説明

哺乳動物の繁殖支援プログラム、プログラム格納媒体、繁殖支援装置

【課題】雌に発情期がある哺乳動物の繁殖を支援するためのコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】現在日時取得ステップと、哺乳動物の雌雄それぞれのシーケンスデータを取得するステップと、雌の発情期における特定の状態の指定情報とその状態の日時指定情報と雌のシーケンスデータとに基づいて卵子の受精能強度の時間遷移を日時に対応付けして管理するステップと、所定の情報入力に応じて雄シーケンスデータにおける時系列を日時に対して相対移動させつつ、卵子と精子のそれぞれの受精能保持期間が重複する期間における卵子と精子のそれぞれの受精能強度の時間遷移に基づいて受精確率を求める受ステップとを実行させる哺乳動物の繁殖支援プログラムとしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば牛など、雌に発情期がある哺乳動物を繁殖させる際の授精適期や受精確率をコンピュータにより求めるためのコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
哺乳動物を繁殖させるためには、最も受胎しやすい時期に授精・受精を行わせる必要がある。周知のように動物の性周期には発情期があり、この発情期の適切な時期に授精(交尾)が行われないと受胎しない。また、その発情期が開始あるいは終了してから所定時間後に排卵があり受精可能状態となる。例えば、家畜としての牛は、普通、人工授精により繁殖させている。したがって、畜産農家などでは、飼育している雌牛を観察し、発情期の兆候を示したならば、その受胎可能時期までの時間を見越して人工授精する必要がある。なおここでは、雌の生殖器官内へ精子を注入することを授精とよび、精子と卵子が合体することを受精と呼ぶこととする。
【0003】
動物の性周期ついては、牛における一般的な受精理論を例に挙げると、雌の卵巣内では卵子が濾胞に包まれるように成長し、排卵間近になると卵巣表面にグラーフ氏濾胞となって隆起する。この濾胞の発育に伴って牛の外部徴候として発情徴候と呼ばれる生殖器および行動に変化が現れる。この発情徴候は約12時間で終了し、その終了後約12時間後に成長膨満し切ったグラーフ氏濾胞の濾胞膜が破れて排卵となる。そして、排卵された卵子は、卵管膨大部に下降し受精を待つ。卵子の受精能力(受精能)は、排卵後2時間程度経過すると次第に低下し、排卵後約12間後には老化して受精能を失う。
【0004】
一方精子は、雌の生殖器内に注入された後、約6時間を要して受精能を獲得しながら卵管膨大部に達し、ここで卵子に進入して受精が成立する。精子は、注入後約6時間掛けて受精能を獲得する。精子の受精能は、時間経過とともに次第に低下し、精子は、授精後約24時間で老化して受精能を失う。
【0005】
牛の繁殖が殆ど人工授精で行われている現状において、授精の時期が人の手に委ねられている以上、繁殖成績向上のためには、卵子や精子の受精能保持期間を勘案して最良の授精時期(授精適期)を決定する必要がある。なお、家畜の繁殖についての現状などは下記非特許文献に記載されている。
【非特許文献1】長澤 弘、他209名著,「養賢堂 新編 畜産大事典 1996年板」,1996年2月20日
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、発情開始時間の確認が難しく、実態として、授精適期は、発情発見時刻から発情終了時刻の推定、排卵時刻の推定という順序に従って判断することとなる。そのため、授精適期を精度よく特定することが難しい。授精適期の特定が人工授精の成果を左右する大きな要因であることは一般に広く認識されている。しかし、膨大な数の雌牛を飼育している畜産農家などの人工授精現場では、日々不規則な時間帯で異なる雌牛がばらばらに発情することになり、それぞれの雌牛ごとに授精適期を特定しなくてはならず、現実には授精適期は曖昧に決められがちになる。
【0007】
また、卵子と精子の生存期間や受精可能期間は単なる時間帯として理解されている場合が多く、卵子や精子の受精能の大小(強度)を十分に考慮して授精時期を決定していないのが実情である。例えば、排卵直後の卵子に授精6時間後の精子が遭遇するのも、排卵11時間後の卵子に授精23時間後の精子が遭遇するのも同じ確率で受胎するものと理解・錯覚されていることが多く、この現状が繁殖効率を低下させる要因ともなっている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題に鑑み本発明を創作した。本発明は、容易に哺乳動物の雌の性周期や雄の精子の受精能に関する時期や期間と、卵子や精子の受精能強度を把握し、受胎の可能性が高い受精タイミングや受精確率をコンピュータにより求める哺乳動物の繁殖支援プログラムを提供することを目的としている。
【0009】
本発明は、コンピュータにインストールされて実行されることで、雌に発情期がある所定の哺乳動物の繁殖を支援するコンピュータプログラムであって、前記コンピュータに、
