説明

吸込口体および電気掃除機

【課題】吸込口体を走行可能に支える複数の車輪間において車軸の傾きを抑制し走行性能および旋回性能を安定可能な吸込口体および電気掃除機を提案する。
【解決手段】吸込口体26は、底面35に開く吸込口28に接続する流路を内包する吸込口本体32と、吸込口本体32の後部中央に位置する接続管部33と、底面35に位置するとともに平面視において接続管部33およびその前方投影領域に近接してこの領域を左右から挟み込みかつ前後に並ぶ複数の車輪41と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明に係る実施形態は、吸込口体および電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
負圧を生じる電動送風機と、この負圧によって被掃除面上の塵埃を空気とともに吸い込む吸込口体と、を備える電気掃除機が知られている。
【0003】
吸込口体は、電動送風機に流体的に接続する流路の一部である。吸込口体は、幅広な箱状の構造体であり、流路の一部を形成する内壁を備える。
【0004】
また、吸込口体は、底面に開口する吸込口を有する。吸込口は電動送風機に接続する流路の入口である。
【0005】
さらに、吸込口体は、複数の車輪を備える。複数の車輪は、吸込口体の底面と被掃除面との間に隙間を隔てかつ吸込口体全体を走行可能な状態に支える。
【0006】
吸込口体は、流路を経て吸込口に作用する負圧によって、底面と被掃除面との隙間にある空気とともに被掃除面上の塵埃を吸い込む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−055908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の吸込口体は、吸込口を避けつつ、例えば4つの車輪を底面の前後左右の隅に配置して直進性や旋回性の安定に配慮している。なお、従来の吸込口体は、4つの車輪を底面の前後左右の隅に配置することが難しい場合でも、極力車輪間の距離を離し、特に吸込口体の左右方向に並ぶ車輪対の距離(所謂トレッド)を離し、直進性や旋回性の安定に配慮している。
【0009】
ところで、電気掃除機は、電動送風機と吸込口体とを接続する流路の一部である延長管および手元操作管を備える。延長管は直管であり、一方の端部を吸込口体に接続し、他方の端部を手元操作管に接続する。手元操作管は、電気掃除機のユーザが握り吸込口体の走行操作を行う把持部を備える。電気掃除機のユーザは、把持部を持って肘の曲げ伸ばしを繰り返し、吸込口体を前後方向へ往復走行させて被掃除面の掃除を行う。
【0010】
他方、吸込口体は、吸込口と延長管とを機械的、流体的に接続する自在継手を備える。この自在継手は、流路の一部であるとともに、吸込口体の走行にともない刻々と変わる延長管と吸込口体との相対的な角度変化を機械的に調整する。一般に、自在継手は吸込口体の後部中央に位置する。
【0011】
そして、吸込口体は、延長管が伝えるユーザの操作力を推進力として走行する。この推進力は、特に前進時に吸込口体を被掃除面へ押し付ける方向へ作用する。すなわち、前進時の操作力は、吸込口体の後部中央部分を被掃除面へ押し付ける方向へ作用する。
【0012】
ここで、被掃除面における吸込口体の支持条件および荷重条件に着目する。先ず、吸込口体は、左右方向に大きく離れて位置する車輪を支持点として被掃除面に支持されている。他方、吸込口体は、支持点である左右一対の車輪の略中央位置にある自在継手から操作力を受ける。この支持条件および荷重条件から、前進中の吸込口体は、幅方向中央部分を被掃除面に近づけるような弓形状に変形する。この変形は、略直線上に並ぶ左右の車輪対の車軸または略平行に並ぶ前後の車輪対の車軸を互いに傾かせる。この左右の車輪間の車軸の傾きは、走行抵抗を増加させ、吸込口体の直進性や旋回性を損なわせる虞もある。
【0013】
