説明

呼吸作動式ドライパウダー吸入器のための空気流アダプタ

呼吸作動式のドライパウダー吸入器のための空気流アダプタ(200)である。空気流アダプタは、基端(201)と先端とを有するコンジット(202)を含み、基端は脱凝集装置の出口ポートからコンジットの先端への流体の交通を許容しており、空気流アダプタはさらに、呼吸に誘起される低圧が空気流アダプタの先端にもたらされた時に、コンジットの空気流とは独立に、アダプタの基端からアダプタの先端へと空気が流れることを許容するための手段(204、205、206、210、211、212)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼吸作動式のドライパウダー吸入器のための空気流アダプタに関する。特に本発明は、呼吸作動式のドライパウダー吸入器の脱凝集装置のための空気流アダプタ;呼吸作動式のドライパウダー吸入器のための脱凝集装置;ドライパウダー薬剤の脱凝集方法;及び、呼吸作動式のドライパウダー吸入器の脱凝集装置の出口ポートを通過する空気流を修正するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
呼吸作動式のドライパウダー吸入器は、薬剤を患者の呼吸器に送達するために使用される。典型的にはこのような吸入器は、ドライパウダー薬剤を収容するための1又は複数の貯蔵容器、吸入のためにドライパウダー薬剤をエアロゾル化するための手段、及び、例えばマウスピースのようなエアロゾル化された薬剤を患者に送達するための手段を有する。典型的には、使用において、ドライパウダー薬剤は貯蔵容器から分配され、続いて、マウスピースで呼吸に誘起される減圧の結果としてエアロゾル化される。エアロゾル化されるとすぐに、通常、薬剤はマウスピースを通って吸入器を離れ、吸入される。
【0003】
公知のドライパウダー薬剤はごく小さな粒子からなり、しばしば、例えばラクトースのようなキャリアを含む組成物として提供される。結果として、ドライパウダー薬剤の不特定の凝集や凝塊が、患者に送達される前にランダムに形成されうる。このように、呼吸作動式のドライパウダー吸入器には、吸入の前に、薬剤又は薬剤とキャリアの凝集体を解砕する手段へのニーズがある。
【0004】
呼吸作動式のドライパウダー吸入器のための脱凝集装置はWO01/97889に開示されている。しかしながら、呼吸作動式のドライパウダー吸入器の流量依存性や、とりわけ、それらが送達する薬剤の送達用量の流量依存性を低減するニーズは継続している。特に、様々な患者のグループが、同じ呼吸作動式のドライパウダー吸入器から実質的に同じ送達薬剤量を受け取ることを確実にすることへのニーズがある。
また、良好な送達薬剤量特性を備えた呼吸作動式のドライパウダー吸入器、特に、脱凝集装置付きのものが求められている。特に、送達薬剤量の均一性が改良された呼吸作動式のドライパウダー吸入器が求められている。
【0005】
これらやまた他の問題は、独立請求項により、呼吸作動式のドライパウダー吸入器ための空気流アダプタ;呼吸作動式のドライパウダー吸入器のための脱凝集装置;呼吸作動式のドライパウダー吸入器におけるドライパウダーの脱凝集方法;また、脱凝集装置の出口ポートを通過する空気流を修正する方法として取り組まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO01/97889号公報
【発明の概要】
【0007】
すなわち、本発明の第一の局面は、呼吸作動式のドライパウダー吸入器の空気流アダプタを提供する。空気流アダプタは、基端と先端とを有するコンジットを含み、コンジットの基端は、脱凝集装置の出口ポートからコンジットの先端への流体の交通を許容している。空気流アダプタはさらに、呼吸に誘起される減圧が空気流アダプタの先端にもたらされる時に、コンジット中の空気流と独立に、アダプタの基端からアダプタの先端へ空気が流れることを許容する手段を含む。
【0008】
驚くべきことに、呼吸に誘起される減圧が空気流アダプタの先端にもたらされた時に、コンジット中の空気流と独立に、アダプタの基端からアダプタの先端へ空気が流れることを許容する手段の付いた空気流アダプタを備えることで、装置の流量依存性が低減することが見出された。
【0009】
特定の理論に拘束されるものではないが、これは、本発明の空気流アダプタは、空気流アダプタの先端において任意の呼吸に誘起される減圧に対する体積流量(すなわち、一秒あたりに空気流アダプタを通過する空気の量)の増加を生じさせる一方で、任意の呼吸に誘起される減圧に対するコンジットを通過する線流速(すなわち、コンジットを通過する空気の速度)を実質的に減少させるためであると考えられている。
この帰結として、空気流アダプタの先端での呼吸に誘起される減圧の増加や減少(すなわち変化)による、コンジットを通過する線流速の変化が少なくなる。つまり、呼吸作動式のドライパウダー吸入器の流量依存性が低減される。
【0010】
さらに驚くべきことに、呼吸に誘起される減圧が空気流アダプタの先端にもたらされる時に、コンジット中の空気流と独立に、アダプタの基端からアダプタの先端へ空気が流れることを許容する手段を備えることで、呼吸作動式のドライパウダー吸入器の薬剤用量送達特性、特に、呼吸作動式のドライパウダー吸入器に送達される薬剤用量の均一性が改良される。
【0011】
上述のとおり、任意の呼吸に誘起される減圧に対するコンジットを通過する直線速が低減されることは特に驚くべきことである。これは、呼吸作動式のドライパウダー吸入器のパフォーマンスを改良するというよりも低減させると予測されうることであった。なぜなら、より高い流量は通常、より良い脱凝集と送達用量とをもたらすと考えられていたからである。
【0012】
特定の理論に拘束されるものではないが、この改善は、使用において、コンジットを離れた薬剤の拡散は、呼吸に誘起される減圧が空気流アダプタの先端にもたらされる時に、コンジット中の空気流と独立に、アダプタの基端からアダプタの先端へ空気が流れることを許容する手段によって形成される二次的な空気流のみによるからだと考えられている。
【0013】
本発明のより好ましい態様では、呼吸に誘起される減圧が空気流アダプタの先端にもたらされる時に、コンジット中の空気流と独立に、アダプタの基端からアダプタの先端へ空気が流れることを許容する手段は、少なくとも1つの第二のコンジットを含む。好ましくは、少なくとも1つの第二のコンジットは、2、3、4、又は6つのコンジットを含む。典型的には、コンジットと少なくとも1つの第二のコンジットとは、実質的に平行、好ましくは平行である。
【0014】
第二のコンジットは複数であることがより好ましい。なぜなら、使用においては、それらはコンジットを離れた薬剤のコントロールを改良し、それゆえより良い送達用量特性を与えるからである。特定の理論に拘束されるものではないが、2つの第二のコンジットは薬剤が一平面に拡散するようコントロールし、3つの第二のコンジットは薬剤が二平面に拡散するようコントロールし、4つの第二のコンジットは3つの第2のコンジットよりも、薬剤が二平面により良く拡散するようコントロールするであろう。さらなる第二のコンジットは薬剤の拡散にさらに良いコントロールを与える。