現在の日時を取得する現在日時取得ステップと、
所定のデータ記憶資源にアクセスし、当該記憶資源に格納されている、所定の哺乳動物の雌における発情期の開始時点を起点とした性周期に関する時期や期間と卵子の受精能強度の時間遷移などの雌の受精機能シーケンスを記述した雌シーケンスデータと、前記哺乳動物の雄における授精タイミングを起点とした精子活動能力に関する時期や期間と精子の受精能強度の時間遷移などの雄の受精機能シーケンスを記述した雄シーケンスデータとを取得するシーケンスデータ取得ステップと、
雌の発情期における特定の状態の指定情報と、その状態の日時指定情報と、取得した前記雌シーケンスデータとに基づいて、排卵時期を起点とした卵子の受精能保持期間と、当該期間における卵子の受精能強度の時間遷移とを日時に対応付けして管理する卵子受精能強度管理ステップと、
所定の情報入力に応じて前記雄シーケンスデータにおける時系列を前記卵子受精能強度管理ステップにより対応付けした日時に対して相対移動させつつ、卵子と精子のそれぞれの受精能保持期間が重複する期間における卵子と精子のそれぞれの受精能強度の時間遷移に基づいて受精確率を求める受精確率取得ステップと、
を実行させる哺乳動物の繁殖支援プログラムとしている。
【0010】
また、前記受精確率取得ステップは、受精確率が100%となるように雄シーケンスデータを相対移動させるとともに、当該相対移動後の授精タイミングの日時をコンピュータに適宜に出力させる受精適期提示ステップを含む哺乳動物の繁殖支援プログラムとしてもよい。
【0011】
前記受精確率取得ステップにより求めた受精確率をコンピュータに適宜に出力させる受精確率提示ステップを含むとともに、前記受精確率取得ステップは、利用者入力により受け付けた授精タイミングの日時に基づいて前記雄シーケンスデータにおける時系列を前記卵子受精能遷移取得ステップにより対応付けした日時に対して相対移動させて前記受精確率を求める哺乳動物の繁殖支援プログラムとすることもできる。
【0012】
あるいは、受精確率取得ステップは、授精確率の指定入力を受け付け、当該指定の確率となる授精タイミング日時を雄シーケンスデータに基づいて求め、受精確率出力ステップは、当該授精タイミング日時をコンピュータに提示させる哺乳動物の繁殖支援プログラムとすることもできる。
【0013】
雌または雄、あるいは雌雄のシーケンスデータを編集可能にしてコンピュータに表示出力させるシーケンス表示ステップと、当該ステップにより表示させているシーケンスデータをユーザ入力に基づいて更新して記憶させるシーケンスデータ更新ステップとを含む哺乳動物の繁殖支援プログラムとすれば寄り好ましい。
【0014】
また本発明は、スライド式計算尺を模した図形として、固定的に表示させる計算尺本体と、固定尺を模して日時を目盛りとする時間尺と、時間尺に対して相対移動する滑尺を模して 計算尺表示ステップは、雌雄それぞれの受精機能シーケンスを目盛りとした雌尺と雄尺とをコンピュータに表示させるとともに、前記雌尺の目盛りとして、時間尺と同じ尺度で、前記雌の発情期における特定の状態に対応するタイミングの指示と、排卵時期を起点とした卵子の受精能保持期間における卵子の受精能強度を所定の色の面形状により表現した卵子受精能強度表示部とを表示させ、前記雄尺の目盛として、時間尺と同じ尺度で、授精タイミングの指示と、精子の受精能保持期間における精子の受精能強度を前記卵子受精能強度表示部とは異なる色の面形状により表現した精子受精能強度表示部とを表示させる計算尺表示ステップと、
前記計算尺表示ステップにより表示させている計算尺について、前記時間尺、雌尺、雄尺のそれぞれの目盛りを、GUIにより受け付けたユーザ入力に従って個別に計算尺本体に対して相対移動させる計算尺摺動表示ステップと、
計算尺摺動表示ステップによる雌尺と雄尺の移動操作に伴って、卵子受精能強度表示部の面と精子受精能強度表示部の面が重複する部分を受精可能期間として識別可能に表示させる受精可能期間識別表示ステップと、を含み、
前記卵子受精能強度管理ステップは、計算尺摺動表示ステップによる雌尺の時間尺の目盛りに対する相対移動操作に基づいて雌シーケンスデータを日時に対応付け、
前記受精確率取得ステップは、計算尺摺動表示ステップにより雌尺に対する相対移動操作を前記所定の情報として受け付ける、
ことを特徴とする哺乳動物の繁殖支援プログラムとすることもできる。
【0015】
本発明は、上記いずれかに記載の哺乳動物の繁殖支援プログラムを記録したプログラム格納媒体にも及んでいる。また、哺乳動物の繁殖を支援するための装置も本発明の範囲としており、当該装置は、雌に発情期がある所定の哺乳動物の繁殖を支援する繁殖支援装置であって、
現在の日時を取得する現在日時取得手段と、