そこで、本発明は、吸込口体を走行可能に支える複数の車輪間において車軸の傾きを抑制し走行性能および旋回性能を安定可能な吸込口体および電気掃除機を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記の課題を解決するため本発明の実施形態に係る吸込口体は、底面に開く吸込口を有し前記吸込口に接続する流路を内包する吸込口本体と、前記吸込口本体の後部中央に位置する接続管と、前記底面に位置するとともに平面視において前記接続管および前記接続管の前方投影領域に近接してこの領域を左右から挟み込みかつ前後に並ぶ複数の車輪と、を備えることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の実施形態に係る電気掃除機は、前記吸込口体と、前記吸込口体に流体的に接続する電動送風機と、前記電動送風機を納める掃除機本体と、を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る電気掃除機の外観を示す斜視図。
【図2】本発明の実施形態に係る吸込口体を示す天面側の斜視図。
【図3】本発明の実施形態に係る吸込口体を示す底面側の斜視図。
【図4】本発明の実施形態に係る吸込口体を示す縦断面図。
【図5】本発明の実施形態に係る吸込口体から上ケースを取り外して示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る吸込口体および電気掃除機の実施形態について図1から図5を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の外観を示す斜視図である。
【0019】
図1に示すように、本実施形態に係る電気掃除機1は、いわゆるキャニスタ型の電気掃除機である。電気掃除機1は、被掃除面上を走行可能な掃除機本体2と、掃除機本体2に着脱自在に接続する管部3と、を備える。
【0020】
掃除機本体2は、本体ケース5と、本体ケース5の両側方にそれぞれ位置する一対の車輪6と、本体ケース5の前半部に位置する着脱自在な塵埃分離集塵部7と、本体ケース5の後半部に位置する電動送風機8と、主に電動送風機8の運転を制御する本体制御部9と、電動送風機8に電力を導く電源コード11と、を備える。
【0021】
本体ケース5は、管部3を着脱可能な継手としての本体接続口12を有する。本体接続口12は、掃除機本体2の流体的な入口であり、管部3と塵埃分離集塵部7とを流体的に接続する。
【0022】
塵埃分離集塵部7は、電動送風機8が発生させる負圧によって被掃除面から管部3および本体接続口12を経て流れ込む塵埃を含んだ空気(以下、「含塵空気」と呼ぶ。)から塵埃を分離し、捕集し、蓄積するとともに空気を電動送風機8へ送る。
【0023】
電動送風機8は、塵埃分離集塵部7を通過する空気を吸い込んで負圧を発生させる。
【0024】
本体制御部9は、マイクロプロセッサ(図示省略)や、マイクロプロセッサが実行する各種演算プログラムやパラメータなどを記憶する記憶装置(図示省略)を備える。本体制御部9は、予め設定される複数の運転モードを記憶装置に記憶する。予め設定される複数の運転モードは、管部3から受け取る操作信号に対応し、運転モード間の違いとして相互に異なる入力値(電動送風機8の入力値)を有する。本体制御部9は、管部3から操作信号を受け取ると、操作信号に対応する任意の運転モードを予め設定される複数の運転モードから択一的に選択して記憶部から読み出し、当該運転モードにしたがって電動送風機8の運転制御を行う。
【0025】
電源コード11は、自由端部に電源プラグ14を備える。
【0026】
管部3は、電動送風機8の運転にともない掃除機本体2から作用する負圧によって、被掃除面から含塵空気を吸い込み掃除機本体2へ案内する。管部3は、掃除機本体2に着脱自在に接続する継手としての接続管19と、接続管19に流体的に接続する集塵ホース21と、集塵ホース21に流体的に接続する手元操作管22と、手元操作管22から突出する把持部23と、把持部23に位置する操作部24と、手元操作管22に着脱自在に接続する延長管25と、延長管25に着脱自在に接続する吸込口体26と、を備える。
【0027】
