呼吸ガスを提供するためのシステムおよび方法
呼吸ガスを提供する方法であって、a)呼吸ガスの送達と関連する感知パラメータを感知する工程;b)現在の呼吸サイクルの第1の部分の間の感知パラメータと第1の所定の感知パラメータ値との間の差異に応答して、流れ/圧力制御要素と関連する制御パラメータを変化させる工程;c)該変化させるパラメータに少なくとも一部基づき、該現在の呼吸サイクルの該第1の部分から第2の部分までの遷移を決定する工程;d)該決定された遷移に少なくとも一部基づき、該現在の呼吸サイクルの第2の部分の間の該感知パラメータにおける第1の変化を引き起こすように該制御パラメータを変化させる工程;およびe)該第1の所定の感知パラメータ値に少なくとも一部基づき、該現在の呼吸サイクルの第3の部分の間の該感知パラメータにおける第2の変化を引き起こすように該制御パラメータを変化させる工程を包含する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2004年6月18日に出願された米国仮特許出願第60/580,845号に基づく優先権を主張している。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、一般に、患者の気道への呼吸ガスの送達に、そしてより詳細には、患者の呼吸サイクルと協調する呼吸ガスの送達に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
閉塞性睡眠無呼吸障害は、上部気道の筋肉の、上部気道がこれら筋肉によって圧潰または閉塞されるようになる点までの弛緩によって引き起こされる気道呼吸障害である。閉塞性睡眠無呼吸は、患者の鼻孔への加圧空気の適用により処置され得ることが知られる。加圧空気の適用は、患者の上部気道中に空気の添え木を形成し、それによってその圧潰または閉塞を防ぐ。
【0004】
閉塞性睡眠無呼吸の処置において、いくつかの公知のCPAP養生法があり、例えば、1レベルCPAPおよび2レベルCPAPを含む。1レベルCPAPは、単一の治療的または医療的に処方されたCPAPレベルの一定の適用を含む。すなわち、全体の呼吸サイクルを通じ、単一の治療的な陽性空気圧が患者に送達される。このような養生法は、閉塞性睡眠無呼吸を処置することにおいて成功するが、いく人かの患者は、息を吐き出すとき不快を経験する。なぜなら、息を吐き出す間に患者の気道に陽性の空気圧が送達されるからである。
【0005】
この不快に応答して、2レベルCPAP養生法が開発された。2レベルCPAPは、吸息の間により高い治療的CPAP、および息を吐き出す間により低い治療的CPAPを送達することを含む。より高い治療的CPAPレベルは、吸息陽性気道圧力または「IPAP」として一般に知られている。より低い治療的CPAPは、呼息陽性気道圧力または「EPAP」として一般に知られている。EPAPはIPAPより低いので、患者は、呼息の間に息を吐き出すためにより少ない労働を行うだけであり、そしてそれ故、1レベルCPAPと比較してより少ない不快を経験する。
【0006】
しかし、2レベルCPAPの開発は、CPAPデバイスの高度化を顕著に増加した。なぜなら、これらデバイスは、患者が息を吸っているとき、および息を吐き出しているときを正確に決定し、そしてそれに対してIPAPおよびEPAPレベルを適正に協調しなければならないからである。1つのアプローチは、患者に送達されている空気の瞬間流速および平均流速を決定し、そして患者が息を吸っているか、または息を吐き出しているかを決定するためにこの2つを比較することである。瞬間流速が平均流速より大きい場合、患者は息を吸っているとみなされる。瞬間流速が平均流速より小さい場合、患者は、息を吐き出しているとみなされる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
CPAPは、閉塞性睡眠無呼吸、および、その他の呼吸関連疾患、例えば、慢性閉塞性肺疾患および呼吸の筋肉および組織に影響する神経−筋肉障害の処置に有用であるが、患者に治療的呼吸ガスを送達するさらなる方法を提供することが高度に所望される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(要約)
1つの局面では、呼吸ガスを提供する方法が提供される。1つの実施形態では、この方法は:a)呼吸ガスの送達に関連する感知パラメータを感知する工程、b)現在の呼吸サイクルの第1の部分の間に、感知パラメータと第1の所定の感知パラメータ値との間の差異に応答して、流れ/圧力制御要素と関連する制御パラメータを変化させる工程、c)この変化させる制御パラメータに少なくとも一部基づき、現在の呼吸サイクルの第1の部分から第2の部分への遷移を決定する工程、d)上記制御パラメータを変化させて、この決定された遷移に少なくとも一部基づき、現在の呼吸サイクルの第2の部分の間の感知パラメータにおいて第1の変化を引き起こす工程、およびe)上記制御パラメータを変化させて、上記第1の所定の感知パラメータ値に少なくとも一部基づき、現在の呼吸サイクルの第3の部分の間の感知パラメータにおける第2の変化を引き起こす工程を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(例示の実施形態の詳細な説明)
種々の実施形態を論議する前に、本開示の全体で用いられるいくつかの例示の用語の定義の総説が適切である。すべての用語の単数形態および複数形態の両方は、各々の意味を意味する。
【0010】
本明細書で用いられるとき、「論理(ロジック)」は、制限されないで、機能(単数および複数)または作用(単数および複数)を実施するため、そして/または、別の構成要素からの機能または作用を引き起こすためのハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアおよび/または各々の組み合わせを含む。例えば、所望される適用または必要性に基づき、論理は、ソフトウェアで制御されるマイクロプロセッサ、適用特異的集積回路(ASIC)のような別個の論理、またはその他のプログラムされた論理デバイスを含み得る。論理はまた、完全にソフトウェアとして具現化され得る。
【0011】
本明細書で用いられるとき、「ソフトウェア」は、制限されないで、コンピュータまたはその他の電子デバイスが、所望の様式で機能、作用、および/または挙動するようにする1つ以上のコンピュータ読み出し可能、および/または実行可能な命令を含む。これらの命令は、動的にリンクされたライブラリーからの別個のアプリケーションまたはコードを含むルーチン、アルゴリズム、モジュールまたはプログラムのような種々の形態で具現化され得る。ソフトウェアはまた、スタンドアローンプログラム、ファンクションコール、サーブレット、アプレット、メモリ中に記憶された命令、オペレーションシステムの一部またはその他のタイプの実行可能な命令のような種々の形態で履行され得る。ソフトウェアの形態は、例えば、所望のアプリケーションの要求、それが動く環境、および/または設計者/プログラマーの所望などに依存していることが当業者によって認識される。
【0012】
本明細書で用いられるとき、「呼吸サイクル」は、空気が肺に吸い込まれ、そして/または肺から吐き出される任意の状態またはそれら状態の組み合わせを含む。例えば、第1の呼吸状態は、肺に空気を引くことに関連し得、そして第2の呼吸状態は、肺から空気を吐き出すことに関連し得る。さらに、呼吸状態は、1つ以上のサブ状態を有し得る。例えば、吸息の開始は、呼吸状態であり得、そして吸息の終わりは、別の呼吸状態であり得、それらの間の範囲は、1つ以上の呼吸状態を規定する。同様に、呼息の開始または終わり、およびそれらの間の範囲はまた、1つ以上の呼吸状態によって規定され得る。
【0013】
本明細書に記載されるシステムおよび方法は、自然に呼吸する患者の呼吸を支援するために特に適しているけれども、それらはまた、例えば、急性およびホームケア換気を含むその他の呼吸養生法に適用可能である。ここで、図1を参照して、システムの1つの実施形態を示すブロック図100が示される。このシステムは、制御ロジック104を備えたコントローラー、ブロア106、2方向ステッパモーターおよび圧力センサー112を備えた可変位置ポペットバルブ108を有する。流れ経路110は、バルブ108から患者インターフェース114まで呼吸可能なガスの流れのための経路を提供する。患者インターフェース114は、任意の鼻マスク、顔マスク、カニューレ、または同様のデバイスであり得る。圧力センサー112は、流れ経路110中の圧力のような呼吸ガスのパラメータを感知し、それは患者インターフェース114中の圧力と関連し、そしてその指標である。このコントローラー102は、好ましくは、プロセッサーを基礎とし、そしてアナログ−デジタル(A/D)入力およびデジタル−アナログ(D/A)出力を含む種々の入力/出力回路を含み得る。コントローラー102は、バルブ位置データ116をバルブ108に送ってその位置を制御し、そしてセンサー112は、圧力データ118を読まれるべきコントローラー102に戻して送る。
【0014】
バルブステップ位置は、好ましくは、ステッパモーター仕様によって規定され、そして1ステップまたは全体ステップより小さい複数のステップ位置を含み得る。一般に、このバルブステップ位置は、任意の負の数から任意の正の数までの範囲であり得る。1つの好ましいバルブステップ位置は0〜100を含む範囲であり、ここでステップ位置0は、完全に閉鎖したバルブ位置と関連し、そしてステップ100は完全に開いたバルブ位置と関連する。従って、所定のブロア速度およびバルブ形態について、各バルブステップ位置が、ほぼ圧力変化に等価であるように決定され得る(例えば、バルブステップ位置は、0.2cmH2Oの圧力変化に等しい。)
図1の実施形態は、可変位置バルブ108の形態である流れ/圧力制御要素を参照して説明されているが、流れ/圧力制御およびセンサー要素は、その他のタイプのデバイスを含み得る。例えば、この流れ/圧力制御要素は、可変速度ブロア、線形バルブまたはソレノイドバルブと組み合わせた可変速度ブロア、ステッパモーター制御された可変位置バルブと組み合わせた可変速度ブロア、線形バルブまたはソレノイドバルブおよびステッパモーター制御された可変位置バルブと組み合わせた可変速度ブロア、またはこれら構成要素の任意のその他の適切な組み合わせであり得る。センサー要素は、流れセンサー、温度センサー、赤外光エミッタ/センサー、モーター電流センサー、または単独もしくは圧力センサーと組み合わせたモーター速度センサーを含み得る。これらセンサーから生成されたデータは、処理のためにコントローラー102にフィードバックされる。
【0015】
ここで、図2を参照して、システムの作動をそこに示されるフローチャートを参照して説明する。本明細書で以後フローチャート中では、矩形の要素は処理ブロックを示し、そしてソフトウェア命令または命令のグループを表す。四辺形の要素は、データ入力/出力処理ブロックを示し、そしてデータの入力または読み取りに関するソフトウェア命令または命令のグループを表す。本明細書中に示され、そして記載されるフロー図は、任意のプログラミング言語の構文を描写するのではない。むしろ、これらフロー図は、当業者が、上記システムの処理を実施するための回路を製作するため、またはソフトウェアを生成するために用い得る機能的情報を示す。ループおよび変数の初期化および一時的変数の使用のような多くの慣用的なプログラム要素は示されていないことを注記しておく。
【0016】
ブロック200では、コントローラー102は、バルブ108を開き、そしてブロア106をその出力で所定の圧力を生成する速度に設定する。この所定の圧力は、コントローラー102のメモリー中に記憶される圧力−速度参照テーブルを経由して、患者について医療的に処方された陽圧に加えて、さらなる圧力、例えば、5cmH2Oにほぼ設定される。5cmH2Oのさらなる圧力が記載されているが、さらなる圧力のないことを含むその他の圧力が同様に選択され得る。医療的に処方された陽圧は、代表的には、周囲圧力を超える圧力である。例えば、この処方された圧力は、4〜20cmH2Oの範囲であり得る。一旦、ブロア106が設定圧力を提供するように設定されると、たとえあったとしても、このデバイスの有効作動の間に変更されることは稀である。それに代わり、コントローラー102は、バルブ108のステップ位置を用い、閉鎖ループおよび開放ループ制御の両方によって出力圧力を調整する。この閉鎖ループ制御は感知圧力の関数であり、そして開放ループ制御は時間の関数である。一緒になって、これらの制御ループは、患者の呼吸サイクルを通じて上記システムの作動を行う。上記閉鎖ループおよび開放ループはまた、例えば、瞬間および平均流速、患者インターフェース中のガスの温度、および/または患者インターフェース中のガスの組成(例えば、CO2)に基づき得ることもまた注目すべきである。
【0017】
