説明

吸込口体および電気掃除機

【課題】組み立て性を低下させることなく、回転ブラシの回転に伴う振動のケース体への伝達を抑制できる床ブラシを提供する。
【解決手段】各軸受40の軸受本体76の外周面76aを囲んで取り付けた円環状の各弾性部材78の外周面78aの一部をケース体31に加圧保持して回り止めする。回転ブラシ39をケース体31に対して容易に取り付けでき、組み立て性を低下させることがない。回転ブラシ39の回転に伴う振動を各弾性部材78の弾性によって各軸受40の全周に亘って吸収でき、振動をケース体31へと伝達することを抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転清掃体の軸部の両端部を軸受によりケース体に回転可能に軸支する吸込口体およびこれを備えた電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の電気掃除機に用いる吸込口体は、横長のケース体と、このケース体の後部に連通接続される接続管とを備えている。ケース体は、接続管に連通する吸込口が下部に開口形成された下ケースと、この下ケースの上側を覆う上ケースとを備えている。また、このケース体の内部には、吸込口に臨んで回転清掃体としての回転ブラシが配置されている。この回転ブラシは、長尺状の軸部の周囲に複数の清掃部材が取り付けられて構成されており、軸部の両端部が、軸受を介してケース体に回転自在に軸支されている。これら軸受は、側面視で四角形状の外形を有しており、前側から下側および後側に亘って連続し上側に向けて開口したコ字状の保持部に嵌着されることによりケース体に対して回り止めされた状態で保持されている。そして、各軸受は、回転ブラシの回転に伴う振動(がたつき)、すなわちぶれを防止するために、上ケースに一端側を取り付けた弾性部材を介して下ケースへと付勢されている(例えば、特許文献1および2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−84921号公報(第1−3頁、第3図および第4図)
【特許文献2】特開平4−322627号公報(第3−4頁、図1および図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の床ブラシでは、軸受が弾性部材によって下ケースへと押しつけられているため、回転ブラシの回転に伴うぶれ(振動)が、軸受の下部の下ケースを介してケース体に伝達されるおそれがあるという問題点を有している。
【0005】
また、回転ブラシをケース体に取り付ける際には、軸受と上ケースとの間に弾性部材を介在させなければならず、組み立て性が良好でないという問題もある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、組み立て性を低下させることなく、回転清掃体の回転に伴う振動のケース体への伝達を抑制できる吸込口体およびこれを備えた電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、両端に突出する軸部を備え、吸込口に臨んでケース体に配置された回転清掃体と、ケース体に設けられ、回転清掃体を駆動させる駆動源と、回転清掃体の軸部を回転自在に保持する軸受と、これら軸受のそれぞれの外側を囲んで取り付けられ、外側の少なくとも一部がケース体に加圧保持されて回り止めされた環状の弾性部材とを具備したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、軸受の外側を囲んで取り付けた環状の弾性部材の外側の少なくとも一部をケース体に加圧保持して回り止めすることにより、組み立て性を低下させることなく、回転清掃体の回転に伴う振動のケース体への伝達を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施の形態の吸込口体を示す縦断面図である。
【図2】同上吸込口体の一部を示す一部を切り欠いた平面図である。
【図3】同上吸込口体の回転清掃体の取付動作の一部を(a)(b)(c)の順に示す平面図である。
【図4】同上吸込口体を示す平面図である。
【図5】同上吸込口体を備えた電気掃除機を示す斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態の吸込口体の回転清掃体の取付動作の一部を(a)(b)(c)の順に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の第1の実施の形態の構成を図1ないし図5を参照して説明する。
