説明

吸込口体および電気掃除機

【課題】塵埃の侵入に伴う回転ブラシの回転性の低下を抑制した床ブラシを提供する。
【解決手段】回転ブラシ保持部40の軸受カバー97,97に一端側から回転ブラシ39の軸体47,48を挿通する。軸受カバー97,97内に他端側から軸受98,98を圧入する。軸受カバー97,97の軸受98,98よりも一端側の位置に、回転ブラシ39を抜け止めする係合部103,103を軸体47,48側へと突出させる。軸受カバー97,97の端部からの塵埃の侵入を抑制して、塵埃の侵入に伴う回転ブラシ39の回転性の低下を抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転清掃体保持部により軸部が回転自在に保持された略円筒状の回転清掃体を有する吸込口体およびこれを備えた電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気掃除機に用いられる吸込口体としての床ブラシは、横長のケース体と、このケース体の左右幅方向の中心域の後部に回動可能に連通接続された接続管とを備えている。ケース体の被掃除面である床面に対向する下面には、横長の吸込口が開口形成されている。この吸込口には、例えば絨毯などの床面の塵埃を掻き出すための回転清掃体としての回転ブラシが回転可能に配置されている。この回転ブラシは、例えばケース体内に配置された駆動源としてのモータにより回転駆動される(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
具体的に、図5および図6に示すように、回転ブラシ1は、長尺状の取付部材としてのブラシ台2を備え、このブラシ台2の両端部には、それぞれ円筒状の保持部材3,4が取り付けられている。保持部材3,4の内部には、それぞれインサート成形などにより軸部としての軸体5,6が同軸状に配置されている。また、軸体5,6の保持部材3,4から突出する端部は、円筒状の被固定部としての軸受カバー7,7に挿通されている。さらに、これら軸受カバー7,7内には、軸受8,8が圧入され、これら軸受8,8の内周面が、軸体5,6の外周面を回転自在に保持している。そして、軸受カバー7,7には、軸体5,6の抜け止め用の係合部9,9が突出して形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−261285号公報(第3−6頁、図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の床ブラシでは、軸受8,8が、軸受カバー7,7の保持部材3側に圧入され、係合部9,9が軸受8,8の端部側に形成されているので、軸受カバー7,7の内周面と、軸受8,8から突出する軸体5,6の端部の外周面との間に、図5(a)および図5(b)に示すように隙間Gがそれぞれ形成されている。このため、電動送風機の動作によって作用した負圧により、これら隙間Gへと塵埃が吸い込まれ、この吸い込まれた塵埃が軸受カバー7,7と軸体5,6の外周面との間に入り込むおそれがあるなど、回転ブラシ1の回転性に好ましくない影響を与えるおそれがある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、塵埃の侵入に伴う回転清掃体の回転性の低下を抑制した吸込口体およびこれを備えた電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ケース体に配置された回転清掃体保持部と、この回転清掃体保持部により回転自在に保持される軸部を有し、吸込口に臨む略円筒状の回転清掃体とを具備し、回転清掃体保持部が、軸部が一端側から挿通された筒状の被固定部と、この被固定部内に他端側から圧入され、被固定部の内部で軸部の外側面を回転自在に保持する軸受と、被固定部の軸受よりも一端側の位置に軸部側へと突出して形成され、回転清掃体を抜け止めする係合部とを備えているものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、回転清掃体保持部の被固定部に一端側から回転清掃体の軸部を挿通し、被固定部内に他端側から軸受を圧入するとともに、被固定部の軸受よりも一端側の位置に、回転清掃体を抜け止めする係合部を軸部側へと突出させることにより、被固定部の端部からの塵埃の侵入を抑制して、この塵埃の侵入に伴う回転清掃体の回転性の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施の形態の吸込口体の回転清掃体の要部を拡大して示す断面図であり、(a)は回転清掃体の一端側を示し、(b)は回転清掃体の他端側を示す。