所定のデータ記憶資源にアクセスし、当該記憶資源に格納されている、所定の哺乳動物の雌における発情期の開始時点を起点とした性周期に関する時期や期間と卵子の受精能強度の時間遷移などの雌の受精機能シーケンスを記述した雌シーケンスデータと、前記哺乳動物の雄における授精タイミングを起点とした精子活動能力に関する時期や期間と精子の受精能強度の時間遷移などの雄の受精機能シーケンスを記述した雄シーケンスデータとを取得するシーケンスデータ取得手段と、
雌の発情期における特定の状態の指定情報と、その状態の日時指定情報と、取得した前記雌シーケンスデータとに基づいて、排卵時期を起点とした卵子の受精能保持期間と、当該期間における卵子の受精能強度の時間遷移とを日時に対応付けして管理する卵子受精能強度管理手段と、
所定の情報入力に応じて前記雄シーケンスデータにおける時系列を前記卵子受精能強度管理ステップにより対応付けした日時に対して相対移動させつつ、卵子と精子のそれぞれの受精能保持期間が重複する期間における卵子と精子のそれぞれの受精能強度の時間遷移に基づいて受精確率を求める受精確率取得手段と、
を備えている。
【発明の効果】
【0016】
本発明の哺乳動物の繁殖支援プログラムによれば、コンピュータにより、容易に哺乳動物の雌の性周期や雄の精子の受精能に関する時期や期間と、卵子や精子の受精能強度を把握し、受胎の可能性が高い受精タイミングや受精確率を求めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
===繁殖支援プログラム===
本発明の繁殖支援プログラム(以下、支援プログラム)は、雌に発情期のある哺乳動物であれば適用可能である。本発明の実施例では、飼育されている牛の繁殖を支援することを目的とした支援プログラムについて説明する。図1(A)(B)に、牛の雌の性周期に関する各種指示や期間(雌の受精機能シーケンス)を記述した雌シーケンスデータ(A)と、雄の精子活動能力に関する時期や期間(雄の受精機能シーケンス)を記述した雄シーケンスデータ(B)の概略を示した。雌雄の受精機能シーケンス(1,20)における各種時点やタイミング(2〜8,21〜25)、期間(11,12,27)、および受精能強度が時系列に対応付けされて記述されている。ここでは、受精能強度の時間変化を、横軸に時間、縦軸に強度を取った折れ線グラフ(10,26)として概略的に表した。雌の受精機能シーケンス1については、発情期11における発情の程度も同様にして折れ線グラフ9にして示してある。なお、ここに示した牛の雌雄の受精機能シーケンスは、あくまでも1例であり、所定の受精理論に基づいている。
【0018】
本実施例における支援プログラムは、コンピュータにインストールされて実行されることで、所定の哺乳動物の雌雄それぞれの受精機能シーケンスに基づいて、授精適期や受精確率を求め、その求めた情報をコンピュータに適宜に表示あるいは印刷などによって出力させる。なお、支援プログラムのインストール対象としては、パーソナルコンピュータ(PC)はもちろん、PDA、JAVA実行環境を備えた携帯電話機など各種形態のコンピュータが採用できる。ASP用のコンピュータであってもよい。ASP用コンピュータに支援プログラムをインストールした場合、ユーザインタフェース環境は、アクセスしてきたブラウザとWebページを介して各種情報を入出力する形態となる。なお、当然のことながら、インストールされるコンピュータの形態に応じて機能を適宜に拡縮することができる。
【0019】
図2に本発明の実施例における支援プログラムによるコンピュータの処理の流れを示した。なお、支援プログラムがインストールされているコンピュータの外部記憶には、雌雄のシーケンスデータが記憶されていることとする。もちろん雌あるいは雄のシーケンスデータは、インターネット上のWWWサーバーが管理するデータベースなど、ネットワーク上の所定の記憶資源にダウンロード可能に用意されているものであってもよい。
【0020】
まず、コンピュータは、支援プログラムを実行すると、現在日時と雌雄のシーケンスデータとを読み込む(s1,s2)。そして、コンピュータのユーザインタフェースを介して雌の発情期における特定の状態に対応するタイミングとそのタイミングの発現日時とが入力されると、雌シーケンスデータにおける該当の特定の状態を指定の日時に一致させる(s3→s4)。それによって、雌の受精機能シーケンスにおける排卵時期や、その後の卵子の受精能保持期間、および当該受精能保持期間における卵子の受精能強度の時間遷移が日時に対応付けされる。
【0021】
また、支援プログラムは、雄シーケンスデータに基づいて精子の受精能保持期間における精子の受精能強度の時間遷移を管理し、ユーザ入力された特定の情報に基づいて、この雄シーケンスデータの全時系列を雌の受精機能シーケンスに対して相対移動させ、当該雄のシーケンスにおける授精タイミングや精子の受精能強度の時間遷移を日時に対応付ける(s5→s6)。例えば、授精タイミングの日時が入力されると、雄の受精機能シーケンスにおける授精タイミングの日時を当該入力日時に一致させる。それによって、雌雄それぞれの受精能保持期間が重複し、その重複期間が受精可能期間となる。また、雌雄それぞれの受精能保持期間における授精能強度の時間遷移に基づいて受精確率を求め(s7)、その受精確率を処理結果として取得する。あるいは、特定の情報として受精確率がユーザ入力により指定されると、その確率となるように雄シーケンスデータを雌の受精機能シーケンスに対して相対移動させ、そのときの授精タイミングの日時を処理結果として取得してもよい。そして、処理結果を表示や印刷など、適宜に出力する(s8)。