【0011】
図5において、11はいわゆるキャニスタ型の電気掃除機を示し、この電気掃除機11は、管部12と、この管部12が着脱可能に接続される掃除機本体13とを有している。
【0012】
管部12は、掃除機本体13に接続される接続管部15と、この接続管部15の先端側に連通する可撓性を有するホース体16と、このホース体16の先端側に設けられた手元操作部17と、この手元操作部17の先端側に着脱可能に接続される延長管18と、この延長管18の先端側に着脱可能に接続される吸込口体としての床ブラシ19とを備えている。
【0013】
手元操作部17には、把持部21がホース体16側へと突出し、この把持部21には、操作用の設定ボタン22が複数設けられている。
【0014】
また、掃除機本体13の内部には、電動送風機24が収容されているとともに、この電動送風機24の吸込側に連通する本体集塵室25が形成されている。また、この本体集塵室25には、フィルタ、集塵袋である紙パック、あるいは集塵装置である集塵カップなどの図示しない集塵部が着脱可能に配置されている。さらに、掃除機本体13の前側の上部には、本体集塵室25を開閉可能とする本体蓋27が設けられている。そして、掃除機本体13の両側には、走行用の大径の走行輪28(一方のみ図示)が回転自在に取り付けられている。
【0015】
本体蓋27には、ホース体16(接続管部15)の基端側が着脱可能に接続される本体吸込口29が本体集塵室25に連通して設けられている。
【0016】
電動送風機24は、掃除機本体13内の制御手段である図示しない制御回路により、設定ボタン22で設定された所定の動作モードで動作されて管部12を介して空気とともに塵埃を吸い込むものである。なお、これら電動送風機24および制御回路は、例えば商用交流電源、あるいは掃除機本体13に内蔵された二次電池などから給電されている。
【0017】
そして、床ブラシ19は、左右幅方向に長手状、すなわち横長のケース体31と、このケース体31に連結された接続管32とを備えている。
【0018】
ケース体31は、上側が開口された下ケース34と、この下ケース34の上側を覆う上ケース35と、これら下ケース34と上ケース35との間に挟持されたバンパ36とを備えている。
【0019】
下ケース34には、図1および図4に示すように、ケース体31の下面を構成する横長の下面部の前端部に、横長の吸込口38が切り欠き形成されており、この吸込口38には、回転清掃体としての回転ブラシ39が、両端部に位置する軸受40,40を介してケース体31に回転自在に保持されている。
【0020】
回転ブラシ39は、ケース体31内に収容された駆動源としてのモータ42により回転駆動されるものであり、図2ないし図4に示すように、吸込口38に対応して横長の長尺状の取付部材としてのブラシ台43と、このブラシ台43の外周面に取り付けられた複数の清掃部材44と、ブラシ台43の両端部に一体的に取り付けられた略円筒状の保持部材45,46と、これら保持部材45,46に、例えばインサート成形などにより一体的に取り付けられた軸部としての略円筒状の軸体47,47とを備えている。
【0021】
ブラシ台43は、例えば合成樹脂、あるいはアルミニウムなどの部材により略円筒状に形成されており、軸方向(長手方向)に沿って、清掃部材44をそれぞれ取り付けるための溝部である凹部54が、両端間に亘って連続して形成されている。これら凹部54は、本実施の形態では、ブラシ台43の軸方向に沿う直線状となっているが、例えばブラシ台43の周方向にねじれた螺旋状でもよい。
【0022】
清掃部材44は、例えば拭取部材であるブレード、掻取部材であるブラシ毛、あるいはこれらの組み合わせなどであり、基端側が凹部54にそれぞれ保持されることにより、ブラシ台43の外周面に対して径方向へと壁状に突出している。
【0023】
一方の保持部材45は、円筒状の(一方の)保持部材本体56と、この保持部材本体56の軸方向のブラシ台43側と反対側の端部に同軸に形成された円筒状の(一方の)連結部57と、この連結部57を介して保持部材本体56と同軸に連結された円筒状の伝達部58とを備えている。
【0024】
保持部材本体56は、例えば凹部54のそれぞれに嵌着する爪部などを備えており、各凹部54の端部を閉塞した状態でブラシ台43の一端部に固定されて、各清掃部材44をブラシ台43から抜け止めしている。
【0025】
連結部57は、保持部材本体56に対して小径に形成されている。