【図2】同上回転清掃体を取り付けた吸込口体を示す断面図である。
【図3】同上吸込口体を示す平面図である。
【図4】同上吸込口体を備えた電気掃除機の斜視図である。
【図5】従来例の吸込口体の回転清掃体の要部を拡大して示す断面図であり、(a)は回転清掃体の一端側を示し、(b)は回転清掃体の他端側を示す。
【図6】同上回転清掃体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態の構成を図1ないし図4を参照して説明する。
【0011】
図4において、11はいわゆるキャニスタ型の電気掃除機を示し、この電気掃除機11は、管部12と、この管部12が着脱可能に接続される掃除機本体13とを有している。
【0012】
管部12は、掃除機本体13に接続される基端側に対して先端側が前方へ屈曲した接続管部15と、この接続管部15の先端側に連通する可撓性を有するホース体16と、このホース体16の先端側に設けられた手元操作部17と、この手元操作部17の先端側に着脱可能に接続される延長管18と、この延長管18の先端側に着脱可能に接続される吸込口体としての床ブラシ19とを備えている。
【0013】
手元操作部17には、把持部21がホース体16側へと突出し、この把持部21には、操作用の設定ボタン22が複数設けられている。
【0014】
また、掃除機本体13の内部には、電動送風機24が収容されているとともに、この電動送風機24の吸込側に連通する本体集塵室25が形成されている。また、この本体集塵室25には、集塵袋である紙パック、あるいは集塵装置である集塵カップなどの図示しない集塵部が着脱可能に配置されている。さらに、掃除機本体13の前側の上部には、本体集塵室25を開閉可能とする本体蓋27が設けられている。そして、掃除機本体13の両側には、走行用の大径の走行輪28(一方のみ図示)が回転自在に取り付けられている。
【0015】
本体蓋27には、ホース体16(接続管部15)の基端側が着脱可能に接続される本体吸込口29が本体集塵室25に連通して設けられている。
【0016】
電動送風機24は、掃除機本体13内の制御手段である図示しない制御回路により、設定ボタン22で設定された所定の動作モードで動作されて管部12を介して空気とともに塵埃を吸い込むものである。なお、これら電動送風機24および制御回路は、例えば商用交流電源、あるいは掃除機本体13に内蔵された二次電池などから給電されている。
【0017】
そして、床ブラシ19は、左右幅方向に長手状、すなわち横長のケース体31と、このケース体31に連結された接続管32とを備えている。
【0018】
ケース体31は、上側が開口された下ケース34と、この下ケース34の上側を覆う上ケース35と、この上ケース35の前部に回動可能に軸支された前カバー36とを備えている。
【0019】
下ケース34には、図2に示すように、ケース体31の下面を構成する横長の下面部の前端部に、横長の吸込口38が切り欠き形成されており、この吸込口38には、回転清掃体としての回転ブラシ39が、回転清掃体保持部としての回転ブラシ保持部40によりケース体31に回転自在に保持されている。
【0020】
回転ブラシ39は、ケース体31内に収容された駆動源としてのモータ42により回転駆動されるものであり、吸込口38に対応して横長の長尺状の取付部材としてのブラシ台43と、このブラシ台43の外周面に取り付けられた複数の清掃部材44と、ブラシ台43の両端部に取り付けられた略円筒状の保持部材45,46と、これら保持部材45,46に、例えばインサート成形などにより一体的に取り付けられた軸部としての略円筒状の軸体47,48とを備えている。
【0021】
ブラシ台43は、例えば合成樹脂、あるいはアルミニウムなどの部材により略円筒状に形成されており、軸方向(長手方向)に沿って、清掃部材44をそれぞれ取り付けるための溝部である凹部54が、両端間に亘って連続して形成されている。これら凹部54は、ブラシ台43の軸方向に沿う直線状でもよいし、周方向にねじれた螺旋状でもよい。
