説明

呼吸同調型気体供給装置

【課題】呼吸位相検知手段を用いて吸気相開始部、呼気相開始部を認識し呼吸気体を供給する装置において、患者の呼吸位相のばらつきや、供給装置の振動や風など外乱による誤認識、誤酸素供給による患者の不快感、酸素供給の無駄を防止する。
【解決手段】吸気相開始部及び呼気相開始部を認識する手段を有し、吸気相開始部を認識してから呼気相開始部を認識するまでの間、及び呼気相開始部を認識してから予め定めた時間が経過するまでの間は次の吸気相開始部の認識を行わない認識手段による自動開閉弁制御を行うことを特徴とする呼吸同調型気体供給装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の呼吸サイクルに応じて作動し得る自動開閉弁を備えた呼吸用気体供給装置に関する。さらに詳細には、治療用気体、例えば、酸素ガスを呼吸サイクルに応じて間歇的に使用者に供給するための装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、酸素ボンベから得られた酸素、又は酸素濃縮器により得られた酸素濃縮気体を、患者の呼吸サイクルに対応して吸気時においてのみ供給することにより、呼気と共に排出される無駄な酸素供給を防止し、利用効率を高める方法が提案されている(特許文献1)。
【0003】
かかる装置として、流路途中に設けた自動開閉弁、呼吸位相検知手段を具備した所謂デマンドレギュレーターが用いられ、使用者の吸気期間にのみ自動開閉弁を開き、呼気期間中は閉じることにより酸素消費量を節約することが可能となっている。かかる節約は酸素ボンベを携帯して患者が外出するような場合に特に有効であり、その移動時間を延長することが可能となる。
【0004】
かかる装置に用いられる呼吸位相検知手段として、呼吸による温度変化を検知する方法(特許文献1)、圧力変動を検知する方法(特許文献2)などが考案されている。これらの呼吸位相検知手段は、吸気相開始部を認識するために用いられ、呼吸信号が基準値より吸気相側にある予め定めた閾値より吸気相側になった場合、あるいは、呼吸信号の変化量が予め定めた変化量閾値を超えた場合に吸気相開始部と認識する、などの方法が考案されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭59−8972号公報
【特許文献2】特開平2−88078号公報
【特許文献3】特開2001−129086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これらの呼吸位相検知手段を用いて吸気相開始部を認識する際に、吸気相開始部以外の吸気相の途中の部分や、振動や風などによる呼吸信号の変化も吸気相開始部と誤って認識し、酸素を供給してしまうという問題がある。その場合、不必要なときに酸素を供給することになり、酸素を無駄に消費するばかりでなく、使用者に不快感を与えている。
【0007】
吸気相開始部以外の吸気相の途中の部分を吸気相開始部と誤認識するのを回避するための方法として、吸気相開始部を検知した後、一定期間は次の吸気相開始部の認識を行わないようにしておく方法も考えられる。しかしながら、使用者の呼吸周期は時々刻々変化するため、次の吸気相開始部を認識しない期間を一定期間設けるというやり方では、呼吸周期の変化に十分に追従できず、吸気相開始部以外の吸気相の途中の部分を吸気相開始部と誤って認識して不必要なときに酸素を供給したり、逆に、吸気相開始部を見逃して必要なときに酸素を供給することが出来なかったりする問題が生じる。
【0008】
吸気相開始部以外の吸気相の途中の部分を吸気相開始部と誤認識するのを回避するためのもう一つの方法として、呼吸信号の値が基準値付近の一定の範囲内にある場合にのみ吸気相開始部の認識を行うようにする方法も考えられる。
【0009】
しかしながら、使用者の呼吸波形の大きさ及び立ち上りの速さは個人差も大きく、また、同じ使用者でも時々刻々変化するため、呼吸信号の値が基準値付近の一定の範囲内にある場合にのみ吸気相開始部の認識を行うやり方では、呼吸波形が小さく、かつ、立ち上りが遅い場合には吸気相開始部以外の吸気相途中の部分が上記範囲内に入り、吸気相開始部と誤って認識して不必要なときに酸素を供給する。逆に、呼吸波形が大きく、かつ、立ち上りが速い場合には呼吸信号のサンプリング周期によっては吸気相開始部が上記範囲内に入らずに見逃して必要なときに酸素を供給できないという問題が生じる。