接続管19は、本体接続口12に着脱可能な継手であり、本体接続口12を介して塵埃分離集塵部7に流体的に接続する。
【0028】
集塵ホース21は、長尺で可撓な略円筒形状のホースである。集塵ホース21の一方の端部(ここでは、後方の端部)は、接続管19に接続する。集塵ホース21は、接続管19を介して塵埃分離集塵部7に流体的に接続する。
【0029】
手元操作管22は、集塵ホース21と延長管25との間に介在する。手元操作管22の一方の端部(ここでは、後方の端部)は、集塵ホース21の他方の端部(ここでは、前方の端部)に接続する。手元操作管22は、集塵ホース21および接続管19を介して塵埃分離集塵部7に流体的に接続する。
【0030】
把持部23は、電気掃除機1を操作するために使用者が手で把持する部分である。把持部23は、使用者が手で容易に把持できる適宜の形状を有して手元操作管22から突出する。
【0031】
操作部24は、それぞれの運転モードに対応するスイッチを備える。具体的には、操作部24は、電動送風機8の運転停止操作に対応する停止スイッチ24aと、電動送風機8の運転開始操作に対応する起動スイッチ24bと、を備える。停止スイッチ24aおよび起動スイッチ24bは、本体制御部9に電気的に接続する。電気掃除機1の使用者は、操作部24を操作して電動送風機8の運転モードを択一的に選択できる。電動送風機8が運転を開始した後、起動スイッチ24bは運転モードの選択スイッチとしても機能する。この場合、本体制御部9は、起動スイッチ24bから操作信号を受け取る度に運転モードを強→中→弱→強→………のように切り換える。なお、操作部24は、起動スイッチ24bに代えて、弱運転スイッチ(図示省略)、中運転スイッチ(図示省略)および強運転スイッチ(図示省略)を別個に備えていても良い。
【0032】
延長管25は、伸縮可能な細長略円筒状の管である。延長管25は、複数の筒状体を重ね合わせたテレスコピック構造を有する。延長管25の一方の端部(ここでは、後方の端部)は、手元操作管22の他方の端部(ここでは、前方の端部)に着脱自在に接続する。延長管25は、手元操作管22、集塵ホース21および接続管19を介して塵埃分離集塵部7に流体的に接続する。
【0033】
吸込口体26は、延長管25の他方の端部(ここでは、前方の端部)に着脱自在に接続する。また、吸込口体26は、木床やカーペットなどの被掃除面上を走行自在あるいは滑走自在な構造を有するとともに、走行状態または滑走状態において被掃除面に対向する底面に吸込口28を有する。さらに、吸込口体26は、吸込口28に位置して回転自在な回転清掃体29と、回転清掃体29を回転駆動可能な電動機31と、を備える。吸込口体26は、延長管25、手元操作管22、集塵ホース21および接続管19を介して塵埃分離集塵部7に流体的に接続する。
【0034】
電気掃除機1は、起動スイッチ24bの操作を受けると電動送風機8の運転を開始して掃除機本体2の内部に負圧(吸込負圧)を発生する。電気掃除機1は、例えば電動送風機8が停止した状態で起動スイッチ24bの操作を受けると、先ず電動送風機8を強運転モードで運転し、次いで起動スイッチ24bの操作を受けると電動送風機8を中運転モードで運転し、さらに起動スイッチ24bの操作を受けると電動送風機8を弱運転モードで運転し、以下繰り返す。強運転モード、中運転モードおよび弱運転モードは、予め設定される複数の運転モードであり、強運転モード、中運転モード、弱運転モードの順に入力値が小さい。
【0035】
掃除機本体2の内部に生じた負圧は、塵埃分離集塵部7、本体接続口12、接続管19、集塵ホース21、手元操作管22および延長管25を経て吸込口体26の吸込口28に作用する。吸込口28に作用した負圧によって、電気掃除機1は、被掃除面に溜まった塵埃を空気とともに吸込口28から吸い込んで被掃除面を掃除する。塵埃分離集塵部7は、吸込口28が吸い込んだ含塵空気から塵埃を分離し、捕集し、蓄積する。含塵空気から分離して清浄になった空気は、塵埃分離集塵部7および電動送風機8を通過して掃除機本体2外へ排気される。
【0036】
吸込口体26についてさらに詳述する。
【0037】