ブロック202では、次の処理のために圧力が読み取られそして記憶される。ブロック204では、平均バルブステップ位置が決定され、そして維持されるか、またはアップデートされる。ステップ206では、コントローラー102は、圧力低下が感知されたか否かを決定する。これは、好ましくは、現在感知された圧力を直前に感知された圧力と比較することにより達成される。現在感知された圧力がより小さい場合、圧力低下が生じており、そしてフローはブロック208に進行する。ブロック208では、コントローラー102はバルブステップ位置を増分し、この圧力低下を補償する。バルブステップ位置を増分することは、バルブの出力から送達される呼吸ガスの流れおよび圧力を増加する効果を有する。このステップ位置は、感知された圧力間の誤りまたは差異が最小であるまで、反復して変更される。作動のこの相の間に、コントローラー102は、患者の呼息が感知されるまで流れ経路112で一定圧力を維持することを求める。
【0018】
ブロック210では、瞬間バルブ位置と平均バルブ位置との間の差異が経時的に積分され、そしてメモリ中に記憶される。6つのこのような積分値の合計を用いて、この合計が吸息閾値の開始より大きいか否かを決定することにより吸息呼吸状態の開始を決定する(ブロック212および214)。この合計が閾値より大きい場合、吸息呼吸状態の開始が生じ、そしてブロック216でタイマーが吸息呼吸状態の測定を開始する。この測定は、ブロック218でピークのバルブステップ位置が見出されるまで継続する。このピークのバルブステップ位置は、先のバルブステップ位置を現在のバルブステップ位置と比較することにより決定され、そしてより大きいステップ位置をピークのバルブステップ位置としてメモリ中に記録する。このピークバルブステップ位置が特定の時間(例えば、80ms)の間変化しないままである場合、ブロック220で、コントローラー102は、この吸息相でピークのバルブステップ位置が生じたと想定し、そしてこの吸息呼吸状態時間測定を停止する。このピークのバルブステップ位置は、吸息呼吸状態の切迫した終わりの閾値の指標である。
【0019】
ブロック222では、コントローラー102は、圧力信号を読み取ることによって圧力増加が生じたか否かを決定することを試験する。ピークのバルブステップ位置の後に圧力増加が生じた場合、この吸息呼吸状態は切迫して終了しているところである。ブロック224は、バルブステップ位置を減分し、空気流れ経路中の一定圧力を維持するように提供される流れおよび圧力を低下する。これは、ここで再び、それによって、現在感知される圧力と先に感知された圧力との間の誤りが最小である反復プロセスによって達成される。ブロック226は、2つの変数VAR1とVAR2とを比較することにより吸息呼吸状態が終了したか否かを決定することを試験する。
VAR1=(瞬間ステップ位置)−(平均ステップ位置)
VAR2=[(ピークステップ位置)−(平均ステップ位置)]*閾値
変数「閾値」は、例えば、85%または0.85のような%値であるが、その他の%値もまた選択され得る。VAR1がVAR2以下である場合、吸息状態が終了し、そして呼息呼吸状態が開始したか、または開始しようとしている。
【0020】
ブロック228は、送達される圧力を経時的に低下する呼息不負荷機能に従って、呼息呼吸状態の間で最初に送達される圧力が、吸息呼吸状態の間に送達される圧力より小さいように、バルブステップ位置を減分する。圧力は、周囲圧力を含み得る所定の最小圧力が提供されるまで低下される。このより低い圧力は、ブロック230で、例えば、測定された吸息状態時間の2.5倍である呼息時間の間維持される。2.5以外の倍率がまた、この時間の呼息の後に選択され得、ブロック232でこの圧力信号が読み取られ、そしてバルブステップ位置は、圧力負荷機能に従って増分される。この圧力負荷機能は、現在の圧力を読み取り、そして出力圧力を、医療的に処方された陽圧に経時的に戻し、ここで、上記システムは、もう一度吸息呼吸状態の開始を捜す。
【0021】
このようにして、陽圧が、呼吸サイクルの吸息相の間で提供され、患者の吸息を支援し、そしてより低い圧力が呼吸サイクルの呼息相の間で提供され、患者がより低い圧力に対して息を吐き出すことを可能にする。このようなシステムは、患者が任意の感知し得る時間について吸息の間に用いられる同じ圧力に対して息を吐き出すことを要求されないその他のタイプの連続陽性気道圧力送達より所定の心地良さを提供する。
【0022】
ここで図3を参照して、時間の関数としてのバルブステップ位置曲線300および出力圧力曲線302を示すチャートが示される。これら2つの曲線は、圧力とバルブステップ位置との間の同調をより明瞭に示すためにかぶせられている。作動の説明は、ここで、図3の曲線を参照して総説される。
【0023】
状態0の前に、上記システムは、閉鎖ループ制御にあり、そしてその圧力センサーを経由してその出力における圧力を感知している。状態0の前では、圧力変化はほとんどないので、上記システムは、一定の圧力位置を維持しており、これは、一定の出力圧力(好ましくは、医療的に処方された陽圧)を生じる。これは、代表的には、患者呼息の終期に起こり、そこでは、患者によって引き起こされるシステム中の圧力変化はほとんどない。
【0024】
患者が吸息を開始するとき、圧力低下が圧力センサー112によって感知される。この圧力低下は、システムが患者吸息によって引き起こされた圧力低下を補償するために段階的様式でバルブ108をさらに開くようにする。このような吸息の間に、上記システムは、医療的に処方された陽圧に実質的に等価な出力圧力を維持することを試みる。バルブの各ステップ位置は、既知の近似圧力変化(例えば、0.2cmH2O)に等価である。感知された圧力と設定圧力(すなわち、医療的に処方された陽圧)との間の差異は、誤り値を生成し、システムはこれをバルブステップ位置を適切に調節することによって最小にすることを試み、これは、送達される圧力を適正に調節する。
【0025】
状態0は、バルブステップ位置が増加し、そして状態1に至る固定された時間のきっかけとなるときに起こる。この固定された時間の間に、瞬間バルブステップ位置と平均バルブステップ位置との間の差異が6つの時間間隔に亘って積分される。図3は、明瞭さのために3つの間隔のみを示している。これら6つの積分の合計が、閾値の値より大きい場合、そのときは患者の吸息が想定され、そして吸息の時間を測定する吸息タイマーが開始される。
【0026】
この吸息時間測定は、ピークのバルブステップ位置が状態2に到達したときに終了する。このピークのバルブステップ位置は、先のバルブステップ位置と現在のバルブステップ位置と比較することにより決定され、そしてメモリ中により大きいステップ位置をピークのバルブステップ位置として記録する。ピークのバルブステップ位置が所定の時間(例えば、80ms)変化しない場合、そのときは、上記システムは、ピークのバルブステップ位置がこの吸息相について生じたと想定する。
【0027】
状態2の後、システムは、呼息のきっかけを捜す。これは、両方がバルブステップ位置に基づく2つの変数を比較することにより達成される。等式はVAR1およびVAR2として上記で規定されている。VAR1がVAR2以下である場合、そのときは、きっかけが存在し、そしてシステムは状態3に移動する。
【0028】
状態3では、システムは、その出力でより低い圧力を提供するように可変位置を閉鎖する。バルブ108は、バルブステップ位置を例えば位置0に(すなわち閉鎖)または特定のその他の位置に減少することによって(例えば、3ms/ステップの固定された傾斜で)迅速かつ直線的に閉鎖され得る。呼息の有意な部分の間に、システムは、ここで、吸息の間で用いたより低い圧力を提供する。これは、患者が息を吐き出すことをより容易にする。
【0029】
状態3から状態4まで、システムは開放ループ制御にあり、そして圧力または任意のその他のパラメータに基づくバルブステップ位置を変化しない。バルブは、この固定された時間の間そのステップ位置のままである。上記で記載されるように、時間は、先に決定された吸息時間(すなわち、状態1から状態2までの時間)の2.5倍であり得る。これは、システム作動の圧力非負荷部分である。
【0030】
状態4において、呼息時間は終了し、そしてシステムは、圧力がもう一度医療的に処方された陽性圧力に到達するまでその出力に圧力を段階的に付与する。システムは、ここで、その出力において再負荷している。これは、状態4で圧力を感知することによって達成され、これは、主に患者呼息によって引き起こされ、そしてバルブステップ位置をこの圧力に合致するように迅速に変化させる。これ故、呼息のこの相は、患者の呼息圧力に依存している圧力で開始する。状態4から状態5まで、システムは、直線的様式(例えば、40ms/ステップの固定された傾斜で)バルブステップ位置を段階的に変更し、それによって、出力圧力がより高い医療的に処方された陽性圧力にもう一度到達するまで、バルブを段階的に開く。ここで、システムは、上記プロセスが繰り返される次の患者吸息のための準備が整う。
【0031】
図4は、呼息誘因(きっかけ)を基礎にした制御に関する本発明の実施形態を示す。これに関して、この制御は、吸息誘因が提供されないことを除いて上記で説明された制御と同様である。特に、呼吸サイクル時間は、ピークバルブステップ位置の関数として測定される。2つのピークバルブステップ位置の間の時間(状態2)は、呼吸サイクル時間の尺度である。状態3における呼息誘因、状態3から4までの非負荷部分、および状態4から5までの負荷部分は、図3と組み合わせて上記で説明されたのと同じである。非負荷部分(状態3から4)および負荷部分(状態4から5)は、先に呼吸サイクル(単数または複数)の呼吸サイクル時間の%であるように規定される。これらの%は、広範な範囲であり得るが、代表的には、非負荷および負荷部分がともに呼吸サイクル時間の約55%〜約85%であるように選択される。この実施形態の利点は、それがコントローラ102による処理がより少ないことである。
【0032】
図5に示されるのは、患者の呼吸状態を検出し、そして検出された状態に従って送達される圧力を同調するために瞬間および平均バルブステップ位置を用いる本発明の実施形態である。この実施形態では、システムは、閉鎖ループ制御モードにあり、ここでは、圧力を常に感知しており、そしてそれに基づきその出力を調節している。より詳細には、患者が呼吸するとき、平均バルブステップ位置は、吸息のために送達される圧力を高めるために増加し、そしてコントローラ102まで戻って供給される圧力に基づく呼息のための送達される圧力を減少するバルブステップ位置によって確立される。瞬間バルブステップ位置を平均バルブステップ位置と比較することにより、患者の呼吸状態が検出され得る。瞬間バルブステップ位置が平均バルブステップ位置を超えている場合、患者は息を吸っている。瞬間バルブ位置が平均バルブ位置以下である場合、患者は息を吐き出している。未成熟または突飛な誘因を減少するために、平均バルブステップ位置は、吸息検出のその真の値の上、および呼息検出のためのその真の値の下にずらされ得る。
【0033】
図5では、参照502は、正の傾きで平均バルブステップ位置と交差する瞬間バルブステップ位置を示す。これは、患者が息を吸っていることを示している。なぜなら、そのステップ位置を増加しており、患者の吸息によって引き起こされる圧力における低下を補償しているからである。参照504は、負の傾きで平均バルブステップ位置と交差する瞬間バルブステップ位置を示す。これは、患者が息を吐き出していることを示している。なぜなら、そのステップ位置は減少しており、患者の呼息によって引き起こされる圧力における増加を補償しているからである。このような検出に従って、IPAPレベルが吸息の間に付与され得、そしてEPAPレベルが呼息の間に付与され得る。参照506は、次の吸息検出を示す。
【0034】
図6に示されるのは、システム600の形態にある本発明の別の実施形態である。システム600は、変動位置バルブ108が流れ経路110に対して息抜き位置にあることを除いてシステム100と同様である(図1)。また、コントローラー102は、制御ロジック602を含む。この点について、ブロア106による呼吸ガス出力は、流れ経路110内を患者インターフェース114まで辿る。可変位置バルブ108は、それが流れ経路110および患者インターフェース114から呼吸ガスをそらし得るように位置決めされる。バルブ108のステップ位置は、ロジック602によって制御される。図6の実施形態は、可変位置バルブ108の形態にある流れ/圧力制御、および圧力センサー112の形態にあるセンサー要素を参照して説明されているが、この流れ/圧力制御およびセンサー要素は、その他のタイプのデバイスを含み得る。例えば、この流れ/圧力制御要素は、可変速度ブロア、線形バルブまたはソレノイドバルブと組合せた可変速度ブロア、ステッパモーター制御可変位置バルブと組合せた可変速度ブロア、線形バルブまたはソレノイドバルブおよびステッパモーター制御可変位置バルブと組合せた可変速度ブロア、またはこれら構成要素の任意のその他の適切な組み合わせであり得る。上記センサー要素は、流れセンサー、温度センサー、赤外光エミッタ/センサー、モーター電流センサー、またはモーターセンサー単独または圧力センサーと組合せたモーターセンサーを含み得る。これらのセンサー(単数または複数)から生成されたデータは、処理のためにコントローラー102にフィードバックされる。
【0035】