【0026】
伝達部58は、モータ42の回転力を回転ブラシ39に伝達するための部分であり、連結部57よりも大径で、かつ、保持部材本体56よりも小径に形成されている。また、この伝達部58の外周面には、複数のギヤ溝58aが軸方向に沿って、かつ、周方向に互いに略等間隔に離間されて形成されている。さらに、この伝達部58の外周面には、無端状のベルト61が、モータ42の回転軸42aに連結されたプーリ62との間に巻き掛けられており、モータ42の回転に伴って、このモータ42と同方向、あるいは逆方向に回転ブラシ39が回転するように構成されている。そして、この伝達部58の連結部57側の端部には、ベルト61(図4)の連結部57側への横ずれを規制するための鍔部58bがフランジ状に全周に突出して一体に形成されている。
【0027】
また、他方の保持部材46は、円筒状の(他方の)保持部材本体71と、この保持部材本体71の軸方向のブラシ台43側と反対側の端部に同軸に形成された円筒状の(他方の)連結部72と、この連結部72を介して保持部材本体71と同軸に連結された円筒状の被連結部である円筒部73とを備えている。
【0028】
保持部材本体71は、例えば凹部54のそれぞれに嵌着する爪部などを備えており、各凹部54の端部を閉塞した状態でブラシ台43の他端部に固定されて、各清掃部材44をブラシ台43から抜け止めしている。
【0029】
連結部72は、保持部材本体71に対して小径に形成されている。
【0030】
円筒部73は、連結部72よりも大径で、かつ、保持部材本体71よりも小径に形成されている。また、この円筒部73の連結部72側の端部には、鍔部73aがフランジ状に全周に突出して一体に形成されている。
【0031】
また、軸体47,47は、例えば金属などにより形成されており、保持部材45,46に挿入固定されて、それぞれブラシ台43と同軸に配置されている。さらに、軸体47,47は、端部が保持部材45,46から外方(側方)へと突出しており、これら保持部材45,46から突出した端部に、軸受40,40により滑り保持される被保持部74,74が一体に形成されている。被保持部74は、軸体47の他の部分よりも拡径されている。
【0032】
そして、各軸受40は、略円筒状の軸受本体76と、この軸受本体76内に一体的に取り付けられた軸受体77とを備えており、軸受本体76の周囲に弾性部材78が取り付けられている。
【0033】
軸受本体76は、例えば円筒状などに形成されており、外周面76aに弾性部材78を嵌着するための溝部76bが全周に亘って形成されている。また、この軸受本体76の回転ブラシ39の長手方向中心側の端部である一端部、すなわち、図2の左側に示す軸受本体76の保持部材45側、および、図2の右側に示す軸受本体76の保持部材46側には、軸受体77を抜け止め保持するための突起部76cが内周縁部の全周に亘って形成されている。
【0034】
軸受体77は、軸受本体76の他端部側からこの軸受本体76に例えば圧入されており、一端部が突起部76cに当接し、他端部が軸受本体76の他端部から突出していない。また、軸受体77の内周は、突起部76cの内周よりも中心軸側へと突出しており、軸体47の被保持部74の外周面に摺接可能に接触している。
【0035】
そして、弾性部材78は、例えばゴム、あるいはエラストマなどの材料により、外周が円形状に形成されており、内周が軸受本体76の溝部76bに保持されている。なお、弾性部材78の外周が円形状であるとは、弾性部材78の外周がほぼ円形状であるもの(円形状と同等の形状のもの)、例えば、僅かな直線状の部分を有しそれらの間が円弧状に連続する形状のもの、あるいは、円形に近似した楕円形状であるものなども含むものとする。また、弾性部材78は、弾性変形可能な所定の肉厚を有しており、例えば、最大外径寸法が、伝達部58の最大外径寸法以下に設定されている。換言すれば、弾性部材78は、伝達部58に対して径方向に突出していない。さらに、弾性部材78は、図1に示すように、ケース体31に対して外側面である外周面78aが加圧保持されている。すなわち、弾性部材78は、ケース体31に対して、外周面78a側が弾性を失わない程度に圧縮された状態で保持されている。このため、軸受40が弾性部材78を介してケース体31に弾性的に支持されており、このケース体31に対して回り止めされている。
【0036】
