説明

呼気成分検出装置

【課題】使い勝手は維持しつつ、好適に滞留する呼気ガスの排出処理を行える呼気成分検出装置を提供することを課題とする。
【解決手段】呼気成分検出装置は、運転者の呼気成分を検知する呼気検知センサー12と、呼気の吸入口である呼気口11と、呼気の排気口である排気口14とを備える呼気検知センサー部10を有し、呼気成分を検出する呼気成分検出装置であって、呼気検知センサー部10は、呼気検知センサー部10の排気口14側を車両用エアコンの吹き出し口に向けられて、車両用エアコンの吹き出し口前に、設置されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼気成分検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、安全運転の観点から、例えば運転者の呼気や唾液、血液等に含まれるアルコールを検出するための検査機器を運転席付近に配設し、当該機器を用いたアルコール検査により運転者が酒気帯び状態や飲酒状態でないことが確認されなかった場合に、飲酒運転を抑制するための動作を行なう装置について研究が進められている。
【0003】
運転者の呼気に基づいてアルコール検査を行う場合には、例えば、車両始動時等に、非接触型である呼気ふきかけタイプの呼気センサーで、運転者の呼気に含まれるアルコールを検出し、運転者が酒気帯び状態や飲酒状態であることを確認する。呼気センサーでアルコール反応を確認し、アルコール反応がない場合、即ち、運転者が飲酒状態でないという判定結果を得た場合には、エンジン始動を許可する。
【0004】
こうした呼気成分を検出する装置の一例として、呼気の到達距離の変化により呼気成分の検出精度の低下を防止する呼気成分検出装置ついての発明が開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に係る発明によれば、呼気成分を検出するにあたって、運転者の座る座席と呼気成分を吸引する吸引部との距離に応じて吸引に係る空気流量を増大側に可変することにより、呼気の到達という精度を向上させることができる。
【0005】
このような発明からも呼気センサーの呼気成分検出精度を向上させることは、呼気センサーに関する発明においての課題であるが、他にも検出精度を阻害するものとして、呼気センサー内に滞留・付着した呼気ガス(非検出ガス)の問題がある。特にアルコール検査後など、呼気センサー周囲に呼気ガスが溜まると、あらたな呼気の検出の精度に影響を及ぼすことがある。また、呼気センサー周囲に溜まった呼気ガスは、呼気センサーの温度が下がると呼気センサー周囲に付着してしまい、呼気の検出の精度に影響を及ぼす。
【特許文献1】特開平7−113774号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の技術や特許文献1に係る発明では、滞留する呼気ガスの排出処理について配慮した呼気センサーのレイアウト、配置の点で十分でなかった。即ち、呼気センサー周囲に滞留した呼気ガスをファン等で排出するにあたって、レイアウト的に十分なスペースが必要である。また、ファン等からゴミや液体が入らないようにすることなどを考慮すると、呼気センサーは、ユーザが呼気を吹きかけやすい場所であることを前提として、なるべく露出しない隠れた場所に配置される必要がある。
【0007】
例えば、コラム上、ダッシュボード上に置いた場合、ゴミが入らないようにするためには、例えば排気口を下向きにするしかなく、排気のための十分なスペースも狭いため排気能力は低い。とはいえ、排気口を下向きにした設置場所、例えばコラム下に設置すると排気スペースは確保できるが、反面、ユーザは呼気を吹きかけにくく使い勝手が低下してしまう。
【0008】
そこで本発明では上記のような問題に鑑みて、使い勝手は維持しつつ、好適に滞留する呼気ガスの排出処理を行える呼気成分検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、第1の発明に係る呼気成分検出装置は、運転者の呼気成分を検知する呼気検知センサーと、呼気の吸入口である呼気口と、呼気の排気口である排気口とを備える呼気検知センサー部を有し、前記呼気成分を検出する呼気成分検出装置であって、前記呼気検知センサー部は、前記呼気検知センサー部の前記排気口側を車両用エアコンの吹き出し口に向けられて、前記車両用エアコンの吹き出し口前に、設置されることを特徴とする。
