説明

商品展示装置

【課題】展示商品を無造作に戻したときでも、自動的に所定位置に所望姿勢で展示できるように構成した商品展示装置を提供する。
【解決手段】固定設置される据付け手段(1)と商品を背部から保持する保持手段(3)を索条で連繋し、相互に挿脱自在なソケット手段(7)とプラグ手段(8)を相対向して突設し、前記ソケット手段(7)の受孔(15)と前記プラグ手段(8)の突部(19)を挿脱自在なテーパ形状に形成している。前記受孔(15)と突部(19)は、ソケット手段とプラグ手段を軸心廻りの所定位置に整合させた状態で嵌合するように横断面を非真円形とした嵌合周面(32,33)を設けており、前記ソケット手段とプラグ手段を所定位置から軸心廻りに偏位した状態で挿入したとき、ソケット手段(7)とプラグ手段(8)の相対位置を所定位置(P1)に向けて回動させる姿勢制御手段(34)を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラや、スマートフォン又はタブレット端末機器その他の携帯端末機器等の商品を販売店等の店舗において展示するための商品展示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、デジタルカメラやスマートフォン等の商品は、店舗において顧客が手を触れながら商品を吟味できるように展示されている。
【0003】
商品の展示に際しては、見栄え良く保持した状態で展示すると共に、顧客が自由に手にとって吟味できることが必要であるが、万引き等により持ち去られないように、盗難防止対策が求められる。
【0004】
このため、従来、商品をワイヤー等の盗難防止用索条により繋留した状態で展示しており、電源が必要な商品については、電源ケーブル等により前記索条を兼用させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−312779号公報
【特許文献2】実用新案登録第3073865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のような商品を展示するための装置は、店舗における卓上や壁面に固定設置される据付け手段と、商品を背部から保持する保持手段と、前記保持手段を前記据付け手段に繋留する索条により構成し、前記保持手段を据付け手段に着脱自在に搭載することにより展示するように構成することが好ましい。
【0007】
これによれば、保持手段を据付け手段に搭載することにより商品を見栄え良く展示することができ、しかも、顧客が保持手段を据付け手段から引き離すことにより商品を手にとることができる。そして、保持手段は索条により据付け手段に繋留されているので、顧客が無断で商品を持ち去ることを防止できる。
【0008】
しかしながら、顧客が手にとった商品を元の位置に戻す際、保持手段を据付け手段の所定位置に所望姿勢で搭載できないと、商品の展示姿勢が見栄えの悪い状態となるので、その都度、店員等が商品の展示姿勢を整える必要があり、店員等に煩雑な作業を強いるという問題がある。
【0009】
この点に関して、保持手段と据付け手段の間に位置決め用の永久磁石を設ければ、前記問題を解決できるが、デジタルカメラやスマートフォン等の電子機器を対象とする商品は、磁石がトラブルの原因となるため、好ましくない。しかも、磁石が働く位置に保持手段が戻されないときは、保持手段が据付け手段に搭載できないだけでなく、据付け手段から脱落してしまう問題がある。
【0010】
本発明は、磁石を使用せず、専ら機械的構造により構成しながら、保持手段を据付け手段に対して無造作に戻したときでも、自動的に所定位置に所望姿勢で搭載することができ、しかも、万一、良好に搭載されていない場合でも、保持手段を据付け手段から脱落しないように構成した商品展示装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、本発明が手段として構成したところは、固定設置される据付け手段と、商品を背部から保持する保持手段と、前記保持手段を前記据付け手段に繋留する索条を有する索条機構を備え、前記保持手段を据付け手段に着脱自在に搭載して成る構成において、前記据付け手段と保持手段の相互に、挿脱自在なソケット手段とプラグ手段を相対向して突設し、前記ソケット手段に開口部から奥端部に向けて次第に径小とされたテーパ状の受孔を設け、前記プラグ手段に基部から先端部に向けて次第に径小とされたテーパ状の突部を設けており、前記受孔と突部の相互間に、ソケット手段とプラグ手段を軸心廻りの所定位置に整合させた状態で嵌合するように横断面を楕円形又は多角形から選ばれた非真円形に形成した嵌合周面を設けており、前記ソケット手段とプラグ手段を所定位置から軸心廻りに偏位した状態で相互に挿入したとき、前記嵌合周面によりソケット手段とプラグ手段の相対位置を所定位置に向けて回動させる姿勢制御手段を構成して成る点にある。
【0012】
