説明

唇化粧料シート体

【課題】コーティングされた唇化粧料の欠落を避けて、そのコーティング面を保護することができる唇化粧料シート体を提供する。
【解決手段】唇化粧料シート体1は、折り曲げて唇で挟むことでその唇に唇化粧料を塗ることのできるシート本体Bを備える。シート本体Bは、口紅がコーティングされたコーティング面2aを有するコーティングシート2と、前記コーティング面2a上に配置されて、人の唇を模した形状の抜き孔を有するガードシート3と、前記コーティングシート2の、前記コーティング面2aとは反対の側に設けられるベースシート4とを備える。前記ガードシート3上にはカバーシート5が配置される。前記コーティング面2aは、カバーシート5により保護され、また、ガードシート3により、カバーシート5とコーティング面2aとは離されるので、コーティングされた口紅がカバーシート5に付着することを低減あるいは回避できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、刷毛や指を用いなくても、折り曲げて唇で挟むことでその唇に唇化粧料を塗ることができるシート本体を備えた、唇化粧料シート体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯性に優れ、指や塗布具を用いることなく唇に口紅等の化粧料を塗ることができる、シート型口紅があった。これは、口紅を、人の唇型に印刷コーティングしたコーティングシートで形成し、使用の際には、口紅の印刷面が外側になるように折り曲げ、唇で挟んでその口紅の印刷面に唇を押し付けることにより、口紅を塗ることができるようにしたものであった。
【0003】
その後、同様のシート型口紅に、コーティングシートの口紅コーティング層を保護するためのカバーシートを設けた発明がなされている(例えば、特許文献1参照。)。このシート型口紅は、口紅コーティング層の口紅がカバーシートに付着するのを低減あるいは避けるために、コーティングシートとカバーシートとの対向する面の一方、例えばコーティングシートに、口紅コーティング層を突き抜ける複数の突出部を設けており、それら突出部により、口紅コーティング層とカバーシートとは離されていた。
【0004】
【特許文献1】特開平3−80807号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記従来の、カバーシートを備えたシート型口紅にあっては、コーティングシートに設けられた突出部部分においては、口紅のコーティングが欠落していた。
【0006】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、コーティングされた唇化粧料の欠落を避けて、そのコーティング面を保護することができる唇化粧料シート体を提供することである。
【0007】
また、他の目的は、唇化粧料を唇に的確に塗ることができる、唇化粧料シート体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る唇化粧料シート体は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る唇化粧料シート体は、折り曲げて唇で挟むことでその唇に唇化粧料を塗ることができるシート本体を備えた唇化粧料シート体であって、前記シート本体は、前記唇化粧料がコーティングされたコーティング面を有するコーティングシートと、そのコーティングシートの前記コーティング面上に配置されて、人の唇を模した形状あるいはそれを包含する形状の抜き孔を有するガードシートとを備え、前記ガードシート上にはカバーシートが配置されてなる。この唇化粧料シート体を使用する際は、前記カバーシートをめくり、前記コーティング面が外側になるようにガードシートとコーティングシートとを一緒に折り曲げて、コーティング面が唇に触れるように唇で挟むことで、唇化粧料を唇に塗る。ここで、この唇化粧料シート体は、カバーシートが設けられているため、コーティング面を保護することができ、コーティングシートにコーティングされた唇化粧料が、使用時以外、例えば、携帯の際などに、使用者が塗布対象として意図していない箇所に付着してその箇所を汚してしまうことや、コーティングされた唇化粧料が剥離してしまうことを防ぐことが可能となる。しかも、カバーシートとコーティング面との間に設けられたガードシートの厚みにより、カバーシートとコーティング面とが離されるため、従来のようなコーティング層を突き抜ける突出部を設けることなく、唇化粧料がカバーシート側に付着するのを低減あるいは避けることができる。さらに、ガードシートによりコーティング面が部分的に覆われているので、唇化粧料シート体を使用する際、使用者が、ガードシートの、前記覆っている部分に指を当てて唇化粧料シート体を保持すれば、コーティングシートにコーティングされた唇化粧料が指に付着することもない。
【0009】
