スイッチとなる安全装置24とがそれぞれ設けられている。
【0014】
下ケース16には、前端部に、回転ブラシ22および駆動車輪23a,23bが嵌合する横長四角形状の吸込口31が左右略全幅に亘って切り欠き形成されている。また、下ケース16の後側寄りの位置には、安全装置24の一部が露出する四角形状の穴部32(図3)が開口形成されている。さらに、下ケース16の吸込口31の後部には、上ケース17側へと略垂直状に立ち上がる壁部33(図4)が形成されている。そして、下ケース16には、吸込口31の両側部の位置に、駆動車輪23a,23bを軸支することで回転ブラシ22を軸支する軸支部としての軸支壁部34a,34bが壁部33に連続して形成されている。さらに、この下ケース16には、床面に対向する下面側に、カバー体35,36(図3)がそれぞれ着脱可能に取り付けられる。
【0015】
壁部33には、下ケース16の幅方向の略中央部に接続管12が嵌合する切欠部38が上端側から凹状に切り欠き形成されている。また、この壁部33には、幅方向の一側寄りの位置の上部に、吸込口31内に突出するカバー部39が形成されている。したがって、このカバー部39により、吸込口31は、回転ブラシ22および一方の駆動車輪23aが嵌合する幅広の吸込部31aと、この吸込部31aよりも幅狭で他方の駆動車輪23bが嵌合する吸込部31bとに区画されている。
【0016】
一方の吸込部31aは、カバー部39と一方の軸支壁部34aとの間に位置し、回転ブラシ22の回転中心に直交する線である下ケース16(吸込口31)の幅方向の中心線Lに対して、中心位置が他側寄りに偏倚した横長四角形状に形成されている。
【0017】
他方の吸込部31bは、カバー部39と他方の軸支壁部34bとの間に位置し、下ケース16の一側寄りに形成されている。
【0018】
一方のカバー体35は、吸込口31の一方の吸込部31a側の端部にて、一方の軸支壁部34aおよびその後方の部分を開閉するものである。
【0019】
他方のカバー体36は、吸込口31の他方の吸込部31b側の端部から、カバー部39の下部およびその後方の部分を開閉するものである。また、この他方のカバー体36には、カバー部39の下部の位置に、吸込部31aと吸込部31bとを連通する連通溝部41が幅方向に沿って形成されている。
【0020】
また、上ケース17には、前端部に、吸込口31に連通し前カバー19が嵌合する横長四角形状の前側吸込口43が切り欠き形成されている。
【0021】
前カバー19は、前側吸込口43の両端間に亘って連続した横長状に形成されており、断面視で回転ブラシ22および駆動車輪23a,23bの外周に沿って円弧状に湾曲し、これら回転ブラシ22および駆動車輪23a,23bの前側を覆っている。また、この前カバー19の上端部は、前側吸込口43の上端部に回動可能に軸支されている。
【0022】
モータ21は、壁部33の後方で、かつ、接続管12に対して一側方とカバー部39との間の位置に幅方向に配置されている。また、このモータ21は、正転および逆転が可能であり、図示しないモータ制御部によってその駆動が制御されている。
【0023】
回転ブラシ22は、取付部材としての略円柱状の回転ブラシ組立45の周囲に、複数の清掃部材46が取り付けられている。
【0024】
回転ブラシ組立45は、例えば金属、あるいは合成樹脂などにより形成されている。また、この回転ブラシ組立45の外周面には、各清掃部材46の基端側を保持する溝部48が、周方向に略均等に螺旋状に形成されている。
【0025】
清掃部材46は、例えば拭取部材であるブレード、掻取部材であるブラシ毛、あるいはこれらの組み合わせなどであり、基端側が回転ブラシ組立45の溝部48にそれぞれ保持されることにより、回転ブラシ組立45の外周面に対して、この回転ブラシ組立45の軸方向に沿う螺旋壁状で、かつ、回転ブラシ組立45の径方向に先端側が突出している。