図7A〜Cは、制御ロジックの1つの実施形態を取り扱うフローチャートを示す。ブロック700では、コントローラー102はバルブ108を閉じ、そしてブロア106をその出力において所定の圧力を生成する速度に設定する。この所定の圧力は、コントローラー102のメモリ中に格納されている圧力−速度参照テーブルを経由して、患者について医療的に処方された陽圧プラス付加的な圧力成分にほぼ設定される。この付加的な圧力成分は、設定圧力または特定のその他の値の%であり得る。この付加的な圧力成分は、上記医療的に処方された陽圧が、すべてではないが大部分の患者がシナリオを要求する下で送達され得るように提供される。この医療的に処方された陽圧は、代表的には、周囲圧力を超える圧力である。例えば、この処方された圧力は、4〜20cmH2Oの範囲であり得る。一旦、ブロア106が要求された圧力を提供するように設定されると、デバイスの活性操作の間に変更されることはたとえあったとしても稀である。それに代わって、コントローラー102は、バルブ108のステップ位置を用いて出力圧力を調整する。
【0036】
ブロック702では、圧力が読み取られそして格納される。ブロック704では、上記ロジックが、中央値バルブステップ位置、呼吸速度(図7C)、および上側および下側呼吸速度閾値を決定する。1つの実施形態では、この中央値バルブステップ位置および上側および下側呼吸速度閾値は、以下のように決定され得る:
中央値バルブステップ=(現在*0.0003)+(先*0.9997)
呼吸速度上側閾値=中央値+(中央値*0.1)
呼吸速度下側閾値=中央値−(中央値*0.1)
ここで、「現在」は、現在のバルブステップ位置を意味し、「先」は、先の中央値バルブステップ位置を意味し、そして「中央値」は、中央値バルブステップ位置を意味する。上記ロジックは、最初、上記の値を決定する際に、いくつかの呼吸状態を通じてサイクルし得る。
【0037】
一旦、上側および下側呼吸速度閾値が決定されると、バルブステップ位置が、呼吸速度決定のためにモニターされる。図7Cを参照して、バルブステップ変化の傾きがブロック742で決定される。これは、現在のバルブステップ位置と1つ以上の先のバルブステップ位置とを比較することによって達成され得る。バルブステップ位置の傾きがブロック744で負である場合、ロジックはブロック746に進行する。そうでなければ、ロジックは、ブロック742または704にループして戻り、次のバルブステップが変化するまで処理を継続する。ブロック746では、ロジックは、バルブステップ位置が上側呼吸速度(BR)閾値より下に落ちたか否かを決定するために試験する(図8Bを参照のこと)。そうであれば、ロジックはブロック748まで進行し、そこで、それは、バルブステップ位置が下側呼吸速度(BR)閾値より下に落ちたか否かを決定するために試験する(図8Bを参照のこと)。そうであれば、ロジックはブロック750まで進行し、そこで終了時間が現在の呼吸について記録され、そして開始時間が次の呼吸について記録される。この各呼吸の開始および終了時間に基づき、呼吸速度(例えば、呼吸/分)が次の使用のために算出および格納され得る。
【0038】
図7Aに戻り、ブロック706で、圧力誤りが、設定圧力を圧力センサー112によって読み取られた圧力と比較することにより生成される。ブロック708では、この圧力誤りが用いられてバルブステップ誤りを生成し、これは、以下に従ってであり得る:
V誤り=(P誤り*P)+(D誤り*D)+(S誤り*S)
ここで、「V誤り」はバルブステップ誤り、「P誤り」は圧力誤り、「D誤り」は、現在の圧力誤り算出と先の圧力誤り算出との間の圧力誤りの差異、「S誤り」は圧力誤りの合計、そして「P」、「D」、および「S」は定数である。この「V誤り」等式は、一般に、比例積分微分(以後PID)サーボコントローラーを規定する。一般に、定数「P」、「D」、および「S」は、システムの挙動の経験的研究の後に選択される。さらに、理論値もまた、これら定数について選択され得る。このPIDサーボ制御は、上記ロジックの作動を通じて実質的に動作状態であるが、間欠的な操作もまた、患者の呼吸状態の部分の間で受容可能であり得る。記載されるように、上記ロジックは、PIDコントローラーに対して種々の設定を利用し、システムの性能に対する患者の呼吸特徴の影響が与えられれば、適正な圧力出力を生成する。
【0039】
ブロック710は、バルブステップ誤りがゼロより大きいかまたはゼロに等しいか否かを決定するために試験する。そうであれば、このロジックは、ブロック712まで進行し、そこで、バルブステップ位置は、この誤りを低減することを試みるように1つ以上のステップを増分される。そうでなければ、このロジックは、ブロック714まで進行し、そこで、バルブステップ位置は、試行およびこの誤りを減少するために1つ以上のステップを減分される。このロジックによって採用されるバルブステップ位置は、バルブの動きを制御するステッパモーターの1ステップに等しくても良く、等しくなくても良いことに注目すべきである。例えば、1つのバルブステップは、バルブステッパモーターの半分ステップ移動に等しくても良い。
【0040】
ステップ712または714のいずれかの後、ロジックは、ブロック716まで進行し、そこで、バルブステップは、ピークのバルブステップ位置についてモニターされる。1つの実施形態では、ロジックは、以下に従って吸息閾値を決定する:
吸息閾値=[(ピーク−中央値)*0.5]+中央値
ここで、「ピーク」は、1つ以上の先の呼吸サイクルピークのバルブステップ位置であり、「中央値」は、中央値バルブ位置であり、そして0.5は例示のスケーリング因子である。その他のスケーリング因子が、その他の実施形態で用いられ得る。現在のバルブステップ位置が吸息閾値を超えた後、ロジックは、ピークのバルブステップ位置を決定することを開始する。このピークのバルブステップ位置は、現在のバルブステップ位置を先のバルブステップ位置と比較すること、およびより大きな値を選択することによって決定される。
【0041】
ブロック718では、ロジックは、以下に従って、非負荷閾値を決定する:
非負荷閾値=[(ピーク−中央値)*T]+中央値
ここで、「ピーク」は、1つ以上の先の呼吸サイクルからのピークのバルブステップ位置であり、「中央値」は、中央値バルブステップ位置であり、そして「T」は、決定された1分間あたりの呼吸に基づき参照テーブルから決定される非負荷誘因%である。1分間あたりの呼吸に基づく参照テーブルの1つの例は、以下の表1に示される。
【0042】
【表1−1】
【0043】
【表1−2】
表1では、各「1分間あたりの呼吸」値は、代表的には1に等しいか、または1より小さい値「X」、「Y」および「Z」の形態でそれと関連する、対応する「T(%非負荷)」値を有する。この「T(%非負荷)」値は、任意の所定の「1分間あたりの呼吸」値と同じか、または異なり得、そして中央値バルブステップ位置に対していかに早く非負荷サイクルが開始するのかを決定する。例えば、1に近い「T(%非負荷)」値は、中央値バルブステップ位置からより高く離れるように非負荷閾値を高め得、それ故、バルブステップ位置に対してより早い圧力減少の誘因付けを引き起こす。ゼロ(0)に近い「T(%非負荷)」値は、非負荷閾値を低下し得、それを中央値バルブステップ位置により近くにもたらし、それ故、バルブステップ位置に対して圧力減少をより遅く誘因付けすることを引き起こす。一般に、「1分間あたりの呼吸」値を大きくすると、「T(%非負荷)」値がより大きくなる。1つ以上の「1分間あたりの呼吸」値は、それと関連する同じかまたは異なる「T(%非負荷)」値を有し得る。
【0044】
ブロック720では、ロジックは、バルブステップ位置が非負荷閾値より下に低下したか否かを決定するために試験する。そうでなければ、ロジックは、ブロック702にループして戻り、バルブステップ位置の動作状態のPIDサーボ制御を継続する。そうであれば、ロジックはブロック722まで進行する。ブロック722では、ロジックは、非負荷圧力および圧力減少制御波形および関連する圧力設定を決定する。また、減少タイマーが設定される。1つの実施形態では、非負荷圧力は以下のように決定される:
非負荷圧力=P設定−[P設定*((ΔV*Vスケール)/K)*S]
ここで、「P設定」は、医療的に処方された陽圧であり、「ΔV」は、(ピーク−中央値)によって規定されるバルブステップ位置における変化であり、「Vスケール」は、表2(以下)から選択される値であり、そしてP設定に基づき、「K」は定数であり(例えば、3000のような、2000〜4000の範囲にある)そして「S」は1〜3の範囲にあるが、1より小さく、そして3より大きくても良い定数である。ロジックが、特定の操作条件に起因して処方された圧力を単に維持することを所望する場合、この「S」定数は、非負荷圧力が処方された圧力に等しいように0に設定され得る。「Vスケール」は、例えば、表2に示されるような処方された圧力(P設定)に基づき得る。
【0045】
【表2】
表2では、P設定値は、0〜20までの範囲であり、そして医療的に処方された陽圧値の範囲を表す。各P設定値は、システムの先の実験的または理論的モデリングいずれかによって決定され得るそれと関連する対応するVスケール値(「A」、「B」、「C」など)を有する。例えば、システム600が、広範な範囲の患者インターフェース114と働くような形態である場合、患者インターフェース114の各タイプは、P設定の所定の圧力でシステム600の性能におけるわずかな差異を引き起こし得る。これ故、システム性能に対する種々の患者インターフェースの衝撃を理解した後に、V設定値を決定することを選択し得る。一般に、この「Vスケール」値は、表2に示されるように、0〜0.28の範囲であり得るが、その他の実施形態は、この範囲を請え得る。さらに、特定の安全装置が、非負荷圧力が特定レベルを超えて低下することを許容しないように採用され得る。例えば、圧力P設定が4cmH2Oである場合、そのときは、ロジックは、すでに非常に低い医療的に処方された陽圧である設定圧力に起因して任意の圧力非負荷を許容しないかも知れない。しかし、大部分の状況では、この非負荷圧力決定は、医療的に処方された陽圧より少ない値を生じる。
【0046】
さらに、ブロック722では、ロジックは、非負荷圧力設定の下方の圧力設定減少のための制御波形を規定する195圧力設定を決定する。これらの圧力設定は、能動的PIDサーボ制御によって用いられる。1つの実施形態では、この195圧力設定は、圧力減少タイマー(例えば、780ms)よって支配されている。1つの実施形態では、非負荷期間のための制御波形は、下方傾斜部分および保持部分によって規定され得る。この下方傾斜部分は、例えば、10の4ms増分からなる、例えば、40msで、治療的圧力設定から非負荷圧力設定まで圧力設定を連続的に減少する10圧力設定を含み得る。保持部分は圧力設定を、例えば、185の4ms期間からなる、例えば、740msに亘り、非負荷設定に圧力設定を維持する。その他の値が選択され得、そして記載された値は本発明の1つの実施形態を例示することを単に意味することに注目すべきである。感知された圧力を用いて非負荷期間の傾斜および/または保持部分の間の制御波形が再決定または調節され得ることもまた注目すべきである。
【0047】
ブロック724では、バルブステップ位置は、非負荷圧力設定への下方への圧力設定減少のための決定された制御波形の圧力設定に従う感知された圧力を有する試みで調節される。換言すれば、ブロック724は、ブロック706〜714と同じロジックを用いる。なぜなら能動的PIDサーボ制御は、コントロール波形の圧力設定が所望の圧力設定のために用いられるとき、バルブステップ位置を矯正するために用いられるからである。例えば、圧力設定の各々は、能動的PIDサーボ制御によって用いられる圧力誤りを生成するために感知された圧力と比較される「設定圧力」を規定する。
【0048】
ブロック726では、ロジックは、圧力減少タイマー(例えば、780ms)が終了したか否かを決定するために試験する。そうであれば、ロジックは、ブロック732まで進行する。そうでなければ、ロジックは、ブロック728まで進行し、そこで、それは、コントロール波形中の非負荷圧力設定が到達したか否かを決定する。圧力減少タイマーが終了した場合、ロジックは、ブロック732に進行し、そこで、それは、医療的に処方された陽圧まで戻る圧力再負荷を準備する。ブロック728で非負荷圧力設定が到達していない場合、ロジックは、ブロック724までループして戻り、そしてコントロール波形の圧力設定に従ってバルブステップ位置の能動的PIDサーボ制御を継続する。ブロック728で非負荷圧力設定が到達している場合、ロジックは、ブロック730まで進行し、そこで、非負荷圧力設定が、圧力減少タイマーが終了するまでバルブステップ位置の能動的PIDサーボ制御によって維持される。
【0049】