また、請求項2に記載の唇化粧料シート体のように、請求項1に記載の唇化粧料シート体において、前記コーティング面は、前記唇化粧料が前記コーティングシートの全面に及ぶようにコーティングされていてもよい。このように、この唇化粧料シート体においては、コーティングシートとなるシートの全面に唇化粧料のコーティングを施し、その後にこのコーティングがなされたシートを、唇化粧料シート体を構成するコーティングシートとして適切な大きさおよび形状に切断することができる。こうして、コーティングを人の唇を模した形状などの範囲に制約されることなく施すことができるので、コーティング作業が簡潔になり、コーティングされた唇化粧料からなるコーティング層の厚さの調整を、簡単かつ正確に行なうことができる。
【0010】
また、請求項3に記載の唇化粧料シート体のように、請求項1または2に記載の唇化粧料シート体において、前記コーティングシートの、前記コーティング面とは反対の側に、前記シート本体を構成するベースシートが設けられており、そのベースシートには、折り曲げのための、印、折り目、またはミシン目が設けられていてもよい。これにより、コーティングシートは、ベースシートにより担持され、コーティングシートの厚みが薄い場合でも、的確にその平板形状を保持できる。また、前記ベースシートに、折り曲げのための、印、折り目、またはミシン目が設けられることで、カバーシートをめくった唇化粧料シート体、すなわち、シート本体を簡単に折り曲げることができる。
【0011】
また、請求項4に記載の唇化粧料シート体のように、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の唇化粧料シート体において、前記カバーシートの、前記ガードシートと対面する側の面、あるいは前記ガードシートの、前記カバーシートと対面する側の面に、凹凸状の加工が施されていてもよい。これにより、カバーシートとコーティング面とはより大きく離される。
【0012】
また、請求項5に記載の唇化粧料シート体のように、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の唇化粧料シート体において、前記コーティングシートまたは/および前記ガードシートには、折り曲げのための、印、折り目、またはミシン目が設けられていてもよい。これにより、シート本体を折り曲げ易くなり、唇化粧料シート体の使い勝手がよくなる。
【0013】
また、請求項6に記載の唇化粧料シート体のように、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の唇化粧料シート体において、前記カバーシートは、前記シート本体に対して開閉可能に取り付けられていてもよい。
【0014】
また、請求項7に記載の唇化粧料シート体のように、請求項6に記載の唇化粧料シート体において、前記カバーシートには、そのカバーシートを前記シート本体から開いて前記コーティング面に唇を当てる際に、その唇を前記抜き孔に合わせるための目安となる、目印が設けられてもよい。これにより、カバーシートをシート本体から開いてコーティングシートのコーティング面に、唇を当てる際に、カバーシートに設けられた目印を目安にして、唇をガードシートの抜き孔に合わせることができる。
【0015】
また、請求項8に記載の唇化粧料シート体のように、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の唇化粧料シート体において、前記唇化粧料は口紅であってもよい。
【発明の効果】
【0016】
この発明に係る唇化粧料シート体によれば、次の効果がある。
【0017】
請求項1〜6、および8に記載された唇化粧料シート体によれば、コーティングシートとカバーシートとの間に、抜き孔を有するガードシートを設けることで、唇化粧料の欠落を避けて、唇化粧料が施されたコーティング面を保護することができる。
【0018】
また、請求項7に記載された唇化粧料シート体によれば、加えて、カバーシートに設けられた目印を目安にして、唇をガードシートの抜き孔に合わせることができるため、唇化粧料を唇に的確に塗ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る唇化粧料シート体を実施するための最良の形態について、図面に基づいて説明する。
【0020】
図1〜4は、本発明の一実施の形態を示す。図中符号1は、折り曲げて唇で挟むことでその唇に唇化粧料を塗ることのできるシート本体Bを備えた、唇化粧料シート体としての口紅シート体である。前記シート本体Bは、図示実施の形態においては、唇化粧料がコーティングされたコーティング面2aを有するコーティングシート2と、そのコーティングシート2の前記コーティング面2a上に配置されて、人の唇を模した形状の抜き孔3aを有するガードシート3と、前記コーティングシート2の、前記コーティング面2aとは反対の側に設けられるベースシート4とを備える。そして、前記ガードシート3上には、カバーシート5が配置されている。したがって、口紅シート体1は、上から、カバーシート5、ガードシート3、コーティングシート2およびベースシート4の順で位置するように構成されている。口紅シート体1を構成する前記全てのシート5、3、2および4は、例えば、矩形状、図示実施の形態においては、長方形状に形成されている。なお、図1〜4は、カバーシート5、ガードシート3、コーティングシート2およびベースシート4の位置関係を示すものであって、各シートの厚みおよび寸法、またその他の要素の寸法については正確には示していない。