【0026】
駆動車輪23a,23bは、一対の挟持体としての車輪本体部51,52間に清掃部としての毛ブラシ部53を挟持して構成された2ピース構造であり、一方の駆動車輪23aは、連結軸54を介して回転ブラシ組立45の一方の端部に連結され、他方の駆動車輪23bは、接続部材としてのカップリング55および接続部材としてのカップリング受け56を介して回転ブラシ組立45の他方の端部に連結されている。そして、駆動車輪23a,23bは、軸受57を介して軸支壁部34a,34bに回動可能に軸支されている。
【0027】
一方の車輪本体部51は、略円筒状の本体61と、車輪本体部51,52を接続する接続部としての接続突出部62とを備えている。また、一方の駆動車輪23aに対応する車輪本体部51である車輪本体部51aは、回転ブラシ組立45の他端に取り付けられる連結部63を備えている。
【0028】
本体61は、外周面が平坦な円筒面状に形成され、この外周面に起毛布64が取り付けられている。また、この本体61には、一端側に、回転ブラシ22側に位置する対向面65が形成されているとともに、他端側に、毛ブラシ部53と対向する傾斜面66が形成されている。
【0029】
対向面65は、本体61(駆動車輪23a,23b)の軸方向に対して略直交する平面である。
【0030】
傾斜面66は、本体61(駆動車輪23a,23b)の軸方向に対して傾斜状に形成された平面である。具体的に、この傾斜面66は、本体61(駆動車輪23a,23b)の中心軸に直交する平面に対して、例えば20°〜30°程度傾斜している。また、この傾斜面66は、対向面65近傍まで延びて形成されている。
【0031】
接続突出部62は、円筒状に形成されており、本体61の傾斜面66に対して略垂直な方向に、本体61の中心と連通して突出している。
【0032】
連結部63は、本体61に対して略同軸に形成されており、複数の爪部68が突出して形成されている。これら爪部68は、回転ブラシ22の回転ブラシ組立45の溝部48に対して、回転ブラシ組立45の他端側で挿入されている。このため、連結部63は、清掃部材46の抜け止めとなっている。
【0033】
他方の車輪本体部52は、略円筒状の本体71と、一方の車輪本体部51の接続突出部62と接続される接続部としての接続挿入部72と、軸受57が嵌着される嵌着部である嵌着凹部73とを備えている。
【0034】
本体71は、外周面が平坦な円筒面状に形成され、この外周面に起毛布74が取り付けられている。また、この本体71には、一端側に、一方の車輪本体部51の本体61と平行で毛ブラシ部53と対向する傾斜面75が形成されているとともに、他端側に、軸支壁部34a,34bと対向する対向面76が形成されている。
【0035】
傾斜面75は、本体71(駆動車輪23a,23b)の軸方向に対して傾斜状に形成された平面である。具体的に、この傾斜面75は、本体71の中心軸に直交する平面に対して、例えば20°〜30°程度傾斜している。また、この傾斜面75は、対向面76近傍まで延びて形成されている。
【0036】
対向面76は、本体71(駆動車輪23a,23b)の軸方向に対して略直交する平面である。そして、この対向面76と、車輪本体部51(車輪本体部51a,51b)の対向面65との間に亘って、これら対向面65,76に沿って傾斜した毛ブラシ部53を嵌着可能な傾斜溝部77が形成されている。したがって、この傾斜溝部77は、回転ブラシ22(駆動車輪23a,23b)の軸方向に対して傾斜状に形成されている。
【0037】
接続挿入部72は、一方の車輪本体部51の接続突出部62に挿入嵌合可能な円筒状に形成されており、本体71の傾斜面75に対して略垂直な方向に、本体71の中心と連通して突出している。
【0038】
嵌着凹部73は、正面視で円形状に形成され、本体71に対して略同軸に凹設されている。
【0039】