【0022】
清掃部材44は、例えば拭取部材であるブレード、掻取部材であるブラシ毛、あるいはこれらの組み合わせなどであり、基端側が凹部54にそれぞれ保持されることにより、ブラシ台43の外周面に対して壁状に突出している。
【0023】
図1(a)に示すように、一方の保持部材45は、円筒状の(一方の)保持部材本体56と、この保持部材本体56の軸方向のブラシ台43側の端部に一体に形成された(一方の)取付部57と、保持部材本体56の軸方向のブラシ台43と反対側の端部に一体に形成された(一方の)軸受部58と、この軸受部58の外周にこの軸受部58と同軸状に形成された連結部59とを備えている。そして、保持部材本体56と、取付部57および軸受部58に亘って、一方の軸体47が一体に保持された(一方の)保持孔部61が形成されており、この保持孔部61内には、一方の軸体47を軸方向に抜け止めするための(一方の)突出部62が中心軸方向へとリブ状に突出している。
【0024】
保持部材本体56は、図2に示すように、下ケース34から突出したリブR1,R1と、上ケース35から突出したリブR2,R2との間に、これらリブR1,R1,R2,R2と非接触に配置されている。
【0025】
図1(a)に戻って、取付部57は、ブラシ台43の一端部と接触する部分である。そして、この取付部57には、各凹部54に挿入されて一方の保持部材45をブラシ台43の一端部に固定するとともに清掃部材44(図2)の凹部54からの軸方向への抜けを防止するための(一方の)支持部64がそれぞれリブ状に一体形成されている。さらに、この取付部57は、図2に示すように、下ケース34から突出し吸込口38の縁部を形成するリブR3と上ケース35から突出したリブR4との間に、これらリブR3,R4と非接触に配置されている。
【0026】
また、図1(a)に戻って、軸受部58は、保持部材本体56よりも外径寸法が小さく、かつ、保持部材本体56と同軸に形成されている。また、この軸受部58の先端部(一端部)の内周側には、溝状の切欠部66が形成されている。さらに、この軸受部58の先端部は、ワッシャ67,67を介して回転ブラシ保持部40側と接触している。
【0027】
連結部59は、保持部材本体56よりも外径寸法が大きく、軸受部58の外周側に間隙69を介して位置している。また、この連結部59は、外周面にギヤ状のギヤ部59aが形成されており、この外周面と図3に示すモータ42の回転軸42aとの間に、伝達部材であるベルトBが巻き掛けられていることにより、モータ42の駆動力を回転ブラシ39に伝達するように構成されている。
【0028】
また、図1(b)に示すように、他方の保持部材46は、円筒状の(他方の)保持部材本体71と、この保持部材本体71の軸方向のブラシ台43側の端部に一体に形成された(他方の)取付部72と、保持部材本体71の軸方向のブラシ台43と反対側の端部に一体に形成された(他方の)軸受部73とを備えている。そして、保持部材本体71と、取付部72および軸受部73に亘って、他方の軸体48が一体に保持された(他方の)保持孔部75が形成されており、この保持孔部75内には、他方の軸体48を軸方向に抜け止めするための(他方の)突出部76が中心軸方向へとリブ状に突出している。
【0029】
保持部材本体71は、図2に示すように、下ケース34から突出したリブR5と上ケース35から突出したリブR6との間に、これらリブR5,R6と非接触に配置されている。
【0030】
図1(b)に戻って、取付部72は、ブラシ台43の他端部と接触する部分である。そして、この取付部72には、各凹部54に挿入されて他方の保持部材46をブラシ台43の他端部に固定するとともに清掃部材44(図2)の凹部54からの軸方向への抜けを防止するための(他方の)支持部78がそれぞれリブ状に一体形成されている。さらに、この取付部72は、図2に示すように、下ケース34から突出し吸込口38の縁部を形成するリブR7の上方に、このリブR7と非接触に配置されている。
【0031】
