説明

商品前出し装置

【課題】一般的に使用されている棚板を使用することができるとともに、棚板の載置面部の任意の位置に確実に固定することができ、かつ取外しも容易に行うことができる商品前出し装置を提供すること。
【解決手段】商品を前方へと押し出す押圧部材120を、レール部材110により前後方向に摺動案内させ、かつ前方へ付勢するように構成し、レール部材110に、棚板200の載置面部210の前端面又はその近傍に形成される溝部と係止する前端固定部115を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棚板の前後方向に陳列された商品を後方から前方へと押し出すための商品前出し装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
陳列棚の棚板の前後方向に商品を陳列する場合には、商品が顧客の目につきやすいように「前出し」することが行われている。そして、この前出し作業を簡便に行えるようにするための装置がいくつか提案されている。
【0003】
このうちの一つに、棚板を区画する仕切り板に沿って摺動可能に前後方向へ帯状に延びる略長方形板状の基部と、この基部の後端付近から前記基部と直行方向に延びて商品の背面を凹圧可能な凹圧片部を備えた商品前出し具が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この商品前出し具を用いれば、基部を仕切り板に沿って手前側に摺動させることで商品の前出しを行うことができる。この装置では、一度の操作で全ての商品の前出しを行うことができるものの、その操作を手動で行わなければならないという煩雑さがあった。
【0004】
そこで、商品の取り出しと同時に残りの商品を自動的に前出しするようにした商品前出し装置が提案されている。自動的に前出しを行う装置としては、例えば、長尺部材の長手方向に沿って移動可能に取り付けられた商品押圧体を、コイルばねにより前端方向に移動できるように付勢するように構成された商品陳列ユニットを、長尺部材と短尺部材を長方形状に組み立てた枠体に着脱可能に差し渡し状態にして取り付けるようにしたものがある(特許文献2参照)。この商品陳列ユニットによれば、商品が抜き取られる毎に、残りの商品がコイルばねの付勢力を利用して自動的に前出しされるため、上記の商品前出し具のように手動で行う煩雑さが解消される。しかし、この商品陳列ユニットを導入する場合には、これと組み合わせて用いられる専用の枠体も合わせて必要となるため、既存の棚板と交換する形で導入しなければならない。このため、既設の棚板を有効に活用することができないばかりでなく、導入コストも高くなるという不都合があった。
【0005】
一方、一般的な棚板の前端面には、プライスカードを差し込むためのカードレールが取り付けられている。そして、このカードレールと棚板の前端面との間に、幅方向に延びて形成される溝部を利用して、商品の落下防止のためのストッパー等の各種補助部品を取り付けることが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−17290号公報
【特許文献2】特開平11−346879号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記問題を解決すべくなされたものであり、既設の棚板に取付可能であって、かつ着脱を自在に行うことができる商品前出し装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載した発明が採った手段は、棚板の載置面に取り付けられて、陳列物を後方から前方へと押し出す商品前出し装置であって、前記陳列物が上面側に載置されるレール部材と、該レール部材に摺動自在に取り付けられて、付勢手段により前方に付勢される押圧部材とを有し、前記レール部材の前端には、前記棚板の前端面若しくはその近傍において左右方向に延設される溝部に係止する前端固定部が設けられることを特徴とする商品前出し装置、である。
【0009】
この商品前出し装置は、棚板の前端面又はその近傍に形成されている溝部を利用して着脱自在に取り付けできるようにしたものである。すなわち、レール部材に前端固定部を設け、これを棚板の前端面又はその近傍に形成される溝部に係止させることよって、載置面の任意の位置に着脱自在に取り付けできるようにしている。
【0010】
ここで、棚板の前面又はその近傍に形成される「溝部」の形態としては、例えば、棚板の前端面と、これに取り付けられるカードレールとの間に形成される溝部や、棚板の前端面に取り付けられる前面ストッパーの背面側に形成される溝部等が挙げられる。