【0021】
前記コーティングシート2の基材は、例えば、OPフィルムあるいはPETフィルム等のプラスチックシート、あるいは、防水加工または防油加工した紙からなり、その厚みは30〜500μmの範囲内となるのが好ましく、さらに好ましいのは、40〜60μmの範囲内である。このコーティングシート2の基材には、その一方の面に、唇化粧料としての口紅を、グラビア印刷、シルク印刷、ロールコーター等で全面に及ぶようにコーティングし乾燥させることで、前記コーティング面2aが設けられる。コーティングされた口紅からなるコーティング層は、乾燥させた後に、その厚みが10〜90μmの範囲内となるのが好ましく、さらに好ましいのは、10〜60μmの範囲内である。そして、コーティング層を乾燥させたコーティングシート2を、人の唇を十分に覆うことが可能な大きさ、好ましくはその唇の周囲より少なくとも5〜10mmの広い範囲を囲む大きさで、正方形とか長方形とかの矩形状にカットする。なお、この場合の「人の唇」とは、成人の一般的な大きさの唇を想定すればよいであろう。
【0022】
コーティングされる口紅としては、ワックス類(カルナウバロウ、ミツロウ、キャンデリラロウ、木ロウ、固形パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、セレシン等)、油類(カカオ脂、ヒマシ油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、ラノリン、ワセリン、流動パラフィン等)、エステル油(2−エチルヘキサン酸セチル等)を単独又は組み合わせて用いてなる油性基材と、化粧用タール色素(赤色201号等)、無機顔料(二酸化チタン、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄等)、パール顔料(雲母チタン、着色雲母チタン等)を組み合わせて用いてなる着色剤と、酸化防止剤(トコフェロール等)や防腐剤(メチルパラベン等)、香料等を組み合わせて用いてなるその他の添加物等を、適宜組み合わせたものを使用することができる。
【0023】
またコーティングシート2の、前記コーティング面2a上には、ガードシート3が設けられている。このガードシート3は、例えば、OPフィルムあるいはPETフィルム等のプラスチックシート、防水加工または防油加工した紙、あるいは、食品に好適に使用できる紙などからなり、その厚みは、50〜1000μmの範囲内が好ましい。
【0024】
前記ガードシート3は、その略中央に、既述した人の唇を模した形状の抜き孔3aを有しており、この抜き孔3aの範囲においてはコーティング面2aを露出させることとなる。口紅シート体1を使用する際には、使用者Uは、図3に示されるように、ガードシート3に指Fを当てて口紅シート体1を保持し、そして、コーティング面2aの、抜き孔3aの範囲において露出した領域を唇で挟むことによって、コーティングされた口紅を唇に転写するように塗る。
【0025】
ガードシート3には、このガードシート3の左右方向の一辺から対向する他辺に亘り、かつガードシート3の略中央を通るように、折り曲げのためのミシン目3bが設けられている。すなわち、図示実施の形態では、ガードシート3が、その長辺が左右方向に延びる長方形であり、前記ミシン目3bは、そのガードシート3を左右方向に直線状に横切るように設けられている。また、このミシン目3bは、抜き孔3aの長手方向における左右両端部、すなわち唇形状における両口角部にあたる箇所を通るように設けられている。
【0026】
さらに、ガードシート3は、使用の際、抜き孔3aに使用者Uの唇を宛がうようにすれば、マスキングシートとしても機能する。具体的には、使用者Uがシート本体Bを折り曲げて唇で挟んだ時、ガードシート3の、抜き孔3a以外の部分によって、コーティング面2aが、口紅の塗布対象として意図した唇の範囲以外の部分に触れるのを防ぐ。
【0027】
ガードシート3上には、カバーシート5が設けられている。このカバーシート5は、例えば、OPフィルムあるいはPETフィルム等のプラスチックシートからなり、その厚みは、30〜200μmの範囲内となるのが好ましく、さらに好ましいのは、40〜100μmの範囲内である。もっとも、カバーシート5は、OPフィルムあるいはPETフィルム等のプラスチックシートからならなくとも、ガードシート3と対面する側、すなわちカバーシート5の裏側に、OPフィルムあるいはPETフィルム等のプラスチックシートを備えるものであってもよい。
【0028】
カバーシート5は、少なくとも、コーティング面2aの、ガードシート3の抜き孔3aの範囲において露出している領域をカバーしている。また、カバーシート5の、ガードシート3と対面する側の面、すなわちカバーシート5の裏側の面には、その全面に、例えばエンボス加工等によって、凹凸状の加工が施されて、突部5a、5aが形成されている。
【0029】
また、コーティングシート2の、コーティング面2aとは反対の側、すなわち、コーティングシート2の裏面側に、ベースシート4が設けられている。このベースシート4は、例えば、50〜500μmの範囲内の厚みの、OPフィルムあるいはPETフィルム等のプラスチックシート、あるいは、防水加工または防油加工した紙からなるのが好ましい。
【0030】
ベースシート4には、ガードシート3に設けられたミシン目3bに対応する位置に、折り曲げのためのミシン目4aが設けられている。図示実施の形態では、ベースシート4が、その長辺が左右方向に延びる長方形であり、前記ミシン目4aは、そのベースシート4を左右方向に直線状に横切るように設けられている。
【0031】
上述の、口紅シート体1を構成する、カバーシート5、ガードシート3、コーティングシート2およびベースシート4は、図示実施の形態においては、カバーシート5を除いて、ミシン目3b、4aが設けられた位置を中間に挟んだ離れた2ヶ所の端縁部において、互いに固着6、7され組み合わされている。カバーシート5については、一ヶ所の端縁部において固着6されることにより、その他のシート3、2および4、すなわち、シート本体Bに対して開閉可能に取り付けられている。この場合の「固着」とは、接着剤を用いた接着以外にも、その具体的な方法は様々に考えられ、シートの材質によっては、熱や超音波、レーザー等を用いた溶着も可能である。また、糸等による縫合とか、金属、金具、プラスチック片等による固着でも構わない。また、コーティングシート2の固着箇所には、口紅がコーティングされていても、いなくてもよい。さらにこの固着は、スポット状になされてもよいし、ライン状になされてもよいし、あるいは、面状になされてもよく、また、固着箇所は、一ヶ所や2ヶ所に限られるものではないなど、固着方法、固着箇所については、図示実施の形態に限られるものではない。
【0032】
さらに、図3および4に示すように、カバーシート5には、そのカバーシート5をシート本体Bから開いてコーティング面2aに唇を当てる際に、その唇をガードシート3の抜き孔3aに合わせるための目安となる、目印5bが設けられている。これにより、カバーシート5をシート本体Bから開いてコーティングシート2のコーティング面2aに、唇を当てる際に、カバーシート5に設けられた目印5bを目安にして、唇をガードシート3の抜き孔3aに合わせることができる。このため、口紅(唇化粧料)を唇に的確に塗ることができる。
【0033】
詳細には、カバーシート5の、カバーシート5をめくって口紅シート体1を使用する際に使用者Uが目視し易い位置に、位置決めのための目印5bを設けている。この目印5bは、図示実施の形態では、カバーシート5をめくって開いた時のカバーシート5(すなわち、カバーシート5の裏面)の上辺中央付近に設けられていて、この口紅シート体1の、横方向における中央位置を示している。具体的な使用方法としては、使用者Uは、口紅シート体1を使用する際、カバーシート5に設けられた位置決めのための目印5bを目安に口紅シート体1を位置決めして保持し、コーティング面2aを唇で挟んで口紅を唇に塗る。ガードシート3をマスキングシートとして機能させたい場合には、ガードシート3の抜き孔3aの形状に使用者Uの唇の外形を合わせるよう位置決めしたいので、この目印5bは特に有用である。
【0034】
以上の構成からなる口紅シート体1によれば、次のような作用効果がある。この口紅シート体1は、口紅がコーティングされたコーティング面2aを保護するカバーシート5を備えており、かつ、コーティング面2aとカバーシート5との間にガードシート3を備えているため、そのガードシート3の厚みにより、コーティング面2aとカバーシート5とが離され、カバーシート5がコーティング面2aに接触し難く、口紅がカバーシート5側に付着するのを低減あるいは避けることができる。
【0035】
また、ガードシート3は、唇の外形を模した抜き孔3aを有しており、それ以外の部分においてはコーティング面2aを覆っているため、口紅シート体1の使用の際、使用者Uが、ガードシート3の、前記覆っている部分に指を当てて口紅シート体1を保持すれば、コーティングシート2にコーティングされた口紅が指に付着することもない。さらに、シート本体Bを唇で挟む際、抜き孔3aに使用者Uの唇を宛がうようにすれば、ガードシート3はマスキングシートとして機能し、使用時に、塗布対象として意図した唇の範囲以外に口紅が付着するのを防ぐ効果がある。
【0036】
このように、コーティング面2a上にガードシート3を備えているため、口紅は、コーティングシート2の全面に及ぶようにコーティングされていてもよい。そして、このように、コーティングシート2となるシートの全面に口紅のコーティングを施した場合には、その後に、このコーティングがなされたシートを、口紅シート体1を構成するコーティングシート2として適切な大きさおよび形状に切断することができる。こうして、コーティング工程において、人の唇を模した形状などの範囲に制約されることなく、容易にコーティングを施すことができる。したがって、コーティング作業が簡潔になり、コーティングされた口紅からなるコーティング層の厚さの調整を、簡単かつ正確に行なうことができる。
【0037】
また、コーティングシート2を担持するベースシート4を設けているので、コーティングシート2は、より的確にその平板形状を保持できる。
【0038】
さらに、カバーシート5に施された凹凸状の加工により記コーティング面2aとカバーシート5の間はより大きく離すことが可能となる。
【0039】
また、ガードシート3およびベースシート4において、シート本体Bを折り曲げるためのミシン目3b、4aが設けられていることで、使用の際、シート本体Bを折り曲げ易い。
【0040】
この口紅シート体1は、シート状であるため嵩張らず、また、ガードシート3の厚みとカバーシート5に設けられた突部5a、5aによってコーティング面2aより離されたカバーシート5によって、コーティング面2aが保護されているため、使用者Uが携帯するのに好適であるだけでなく、口紅のサンプルとして、街頭で配布したり、付録として雑誌等に綴じたり、あるいはダイレクトメール等に同封するのにも適している。
【0041】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、口紅シート体1は、主に使い捨て口紅として使用されることを想定しているが、コーティングシート2に設けられる口紅のコーティング層の厚みを調節することによって、ある程度繰り返し使用できるタイプとして実施することも可能となる。
【0042】
また、コーティングシート2には、通常の着色をするための口紅のみならず、一般に「ラメ」や「グリッター」と呼ばれる、輝きを与える顔料を含む口紅をコーティングしてもよい。
【0043】
また、コーティングシート2に、折り曲げのための、印、折り目、またはミシン目が設けられていてもよい。
【0044】
また、ガードシート3のミシン目3bは、印や折り目であってもよいし、あるいは、なくてもよい。また、ベースシート4のミシン目4aについても、印や折り目であってもよいし、あるいは、なくてもよい。
【0045】
また、ガードシート3の抜き孔3aは、人の唇を模した形状でなくてもよく、人の唇を模した形状を包含する形状、例えば楕円形、あるいはその他の形状であっても構わない。
【0046】
また、ベースシート4はなくてもよい。その場合は、コーティングシート2が、十分な厚みがあって、折り曲げてもよれなどが生じにくいものであれば好ましい。
【0047】
また、カバーシート5の、位置決めのための目印5bは、カバーシート5をめくって開いた時のカバーシート5の上辺中央付近に設けられていなくてもよく、使用者Uが口紅シート体1を位置決めするのに有用である任意の位置でよい。また、この目印5bは、なくてもよい。
【0048】
また、カバーシート5の凹凸状の加工は、全面に施されていなくてもよく、部分的に施されていてもよいし、全くなくてもよい。また、ガードシート3の、カバーシート5と対面する側の面、すなわち、ガードシート3の表側の面に、例えばエンボス加工等によって、凹凸状の加工を、全面にあるいは部分的に、施してもよい。さらに、これら凹凸状の加工は、前記実施の形態に示されるような形状の突部5a、5aに限らず、他の形状からなる凹凸状の加工であってもよい。
【0049】
また、カバーシート5の、ガードシート3と対面する側の面に、離型剤をコーティングして、口紅(唇化粧料)がカバーシート5側に付着しにくいようにしても構わない。
【0050】
また、カバーシート5は、他のシートと同様の形状でなくても良く、コーティング面2aが、使用者Uが意図した塗布対象外の箇所に接触した際に付着してその箇所を汚したり、コーティングが剥離したりすることを防ぐことが可能であれば、他のシートと異なる形状であってもよい。
【0051】
カバーシート5についてさらに言えば、使い捨て口紅としての使用が意図された口紅シート体1においては、カバーシート5は、使用前の保管および携帯等(商品として出荷される際の梱包、搬送、陳列等も含む)の状態において、コーティング面2aを保護していればよい。つまり、カバーシート5が、口紅シート体1の使用のために一旦開かれた後は、再度コーティング面2aを覆うよう閉じられる必要はなく、口紅シート体1、すなわちシート本体Bから完全に分離してよい。したがって、使い捨て口紅としての口紅シート体1においては、カバーシート5は開閉可能な固着方法によらなくても、不可逆的に開かれるような態様、例えば、カバーシート5が、ガードシート3の抜き孔3aの周囲を囲むようにして、接着剤等で剥離可能に接着されるなどの態様で、ガードシート3に固着されていてもよい。
【0052】
また、使い捨て口紅としての使用が意図された口紅シート体1においては、カバーシート5は、ガードシート3に、緊張させて固着されてもよい。このような態様でカバーシート5を設ければ、カバーシート5がフィルム状の薄いものからなっている場合でも、カバーシート5とコーティング面2aとは、付着することなく確実に離される。
【0053】
また、図示実施の形態においては、ガードシート3、コーティングシート2およびベースシート4は、2ヶ所の端縁部で固着6および7されているが、固着7については省略してもよい。
【0054】
なお、図示実施の形態においては、唇化粧料として口紅を用いた口紅シート体1について述べたが、本発明の唇化粧料シート体は、そのコーティングシート2に、口紅以外のもの、例えば、リップクリームとかリップグロス等を唇化粧料としてコーティングした、リップクリームシート体とかリップグロスシート体としても実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】この発明に係る唇化粧料シート体としての口紅シート体の、一実施の形態を示す分解斜視図である。
【図2】同じく、口紅シート体を構成する各シートの位置関係を示す断面図である。
【図3】同じく、口紅シート体のシート本体が使用に際して折り曲げられた状態を示す斜視図である。
【図4】同じく、口紅シート体の使用方法を示す側面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 口紅シート体(唇化粧料シート体)
2 コーティングシート
2a コーティング面
3 ガードシート
3a 抜き孔
3b ミシン目
4 ベースシート
4a ミシン目
5 カバーシート
5a 突部
5b 目印
B シート本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り曲げて唇で挟むことでその唇に唇化粧料を塗ることができるシート本体を備えた唇化粧料シート体であって、
前記シート本体は、前記唇化粧料がコーティングされたコーティング面を有するコーティングシートと、そのコーティングシートの前記コーティング面上に配置されて、人の唇を模した形状あるいはそれを包含する形状の抜き孔を有するガードシートとを備え、
前記ガードシート上にはカバーシートが配置されてなる、唇化粧料シート体。
【請求項2】
前記コーティング面は、前記唇化粧料が前記コーティングシートの全面に及ぶようにコーティングされてなる、請求項1に記載の唇化粧料シート体。
【請求項3】
前記コーティングシートの、前記コーティング面とは反対の側に、前記シート本体を構成するベースシートが設けられており、そのベースシートには、折り曲げのための、印、折り目、またはミシン目が設けられている、請求項1または2に記載の唇化粧料シート体。
【請求項4】
前記カバーシートの、前記ガードシートと対面する側の面、あるいは前記ガードシートの、前記カバーシートと対面する側の面に、凹凸状の加工が施されてなる、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の唇化粧料シート体。
【請求項5】
前記コーティングシートまたは/および前記ガードシートには、折り曲げのための、印、折り目、またはミシン目が設けられている、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の唇化粧料シート体。
【請求項6】
前記カバーシートは、前記シート本体に対して開閉可能に取り付けられてなる、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の唇化粧料シート体。
【請求項7】
前記カバーシートには、そのカバーシートを前記シート本体から開いて前記コーティング面に唇を当てる際に、その唇を前記抜き孔に合わせるための目安となる、目印が設けられている、請求項6に記載の唇化粧料シート体。
【請求項8】
前記唇化粧料が口紅である、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の唇化粧料シート体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−29522(P2008−29522A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−205161(P2006−205161)
【出願日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(591091043)株式会社ツキオカ (38)