また、図1(b)に戻って、軸受部73は、保持部材本体71よりも外径寸法が大きく、かつ、保持部材本体71と同軸に形成されている。また、この軸受部73の基端部、すなわち保持部材本体71と隣接する部分には、径方向に突出した鍔部81が一体に形成されている。さらに、この軸受部73の先端部の内周側には、回転ブラシ保持部40側が嵌合する嵌合凹部82が形成されている。そして、この軸受部73は、図2に示すように、下ケース34から突出するリブR8と上ケース35から突出するリブR9との間に、これらリブR8,R9と非接触に配置されている。
【0032】
また、図1(a)に示すように、一方の軸体47は、例えば金属などにより形成されており、一方の保持部材45の保持孔部61ないしワッシャ67,67内に亘って保持される(一方の)軸体本体85と、この軸体本体85の端部に位置する(一方の)抜止凹部としての(一方の)段差部である(一方の)縮径部86と、一方の軸受98の内周面に外周面が保持される(一方の)軸受嵌合部としての(一方の)被保持部87とが同軸状に一体形成されている。
【0033】
軸体本体85は、外周面に抜け止め用の抜止溝部である(一方の)ローレット溝部89が形成されており、このローレット溝部89が保持孔部61に噛み込むことにより、一方の軸体47が一方の保持部材45に対して抜け止めされている。
【0034】
縮径部86は、軸体本体85および被保持部87よりも縮径されている。
【0035】
被保持部87は、軸体本体85と略等しい径寸法で、かつ、一方の軸受98と略等しい軸方向寸法を有しており、略全体の外周面が一方の軸受98の内周面に保持されている。また、この被保持部87の外周面は、一方の軸受98の内周面に対して円滑に摺接するように研磨されている。そして、この被保持部87は、一方の軸体47の端部をなしている。
【0036】
また、図1(b)に示すように、他方の軸体48は、例えば金属などにより形成されており、他方の保持部材46の保持孔部75内に保持される(他方の)軸体本体91と、この軸体本体91の端部に位置する(他方の)抜止凹部としての(他方の)段差部である(他方の)縮径部92と、他方の軸受98の内周面に外周面が保持される(他方の)軸受嵌合部としての(他方の)被保持部93とが同軸状に一体形成されている。
【0037】
軸体本体91は、外周面に抜け止め用の抜止溝部である(他方の)ローレット溝部95が形成されており、このローレット溝部95が保持孔部75に噛み込むことにより、他方の軸体48が他方の保持部材46に対して抜け止めされている。
【0038】
縮径部92は、軸体本体91および被保持部93よりも縮径されている。
【0039】
被保持部93は、他方の軸受98と略等しい軸方向寸法を有しており、略全体の外周面が他方の軸受98の内周面に保持されている。また、この被保持部93の外周面は、他方の軸受98の内周面に対して円滑に摺接するように研磨されている。そして、この被保持部93は、他方の軸体48の端部をなしている。
【0040】
さらに、図1(a)および図1(b)に示すように、回転ブラシ保持部40は、軸体47,48が挿通される略円筒状の被固定部としての軸受カバー97,97と、これら軸受カバー97,97内に圧入されて軸体47,48を回転自在に保持する略円筒状の軸受98,98とを備えている。
【0041】
各軸受カバー97には、一方の軸体47、あるいは他方の軸体48が挿通される挿通孔部101が中心軸に沿って形成されている。また、各軸受カバー97の挿通孔部101内には、各軸受98の軸方向位置を規制する軸受規制部102が形成されている。さらに、この挿通孔部101内には、一方の軸体47、あるいは他方の軸体48を抜け止めするための爪凸部である係合部103が中心軸方向に向けてリブ状に突出して形成されている。そして、各軸受カバー97のブラシ台43側には、嵌合部104が一体に形成されている。
【0042】
軸受規制部102は、各軸受98を各軸受カバー97に対して、回転ブラシ39側、すなわちブラシ台43(保持部材45あるいは保持部材46)側と反対側から圧入した状態で各軸受98と密着している。
【0043】
係合部103は、各軸受カバー97の軸受規制部102に対して回転ブラシ39側、すなわちブラシ台43(保持部材45あるいは保持部材46)側に位置しており、一方の軸体47の縮径部86、あるいは他方の軸体48の縮径部92の外周面に対向している。そして、この係合部103の先端側は、一方の軸体47の被保持部87、あるいは他方の軸体48の被保持部93よりも中心軸側に突出しており、回転ブラシ39の軸方向への移動を規制している。