毛ブラシ部53は、略円筒状の基体78と、この基体78の外周面に放射状に突出するように植毛された複数の毛ブラシ79からなる清掃部本体としてのブラシ部本体80とを備えている。したがって、この毛ブラシ部53は、全ての毛ブラシ79の突出方向が所定の平面に沿って形成された略円盤状(略円筒状)をなしている。換言すれば、毛ブラシ部53は、その軸方向に対して略垂直な方向に広がるように形成されている。
【0040】
基体78は、一方の車輪本体部51の接続突出部62および他方の車輪本体部52の接続挿入部72が互いに接続された状態で中央部に挿入されている。したがって、基体78は、傾斜面66,75に沿って配置され、毛ブラシ部53が駆動車輪23a,23bの軸方向(回転ブラシ22の回転軸方向)に対して傾斜状に配置されている。換言すれば、毛ブラシ部53は、駆動車輪23a,23bの軸方向(回転ブラシ22の回転軸方向)に対して傾斜状に交差する平面に沿って配置されている。
【0041】
毛ブラシ79は、可撓性を有する合成樹脂などにより形成されている。
【0042】
ブラシ部本体80は、毛ブラシ79の一部の先端が駆動車輪23a,23bの軸方向の端部である対向面65,76よりも突出し、さらに、軸受57よりも軸支壁部34a,34b側へと突出して、これら軸支壁部34a,34bと重なる位置まで延びている。そして、一方の駆動車輪23aに対応するブラシ部本体80であるブラシ部本体80aと、他方の駆動車輪23bに対応するブラシ部本体80であるブラシ部本体80bとは、本実施の形態ではケース体11の幅方向の中心線Lに対して互いに線対称となるように回転ブラシ22に対して連結されている。換言すれば、ブラシ部本体80aとブラシ部本体80bとは、駆動車輪23a,23bの回転方向について、互いに位相が180°ずれている。すなわち、ブラシ部本体80a,80bは、駆動車輪23a,23bの回転に伴い、互いに同期しつつ中心線Lに対して線対称に左右方向に振動(往復動)するように構成されている。
【0043】
連結軸54は、例えば金属、あるいは合成樹脂などにより形成され、回転ブラシ組立45の端部に、この回転ブラシ組立45の中心軸(回転軸)と同軸に接続され、一方の駆動車輪23aに挿通されて、この一方の駆動車輪23aに対応する軸受57である軸受57aに挿入されて回動可能に軸支されている。
【0044】
カップリング55は、截頭円錐状の連結部材本体としてのカップリング本体83を備え、このカップリング本体83の縮径された端部に、回転ブラシ組立45の一端側で溝部48に挿入される連結挿入部としての複数のカップリング爪部84が突出して形成されている。したがって、このカップリング55は、清掃部材46の抜け止めとなっている。また、このカップリング本体83の拡径された端部には、図示しないが、カップリング受け56と連結される一方の接続部材連結部としての連結凹部が複数形成されている。
【0045】
カップリング受け56は、外周面にギヤ歯86を複数有する略円柱状のギヤ部87の一端部に、接続軸88が同軸に突出して形成されているとともに、ギヤ部87の他端部に、カップリング55の連結凹部にそれぞれ嵌合する他方の接続部材連結部としての連結凸部89が形成されている。なお、カップリング55とカップリング受け56との接続は、凹凸の嵌合に限定されるものではない。
【0046】
ギヤ部87は、モータ21の回転軸に取り付けられた回転体としてのプーリ91(図2)との間に伝達部としてのタイミングベルトであるベルト92(図2)が巻き掛けられており、これらプーリ91およびベルト92を介してモータ21の回転力が回転ブラシ22および駆動車輪23a,23bにそれぞれ伝達されるように構成されている。また、このギヤ部87は、ベルト92とともに、下ケース16のベルトカバーであるカバー部39により上側が覆われている。
【0047】