【0022】
図3に授精確率の計算方法の一例を示した。この例では、上記受精能強度を示す折れ線グラフ(10,26)が占める面積(13,28)を雌雄それぞれについて計算する。そして、小さい方の面積をaとし、双方の折れ線グラフ(10,26)が重複している部分30の面積bを計算する。ここでは雌の受精能強度遷移に対応する折れ線10による面積の方がaとなる。そして、受精確率cをc=b/a×100の計算式により求める。もちろん、最大強度31を受精確率100%とし、雌雄の受精機能シーケンスにおける受精能保持期間(12,27)の最初の重複時点32における受精能強度33を受精確率とするなど、受精確率は、雌雄の受精能保持期間が重複する期間に基づいて適宜に求めればよい。
【0023】
===第1の実施形態===
本発明のプログラムの具体的な実施例として、携帯電話機ヘの適用例を第1の実施形態として挙げる。この実施形態では、携帯電話機はインターネット接続機能とJAVA実行環境とを備え、プログラムはJAVAアプリケーションとしてWebサイトからダウンロードされるなどして携帯電話機にインストールされる。図4(A)〜(C)に携帯電話機上で当該プログラムが起動しているときのユーザインタフェースの概略を示した。ここでは携帯電話機のディスプレイ40に表示される画面遷移を示した。プログラムが起動すると、次々に発情期を迎える多数の雌牛のそれぞれを識別するために、例えば、飼育現場であらかじめ付与しておいた個々の雌牛に個体識別番号を入力するためのテキストボックス41と、発情期の発見時刻を入力するためのテキストボックス群42と、その発情期の段階を選択するためのリストダウンボックス43とが表示される。なお、リストダウンボックス43には発情期の段階として4つの選択肢が用意されている。また、上記各情報を入力するごとに、発情期の終了時間44、排卵予定時間45、授精タイミング(授精適期)時刻46がその都度更新されて同じ画面内に表示される(B)。この例では、日時に対応付けされた雌の受精機能シーケンスに対して雄の受精機能シーケンスを受精確率が100%となるように相対移動させて受精タイミングの日時を求めている。
【0024】
さらに、同じ画面には受精確率計算ボタン47が配設されており、このボタン47を指示すると、先に入力した個体識別番号48と、発情段階と発情発見時刻とに基づいて計算される発情終了時間が初期入力されたテキストボックス群49と、排卵予定日時50とが表示されるとともに、前画面に表示した受精確率が100%となる場合の授精タイミングの日時が初期入力されたテキストボックス群51が表示される。また、受精確率52も表示される。この画面を表示した当初は受精確率は100%となっている。ここで、授精タイミングの日時を再指定してテキストボックス群51に入力すると、その授精タイミングをその指定日時に設定し直す。そして、発情発見時刻と発情段階とに基づいて日時に対応付けされた雌の受精機能シーケンスに対し、雄の受精機能シーケンスを相対移動させ、その相対移動後の受精確率を計算し、同じ画面上にその計算結果52を表示する(C)。それによって、例えば受精確率を100%にすると、受精適期が夜中などになってしまう場合等に対応できる。すなわち、受精の時間を人工授精をする人の都合のよい時間に設定してみて、ある程度高確率であれば、その時間に人工授精をする意味があると判断できるし、そうでなければ、その人の都合を変えるなどして授精を行うなど、動物と飼育する現場の環境や実情に柔軟に対応できる。
【0025】
===第2の実施形態===
第2の実施形態として、GUI環境を備えたパーソナルコンピュータ(PC)にインストールされたプログラムを挙げる。この実施形態では、PCは、プログラムの実行により、雌雄の受精機能シーケンスが直感的に把握できるとともに、GUIに基づく簡単な操作により、授精適期や受精確率を求めるための計算機能と、受精機能シーケンス自体を、個体別、あるいは受精理論などに応じて適宜に編集できるシーケンス編集機能とをユーザに提供する。図5に当該第2の実施形態におけるGUI環境の概略を示した。PCにてプログラムを起動すると計算機能を提供する計算尺を模した図案100と、シーケンス編集機能を提供する雌雄それぞれの受精機能シーケンスの概略図(200,300)とが表示される。
【0026】
===シーケンス編集機能===