ここで、ケース体31は、下ケース34から上方に向けて直線リブ状に突出した嵌合突出部としての嵌合リブ部81,81と、下ケース34から上方に向けて直線リブ状に突出した下側支持部としての下側支持リブ部82と、上ケース35から下方に向けて直線リブ状に突出した上側支持部としての上側支持リブ部83,83とが、吸込口38の側部に臨んで配置されており、これらリブ部81,81,82,83,83間で、各弾性部材78を保持している。
【0037】
嵌合リブ部81,81は、各弾性部材78の自然状態、すなわち各弾性部材78が外周面78aに加圧されていない状態での外形寸法よりも若干小さい幅で前後に離間されている。また、これら嵌合リブ部81,81間に、空間部85が区画されている。すなわち、空間部85は、嵌合リブ部81,81間で上側に開口部86が形成されている。
【0038】
また、下側支持リブ部82は、嵌合リブ部81,81の前後方向の略中心位置に形成されており、これら嵌合リブ部81,81よりも上方向への突出量が小さく設定されている。さらに、この下側支持リブ部82の上端側は、弾性部材78の外周面78aの下側に圧接される。
【0039】
また、上側支持リブ部83,83は、下ケース34と上ケース35とを互いに取り付けた状態で、前後方向における嵌合リブ部81,81の間に位置しており、かつ、下側支持リブ部82に対して前後に互いに略線対称な位置となっている。すなわち、上側支持リブ部83,83は、それぞれ下側支持リブ部82の前後に位置しており、各上側支持リブ部83は、各嵌合リブ部81と下側支持リブ部82との前後方向の略中心位置に位置している。また、上側支持リブ部83,83は、下端側が開口部86に若干挿入され、弾性部材78の外周面78aの上側にそれぞれ圧接される。したがって、弾性部材78は、嵌合リブ部81,81により前後が中心軸方向に向けて支持され、下側支持リブ部82により下側が中心軸方向に向けて支持され、かつ、上側支持リブ部83,83により上側が2箇所で支持されて保持されている。すなわち、嵌合リブ部81,81間、下側支持リブ部82の先端、および、上側支持リブ部83,83の先端の間に、弾性部材78を保持する保持部88が区画されている。すなわち、保持部88は、嵌合リブ部81,81、下側支持リブ部82、および、上側支持リブ部83,83に接する仮想的な円形状に区画されている。
【0040】
また、図4に示すモータ42は、ケース体31内に収容された図示しない制御部を介して駆動が制御されるものであり、接続管32の先端側の一側方の位置に配置されている。
【0041】
制御部は、例えば回路基板にマイコンなどの制御素子および各種回路素子が実装されて構成され、接続管32の先端側の他側方の位置に配置されている。そして、この制御部は、掃除機本体13(図5)側からのモータ42への給電を制御するように構成されている。
【0042】
また、接続管32は、図5に示すように、延長管18の先端側に着脱可能に接続される。したがって、この接続管32により、延長管18、ホース体16および本体吸込口29を介して、床ブラシ19が電動送風機24の吸込側に連通接続される。
【0043】
次に、上記第1の実施の形態の組み立て方法を説明する。
【0044】
まず、ブラシ台43の各凹部54に清掃部材44をそれぞれ端部から挿入して取り付けた後、ブラシ台43の両端部に、保持部材45,46を取り付けて回転ブラシ39を組み立てる。
【0045】
次いで、保持部材45,46から突出する軸体47,47に対して、軸受40をそれぞれ取り付ける。各軸受40は、予め軸受本体76に対して軸受体77を圧入するとともに、溝部76bに対して弾性部材78を取り付けておく。そして、軸受体77内に、突起部76c側から軸体47を挿入して軸体47を回転可能に軸支する。
【0046】
この後、下ケース34と上ケース35との間で接続管32およびバンパ36を挟持したケース体31に対して、上記各軸受40により軸支した回転ブラシ39を取り付ける。このとき、回転ブラシ39および各軸受40は、まず、図3(a)に示すように、吸込口38において左側をベルト61に挿入して伝達部58の周囲にベルト61を巻き掛ける。このとき、軸受40の弾性部材78の外形が、伝達部58の最大外径以下であるため、弾性部材78がベルト61に引っ掛かりにくくなる。
【0047】
この状態で、図3(b)に示すように、弾性部材78を一方の保持部88に挿入すると、この弾性部材78の外周面78aの一部が、嵌合リブ部81,81間、下側支持リブ部82の先端および上側支持リブ部83,83の先端間に加圧保持される。
【0048】
さらに、図3(c)に示すように、回転ブラシ39および軸受40の右側を、他方の保持部88に挿入すると、この弾性部材78の外周面78aが、嵌合リブ部81,81間、下側支持リブ部82の先端および上側支持リブ部83,83の先端間に加圧保持される。