ベルト92には、他方の駆動車輪23bの毛ブラシ部53のブラシ部本体80aの先端側が、他方の駆動車輪23bの回転位置によって接触可能となっている。
【0048】
接続軸88は、他方の駆動車輪23bに対応する車輪本体部51である車輪本体部51b側から他方の駆動車輪23bに挿通され、この他方の駆動車輪23bに対応する軸受57である軸受57bに挿入された回転可能に軸支されている。また、この接続軸88は、カバー部39内に位置する軸受部94(図6)により回動可能に軸支されている。
【0049】
連結凸部89は、カップリング受け56の中心軸側から径方向に沿って放射状に、かつ、周方向に互いに略等角度に複数形成されており、カップリング55の連結凹部に嵌着されることでカップリング55(回転ブラシ22)に対するカップリング受け56(他方の駆動車輪23b)の回り止めとなっている。
【0050】
軸受57は、軸支壁部34a,34bに保持される被保持部95と、この被保持部95と一体的に形成され嵌着凹部73に遊嵌される略円筒状の保持軸部96とを備えている。この保持軸部96は、回転ブラシ22および駆動車輪23a,23bを軸支する回転軸となるものである。
【0051】
一方の駆動車輪23aの保持軸部96である保持軸部96aには、連結軸54が挿入されている。また、他方の駆動車輪23bの保持軸部96である保持軸部96bには、カップリング受け56の接続軸88が挿入されている。
【0052】
安全装置24は、床面に接触可能な車輪98(図3)を備え、この車輪98が、穴部32から下ケース16の下方へと露出している。また、安全装置24は、モータ制御部と電気的に接続されており、車輪98が床面に接触することでモータ制御部によるモータ21の駆動を許可するとともに、車輪98が床面から離間されるとモータ制御部によるモータ21の駆動を許可しないように構成されている。さらに、この安全装置24は、例えば床面と接触した車輪98の回転方向によって床ブラシ9の走行方向を検出し、この走行方向に応じて、回転ブラシ22の回転方向を切り換えるようにモータ制御部へと信号を出力可能となっている。
【0053】
接続管12は、吸込口31と連通しており、ケース体11から後方へと突出した端部が延長管8の先端側へと着脱可能に連通接続される。
【0054】
次に、上記一実施の形態の作用を説明する。
【0055】
駆動車輪23a,23bを組み立てる際には、一方の車輪本体部51の接続突出部62に他方の車輪本体部52の接続挿入部72を、毛ブラシ部53の基体78内で挿入するように接続して、車輪本体部51,52の傾斜溝部77により毛ブラシ部53を挟持する。
【0056】
一方の駆動車輪23aは、清掃部材46を溝部48に取り付けた回転ブラシ組立45の一方の端部にて溝部48に爪部68を挿入する。このとき、回転ブラシ組立45に取り付けられた連結軸54を一方の駆動車輪23aに挿通する。そして、この挿通した連結軸54の先端側を、一方のカバー体35を下ケース16から取り外した状態で、下ケース16の一方の軸支壁部34aに保持された軸受57(軸受57a)の保持軸部96(保持軸部96a)に挿入して回転可能に軸支した後、一方のカバー体35を下ケース16に取り付ける。
【0057】
また、他方の駆動車輪23bは、カップリング受け56の接続軸88を挿通する。次いで、この挿通した接続軸88の先端側を、他方のカバー体36を下ケース16から取り外した状態で、カバー部39の軸受部94に挿通するとともに、下ケース16の他方の軸支壁部34bに保持された軸受57(軸受57b)の保持軸部96(保持軸部96b)に挿入して回転可能に軸支する。さらに、清掃部材46を溝部48に取り付けた回転ブラシ組立45の他方の端部にて溝部48にカップリング爪部84を挿入したカップリング55の連結凹部に対して、連結凸部89を嵌合させ、ギヤ部87の外周に、モータ21のプーリ91にベルト92を巻き掛けた後、他方のカバー体36を下ケース16に取り付ける。