PCのディスプレイには、雌雄双方の受精機能シーケンス(200,300)が、時間軸(201,301)を横軸に取った折れ線グラフ(202,302,303)によって表示される。また、折れ線グラフ(202,302,303)と横軸(201,301)とで囲まれた部分により形成された台形(203,304,305)が所定の色(図中ではハッチング)で塗りつぶされている。さらに、時間軸(201,301)上にマウスカーソル400による操作によって移動可能な複数のカーソル(204〜208,306〜312)が表示される。雄の受精機能シーケンス200のカーソルでは、受精タイミング204、精子受精能獲得開始時点205、精子受精能最大強度時点206、精子受精能最大強度終了時点207、受精能消失時点208の5つのタイミングや時期をそれぞれ設定する。
【0027】
雌の受精機能シーケンス300も、雄の受精機能シーケンス200と同じように折れ線グラフ(302,303)と、着色された台形(304,305)とによって表現される。なお、台形部(304,305)に塗られた色は雄のとは異なっている。雌の受精機能シーケンス300についても、各種タイミングや時期をカーソル(306〜312)によって設定することができる。この例では、発情開始時点306、発情ピーク時点307、発情ピーク終了時点308、発情終了時点309、排卵時期および卵子受精能最大強度時点310、卵子受精能最大強度終了時点311、卵子受精能消失時点312を設定することができる。なお図では排卵時期と卵子受精能最大強度時点とが一致するように設定されている。すなわち排卵時期が最も卵子の受精能強度が高い時点となっている。なお、雌の受精能強度遷移については、排卵時期とともに受精能が最大強度となる折れ線にせず、排卵時期から徐々所に最大強度となるように折れ線を変形させることもできる。この場合は、図中の排卵時点に位置するカーソル310を、所定の操作(例えば、Ctrキーを押しながらマウスドラッグ)によりコピーしてカーソルを一つ増やして折れ線の形状を変形させる。
【0028】
上記のように再設定された雄あるいは雌の受精機能シーケンス(200,300)は、ユーザ入力により記憶させることができる。また記憶したシーケンスを指定して呼び出すこともできる。そのために、受精機能シーケンスを指定して呼び出すためのリストダウンボックス(209,313)と、再設定後の受精機能シーケンスを上書き保存するための上書ボタン(210,314)と、新規に名前つけて保存するための新規保存ボタン(211,315)とがある。新規保存操作については、例えば、新規保存ボタン(211,315)を指示すると、名前を入力するためのテキストボックスを含んだ子画面が表示されるようにするなど、適宜なユーザインタフェースを採用すればよい。
【0029】
なお、ここでは、発情期や受精能強度の折れ線形状を、雌牛の一般的な受精機能シーケンスに基づいて台形を基本としたとしていた。この例に限らず、発情期の兆候は、哺乳動物の種類などによって、開始・ピーク期・終了、あるいは特徴的な所定の状態(例えば、最大と最小の中間的な強度状態)など、観察されやすい特定の状態が異なる。このような場合には、本発明の支援プログラムが対象とする哺乳動物に応じ、雌尺の授精機能シーケンスにおいて、発情期中の特定の状態に対応して移動可能な指示カーソルを適宜に設定すればよい。本発明の計算尺は、少なくとも雌に発情期がある哺乳動物であれば適用可能である。
【0030】
===計算機能===
図6(A)〜(E)に、計算機能の概略を、画面中の計算尺100の表示遷移によって示した。表示される計算尺100には、スライド式計算尺における固定尺を模した時間尺101と、滑尺を模した雌尺120と雄尺130とが表示される。計算尺100の上方には、受精確率を編集可能にして表示するテキストボックス(受精確率表示欄)140がある。また、雌雄の受精機能シーケンスを日時に対応付けしたデータ(スケジュール)を呼び出すためのリストダウンボックス141があり、このリストダウンボックス141から適宜なスケジュールを選択すると、そのスケジュールにおける雌雄の受精機能シーケンスと日時との対応関係が計算尺100の表示状態に反映される。また、表示中の計算尺100の表示状態をスケジュールとして上書あるいは新規に保存するためのボタン(142,143)も表示されている。
【0031】
時間尺110の目盛り111は、プログラムを起動した初期状態では、現在日時から12時間前の日時を左端とし、48時間分の時刻が日付112とともに刻まれている。また現在時間を示す現在カーソル113が表示される。したがって、時間経過とともに、現在カーソル113は、計算尺100との相対位置を維持したまま、時間尺110の目盛り111の表示日時範囲が刻々と変わっていく。また、時間尺110を計算尺100に対して相対移動させるためのボタン114もあり、このボタン114を操作することで、時間尺110の目盛り111の表示日時範囲と現在カーソル113とを連動させながら一体的に計算尺100に対して相対移動させることもできる。
【0032】
雌雄それぞれの尺(120,130)は、同じ領域に表示される。雌雄それぞれの受精機能シーケンスは、折れ線(123,124,132)とその折れ線で囲まれた着色面(125,126,133)とで表現されて表示される。雌尺120は、雌の発情期の開始時点121を左端とし、雄尺130は受精確率が100%となるように自動的に移動されて表示される。雌雄の受精機能シーケンスにおける受精能保持期間(126,133)が重複する領域140は雌雄各シーケンスの着色面の色を加色混合した色に変色し、その変色部分の大きさにより受精確率を直感的に把握することができるようになっている(A)。