前記索条機構は、巻取力を蓄積したリールに巻回された索条を介して前記保持手段を据付け手段に向けて牽引力を与えられた状態で連結し、前記巻取力に抗して索条を繰出すことにより保持手段を据付け手段から引き離し可能とするように構成することが好ましい。
【0013】
本発明の好ましい実施形態は、前記ソケット手段とプラグ手段が横軸に沿う横向き姿勢となるように配置され、前記商品の重量による下向き荷重を相互に嵌合された受孔と突部の嵌合周面に作用するように構成されており、前記受孔の奥端部と前記突部の先端部の相互に、前記下向き荷重に対抗する方向に向けて係合する係合手段を設け、該係合手段により、前記下向き荷重による嵌合周面の摺動を防止するように構成している。
【0014】
本発明の更に好ましい実施形態は、前記受孔と突部の嵌合周面が離反することにより、前記荷重によりソケット手段とプラグ手段が相互に屈折姿勢とされたとき、前記横軸の上方に位置して相互に近接する突部の先端部と受孔の開口部を相互に抜止め係止する係止手段を設けている。
【0015】
この際、前記係止手段は、弾力を保持して係脱自在に係止する弾性係止手段を構成し、前記弾力に抗してソケット手段とプラグ手段を離反させたとき該係止手段の係止を解くように構成することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、磁石を使用せず、専ら機械的構造により構成しながら、保持手段3を据付け手段1に対して無造作に戻したときでも、自動的に所定位置に所望姿勢で搭載することができ、しかも、万一、良好に搭載されていない場合でも、保持手段3を据付け手段1から脱落しないように構成した商品展示装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の1実施形態に関して、据付け手段と、ソケット手段と、プラグ手段を備えた保持手段を分解した状態で示す斜視図である。
【図2】本発明の1実施形態に関して、据付け手段を分解すると共に、保持手段に盗難警報装置を組み付けた状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の1実施形態に関して、壁面に固定設置した据付け手段のソケット手段に対し、商品を保持した保持手段のプラグ手段を挿入嵌合した状態を示す断面図である。
【図4】本発明の1実施形態の作用に関して、保持手段を据付け手段から引き離した状態を示す断面図である。
【図5】本発明の1実施形態の作用に関して、保持手段を据付け手段に搭載するときの状態を示す断面図である。
【図6】ソケット手段とプラグ手段の嵌合周面により構成した姿勢制御手段の第1実施例を示しており、(A)は姿勢制御の作用を示す断面図、(B)は姿勢制御後に嵌合周面が嵌合された状態を示す断面図である。
【図7】ソケット手段とプラグ手段の嵌合周面により構成した姿勢制御手段の第2実施例を示しており、(A)は姿勢制御の作用を示す断面図、(B)は姿勢制御後に嵌合周面が嵌合された状態を示す断面図である。
【図8】係止手段の1実施例を示しており、(A)はソケット手段に対して下向き荷重により滑動したプラグ手段が抜止め係止された状態を示す断面図、(B)は係止手段を示す拡大断面図である。
【図9】係止手段に構成した弾性係止手段の1実施例を示しており、(A)はソケット手段に対してプラグ手段が引き抜き方向に係止された状態を示す断面図、(B)は係止手段を示す拡大断面図、(C)は弾力に抗して係止手段の係止が解かれた状態を示す拡大断面図である。
【図10】係合手段の1実施例を示しており、(A)は相互に挿入されたソケット手段とプラグ手段の間において係合手段が係合された状態を示す断面図、(B)は係合手段を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。
【0019】
本発明の商品展示装置は、デジタルカメラや、スマートフォン又はタブレット端末機器その他の携帯端末機器等のような主として電子機器を対象とした商品を店舗において展示するために使用されるものであり、その分解状態を図1及び図2に示し、組み立て使用状態を図3に示している。
【0020】
図示のように、本発明の1実施形態は、店舗内の卓上や壁面等に固定設置される据付け手段1を構成するハウジング2と、商品Mを背部から保持する保持手段3を構成するケーシング4と、前記保持手段3を前記据付け手段1に繋留するワイヤーケーブル等の索条5を有する索条機構6と、前記保持手段3を据付け手段1に着脱自在に搭載するためのソケット手段7及びプラグ手段8を備えており、好ましくは、ハウジング2、ケーシング4、ソケット手段7、プラグ手段8を合成樹脂製としている。
【0021】