【0058】
この結果、回転ブラシ22とともに、駆動車輪23a,23bがケース体11に回動可能に保持され、回転ブラシ22と一方の駆動車輪23aとが吸込口31の一方の吸込部31a内に位置し、他方の駆動車輪23bが吸込口31の他方の吸込部31b内に位置する。
【0059】
なお、駆動車輪23a,23bは、ブラシ部本体80a,80bが中心線Lに対して線対称となるように、回転ブラシ22の回転ブラシ組立45への接続角度を設定する。この場合、通常は、カップリング55の連結凹部に対するカップリング受け56の連結凸部89の挿入位置を、ブラシ部本体80a,80bが中心線Lに対して線対称となるように周方向に適宜可変させればよいが、例えば一方の駆動車輪23aの連結部63の回転ブラシ組立45の溝部48への挿入位置を周方向に可変させるようにしてもよい。
【0060】
そして、掃除の際には、まず、作業者は、掃除機本体1の本体吸込口3に、ホース体4、延長管8および床ブラシ9を順次連通接続する。
【0061】
さらに、作業者が、掃除機本体1から電源コードを引き出して図示しないコンセントに接続した後、把持部6を把持して所定の設定ボタン7を操作すると、この設定ボタン7により設定された動作モードに応じて電動送風機2が駆動される。
【0062】
そして、作業者は、把持部6を把持して床面上で床ブラシ9を前後に走行させ、吸込口31および前側吸込口43から塵埃を空気とともに吸い込む。
【0063】
このとき、車輪98が床面に接触することで、安全装置24の機能によって、回転ブラシ22および駆動車輪23a,23bの回転が可能となっている。例えば、床ブラシ9を前方へと走行(前進)させた場合には、車輪98が前転(正転)し、床ブラシ9を後方へと走行(後退)させた場合には、車輪98が後転(逆転)するので、この車輪98の回転方向に応じて、モータ制御部がモータ21の回転方向を、車輪98の回転方向と同方向となるように制御する。
【0064】
この結果、モータ21の回転がプーリ91およびベルト92を介してギヤ部87へと伝達されることで、このギヤ部87を有するカップリング受け56と連結された他方の駆動車輪23b、カップリング受け56と連結されたカップリング55が固定された回転ブラシ22、および、この回転ブラシ22に連結された一方の駆動車輪23aが、一体的に同方向へと回転する。
【0065】
このとき、回転ブラシ22の回転に伴い、各清掃部材46が床面の塵埃を掻き取って吸込口31へと運ぶとともに、図1(a)ないし図1(c)に示すように、駆動車輪23a,23bの回転に伴い毛ブラシ部53が位相を連続的に変える。換言すれば、毛ブラシ部53の毛ブラシ79の床面との接触位置が、駆動車輪23a,23bの回転に伴ってこの駆動車輪23a,23bの軸方向に、中心線Lに対して周期的かつ連続的に左右方向に振動(往復動)する。このため、吸込口31の両端部である軸支壁部34a,34bから駆動車輪23a,23bの回転ブラシ22側の端部およびベルト92に亘る広い範囲の床面の塵埃を毛ブラシ部53が掻き取り、この塵埃を、一方の駆動車輪23aの毛ブラシ部53の毛ブラシ79は吸込口31へと直接運び、他方の駆動車輪23bの毛ブラシ部53の毛ブラシ79は連通溝部41を介して吸込口31へと運ぶ。
【0066】
この吸込口31に運ばれた塵埃は、接続管12を介して作用する電動送風機2の駆動による負圧によって、この接続管12へと空気とともに吸い込まれ、この接続管12が接続された延長管8、ホース体4および本体吸込口3を介して、掃除機本体1内の集塵部へと吸い込まれる。
【0067】
そして、吸い込まれた塵埃は、集塵部に捕集され、この塵埃が捕集された空気が電動送風機2を介して図示しない排気孔から掃除機本体1の外部へと排気される。
【0068】