圧力減少タイマーが終了した後、ロジックは、ブロック732を実行し、ここで、それは、圧力増加制御波形および関連する圧力設定を決定する。また、圧力増加タイマーが設定される。1つの実施形態では、ロジックは、例えば、医療的に処方された陽圧(治療的圧力)までの圧力増加のための制御波形を規定する100圧力設定を決定する。この波形は、減少タイマーの終了における圧力設定および医療的に処方された陽圧に基づく。1つの実施形態では、圧力増加タイマーは、400msに設定され得る。1つの実施形態では、負荷期間のための制御波形は、上方傾斜部分によって規定され得る。上方傾斜部分は、非負荷圧力設定から治療的圧力設定での圧力設定を連続的に増加する100圧力設定、例えば、1つの100の4ms増分からなる、例えば、400msを含み得る。別の実施形態では、負荷期間のための制御波形は、上記に記載された非負荷期間のための制御波形に類似の様式で、上方傾斜部分および保持部分によって規定され得る。ここで再び、その-他の値が選択され得、そして記載された値は、本発明の1つの実施形態を示すことを単に意味することが注目されるべきである。感知された圧力は、負荷期間の傾斜および/または保持部分の間の制御波形を再決定または調節するために用いられ得ることに注目すべきである。
【0050】
ブロック734では、バルブステップ位置は、医療的に処方された陽圧設定までの圧力設定増加のための決定された制御波形の圧力設定に従う感知圧力を有することの試みで調節される。換言すれば、ブロック734は、ブロック706〜714および724と同じロジックを用いる。なぜなら、能動的PIDサーボ制御を用いて、制御波形が所望の圧力設定のために用いられるとき、バルブステップ位置を矯正するからである。
【0051】
ブロック736では、ロジックは、圧力増加タイマー(例えば、400ms)が終了したか否かを決定するために試験する。そうであれば、ロジックは、ブロック700まで進行し、そこで、圧力は、医療的に処方された陽圧に設定される。そうでなければ、ロジックは、738まで進行し、そこで、それは、制御波形中の医療的に処方された陽性気道圧力設定(例えば、治療的圧力設定)が到達された否かを決定する。ブロック738でこの治療的に処方された陽圧設定が到達されていない場合、ロジックは、ブロック734にループして戻り、そして制御波形の圧力設定に従って、バルブステップ位置の能動的PIDサーボ制御を継続する。ブロック738で治療的圧力が到達されている場合、ロジックは、ブロック740まで進行し、そこで、この治療的に処方された陽圧設定は、圧力増加タイマーが終了するまでバルブステップ位置の能動的PIDサーボ制御によって維持される。一旦、圧力増加タイマーが終了すると、ロジックは、ブロック700までループして戻り、そしてプロセスは、次の呼吸サイクルを繰り返す。
【0052】
ここで、図8A〜8Cを参照して、図6に示される実施形態について、経時的な肺の流れ、バルブステップ位置、制御圧力および感知された圧力が示される。図8Aは、肺中へのおよび肺からの呼吸ガスの流れを経時的に示す。図8Bは、中央値バルブステップ、上側および下側呼吸速度(BR)閾値、吸息閾値、および非負荷閾値とともにバルブステップ位置を経時的に示す。これらの値および閾値の使用は、図7A〜7Cのロジックを参照して説明されている。図8Cは、圧力設定を決定する制御圧力波形、およびシステムによって感知された圧力を示す。吸息の間、PIDサーボコントローラーは、設定圧力を維持することを試み、これは、患者にとって医療的に処方された陽圧である。これは、バルブステップ位置を患者の要求に起因して変化するようにし、これは、ピークのバルブステップ位置まで増加し、そして次に低減する。この相の間に、ピークのバルブステップ位置はモニターされ、そして中央値バルブステップ位置が算出される。バルブステップ位置が非負荷閾値の下に低下するとき、非負荷圧力が、非負荷圧力まで下方に圧力を減少するために能動的PIDサーボ制御によって用いられる圧力減少制御波形と関連する圧力設定とともに決定される。圧力減少タイマーがまた開始される。感知された圧力が、患者の呼吸特性に起因して減少タイマーの終了の前に非負荷圧力に到達する場合、非負荷圧力が、減少タイマーが終了するまで能動的PIDサーボコントローラーによって維持される。一旦、減少タイマーが終了すると、非負荷圧力に到達したか否かにかかわらず、減少タイマーの終了時感知された圧力および医療的に処方された陽圧に基づき、圧力増加制御波形および関連する圧力設定が決定される。圧力増加制御波形が、能動的PIDサーボコントローラーによって用いられ、増加時間の間に設定治療的圧力まで圧力を戻して上昇させる。能動的PIDサーボコントローラーおよび患者の呼吸特徴の影響のため、圧力は、増加タイマーの終了の前に必要な治療的レベルまで上昇し得る。
【0053】
図9に示されるのは、システム700の形態にある本発明のなお別の実施形態である。システム700は、システム600(図6)と同様である。図9は、周囲空気をブロア106と関連する入力に提供する周囲入力702およびフィルター704を描写する。周囲入力702およびフィルター704は、図1および6の先に記載されたシステム中で意味され、そしてブロア操作に対応する。システム700はまた、可変位置バルブ108によって流れ経路110からそらされる呼吸ガスを受容する非周囲入力704を含む。これ配列は、図6におけるのと異なり、ここでは、可変位置バルブ108は、呼吸ガスをそらすが、それた呼吸ガスをブロア106に戻るように必ずしも向けない。そうでなければ、システム700は、図6、7A〜C、および8A〜Cを参照して上記で説明されるシステム600と同じ様式で作動する。さらに、システム600に関して上記で説明されたオプション、改変、および代替が、それらが呼吸ガスが非周囲入力704まで送達することと相容れない場合を除いて、システム700について等しく適切である。その他の実施形態では、フィルター704とブロア106との間の1つ以上の付加的なフィルターが提供され得る。
【0054】
本発明が、その実施形態の描写によって説明され、そしてこれら実施形態がかなり詳細に説明されているが、このような詳細に添付の請求項の範囲を制限するか、または任意の方法で限定することは本明細書の意図ではない。さらなる利点および改変は、当業者に容易に明りょうである。例えば、バルブステップ位置は、代替、付加または線形機能との組合せとして、非線形機能に従って変更され得る。流れガスの代替または付加的パラメータが、感知され得、バルブステップ位置を調整するための流れセンサーの使用による流速を含む。より詳細には、流れの方向および/または流速における変化(例えば、瞬間および平均)がまた用いられ得る。従って、本発明は、そのより広い局面で、示され、および記載される特定の詳細、代表的な装置、および例示の実施例に制限されない。従って、逸脱が、出願人の一般的な発明概念の思想または範囲から逸脱することなく、このような詳細からなされ得る。
【図面の簡単な説明】
【0055】
本明細書に取り込まれ、そしてその一部を構成する添付の図面において、本発明の実施形態が示され、これらは、上記に与えられる本発明の一般的記載、および以下で与えられる詳細な説明とともに、本発明の原理を例示するために供される。
【図1】図1は、呼吸ガスを送達するためのシステムの1つの実施形態を示す機能的ブロック図である。
【図2】図2は、本発明のシステムの制御プロセスの1つの実施形態を示すフローチャートである。
【図3】図3は、本発明のシステムの1つの実施形態のバルブステップ位置およびマスク圧力を経時的に示すグラフである。
【図4】図4は、本発明のシステムの別の実施形態のバルブステップ位置およびマスク圧力を経時的に示すグラフである。
【図5】図5は、本発明のシステムのなお別の実施形態のバルブステップ位置およびマスク圧力を経時的に示すグラフである。
【図6】図6は、呼吸ガスを送達するためのシステムの別の実施形態である。
【図7A】図7Aは、本発明のシステムの制御プロセスの別の実施形態を示す。
【図7B】図7Bは、本発明のシステムの制御プロセスの別の実施形態を示す。
【図7C】図7Cは、本発明のシステムの制御プロセスの別の実施形態を示す。
【図8】図8A〜Cは、図6に示される本発明のシステムの実施形態の肺の流れ、バルズステップ位置、制御圧力および感知圧力を経時的に示す。
【図9】図9は、呼吸ガスを送達するためのシステムのなお別の実施形態である。
【技術分野】
【0001】
本出願は、2004年6月18日に出願された米国仮特許出願第60/580,845号に基づく優先権を主張している。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、一般に、患者の気道への呼吸ガスの送達に、そしてより詳細には、患者の呼吸サイクルと協調する呼吸ガスの送達に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
閉塞性睡眠無呼吸障害は、上部気道の筋肉の、上部気道がこれら筋肉によって圧潰または閉塞されるようになる点までの弛緩によって引き起こされる気道呼吸障害である。閉塞性睡眠無呼吸は、患者の鼻孔への加圧空気の適用により処置され得ることが知られる。加圧空気の適用は、患者の上部気道中に空気の添え木を形成し、それによってその圧潰または閉塞を防ぐ。
【0004】
閉塞性睡眠無呼吸の処置において、いくつかの公知のCPAP養生法があり、例えば、1レベルCPAPおよび2レベルCPAPを含む。1レベルCPAPは、単一の治療的または医療的に処方されたCPAPレベルの一定の適用を含む。すなわち、全体の呼吸サイクルを通じ、単一の治療的な陽性空気圧が患者に送達される。このような養生法は、閉塞性睡眠無呼吸を処置することにおいて成功するが、いく人かの患者は、息を吐き出すとき不快を経験する。なぜなら、息を吐き出す間に患者の気道に陽性の空気圧が送達されるからである。
【0005】
この不快に応答して、2レベルCPAP養生法が開発された。2レベルCPAPは、吸息の間により高い治療的CPAP、および息を吐き出す間により低い治療的CPAPを送達することを含む。より高い治療的CPAPレベルは、吸息陽性気道圧力または「IPAP」として一般に知られている。より低い治療的CPAPは、呼息陽性気道圧力または「EPAP」として一般に知られている。EPAPはIPAPより低いので、患者は、呼息の間に息を吐き出すためにより少ない労働を行うだけであり、そしてそれ故、1レベルCPAPと比較してより少ない不快を経験する。
【0006】
しかし、2レベルCPAPの開発は、CPAPデバイスの高度化を顕著に増加した。なぜなら、これらデバイスは、患者が息を吸っているとき、および息を吐き出しているときを正確に決定し、そしてそれに対してIPAPおよびEPAPレベルを適正に協調しなければならないからである。1つのアプローチは、患者に送達されている空気の瞬間流速および平均流速を決定し、そして患者が息を吸っているか、または息を吐き出しているかを決定するためにこの2つを比較することである。瞬間流速が平均流速より大きい場合、患者は息を吸っているとみなされる。瞬間流速が平均流速より小さい場合、患者は、息を吐き出しているとみなされる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
CPAPは、閉塞性睡眠無呼吸、および、その他の呼吸関連疾患、例えば、慢性閉塞性肺疾患および呼吸の筋肉および組織に影響する神経−筋肉障害の処置に有用であるが、患者に治療的呼吸ガスを送達するさらなる方法を提供することが高度に所望される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(要約)
1つの局面では、呼吸ガスを提供する方法が提供される。1つの実施形態では、この方法は:a)呼吸ガスの送達に関連する感知パラメータを感知する工程、b)現在の呼吸サイクルの第1の部分の間に、感知パラメータと第1の所定の感知パラメータ値との間の差異に応答して、流れ/圧力制御要素と関連する制御パラメータを変化させる工程、c)この変化させる制御パラメータに少なくとも一部基づき、現在の呼吸サイクルの第1の部分から第2の部分への遷移を決定する工程、d)上記制御パラメータを変化させて、この決定された遷移に少なくとも一部基づき、現在の呼吸サイクルの第2の部分の間の感知パラメータにおいて第1の変化を引き起こす工程、およびe)上記制御パラメータを変化させて、上記第1の所定の感知パラメータ値に少なくとも一部基づき、現在の呼吸サイクルの第3の部分の間の感知パラメータにおける第2の変化を引き起こす工程を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(例示の実施形態の詳細な説明)
種々の実施形態を論議する前に、本開示の全体で用いられるいくつかの例示の用語の定義の総説が適切である。すべての用語の単数形態および複数形態の両方は、各々の意味を意味する。
【0010】
本明細書で用いられるとき、「論理(ロジック)」は、制限されないで、機能(単数および複数)または作用(単数および複数)を実施するため、そして/または、別の構成要素からの機能または作用を引き起こすためのハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアおよび/または各々の組み合わせを含む。例えば、所望される適用または必要性に基づき、論理は、ソフトウェアで制御されるマイクロプロセッサ、適用特異的集積回路(ASIC)のような別個の論理、またはその他のプログラムされた論理デバイスを含み得る。論理はまた、完全にソフトウェアとして具現化され得る。
【0011】