【0011】
また、前端固定部は、レール部材の前端に着脱自在に取り付けられてもよい。これにより、前端固定部を、棚板の前面又はその近傍に形成される溝部の形態に応じたものに自在に交換することが可能となる。
【0012】
また、レール部材は、長尺板状の両側面から突出して形成される一対の摺動案内部を備え、押圧部材は、前記一対の摺動案内部と係合する一対の係合凹部を備えてもよい。これにより、押圧部材がレール部材から外れにくく、かつスムーズな摺動が可能となる。さらに、レール部材の厚みを薄く形成することができるので、載置された商品と棚板の載置面との間の隙間が小さくなって、商品を安定して載置できるようになる。
【0013】
また、レール部材には、後端側を棚板の載置面に着脱自在に固定する後端固定部が設けられてもよい。これにより、商品前出し装置を、より安定した状態で載置面に取り付けできるようになる。
【0014】
また、付勢手段は、帯状の薄板材が渦巻き状に巻かれてなるバネであって、前記バネは、押圧部材に形成されたばね収容部に収容されるとともに、一端がレール部材の前端又はその近傍に取り付けられてもよい。これにより、押圧部材に十分な付勢力を与えることができるとともに、レール部材側に付勢手段を収容するスペースを形成しなくてよいので、レール部材を簡素に作製することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る商品前出し装置は、棚板の前端面又はその近傍に溝部が形成される一般的な棚板に適用することができる。これにより、既設の棚板を利用することが可能となるので、導入コストを安価に抑えることができる。また、棚板の前端面又はその近傍に設けられる溝部に前端固定部を係止させて棚板に取り付けるようにしたので着脱が容易であることから、取付位置も商品の大きさや棚板の載置面の大きさに応じて自在に設定することができるとともに、別の棚板への付け替えも簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例1に係る商品前出し装置100の斜視図である。
【図2】実施例1に係る商品前出し装置100の分解斜視図である。
【図3】実施例1に係る商品前出し装置100の前端固定部115を示す斜視図である。
【図4】実施例1に係る商品前出し装置100の押圧部材を示す図であって、(a)は斜視図、(b)は背面図、(c)レール部材に取り付けられた状態の正面図である。
【図5】実施例1に係る商品前出し装置100の使用態様を示す斜視図である。
【図6】実施例1に係る商品前出し装置100を棚板200に取り付けた状態を示す断面図である。
【図7】実施例1に係る商品前出し装置100を棚板200に取り付けた状態を示す部分断面図である。
【図8】実施例1に係る商品前出し装置100の使用方法を説明する図である。
【図9】実施例2に係る商品前出し装置100の斜視図である。
【図10】実施例2に係る商品前出し装置110を棚板200に取り付けた状態を示す斜視図である。
【図11】実施例2に係る商品前出し装置100を棚板200に取り付けた状態を示す部分断面図である。
【図12】実施例3に係る商品前出し装置100の斜視図である。
【図13】実施例3に係る商品前出し装置100におけるレール部材110の正面図である。
【図14】実施例3に係る商品前出し装置100における前端固定部115の背面図である。
【図15】実施例3に係る商品前出し装置100において、押圧部材120がレール部材110に取り付けられた状態を示す図である。
【図16】商品前出し装置100の他の実施形態を示す斜視図である。
【図17】商品前出し装置100における押圧部材の他の実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る商品前出し装置は、棚板の載置面に取り付けられて、棚板の前後方向に並べられた商品が手前側から抜き取られたときに、残りの商品を自動的に前方へと押し出すようにするものである。そして、本発明に係る商品前出し装置は、前端面又はその近傍において幅方向に延びる溝部が形成されている一般的な形態の棚板に適用することができる。
【0018】
本発明に係る商品前出し装置は、主たる構成として、レール部材と、押圧部材とを備える。
【0019】
レール部材は、長尺状に形成されて、後述する押圧部材をその長手方向に摺動案内するものである。レール部材の材質も特に限定されるものではなく、アルミ等の金属やプラスチック等から形成することができ、さらに、後述する押圧部材との間の摩擦抵抗を低減させるための表面処理を施してもよい。
【0020】
また、レール部材には、後述する押圧部材を摺動自在に係合させるための摺動案内部を形成してもよい。摺動案内部は、レール部材に係合される押圧部材が容易に脱落することなく、かつスムーズに摺動させることができる形態であれば特に限定されないが、例えば、レール部材の両側から立設された起立部の内側面に案内溝を形成したり、レール部材の両側から側方に突出形成したりすることができる。特に、レール部材の両側面から突出形成する場合には、レール部材全体の高さを低く設定することができるので、商品をより安定して載置することが可能となる。
【0021】
そして、レール部材には、棚板の載置面に着脱自在に取付可能とするための前端固定部が設けられる。前端固定部は、棚板の前端面又はその近傍に形成される溝部に係止する形状に形成される。ここで、「棚板の前端面又はその近傍に形成される溝部」とは、例えば、棚板の前端面と、この前端面に取り付けられてプライスカード等を差し込んだりポップを掛け止めすることに使用されるカードレールとの間に形成される溝部や、棚板から商品が落下することを防止するために棚板の前面に取り付けられるストッパー等の各種部品に形成される溝部等が挙げられる。従って、前端固定部は、このような溝部に係止することができ、かつその取り外しを容易に行えるように形成されるものであればよい。
【0022】
また、前端固定部は、レール部材に対して着脱自在に設けてもよい。これにより、棚板の溝部の形態に応じて前端固定部を交換することが可能となる。この場合、前端固定部は、レール部材から容易に脱落することがなく、かつ取り外しも容易に行えるように取り付けられればよく、例えば、前端固定部をレール部材の前端に嵌合させて取り付けたり、ネジを用いて取り付けたりするとよい。
【0023】
さらに、レール部材には、その後端部分を棚板の載置面に着脱自在に固定するための後端固定部を設けてもよい。後端固定部を設けることで、レール部材が前後両端で固定されるので、商品前出し装置を棚板の載置面により安定して取り付けできるようになる。後端固定部は、棚板の載置面に着脱自在に固定できる形態であれば特に限定されず、例えば、棚板の載置面に仕切り板等の補助部品を取り付けるために穿設されている穴部やスリットと係止する係止片として形成してもよいし、シート状のマグネットをレール部材の底面に貼設して磁力により固定できるようにしてもよい。
【0024】
押圧部材は、棚板の載置面部に取り付けられたレール部材の上面側に並べられた商品を、後方から前方へと押し出す部材であり、レール部材に摺動自在に取り付けられる。例えば、レール部材に、基部の両側から立設された起立部の内側面の長手方向に沿って案内溝が設けられた摺動案内部が形成される場合には、この案内溝と係合する凸部を形成して取り付けることができ、レール部材の両側面から突出形成される場合には、これに係合する凹部を形成して取り付けることができる。
【0025】
また、押圧部材には、前出しされる商品と当接する当接面部を形成してもよい。当接面部の形状は特に限定されず、前出しされる商品の形状や大きさに応じて形成すればよい。例えば、矩形の平面に形成されてもよいし、缶やペットボトルといった円筒状の商品との当接が確実に行われるように曲面に形成されてもよい。
【0026】
尚、押圧部材の材質は特に限定されるものではなく、アルミ等の金属やプラスチックから形成することができる。例えば、レール部材と接触する部分に、レール部材との間の摩擦抵抗を低減させるための表面処理を施す等してもよい。
【0027】
このようにして形成される押圧部材は、レール部材によって摺動案内され、さらに付勢手段によって後前方へと付勢される。付勢手段には、ばね等の周知の手段を用いることができるが、特に、帯状の薄板材が渦巻き状に巻かれてなる渦巻きばねを用いることが好ましい。そして、渦巻きばねを用いる場合には、押圧部材にばね収容部を形成するとともに、渦巻きばねから引き出される引出し部をレール部材の前端又はその近傍に取り付けるように構成するとよい。これにより、押圧部材に十分な付勢力を与えることができるとともに、レール部材側に付勢手段を収容するスペースを形成しなくてよいので、レール部材を簡素に作製できる。
【0028】
以下に、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0029】
図1及び図2には、実施例1に係る商品前出し装置100が示されている。また、図3には、商品前出し装置100を構成する前端固定部115が示されており、図4には、商品前出し装置100を構成する押圧部材120が示されている。さらに、図5から図7には、商品前出し装置100を棚板200に取り付けた状態が示されている。
【0030】
図1及び図2に示すように、商品前出し装置100は、レール部材110と、押圧部材120と、渦巻きばね130とを備える。レール部材110は、長尺状のアルミ材からなり、商品前出し装置100が取り付けられる棚板の奥行長さに応じた長さに形成される。そして、レール部材110には、一対の摺動案内部111が形成されている。摺動案内部111は、レール部材110の両側から立設される起立部112を有しており、この起立部112の内側面、すなわち、一対の起立部112同士が対向する面側に、案内溝113が長手方向に延びて形成されている。さらに、レール部材110の後端には、棚板の載置面の後方に予め穿設されている穴部と係止する後端固定部114が設けられている。後端固定部114は、レール部材110にU字型の切り込みを入れた後、この切り込み部分を下方に折り曲げて突出させることにより形成されている。そして、レール部材110の前端には、前端固定部115が着脱自在に設けられている。
【0031】
前端固定部115は、図3に示すように、レール部材110の前端から案内溝113に嵌合する嵌合部115aと、棚板の前端面に形成される溝部と係止するように下方に延設される差込片115bとを有している。また、図7に示すように、嵌合部115の内部には、後述する渦巻きばね130の引出し部130aの先端部分が係止される爪部115cが形成されている。
【0032】
押圧部材120は、図4に示すように、当接面部121と、係合凸部122と、ばね収容部123とを有する。当接面部121は、略矩形の平面をなして形成されている。係合凸部122は、当接面部121の下方に形成され、レール部材110に形成される摺動案内部111の溝部113と対応する形状に形成されている。そして、図4(c)に示すように、この係合凸部122を溝部113に係合させることで、押圧部材120がレール部材110に摺動自在に取り付けられる。
【0033】
ばね収容部123は、当接面部121の背面側に形成され、図6及び図7に示すようにして、押圧部材120を前方へ付勢する渦巻きばね130が収容される。そして、ばね収容部123の内部には、渦巻きばね130を支持する支持部125と、ばね収容部123と連通し、渦巻きばね130から引き出された引出し部130aが挿通される長孔124とが形成されている。そして、図7に示すように、長孔124を通って引き出された引出し部130aの先端は、前端固定部115の内部に形成された爪部115cに係止される。このようにして渦巻きばね130を配置することにより、押圧部材120をレール部材110の前方側に付勢するようにしている。従って、押圧部材120は、商品が載置されていない状態や外力が加わっていない状態では、図6及ぶ図7に示されているように、渦巻きばね30の付勢力の作用によりレール部材110の前端に位置することとなる。
【0034】
次に、商品前出し装置100を棚板200に取り付ける方法について、図5から図7に基づいて説明する。ここでは、前端面200aにカードレール220が取り付けられるとともに、仕切り部材等の補助部品の取り付けに利用される前方穴部210aと後方穴部210bとが、載置面210の前方と後方とに幅方向に沿って複数穿設された棚板200を用いている。そして、載置面210には、仕切り部材230と、商品が前方から落下することを防止するストッパー240とが取り付けられている。
【0035】
図6に示すように、商品前出し装置100の前端側は、棚板200の前端面200aと、カードレール220との間に形成される溝部Xに前端固定部115の差込片115bが係止されることにより固定される。一方、商品前出し装置100の後端側は、棚板200の載置面部210の後方穴部210bに後端固定部114が係止されることによって固定される。従って、商品前出し装置100の棚板200への設置は、まず後端係止片113を後方穴部210bに係止させながら前端係止部材150の差込片152を溝部Xに差し込むことによって行うことができ、取り外しはこれと逆の手順によって行うことができる。
【0036】
そして、図5及び図8に示すようにして、棚板200に設置された商品前出し装置100のレール部材110上に、商品Aが前後方向に並べて載置される。商品前出し装置100のレール部材110上に商品Aを載置するには、まず、図8(a)に示すように、押圧部材120を渦巻きばね130の付勢力に抗って後方へと摺動させる。このとき、ばね収容部123に収容されている渦巻きばね130の一部が引き出されて引出し部130aを構成する。そして、押圧部材120を移動位置で保持しながら、商品Aを当接面部121側に並べていき、並べ終えたら押圧部材120の保持を解除する。すると、渦巻きばね130の引出し部130bが巻き戻ろうとする力が作用して押圧部材120が前方へと摺動される。これにより最後尾に位置する商品Aと当接面部121とが当接して商品A全体に対して前方に圧力がかかった状態となる。そして、図8(b)に示されているように、載置された商品Aが手前側から抜き取られると、押圧部材120が残された商品Aを前進させて「前出し」が自動的に行われることとなるのである。
【0037】
上記のように構成される実施例1に係る商品前出し装置100によれば、前端固定部115を、棚板200の前端面200aとカードレール220との間に形成される溝部に係止させるとともに、後端固定部114を、棚板200の載置面部210に複数穿設される後方穴部210bの1つを選択して係止させることにより、載置面210上に着脱自在に取り付けることができる。これによって、取付位置の変更や、他の棚板への付け替えを容易に行うことができる。
【実施例2】
【0038】
図9には、実施例2に係る商品前出し装置100が示されており、図10及び図11には、実施例2に係る商品前出し装置100を棚板200に取り付けた状態が示されている。実施例2に係る商品前出し装置100は、実施例1における前端固定部115の形状を改変したものである。従って、実施例1と共通する構成については説明を省略する。
【0039】
実施例2に係る商品前出し装置100は、図10及び図11に示すように、透明プラスチックを板状に屈曲させてなるストッパー240が取り付けられた棚板200に適用できるようにしたものである。このストッパー240は、その前面部241に価格や広告等が記載されたカード類を収容できるようになっており、背面部242の下端を棚板200の前端面200aとカードレール220との間に形成される溝部Xに差し込むことによって棚板200の前面側に取り付けられる。そして、ストッパー240の背面部242には、側面視略L型の溝部Yが幅方向に延びて形成されている。そこで、実施例2に係る商品前出し装置100では、前端固定部115をストッパー240に形成される溝部Yを利用して取り付けできるように、前端固定部115を形成している。
【0040】
図9に示すように、実施例2に係る商品前出し装置100は、レール部材110の前端に前端固定部115が着脱自在に取り付けられる。この前端固定部115は、レール部材110の前端と嵌合する嵌合部115aと、ストッパー240の背面に形成された側面視略L字型の溝部Yと対応する形状に形成された係止部115bとを有している。そして、図10及び図11に示すように、差込片115bを溝部Yに係止させることにより、商品前出し装置100の前端側を着脱自在に固定することができる。
【0041】
このように、棚板200の前端面200aとカードレール220との間に形成される溝部Xにストッパー240を取り付ける場合であっても、前端固定部115をストッパー240の背面部242に設けられている溝部Yと係止するように形成することで、棚板200への取り付けが可能となる。また、実施例1における前端固定部115と交換して用いることより、一の商品前出し装置100を棚板200の溝部の形態に合わせて使用することができる。
【実施例3】
【0042】
図12には、実施例3に係る商品前出し装置100が示されている。また、図13には、レール部材110の断面図が示されており、図14には、前端固定部115が示されている。さらに、図15には、押圧部材120がレール部材110に取り付けた状態が示されている。実施例3に係る商品前出し装置100は、実施例1及び2とレール部材110の形態が異なるものである。従って、以下において、実施例1及び2と共通する構成については説明を省略する。
【0043】
レール部材110は、図12に示すように、長尺板状に形成される。そして、図13に示すように、上面が下面よりもやや幅広に形成されることによって、断面が両側面と上面とが鋭角をなす断面略逆台形をなしており、この鋭角部が側方に突出することによって摺動案内部111が形成されている。また、レール部材110の上面には、渦巻きばね130の引出し部130aが収容される凹部116が長手方向に形成されている。
【0044】
前端固定部115は、図12及び図14に示すように、レール部材110の前端と着脱自在に嵌合する嵌合部115aと、この嵌合部115aから下方に延びてなる差込片115bとを有する。嵌合部115aは、レール部材110の前端部分が収容されるように、レール部材110の形状に対応する断面略逆台形の内部形状を有している。また、嵌合部115aは、下面が開口して形成されており、レール部材110の底面と嵌合部115aとの間に段差を生じないようにしている。さらに、嵌合部115aの内部には、渦巻きばね130の引出し部130aの先端が係止される爪部115cが形成されている。
【0045】
押圧部材120は、図15に示すように、当接面部121と、係合凹部122と、ばね収容部123とを備える。係合凹部122は、レール部材110の摺動案内部111における鋭角部と対応する形状に形成され、レール部材110を両側から挟み込むような格好でレール部材110に摺動自在に係合される。
【0046】
この商品前出し装置100は、レール部材110の両側面に形成される鋭角部を摺動案内部111としていることから、実施例1及び2における摺動案内部111のように起立部115を形成する必要がない。このため、レール部材110全体の高さを低く形成することができるので、レール部材110上に陳列される商品と載置面部210との間の隙間が小さくなって商品をより安定して陳列することができる。尚、実施例3においては、実施例1に示した前端固定部115を採用しているが、実施例2の形態としてももちろん構わない。
【0047】
以上、本発明に係る商品前出し装置の実施例について説明したが、本発明は、上記実施例に示した形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された範囲において自由に変更することができる。例えば、図16に示すように、レール部材110の後端に、押圧部材の脱落を防止するためのキャップ140を設けてもよい。この場合には、キャップ140側に後端固定部141形成してもよく、さらには各種長さに形成したキャップを複数用意し、これを交換することでレール部材の長さを棚板の奥行長さに合わせて調節できるようにしてもよい。また、図17に示すように、押圧部材120の当接面部121を、その両側部分が前方に張り出して湾曲した曲面に形成してもよい。こうすることで、缶やペットボトルといった略円筒形の商品を陳列する場合に、商品の周面としっかり当接できるので、前出しする際に商品が所定の位置からずれたり傾いたりすることを防止することができる。
【符号の説明】
【0048】
100 商品前出し装置
110 レール部材
111 摺動案内部
114 後端固定部
115 前端固定部
120 押圧部材
123 ばね収容部
130 渦巻きばね(付勢手段)
200 棚板
210 載置面部
210a 前方穴部
210b 後方穴部
X、Y 溝部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棚板の載置面に取り付けられて、陳列物を後方から前方へと押し出す商品前出し装置であって、
前記陳列物が上面側に載置されるレール部材と、
該レール部材に摺動自在に取り付けられるとともに、付勢手段により前方に付勢される押圧部材とを備え、
前記レール部材の前端には、前記棚板の前端面若しくはその近傍において左右方向に延設される溝部に係止する前端固定部が設けられることを特徴とする商品前出し装置。
【請求項2】
前端固定部が、レール部材の前端に着脱自在に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の商品前出し装置。
【請求項3】
レール部材は、長尺板状に形成されており、両側から側方に突出して形成される一対の摺動案内部を備え、
押圧部材は、前記一対の摺動案内部と係合する一対の係合凹部を備えることを特徴とする特徴とする請求項1又は2に記載の商品前出し装置。
【請求項4】
レール部材には、後端側を棚板の載置面に着脱自在に固定する後端固定部が設けられることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の商品前出し装置。
【請求項5】
付勢手段は、帯状の薄板材が渦巻き状に巻かれてなるバネであって、
前記バネは、押圧部材に形成されたばね収容部に収容されるとともに、一端がレール部材の前端又はその近傍に取り付けられることを特徴とする請求項1から4に記載の商品前出し装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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