【0015】
好ましくはコンジットの先端は第一の円周フランジを含む。一態様では、少なくとも1つの第二のコンジットは、第一の円周フランジに形成された少なくとも1つの開口である。好ましくは、第一の円周フランジは、2、4又は6つの開口を含む。
【0016】
コンジット及び/又は少なくとも1つの第二のコンジットは、どのような横断面の形状も有しうる。好ましくは、コンジット及び/又は少なくとも1つの第二のコンジットの横断面の形状は円形、三角形又は方形であり、より好ましくは円形である。コンジット及び/又は少なくとも1つの第二のコンジットの直径は、コンジット及び/又は少なくとも1つの第二のコンジットの長さに沿って様々であるが、例えば、コンジット及び/又は少なくとも1つの第二のコンジットは円錐台形でありえ、また、コンジット及び/又は少なくとも1つの第二のコンジットはその長さに沿って等直径でもありえる。好ましい態様では、コンジット及び/又は少なくとも1つの第二のコンジットは円柱形である。
【0017】
好ましい態様において、コンジットの断面積に対する少なくとも1つの第二のコンジットの断面積の和の割合は、空気流アダプタの先端に呼吸に誘起される減圧がもたらされた時に、生じる空気流の少なくとも約5%、好ましくは少なくとも約15%、好ましくは少なくとも約20%、より好ましくは約5%〜約50%、より好ましくは約15%〜約40%、さらに好ましくは約20%〜約30%が、少なくとも1つの第二のコンジットを通過するようになっている。
【0018】
典型的には、第一の円周フランジの開口の断面積の和は、約0.75mmから約20mmであり、より好ましくは約5mmから約16mmであり、さらに好ましくは約9mmから約11mmである。少なくとも第二のコンジットが、第一の円周フランジの開口以外の形態である場合も、少なくとも1つの第二のコンジットの断面積の和は、上記の好ましい範囲でありうる。
【0019】
典型的には、コンジットは約25mmから約50mm、好ましくは約30mmから約45mm、より好ましくは約35mmから約45mmの断面積を有しうる。
【0020】
さらなる態様では、空気流アダプタは第二の円周フランジを空気流アダプタの先端に含む;典型的には第二の円周フランジは少なくとも1つの開口、好ましくは4つの開口を含む。典型的には、第二の円周フランジの開口の数は、第一の円周フランジの開口の数と合致するだろう。
【0021】
好ましくは、第二の円周フランジの開口の断面積の和は、約0.75mmから約20mmであり。より好ましくは約5mmから約16mmであり、さらに好ましくは約9mmから約11mmである。典型的には第二の円周フランジの開口の断面積の和は、第一の円周フランジのそれと同じであろう。
【0022】
さらなる態様では、コンジットの断面積に対する第二の円周フランジの開口の断面積の和の割合は、空気流アダプタの先端に呼吸に誘起される減圧がもたらされた時に、生じる空気流の少なくとも約5%、好ましくは少なくとも約15%、より好ましくは約5%〜約50%、より好ましくは約15%〜約40%、さらに好ましくは約20%〜30%が、開口を通るようになっている。
【0023】
典型的には、空気流アダプタは1つの単位構造で形成されるが、複数のパーツを含む態様もある。好ましくは、空気流アダプタは単一の、射出成形された単位構造である。
【0024】
さらなる局面において、発明は、発明の第一の局面による空気流アダプタを含む呼吸作動式のドライパウダー吸入器のための脱凝集装置を提供する。典型的には、脱凝集装置はドライパウダーを脱凝集するための旋回チャンバーを規定する内壁を含む。
【0025】
一態様において、好ましくは、脱凝集装置は、第一端から第二端へ軸に沿って延在する旋回チャンバーを規定する内壁と;旋回チャンバーの第一端にあり、吸入器のドライパウダー送達経路と旋回チャンバーの第一端との間の流体の交通を提供するドライパウダー供給ポートと;旋回チャンバーの内壁にあり、旋回チャンバーの第一端に近接し、脱凝集装置の外部領域と旋回チャンバーの第一端との間の流体の交通を提供する少なくとも1つの入り口ポートと;旋回チャンバーの第二端と空気流アダプタの間の流体の交通を提供する出口ポートと;を含み、空気流アダプタの先端での呼吸に誘起される減圧が、ドライパウダー供給ポートと入口ポートとを通じて、旋回チャンバーに空気を流入させるようになっている。
【0026】
空気流アダプタの上記に説明された利点に加えて、空気流アダプタを脱凝集装置と組み合わせて導入することで、脱凝集装置そのもののパフォーマンスが改善されることが見出された。特定の理論に拘束されるものではないが、これは、空気流アダプタの結果であるコンジットを通過する直線流の減少が、呼吸に誘起される減圧の対応する変化の結果として、脱凝集装置の旋回チャンバーを通過する空気流の速度の変化を低減する効果があるためだと考えられている。使用の間、このことは、送達される微粒子量の流量依存性を低減する効果を有する。
【0027】
さらに、コンジットを通過するより低い線流速は、旋回チャンバーや旋回チャンバーの壁の高シアー領域内の二次的な渦や滞留(これらはいずれも脱凝集装置のパフォーマンスに対して不利に影響しうる)の形成を低減する効果をも持ちうる。
【0028】
一態様において、脱凝集装置はさらに、旋回チャンバーの第一端に、少なくとも一部がチャンバーの軸から放射状に外向きに延在している翼を含み、各翼は、少なくとも一部が軸を横断する方向に面した斜めの表面を有している。さらなる態様では、少なくとも1つの入り口ポートは、2つの正反対に位置した入り口ポートを含む。
【0029】
またさらなる局面では、本発明は呼吸作動式のドライパウダー吸入器のための脱凝集装置を提供するものであり、脱凝集装置は、出口ポートと脱凝集装置の外部領域との間に流体の交通を提供する空気流アダプタと;第一端から第二端へ軸に沿って延在する旋回チャンバーを規定する内壁と;吸入器のドライパウダー送達経路と旋回チャンバーの第一端との間の流体の交通を提供するための、旋回チャンバーの第一端にあるドライパウダー供給ポートと;前記旋回チャンバーの内壁にあり、旋回チャンバーの第一端に近接しており、脱凝集装置の外部領域と旋回チャンバーの第一端との間の流体の交通を提供する少なくとも1つの入口ポートと;前記第二端と空気流アダプタの間の流体の交通を提供する出口ポートと;を有し、前記空気流アダプタは、空気流アダプタの先端に呼吸に誘起される減圧がもたらされるときに、旋回チャンバーから独立して、空気流アダプタの基端から空気流アダプタの先端へ空気を流れさせるための、少なくとも1つの旋回チャンバーバイパスポートを含む。
【0030】
好ましくは、空気流アダプタの先端における呼吸に誘起される減圧はまた、ドライパウダー供給ポートと入口ポートとを通じて旋回チャンバーに空気を流入させる。典型的には、少なくとも1つの旋回チャンバーバイパスポートは少なくとも2つ、好ましくは4つの旋回チャンバーバイパスポートを含むだろう。