本明細書で用いられるとき、「ソフトウェア」は、制限されないで、コンピュータまたはその他の電子デバイスが、所望の様式で機能、作用、および/または挙動するようにする1つ以上のコンピュータ読み出し可能、および/または実行可能な命令を含む。これらの命令は、動的にリンクされたライブラリーからの別個のアプリケーションまたはコードを含むルーチン、アルゴリズム、モジュールまたはプログラムのような種々の形態で具現化され得る。ソフトウェアはまた、スタンドアローンプログラム、ファンクションコール、サーブレット、アプレット、メモリ中に記憶された命令、オペレーションシステムの一部またはその他のタイプの実行可能な命令のような種々の形態で履行され得る。ソフトウェアの形態は、例えば、所望のアプリケーションの要求、それが動く環境、および/または設計者/プログラマーの所望などに依存していることが当業者によって認識される。
【0012】
本明細書で用いられるとき、「呼吸サイクル」は、空気が肺に吸い込まれ、そして/または肺から吐き出される任意の状態またはそれら状態の組み合わせを含む。例えば、第1の呼吸状態は、肺に空気を引くことに関連し得、そして第2の呼吸状態は、肺から空気を吐き出すことに関連し得る。さらに、呼吸状態は、1つ以上のサブ状態を有し得る。例えば、吸息の開始は、呼吸状態であり得、そして吸息の終わりは、別の呼吸状態であり得、それらの間の範囲は、1つ以上の呼吸状態を規定する。同様に、呼息の開始または終わり、およびそれらの間の範囲はまた、1つ以上の呼吸状態によって規定され得る。
【0013】
本明細書に記載されるシステムおよび方法は、自然に呼吸する患者の呼吸を支援するために特に適しているけれども、それらはまた、例えば、急性およびホームケア換気を含むその他の呼吸養生法に適用可能である。ここで、図1を参照して、システムの1つの実施形態を示すブロック図100が示される。このシステムは、制御ロジック104を備えたコントローラー、ブロア106、2方向ステッパモーターおよび圧力センサー112を備えた可変位置ポペットバルブ108を有する。流れ経路110は、バルブ108から患者インターフェース114まで呼吸可能なガスの流れのための経路を提供する。患者インターフェース114は、任意の鼻マスク、顔マスク、カニューレ、または同様のデバイスであり得る。圧力センサー112は、流れ経路110中の圧力のような呼吸ガスのパラメータを感知し、それは患者インターフェース114中の圧力と関連し、そしてその指標である。このコントローラー102は、好ましくは、プロセッサーを基礎とし、そしてアナログ−デジタル(A/D)入力およびデジタル−アナログ(D/A)出力を含む種々の入力/出力回路を含み得る。コントローラー102は、バルブ位置データ116をバルブ108に送ってその位置を制御し、そしてセンサー112は、圧力データ118を読まれるべきコントローラー102に戻して送る。
【0014】
バルブステップ位置は、好ましくは、ステッパモーター仕様によって規定され、そして1ステップまたは全体ステップより小さい複数のステップ位置を含み得る。一般に、このバルブステップ位置は、任意の負の数から任意の正の数までの範囲であり得る。1つの好ましいバルブステップ位置は0〜100を含む範囲であり、ここでステップ位置0は、完全に閉鎖したバルブ位置と関連し、そしてステップ100は完全に開いたバルブ位置と関連する。従って、所定のブロア速度およびバルブ形態について、各バルブステップ位置が、ほぼ圧力変化に等価であるように決定され得る(例えば、バルブステップ位置は、0.2cmH2Oの圧力変化に等しい。)
図1の実施形態は、可変位置バルブ108の形態である流れ/圧力制御要素を参照して説明されているが、流れ/圧力制御およびセンサー要素は、その他のタイプのデバイスを含み得る。例えば、この流れ/圧力制御要素は、可変速度ブロア、線形バルブまたはソレノイドバルブと組み合わせた可変速度ブロア、ステッパモーター制御された可変位置バルブと組み合わせた可変速度ブロア、線形バルブまたはソレノイドバルブおよびステッパモーター制御された可変位置バルブと組み合わせた可変速度ブロア、またはこれら構成要素の任意のその他の適切な組み合わせであり得る。センサー要素は、流れセンサー、温度センサー、赤外光エミッタ/センサー、モーター電流センサー、または単独もしくは圧力センサーと組み合わせたモーター速度センサーを含み得る。これらセンサーから生成されたデータは、処理のためにコントローラー102にフィードバックされる。
【0015】
ここで、図2を参照して、システムの作動をそこに示されるフローチャートを参照して説明する。本明細書で以後フローチャート中では、矩形の要素は処理ブロックを示し、そしてソフトウェア命令または命令のグループを表す。四辺形の要素は、データ入力/出力処理ブロックを示し、そしてデータの入力または読み取りに関するソフトウェア命令または命令のグループを表す。本明細書中に示され、そして記載されるフロー図は、任意のプログラミング言語の構文を描写するのではない。むしろ、これらフロー図は、当業者が、上記システムの処理を実施するための回路を製作するため、またはソフトウェアを生成するために用い得る機能的情報を示す。ループおよび変数の初期化および一時的変数の使用のような多くの慣用的なプログラム要素は示されていないことを注記しておく。
【0016】
ブロック200では、コントローラー102は、バルブ108を開き、そしてブロア106をその出力で所定の圧力を生成する速度に設定する。この所定の圧力は、コントローラー102のメモリー中に記憶される圧力−速度参照テーブルを経由して、患者について医療的に処方された陽圧に加えて、さらなる圧力、例えば、5cmH2Oにほぼ設定される。5cmH2Oのさらなる圧力が記載されているが、さらなる圧力のないことを含むその他の圧力が同様に選択され得る。医療的に処方された陽圧は、代表的には、周囲圧力を超える圧力である。例えば、この処方された圧力は、4〜20cmH2Oの範囲であり得る。一旦、ブロア106が設定圧力を提供するように設定されると、たとえあったとしても、このデバイスの有効作動の間に変更されることは稀である。それに代わり、コントローラー102は、バルブ108のステップ位置を用い、閉鎖ループおよび開放ループ制御の両方によって出力圧力を調整する。この閉鎖ループ制御は感知圧力の関数であり、そして開放ループ制御は時間の関数である。一緒になって、これらの制御ループは、患者の呼吸サイクルを通じて上記システムの作動を行う。上記閉鎖ループおよび開放ループはまた、例えば、瞬間および平均流速、患者インターフェース中のガスの温度、および/または患者インターフェース中のガスの組成(例えば、CO2)に基づき得ることもまた注目すべきである。
【0017】
ブロック202では、次の処理のために圧力が読み取られそして記憶される。ブロック204では、平均バルブステップ位置が決定され、そして維持されるか、またはアップデートされる。ステップ206では、コントローラー102は、圧力低下が感知されたか否かを決定する。これは、好ましくは、現在感知された圧力を直前に感知された圧力と比較することにより達成される。現在感知された圧力がより小さい場合、圧力低下が生じており、そしてフローはブロック208に進行する。ブロック208では、コントローラー102はバルブステップ位置を増分し、この圧力低下を補償する。バルブステップ位置を増分することは、バルブの出力から送達される呼吸ガスの流れおよび圧力を増加する効果を有する。このステップ位置は、感知された圧力間の誤りまたは差異が最小であるまで、反復して変更される。作動のこの相の間に、コントローラー102は、患者の呼息が感知されるまで流れ経路112で一定圧力を維持することを求める。
【0018】
ブロック210では、瞬間バルブ位置と平均バルブ位置との間の差異が経時的に積分され、そしてメモリ中に記憶される。6つのこのような積分値の合計を用いて、この合計が吸息閾値の開始より大きいか否かを決定することにより吸息呼吸状態の開始を決定する(ブロック212および214)。この合計が閾値より大きい場合、吸息呼吸状態の開始が生じ、そしてブロック216でタイマーが吸息呼吸状態の測定を開始する。この測定は、ブロック218でピークのバルブステップ位置が見出されるまで継続する。このピークのバルブステップ位置は、先のバルブステップ位置を現在のバルブステップ位置と比較することにより決定され、そしてより大きいステップ位置をピークのバルブステップ位置としてメモリ中に記録する。このピークバルブステップ位置が特定の時間(例えば、80ms)の間変化しないままである場合、ブロック220で、コントローラー102は、この吸息相でピークのバルブステップ位置が生じたと想定し、そしてこの吸息呼吸状態時間測定を停止する。このピークのバルブステップ位置は、吸息呼吸状態の切迫した終わりの閾値の指標である。
【0019】
ブロック222では、コントローラー102は、圧力信号を読み取ることによって圧力増加が生じたか否かを決定することを試験する。ピークのバルブステップ位置の後に圧力増加が生じた場合、この吸息呼吸状態は切迫して終了しているところである。ブロック224は、バルブステップ位置を減分し、空気流れ経路中の一定圧力を維持するように提供される流れおよび圧力を低下する。これは、ここで再び、それによって、現在感知される圧力と先に感知された圧力との間の誤りが最小である反復プロセスによって達成される。ブロック226は、2つの変数VAR1とVAR2とを比較することにより吸息呼吸状態が終了したか否かを決定することを試験する。
VAR1=(瞬間ステップ位置)−(平均ステップ位置)
VAR2=[(ピークステップ位置)−(平均ステップ位置)]*閾値
変数「閾値」は、例えば、85%または0.85のような%値であるが、その他の%値もまた選択され得る。VAR1がVAR2以下である場合、吸息状態が終了し、そして呼息呼吸状態が開始したか、または開始しようとしている。
【0020】
ブロック228は、送達される圧力を経時的に低下する呼息不負荷機能に従って、呼息呼吸状態の間で最初に送達される圧力が、吸息呼吸状態の間に送達される圧力より小さいように、バルブステップ位置を減分する。圧力は、周囲圧力を含み得る所定の最小圧力が提供されるまで低下される。このより低い圧力は、ブロック230で、例えば、測定された吸息状態時間の2.5倍である呼息時間の間維持される。2.5以外の倍率がまた、この時間の呼息の後に選択され得、ブロック232でこの圧力信号が読み取られ、そしてバルブステップ位置は、圧力負荷機能に従って増分される。この圧力負荷機能は、現在の圧力を読み取り、そして出力圧力を、医療的に処方された陽圧に経時的に戻し、ここで、上記システムは、もう一度吸息呼吸状態の開始を捜す。
【0021】
このようにして、陽圧が、呼吸サイクルの吸息相の間で提供され、患者の吸息を支援し、そしてより低い圧力が呼吸サイクルの呼息相の間で提供され、患者がより低い圧力に対して息を吐き出すことを可能にする。このようなシステムは、患者が任意の感知し得る時間について吸息の間に用いられる同じ圧力に対して息を吐き出すことを要求されないその他のタイプの連続陽性気道圧力送達より所定の心地良さを提供する。
【0022】
ここで図3を参照して、時間の関数としてのバルブステップ位置曲線300および出力圧力曲線302を示すチャートが示される。これら2つの曲線は、圧力とバルブステップ位置との間の同調をより明瞭に示すためにかぶせられている。作動の説明は、ここで、図3の曲線を参照して総説される。
【0023】
状態0の前に、上記システムは、閉鎖ループ制御にあり、そしてその圧力センサーを経由してその出力における圧力を感知している。状態0の前では、圧力変化はほとんどないので、上記システムは、一定の圧力位置を維持しており、これは、一定の出力圧力(好ましくは、医療的に処方された陽圧)を生じる。これは、代表的には、患者呼息の終期に起こり、そこでは、患者によって引き起こされるシステム中の圧力変化はほとんどない。
【0024】
患者が吸息を開始するとき、圧力低下が圧力センサー112によって感知される。この圧力低下は、システムが患者吸息によって引き起こされた圧力低下を補償するために段階的様式でバルブ108をさらに開くようにする。このような吸息の間に、上記システムは、医療的に処方された陽圧に実質的に等価な出力圧力を維持することを試みる。バルブの各ステップ位置は、既知の近似圧力変化(例えば、0.2cmH2O)に等価である。感知された圧力と設定圧力(すなわち、医療的に処方された陽圧)との間の差異は、誤り値を生成し、システムはこれをバルブステップ位置を適切に調節することによって最小にすることを試み、これは、送達される圧力を適正に調節する。
【0025】
状態0は、バルブステップ位置が増加し、そして状態1に至る固定された時間のきっかけとなるときに起こる。この固定された時間の間に、瞬間バルブステップ位置と平均バルブステップ位置との間の差異が6つの時間間隔に亘って積分される。図3は、明瞭さのために3つの間隔のみを示している。これら6つの積分の合計が、閾値の値より大きい場合、そのときは患者の吸息が想定され、そして吸息の時間を測定する吸息タイマーが開始される。
【0026】