図2は、本発明の実施形態に係る吸込口体を示す天面側の斜視図である。
【0038】
図3は、本発明の実施形態に係る吸込口体を示す底面側の斜視図である。
【0039】
図2および図3に示すように、本実施形態に係る吸込口体26は、進行方向である前後方向に短く左右方向へ幅広い扁平な略直方体形状で箱状の吸込口本体32と、吸込口本体32の後部中央に位置する接続管部33と、を備える。
【0040】
ここで、吸込口体26の前進方向(図2中、実線矢X)を前方、その反対方向を後方とする。また、吸込口体26を床面などの略水平な被掃除面に置いた状態で、後から前を見たときの左側(図2中、実線矢Y)を左方、その反対方向を右方とする。さらに、吸込口体26の前後方向および左右方向に直交する右手座標系の+Z方向を上方とし、その反対方向を下方とする。
【0041】
吸込口本体32は、底面35に開く吸込口28を有し、吸込口28に接続する流路36を内包する。吸込口本体32は、上方へ開放する箱状の下ケース37と、下ケース37を上方から覆う上ケース38と、を備える。
【0042】
下ケース37は、吸込口体26あるいは吸込口本体32の下半である。下ケース37は、底面35の前半部分に大きく幅広に開く吸込口28を有する。
【0043】
また、下ケース37は、後部中央部分から後方に向けて張り出し、接続管部33の下方を覆い隠してこれを保護する後部膨出部39を備える。
【0044】
さらに、下ケース37は、底面35に複数、例えば4つの車輪41を備える。車輪41は、底面35を被掃除面に向けて吸込口体26を被掃除面上に置いたとき、底面35と被掃除面との間に隙間を隔てて吸込口体26あるいは吸込口本体32を走行可能な状態に支える。4つの車輪41は、吸込口28の開口縁近傍にある左右一対の車輪対42と、下ケース37の後部膨出部39にある左右一対の車輪対43との2組に分かれて前後の車輪41対間の距離(所謂、ホイールベース)を離す。
【0045】
車輪41は、吸込口体26の前進および後退を円滑にするため、吸込口体26の左右方向(幅方向)へ向き互いに平行な車軸を備える。また、前後に並ぶ車輪41は、前後方向に見て車輪幅が重なり合う。
【0046】
また、吸込口体26は、前後に並ぶ車輪41の間に位置して車輪41とともに被掃除面に接地可能な起毛45を有する起毛布46を備える。起毛布46は、車輪41の車軸と略並行に延びる。起毛布46は、吸込口体26の前進および後退にともない、車輪41の軌跡を追いかけるので、吸込口体26の前進時には前側の車輪対42の走行痕を磨き、吸込口体26の後退時には後側の車輪対43の走行痕を磨いて被掃除面に残る走行痕を軽減する。
【0047】
接続管部33は、吸込口体26を延長管25に機械的、流体的に接続する自在継手であり、回転接続管部48と、揺動接続管部49と、を備える。
【0048】
回転接続管部48は、吸込口本体32に接続するとともに吸込口体26の前後方向に沿う軸(X軸に一致する軸またはX軸に平行な軸)回りに回転可能である。
【0049】
揺動接続管部49は、回転接続管部48の回転軸に直交する軸回りに揺動可能である。揺動接続管部49の自由端部は、延長管25へ着脱可能な継手である。
【0050】
回転清掃体29は、吸込口本体32の左右方向へ延びる軸状の清掃体であり、螺旋状かつ多条に並んで径方向へ延びる複数の毛ブラシ51を備える。なお、回転清掃体29は、毛ブラシ51に加えて、螺旋状かつ多条に並んで径方向へ延びる可撓なシリコンゴムなどのブレードを備えていてもよい。
【0051】
図4は、本発明の実施形態に係る吸込口体を示す縦断面図である。
【0052】
図4に示すように、本実施形態に係る吸込口体26は、回転清掃体29を納める清掃体室53と、接続管部33を支持するとともに清掃体室53と接続管部33とを流体的に接続する中継管55と、を備える。
【0053】
清掃体室53は、吸込口28を入口とする流路の一部である。清掃体室53は、回転清掃体29を回転自在な状態で保持する。回転清掃体29の一部、具体的には毛ブラシ51の先端部分は、吸込口28から下方へ向かって突出し、吸込口体26を被掃除面上に置いたとき被掃除面に接する。