【0031】
旋回チャンバーバイパスポートを、旋回チャンバーを規定する内壁を含む脱凝集装置に導入することで、脱凝集装置のパフォーマンスが改善されることが見出された。特定の理論に拘束されるものではないが、これは、旋回チャンバーバイパスポートが、脱凝集装置の出口ポートを通る空気の線速度を低減するためであると考えられている。出口ポートを通る空気の減速された直線流は、呼吸に誘起される減圧の変化の結果である脱凝集装置の旋回チャンバーを通る空気流の速度の変動を低減する効果を有する。使用の間、このことは、送達される微粒子量(活性物質の質量は5μm以下)の流量依存性を低減する効果を有する。微粒子量は、ヨーロッパ薬局方6.0の2.9.18に従いアンダーセン・カスケードインパクタを用いて測定することができる。
【0032】
加えて、出口ポートを通過する空気のより低い線流速はまた、旋回チャンバーや旋回チャンバーの壁の高シアー領域内の二次的な渦や滞留(いずれも脱凝集装置のパフォーマンスに対して不利に影響しうる)の形成を低減する効果をも持ちうる。
【0033】
一態様において、出口ポートの断面積に対する少なくとも1つの旋回チャンバーバイパスポートの断面積の和の割合は、空気流アダプタの先端に呼吸に誘起される減圧がもたらされた時に、生じる空気流の少なくとも約5%、好ましくは少なくとも約15%、より好ましくは約5%〜約50%、より好ましくは約15%〜約40%、さらに好ましくは約20%〜30%が、少なくとも1つの旋回チャンバーバイパスポートを通るようになっている。
【0034】
典型的には、少なくとも1つの旋回チャンバーバイパスポートの断面積の和はは約0.75mmから約20mmであり、より好ましくは約5mmから約16mmであり、さらに好ましくは約9mmから約11mmである。
【0035】
典型的には、出口ポートは約25mmから約550mm、好ましくは約30mmから約45mmであり、さらに好ましくは約35mmから約45mmの断面積を有する。
【0036】
一態様において、脱凝集装置はさらに、旋回チャンバーの第一端に、少なくとも部分的にチャンバーの軸から放射状に外向きに延在する翼を含み、各翼は、少なくとも部分的に軸を横断する方向に面した斜めの表面を有している。
【0037】
さらなる態様において、少なくとも1つの入り口ポートは、2つの正反対に位置した入口ポートを含んでいる。
【0038】
またさらなる態様では、空気流アダプタは、円周フランジを有するコンジットを含み、少なくとも1つの旋回チャンバーバイパスポートは、円周フランジにおいて、少なくとも1つの開口に形成されており、好ましくは少なくとも2つの開口、より好ましくは少なくとも4つの開口として形成されている。
【0039】
さらなる局面において、本発明は、呼吸作動式のドライパウダー吸入器を提供する。典型的には、貯蔵容器式の呼吸作動式のドライパウダー吸入器である。
【0040】
またさらなる局面において、本発明は、呼吸作動式のドライパウダー吸入器におけるドライパウダーの脱凝集方法を提供する。この方法は、吸入器からのドライパウダーを、第一端から第二端へ長軸に沿って延在する旋回チャンバーの第一端へと引き入れるために、第一の呼吸による空気流を配向させること、この第一の空気流は長軸方向に配向される;実質的に逆方向である第二の呼吸による空気流を、第一と第二の呼吸による空気流が衝突し、実質的に混合するように、旋回チャンバーの第一端へと配向させること;らせん流である混合された空気流の一部を、旋回チャンバーの第二端に配向させること;混合された空気流の全てとそこに引き入れられた全てのドライパウダーを、旋回チャンバーの第二端の出口ポートを通じて空気流アダプタに送達すること;及び、旋回チャンバーをバイパスした第三の呼吸による空気流を、空気流アダプタに配向させること、を含む。
【0041】
好ましくは、第三の呼吸による空気流は、空気流アダプタを離れた後に、混合された第一及び第二の呼吸による空気流と混合される。典型的には、第三の呼吸による空気流は、患者の口中で、混合された第一・第二の空気流と混合される。
【0042】
一態様において、第三の呼吸による空気流は、空気流アダプタを出る空気の少なくとも約5%、好ましくは少なくとも約15%、より好ましくは約5%〜約50%、より好ましくは約15%〜約40%、さらにより好ましくは約20%〜約30%である。
【0043】
本明細書を通じて、パーセントについて言及される際には、体積パーセントについて言及している。
【0044】
一態様において、混合された第一及び第二の空気流の一部は、旋回チャンバーの第一端に回転不能に固定され、少なくとも一部が旋回チャンバーの軸から放射状に外向きに延在している翼から偏向される。各翼は、少なくとも一部が軸を横断する方向に面した斜めの面を有しているので、前記混合された空気流の第一部分は、実質的に長軸方向の、旋回チャンバーの第二端に向かって偏向される。
【0045】
さらなる局面において、本発明は、ドライパウダー吸入器の脱凝集装置の出口ポートを通過する空気流を修正するための方法を提供する。その方法は、基端と先端とを有するコンジットを含む空気流アダプタを備えること、当該空気流アダプタはさらに、コンジット中の空気流から独立して、アダプタの基端からアダプタの先端に空気が流れることを許容する手段を含む;コンジットが脱凝集装置の出口ポートからコンジットの先端へ流体の交通を提供するように、コンジットを配置すること;及び、コンジットと空気をアダプタの基端からアダプタの先端に独立に流れることを許容する手段とを通って空気が流れるように、呼吸に誘起される減圧を、空気流アダプタの先端に与えることを含む。典型的には、脱凝集装置の出口ポートを通過する空気流を修正するための方法は、出口ポートを通る線流速を減少させるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は、空気流アダプタの先端の概要を示している。
【図2】図2は、空気流アダプタの基端の概要を示している。
【図3】図3は、空気流アダプタの他の態様を示している。
【図4】図4は、空気流アダプタと併せて使用される脱凝集装置を示している。
【図5】図5は、旋回チャンバーバイパスポートを含む脱凝集装置を示している。
【図6】図6は、呼吸作動式のドライパウダー吸入器を示している。
【図7】呼吸作動式のドライパウダー吸入器の断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明は、呼吸作動式のドライパウダー吸入器のための空気流アダプタを提供する。空気流アダプタは基端と先端とを有するコンジットを含み、当該基端は脱凝集装置の出口ポートからコンジットの先端への流体の交通を許容し、また、前記空気流アダプタはさらに、空気流アダプタの先端に呼吸に誘起される減圧がもたらされるときに、コンジット中の空気流とは独立に、アダプタの基端からアダプタの先端へ空気が流れることを許容する手段を含む。
【0048】