この吸息時間測定は、ピークのバルブステップ位置が状態2に到達したときに終了する。このピークのバルブステップ位置は、先のバルブステップ位置と現在のバルブステップ位置と比較することにより決定され、そしてメモリ中により大きいステップ位置をピークのバルブステップ位置として記録する。ピークのバルブステップ位置が所定の時間(例えば、80ms)変化しない場合、そのときは、上記システムは、ピークのバルブステップ位置がこの吸息相について生じたと想定する。
【0027】
状態2の後、システムは、呼息のきっかけを捜す。これは、両方がバルブステップ位置に基づく2つの変数を比較することにより達成される。等式はVAR1およびVAR2として上記で規定されている。VAR1がVAR2以下である場合、そのときは、きっかけが存在し、そしてシステムは状態3に移動する。
【0028】
状態3では、システムは、その出力でより低い圧力を提供するように可変位置を閉鎖する。バルブ108は、バルブステップ位置を例えば位置0に(すなわち閉鎖)または特定のその他の位置に減少することによって(例えば、3ms/ステップの固定された傾斜で)迅速かつ直線的に閉鎖され得る。呼息の有意な部分の間に、システムは、ここで、吸息の間で用いたより低い圧力を提供する。これは、患者が息を吐き出すことをより容易にする。
【0029】
状態3から状態4まで、システムは開放ループ制御にあり、そして圧力または任意のその他のパラメータに基づくバルブステップ位置を変化しない。バルブは、この固定された時間の間そのステップ位置のままである。上記で記載されるように、時間は、先に決定された吸息時間(すなわち、状態1から状態2までの時間)の2.5倍であり得る。これは、システム作動の圧力非負荷部分である。
【0030】
状態4において、呼息時間は終了し、そしてシステムは、圧力がもう一度医療的に処方された陽性圧力に到達するまでその出力に圧力を段階的に付与する。システムは、ここで、その出力において再負荷している。これは、状態4で圧力を感知することによって達成され、これは、主に患者呼息によって引き起こされ、そしてバルブステップ位置をこの圧力に合致するように迅速に変化させる。これ故、呼息のこの相は、患者の呼息圧力に依存している圧力で開始する。状態4から状態5まで、システムは、直線的様式(例えば、40ms/ステップの固定された傾斜で)バルブステップ位置を段階的に変更し、それによって、出力圧力がより高い医療的に処方された陽性圧力にもう一度到達するまで、バルブを段階的に開く。ここで、システムは、上記プロセスが繰り返される次の患者吸息のための準備が整う。
【0031】
図4は、呼息誘因(きっかけ)を基礎にした制御に関する本発明の実施形態を示す。これに関して、この制御は、吸息誘因が提供されないことを除いて上記で説明された制御と同様である。特に、呼吸サイクル時間は、ピークバルブステップ位置の関数として測定される。2つのピークバルブステップ位置の間の時間(状態2)は、呼吸サイクル時間の尺度である。状態3における呼息誘因、状態3から4までの非負荷部分、および状態4から5までの負荷部分は、図3と組み合わせて上記で説明されたのと同じである。非負荷部分(状態3から4)および負荷部分(状態4から5)は、先に呼吸サイクル(単数または複数)の呼吸サイクル時間の%であるように規定される。これらの%は、広範な範囲であり得るが、代表的には、非負荷および負荷部分がともに呼吸サイクル時間の約55%〜約85%であるように選択される。この実施形態の利点は、それがコントローラ102による処理がより少ないことである。
【0032】
図5に示されるのは、患者の呼吸状態を検出し、そして検出された状態に従って送達される圧力を同調するために瞬間および平均バルブステップ位置を用いる本発明の実施形態である。この実施形態では、システムは、閉鎖ループ制御モードにあり、ここでは、圧力を常に感知しており、そしてそれに基づきその出力を調節している。より詳細には、患者が呼吸するとき、平均バルブステップ位置は、吸息のために送達される圧力を高めるために増加し、そしてコントローラ102まで戻って供給される圧力に基づく呼息のための送達される圧力を減少するバルブステップ位置によって確立される。瞬間バルブステップ位置を平均バルブステップ位置と比較することにより、患者の呼吸状態が検出され得る。瞬間バルブステップ位置が平均バルブステップ位置を超えている場合、患者は息を吸っている。瞬間バルブ位置が平均バルブ位置以下である場合、患者は息を吐き出している。未成熟または突飛な誘因を減少するために、平均バルブステップ位置は、吸息検出のその真の値の上、および呼息検出のためのその真の値の下にずらされ得る。
【0033】
図5では、参照502は、正の傾きで平均バルブステップ位置と交差する瞬間バルブステップ位置を示す。これは、患者が息を吸っていることを示している。なぜなら、そのステップ位置を増加しており、患者の吸息によって引き起こされる圧力における低下を補償しているからである。参照504は、負の傾きで平均バルブステップ位置と交差する瞬間バルブステップ位置を示す。これは、患者が息を吐き出していることを示している。なぜなら、そのステップ位置は減少しており、患者の呼息によって引き起こされる圧力における増加を補償しているからである。このような検出に従って、IPAPレベルが吸息の間に付与され得、そしてEPAPレベルが呼息の間に付与され得る。参照506は、次の吸息検出を示す。
【0034】
図6に示されるのは、システム600の形態にある本発明の別の実施形態である。システム600は、変動位置バルブ108が流れ経路110に対して息抜き位置にあることを除いてシステム100と同様である(図1)。また、コントローラー102は、制御ロジック602を含む。この点について、ブロア106による呼吸ガス出力は、流れ経路110内を患者インターフェース114まで辿る。可変位置バルブ108は、それが流れ経路110および患者インターフェース114から呼吸ガスをそらし得るように位置決めされる。バルブ108のステップ位置は、ロジック602によって制御される。図6の実施形態は、可変位置バルブ108の形態にある流れ/圧力制御、および圧力センサー112の形態にあるセンサー要素を参照して説明されているが、この流れ/圧力制御およびセンサー要素は、その他のタイプのデバイスを含み得る。例えば、この流れ/圧力制御要素は、可変速度ブロア、線形バルブまたはソレノイドバルブと組合せた可変速度ブロア、ステッパモーター制御可変位置バルブと組合せた可変速度ブロア、線形バルブまたはソレノイドバルブおよびステッパモーター制御可変位置バルブと組合せた可変速度ブロア、またはこれら構成要素の任意のその他の適切な組み合わせであり得る。上記センサー要素は、流れセンサー、温度センサー、赤外光エミッタ/センサー、モーター電流センサー、またはモーターセンサー単独または圧力センサーと組合せたモーターセンサーを含み得る。これらのセンサー(単数または複数)から生成されたデータは、処理のためにコントローラー102にフィードバックされる。
【0035】
図7A〜Cは、制御ロジックの1つの実施形態を取り扱うフローチャートを示す。ブロック700では、コントローラー102はバルブ108を閉じ、そしてブロア106をその出力において所定の圧力を生成する速度に設定する。この所定の圧力は、コントローラー102のメモリ中に格納されている圧力−速度参照テーブルを経由して、患者について医療的に処方された陽圧プラス付加的な圧力成分にほぼ設定される。この付加的な圧力成分は、設定圧力または特定のその他の値の%であり得る。この付加的な圧力成分は、上記医療的に処方された陽圧が、すべてではないが大部分の患者がシナリオを要求する下で送達され得るように提供される。この医療的に処方された陽圧は、代表的には、周囲圧力を超える圧力である。例えば、この処方された圧力は、4〜20cmH2Oの範囲であり得る。一旦、ブロア106が要求された圧力を提供するように設定されると、デバイスの活性操作の間に変更されることはたとえあったとしても稀である。それに代わって、コントローラー102は、バルブ108のステップ位置を用いて出力圧力を調整する。
【0036】
ブロック702では、圧力が読み取られそして格納される。ブロック704では、上記ロジックが、中央値バルブステップ位置、呼吸速度(図7C)、および上側および下側呼吸速度閾値を決定する。1つの実施形態では、この中央値バルブステップ位置および上側および下側呼吸速度閾値は、以下のように決定され得る:
中央値バルブステップ=(現在*0.0003)+(先*0.9997)
呼吸速度上側閾値=中央値+(中央値*0.1)
呼吸速度下側閾値=中央値−(中央値*0.1)
ここで、「現在」は、現在のバルブステップ位置を意味し、「先」は、先の中央値バルブステップ位置を意味し、そして「中央値」は、中央値バルブステップ位置を意味する。上記ロジックは、最初、上記の値を決定する際に、いくつかの呼吸状態を通じてサイクルし得る。
【0037】
一旦、上側および下側呼吸速度閾値が決定されると、バルブステップ位置が、呼吸速度決定のためにモニターされる。図7Cを参照して、バルブステップ変化の傾きがブロック742で決定される。これは、現在のバルブステップ位置と1つ以上の先のバルブステップ位置とを比較することによって達成され得る。バルブステップ位置の傾きがブロック744で負である場合、ロジックはブロック746に進行する。そうでなければ、ロジックは、ブロック742または704にループして戻り、次のバルブステップが変化するまで処理を継続する。ブロック746では、ロジックは、バルブステップ位置が上側呼吸速度(BR)閾値より下に落ちたか否かを決定するために試験する(図8Bを参照のこと)。そうであれば、ロジックはブロック748まで進行し、そこで、それは、バルブステップ位置が下側呼吸速度(BR)閾値より下に落ちたか否かを決定するために試験する(図8Bを参照のこと)。そうであれば、ロジックはブロック750まで進行し、そこで終了時間が現在の呼吸について記録され、そして開始時間が次の呼吸について記録される。この各呼吸の開始および終了時間に基づき、呼吸速度(例えば、呼吸/分)が次の使用のために算出および格納され得る。
【0038】
図7Aに戻り、ブロック706で、圧力誤りが、設定圧力を圧力センサー112によって読み取られた圧力と比較することにより生成される。ブロック708では、この圧力誤りが用いられてバルブステップ誤りを生成し、これは、以下に従ってであり得る:
V誤り=(P誤り*P)+(D誤り*D)+(S誤り*S)
ここで、「V誤り」はバルブステップ誤り、「P誤り」は圧力誤り、「D誤り」は、現在の圧力誤り算出と先の圧力誤り算出との間の圧力誤りの差異、「S誤り」は圧力誤りの合計、そして「P」、「D」、および「S」は定数である。この「V誤り」等式は、一般に、比例積分微分(以後PID)サーボコントローラーを規定する。一般に、定数「P」、「D」、および「S」は、システムの挙動の経験的研究の後に選択される。さらに、理論値もまた、これら定数について選択され得る。このPIDサーボ制御は、上記ロジックの作動を通じて実質的に動作状態であるが、間欠的な操作もまた、患者の呼吸状態の部分の間で受容可能であり得る。記載されるように、上記ロジックは、PIDコントローラーに対して種々の設定を利用し、システムの性能に対する患者の呼吸特徴の影響が与えられれば、適正な圧力出力を生成する。
【0039】
ブロック710は、バルブステップ誤りがゼロより大きいかまたはゼロに等しいか否かを決定するために試験する。そうであれば、このロジックは、ブロック712まで進行し、そこで、バルブステップ位置は、この誤りを低減することを試みるように1つ以上のステップを増分される。そうでなければ、このロジックは、ブロック714まで進行し、そこで、バルブステップ位置は、試行およびこの誤りを減少するために1つ以上のステップを減分される。このロジックによって採用されるバルブステップ位置は、バルブの動きを制御するステッパモーターの1ステップに等しくても良く、等しくなくても良いことに注目すべきである。例えば、1つのバルブステップは、バルブステッパモーターの半分ステップ移動に等しくても良い。
【0040】
ステップ712または714のいずれかの後、ロジックは、ブロック716まで進行し、そこで、バルブステップは、ピークのバルブステップ位置についてモニターされる。1つの実施形態では、ロジックは、以下に従って吸息閾値を決定する:
吸息閾値=[(ピーク−中央値)*0.5]+中央値
ここで、「ピーク」は、1つ以上の先の呼吸サイクルピークのバルブステップ位置であり、「中央値」は、中央値バルブ位置であり、そして0.5は例示のスケーリング因子である。その他のスケーリング因子が、その他の実施形態で用いられ得る。現在のバルブステップ位置が吸息閾値を超えた後、ロジックは、ピークのバルブステップ位置を決定することを開始する。このピークのバルブステップ位置は、現在のバルブステップ位置を先のバルブステップ位置と比較すること、およびより大きな値を選択することによって決定される。
【0041】
ブロック718では、ロジックは、以下に従って、非負荷閾値を決定する:
非負荷閾値=[(ピーク−中央値)*T]+中央値