【0044】
嵌合部104は、軸受カバー97の外周面に対して縮径されており、一方の保持部材45の間隙69、あるいは他方の保持部材46の嵌合凹部82内に若干の隙間を介して嵌合している。
【0045】
また、各軸受98は、各軸受カバー97の挿通孔部101に圧入嵌合された状態で、外周面が挿通孔部101の内周面に略隙間なく密着している。すなわち、回転ブラシ39の両端面は、各軸受カバー97、各軸受98、および、各軸体47,48の被保持部87,93により、略隙間なく閉塞されている。そして、図2に示すように、これら各軸受98による軸体47,48の被保持部87,93の保持位置に対応する位置で、各軸受カバー97の外周面が、上ケース35からリブ状に突出した押さえ部107,108によりケース体31に支持されている。これら押さえ部107,108は、各軸受カバー97を、少なくとも下方に押さえつけている。
【0046】
また、図3に示すモータ42は、ケース体31内に収容された制御部109を介して駆動が制御されるものであり、接続管32の先端側の一側方の位置に配置されている。
【0047】
制御部109は、例えば回路基板にマイコンなどの制御素子および各種回路素子が実装されて構成され、接続管32の先端側の他側方の位置に配置されている。そして、この制御部109は、掃除機本体13(図4)側からのモータ42への給電を制御するように構成されている。
【0048】
また、図4に示すように、前カバー36は、例えば可撓性を有する合成樹脂などにより断面視で円弧状に湾曲して形成されている。なお、この前カバー36は、必須の構成ではない。
【0049】
また、接続管32は、延長管18の先端側に着脱可能に接続される。したがって、この接続管32により、延長管18、ホース体16および本体吸込口29を介して、床ブラシ19が電動送風機24の吸込側に連通接続される。
【0050】
次に、上記一実施の形態の動作を説明する。
【0051】
例えば絨毯などの床面を掃除する際には、作業者が床ブラシ19を床面上に載置し、電動送風機24を駆動させた状態で、把持部21を把持し、所望の設定ボタン22を操作してモータ42(図3)を回転させた状態で、床ブラシ19を床面上で前後方向に走行させる。
【0052】
図3に示すモータ42の回転は、回転軸42aおよびベルトBを介して、回転ブラシ39の図1(a)に示す連結部59に伝達され、図2に示すブラシ台43が、清掃部材44、保持部材45,46および軸体47,48とともに軸受カバー97および軸受98に対して周方向に回動し、軸体47,48の被保持部87,93の外周面が軸受98の内周面を周方向に摺動する。
【0053】
そして、清掃部材44が床面上の塵埃を掻き出し、その掻き出した塵埃を吸込口38から空気とともに吸い込んで掃除する。
【0054】
このとき、電動送風機24(図4)の駆動により発生する負圧は、回転ブラシ39の被保持部87,93の外周面と軸受98,98とのわずかな隙間などから回転ブラシ39の両端側へと作用するものの、この回転ブラシ39の両端部においては、図1(a)および図1(b)に示すように、被保持部87,93の外周面と軸受98,98との隙間は殆ど形成されていないため、実質的にこの隙間に塵埃が入り込むことはない。
【0055】
この吸い込まれた空気は、吸込風となり、塵埃とともに、図4に示す接続管32から延長管18、ホース体16および本体吸込口29を経由して本体集塵室25へと吸い込まれ、この本体集塵室25で塵埃が集塵部により除去されて、さらに電動送風機24へと吸い込まれた後、この電動送風機24を通過して排気風となり、掃除機本体13の図示しない排気孔から排気される。
【0056】
上述したように、上記一実施の形態によれば、回転ブラシ保持部40の軸受カバー97,97に一端側から回転ブラシ39の軸体47,48を挿通し、軸受カバー97,97内に他端側から軸受98,98を圧入するとともに、軸受カバー97,97の軸受98,98よりも一端側(保持部材45,46側)の位置に、回転ブラシ39を抜け止めする係合部103,103を軸体47,48側へと突出させることにより、軸受カバー97,97の端部からの塵埃の侵入を抑制して、この塵埃の侵入に伴う回転ブラシ39の回転性の低下を抑制できる。