上述したように、上記一実施の形態によれば、略円盤状の毛ブラシ部53を、回転ブラシ22の両端側に、この回転ブラシ22の回転軸に対して傾斜状に配置することで、回転ブラシ22の回転に伴い、毛ブラシ部53の床面との接触位置が回転ブラシ22の軸方向に周期的に往復するように変化して床面上の塵埃を掃くように掃除するので、例えば毛ブラシ部の厚みを回転ブラシの軸方向に増加させる場合のように走行負荷を増加させることなく、毛ブラシ部53での掃除範囲を回転ブラシ22の軸方向に拡大できる。
【0069】
また、毛ブラシ部53を駆動車輪23a,23bの外周面に配置することで、駆動車輪23a,23bの駆動によって床ブラシ9の走行負荷を低減しつつ、毛ブラシ部53で広い範囲の塵埃を掃除できる。
【0070】
具体的に、毛ブラシ部53は、毛ブラシ79を駆動車輪23a,23bの軸方向の一端側から他端側に亘って交差するように配置し、毛ブラシ79の先端を、駆動車輪23a,23bの軸方向の両端部からそれぞれ突出させているため、これら駆動車輪23a,23bの軸方向全体に亘る範囲の塵埃を掃除することが可能になる。
【0071】
特に、毛ブラシ部53の毛ブラシ79の先端側を吸込口31の両側部から突出する位置まで伸ばしたことにより、壁際や障害物の近傍などを掃除する場合に、毛ブラシ79がこれら壁際や障害物の近傍まで届き、これら壁際や障害物の近傍の塵埃をも掃除することが可能になる。
【0072】
この結果、毛ブラシ部53と回転ブラシ22とにより、床ブラシ9の略全幅に亘って塵埃の掃除性能を高めることができる。
【0073】
さらに、毛ブラシ部53を、駆動車輪23aと駆動車輪23bとで、中心線Lに対して線対称に配置することで、毛ブラシ部53の毛ブラシ79の床面に接触する位置が、駆動車輪23a,23bの回転位置に拘らず常に中心線Lに対して線対称となる。例えば毛ブラシ部を中心線に対して線対称でない配置とする場合には、床ブラシが床面上を走行する際に、駆動車輪の回転位置によって毛ブラシの床面に接触する位置が一方の駆動車輪側と他方の駆動車輪側とで異なるので、毛ブラシの剛性などによっては床ブラシの走行軌道が幅方向にふらつくおそれがあるのに対して、上記のように中心線Lに対して線対称に毛ブラシ79を床面に接触させることで床ブラシ9の走行時のふらつきを防止でき、床ブラシ9を容易に直進させることができる。
【0074】
そして、毛ブラシ部53のブラシ部本体80を、車輪本体部51,52で傾斜状に挟持することにより、毛ブラシ部53を回転ブラシ22の回転軸に対して傾斜させた構成を容易に形成できる。
【0075】
また、回転ブラシ22は、床ブラシ9の走行方向が反転するとモータ21により反転されるように構成しているので、床ブラシ9を床面上で走行させる際に、床ブラシ9を繰り返し前後させることで、回転ブラシ22とともに駆動車輪23a,23bも繰り返し反転する。この結果、回転ブラシや駆動車輪を一方向のみに回転させる場合と比較して、毛ブラシ部53の毛ブラシ79に、毛ごみや糸ごみなどの長い塵埃が絡み付きにくくなる。
【0076】
さらに、毛ブラシ部53の毛ブラシ79の先端側をベルト92と接触可能とすることにより、回転ブラシ22側などからベルト92へと付着した塵埃を、他方の駆動車輪23bの回転に伴って毛ブラシ部53により除去することができる。このため、ベルト92を常時清掃された状態に維持でき、モータ21の駆動力を回転ブラシ22(駆動車輪23a,23b)へと確実に伝達することが可能になる。
【0077】
なお、上記一実施の形態において、毛ブラシ部53は、少なくとも回転ブラシ22のいずれか一方の端部側に配置すれば、同様の作用効果を奏することができる。
【0078】
また、毛ブラシ部53は、駆動車輪23a,23bを円筒状に1つの部材で形成し、この部材の外周面に傾斜溝部を形成して基体78を嵌着させるようにしてもよい。
【0079】
さらに、毛ブラシ部53は、複数条形成して、それぞれの毛ブラシ79の材質、硬度、長さなどを異ならせてもよい。