【0010】
第2の発明は、第1の発明に係る呼気成分検出装置において、前記呼気検知センサーに付着した呼気成分を排除する脱ガス処理を行う脱ガス処理手段とを有し、前記脱ガス処理手段により脱ガス処理されて前記呼気検知センサー周囲に滞留した呼気の排気は、前記車両用エアコンの吹き出しによって行われることを特徴とする。
【0011】
第3の発明は、第2の発明に係る呼気成分検出装置において、車内の室温を検出する室温検出手段とを有し、前記脱ガス処理手段は、前記室温検出手段により検出された室温に基づいて、前記車両用エアコンの冷房運転によって車内の室温が一定になったと判定したとき、前記脱ガス処理を行うことを特徴とする。
【0012】
第4の発明は、第2又は3の発明に係る呼気成分検出装置において、車内の騒音値を検出する騒音検出手段とを有し、前記脱ガス処理手段は、前記騒音検出手段により検出された車内の騒音値が所定値一定であると判定したとき、前記脱ガス処理を行うことを特徴とする。
【0013】
第5の発明は、第2ないし4いずれかの発明に係る呼気成分検出装置において、運転者の顔の画像を取得する顔監視カメラとを有し、前記顔監視カメラにより取得された前記画像から、前記運転者の視線及び視線の前方停留時間を判定する視線判定手段とを有し、前記脱ガス処理手段は、前記視線判定手段により判定された前記運転者の視線の前方停留時間が所定時間以上であると判定したとき、前記脱ガス処理を行うことを特徴とする。
【0014】
第6の発明に係る呼気成分検出装置は、車両の備える発熱器と当該発熱器を車内から吸気して冷却する冷却ファンとに通じる冷却吸気口を車室に備える前記車両に搭載され、運転者の呼気成分を検知する呼気検知センサーと、呼気の吸入口である呼気口と、呼気の排気口である排気口とを備える呼気検知センサー部を有し、前記呼気成分を検出する呼気成分検出装置であって、前記呼気検知センサー部は、前記呼気検知センサー部の前記排気口側を前記冷却吸気口に向けられて、前記冷却吸気口前に、設置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、使い勝手は維持しつつ、好適に滞留する呼気ガスの排出処理を行える呼気成分検出装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【0017】
<実施例1>
(概要)
はじめに、本実施例の呼気成分検出装置1について、図1を用いて簡単に概要を説明する。呼気成分検出装置1は、呼気を検知するセンサーである呼気検知センサー部10と、呼気検知センサー部10で検知された呼気から呼気成分を検出する呼気成分検出部20とからなる呼気成分を検出するための装置である。例えば、運転者の呼気に含まれるアルコール成分やアルコール濃度を検出可能な装置である。このことから、呼気成分検出装置1は、飲酒運転防止支援装置の一部として使用されることが多い。飲酒運転防止支援装置を司る制御部である飲酒運転防止支援装置用ECU(Electric Control Unit)40は、例えば、ACCオン信号がイグニッションスイッチから入力されたとき等、車両システムの起動時において、呼気成分検出装置1の呼気口(呼気吹き込み口)に呼気を吹き込んでアルコール検査を受けるように、HMI(Human Machine Interface)等のユーザインターフェース装置を用いて運転者に促す。そして、呼気検知センサー部10及び呼気成分検出部20により検出された呼気中のアルコール濃度が飲酒基準値未満である場合には、イグニッションスイッチからイグニッションオン信号が入力されるとこれを通過させてエンジンコントロールコンピューターに出力する状態(以下、走行許可状態と称する)となる。一方、検出された呼気中のアルコール濃度が飲酒基準値以上である(運転者が飲酒状態である)場合には、イグニッションスイッチからイグニッションオン信号が入力されてもエンジンコントロールコンピューターには出力しない状態(以下、走行禁止状態と称する)となる。このように、呼気成分検出装置1は、飲酒運転防止支援装置の一部として使用され、呼気成分を検出する機能を提供する。該呼気成分検出装置1により検出された呼気成分に基づいて、運転者のアルコール飲酒状態が判定されることとなる。