図1は本発明の空気流アダプタを示し、特に、空気流アダプタ(100)の先端を示す。空気流アダプタは、第一の円周フランジ(106)の付いたコンジット(101)を含む。図示されたコンジットは円形の断面である;しかしながら、いかなる断面の形態でもよく、例えば、円形、方形もしくは三角形であってもよい。
【0049】
空気流アダプタはまた、呼吸に誘起される減圧が空気流アダプタの先端(102,103、104、105)にもたらされる時に、コンジットの空気流から独立してアダプタの基端からアダプタの先端へと空気が流れることを許容する手段を含む。呼吸に誘起される減圧が空気流アダプタの先端(102,103、104、105)にもたらされる時に、コンジットの空気流から独立してアダプタの基端からアダプタの先端へと空気が流れることを許容する手段は、第一の円周フランジ(106)における4つの開口の形態である。他の態様では、開口は他の数でありえ、例えば、1、2、3、5、6、8又はより大きな数でありえる。図示された開口は円形の断面である;しかしながら、それらはどのような断面形態であってもよく、例えば、円形、方形又は三角形であってもよい。
【0050】
図2は、空気流アダプタ(200)の基端(201)の概要を示している。空気流アダプタは、第一の円周フランジ(203)の付いたコンジット(202)を含む。図示されたコンジットは円形の断面である;しかしながら、どのような断面の形状であってもよく、例えば円形、方形又は三角形でありえる。
【0051】
空気流アダプタはまた、呼吸に誘起される減圧が空気流アダプタの先端(204,205、206、4つめは不図示)にもたらされる時に、コンジットの空気流から独立してアダプタの基端からアダプタの先端へと空気が流れることを許容する手段を含んでいる。呼吸に誘起される減圧が空気流アダプタの先端(204,205、206、4つめは不図示)にもたらされる時に、コンジットの空気流から独立してアダプタの基端からアダプタの先端へと空気が流れることを許容する手段は、第一の円周フランジ(203)に4つの開口として形成されている。
【0052】
他の態様において、開口は他の数であってもよい、例えば、1、2、3、5、6、8又はより大きな数でありえる。図示された開口は円形の断面である;しかしながら、それはどのような断面形状であってもよく、例えば、円形、方形又は三角形でありえる。
【0053】
図2に示された空気流アダプタ(200)はさらに、第二の円周フランジ(208)を含む。第二の円周フランジは、4つの開口(210、211、212、4つ目は不図示)を含む。しかしながら、円周フランジはどのような数の開口を含んでもよく、例えば、1、2、3、4、6又は8つの開口を含みうる。図示された開口は円形の断面である;しかしながら、それらはどのような断面形状でもよく、例えば、円形、方形又は三角形であってもよい。
【0054】
第一及び第二の円周フランジは、どのような形状であってもよい;しかしながら、好ましくは、それらをドライパウダー吸入器のマウスピースに合致させられる形状であることが好ましい。それらは、使用の間に、合わせ面から空気が流出することがないように合致していることが好ましい。
【0055】
コンジット(202)の基端(209)は、脱凝集装置の出口ポートからコンジットの先端への流体の交通を許容する。特に、図2に示された空気流アダプタ(200)は、脱凝集装置の出口ポートと合致するような合わせ面(214)を有する。それらは、使用の間に、合わせ面から空気が流出することがないように合致していることが好ましい。いくつかの態様においては、出口ポートと空気流アダプタは一体の構造でありえることが理解される。
【0056】
図3は、空気流アダプタ(300)の基端(301)の概要を示している。空気流アダプタは、第一の円周フランジ(303)の付いたコンジット(302)を含んでいる。図示されたコンジットは円形の断面を有している;しかしながら、それらはどのような断面形状でもよく、例えば、円形、方形又は三角形であってもよい。
【0057】
空気流アダプタはまた、呼吸に誘起される減圧が空気流アダプタの先端(304、305、306、4つめは不図示)にもたらされる時に、コンジットの空気流から独立してアダプタの基端からアダプタの先端へと空気が流れることを許容する手段を含んでいる。呼吸に誘起される減圧が空気流アダプタの先端(304、305、306、4つめは不図示)にもたらされる時に、コンジットの空気流から独立してアダプタの基端からアダプタの先端へと空気が流れることを許容する手段は、第二の円周フランジ(308)から第一の円周フランジ(309)へとつながる4つの第二のコンジット(304、305、306、4つ目は不図示)として形成されている。図示された第二のコンジットは円形の断面(310、311、312、4つめは不図示)を有している;しかしながら、それらはどのような断面形状であってもよく、例えば、円形、方形、又は三角形でもよい。
【0058】
コンジット(302)の基端(309)は、ドライパウダー吸入器の脱凝集装置の出口ポートと流体の交通を形成するのに好適である。特に、図3に示された空気流アダプタ(300)は、ドライパウダー吸入器の脱凝集装置の出口ポートと合致するための合わせ面(310)を有している。いくつかの態様では、出口ポートと空気流アダプタは一体の構造でありえることが理解される。
【0059】
本発明の空気流アダプタは、あらゆる適切なポリマー材料から成形されうる。適切なポリマー材料には、ポリプロピレン及びアクリロニトリルブタジエンスチレン(いずれもBASF社より入手可能)を含む。
【0060】
図4は、空気流アダプタ(不図示)に含むのに好適な脱凝集装置(400)を示している。脱凝集装置(400)は、第一端(418)から第二端(420)へ軸(A)に沿って延在する旋回チャンバー(414)を規定する内壁(412);吸入器のドライパウダー送達経路と旋回チャンバー(414)の第一端(418)との間の流体の交通を提供するための、旋回チャンバー(414)の第一端(418)にあるドライパウダー供給ポート(422);旋回チャンバー(414)の内壁(412)にあり、旋回チャンバー(414)の第一端(418)に近接し、脱凝集装置(400)の外部領域と旋回チャンバー(414)の第一端(418)との間の流体の交通を提供する、旋回チャンバー(414)の内壁(412)にある少なくとも1つの入り口ポート(424、425);旋回チャンバー(414)の第二端(420)と空気流アダプタ(不図示)との間の流体の交通を提供する出口ポート(432);を含み、空気流アダプタ(不図示)の先端での呼吸に誘起される減圧が、ドライパウダー供給ポート(422)と入口ポート(424、425)とを通って、空気を旋回チャンバーに流入させるようになっている。
【0061】
好ましくは、少なくとも1つの入り口ポート(424、425)は、実質的に軸Aを横断する方向に延在し、旋回チャンバー(414)の円形断面に実質的に接線方向である、2つの正反対に位置した入口ポート(424、425)を含む。結果として、図4で矢印2、3として示される、入り口ポートを通って旋回チャンバーに入る空気流は、少なくとも当初は旋回チャンバーの軸Aに対して横断方向に配向され、供給ポート(422)を通じて入ってくる空気流と乱流を生成するように衝突する。そして、図4で矢印4として示される混合された空気流は、旋回チャンバー(414)の内壁(412)と衝突し、渦を形成し、また、旋回チャンバーの第二端(420)に向かって動いてさらなる乱流を生成する。