【0054】
中継管55は、吸込口本体32内にあり、前後方向へ延びる。中継管55は、接続管部33を回転自在に支持するとともに清掃体室53と接続管部33とを流体的に接続する。具体的には、中継管55の前端は清掃体室53に流体的に接続し、中継管55の後端は接続管部33に流体的に接続するとともに接続管部33を回転自在に支持する。また、中継管55は、接続管部33、特に回転接続管部48を回転自在に支持するフランジ56を備える。フランジ56は、中継管55の開口端から径外方向へ鍔状に延びる。回転接続管部48は、フランジ56に覆い被さり周方向へ摺動または滑動するとともに中継管55と一体化する。
【0055】
また、中継管55は、下ケース37と上ケース38に挟まれ、強固に固定されて吸込口本体32と接続管部33とを一体化し、延長管25に加わる操作力を吸込口本体32へ伝える。
【0056】
図5は、本発明の実施形態に係る吸込口体から上ケースを取り外して示す平面図である。
【0057】
図5に示すように、本実施形態に係る吸込口体26の吸込口28は下ケース37の前半部の幅方向へ大きく開口する。吸込口28の開口縁は下ケース37の高さ方向に延びる区画壁58に連接する。区画壁58は、清掃体室53を仕切る。回転清掃体29は清掃体室53に納まる。
【0058】
清掃体室53の天井は上ケース38である。すなわち、下ケース37および上ケース38は協働して清掃体室53を区画する。
【0059】
中継管55は、下ケース37の後半部中央に位置する。中継管55は、接続管部33、特に回転接続管部48と略同等の最大径を有する管であり、接続管部33の前方投影領域S(図5中の二点鎖線間)に略納まる。
【0060】
電動機31は、中継管55の左方に位置して下ケース37に納まる。電動機31は、下ケース37の左端部を前後に延びる無端状のベルト59を介して回転清掃体29を回転駆動する。
【0061】
吸込口28の開口縁近傍にある車輪対42は、平面視において中継管55に近接してこれを左右から挟み込む。この車輪対42間の距離(所謂トレッド)は、中継管55の左右方向の幅寸法を若干上回りつつ、中継管55に寄り添うように位置する。
【0062】
他方、下ケース37の後部膨出部39に位置する車輪対43は、平面視において接続管部33、より詳しくは回転接続管部48に近接してこれを左右から挟み込む。この車輪対43間の距離は、回転接続管部48の直径を若干上回りつつ、回転接続管部48に寄り添うように位置する。
【0063】
したがって、4つの車輪41は、平面視において車輪対42、43ごとに接続管部33および中継管55(すなわち、接続管部33の前方投影領域)に近接してこの領域を左右から挟み込みかつ前後に並ぶ。そして、4つの車輪41は、平面視において、接続管部33と吸込口本体32との結合部である回転接続管部48および中継管55を取り囲む。特に、中継管55は、4つの車輪41を頂点とする四角形の内側に位置する。換言すると、平面視において4つの車輪41は中継管55を四方から取り囲んでいる。
【0064】
本実施形態に係る吸込口体26は、延長管25から吸込口体26に加わる操作力(すなわち吸込口体26の推進力)によって走行する。この吸込口体26に加わる操作力は、延長管25から接続管部33、中継管55を経て吸込口本体32に作用する。そして、この吸込口体26に加わる操作力は、特に吸込口体26が前進する際には吸込口体26を被掃除面へ押し付ける方向へ作用する。
【0065】
このとき、吸込口体26の幅方向に着目すると、吸込口体26は、車輪41を支持点とする梁のように振る舞い曲げ変形を起こす。
【0066】
ここで、吸込口体の幅方向に着目して、従来の吸込口体の変形状態を説明する。吸込口体は、左右の車輪を支持点とする梁のように振る舞い曲げ変形を起こす。延長管から接続管部を経て吸込口本体に作用する操作力は、この曲げ変形を促す外力となる。従来の吸込口体の場合、左右一対の車輪間の距離(所謂トレッド)が吸込口本体の幅方向へ広いため、吸込口体に加わる操作力による吸込口本体の曲げ変形の撓み量が大きくなる。この吸込口本体の撓み変形は、変形前に略一直線上または平行な位置関係にあった左右の車輪の車軸を相互に傾かせてしまう。この左右の車輪間の車軸の傾きは、走行抵抗を増加させ、吸込口体の直進性や旋回性を損なわせる虞もある。