【0057】
すなわち、図5(a)、図5(b)および図6に示す従来例では、電動送風機24(図4)の駆動により発生する負圧が隙間G,Gから回転ブラシ1の両端側へと作用して、これら隙間G,Gに塵埃が入り込み、軸受カバー7,7の内周面と軸体5,6の外周面との間に塵埃が吸い込まれるおそれがあるのに対して、図1ないし図4に示す上記一実施の形態では、軸受カバー97,97の外端部が略閉塞されてこのような隙間が形成されていないため、軸受98,98と軸体47,48の被保持部87,93との間、すなわち回転ブラシ39の回転時に摺動する部分へと塵埃が噛み込まれることがなく、回転性を確保できる。
【0058】
また、軸受98,98と軸体47,48の被保持部87,93との間に塵埃が入り込まないので、回転ブラシ39の両端の掃除(メンテナンス)が容易になる。
【0059】
さらに、軸受98,98は、回転ブラシ39の両端部を構成する軸体47,48の被保持部87,93の外周面を保持しているので、回転ブラシ39の両端部よりもこの回転ブラシ39の長手方向の中心側の位置でこの回転ブラシ39を保持する場合と比較して、回転ブラシ39の回転時のがたつき(ぶれ)を抑制でき、このがたつきに伴い発生する騒音を抑制できる。
【0060】
そして、軸受98,98による軸体47,48の保持位置に対応する位置で、軸受カバー97,97を押さえ部107,108によりケース体31に支持することにより、軸受98,98による軸体47,48の保持位置での軸受カバー97,97のがたつきを規制して、回転ブラシ39の回転時のがたつき(ぶれ)を、より確実に抑制できる。
【0061】
なお、上記一実施の形態において、軸受カバー97と軸受98とを圧入嵌合する構成は、回転ブラシ39の少なくとも一端部に採用することで、上記効果を奏することができる。
【0062】
また、回転ブラシ39は、少なくとも軸部を有していれば、他の部分は任意に構成できる。
【0063】
さらに、駆動源としては、モータ42に限らず、例えばエアタービンなど、任意の構成を用いることができる。
【0064】
そして、電気掃除機11の細部は、上記構成に限定されるものではなく、例えばキャニスタ型の電気掃除機11だけでなく、縦長の掃除機本体13の下部に床ブラシ19を接続したアップライト型の電気掃除機、あるいはハンディ型の電気掃除機など、任意の電気掃除機でも対応させることができる。
【符号の説明】
【0065】
11 電気掃除機
13 掃除機本体
19 吸込口体としての床ブラシ
24 電動送風機
31 ケース体
38 吸込口
39 回転清掃体としての回転ブラシ
40 回転清掃体保持部としての回転ブラシ保持部
47,48 軸部としての軸体
97 被固定部としての軸受カバー
98 軸受
103 係合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口を備えたケース体と、
このケース体に配置された回転清掃体保持部と、
この回転清掃体保持部により回転自在に保持される軸部を有し、前記吸込口に臨む略円筒状の回転清掃体とを具備し、
前記回転清掃体保持部は、
前記軸部が一端側から挿通された筒状の被固定部と、
この被固定部内に他端側から圧入され、前記被固定部の内部で前記軸部の外側面を回転自在に保持する軸受と、
前記被固定部の前記軸受よりも一端側の位置に前記軸部側へと突出して形成され、前記回転清掃体を抜け止めする係合部とを備えている
ことを特徴とした吸込口体。
【請求項2】
被固定部は、軸受による回転清掃体の軸部の保持位置に対応する位置でケース体に支持されている
ことを特徴とした請求項1記載の吸込口体。
【請求項3】
電動送風機を収容した掃除機本体と、
前記電動送風機の吸込側に接続される請求項1または2記載の吸込口体と
を具備したことを特徴とした電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−252980(P2010−252980A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−105454(P2009−105454)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】