【0062】
図4に関して、脱凝集装置(400)は、旋回チャンバー(414)の第一端(418)に、少なくとも一部が旋回チャンバーの軸Aから放射状に外向きに延在する翼(426)を含む。各翼(426)は、少なくとも一部が旋回チャンバーの軸Aを横断する方向に面した斜面(428)を有する。翼(426)は、混合された空気流4の少なくとも一部が斜面(428)と衝突するように設定されている。好ましくは、翼は、4つの翼(426)を含み、各々は軸Aに整列されたハブ(430)と旋回チャンバー(414)の壁(412)との間に延在している。
【0063】
図4に示されるように、脱凝集装置(400)はさらに、旋回チャンバー(414)の第二端(420)と空気流アダプタ(不図示)との間に流体の交通を提供するための出口ポート(432)を含む。空気流アダプタ(不図示)の先端における呼吸に誘起される減圧は、供給ポート(422)を通る空気流と入口ポートを通る空気流2、3とを生じさせ、旋回チャンバー(414)を通る混合された空気流4を導出する。そして、混合された空気流4は出口ポート(432)を通って旋回チャンバー(414)を出る。好ましくは、出口ポート(432)は、空気流4が出口ポート(432)の内壁と衝突してさらなる乱流を生成するように、実質的に軸Aを横断する方向に延在する。
【0064】
予め決められた量のドライパウダーを送達経路に送出するためのドライパウダー送達経路とドライパウダー貯蔵容器とを含む、呼吸作動式のドライパウダー吸入器と併せて脱凝集装置を使用する間、空気流アダプタの先端での患者の吸入は、ドライパウダー供給ポート(422)と入口ポートとをそれぞれ通って入る空気流2及び3を生じさせる。示されていないが、供給ポート(422)を通る空気流は、ドライパウダーを旋回チャンバー(414)に引き入れる。空気流と引き入れられたドライパウダーとは、供給ポート(422)によって、旋回チャンバーに長軸方向に配向される。一方、入り口ポートからの空気流2及び3は横断方向であり、ゆえにこれらの空気流は衝突し、実質的に混合する。
【0065】
そして、混合された空気流4の一部と引き入れられたドライパウダーとは、翼(426)の斜面(428)と衝突して、ドライパウダーの粒子や凝集体は斜面に激突し、また、互いに衝突する。旋回チャンバー(414)の形状は、混合された空気流4と引き入れられたドライパウダーとに、旋回チャンバーを通る乱流、らせん軌道又は渦を起こさせる。認識されるであろうが、旋回チャンバー(414)の横断面の減少は、継続的に混合された空気流4と引き入れられたドライパウダーとの方向を変化させ、らせん速度を増加させる。このように、ドライパウダーの粒子と凝集体は持続的に旋回チャンバー(414)の壁(412)に衝撃を与え、互いに衝突して、結果的に、粒子と凝集体の間の相互破砕又は粉砕作用となる。加えて、翼(426)の斜面(428)から偏向される粒子や凝集体は、さらなる衝撃や衝突を生じる。持続的な衝撃や衝突はすべての凝集体をさらなる粒子に粉砕し、粒子は実質的に微粉化される。
【0066】
旋回チャンバー(414)を出ると、混合された空気流4と引き入れられたドライパウダーの方向は、出口ポート(432)を通って軸Aに対して横断する方向に、再度変えられる。混合された空気流4と引き入れられたドライパウダーは流れの旋回成分を維持しており、ゆえに空気流4と引き入れられたドライパウダーは、出口ポート(432)を通ってらせん状に旋回する。微粒化された粉体と残る凝集体は、旋回チャンバー(414)から与えられた旋回を維持しているため、旋回流は出口ポート(432)でさらに衝撃を生じて、残存する凝集体は患者に吸引される前に、さらに破砕されることになる。
【0067】
図5は、本発明による、空気流アダプタ(501)を含む脱凝集装置(500)を示す。脱凝集装置(500)は、脱凝集装置の出口ポート(530)と外部領域との間の流体の交通を提供する空気流アダプタ(501);第一端(518)から第二端(520)へ軸(B)に沿って延在する旋回チャンバー(514)を規定する内壁(512);吸入器のドライパウダー送達経路と旋回チャンバー(514)の第一端(518)との間の流体の交通を提供するための、旋回チャンバー(514)の第一端(518)にあるドライパウダー供給ポート(522);旋回チャンバー(514)の内壁(512)にあり、旋回チャンバー(514)の第一端(518)に近接し、脱凝集装置の外部領域と旋回チャンバーの第一端(518)との間の流体の交通を提供する少なくとも1つの入り口ポート(524、525);第二端(520)と空気流アダプタ(501)との間の流体の交通を提供する出口ポート(530);及び、少なくとも1つの旋回チャンバーバイパスポート(502、503、504、505)を含む。少なくとも1つの旋回チャンバーバイパスポート(502、503、504、505)は、呼吸に誘起される減圧が空気流アダプタの先端にもたらされた時に、旋回チャンバー(514)とは独立に、空気流アダプタの基端から空気流アダプタ(501)の先端に空気が流れることを許容する。空気流アダプタ(501)の先端における呼吸に誘起される減圧は、また、ドライパウダー供給ポート(522)と少なくとも1つの入り口ポート(524、525)とを通じて、空気を旋回チャンバー(514)に流入させる。混合された空気流(矢印4)は、コンジット(507)を通じて空気流アダプタ(501)を離れる(矢印6で示す)。
【0068】
図5に示された少なくとも1つの旋回チャンバーバイパスポートは、空気流アダプタ(501)のコンジット(507)の第一の円周フランジ(506)における4つの開口(502、503、504、505)として形成されている。図5に示された空気流アダプタ(501)はさらに、4つの開口(509、510、511、4つめは示されていない)を含む付加的な第二の円周フランジ(508)を含んでいる。使用において、第二の円周フランジ(508)に開口(509、510、511、4つめは示されていない)があるときには、これらはまた旋回チャンバーバイパスポートの一部を形成するものである。
【0069】
図5に示される空気流アダプタは、図3に示される空気流アダプタに置き換えられてもよい。そのような配置では、図3の第二のコンジットが旋回チャンバーバイパスポートの機能を果たす。実際は、ここに述べられるどのような空気流アダプタも、図4に提示される脱凝集装置と組み合わされた時に、旋回チャンバーバイパスポートを備える。
【0070】
好ましくは、出口ポートの断面積に対する少なくとも1つの旋回チャンバーバイパスポートの断面積の和の割合は、呼吸に誘起される減圧が空気流アダプタの先端にもたらされた時に、生じる空気流の少なくとも5%、好ましくは少なくとも約15%、より好ましくは約5%〜約50%、より好ましくは約15%〜約40%、さらに好ましくは約20〜約30%が、少なくとも1つの旋回チャンバーバイパスポートに配向される。