【0010】
また、振動や風などによる呼吸信号の変化、所謂ノイズを吸気相開始部と誤認識するのを回避するための方法としては、吸気相開始部の認識基準を厳しくする方法、例えば、呼吸信号が基準値より吸気相側にある予め定めた閾値より吸気相側になった場合に吸気相開始部と認識する場合には、この閾値をノイズよりも高くしておく方法、あるいは、呼吸信号の変化量が予め定めた変化量閾値を超えた場合に吸気相開始部と認識する場合には、この変化量閾値をノイズよりも高くしておく、などの方法がある。
【0011】
しかしながら、これらの方法を用いた場合、吸気相開始部の認識が遅れたり、場合によっては吸気相開始部の認識ができなかったりするため、使用者が必要とするときに酸素を供給できないという問題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上記の如き課題を解消することを目的として鋭意検討した結果、使用者の吸気相開始部と呼気相開始部を認識する手段を設け、吸気相開始部を認識してから呼気相開始部を認識するまでの間、及び呼気相開始部を認識してから予め定めた時間が経過するまでの間は次の吸気相開始部の認識を行わないこと、かつ、呼気相開始部の認識の際にノイズを除去することにより、使用者の呼吸周期の変化にも追従でき、使用者の吸気相開始部の認識を誤りなく、かつ、素早く行うことができ、酸素の無駄な放出、及び使用者の不快感を低減することが可能となることを見出したものである。
【0013】
即ち、本発明は、呼吸用気体の発生手段と、一端が該発生手段に連通し他端に該呼吸用気体の開放型供給手段を有し、途中に自動開閉弁手段を有した導管手段、呼吸における少なくとも一部の所定位相を検知し得る呼吸位相検知手段、該検知手段の検知結果である呼吸信号に基づいて該自動開閉弁手段の開閉を制御する制御手段を備えた呼吸同調型気体供給装置において、該制御手段が吸気相開始部と呼気相開始部を認識する認識手段を有し、該認識手段が吸気相開始部を認識してから呼気相開始部を認識するまでの間及び呼気相開始部を認識してから予め定めた時間が経過するまでの間は次の吸気相開始部の認識を行わないことを特徴とする呼吸同調型気体供給装置を提供するものである。
【0014】
また、本発明は、かかる認識手段が、該呼吸同調型気体供給装置を大気開放したときの呼吸信号の値を基準値とし、呼吸信号が吸気相側から呼気相側に該基準値を超えた時点を呼気相開始部と認識することを特徴とする呼吸同調型気体供給装置を提供するものである。
【0015】
また、本発明は、かかる認識手段が、該呼吸同調型気体供給装置を大気開放したときの呼吸信号の値を基準値とし、呼吸信号が吸気相側から呼気相側に該基準値を超えた時点を一旦、仮の呼気相開始部と認識しておき、その後、呼吸信号が該基準値より呼気相側にある予め定めた呼気判断閾値より呼気相側にある時間が予め定めた呼気判断時間以上継続した場合に、一旦認識した仮の呼気相開始部を真の呼気相開始部と認識することを特徴とする呼吸同調型気体供給装置提供するものである。
【0016】
また、本発明は、かかる認識手段が、該呼吸同調型気体供給装置を大気開放したときの呼吸信号の値を基準値とし、呼吸信号が吸気相側から呼気相側に該基準値を超えた時点を一旦、仮の呼気相開始部と認識しておき、その後、呼吸信号が該基準値または該基準値より吸気相側にある予め定めたノイズ判断閾値より吸気相側にある時間が予め定めたノイズ判断時間以上継続した場合、一旦認識した仮の呼気相開始部をノイズとして破棄し、次に呼吸信号が吸気相側から呼気相側に基準値を超える時点を仮の呼気相開始部と認識し直すことを特徴とする呼吸同調型気体供給装置提供するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の呼吸同調型気体供給装置は、吸気相開始部以外の吸気相の途中の部分及びノイズを吸気相開始部と誤認識することなく、使用者の呼吸周期の変化にも追従して、吸気相開始部の認識を誤りなく、かつ、素早く行うことができ、酸素の無駄な放出、及び使用者の不快感を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の呼吸同調型気体供給装置の実施態様例。