【0049】
なお、各保持部88は、円形状に形成されているため、図3(b)および図3(c)に示すように各軸受40を各保持部88に挿入する際、外周面78aが円形状の各弾性部材78は、上下および左右などの方向性に必要以上に注意を払うことなく容易に各保持部88に挿入できる。
【0050】
この結果、図4に示すように、回転ブラシ39が各軸受40を介して、ケース体31に回転自在に保持される。
【0051】
次に、上記第1の実施の形態による掃除動作を説明する。
【0052】
まず、図5に示すように、接続管32を延長管18の先端部に接続し、床ブラシ19を床面上に載置して、把持部21を把持し、所望の設定ボタン22を操作して電動送風機24を所望の動作モードで動作させた状態で、延長管18を介して床ブラシ19を前後に走行させる。
【0053】
また、例えば絨毯などの床面を掃除する際には、所望の設定ボタン22を操作してモータ42(図4)を回転させた状態で、床ブラシ19を床面上で前後方向に走行させる。
【0054】
図4に示すモータ42の回転は、プーリ62およびベルト61を介して回転ブラシ39の伝達部58に伝達され、回転ブラシ39が周方向に回動し、清掃部材44が床面上の塵埃を掻き出し、その掻き出した塵埃を吸込口38から空気とともに吸い込んで掃除する。
【0055】
このとき、回転ブラシ39の回転に伴い発生する振動は、弾性部材78がそれぞれ保持部88に保持されていることにより、ケース体31側へと伝達されない。
【0056】
吸い込まれた空気は、吸込風となり、塵埃とともに、図5に示す接続管32から延長管18、ホース体16および本体吸込口29を経由して本体集塵室25へと吸い込まれ、この本体集塵室25の集塵部で塵埃が捕集されて、さらに電動送風機24へと吸い込まれた後、この電動送風機24を通過して排気風となり、掃除機本体13の図示しない排気孔から排気される。
【0057】
掃除が終了すると、作業者は設定ボタン22(図5)を操作して、電動送風機24(図5)、あるいはモータ42(図4)を停止させる。
【0058】
なお、回転ブラシ39のメンテナンスの際には、上記回転ブラシ39の取り付けと逆の手順で回転ブラシ39を軸受40とともにケース体31から容易に取り外すことができる。このケース体31から取り外した回転ブラシ39は、ブラシ台43などに絡み付いた髪の毛などの塵埃を除去し、再度ケース体31に取り付ける。
【0059】
上述したように、上記第1の実施の形態によれば、各軸受40の軸受本体76の外周面76aを囲んで取り付けた円環状の弾性部材78の外側すなわち外周面78aの一部をケース体31に加圧保持して回り止めすることにより、各軸受40を各保持部88にそれぞれ挿入するだけで回転ブラシ39をケース体31に容易に取り付けできるので、例えばコイルばねなどを用いて回転ブラシをケース体に対して組み付ける場合と比較して組み立て性を低下させることがないとともに、回転ブラシ39の回転に伴う振動が各弾性部材78の弾性によって各軸受40の全周に亘って吸収され、この振動がケース体31へと伝達されることを抑制できる。このため、回転ブラシ39の回転に伴う振動により発生するがたつきなどの騒音(低級音)を防止できるので、床ブラシ19の静音化を図ることができる。
【0060】
また、例えば、弾性部材の外側面を四角形状などとする場合には、上下方向、前後方向あるいは角部の位置、角度などを保持部側と合わせながら軸受をケース体に取り付けなければならないのに対して、本実施の形態では、弾性部材78の外形を円形状とすることにより、各弾性部材78と各保持部88との方向性を合わせることなく各弾性部材78を各保持部88に挿入できるので、組み立て性をより向上できるとともに、回転ブラシ39に塵埃が絡み付いた場合などでも、回転ブラシ39をケース体31から取り外して塵埃を回転ブラシ39の軸方向に引っ張ると、各弾性部材78に引っ掛かることなく除去でき、回転ブラシ39のメンテナンス性も向上する。
【0061】
しかも、各弾性部材78は、各保持部88により外周面78aが加圧保持されているので、外形を円形状としても回転ブラシ39の回転時にこの回転ブラシ39とともに周方向に滑ることがなく(共回りすることがなく)、回転ブラシ39の両端部をケース体31に対して確実に保持できる。
【0062】
さらに、各弾性部材78を嵌着する環状の溝部76bを各軸受40の軸受本体76の外周面76aに形成することにより、各弾性部材78を各軸受40の軸受本体76の外周面76aに確実に保持できる。