【0033】
さらに計算尺100上には、ユーザの操作により移動可能な2つのカーソル、発情期の発見時点を指示する発見カーソル122と、授精タイミングを示す受精カーソル131とが所定の位置に表示される。この例では、計算尺100の左端で発情期の開始時点121に発見カーソル122があり、授精カーソル131は、雄尺130が自動移動した状態に応じて適宜な位置に位置している。計算尺100の右端側には、時間尺100と同様に、雌尺120、雄尺130をそれぞれ個別に左右に相対移動させるための指示ボタン(127,134)がある。なお、計算尺100上の雌雄の受精機能シーケンスは、同じ画面にある編集機能に供される受精機能シーケンスを反映している。そして、編集機能により受精機能シーケンスが更新されれば、直ちに同じ画面の計算尺100上の受精機能シーケンスに反映される。
【0034】
計算機能により、実際に授精適期を推定したり受精確率を求めたりする場合、まず、利用者が雌の発情を発見した日時を発見カーソル122を移動させて時間尺110の該当の目盛り位置に移動させる。これで、発見日時が確定され、以後は時間と経過とともにこの発見カーソル122が時間尺110の目盛り111に連動して移動する(B)。
【0035】
次に、その発見した発情がどの段階にあったのかを雌尺120を移動ボタン127を操作し、発見カーソル122が該当位置を指示するまで、左右に移動させる。具対的には、発情の開始や終了、あるいは発情状態のピーク開始期やピーク終了期なのか、利用者が確認した雌の発情状態の段階を発情状態の折れ線グラフ123上の発見カーソル122の位置で確認しながら合わせる(C)。この移動操作により、発見カーソル122が雌の受精機能シーケンスの時系列における特定の位置にも固定され、受精機能シーケンスを表現する折れ線(123,124)も時間尺110の目盛り11に連動して移動する。再度、雌尺120を移動させると、この連動状態が解放され、雌尺120が時間尺110に対して自在に相対移動する。また本実施例では、雌尺120の移動操作が終了すると、雌雄双方の受精能保持期間と、その期間における卵子および精子の受精能強度の時間遷移とに基づいて計算される確率が100%となるように、雄尺130が自動的に左右に相対移動する。ここでは、排卵時期と精子の受精能強度が授精後最初に最大なる時点とを一致させる。それによって、受精確率が100%となる場合の授精タイミングの日時を授精カーソル131によって読み取ることができる(D)。授精タイミング日時が利用者の都合に合わない場合は、雄尺130自体、あるいは授精カーソル131を移動させ、雄の受精機能シーケンスを雌尺120と時間尺110とに対して相対移動させる。PCは、この操作に応動して、受精確率を再計算し、その計算結果を先の確率表示欄140に表示する(E)。さらに、確率表示欄140に直接数値入力することで受精確率を指定すると、その指定した受精確率となるように雄尺130が移動する。そして、そのときの授精カーソル131の日時を読み取れば、指定した確率となる時の授精タイミングを確認することができる。
【0036】
===発情期の発見について===
希少動物の繁殖などを目的とした飼育施設では、繁殖対象となる動物の状態を常時詳細に観察できる環境や体勢が整っており、性周期における現状を詳細に把握することができる。一方、畜産農家などの家畜飼育の現場では、発情期の開始兆候が見逃される可能性が十分にあり得る。すなわち、既に発情した後に発情状態が確認されることが多い。ピーク期についても、同様である。しかし、発情期にあること自体は、例えば、発情した雌を含む群れ全体の行動など、経験に基づいて容易に確認できるので、発情した雌をしばらく観察して発情が終了する時期を判断し、その発情終了時期に基づいて授精適期を推定するのが現実的である。具対的な例としては、飼育されている牛の群れの全頭が雌の場合、発情していない雌が雄役となって、発情している雌とスタンディングと呼ばれる雌同士による擬似的な交尾行動をとる。発情が終了すると、発情していた雌はスタンディングに対して拒否反応を示す。この行動変化を認知することで発情期の終了時期をより正確に特定することができる。なお現在では、雌牛に取り付けられる装置で、スタンディング行為に特有の振動を検出することで発情期を認知し、発情期を認知したならば、その旨の情報を、例えば無線LANなどの無線通信インタフェースを通じて外部のコンピュータなどに送信する装置(発情発見装置)も存在する。そして、発情期の認知情報を受信したコンピュータは、その情報取得日時や送信元の発情発見装置の個体識別子に基づいて特定される雌牛の識別情報などを記録し、発情期にある雌牛への観察を利用者に促す。
【0037】
===応用形態===