ここで、「ピーク」は、1つ以上の先の呼吸サイクルからのピークのバルブステップ位置であり、「中央値」は、中央値バルブステップ位置であり、そして「T」は、決定された1分間あたりの呼吸に基づき参照テーブルから決定される非負荷誘因%である。1分間あたりの呼吸に基づく参照テーブルの1つの例は、以下の表1に示される。
【0042】
【表1−1】
【0043】
【表1−2】
表1では、各「1分間あたりの呼吸」値は、代表的には1に等しいか、または1より小さい値「X」、「Y」および「Z」の形態でそれと関連する、対応する「T(%非負荷)」値を有する。この「T(%非負荷)」値は、任意の所定の「1分間あたりの呼吸」値と同じか、または異なり得、そして中央値バルブステップ位置に対していかに早く非負荷サイクルが開始するのかを決定する。例えば、1に近い「T(%非負荷)」値は、中央値バルブステップ位置からより高く離れるように非負荷閾値を高め得、それ故、バルブステップ位置に対してより早い圧力減少の誘因付けを引き起こす。ゼロ(0)に近い「T(%非負荷)」値は、非負荷閾値を低下し得、それを中央値バルブステップ位置により近くにもたらし、それ故、バルブステップ位置に対して圧力減少をより遅く誘因付けすることを引き起こす。一般に、「1分間あたりの呼吸」値を大きくすると、「T(%非負荷)」値がより大きくなる。1つ以上の「1分間あたりの呼吸」値は、それと関連する同じかまたは異なる「T(%非負荷)」値を有し得る。
【0044】
ブロック720では、ロジックは、バルブステップ位置が非負荷閾値より下に低下したか否かを決定するために試験する。そうでなければ、ロジックは、ブロック702にループして戻り、バルブステップ位置の動作状態のPIDサーボ制御を継続する。そうであれば、ロジックはブロック722まで進行する。ブロック722では、ロジックは、非負荷圧力および圧力減少制御波形および関連する圧力設定を決定する。また、減少タイマーが設定される。1つの実施形態では、非負荷圧力は以下のように決定される:
非負荷圧力=P設定−[P設定*((ΔV*Vスケール)/K)*S]
ここで、「P設定」は、医療的に処方された陽圧であり、「ΔV」は、(ピーク−中央値)によって規定されるバルブステップ位置における変化であり、「Vスケール」は、表2(以下)から選択される値であり、そしてP設定に基づき、「K」は定数であり(例えば、3000のような、2000〜4000の範囲にある)そして「S」は1〜3の範囲にあるが、1より小さく、そして3より大きくても良い定数である。ロジックが、特定の操作条件に起因して処方された圧力を単に維持することを所望する場合、この「S」定数は、非負荷圧力が処方された圧力に等しいように0に設定され得る。「Vスケール」は、例えば、表2に示されるような処方された圧力(P設定)に基づき得る。
【0045】
【表2】
表2では、P設定値は、0〜20までの範囲であり、そして医療的に処方された陽圧値の範囲を表す。各P設定値は、システムの先の実験的または理論的モデリングいずれかによって決定され得るそれと関連する対応するVスケール値(「A」、「B」、「C」など)を有する。例えば、システム600が、広範な範囲の患者インターフェース114と働くような形態である場合、患者インターフェース114の各タイプは、P設定の所定の圧力でシステム600の性能におけるわずかな差異を引き起こし得る。これ故、システム性能に対する種々の患者インターフェースの衝撃を理解した後に、V設定値を決定することを選択し得る。一般に、この「Vスケール」値は、表2に示されるように、0〜0.28の範囲であり得るが、その他の実施形態は、この範囲を請え得る。さらに、特定の安全装置が、非負荷圧力が特定レベルを超えて低下することを許容しないように採用され得る。例えば、圧力P設定が4cmH2Oである場合、そのときは、ロジックは、すでに非常に低い医療的に処方された陽圧である設定圧力に起因して任意の圧力非負荷を許容しないかも知れない。しかし、大部分の状況では、この非負荷圧力決定は、医療的に処方された陽圧より少ない値を生じる。
【0046】
さらに、ブロック722では、ロジックは、非負荷圧力設定の下方の圧力設定減少のための制御波形を規定する195圧力設定を決定する。これらの圧力設定は、能動的PIDサーボ制御によって用いられる。1つの実施形態では、この195圧力設定は、圧力減少タイマー(例えば、780ms)よって支配されている。1つの実施形態では、非負荷期間のための制御波形は、下方傾斜部分および保持部分によって規定され得る。この下方傾斜部分は、例えば、10の4ms増分からなる、例えば、40msで、治療的圧力設定から非負荷圧力設定まで圧力設定を連続的に減少する10圧力設定を含み得る。保持部分は圧力設定を、例えば、185の4ms期間からなる、例えば、740msに亘り、非負荷設定に圧力設定を維持する。その他の値が選択され得、そして記載された値は本発明の1つの実施形態を例示することを単に意味することに注目すべきである。感知された圧力を用いて非負荷期間の傾斜および/または保持部分の間の制御波形が再決定または調節され得ることもまた注目すべきである。
【0047】
ブロック724では、バルブステップ位置は、非負荷圧力設定への下方への圧力設定減少のための決定された制御波形の圧力設定に従う感知された圧力を有する試みで調節される。換言すれば、ブロック724は、ブロック706〜714と同じロジックを用いる。なぜなら能動的PIDサーボ制御は、コントロール波形の圧力設定が所望の圧力設定のために用いられるとき、バルブステップ位置を矯正するために用いられるからである。例えば、圧力設定の各々は、能動的PIDサーボ制御によって用いられる圧力誤りを生成するために感知された圧力と比較される「設定圧力」を規定する。
【0048】
ブロック726では、ロジックは、圧力減少タイマー(例えば、780ms)が終了したか否かを決定するために試験する。そうであれば、ロジックは、ブロック732まで進行する。そうでなければ、ロジックは、ブロック728まで進行し、そこで、それは、コントロール波形中の非負荷圧力設定が到達したか否かを決定する。圧力減少タイマーが終了した場合、ロジックは、ブロック732に進行し、そこで、それは、医療的に処方された陽圧まで戻る圧力再負荷を準備する。ブロック728で非負荷圧力設定が到達していない場合、ロジックは、ブロック724までループして戻り、そしてコントロール波形の圧力設定に従ってバルブステップ位置の能動的PIDサーボ制御を継続する。ブロック728で非負荷圧力設定が到達している場合、ロジックは、ブロック730まで進行し、そこで、非負荷圧力設定が、圧力減少タイマーが終了するまでバルブステップ位置の能動的PIDサーボ制御によって維持される。
【0049】
圧力減少タイマーが終了した後、ロジックは、ブロック732を実行し、ここで、それは、圧力増加制御波形および関連する圧力設定を決定する。また、圧力増加タイマーが設定される。1つの実施形態では、ロジックは、例えば、医療的に処方された陽圧(治療的圧力)までの圧力増加のための制御波形を規定する100圧力設定を決定する。この波形は、減少タイマーの終了における圧力設定および医療的に処方された陽圧に基づく。1つの実施形態では、圧力増加タイマーは、400msに設定され得る。1つの実施形態では、負荷期間のための制御波形は、上方傾斜部分によって規定され得る。上方傾斜部分は、非負荷圧力設定から治療的圧力設定での圧力設定を連続的に増加する100圧力設定、例えば、1つの100の4ms増分からなる、例えば、400msを含み得る。別の実施形態では、負荷期間のための制御波形は、上記に記載された非負荷期間のための制御波形に類似の様式で、上方傾斜部分および保持部分によって規定され得る。ここで再び、その-他の値が選択され得、そして記載された値は、本発明の1つの実施形態を示すことを単に意味することが注目されるべきである。感知された圧力は、負荷期間の傾斜および/または保持部分の間の制御波形を再決定または調節するために用いられ得ることに注目すべきである。
【0050】
ブロック734では、バルブステップ位置は、医療的に処方された陽圧設定までの圧力設定増加のための決定された制御波形の圧力設定に従う感知圧力を有することの試みで調節される。換言すれば、ブロック734は、ブロック706〜714および724と同じロジックを用いる。なぜなら、能動的PIDサーボ制御を用いて、制御波形が所望の圧力設定のために用いられるとき、バルブステップ位置を矯正するからである。
【0051】
ブロック736では、ロジックは、圧力増加タイマー(例えば、400ms)が終了したか否かを決定するために試験する。そうであれば、ロジックは、ブロック700まで進行し、そこで、圧力は、医療的に処方された陽圧に設定される。そうでなければ、ロジックは、738まで進行し、そこで、それは、制御波形中の医療的に処方された陽性気道圧力設定(例えば、治療的圧力設定)が到達された否かを決定する。ブロック738でこの治療的に処方された陽圧設定が到達されていない場合、ロジックは、ブロック734にループして戻り、そして制御波形の圧力設定に従って、バルブステップ位置の能動的PIDサーボ制御を継続する。ブロック738で治療的圧力が到達されている場合、ロジックは、ブロック740まで進行し、そこで、この治療的に処方された陽圧設定は、圧力増加タイマーが終了するまでバルブステップ位置の能動的PIDサーボ制御によって維持される。一旦、圧力増加タイマーが終了すると、ロジックは、ブロック700までループして戻り、そしてプロセスは、次の呼吸サイクルを繰り返す。
【0052】
ここで、図8A〜8Cを参照して、図6に示される実施形態について、経時的な肺の流れ、バルブステップ位置、制御圧力および感知された圧力が示される。図8Aは、肺中へのおよび肺からの呼吸ガスの流れを経時的に示す。図8Bは、中央値バルブステップ、上側および下側呼吸速度(BR)閾値、吸息閾値、および非負荷閾値とともにバルブステップ位置を経時的に示す。これらの値および閾値の使用は、図7A〜7Cのロジックを参照して説明されている。図8Cは、圧力設定を決定する制御圧力波形、およびシステムによって感知された圧力を示す。吸息の間、PIDサーボコントローラーは、設定圧力を維持することを試み、これは、患者にとって医療的に処方された陽圧である。これは、バルブステップ位置を患者の要求に起因して変化するようにし、これは、ピークのバルブステップ位置まで増加し、そして次に低減する。この相の間に、ピークのバルブステップ位置はモニターされ、そして中央値バルブステップ位置が算出される。バルブステップ位置が非負荷閾値の下に低下するとき、非負荷圧力が、非負荷圧力まで下方に圧力を減少するために能動的PIDサーボ制御によって用いられる圧力減少制御波形と関連する圧力設定とともに決定される。圧力減少タイマーがまた開始される。感知された圧力が、患者の呼吸特性に起因して減少タイマーの終了の前に非負荷圧力に到達する場合、非負荷圧力が、減少タイマーが終了するまで能動的PIDサーボコントローラーによって維持される。一旦、減少タイマーが終了すると、非負荷圧力に到達したか否かにかかわらず、減少タイマーの終了時感知された圧力および医療的に処方された陽圧に基づき、圧力増加制御波形および関連する圧力設定が決定される。圧力増加制御波形が、能動的PIDサーボコントローラーによって用いられ、増加時間の間に設定治療的圧力まで圧力を戻して上昇させる。能動的PIDサーボコントローラーおよび患者の呼吸特徴の影響のため、圧力は、増加タイマーの終了の前に必要な治療的レベルまで上昇し得る。
【0053】
図9に示されるのは、システム700の形態にある本発明のなお別の実施形態である。システム700は、システム600(図6)と同様である。図9は、周囲空気をブロア106と関連する入力に提供する周囲入力702およびフィルター704を描写する。周囲入力702およびフィルター704は、図1および6の先に記載されたシステム中で意味され、そしてブロア操作に対応する。システム700はまた、可変位置バルブ108によって流れ経路110からそらされる呼吸ガスを受容する非周囲入力704を含む。これ配列は、図6におけるのと異なり、ここでは、可変位置バルブ108は、呼吸ガスをそらすが、それた呼吸ガスをブロア106に戻るように必ずしも向けない。そうでなければ、システム700は、図6、7A〜C、および8A〜Cを参照して上記で説明されるシステム600と同じ様式で作動する。さらに、システム600に関して上記で説明されたオプション、改変、および代替が、それらが呼吸ガスが非周囲入力704まで送達することと相容れない場合を除いて、システム700について等しく適切である。その他の実施形態では、フィルター704とブロア106との間の1つ以上の付加的なフィルターが提供され得る。
【0054】
本発明が、その実施形態の描写によって説明され、そしてこれら実施形態がかなり詳細に説明されているが、このような詳細に添付の請求項の範囲を制限するか、または任意の方法で限定することは本明細書の意図ではない。さらなる利点および改変は、当業者に容易に明りょうである。例えば、バルブステップ位置は、代替、付加または線形機能との組合せとして、非線形機能に従って変更され得る。流れガスの代替または付加的パラメータが、感知され得、バルブステップ位置を調整するための流れセンサーの使用による流速を含む。より詳細には、流れの方向および/または流速における変化(例えば、瞬間および平均)がまた用いられ得る。従って、本発明は、そのより広い局面で、示され、および記載される特定の詳細、代表的な装置、および例示の実施例に制限されない。従って、逸脱が、出願人の一般的な発明概念の思想または範囲から逸脱することなく、このような詳細からなされ得る。