【0018】
(構成)
次に、本実施例の呼気成分検出装置1の一実施例の構成について、図1、2を参照して説明する。本実施例の呼気成分検出装置1は、上述の如く、呼気を検知するセンサーである呼気検知センサー部10と、呼気検知センサー部10で検知された呼気から呼気成分を検出する呼気成分検出部20とからなる。また、呼気検知センサー部10は、呼気口11、呼気検知センサー12、排気用ファン13、及び排気口14を含む構成である。
【0019】
呼気口11は、運転者が呼気を吹き込む口である。呼気検知センサー12は、呼気口11から吹き込まれた呼気を検知するセンサーで、例えば、半導体を用いたセンサーである。呼気成分、例えば、アルコール成分やアルコール濃度を検知して、アルコール濃度に応じた電圧のアルコール濃度検出信号を、アナログ/デジタル変換器等を介して、呼気成分検出部20に供給する。センサーには、例えば、実際に人間の呼気が吹き込まれたことを確認するための圧力センサーや湿度センサー、及び呼気中のアルコール濃度を測定するアルコールガスセンサーを含むものとする。なお、呼気口11側が、呼気検知センサー部10の前面、呼気口11に対向した排気用ファン13及び排気口14側が、呼気検知センサー部10の背面である。
【0020】
また、呼気検知センサー12には、ヒータが内蔵されている。内蔵ヒータは、当該センサー周囲に付着した呼気成分(以下、呼気検知センサー12周囲に付着した呼気成分を付着成分という)を熱により除去するために用いられる。排気用ファン13は、呼気検知センサー部10内部に滞留した運転者の呼気(以下、滞留ガスという)を呼気検知センサー部10から排気するためのファンである。図2に示すように、呼気口11に対向する排気口14の部分に配置されている。呼気検知センサー12周囲に滞留ガスが溜まると、あらたな呼気の検知の精度に影響を及ぼすことがある。また、呼気検知センサー12周囲に溜まった滞留ガスは、呼気検知センサー12の温度が下がると呼気検知センサー12周囲に付着してしまい、呼気の検出の精度に影響を及ぼす。したがって、排気用ファン13は、呼気検知センサー12周囲の滞留ガスを排出し、内蔵ヒータは、呼気検知センサー12周囲に付着した付着成分を除去する。
【0021】
(設置)
図2に示すように、本実施例の呼気成分検出装置1の有する呼気検知センサー部10は、呼気検知センサー部10の背面(排気口14側)を、エアコン吹き出し口に向けて、エアコン吹き出し口前に設置されている。設置においては、例えば、接続具等で、エアコン吹き出し口のスイング部やその周辺接続されてもよいし、自動車用ドリンクホルダーのようにエアコン吹き出し口のスイング部に接続されてもよい。一方、呼気成分検出部20については、呼気検知センサー部10からの検出信号を受信できる限り任意の位置に設置されればよい。
【0022】
(ガス排気処理)
以上説明した本実施例の呼気成分検出装置1の構成において、運転者に吹き込まれた呼気ガスが呼気検知センサー部10から排気される様子について説明する。説明において参照する図面は、図2、3、6である。
【0023】
まず、図6を用いて、本実施例の呼気成分検出装置1の有する呼気検知センサー部10を、例えば、車内のダッシュボードの上に設置した場合の、呼気ガスが呼気検知センサー部10から排気される様子について説明する。図6に示すように、運転者が、呼気を呼気口11に呼気を吹き込むと、呼気検知センサー12は、呼気成分、例えば、アルコール成分やアルコール濃度を検知して、アルコール濃度に応じた電圧のアルコール濃度検出信号を、アナログ/デジタル変換器等を介して、呼気成分検出部20に供給する。
【0024】