【0071】
空気流アダプタと脱凝集装置の様々のパーツを通って流れる空気流の割合は、当分野において公知の方法を用いて計算されうる。特にそれらは、所与の圧力勾配において、本発明の空気流アダプタを通る体積流量を測定することによって、また、それを、同じコンジットがあるが、呼吸に誘起される減圧が空気流アダプタの先端にもたらされる時に、コンジット中の空気と独立してアダプタの基端からアダプタの先端に空気が流れることを許容する手段を有しない類似の空気流アダプタを通る空気流の体積流量と比較することによって、測定されうる。この場合には、いずれの測定も同じ圧力勾配で行われるべきであり、好ましくは4KPaである。同じ方法は、旋回チャンバーバイパスポートを含む空気流アダプタを含む脱凝集装置にも適用される。しかしながらこの場合には、除外されるのは、旋回チャンバーバイパスポートである。
【0072】
本発明の脱凝集装置と空気流アダプタに含むのに適切な呼吸作動式のドライパウダー吸入器はUS6748947に開示され、また、SPIROMAXTMという名において販売されている。
【0073】
図6は、本発明の呼吸作動式のドライパウダー吸入器(600)の外観を示している。呼吸作動式のドライパウダー吸入器は、コンジット(602)と4つの第二のコンジット(603、604、605、606)とを有する空気流アダプタ(601)を含む。この例では、コンジット(602)と第二のコンジット(603、604、605、606)とは、円形の断面を有している。
【0074】
図7は、本発明の空気流アダプタ(702)を含む脱凝集装置(701)を含む、呼吸作動式のドライパウダー吸入器(700)を示している。
【0075】
空気流アダプタ(702)は、4つの開口(不図示)を含む第一の円周フランジ(704)の付いたコンジット(703)を含む。空気流アダプタはさらに、4つの開口(不図示)を有する第二の円周フランジ(705)を含む。第一及び第二の円周フランジの開口は、旋回チャンバーバイパスポートの機能を果たす。加えて、使用においては、空気流アダプタ(702)の先端(706)における呼吸に誘起される減圧は、第一(704)及び第二(705)の円周フランジの開口(不図示)を通じて空気を流れさせる。また、空気流アダプタ(702)の先端(706)における呼吸に誘起される低圧は、空気が、薬剤を引き込み、また、供給ポートを通って薬剤を旋回チャンバー(707)に送達するようにさせる。
【0076】
使用において、吸入器からドライパウダーを引き出すための第一の呼吸による空気流は、第一端から第二端へ長さ方向軸に沿って延在する旋回チャンバーの第一端に配向される。この第一の空気流は、長さ方向に配向される。そして、第二の呼吸による空気流は、第一及び第二の呼吸による空気流が衝突し、実質的に混合するように、旋回チャンバーの第一端に実質的に横断方向に配向される。そして、混合された空気流の一部は、旋回チャンバーの第二端に向かうらせん経路に配向され、すべての混合された空気流とその中に引き入れられているすべてのドライパウダーは、旋回チャンバーの第二端の出口ポートを通じて空気流アダプタに送達される。第三の呼吸による空気流は、旋回チャンバーをバイパスして空気流アダプタに配向される。典型的には、使用においては、第一の呼吸による空気流が薬剤を引き入れるようになる前に、第三の呼吸による空気流が形成されるであろう。
【0077】
好ましくは、混合された第一及び第二の空気流の一部は、旋回チャンバーの第一端に回転不能に固定され、少なくとも一部が旋回チャンバーの軸から放射状に外向きに延在する翼から偏向される。各翼は、少なくとも一部が軸を横断する方向に面した斜面を有しており、混合された空気の一部は、旋回チャンバーの第二端に向かって実質的に長さ方向に偏向される。
【0078】
典型的には、呼吸作動式のドライパウダー吸入器において使用されるドライパウダー薬剤は、抗炎症剤、抗コリン剤、β−アドレナリン受容体アゴニスト、抗感染剤、抗ヒスタミン剤及びそれらの組み合わせからなる群から選ばれる。
【0079】
好ましい抗炎症剤は、コルチコステロイドとNSAIDsとを含む。使用され得る好適なコルチコステロイドは、経口及び吸入コルチコステロイド、及び、抗炎症活性を有するそれらのプロドラッグを含む。例示は、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、6a,9a-ジフルオロ-17a-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11-ヒドロキシ-16a-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17-カルボチオ酸 S-フルオロメチルエステル、6a,9a-ジフルオロ-11-ヒドロキシ-16a-メチル-3-オキソ-17a-プロピオニルオキシ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17p-カルボチオ酸 S-(2-オキソ-テトラヒドロ-フラン-3S-イル)エステル、ベクロメタゾンエステル(例えば、17-プロピオン酸エステル、又は、17,21-ジプロピオン酸エステル)、ブデソニド、フルニソリド、モメタゾンエステル(例えば、フロ酸エステル)、トリアムシノロンアセトニド、ロフレポニド、チクレソニド、プロピオン酸ブチキソコルト、RPR-106541、及び、ST-126を含む。好適なコルチコステロイドは、プロピオン酸フルチカゾン、6a,9c-ジフルオロ-11-ヒドロキシ-16a-メチル-17a-[(4-メチル-1,3-チアゾール-5-カルボニル)オキシ]-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17,8-カルボチオ酸 S-フルオロメチルエステル、及び、6a,9a-ジフルオロ-17a-[(2-フラニルカルボニル)オキシ-11-ヒドロキシ-16a-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17p-カルボチオ酸 S-フルオロメチルエステルを含む。より好ましくは、6a,9a-ジフルオロ-17a-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11-ヒドロキシ-16a-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17-カルボチオ酸 S-フルオロメチルエステルである。
【0080】
好適なNSAIDsはクロモグリク酸ナトリウム、ネドクロミルナトリウム、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤(例えば、テオフィリン、PDE4阻害剤、又は、混合PDE3/PDE4阻害剤)、ロイコトリエンアンタゴニスト、ロイコトリエン合成阻害剤、iNOS阻害剤、トリプターゼ及びエラスターゼ阻害剤、ベータ−2インテグリンアンタゴニスト及びアデノシン受容体アゴニスト又はアンタゴニスト(例えば、アデノシン2aアゴニスト)、サイトカインアンタゴニスト(例えば、ケモカインアンタゴニスト)又はサイトカイン合成阻害剤を含む。