【図2】本発明の吸気相開始部及び呼気相開始部の認識の一例を説明した図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の呼吸同調型気体供給装置は、使用者の吸気相開始部と呼気相開始部を認識する手段を持ち、吸気相開始部を認識してから呼気相開始部を認識するまでの間、及び呼気相開始部を認識してから予め定めた時間が経過するまでの間は次の吸気相開始部の認識を行わないこと、かつ、呼気相開始部の認識の際にノイズを除去することにより、使用者の吸気相開始部の認識を誤りなく、かつ、素早く行い、これに合せて自動開閉弁を開き、パルスで呼吸用気体、例えば酸素を使用者に吸わせる装置である。
【0020】
本発明は、呼吸用気体の発生手段と、一端が該発生手段に連通し他端に該呼吸用気体の開放型供給手段を有し途中に自動開閉弁手段を有した導管手段と、該自動開閉弁手段の開時間を制御することにより呼吸気体の供給量を制御する手段であるデマンドレギュレーターとから基本的に構成される。
【0021】
本発明の呼吸用気体の発生手段は、呼吸用気体の発生源及び該発生源からの気体を所定圧力即ち大気圧近傍の圧力に調整する圧力調整手段及び必要とすれば流量設定手段からなる。該発生源として酸素ボンベ等のボンベ形式のものを使用する場合、これらの発生源からの気体は通常相当高い圧力で供給されるので、それを圧力調整手段例えば減圧弁を用いて大気圧近傍の圧力、例えば20kPa〜300kPa、好ましくは100kPa〜200kPaに圧力を低下させる。
【0022】
流量設定手段は最大流量で供給する方法や、それ以下の流量を自由に設定出来るものであることができ、適切な流量の定常流を導管手段を介して上記呼吸用気体の発生手段から気体利用者即ち患者まで送られる。
【0023】
この導管手段の一端は上記気体発生手段に接続され、他端は患者の体内に供給気体が送入され易いような治具、例えば鼻カニューラや口鼻マスクとなっているものである。この導管手段は途中は後述するデマンドレギュレーターにおける自動流路開閉手段を経由しているものであり、更に同じくデマンドレギュレーターの呼吸位相検知手段と連結していることもある。
【0024】
本発明における自動開閉弁手段の開時間を制御する制御手段(デマンドレギュレーター)は、上記導管手段の途中に設けられている自動開閉弁手段を特定の制御条件で開閉することにより、患者への気体供給量を制御するものである。
【0025】
該デマンドレギュレーターは呼吸における少なくとも一部の所定位相を検知し得る機能を有した呼吸位相検知手段と、該自動開閉弁手段の開閉を制御するための制御手段と、該自動開閉弁手段とから基本的に構成される。
【0026】
該呼吸位相検知手段としては、従来より、(イ)吸気・呼気の温度差を検知する方式;(ロ)胸部に巻き付けたバンド(帯)内に、その伸縮を検知し電気信号に変換するセンサーを設けて、胸部の動きを検知する方式(レスピーグラフ);(ハ)吸気・呼気により、気体の流れや圧力の変化を検知する、流量検知方式;が知られており、いずれも使用可能であるが、簡便には上記導管端部のカニューラ部分における気体の圧力を検出することにより達成出来る。
【0027】
該自動開閉弁手段は、制御手段からの信号により導管内の気体流を停止したり、流通させたり出来るものであればいかなるものでもよい。例えば、空気圧によりバルブを開閉するエアーバルブ式及び電気エネルギーによりバルブを開閉する電磁弁が例示出来るが、簡便には電磁弁を用いることが出来る。
【0028】
該制御手段は、呼吸位相検知手段から送られてきた呼吸信号を基礎として吸気相開始部及び呼気相開始部を認識する手段、自動開閉弁手段の開閉時間を設定する手段並びに開閉調節手段から基本的に構成される。
【0029】
本発明における吸気相開始部を認識する手段は、呼吸位相検知手段から送られてきた呼吸信号の絶対値をもとにして認識する方式をとることが出来る。例えば、呼吸位相検知手段としてカニューラ部分における気体の圧力を検知する方法を利用した場合、圧力値が0Pa近傍である場合を吸気相開始部と認識することが出来る。
【0030】
また吸気開始部の別の認識方式として、呼吸位相検知手段から送られてきた呼吸信号の絶対値及びその時間変化量をもとにして認識する方式をとる事が出来る。例えば、呼吸位相検知手段としてカニューラ部分における気体の圧力を検知する方法を利用した場合、圧力値が0Pa近傍であり、かつ、圧力値の時間変化量が一定値以下、例えば−50Pa/sec以下である場合に吸気相開始部と認識することが出来る。
【0031】