一方、検査された呼気ガスは、そのまま排気用ファン13により呼気検知センサー部10の排気口14から排出される。呼気検知センサー部10の背面、後方には、フロントガラスがあるので、排気がフロントガラスに阻まれ、十分に呼気ガスを排出することができない(呼気ガスはスムースに外に抜けることができない)。排出されなかった呼気ガスは、呼気検知センサー部10内に滞留ガスとなって呼気検知センサー12周辺に滞留する。滞留した滞留ガスは、呼気検知センサー12が冷えるにつれて、センサーに付着することもある。付着した付着成分は、脱ガス処理により、定期的に、例えば、走行中などに、除去される必要がある。呼気検知センサー部10の内蔵ヒータにより、センサー周囲に付着した付着成分は、熱により除去されるが、付着成分から再度ガスとなった滞留ガスは、呼気検知センサー部10から外に排気される必要があり、やはり滞留ガスの排出は十分行われない。
【0025】
次に、本実施例の呼気成分検出装置1の有する呼気検知センサー部10を、上述の如く、エアコン吹き出し口前に設置した場合の、呼気ガスが呼気検知センサー部10から排気される様子ついて説明する。まず、図2に示すように、運転者が、呼気を呼気口11に呼気を吹き込むと、呼気検知センサー12は、呼気成分、例えば、アルコール成分やアルコール濃度を検知して、アルコール濃度に応じた電圧のアルコール濃度検出信号を、アナログ/デジタル変換器等を介して、呼気成分検出部20に供給する。
【0026】
一方、検査された呼気ガスは、そのまま排気用ファン13により呼気検知センサー部10の排気口14から排出される。排出された呼気ガスは、エアコン吹き出し口を通過し、エアコンダクト内部の広いスペースに逃がされる。また、呼気検知センサー部10内に一部滞留ガスとなって呼気検知センサー12周辺に滞留する。滞留した滞留ガスは、呼気検知センサー12が冷えるにつれて、センサーに付着することもある。
【0027】
付着した付着成分は、脱ガス処理により、定期的に、例えば、走行中などに、除去される必要がある。呼気検知センサー部10の内蔵ヒータにより、センサー周囲に付着した付着成分は、熱により除去されるが、図3に示すように、本実施例の呼気成分検出装置1の有する呼気検知センサー部10を、エアコン吹き出し口前に設置した場合、排気用ファン13による排気だけでなく、エアコンの吹き出し(送風機能)によって、脱ガス処理された滞留ガスを排気させる。
【0028】
本実施例の呼気成分検出装置1によれば、呼気検知センサー部を、エアコン吹き出し口前に設置するので、呼気検知センサー部背面のエアコンダクト内部の広いスペースを排気スペースとすることができる。これにより、呼気検知センサー部内に滞留する滞留ガスの排出スペースを確保できるので、呼気成分検出検査後の呼気(呼気ガス)の滞留を防ぐことができる。
【0029】
また、呼気検知センサーに付着した呼気成分を、定期的に発熱による脱ガス処理を行う場合には、排気性能を向上させる必要がある。排気性能を向上されるには、ポンプ等で吸い込むなどの手法も考えられるが、部品追加によるコストアップと搭載位置の制約を増やすことになるので得策ではない。本発明によれば、呼気検知センサー部を、エアコン吹き出し口前に設置するので、走行中(運転中)の定期的な脱ガス処理時に、呼気成分検出装置の有する排気用ファンだけでなく、エアコンの吹き出し(送風機能)により、滞留ガスの排気性能を向上させることができる。
【0030】
<実施例2>
(脱ガス処理)
次に、本実施例の呼気成分検出装置2が行う脱ガス処理について詳しく説明する。脱ガス処理は、呼気検知センサー部10内の呼気検知センサー12周囲に付着した呼気成分を内蔵ヒータによる熱で除去する処理である。排出されなかった呼気ガスは、呼気検知センサー部10内に滞留ガスとなって呼気検知センサー12周辺に滞留する。滞留した滞留ガスは、呼気検知センサー12が冷えるにつれて、付着成分となって呼気検知センサー12に付着してしまい、センサーの精度を下げる要因となるので、脱ガス処理により、定期的に、例えば、走行中(運転中)などに、付着成分は除去される必要がある。
【0031】
脱ガス処理時、内蔵ヒータは、例えば、200度以上の高温に熱される。熱された付着成分は、呼気検知センサー12周囲から除去され、再度滞留ガスとなり排出されるが、エアコンの吹き出しにより排出されるこの滞留ガスもまた熱風となっている。これは、運転者にとって、特に夏場は煩わしい。また、オートエアコン機能を使用した場合、室温調整するためにエアコン温度と出力とが制御されているにもかかわらず、脱ガス処理によって排出される滞留ガスが高温となることにより、目標の室温になりにくい。