【0063】
そして、弾性部材78の外径寸法を、モータ42の駆動力を伝達する無端状のベルト61を周囲に巻き掛ける回転ブラシ39の円筒状の伝達部58の最大外径以下とすることにより、図3(a)および図3(b)に示すように、伝達部58へとベルト61を巻き掛ける際、あるいは回転ブラシ39をケース体31から取り外す際に、弾性部材78がベルト61に引っ掛かりにくく、回転ブラシ39の着脱性、すなわち床ブラシ19の組み立て性がより良好になる。
【0064】
次に、第2の実施の形態を図6を参照して説明する。なお、上記第1の実施の形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0065】
この第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態において、各軸受40の軸受本体76の外周面76aが、各弾性部材78側から、ブラシ台43側と反対側、すなわち外側へと、徐々に縮径されているものである。換言すれば、各軸受本体76の外周面76aは、各弾性部材78側から外側へと中心軸側に徐々に細くなるように傾斜している。
【0066】
このように構成することにより、図6(a)ないし図6(c)に示すように各軸受40を各保持部88に挿入する際に、各軸受本体76の外周面76aが各弾性部材78を各保持部88へと徐々に呼び込むことができるので、床ブラシ19の組み立て性がより向上する。
【0067】
なお、上記各実施の形態において、駆動源としては、例えばエアタービンなど、モータ42以外の任意のものを用いることができる。
【0068】
また、回転ブラシ39は、両端部にそれぞれ軸体47を備える構成としたが、例えばブラシ台43の内部を通って両端に亘って連続して両端から突出する1つの軸部を備える構成でもよい。
【0069】
さらに、電気掃除機11の細部は、上記構成に限定されるものではなく、例えばキャニスタ型の電気掃除機11だけでなく、縦長の掃除機本体13の下部に床ブラシ19を接続したアップライト型の電気掃除機など、任意の電気掃除機でも対応させることができる。
【符号の説明】
【0070】
11 電気掃除機
13 掃除機本体
19 吸込口体としての床ブラシ
24 電動送風機
31 ケース体
38 吸込口
39 回転清掃体としての回転ブラシ
40 軸受
42 駆動源としてのモータ
47 軸部としての軸体
58 伝達部
61 ベルト
76b 溝部
78 弾性部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口を備えたケース体と、
両端に突出する軸部を備え、前記吸込口に臨んで前記ケース体に配置された回転清掃体と、
前記ケース体に設けられ、前記回転清掃体を駆動させる駆動源と、
前記回転清掃体の軸部を回転自在に保持する軸受と、
これら軸受のそれぞれの外側を囲んで取り付けられ、外側の少なくとも一部が前記ケース体に加圧保持されて回り止めされた環状の弾性部材と
を具備したことを特徴とした吸込口体。
【請求項2】
弾性部材は、外形が円形状に形成されている
ことを特徴とした請求項1記載の吸込口体。
【請求項3】
軸受は、弾性部材を嵌着する環状の溝部を外側に備えている
ことを特徴とした請求項1または2記載の吸込口体。
【請求項4】
回転清掃体は、軸部と同軸に形成された円筒状の伝達部を備え、
この伝達部の周囲に巻き掛けられ、駆動源の駆動力を伝達する無端状のベルトを具備し、
弾性部材は、前記伝達部の最大外径以下の外形を有している
ことを特徴とした請求項1ないし3いずれか一記載の吸込口体。
【請求項5】
軸受は、弾性部材よりも外端部側へと徐々に外形が小さくなるように外側が傾斜している
ことを特徴とした請求項1ないし4いずれか一記載の吸込口体。
【請求項6】
電動送風機を収容した掃除機本体と、
前記電動送風機の吸込側に連通して前記掃除機本体に接続可能な請求項1ないし5いずれか一記載の吸込口体と
を具備したことを特徴とした電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−273872(P2010−273872A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−129492(P2009−129492)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】