本発明における呼気相開始部を認識する手段は、呼吸位相検知手段から送られてきた呼吸信号の絶対値が吸気相側から呼気相側に基準値を超えた時点を呼気相開始部と認識するものであり、例えば、呼吸位相検知手段としてカニューラ部分における気体の圧力を検知する方法を利用した場合、圧力値がマイナス側からプラス側に0Paを超えた時点を呼気相開始部と認識するものである。
【0032】
この呼気相開始部の認識にあたっては、ノイズによる誤認識を回避するため、呼吸信号が吸気相側から呼気相側に基準値を超えても呼気相開始部と断定せず、一旦、仮の呼気相開始部と認識しておき、その後、呼吸信号が基準値より呼気相側にある予め定めた呼気判断閾値より呼気相側にある時間が予め定めた呼気判断時間以上継続した場合、真の呼気相開始部と認識するようにする。
【0033】
例えば、呼吸位相検知手段としてカニューラ部分における気体の圧力を検知する方法を利用した場合には、圧力値がプラス側の値(例えば3Pa)を超える時間が、50ms以上継続した場合に、一旦認識した仮の呼気相開始部を真の呼気相開始部と認識するようにする。
【0034】
このとき、真の呼気相開始部と認識する前、即ち仮の呼気相開始部と認識している状態で、呼吸信号が、基準値または基準値より吸気相側にある予め定めたノイズ判断閾値より吸気相側にある時間が予め定めたノイズ判断時間以上継続した場合、一旦認識した仮の呼気相開始部をノイズとして破棄し、次に呼吸信号が吸気相側から呼気相側に基準値を超える時点を仮の呼気相開始部と再認識する。
【0035】
例えば、呼吸位相検知手段としてカニューラ部分における気体の圧力を検知する方法を利用した場合には、圧力値が0Paを下回る時間が150ms以上継続した場合に、一旦認識した仮の呼気相開始部をノイズとして破棄し、次に呼吸信号が吸気相側から呼気相側に基準値を超える時点を仮の呼気相開始部と認識し直すようにする。
【0036】
これにより、ノイズを呼気相開始部と誤認識することを回避することが出来る。また、回避にあたって、呼気相開始部の認識基準、即ち、呼吸信号が吸気相側から呼気相側に基準値を超えた時点を呼気相開始部と認識するという基準は厳しくしていないため、呼気相開始部の認識に遅延を来たすことはない。
【0037】
本発明における吸気相開始部及び呼気相開始部を認識する手段は、吸気相開始部を認識してから呼気相開始部を認識するまでの間、及び呼気相開始部を認識してから予め定めた時間が経過するまでの間は次の吸気相開始部の認識を行わないことを特徴とし、この時間の設定にあたっては、一定時間、例えば200msecとすることも出来るが、呼吸周期に合せ、例えば前回の呼気相の期間の1/10とするほうが望ましい。この呼気相の期間は数回分の平均を取ったものでもよい。
【0038】
前述のように、呼気相開始部の認識の際にノイズを除去することが出来るため、吸気相を認識しない期間を正しく設定することができ、吸気相開始部以外の吸気相の途中の部分やノイズを吸気相開始部と誤認識することも回避することが出来る。また、呼気相開始部の認識に遅延を来たすことがないため、吸気相開始部を認識しない期間も素早く設定することができ、呼吸周期の変化に追従して次の吸気相開始部を認識することが可能となる。また、吸気相開始部の認識基準を厳しくすることもないため、吸気相開始部の認識に遅延を来たすこともない。
【0039】
このようにして、吸気相開始部以外の吸気相の途中の部分及びノイズを吸気相開始部と誤認識せず、使用者の呼吸周期の変化にも追従して、吸気相開始部の認識を誤りなく、かつ、素早く行うことができ、酸素の無駄な放出、及び使用者の不快感を低減することが可能となる。
【実施例】
【0040】
図1は、本発明の呼吸用気体供給装置の好ましい実施形態の一例を示したものである。即ち、呼吸用気体の発生手段である酸素ボンベ1から出た酸素は、容器弁2、減圧弁3を経て、オリフィス型流量設定器4、自動開閉弁5を備えた導管手段6を通って、開放型供給手段である鼻カニューラ7から放出される。
【0041】
導管手段6からの分岐に設けられたダイアフラム式の微圧変動センサーを備えた呼吸位相検知手段8により呼吸における圧力変動が静電容量の変動に変換され、制御手段9に伝達される。
【0042】
制御手段9は、呼吸位相データを変換し、吸気相開始部を認識した時点で自動開閉弁5を開き、自動開閉弁5の開時間を演算するとともに演算した時間の間、自動開閉弁5を「開」に保った後、自動開閉弁5を閉じる。
【0043】