【0081】
他の好適なβ−アドレナリン受容体アゴニストは、サルメテロール(例えば、キナフォエートとして)、サルブタモール(例えば、硫酸塩又は遊離塩基として)、フォルモテロール(例えば、フマル酸エステルとして)、フェノテロール、又はテルブタリン及びそれらの塩を含む。
【0082】
好適な抗コリン剤としては、ムスカリン受容体でアンタゴニストとして働く化合物、特に、M1及びM2レセプターのアンタゴニストである化合物である。化合物としてはアトロピン、スコポラミン、ホマトロピン、ヒヨスチアミンといったベラドンナ植物体のアルカロイドを含む;これらの化合物は通常、三級アミンであり塩として投与される。
【0083】
特に好適な抗コリン剤としては、アトロベントという名で販売されるイプラトロピウム(例えば、臭化物として)、オキシトロピウム(例えば、臭化物として)、グリコピロレート(例えば、臭化物として)及びチオトロピウム(例えば、臭化物として)(CAS−139404−48−1)を含む。同様の利益のものとして:メタンテリン(CAS−53−46−3)、臭化プロパンテリン(CAS−50−34−9)、臭化メチルアニソトロピンもしくはValpin50(CAS−80−50−2)、臭化クリジニウム(Quarzan、CAS−3485−62−9)、コピロレート(ロビナール)、ヨウ化イソプロパミド(CAS−71−81−8)、臭化メペンゾレート(US特許2,918,408)、塩化トリジヘキセチル(Pathilone、CAS−4310−35−4)、及び、硫化メチルヘキソシクリウム(Tral、CAS−115−63−9)。また、シクロペントレート塩酸塩(CAS−5870−29−1)、トロピカミド(CAS−1508−75−4)、トリヘキシフェニジル塩酸塩(CAS−144−11−6)、ピレンゼピン(CAS−29868−97−1)、テレンゼピン(CAS−80880−90−9)、AF−DX116、もしくは、メトクタルアミン及びWO01/04118に開示された化合物を参照のこと。
【0084】
好適な抗ヒスタミン剤(H1受容体アンタゴニストとも称される)としては、H1受容体を阻害し、人間への使用において安全であることが知られている多数のアンタゴニストの1又はそれ以上を含む。いずれも、ヒスタミンとH1受容体との相互作用の、可逆・競合的な阻害剤である。例示は、エタノールアミン、エチレンジアミン及びアルキルアミンを含む。さらに他の第一世代の抗ヒスタミン剤は、ピペリジン及びフェノチアジンに基づいて特徴づけられるものを含む。鎮静作用の無い第二世代アンタゴニストは、同様の構造−活性相関関係を有しており、コアのエチレングループ(アルキルアミン)もしくはピペリジン(piperizine)かピペリジン(piperidine)の三級アミングループ模倣体を保存している。例示されるアンタゴニストとしては次のものがある:
エタノールアミン:カルビノキサミンマレイン酸塩、クレマスチンフマル酸塩、ジフェニルヒドラミン塩酸塩、及び、ジメンヒドリナート。
【0085】
エチレンジアミン:ピリラミンマレイン酸塩、トリペレンナミンHCl、及び、トリペレンナミンクエン酸塩。
【0086】
アルキルアミン:クロロフェニルアミン及びその塩、例えば、マレイン酸塩、及び、アクリバスチン。
【0087】
ピペラジン:ヒドロキシジンHCl、ヒドロキシジンパモ酸塩、シクリジンHCl、シクリジン乳酸塩、メクリジンHCl、及び、セチリジンHCl。
【0088】
ピペリジン:アステミゾール、レボカバスチンHCl、ロラタジンもしくはそのデスカルボエトキシ(descarboethoxy)類似体、及び、テルフェナジン、及び、フェキソフェナジン塩酸塩又は他の薬学的に許容される塩。
【0089】
アゼラスチン塩酸塩もまたPDE4阻害剤と組み合わせて使用されうるH1受容体アンタゴニストである。
特に好適な抗ヒスタミン剤はメタピリレン及びロラタジンを含む。
【0090】
一般的に、気管支又は肺の肺胞部に送達するために好適な粉末薬剤粒子は、10マイクロメートル未満、好ましくは6マイクロメートル未満の空気動力学的直径を有する。呼吸器の他の部分、例えば鼻腔、口腔又は喉などに送達したいと所望する場合は、他のサイズの粒子が使用される。薬剤は純粋な薬として送達されてもよく、しかしより好ましくは、薬剤は、吸入に適した添加剤(キャリア)と共に送達される。好ましい添加剤には、ポリサッカライド(例えば、デンプン、セルロース等)、ラクトース、グルコース、マンニトール、アミノ酸及びマルトデキストリンのような有機添加剤、及び、炭酸カルシウム又は塩化ナトリウムのような無機添加剤を含む。ラクトースは好適な添加剤である。
【0091】
粉末薬剤の粒子及び/又は添加剤は、例えばマイクロ化、ミル化又はふるい法など従来の方法によって製造されうる。
【0092】
また、薬剤及び/又は添加剤の粉末は、特定の密度、サイズ範囲又は特性に設計されうる。粒子は、活性成分、界面活性剤、外殻形成剤又は当業者によって所望される他の成分を含んでいてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸作動式のドライパウダー吸入器のための空気流アダプタであって、当該空気流アダプタは、
基端と先端とを有するコンジットを含み、前記基端は脱凝集装置の出口ポートから前記コンジットの先端へ流体の交通を許容し、また、
前記空気流アダプタはさらに、空気流アダプタの先端に呼吸に誘起される減圧がもたらされるときに、コンジット中の空気流とは独立に、アダプタの基端からアダプタの先端へ空気が流れることを許容する手段を含むことを特徴とする、空気流アダプタ。
【請求項2】
前記空気流アダプタの先端に呼吸に誘起される減圧がもたらされるときに、コンジット中の空気流とは独立に、アダプタの基端からアダプタの先端へ空気が流れることを許容する手段が、少なくとも1つの第二のコンジットを含むことを特徴とする、請求項1に記載の空気流アダプタ。
【請求項3】
前記コンジットの断面積に対する、前記少なくとも1つの第二のコンジットの断面積の和の割合が、空気流アダプタの先端に呼吸に誘起される減圧がもたらされるときに、生じる空気流の少なくとも5%、好ましくは20%が、前記少なくとも1つの第二のコンジットを通過するようになっていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の空気流アダプタ。
【請求項4】
前記コンジットの先端が、第一の円周フランジを含み、前記第二のコンジットは前記第一の円周フランジの少なくとも1つの開口として形成されていることを特徴とする、請求項2又は3に記載の空気流アダプタ。
【請求項5】
前記第一の円周フランジが、2つ、好ましくは4つの開口を含むことを特徴とする、請求項4に記載の空気流アダプタ。
【請求項6】