【0032】
また、脱ガス処理より、通電による呼気検知センサー部10搭載の排気用ファン13の動作音や、エアコンによる脱ガス排気時に、排出される高温な滞留ガスによって、室温を安定するためにエアコンの出力が変わることによる音によって、ドライバが不快に感じること、もしくは運転者の注意が呼気検知センサー部10側に向けられることがあり、運転の妨げになり得る。
【0033】
これらを踏まえて、本実施例の呼気成分検出装置2が行う脱ガス処理について、図4を用いて説明する。
【0034】
本実施例の呼気成分検出装置2は、実施例1で説明した呼気成分検出装置1においてさらに、脱ガス処理制御部30、室温検出部31、騒音検出部32、視線判定部33、及び顔監視カメラ34を有する構成である。
【0035】
脱ガス処理制御部30は、脱ガス処理を司る制御部であって、呼気検知センサー部10に脱ガスを行うよう命令信号を出力する。脱ガス処理制御部30は、脱ガス処理を行うべきタイミングを判断した上で、該命令信号を出力する。脱ガス処理を行うべきタイミングは、後述する室温検出部31、騒音検出部32、視線判定部33からの信号に基づいて、判断される。脱ガス処理の命令信号が、脱ガス処理制御部30から呼気検知センサー部10へ出力されると、呼気検知センサー部10の内蔵ヒータが熱せられ、例えば、呼気検知センサー12周囲に付着した付着成分が除去される。再び滞留ガスとなった呼気ガスは、エアコンの吹き出し(送風機能)により、排気される。
【0036】
室温検出部31は、車内の室温を検出する。騒音検出部32は、車内における音(騒音)を検出する。視線判定部33は、顔監視カメラ34で撮像された運転者の顔画像から、特に視線に関する画像情報を解析し、運転者の視線が前方へ向いているかの判定する。室温検出部31、騒音検出部32、視線判定部33で検出、判定された情報は信号として、脱ガス処理制御部30に出力される。
【0037】
図5は、脱ガス処理制御部30が行う脱ガス処理のタイミングの決定を説明するフローチャートである。
【0038】
ステップS501において、脱ガス処理制御部30は、室温検出手段により検出された室温に基づいて、車両用エアコンの冷房運転によって車内の室温が一定になったかどうかを判定する。冷房によって、室温が一定となれば、脱ガス処理を行っても、脱ガス処理による室温の変化の妨げを小さくすることができる。また、快適な室温の妨げも小さくすることができる。脱ガス処理制御部30で、車内の室温が一定となった判定されれば、「Y(Yes)」に進む。
【0039】
ステップS502に進み、脱ガス処理制御部30は、車内の騒音値が一定以上かどうかを判定する。これは、騒音検出部32による信号により判定される。車内の騒音値が一定以上であれば、脱ガス処理に伴う音は、騒音に紛れるので、脱ガス処理による運転集中の妨げを低減することができる。脱ガス処理制御部30で、車内の騒音値が一定以上と判定されれば、「Y(Yes)」に進む。
【0040】
ステップS503に進み、脱ガス処理制御部30は、前方への視線停留時間が一定以上
であるかどうかを判定する。これは、視線判定部33による信号により判定される。顔監視カメラ34は、運転者の顔画像を撮像する。撮像された顔画像は、視線判定部33に渡され、視線に関する画像情報を解析し、運転者の視線が前方へ向いているかの判定をして、判定結果を脱ガス処理制御部30に渡す。脱ガス処理制御部30で、前方への視線停留時間が一定以上と判定されれば、「Y(Yes)」に進む。運転者の視線の前方への停留時間が長い場合であれば、運転者は運転に集中していると考えられ、脱ガス処理による運転集中の妨げを低減することができる。
【0041】
ステップS504に進み、脱ガス処理制御部30は、呼気検知センサー部10に脱ガス処理を行うよう命令信号を出力する。そして、呼気検知センサー部10は、脱ガス処理を行う。脱ガス処理においては、脱ガス処理の命令信号が、脱ガス処理制御部30から呼気検知センサー部10へ出力される。すると、呼気検知センサー部10の内蔵ヒータが熱せられ、例えば、呼気検知センサー12周囲に付着した付着成分が除去される。再び滞留ガスとなった呼気ガスは、エアコンの吹き出し(送風機能)により、排気される。