その後、呼気相開始部を認識するまでの間、及び呼気相開始部を認識してから前回の呼気時間の1/10が経過するまでの間、次の吸気相開始部の認識を行わず、かかる時間の後、次の吸気相開始部の認識を試み始める。
【0044】
図2は本発明における吸気相開始部及び呼気相開始部の認識の一例を説明した図である。まず、吸気相開始部aを認識する。この時点では呼気相開始部が認識されていないため、次の吸気相開始部の認識は行わず、従って、吸気相開始部以外の吸気相の途中の部分を吸気相開始部と誤認識することはない。
【0045】
次に、呼吸信号が吸気相側から呼気相側へ基準値を超えた時点bを仮の呼気相開始部と認識する。この時点では次の吸気相開始部の認識を行わない期間は仮の呼気相開始部bに前回の呼気相の期間の1/10を加えた期間、即ち、図中でbの時点での吸気相開始部を認識しない期間と示している期間となる。
【0046】
その後、呼吸信号は呼気判断閾値を超えることなく、再び吸気相側へ移動しているため、仮の呼気相開始部bを真の呼気相開始部とは見なさない。また、吸気相開始部を認識しない期間に入っているため、この部分を次の吸気相開始部と認識することもない。
【0047】
吸気相側へ移動した後、ノイズ判断閾値、この例では基準値と同じ値より吸気相側にある時間がノイズ判断時間以上となったため、仮の呼気相開始部bを破棄し、次に吸気相側から呼気相側へ移動した点cを仮の呼気相開始部として認識し直す。
【0048】
この時点で、次の吸気相開始部の認識を行わない期間は仮の呼気相開始部cに前回の呼気相の期間の1/10を加えた期間、即ち、図中でcの時点での吸気相開始部を認識しない期間と示している期間となり、仮の呼気相開始部がbからcに変わった分だけ延長されたことになる。
【0049】
その後、もう一度吸気相側へ移動するが、吸気相開始部の認識を行わない期間が延長されているため、この部分を次の吸気相開始部と認識することはない。また、今度はノイズ判断閾値より吸気相側にある時間がノイズ判断時間に達しないため、仮に認識された呼気相開始部cを破棄せず、このため、次にもう一度呼気相側へ移動した点dを呼気相開始部と認識し直さず、cが仮の呼気相開始部と認識されたままとなる。
【0050】
続いて、呼気判断閾値より呼気相側にある時間が呼気判断時間以上になった時点eで仮の呼気相開始部cが真の呼気相開始部と認識される。
【0051】
次の吸気相開始部は、吸気相開始部の認識を行わない期間、即ち、図中でcの時点での吸気相開始部を認識しない期間と示している期間が過ぎた後、呼吸信号が吸気相側へ移動した時点fと認識される。
【符号の説明】
【0052】
1.酸素ボンベ
2.容器弁
3.減圧弁
4.オリフィス型流量設定器
5.自動開閉弁
6.導管手段
7.鼻カニューラ
8.呼吸位相検知手段
9.制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸用気体の発生手段と、一端が該発生手段に連通し他端に該呼吸用気体の開放型供給手段を有し、途中に自動開閉弁手段を有した導管手段、呼吸における少なくとも一部の所定位相を検知し得る呼吸位相検知手段、該検知手段の検知結果である呼吸信号に基づいて該自動開閉弁手段の開閉を制御する制御手段を備えた呼吸同調型気体供給装置において、該制御手段が吸気相開始部と呼気相開始部を認識する認識手段を有し、該認識手段が吸気相開始部を認識してから呼気相開始部を認識するまでの間及び呼気相開始部を認識してから予め定めた時間が経過するまでの間は次の吸気相開始部の認識を行わないことを特徴とする呼吸同調型気体供給装置。
【請求項2】
該認識手段が、該呼吸同調型気体供給装置を大気開放したときの呼吸信号の値を基準値とし、呼吸信号が吸気相側から呼気相側に該基準値を超えた時点を呼気相開始部と認識することを特徴とする請求項1に記載の呼吸同調型気体供給装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−207644(P2010−207644A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−149926(P2010−149926)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【分割の表示】特願2003−53181(P2003−53181)の分割
【原出願日】平成15年2月28日(2003.2.28)
【出願人】(000003001)帝人株式会社 (1,209)