【0080】
そして、清掃部としては、毛ブラシ部53以外でも、例えばブレード、あるいはブレードと毛ブラシ部53との組み合わせなど、任意に構成することが可能である。
【0081】
また、回転ブラシ22を回転させる駆動源としては、例えばエアタービンなど、任意のものが可能であり、この駆動源からの駆動力を伝達する伝達部も、例えばギヤ列など、ベルト92以外の構成としてもよい。
【0082】
さらに、回転ブラシ22は、駆動源により回動されるものでなく、床面との接触抵抗により回転するものでもよい。
【0083】
そして、電気掃除機の細部および吸込口体の細部などは、上記構成に限定されるものではない。
【0084】
また、電気掃除機としては、キャニスタ型に限らず、アップライト型、ハンディ型、あるいは自律走行型などでも、上記構成を対応させて用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の第1の実施の形態の吸込口体の要部の動作を(a)ないし(c)の順に示す説明図である。
【図2】同上吸込口体のケース体を除いた部分を示す平面図である。
【図3】同上吸込口体を示す下面図である。
【図4】同上吸込口体の一部を分解して示す斜視図である。
【図5】同上吸込口体の要部を示す分解斜視図である。
【図6】同上吸込口体の要部を示す断面図である。
【図7】同上吸込口体を備えた電気掃除機を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0086】
1 掃除機本体
2 電動送風機
9 吸込口体としての床ブラシ
11 ケース体
21 駆動源としてのモータ
22 回転清掃体としての回転ブラシ
23a,23b 駆動車輪
31 吸込口
51,52 挟持体としての車輪本体部
53 清掃部としての毛ブラシ部
79 毛ブラシ
80 清掃部本体としてのブラシ部本体
92 伝達部としてのベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース体と、
このケース体に開口形成された吸込口と、
この吸込口に回転可能に軸支された回転清掃体と、
略円盤状に形成され、前記回転清掃体の少なくとも一端側に、この回転清掃体の回転軸に対して傾斜状に配置され、前記回転清掃体の回転に伴って回転する清掃部と
を具備したことを特徴とした吸込口体。
【請求項2】
回転清掃体の両端側に形成された駆動車輪を具備し、
清掃部は、前記駆動車輪の外周面に配置されている
ことを特徴とした請求項1記載の吸込口体。
【請求項3】
清掃部は、平面視で回転清掃体の回転中心に直交する線に対して線対称に配置されている
ことを特徴とした請求項2記載の吸込口体。
【請求項4】
清掃部は、外部に放射状に突出した毛ブラシを有する略円筒状の清掃部本体を備え、
駆動車輪は、略円筒状に形成され、前記清掃部本体を軸方向に傾斜状に挟持する一対の挟持体を備えている
ことを特徴とした請求項2または3記載の吸込口体。
【請求項5】
駆動源と、
この駆動源からの駆動力を回転清掃体に伝達する伝達部とを具備し、
清掃部は、少なくとも一部が前記伝達部に接触する
ことを特徴とした請求項1ないし4いずれか一記載の吸込口体。
【請求項6】
電動送風機を収容した掃除機本体と、
この掃除機本体に対して前記電動送風機の吸込側に連通接続される請求項1ないし5いずれか一記載の吸込口体と
を具備したことを特徴とした電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−285178(P2009−285178A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−141303(P2008−141303)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】