前記空気流アダプタが、前記空気流アダプタの基端に第二の円周フランジを含み、当該第二の円周フランジは少なくとも1つ、好ましくは4つの開口を含んでいることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の空気流アダプタ。
【請求項7】
コンジットの断面積に対する、前記第二の円周フランジ開口の断面積の和の割合が、空気流アダプタの先端に呼吸に誘起される減圧がもたらされるときに、生じる空気流の少なくとも5%、好ましくは20%が前記開口を通過するようになっていることを特徴とする、請求項6に記載の空気流アダプタ。
【請求項8】
呼吸作動式のドライパウダー吸入器のための脱凝集装置であって、当該脱凝集装置が、請求項1〜7のいずれかに記載の空気流アダプタを含んでいることを特徴とする、呼吸作動式のドライパウダー吸入器のための脱凝集装置。
【請求項9】
前記脱凝集装置が、
第一端から第二端へ軸に沿って延在する旋回チャンバーを規定する内壁と;
吸入器のドライパウダー送達経路と前記旋回チャンバーの第一端との間の流体の交通を提供するための、前記旋回チャンバーの第一端にあるドライパウダー供給ポートと;
前記旋回チャンバーの内壁にあり、前記旋回チャンバーの第一端に近接しており、脱凝集装置の外部領域と前記旋回チャンバーの第一端との間の流体の交通を提供する、少なくとも1つの入口ポートと;
前記旋回チャンバーの第二端と前記空気流アダプタとの間の流体の交通を提供する出口ポートと;を有し、
空気流アダプタの先端での呼吸に誘起される減圧が、前記ドライパウダー供給ポートと前記入口ポートとを通じて、旋回チャンバーに空気を流入させることを特徴とする、請求項8に記載の脱凝集装置。
【請求項10】
呼吸作動式のドライパウダー吸入器のための脱凝集装置であって、当該脱凝集装置が、
脱凝集装置の出口ポートと外部領域との間に流体の交通を提供する空気流アダプタと;
第一端から第二端へ軸に沿って延在する旋回チャンバーを規定する内壁と;
吸入器のドライパウダー送達経路と前記旋回チャンバーの第一端との間の流体の交通を提供するための、前記旋回チャンバーの第一端にあるドライパウダー供給ポートと;
前記旋回チャンバーの内壁にあり、旋回チャンバーの第一端に近接しており、脱凝集装置の外部領域と旋回チャンバーの第一端との間の流体の交通を提供する、少なくとも1つの入口ポートと;
前記第二端と空気流アダプタとの間の流体の交通を提供する出口ポートと;を有し、
前記空気流アダプタは、空気流アダプタの先端に呼吸に誘起される減圧がもたらされるときに、旋回チャンバーから独立して、空気流アダプタの基端から空気流アダプタの先端へ空気が流れることを許容するための、少なくとも1つの旋回チャンバーバイパスポートを含むことを特徴とする、脱凝集装置。
【請求項11】
前記空気流アダプタの先端における呼吸に誘起される減圧が、前記ドライパウダー供給ポートと前記入口ポートとを通じて空気を旋回チャンバーに流入させることを特徴とする、請求項10に記載の脱凝集装置。
【請求項12】
前記出口ポートの断面積に対する、前記少なくとも1つの旋回チャンバーバイパスポートの断面積の和の割合が、空気流アダプタの先端に呼吸に誘起される減圧がもたらされるときに、生じる空気流の少なくとも5%、好ましくは20%が前記少なくとも1つの旋回チャンバーバイパスポートを通過するようになっていることを特徴とする、請求項10又は11に記載の脱凝集装置。
【請求項13】
前記空気流アダプタが第一の円周フランジを有するコンジットを含み、前記少なくとも1つの旋回チャンバーバイパスポートが、前記第一の円周フランジにおいて少なくとも1つ、好ましくは4つの開口として形成されていることを特徴とする、請求項10〜12のいずれかに記載の脱凝集装置。
【請求項14】
請求項1〜7のいずれかに記載の空気流アダプタを含む、呼吸作動式のドライパウダー吸入器。
【請求項15】
請求項8〜13のいずれかに記載の脱凝集装置を含む、呼吸作動式のドライパウダー吸入器。
【請求項16】
ドライパウダーを、吸入器から第一端から第二端へ長軸方向に延在する旋回チャンバーの第一端へ引き出すために、長さ方向に沿って第一の呼吸による空気流を配向させること;
実質的に逆方向である第二の呼吸による空気流を、第一と第二の呼吸による空気流が衝突し、実質的に混合するように、旋回チャンバーの第一端へと配向させること;
混合された空気流の一部を、旋回チャンバーの第二端に向かう旋回経路に配向させること;
混合された空気流の全て及び当該空気流に引き入れられているドライパウダーを、チャンバーの第二端にある出口ポートを通じて、空気流アダプタに送達すること;及び、
第三の呼吸による空気流を、旋回チャンバーをバイパスさせて空気流アダプタに配向させること;を含む、
呼吸作動式のドライパウダー吸入器におけるドライパウダーの脱凝集方法。
【請求項17】
前記混合された空気流の一部を、前記チャンバーの第一端に回転不能に固定され、少なくとも一部が前記チャンバーの軸から放射状に外向きに延在している翼から偏向させるステップを含み、前記翼は、少なくとも一部が軸を横断する方向に面した斜めの面を有しており、前記混合された空気流の第一部分が、チャンバーの第二端に向かう実質的に長さ方向に偏向されることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第三の呼吸による空気流が、空気流アダプタを離れた後で、前記混合された第一及び第二の呼吸による空気流と混合されることを特徴とする、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
a)基端と先端とを有するコンジットを含む空気流アダプタを備えること、当該空気流アダプタはさらに、コンジット中の空気流から独立して、アダプタの基端からアダプタの先端に空気が流れることを許容する手段を含む;
b)脱凝集装置の出口ポートからコンジットの先端へ流体の交通を提供するように、コンジットを配置すること;及び、
c)コンジットとアダプタの基端からアダプタの先端に独立して空気が流れることを許容する手段とを通じて空気が流れるように、呼吸に誘起される減圧を空気流アダプタの先端に与えること;を含む、
呼吸作動式のドライパウダー吸入器の脱凝集装置の出口ポートを通る空気流を修正する方法。
【請求項20】
前記出口ポートを通過する線流速が低減されていることを特徴とする、請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−509923(P2013−509923A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537325(P2012−537325)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【国際出願番号】PCT/EP2010/006744
【国際公開番号】WO2011/054527
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(508008555)ノートン・ヘルスケアー リミテッド (10)