【0042】
なお、ステップS501、ステップS502、ステップS503の条件をすべて満たしたときに、脱ガス処理制御部30は、呼気検知センサー部10に脱ガスを行うよう命令信号を出力する構成として説明を行ったが、ステップS501、ステップS502、ステップS503のいずれか1つの条件を満たしたときに、脱ガス処理制御部30は、呼気検知センサー部10に脱ガスを行うよう命令信号を出力する構成としてもよい。また、ステップS501、ステップS502、ステップS503のいずれか2つを組み合わせても良い。
【0043】
以上、本実施例による呼気成分検出装置2によれば、エアコンの冷房運転により室温が一定になってから、脱ガス処理が行われるので、脱ガス処理による室温の変化の妨げ、快適な室温の妨げを小さくすることができる。また、車内の騒音が一定値以上になってから、脱ガス処理が行われるので、脱ガス処理に伴う音は騒音に紛れ、脱ガス処理による運転集中の妨げを低減することができる。また、前方への視線停留時間が一定以上になってから、脱ガス処理が行われるので、運転者の視線の前方への停留時間が長い場合であれば、運転者は運転に集中していると考えられ、脱ガス処理による運転集中の妨げを低減することができる。
【0044】
<変形例>
本変形例の呼気成分検出装置1の一実施例の構成について、図7を参照して説明する。本変形例においては、上述した実施例と比べ、呼気成分検出装置1設置される場所が異なるものである。以下、説明する。なお、本変形例の呼気成分検出装置1は、上述のしたとおりであるのでここでは説明を省略する。
【0045】
(設置)
図7に示すように、本変形例の呼気成分検出装置1の有する呼気検知センサー部10は、呼気検知センサー部10の背面(排気口14側)を、冷却吸気口701に向けて、冷却吸気口701前に設置されている。
【0046】
冷却吸気口701は、ダクト702を介して、冷却ファン703及びバッテリ704(又はバッテリケース)に通じている。バッテリ704は、例えば、HV用の高圧バッテリ(蓄電装置)である。車室から冷却風が車室内に配置された冷却吸気口701から取り込まれて(吸気されて)、バッテリ704は、冷却風により冷却されて、冷却風は車室内(又は車室外)に排気される構成である。
【0047】
次に、本変形例の呼気成分検出装置1の有する呼気検知センサー部10を、上述の如く、冷却吸気口701前に設置した場合の、呼気ガスが呼気検知センサー部10から排気される様子ついて説明する。まず、図7に示すように、運転者が、呼気を呼気口11に呼気を吹き込むと、呼気検知センサー12は、呼気成分、例えば、アルコール成分やアルコール濃度を検知して、アルコール濃度に応じた電圧のアルコール濃度検出信号を、アナログ/デジタル変換器等を介して、呼気成分検出部20に供給する。
【0048】
一方、検査された呼気ガスは、そのまま排気用ファン13により呼気検知センサー部10の排気口14から排出される。排出された呼気ガスは、冷却吸気口701を通過し、ダクト702内部の広いスペースに逃がされる。
【0049】
本変形例の呼気成分検出装置1によれば、呼気検知センサー部を、冷却吸気口前に設置するので、呼気検知センサー部背面のダクト内部の広いスペースを排気スペースとすることができる。これにより、呼気検知センサー部内に滞留する滞留ガスの排出スペースを確保できるので、呼気成分検出検査後の呼気(呼気ガス)の滞留を防ぐことができる。
【0050】
なお、本変形例では、発熱器の一例としてバッテリの例を用いて説明を行ったが、例えば、キャパシタ、コンバータ及びインバータなどの電子変換素子などの電子機器等の温度調節を行うための吸気口(ダクトを介しファンに通じる吸気口)の前に呼気検知センサー部は設置されてもよい。また、客室内の換気用の吸気口前でも本発明を適用可能である。この吸気口は、運転者が呼気を吹きかけやすい位置に設置されることが好ましい。
【0051】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明は、上述した実施例に制限されることなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0052】