【0067】
一方、本実施形態に係る吸込口体26は、接続管部33および中継管55(すなわち、接続管部33の前方投影領域)に近接する箇所に車輪41を配置しているため、操作力を受ける部分に車輪41が近く、従来のものに比べて車輪対42、43間の距離が著しく狭い。特に、本実施形態に係る吸込口体26は、操作力を伝える接続管部33および中継管55の近傍に車輪対42、43を配置している。すなわち、本実施形態に係る吸込口体26は、吸込口本体32を支える支持点間の距離が短く、従来の吸込口体に比べて吸込口本体32に加わる操作力によって撓みにくい。吸込口本体32が撓みにくいため、相互の車軸間に生じる傾きも小さい。したがって、本実施形態に係る吸込口体26は、車輪41間の車軸の傾きが小さく、走行抵抗を低く抑え、高い直進性や旋回性を備えることになる。
【0068】
したがって、本実施形態に係る電気掃除機1および吸込口体26によれば、吸込口体26を走行可能に支える複数の車輪41間において車軸の傾きを抑制し走行性能および旋回性能を安定できる。
【0069】
なお、本発明に係る電気掃除機1は、キャニスタ型の電気掃除機1に限らず、アップライト型、スティック型、ハンディ型あるいは自律型などの電気掃除機1であってもよい。
【0070】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
1 電気掃除機
2 掃除機本体
3 管部
5 本体ケース
6 車輪
7 塵埃分離集塵部
8 電動送風機
9 本体制御部
11 電源コード
12 本体接続口
14 電源プラグ
19 接続管
21 集塵ホース
22 手元操作管
23 把持部
24 操作部
24a 停止スイッチ
24b 起動スイッチ
25 延長管
26 吸込口体
28 吸込口
29 回転清掃体
31 電動機
32 吸込口本体
33 接続管部
35 底面
36 流路
37 下ケース
38 上ケース
39 後部膨出部
41 車輪
42、43 車輪対
45 起毛
46 起毛布
48 回転接続管部
49 揺動接続管部
51 毛ブラシ
53 清掃体室
55 中継管
56 フランジ
58 区画壁
59 ベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面に開く吸込口を有し前記吸込口に接続する流路を内包する吸込口本体と、
前記吸込口本体の後部中央に位置する接続管と、
前記底面に位置するとともに平面視において前記接続管および前記接続管の前方投影領域に近接してこの領域を左右から挟み込みかつ前後に並ぶ複数の車輪と、を備えることを特徴とする吸込口体。
【請求項2】
前後に並ぶ前記車輪は前後方向に見て車輪幅が重なり合うことを特徴とする請求項1に記載の吸込口体。
【請求項3】
前後に並ぶ前記車輪の間に位置して前記車輪とともに被掃除面に接地可能な起毛を有する起毛布を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の吸込口体。
【請求項4】
前記起毛布は、前記車輪の車軸と略並行に延びることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の吸込口体。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の吸込口体と、
前記吸込口体に流体的に接続する電動送風機と、
前記電動送風機を納める掃除機本体と、を備えることを特徴とする電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−31546(P2013−31546A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169023(P2011−169023)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】