【図面の簡単な説明】
【0055】
本明細書に取り込まれ、そしてその一部を構成する添付の図面において、本発明の実施形態が示され、これらは、上記に与えられる本発明の一般的記載、および以下で与えられる詳細な説明とともに、本発明の原理を例示するために供される。
【図1】図1は、呼吸ガスを送達するためのシステムの1つの実施形態を示す機能的ブロック図である。
【図2】図2は、本発明のシステムの制御プロセスの1つの実施形態を示すフローチャートである。
【図3】図3は、本発明のシステムの1つの実施形態のバルブステップ位置およびマスク圧力を経時的に示すグラフである。
【図4】図4は、本発明のシステムの別の実施形態のバルブステップ位置およびマスク圧力を経時的に示すグラフである。
【図5】図5は、本発明のシステムのなお別の実施形態のバルブステップ位置およびマスク圧力を経時的に示すグラフである。
【図6】図6は、呼吸ガスを送達するためのシステムの別の実施形態である。
【図7A】図7Aは、本発明のシステムの制御プロセスの別の実施形態を示す。
【図7B】図7Bは、本発明のシステムの制御プロセスの別の実施形態を示す。
【図7C】図7Cは、本発明のシステムの制御プロセスの別の実施形態を示す。
【図8】図8A〜Cは、図6に示される本発明のシステムの実施形態の肺の流れ、バルズステップ位置、制御圧力および感知圧力を経時的に示す。
【図9】図9は、呼吸ガスを送達するためのシステムのなお別の実施形態である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸ガスを提供する方法であって、
a)呼吸ガスの送達と関連する感知パラメータを感知する工程;
b)現在の呼吸サイクルの第1の部分の間の感知パラメータと第1の所定の感知パラメータ値との間の差異に応答して、流れ/圧力制御要素と関連する制御パラメータを変化させる工程;
c)該変化させるパラメータに少なくとも一部基づき、該現在の呼吸サイクルの該第1の部分から第2の部分までの遷移を決定する工程;
d)該決定された遷移に少なくとも一部基づき、該現在の呼吸サイクルの第2の部分の間の該感知パラメータにおける第1の変化を引き起こすように該制御パラメータを変化させる工程;および
e)該第1の所定の感知パラメータ値に少なくとも一部基づき、該現在の呼吸サイクルの第3の部分の間の該感知パラメータにおける第2の変化を引き起こすように該制御パラメータを変化させる工程、を包含する、方法。
【請求項2】
前記第2のパラメータが、呼吸ガス圧力、呼吸ガス流れ、呼吸ガス温度、または呼吸ガス組成である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記流れ/圧力制御要素が、可変位置バルブを含み、そして前記制御パラメータがバルブステップ位置を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記流れ/圧力制御要素が、可変速度ブロアを含み、そして前記制御パラメータがブロア速度を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記b)における変化させる工程が:
f)前記感知パラメータおよび前記第1の所定の感知パラメータ値に少なくとも一部基づき、バルブステップ誤りを決定すること;および
g)該バルブステップ誤りを最小にするために前記制御パラメータを変化させること、を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記流れ/圧力制御要素が可変位置バルブであり、前記制御パラメータがバルブステップ位置であり、そして前記c)における決定する工程が:
f)非負荷閾値を決定すること;および
g)変化するバルブステップ位置が該非負荷閾値より小さいか否かを決定すること、を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記f)における決定することが:
h)呼吸速度を決定すること;
i)中央値バルブステップ位置を決定すること;
j)1つ以上の先の呼吸サイクルについてピークのバルブステップ位置を決定すること;
k)該決定された呼吸速度に関連する所定の非負荷因子%を同定すること;および
l)該決定された中央値バルブステップ位置に少なくとも一部基づき、非負荷閾値を算出すること、を包含する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記d)における変化させる工程が:
f)第2の所定の感知パラメータ値を決定すること;
g)所定の非負荷時間に減少タイマーを設定すること;
h)前記第1の所定の感知パラメータ値および該第2の所定のパラメータ値に少なくとも一部基づき、前記現在の呼吸サイクルの第2の部分の所定の感知パラメータ値のシークエンスを決定すること;および
i)減少タイマーが終了するまで、該所定の感知パラメータ値のシークエンスに少なくとも部分的に基づき、前記制御パラメータを変化させること、を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記流れ/圧力制御要素が可変位置バルブであり、前記制御パラメータがバルブステップ位置であり、前記第1の所定の感知パラメータ値が処方された圧力であり、前記第2の所定の感知パラメータ値が非負荷圧力であり、そして前記f)における決定する工程が:
j)ピークバルブステップ位置を決定すること;
k)中央値バルブステップ位置を決定すること;
l)第1の中間結果を得るために該ピークバルブステップ位置から該中央値バルブステップ位置を引くことによって圧力オフセットを算出すること、第2の中間結果を得るために第1の定数によって該第1の中間結果を乗算すること、および処方圧力によって該第2の中間結果を乗算すること;および
m)該処方圧力から該圧力オフセットを引くことにより、非負荷圧力を算出すること、を包含する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記e)における変化させる工程が:
f)第2の所定の感知パラメータ値を決定すること;
g)所定の負荷時間に増加タイマーを設定すること;
h)前記第1の所定の感知パラメータ値と該第2の所定の感知パラメータ値に少なくとも一部基づき前記現在の呼吸サイクルの第3の部分の所定の感知パラメータ値のシークエンスを決定すること;および
i)増加タイマーが終了するまで該所定に感知パラメータ値のシークエンスに少なくとも基づき、前記制御パラメータを変化させること、を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項1】
呼吸ガスを提供する方法であって、
a)呼吸ガスの送達と関連する感知パラメータを感知する工程;
b)現在の呼吸サイクルの第1の部分の間の感知パラメータと第1の所定の感知パラメータ値との間の差異に応答して、流れ/圧力制御要素と関連する制御パラメータを変化させる工程;
c)該変化させるパラメータに少なくとも一部基づき、該現在の呼吸サイクルの該第1の部分から第2の部分までの遷移を決定する工程;
d)該決定された遷移に少なくとも一部基づき、該現在の呼吸サイクルの第2の部分の間の該感知パラメータにおける第1の変化を引き起こすように該制御パラメータを変化させる工程;および
e)該第1の所定の感知パラメータ値に少なくとも一部基づき、該現在の呼吸サイクルの第3の部分の間の該感知パラメータにおける第2の変化を引き起こすように該制御パラメータを変化させる工程、を包含する、方法。
【請求項2】
前記第2のパラメータが、呼吸ガス圧力、呼吸ガス流れ、呼吸ガス温度、または呼吸ガス組成である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記流れ/圧力制御要素が、可変位置バルブを含み、そして前記制御パラメータがバルブステップ位置を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記流れ/圧力制御要素が、可変速度ブロアを含み、そして前記制御パラメータがブロア速度を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記b)における変化させる工程が:
f)前記感知パラメータおよび前記第1の所定の感知パラメータ値に少なくとも一部基づき、バルブステップ誤りを決定すること;および
g)該バルブステップ誤りを最小にするために前記制御パラメータを変化させること、を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記流れ/圧力制御要素が可変位置バルブであり、前記制御パラメータがバルブステップ位置であり、そして前記c)における決定する工程が:
f)非負荷閾値を決定すること;および
g)変化するバルブステップ位置が該非負荷閾値より小さいか否かを決定すること、を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記f)における決定することが:
h)呼吸速度を決定すること;
i)中央値バルブステップ位置を決定すること;
j)1つ以上の先の呼吸サイクルについてピークのバルブステップ位置を決定すること;
k)該決定された呼吸速度に関連する所定の非負荷因子%を同定すること;および
l)該決定された中央値バルブステップ位置に少なくとも一部基づき、非負荷閾値を算出すること、を包含する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記d)における変化させる工程が:
f)第2の所定の感知パラメータ値を決定すること;
g)所定の非負荷時間に減少タイマーを設定すること;
h)前記第1の所定の感知パラメータ値および該第2の所定のパラメータ値に少なくとも一部基づき、前記現在の呼吸サイクルの第2の部分の所定の感知パラメータ値のシークエンスを決定すること;および
i)減少タイマーが終了するまで、該所定の感知パラメータ値のシークエンスに少なくとも部分的に基づき、前記制御パラメータを変化させること、を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記流れ/圧力制御要素が可変位置バルブであり、前記制御パラメータがバルブステップ位置であり、前記第1の所定の感知パラメータ値が処方された圧力であり、前記第2の所定の感知パラメータ値が非負荷圧力であり、そして前記f)における決定する工程が:
j)ピークバルブステップ位置を決定すること;
k)中央値バルブステップ位置を決定すること;
l)第1の中間結果を得るために該ピークバルブステップ位置から該中央値バルブステップ位置を引くことによって圧力オフセットを算出すること、第2の中間結果を得るために第1の定数によって該第1の中間結果を乗算すること、および処方圧力によって該第2の中間結果を乗算すること;および
m)該処方圧力から該圧力オフセットを引くことにより、非負荷圧力を算出すること、を包含する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記e)における変化させる工程が:
f)第2の所定の感知パラメータ値を決定すること;
g)所定の負荷時間に増加タイマーを設定すること;
h)前記第1の所定の感知パラメータ値と該第2の所定の感知パラメータ値に少なくとも一部基づき前記現在の呼吸サイクルの第3の部分の所定の感知パラメータ値のシークエンスを決定すること;および
i)増加タイマーが終了するまで該所定に感知パラメータ値のシークエンスに少なくとも基づき、前記制御パラメータを変化させること、を包含する、請求項1に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9】
【公表番号】特表2008−503272(P2008−503272A)
【公表日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−516811(P2007−516811)
【出願日】平成17年6月20日(2005.6.20)
【国際出願番号】PCT/US2005/021638
【国際公開番号】WO2006/009939
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(503351836)インバケア コーポレイション (1)
【公表日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月20日(2005.6.20)
【国際出願番号】PCT/US2005/021638
【国際公開番号】WO2006/009939
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(503351836)インバケア コーポレイション (1)
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