上記発情発見装置に、発情期の認知情報受信機能を組み込み、支援プログラムはPCにて自身が実行中にあるときにこの認知情報を受け取ると、その受け取り日時と発情開始時点とを対応付けして、受精確率が100%となる場合の授精タイミングの日時、あるいはあらかじめ指定された確率以上となる授精タイミングの時間範囲を提示するように構成しておくことも考えられる。送信側の個体識別子を利用して、多数の雌牛に対する授精タイミングを個別に管理することもできる。
【0038】
利用者の都合の悪い時間を登録しておき、その時間を除外した上で最も高い受精確率となる場合の授精タイミングの日時を提示することも可能である。もちろん、発情発見装置が認識する発情期の段階は、発情開始時点だけではなく、例えば、振動を最初に検出してから振動の振幅の増加が止まった時点を発情期のピーク開始時期とし、支援プログラムは発情発見の情報を受け取ると、雌の受精機能シーケンスにおける発情ピーク開始時点をこの情報受信日時に対応付けすればよい。段階毎に特有の振動が存在するのであれば、発情発見装置は振動のパターンに応じて発情期の段階を示す情報を送信し、支援プログラムはその段階を示す情報に基づいて雌の受精機能シーケンスに日時を対応付けすればよい。発情発見装置毎に個別に識別番号など割り振っておき、その識別番号を送信するようにしておけば、支援プログラムは多数の雌牛のそれぞれについて、個別に受精機能シーケンスを日時を対応付けして管理することができる。
【0039】
===繁殖支援プログラムの利用形態===
本発明の支援プログラムは、飼育現場における授精タイミングの決定や繁殖効率の向上などの利用形態や利用目的以外にも様々な利用形態・目的が考えられる。例えば、家畜の人工授精技術に関する研修会などの教材として、種々の発情発見時刻、終了時刻を想定しながら、本プログラムをPC上で実行しながら授精適期の選定を反復練習すれば、授精適期選定の重要性と選定の実技を習熟することができる。また、畜産農家の啓蒙教材として利用すれば、適期授精の重要性、発情発見の重要性、とくに発情期終了時刻の確認の重要性を再認識することとなる。
【0040】
支援プログラムがインストールされたコンピュータを繁殖技術の研究を推進する上での実験器具として利用することもできる。具体的には、発情持続時間、排卵時間、卵子の受精能の消長、精子の受精能獲得所要時間、精子の受精可能期間など、各種受精機能シーケンスを検討することで、実験計画の設計から受精理論研究を推進する上での有効な実験器具とすることができる。もちろん、人工授精に限らず、授精適期に応じて交配時期を決定する用途にも利用可能であるし、家畜に限らず希少動物の人工繁殖などの現場でも適宜に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】所定の哺乳動物の雌雄それぞれの受精機能シーケンスを記述した雌雄それぞれのシーケンスデータの概略図である。
【図2】本発明の実施例における繁殖支援プログラムの処理の流れ図である。
【図3】上記プログラムによる受精確率の算出原理図である。
【図4】携帯電話機にて実行される上記繁殖支援プログラムによるユーザインタフェースの概略図である。
【図5】パーソナルコンピュータで実行される上記繁殖支援プログラムによるユーザインタフェースの概略図である。
【図6】上記パーソナルコンピュータにおけるユーザインタフェースの詳細説明図である。
【符号の説明】
【0042】
1 雌シーケンスデータ
10 卵子受精能強度遷移特性グラフ
20 雄シーケンスデータ
26 精子受精能強度遷移特性グラフ
40 携帯電話機のディスプレイ
100 計算尺

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータにインストールされて実行されることで、雌に発情期がある所定の哺乳動物の繁殖を支援するコンピュータプログラムであって、前記コンピュータに、
現在の日時を取得する現在日時取得ステップと、
所定のデータ記憶資源にアクセスし、当該記憶資源に格納されている、所定の哺乳動物の雌における発情期の開始時点を起点とした性周期に関する時期や期間と卵子の受精能強度の時間遷移などの雌の受精機能シーケンスを記述した雌シーケンスデータと、前記哺乳動物の雄における授精タイミングを起点とした精子活動能力に関する時期や期間と精子の受精能強度の時間遷移などの雄の受精機能シーケンスを記述した雄シーケンスデータとを取得するシーケンスデータ取得ステップと、
雌の発情期における特定の状態の指定情報と、その状態の日時指定情報と、取得した前記雌シーケンスデータとに基づいて、排卵時期を起点とした卵子の受精能保持期間と、当該期間における卵子の受精能強度の時間遷移とを日時に対応付けして管理する卵子受精能強度管理ステップと、
所定の情報入力に応じて前記雄シーケンスデータにおける時系列を前記卵子受精能強度管理ステップにより対応付けした日時に対して相対移動させつつ、卵子と精子のそれぞれの受精能保持期間が重複する期間における卵子と精子のそれぞれの受精能強度の時間遷移に基づいて受精確率を求める受精確率取得ステップと、