なお、図1では、説明の都合上、脱ガス処理制御を行う制御部を明示していないが、図1における呼気成分検出装置は、脱ガス処理制御を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、自動車製造業や自動車部品製造業等に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】呼気成分検出装置1の全体構成の一例を示す図である。
【図2】呼気ガスが呼気検知センサー部10から排気される様子について説明する図である。
【図3】滞留ガスが呼気検知センサー部10から排気される様子について説明する図である。
【図4】呼気成分検出装置2の全体構成の一例を示す図である。
【図5】脱ガス処理制御部30が行う脱ガス処理のタイミングの決定を説明するフローチャートである。
【図6】呼気ガスが呼気検知センサー部10から排気される様子について説明する図である。
【図7】変形例の呼気成分検出装置1が設置される様子について説明する図である。
【符号の説明】
【0055】
1 呼気成分検出装置
2 呼気成分検出装置
10 呼気検知センサー部
11 呼気口
12 呼気検知センサー
13 排気用ファン
14 排気口
20 呼気成分検出部
30 脱ガス処理制御部
31 室温検出部
32 騒音検出部
33 視線判定部
34 顔監視カメラ
40 飲酒運転防止支援装置用ECU
701 冷却呼気口
702 ダクト
703 冷却ファン
704 バッテリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者の呼気成分を検知する呼気検知センサーと、呼気の吸入口である呼気口と、呼気の排気口である排気口とを備える呼気検知センサー部を有し、前記呼気成分を検出する呼気成分検出装置であって、
前記呼気検知センサー部は、前記呼気検知センサー部の前記排気口側を車両用エアコンの吹き出し口に向けられて、前記車両用エアコンの吹き出し口前に、設置されること、
を特徴とする呼気成分検出装置。
【請求項2】
前記呼気検知センサーに付着した呼気成分を排除する脱ガス処理を行う脱ガス処理手段とを有し、
前記脱ガス処理手段により脱ガス処理されて前記呼気検知センサー周囲に滞留した呼気成分の排気は、前記車両用エアコンの吹き出しによって行われること、
を特徴とする請求項1に記載の呼気成分検出装置。
【請求項3】
車内の室温を検出する室温検出手段とを有し、
前記脱ガス処理手段は、前記室温検出手段により検出された室温に基づいて、前記車両用エアコンの冷房運転によって車内の室温が一定になったと判定したとき、前記脱ガス処理を行うこと、
を特徴とする請求項2に記載の呼気成分検出装置。
【請求項4】
車内の騒音値を検出する騒音検出手段とを有し、
前記脱ガス処理手段は、前記騒音検出手段により検出された車内の騒音値が所定値一定であると判定したとき、前記脱ガス処理を行うこと、
を特徴とする請求項2又は3に記載の呼気成分検出装置。
【請求項5】
運転者の顔の画像を取得する顔監視カメラとを有し、
前記顔監視カメラにより取得された前記画像から、前記運転者の視線及び視線の前方停留時間を判定する視線判定手段とを有し、
前記脱ガス処理手段は、前記視線判定手段により判定された前記運転者の視線の前方停留時間が所定時間以上であると判定したとき、前記脱ガス処理を行うこと、
を特徴とする請求項2ないし4いずれか一項に記載の呼気成分検出装置。
【請求項6】
車両の備える発熱器と当該発熱器を車内から吸気して冷却する冷却ファンとに通じる冷却吸気口を車室に備える前記車両に搭載され、運転者の呼気成分を検知する呼気検知センサーと、呼気の吸入口である呼気口と、呼気の排気口である排気口とを備える呼気検知センサー部を有し、前記呼気成分を検出する呼気成分検出装置であって、
前記呼気検知センサー部は、前記呼気検知センサー部の前記排気口側を前記冷却吸気口に向けられて、前記冷却吸気口前に、設置されること、
を特徴とする呼気成分検出装置。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate