説明

商品の販売および配送のためのシステム、方法

【課題】商品の買い手のユーザに関する属性情報の開示リスクを低減しつつ、購入した商品を受領するプロセスの利便性を高める。
【解決手段】販売・配送システム100は、販売管理装置10と配送管理装置14を備える。販売管理装置10は、商品の購入段階で必要なユーザの個人情報を取得する手段と、販売業務のために、決済IDと、上記購入段階で必要な個人情報と、商品属性を対応づけて記録する手段と、決済IDをユーザへ通知する手段と、配送管理装置14に対して、商品属性の参照を許可する一方、上記購入段階で必要な個人情報の参照を拒否する手段を含む。配送管理装置14は、決済IDとともに、商品の配送段階で必要なユーザの個人情報を取得する手段と、その決済IDと対応づけられた商品属性を販売管理装置10から取得する手段と、配送業務のために、上記配送段階で必要な個人情報と対応づけて、商品に関する属性情報を記録する手段を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデータ処理技術に関し、特に、商品の販売および配送のためのシステム、および、商品の販売および配送のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットを介した通信販売により商品を購入する場合、買い手のユーザは、氏名や住所等の個人情報を売り手業者に開示する必要があり、開示した個人情報を第三者に悪用されてしまう問題が発生することがあった。
【0003】
以下の特許文献1では、買い手のユーザが現住所や銀行口座等の重要な個人情報を開示せずに、商品を購入することができる商取引システムを提案している。具体的には、以下のシナリオにて商品の購入とその受け取りがなされる。(1)買い手のユーザが、メールアドレスと利用店舗をシステム提供事業者に登録して、個人用のカードを取得する。(2)インターネット上での売買契約成立後に、売り手業者の装置は契約IDをユーザのカードに記録させるとともに、その契約IDを利用店舗へ通知する。(3)ユーザは利用店舗まで出向き、利用店舗に設置された装置においてユーザのカードに記録された契約IDと利用店舗に通知された契約IDとを検証させる。検証に成功すると、ユーザは利用店舗において商品を受領する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−259870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の特許文献1の技術では、買い手のユーザは、商品を受け取るために利用店舗まで出向く必要があり、また、カード発行の際に登録した利用店舗以外の場所では商品を受け取ることができない。本発明者は、商品の買い手のユーザに関する属性情報の開示リスクを低減しつつも、購入した商品を受領するプロセスの利便性を高める観点から改善の余地があると考えた。
【0006】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、商品の買い手のユーザに関する属性情報の開示リスクを低減しつつ、購入した商品を受領するプロセスの利便性を高める技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の商品の販売および配送のためのシステムは、販売業者の業務に必要な情報を管理する販売管理装置と、配送業者の業務に必要な情報を管理する配送管理装置と、を備える。販売管理装置は、商品の購入を希望するユーザから、ユーザに関する属性情報のうち商品の購入段階において必要な情報を取得するユーザ情報取得部と、販売業者の業務において参照させるために、商品の購入に対して発行されたIDと、商品の購入段階において必要な情報と、商品に関する予め定められた属性情報とを対応づけて記録する販売情報記録部と、IDをユーザへ通知するID通知部と、配送管理装置からIDをキーとする情報参照要求を受け付けた場合、商品に関する属性情報の参照を許可する一方、商品の購入段階において必要な情報の参照を拒否するアクセス制御部と、を含む。配送管理装置は、ユーザから、IDとともに、ユーザに関する属性情報のうち商品の配送段階において必要な情報を取得するユーザ情報取得部と、取得されたIDをキーとして、商品に関する属性情報を販売管理装置から取得する商品属性取得部と、配送業者の業務において参照させるために、商品の配送段階において必要な情報と対応づけて、商品に関する属性情報を商品の集荷に必要な情報として記録する配送情報記録部と、を含む。
【0008】
本発明の別の態様は、商品の販売および配送のための方法である。この方法は、販売業者の業務に必要な情報を管理する販売管理装置と、配送業者の業務に必要な情報を管理する配送管理装置とにより実行される方法であって、販売管理装置が、商品の購入を希望するユーザから、ユーザに関する属性情報のうち商品の購入段階において必要な情報を取得するステップと、販売管理装置が、販売業者の業務において参照させるために、商品の購入に対して発行されたIDと、商品の購入段階において必要な情報と、商品に関する予め定められた属性情報とを対応づけて記録するステップと、販売管理装置が、IDをユーザへ通知するステップと、配送管理装置が、ユーザから、IDとともに、ユーザに関する属性情報のうち商品の配送段階において必要な情報を取得するステップと、配送管理装置が、販売管理装置に対して、取得されたIDをキーとする情報参照要求を送信するステップと、販売管理装置が、情報参照要求を受け付けた場合、商品に関する属性情報の参照を許可する一方、商品の購入段階において必要な情報の参照を拒否するステップと、配送管理装置が、配送業者の業務において参照させるために、商品の配送段階において必要な情報と対応づけて、商品に関する属性情報を商品の集荷に必要な情報として記録するステップと、を備える。
【0009】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を装置、方法、システム、プログラム、プログラムを格納した記録媒体などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、商品の買い手のユーザに関する属性情報の開示リスクを低減しつつ、購入した商品を受領するプロセスの利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態の販売・配送システムの構成を示す図である。
【図2】図1の販売管理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図3】販売情報保持部に格納される販売情報の構成を示す図である。
【図4】図1の配送管理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図5】配送情報保持部に格納される配送情報の構成を示す図である。
【図6】配送申込ページの表示イメージを示す図である。
【図7】アラートページの表示イメージを示す図である。
【図8】図1の販売管理装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】図1の配送管理装置の動作を示すフローチャートである。
【図10】第1の変形例における販売・配送システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施の形態では、商品の販売および配送のための販売・配送システムを提案する。このシステムでは、ユーザがインターネット上の仮想店舗で商品を購入した場合、商品の決済完了時に販売業者側で発行されたIDが、商品の配送業者側に伝達される。配送業者は、そのIDを使用して商品の配送に必要な情報を販売業者側から取得することにより、商品の集荷と配送を実施する。
【0013】
図1は、実施の形態の販売・配送システム100の構成を示す。販売管理装置10は、販売業者Aおよび販売業者Bの商品を通信販売するための仮想店舗が表示されるウェブサイト(以下、「通販サイト」とも呼ぶ。)をインターネット上に公開する情報処理装置である。販売管理装置10は、販売業者Aおよび販売業者Bの業務に必要な情報(以下、「販売情報」とも呼ぶ。)を一括して管理し、販売業者Aおよび販売業者Bの担当者により操作される販売業務端末12からの情報参照要求に応じて販売情報を提供する。
【0014】
配送管理装置14は、ユーザが販売業者Aもしくは販売業者Bから購入した商品の配送を申込むためのウェブサイト(以下、「配送申込サイト」とも呼ぶ。)をインターネット上に公開する情報処理装置である。配送管理装置14は、配送業者の業務に必要な情報(以下、「配送情報」とも呼ぶ。)を管理し、配送業者の担当者により操作される配送業務端末16からの情報参照要求に応じて配送情報を提供する。
【0015】
ユーザ端末18は、商品の買い手であるユーザにより操作される情報処理装置であり、例えばウェブブラウザを搭載したPCである。図1の各装置は、LAN・WAN・インターネット等の各種の通信網を含む通信網20を介して接続される。
【0016】
なお、販売管理装置10および配送管理装置14の物理的な設置位置に制限はなく、販売管理装置10はそれぞれの販売業者に設置されてもよく、配送管理装置14は配送業者に設置されてもよい。また、両装置ともシステム事業者が保持する装置であってもよい。また、後述する販売管理装置10および配送管理装置14の機能は、ASP(Application Service Provider)事業者により、販売業者および配送業者に対してASPサービスとして提供されてもよい。
【0017】
図2は、図1の販売管理装置10の機能構成を示すブロック図である。販売管理装置10は、通販サイト処理部30と、決済処理部36と、販売情報記録部38と、販売情報保持部40と、アクセス制御部42と、商品情報保持部44とを備える。
【0018】
本明細書のブロック図において示される各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。例えば、図2の各機能ブロックは、ソフトウェアとして記録媒体に格納され、販売管理装置10の外部記憶装置にインストールされ、販売管理装置10のメインメモリに適宜読み出されてCPUにて実行されてもよい。
【0019】
販売情報保持部40は、販売業者Aおよび販売業者Bでの販売業務に必要な販売情報を一括して保持する記憶領域である。図3は、販売情報保持部40に格納される販売情報の構成を示す。「決済ID」フィールドには、商品代金の決済行為を一意に特定可能なIDであり、後述の決済処理部36による決済処理において発行された決済IDが格納される。この決済IDは、ユーザによる特定の商品の購入行為を一意に特定可能なIDであるとも言える。「決済状況」フィールドには、商品代金の決済が完了したか否かを示すデータが格納される。「決済方法」フィールドには、商品代金の決済方法、例えばクレジットカードによる支払、コンビニエンスストア等の実在の店舗での支払、銀行振込による支払等を示すデータが格納される。
【0020】
「ユーザアカウント」フィールドには、通販サイトでのユーザアカウント名(例えばユーザが通販サイトへログインする際に入力したアカウント名)が格納される。「販売業者名」フィールドは、ユーザが購入した商品の販売業者名が格納される。「商品名」フィールドには、ユーザが購入した商品名が格納される。「商品特性」フィールドには、ユーザが購入した商品の特徴、本実施の形態では商品の集荷および配送において配送業者が留意すべき情報を含む商品特性が格納される。「荷物サイズ」フィールドには、ユーザの購入商品を配送業者へ出荷する際の荷物サイズ(言い換えれば梱包サイズ)が格納される。「出荷開始日」フィールドには、ユーザが購入した商品の出荷が可能となる出荷開始日が格納され、「集荷日」フィールドには、配送業者による商品の集荷日が格納される。なお、図3には図示しないが、商品代金の決済に必要な情報として、ユーザのクレジットカード番号や口座番号、生年月日、決済金額等が販売情報としてさらに格納されてもよい。
【0021】
図2に戻り、商品情報保持部44は、販売業者Aおよび販売業者Bにおいて販売される商品に関して予め定められた各種属性情報を保持する記憶領域である。各種属性情報には、図3で既述した商品名、販売業者名、商品特性、荷物サイズ、出荷開始日が含まれる。さらに商品価格(すなわち上記の決済金額)が含まれてもよい。典型的には、通販サイトにてある商品の販売が開始される際に、その商品の属性情報が、販売業者の担当者により販売業務端末12を介して設定される。
【0022】
通販サイト処理部30は、通販サイトに関する各種データ処理を実行して、通販サイトにおける各種サービスをユーザに提供する。具体的には、ユーザ端末18から送信されたユーザアカウントに応じて通販サイトに対するユーザのログイン許否を決定する。また、ユーザ端末18から送信された通販サイトに対するユーザの入力情報を受信して、その入力情報にもとづくデータ処理を実行する。また、そのデータ処理の結果を示す通販サイトのウェブページのデータをユーザ端末18へ送信して表示させる。
【0023】
通販サイト処理部30は、商品情報保持部44が保持する商品属性情報を取得して、販売業者Aおよび販売業者Bが販売する商品を購入するための購入申込ページをユーザ端末18に表示させる。この購入申込ページには、買い手ユーザの属性情報(個人情報)のうち商品の購入段階で必要となる所定項目の情報(以下、「購入用個人情報」とも呼ぶ。)の入力フィールドが設けられており、ユーザは購入用個人情報を入力する必要がある。購入用個人情報には、例えば、通販サイトにおけるユーザアカウント名、決済方法、クレジットカード番号や口座番号、ユーザの生年月日等が含まれる。
【0024】
なお、購入用個人情報は、買い手ユーザの属性情報のうち商品の配送段階で必要となる所定項目の情報(以下、「配送用個人情報」とも呼ぶ。)を含まない情報でもあり、商品の購入代金を決済するために必要な情報とも言える。さらに言い換えれば、購入用個人情報は、商品の購入に必要な情報項目を含み、その商品の配送に必要な情報項目を含まない一方で、配送用個人情報は、商品の配送に必要な情報項目を含み、その商品の購入に必要な情報項目を含まない。
【0025】
通販サイト処理部30は、ユーザ情報取得部32とID通知部34とを含む。ユーザ情報取得部32は、購入申込ページに対してユーザが入力した購入用個人情報を取得する。ID通知部34は、決済処理部36において発行された決済IDを示すウェブページのデータをユーザ端末18へ送信して表示させることにより、決済IDをユーザへ通知する。
【0026】
決済処理部36は、ユーザ情報取得部32において取得された購入用個人情報にしたがって外部の金融機関の装置と連携し、ユーザにより購入された商品の代金を決済する。例えば、購入用個人情報に含まれるクレジットカード番号や生年月日を含む決済要求を外部のクレジットカード会社の装置へ送信することにより、クレジットカード決済を実行する。また決済処理部36は、決済処理を開始するにあたり、その決済行為を一意に示す決済IDを発行する。この決済IDはユーザの属性情報に依存せずに決定されるものであり、言い換えれば、決済IDはユーザの個人情報を一切含まないIDである。
【0027】
販売情報記録部38は、商品名および購入用個人情報を通販サイト処理部30から取得し、決済IDおよび決済状況を決済処理部36から取得し、商品名と対応づけられた商品属性を商品情報保持部44から取得する。そして、これらの各情報を対応づけた販売情報を販売情報保持部40へ格納する。
【0028】
アクセス制御部42は、外部装置から販売情報に対するアクセス要求を受け付けて、そのアクセス要求に対する許否を決定して、販売情報のアクセス制御を実行する。例えば、販売業者Aもしくは販売業者Bの販売業務端末12からアクセス要求を受け付けた場合、要求元の販売業者が販売した商品に関する販売情報の参照および更新を許可する。具体的には、通販サイト処理部30に格納された販売情報のうち、販売業者名フィールドのデータが要求元の販売業者と合致するレコードへのアクセスを許可する。
【0029】
またアクセス制御部42は、配送管理装置14から決済IDをキーとして情報参照要求を受け付けた場合、その決済IDにより特定される販売情報のうち商品の配送段階で必要な商品属性(以下、「配送用商品属性」とも呼ぶ。)の参照を許可する。配送用商品属性には、図3の販売業者名、商品特性、荷物サイズ、出荷開始日が含まれるが、商品名は含まれないこととする。また、配送管理装置14から決済IDをキーとして集荷日の設定要求を受け付けた場合、その決済IDにより特定される販売情報における集荷日の更新を許可する。
【0030】
またアクセス制御部42は、販売業務端末12と配送管理装置14以外の装置から販売情報へのアクセス要求を受け付けた場合、そのアクセスを拒否する。また、配送管理装置14から配送用商品属性および集荷日以外のデータ(例えば購入用個人情報)へのアクセス要求を受け付けた場合、そのアクセスを拒否する。言い換えれば、アクセス制御部42は、販売業務端末12に対してのみ、購入用個人情報へのアクセスを許可する。
【0031】
図4は、図1の配送管理装置14の機能構成を示すブロック図である。配送管理装置14は、配送申込サイト処理部50と、販売情報アクセス部60と、配送情報記録部66と、配送情報保持部68とを備える。
【0032】
配送情報保持部68は、配送業者での配送業務(具体的には販売業者からの荷物の集荷と、ユーザへの荷物の配送)に必要な配送情報を保持する記憶領域である。図5は、配送情報保持部68に格納される配送情報の構成を示す。「配送先氏名」「配送先住所」「配送希望日」フィールドのそれぞれには、配送申込サイトにおいてユーザが指定した配送先である受取人(例えばユーザ)の氏名と、配送先の住所、配送希望日が格納される。「集荷状況」フィールドには、販売業者から荷物を集荷済か否かを示すデータが格納される。その他のフィールドには、図3で既述した各フィールドと同様のデータが格納される。
【0033】
図5の「販売業者名」・「商品特性」・「荷物サイズ」は、上述の配送用商品属性であり、後述するように販売管理装置10から取得される。この配送用商品属性は、ユーザの購入商品を集荷・配送するために必要な情報である。すなわち、冷凍車や冷蔵車の要否、壊れ物を保護するための資材の要否、集荷タイミング等を配送業者が決定する際に参照される。
【0034】
図4に戻り、配送申込サイト処理部50は、配送申込サイトに関する各種データ処理を実行して、配送申込サイトにおける各種サービスをユーザに提供する。具体的には、ユーザ端末18から送信された配送申込サイトに対するユーザの入力情報を受信して、その入力情報にもとづくデータ処理を実行する。また、そのデータ処理の結果を示す配送申込サイトのウェブページのデータをユーザ端末18へ送信して表示させる。配送申込サイト処理部50は、申込画面提供部52と、ユーザ情報取得部54と、期日判定部56と、ユーザ通知部58とを含む。
【0035】
申込画面提供部52は、販売業者Aおよび販売業者Bから購入した商品の配送を申込むための配送申込ページをユーザ端末18に表示させる。図6は、配送申込ページの表示イメージを示す。配送申込ページには配送先情報入力エリア70と荷物情報入力エリア72とが設けられる。配送先情報入力エリア70は、買い手ユーザの属性情報のうち配送用個人情報をユーザに入力させるための領域である。配送用個人情報には、配送先氏名と配送先住所が含まれる。荷物情報入力エリア72は、配送対象となる荷物(すなわちユーザの購入商品)の情報をユーザに入力させるための領域であり、ここでは、通販サイトでの商品購入時に通知された決済IDと、購入商品の配送希望日を入力させることとする。
【0036】
図6で示すように、荷物情報入力エリア72には、複数の購入商品の配送を一括して申込むための、荷物1〜荷物nそれぞれの情報入力フィールドが設けられる。ユーザが複数の購入商品の配送を一括して申込む場合は、荷物情報入力エリア72の荷物1〜荷物nの各フィールドに決済IDと配送希望日を入力する。配送先情報入力エリア70および荷物情報入力エリア72の入力が完了した場合、登録ボタン74を押下することにより、配送申込ページへの入力データが配送管理装置14へ送信される。なお、荷物1〜荷物nそれぞれの情報入力フィールドと対応づけて、配送先情報の入力フィールドが設けられてもよいことはもちろんである。
【0037】
図4に戻り、ユーザ情報取得部54は、配送申込ページに対してユーザが入力した情報(すなわち配送用個人情報、決済IDおよび配送希望日)を取得する。期日判定部56は、ユーザの購入商品の出荷開始日を後述の販売情報アクセス部60を介して取得し、購入商品の出荷開始日が、配送申込ページに対してユーザが入力した配送希望日以前であるか否かを判定する。期日判定部56は、出荷開始日が配送希望日以前であれば配送希望日における配送が可能であると判定する一方、出荷開始日が配送希望日より後の場合、配送希望日における配送はできないと判定する。
【0038】
ユーザ通知部58は、期日判定部56により配送希望日における配送ができないと判定された場合、配送希望日を変更するように促すメッセージをユーザ端末18へ通知する。本実施の形態では、当該メッセージを含むウェブページ(以下、「アラートページ」とも呼ぶ。)のデータをユーザ端末18へ送信して表示させる。図7は、アラートページの表示イメージを示す。このアラートページは、配送申込ページにおいて登録ボタン74が押下された場合の応答として表示されるウェブページである。また、戻るボタン76はウェブブラウザの戻るボタンと同じ機能を備え、ユーザにより戻るボタン76が押下されると配送申込ページが再度表示される。この場合、ユーザは、再表示された配送申込ページにおいて配送希望日を適宜変更する必要がある。
【0039】
図4に戻り、販売情報アクセス部60は、販売管理装置10に保持された販売情報へのアクセス処理を実行する。販売情報アクセス部60は、商品属性取得部62と集荷日設定部64とを含む。
【0040】
商品属性取得部62は、ユーザ情報取得部54において取得された決済IDをキーとして、販売情報のうち配送用商品属性の取得要求を販売管理装置10へ送信し、その決済IDと対応づけられた配送用商品属性を取得する。販売情報アクセス部60は、取得された配送用商品属性のうち出荷開始日を期日判定部56へ通知することにより、配送希望日における配送の可否を判定させる。
【0041】
集荷日設定部64は、期日判定部56において配送希望日における配送が可能であると判定された場合、その配送希望日以前の日を、ユーザの購入商品の集荷日として決定する。そして、その集荷日を販売情報に設定させるための情報更新要求を販売管理装置10へ送信することにより、その集荷日を販売情報へ反映させて配送業者へ通知する。なお、集荷日設定部64は、期日判定部56において配送可能であると判定された配送希望日を配送業務端末16へ通知し、配送業者の担当者により設定された集荷日を配送業務端末16から受け付けて、その集荷日を販売管理装置10の販売情報へ反映させてもよい。
【0042】
配送情報記録部66は、ユーザ情報取得部54により取得された決済IDおよび配送用個人情報と、商品属性取得部62により取得された配送用商品属性と、集荷日設定部64により決定された集荷日とを対応づけた配送情報を配送情報保持部68へ記録する。
【0043】
配送情報保持部68に格納された配送情報は、配送業者の業務の必要に応じて配送業務端末16から参照および更新される。例えば、配送情報の集荷状況フィールドは、荷物の集荷状況に応じて、配送業者の担当者により配送業務端末16を介して更新されてもよい。図4には図示しないが、配送管理装置14は、配送情報保持部68に格納された配送情報を配送業務端末16へ送信する配送情報提供部をさらに備えてもよい。また、配送情報に対する配送業務端末16以外からのアクセスを制限(禁止)するアクセス制御部をさらに備えてもよい。
【0044】
以上の構成による動作を以下説明する。
図8は、図1の販売管理装置10の動作を示すフローチャートである。販売管理装置10の通販サイト処理部30は、通販サイトの商品購入ページをユーザ端末18に表示させる(S10)。商品購入ページに対してユーザが入力した商品購入要求のデータを通販サイト処理部30が受け付けると(S12のY)、ユーザ情報取得部32はそのデータからユーザの購入用個人情報を抽出する(S14)。決済処理部36は、購入用個人情報を参照して、外部の金融機関の装置とデータを送受することにより商品代金の決済処理を実行するとともに、決済IDを採番して発行する(S16)。販売情報記録部38は、決済ID、購入用個人情報および配送用商品属性を含む販売情報を販売情報保持部40へ格納する(S18)。ID通知部34は、決済IDをユーザ端末18へ通知する(S20)。商品購入要求を受け付けなければ(S12のN)、S14〜S20はスキップされる。
【0045】
販売管理装置10のアクセス制御部42は、販売情報保持部40に格納された販売情報へのアクセス(参照もしくは更新)要求を外部装置から受け付けた場合(S22のY)、送信元IPアドレス等に基づいて当該要求の送信元を特定する。送信元が販売業者の販売業務端末12であれば(S24のY)、その販売業者が販売した商品に関する販売情報に対してのみアクセスを許可する(S26)。送信元が販売業務端末12ではなく(S24のN)、配送管理装置14であれば(S28のY)、販売情報のうち配送用商品属性に対してのみアクセスを許可する(S30)。送信元が配送管理装置14でもなければ(S28のN)、販売情報へのアクセスを拒否する(S32)。販売情報へのアクセス要求を受け付けなければ(S22のN)、S24〜S32はスキップされる。
【0046】
図9は、図1の配送管理装置14の動作を示すフローチャートである。配送管理装置14の申込画面提供部52は、配送申込サイトの配送申込ページをユーザ端末18に表示させる(S40)。配送申込ページに対してユーザが入力した配送要求のデータを配送申込サイト処理部50が受け付けると(S42のY)、ユーザ情報取得部54は、そのデータから決済ID、配送希望日および配送用個人情報を抽出する(S44)。商品属性取得部62は、ユーザから受け付けられた決済IDをキーとして、そのユーザの購入商品に関する配送用商品属性を販売管理装置10から取得する(S46)。
【0047】
期日判定部56は、配送用商品属性の出荷開始日とユーザの配送希望日とを比較して、ユーザの購入商品を配送希望日に配送可能か否かを判定する。配送希望日に配送可能と判定された場合(S48のY)、配送情報記録部66は配送情報を配送情報保持部68へ格納し(S50)、集荷日設定部64はユーザの購入商品の集荷日を販売管理装置10へ通知する(S52)。配送希望日に配送ができないと判定された場合(S48のN)、ユーザ通知部58は、配送希望日の変更をユーザに促すためのメッセージをユーザ端末18へ通知して(S54)、S40へ戻る。配送要求のデータを受け付けなければ(S42のN)、S44〜S54はスキップされる。
【0048】
なお、配送申込ページに対してユーザが複数の購入商品の情報(決済ID)を一括して入力した場合は、その決済IDの数だけS44〜S54が繰り返される。具体的には、ユーザ情報取得部54は複数の決済IDを受け付け、商品属性取得部62は各決済IDと対応づけられた配送用商品属性のそれぞれを取得し、配送情報記録部66は各決済IDに対応づけて配送情報を記録する。ユーザ通知部58は、配送希望日の配送ができない購入商品については1つのアラートページで一括してユーザに通知してもよい。
【0049】
本実施の形態の販売・配送システム100によれば、商品の購入(決済)プロセスと配送プロセスとが明確に分離される。ユーザは、自身に関する属性情報(自身を特定可能な個人情報を含む)のうち、販売業者に対しては商品の購入段階で必要な情報のみを開示すればよく、配送業者に対しては商品の配送段階で必要な情報のみを開示すればよい。このように、ユーザが商品を購入して入手する一連のプロセスにかかわる販売業者と配送業者のいずれに対しても必要最小限の範囲でユーザ属性を開示すればよいため、ユーザ属性が悪用されてしまう可能性、すなわちユーザ属性の開示リスクを低減できる。
【0050】
またユーザは、配送業者に対して、購入商品の任意の配送先(例えばユーザの自宅)を指定できるため、購入商品の受領における利便性を高めることができる。なお、ユーザを介して配送管理装置14に決済IDが通知されるため、配送管理装置14はユーザの購入商品の集荷および配送に必要な情報を販売管理装置10から取得できる。その一方、決済IDではユーザの個人情報を特定することはできず、また、配送管理装置14が購入用個人情報へアクセスすることは禁止されるため、購入用個人情報の拡散を防止できる。
【0051】
また販売・配送システム100によれば、ユーザの購入商品の出荷開始日に応じた適切な範囲で、ユーザに配送希望日を設定させることができる。また、配送申込を受け付けた際に、配送希望日を変更すべき旨を即時に通知できるため、配送申込サイトにおけるユーザの利便性を向上できる。
【0052】
また、ユーザが複数の販売業者から複数の商品を購入した場合でも、それらの配送申込を一括して受け付けて、集荷および配送を管理できる。これにより、ユーザは販売業者ごとに異なる配送申込を行う必要がなく、ユーザの利便性を向上できる。
【0053】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0054】
第1の変形例を説明する。実施の形態の販売・配送システム100では、販売管理装置10において商品代金の決済処理が実行されて、販売管理装置10からユーザ端末18へ決済IDが直接通知されることとした。変形例では、決済処理に実在の店舗(コンビニエンスストア等)が介在してもよい。図10は、第1の変形例における販売・配送システム100の構成を示す。第1の変形例における販売・配送システム100は、実施の形態における販売・配送システム100の構成に加えて、店舗に設置された店舗装置22を備える。
【0055】
ユーザは、ユーザ端末18を介して、通販サイトの購入申込ページにて商品の購入を申込む(購入用個人情報を入力する)とともに、商品代金を支払う利用店舗を登録する。そして、その利用店舗に出向いて商品代金を決済する。その決済の完了を検出した店舗装置22がその旨を販売管理装置10へ通知すると、販売管理装置10は決済IDを発行して店舗装置22へ通知する。ユーザは、利用店舗にて決済IDを受け取る。以降、ユーザはユーザ端末18を介して配送申込サイトへアクセスすることとなり、実施の形態と同じ処理フローとなる。この変形例は、商品代金の決済に実在の店舗が介在する点が実施の形態との相違点であり、実施の形態の販売・配送システム100と同様の効果を奏する。
【0056】
第2の変形例を説明する。実施の形態の配送申込ページでは、配送用個人情報として、配送先氏名および住所がユーザにより入力されることとした。変形例として、配送管理装置14は、配送先氏名および住所と、配送申込サイトにおけるユーザアカウントや電話番号との対応関係を予め保持してもよい。配送申込ページでは配送用個人情報としてユーザアカウントや電話番号が入力されてもよい。そして、配送情報記録部66は、上記対応関係を参照して、ユーザアカウントや電話番号と対応づけられた配送先氏名および住所を配送情報へ記録してもよい。
【0057】
上述した実施の形態、変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態、変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【0058】
請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施の形態および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連携によって実現されることも当業者には理解されるところである。
【符号の説明】
【0059】
10 販売管理装置、 14 配送管理装置、 32 ユーザ情報取得部、 34 ID通知部、 38 販売情報記録部、 42 アクセス制御部、 54 ユーザ情報取得部、 58 ユーザ通知部、 62 商品属性取得部、 66 配送情報記録部、 100 販売・配送システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
販売業者の業務に必要な情報を管理する販売管理装置と、
配送業者の業務に必要な情報を管理する配送管理装置と、を備え、
前記販売管理装置は、
商品の購入を希望するユーザから、前記ユーザに関する属性情報のうち前記商品の購入段階において必要な情報を取得するユーザ情報取得部と、
前記販売業者の業務において参照させるために、前記商品の購入に対して発行されたIDと、前記商品の購入段階において必要な情報と、前記商品に関する予め定められた属性情報とを対応づけて記録する販売情報記録部と、
前記IDを前記ユーザへ通知するID通知部と、
前記配送管理装置から前記IDをキーとする情報参照要求を受け付けた場合、前記商品に関する属性情報の参照を許可する一方、前記商品の購入段階において必要な情報の参照を拒否するアクセス制御部と、を含み、
前記配送管理装置は、
前記ユーザから、前記IDとともに、前記ユーザに関する属性情報のうち前記商品の配送段階において必要な情報を取得するユーザ情報取得部と、
取得されたIDをキーとして、前記商品に関する属性情報を前記販売管理装置から取得する商品属性取得部と、
前記配送業者の業務において参照させるために、前記商品の配送段階において必要な情報と対応づけて、前記商品に関する属性情報を前記商品の集荷に必要な情報として記録する配送情報記録部と、を含むことを特徴とする商品の販売および配送のためのシステム。
【請求項2】
前記配送管理装置は、ユーザ通知部をさらに含み、
前記配送管理装置のユーザ情報取得部は、前記ユーザから前記商品の配送希望日をさらに取得し、
前記配送管理装置の商品属性取得部は、前記商品に関する属性情報の1つとして、前記商品の出荷開始日を前記販売管理装置から取得し、
前記配送管理装置のユーザ通知部は、前記商品の出荷開始日が配送希望日より後である場合、配送希望日を変更すべき旨を前記ユーザへ通知することを特徴とする請求項1に記載の商品の販売および配送のためのシステム。
【請求項3】
前記配送管理装置は、複数の販売業者で複数の商品を購入したユーザに、前記複数の商品の購入に対して発行された複数のIDを一括して登録するための登録画面を提供する登録画面提供部をさらに備え、
前記配送管理装置のユーザ情報取得部は、前記登録画面に対してユーザが入力した前記複数のIDを受け付け、
前記配送管理装置の商品属性取得部は、前記複数のIDのそれぞれをキーとして、前記複数の商品のそれぞれに関する属性情報を、前記複数の販売業者のそれぞれの業務に必要な情報を管理する販売管理装置から取得し、
前記配送管理装置の配送情報記録部は、前記複数の商品のそれぞれに関する属性情報を記録することを特徴とする請求項1または2に記載の商品の販売および配送のためのシステム。
【請求項4】
販売業者の業務に必要な情報を管理する販売管理装置と、配送業者の業務に必要な情報を管理する配送管理装置とにより実行される方法であって、
前記販売管理装置が、商品の購入を希望するユーザから、前記ユーザに関する属性情報のうち前記商品の購入段階において必要な情報を取得するステップと、
前記販売管理装置が、前記販売業者の業務において参照させるために、前記商品の購入に対して発行されたIDと、前記商品の購入段階において必要な情報と、前記商品に関する予め定められた属性情報とを対応づけて記録するステップと、
前記販売管理装置が、前記IDを前記ユーザへ通知するステップと、
前記配送管理装置が、前記ユーザから、前記IDとともに、前記ユーザに関する属性情報のうち前記商品の配送段階において必要な情報を取得するステップと、
前記配送管理装置が、前記販売管理装置に対して、前記取得されたIDをキーとする情報参照要求を送信するステップと、
前記販売管理装置が、前記情報参照要求を受け付けた場合、前記商品に関する属性情報の参照を許可する一方、前記商品の購入段階において必要な情報の参照を拒否するステップと、
前記配送管理装置が、前記配送業者の業務において参照させるために、前記商品の配送段階において必要な情報と対応づけて、前記商品に関する属性情報を前記商品の集荷に必要な情報として記録するステップと、
を備えることを特徴とする商品の販売および配送のための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−103824(P2012−103824A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−250484(P2010−250484)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(000155469)株式会社野村総合研究所 (1,067)