を実行させる哺乳動物の繁殖支援プログラム。
【請求項2】
請求項1において、前記受精確率取得ステップは、受精確率が100%となるように雄シーケンスデータを相対移動させるとともに、当該相対移動後の授精タイミングの日時をコンピュータに適宜に出力させる受精適期提示ステップを含む哺乳動物の繁殖支援プログラム。
【請求項3】
請求項1において、前記受精確率取得ステップにより求めた受精確率をコンピュータに適宜に出力させる受精確率提示ステップを含むとともに、前記受精確率取得ステップは、利用者入力により受け付けた授精タイミングの日時に基づいて前記雄シーケンスデータにおける時系列を前記卵子受精能遷移取得ステップにより対応付けした日時に対して相対移動させて前記受精確率を求める哺乳動物の繁殖支援プログラム。
【請求項4】
請求項1において、受精確率取得ステップは、授精確率の指定入力を受け付け、当該指定の確率となる授精タイミング日時を雄シーケンスデータに基づいて求め、受精確率出力ステップは、当該授精タイミング日時をコンピュータに提示させる哺乳動物の繁殖支援プログラム。
【請求項5】
請求項1において、雌または雄、あるいは雌雄のシーケンスデータを編集可能にしてコンピュータに表示出力させるシーケンス表示ステップと、当該ステップにより表示させているシーケンスデータをユーザ入力に基づいて更新して記憶させるシーケンスデータ更新ステップとを含む哺乳動物の繁殖支援プログラム。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかにおいて、スライド式計算尺を模した図形として、固定的に表示させる計算尺本体と、固定尺を模して日時を目盛りとする時間尺と、時間尺に対して相対移動する滑尺を模して 計算尺表示ステップは、雌雄それぞれの受精機能シーケンスを目盛りとした雌尺と雄尺とをコンピュータに表示させるとともに、前記雌尺の目盛りとして、時間尺と同じ尺度で、前記雌の発情期における特定の状態に対応するタイミングの指示と、排卵時期を起点とした卵子の受精能保持期間における卵子の受精能強度を所定の色の面形状により表現した卵子受精能強度表示部とを表示させ、前記雄尺の目盛として、時間尺と同じ尺度で、授精タイミングの指示と、精子の受精能保持期間における精子の受精能強度を前記卵子受精能強度表示部とは異なる色の面形状により表現した精子受精能強度表示部とを表示させる計算尺表示ステップと、
前記計算尺表示ステップにより表示させている計算尺について、前記時間尺、雌尺、雄尺のそれぞれの目盛りを、GUIにより受け付けたユーザ入力に従って個別に計算尺本体に対して相対移動させる計算尺摺動表示ステップと、
計算尺摺動表示ステップによる雌尺と雄尺の移動操作に伴って、卵子受精能強度表示部の面と精子受精能強度表示部の面が重複する部分を受精可能期間として識別可能に表示させる受精可能期間識別表示ステップと、を含み、
前記卵子受精能強度管理ステップは、計算尺摺動表示ステップによる雌尺の時間尺の目盛りに対する相対移動操作に基づいて雌シーケンスデータを日時に対応付け、
前記受精確率取得ステップは、計算尺摺動表示ステップにより雌尺に対する相対移動操作を前記所定の情報として受け付ける、
ことを特徴とする哺乳動物の繁殖支援プログラム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の哺乳動物の繁殖支援プログラムを記録したプログラム格納媒体。
【請求項8】
雌に発情期がある所定の哺乳動物の繁殖を支援する繁殖支援装置であって、
現在の日時を取得する現在日時取得手段と、
所定のデータ記憶資源にアクセスし、当該記憶資源に格納されている、所定の哺乳動物の雌における発情期の開始時点を起点とした性周期に関する時期や期間と卵子の受精能強度の時間遷移などの雌の受精機能シーケンスを記述した雌シーケンスデータと、前記哺乳動物の雄における授精タイミングを起点とした精子活動能力に関する時期や期間と精子の受精能強度の時間遷移などの雄の受精機能シーケンスを記述した雄シーケンスデータとを取得するシーケンスデータ取得手段と、
雌の発情期における特定の状態の指定情報と、その状態の日時指定情報と、取得した前記雌シーケンスデータとに基づいて、排卵時期を起点とした卵子の受精能保持期間と、当該期間における卵子の受精能強度の時間遷移とを日時に対応付けして管理する卵子受精能強度管理手段と、
所定の情報入力に応じて前記雄シーケンスデータにおける時系列を前記卵子受精能強度管理ステップにより対応付けした日時に対して相対移動させつつ、卵子と精子のそれぞれの受精能保持期間が重複する期間における卵子と精子のそれぞれの受精能強度の時間遷移に基づいて受精確率を求める受精確率取得手段と、
を備えた哺乳動物の繁殖支援装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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