前記据付け手段1を構成するハウジング2は、図2及び図3に示すように、フランジ板9の反対側の開口部を合成樹脂製の蓋部材10により開閉自在に閉蓋され、該ハウジング2の内部に、USBアダプター等の電源手段11と、前記索条機構6を構成する合成樹脂製の巻取りハウジング12を内装しており、前記フランジ板9を介して卓上や壁面等に固定設置される。図3に示す使用例の場合、店舗内における仕切壁や什器の側壁等の壁面Wにハウジング2を埋入した状態で、フランジ板9をビス13等により壁面Wに固設される。尚、前記電源手段11は、交流電源から電源を取り入れるための主電源用接続手段14を導出している。
【0022】
図示実施形態の場合、前記ソケット手段7を前記据付け手段1から突設し、前記プラグ手段8を前記保持手段3から突設する構成としている。以下、この図示実施形態の構成に基づいて説明するが、本発明は、図示とは反対に、ソケット手段7を保持手段3から突設し、プラグ手段8を据付け手段1から突設しても良く、要するに、据付け手段1と保持手段3の相互間において、挿脱自在なソケット手段7とプラグ手段8を相対向して突設した構成であれば良い。
【0023】
前記ソケット手段7は、突出端の開口部から基端近傍の奥端部に向けて次第に径小とされたテーパ状の受孔15を形成し、該受孔15を形成する筒壁の周囲に位置して、反対に突出端から基端に向けて次第に径大とされたスカート部16を設けた中空の二重筒を構成し、図3に示すように、二重筒の中空部に設けたボス部17を介してビス18等によりハウジング2のフランジ板9に取付固着される。
【0024】
この際、図3に示すように、ソケット手段7は、壁面Wから垂直の横方向に延びる水平軸Hに対して、前記受孔15の軸線を角度θ1とされた斜め上向きの横方向に延びる横軸Xに沿わせて取付固着され、これによりプラグ手段8を介してソケット手段7に搭載された保持手段3が保持する商品Mの正面を鉛直線Vに対して角度θ2のように斜め上向き姿勢となるように構成することが好ましい。
【0025】
前記保持手段3を構成するケーシング4は、上部開口状の皿状形態に形成され、底部から中空筒状のプラグ手段8を一体に突設しており、該プラグ手段8は、基部から先端部に向けて次第に径小とされたテーパ状の突部19を構成している。
【0026】
図2に示すように、前記ケーシング4には、盗難警報装置20が設けられる。盗難警報装置20は、前記ケーシング4に嵌入固着された本体タグ部21aと、該本体タグ部21aからケーシング4の外部に延出されたミニタグ部21bを備え、それぞれを両面接着テープ等の固着手段22により商品Mの背面に固着され、それぞれの固着面に検知スイッチ23を設けており、前記固着手段22が商品Mから剥離されると、検知スイッチ23が作動することにより警報音を発するように構成されている。
【0027】
図示実施形態の場合、前記本体タグ部21aに索条の固着手段24が設けられ、前記索条機構6から繰出された索条5の先端が固着される。
【0028】
図3に示すように、索条機構6の巻取りハウジング12には、巻取り力を蓄積するスプリング(図示省略)を備えたリール25が内装され、索条5を該リール25に巻回している。従って、索条5は、常時、巻取り方向に付勢されたリール25により巻取られ、保持手段3を据付け手段1に向けて引き寄せるように牽引しており、索条5の先端部を引っ張ることにより前記巻取力に抗してリール25を回転させたとき、索条5が繰出され、保持手段3を据付け手段1から引き離し可能とする。
【0029】
ハウジング2のフランジ板9に取付固着されたソケット手段7のスカート部16の側面、図例の場合、前記横軸Xの下方に位置する側面には、該側面に沿って合成樹脂製のガイド26が設けられている。ガイド26は、前記リール25から延出する索条5を前記スカート部16の側面に沿って案内するガイド路26aを形成すると共に、商品Mから導出されたUSBケーブル等の導線27を前記電源手段11に導く通孔26bを設けている。ガイド26は、前記ハウジング2のフランジ板9に開設した嵌口28に嵌着されるように構成され、前記索条5及び導線27を前記嵌口28に挿通した状態で、ガイド26を嵌口28に嵌着したとき、それぞれ切欠き状に形成されたガイド路26aと通孔26bにそれぞれ索条5と導線27が挿通されるように構成している。
【0030】
図示実施形態の場合、前記ソケット手段7の先端部には、受孔15の開口縁に沿う環状の額縁部材29が重ね合わせられ、図3に示すように、孔と突起の嵌着手段30により固着されている。額縁部材29は、ゴム又はシリコン樹脂等のエラストマー、その他の弾性材により形成することが好ましく、その場合、プラグ手段8の突部19をソケット手段7の受孔15に挿入したとき、額縁部材29が保持手段3を構成するケーシング4の底面を弾性的に受止める緩衝材として機能する。しかしながら、このような構成により本発明が限定されるものではない。
【0031】
(姿勢制御手段)
前記受孔15と突部19は、相互に、ソケット手段7とプラグ手段8を軸心廻りの所定位置に整合させた状態でのみ嵌合するように横断面を楕円形又は多角形から選ばれた非真円形に形成した嵌合面32、33を形成しており、該嵌合面32、33は、ソケット手段7とプラグ手段8を前記所定位置から軸心廻りに偏位した状態で相互に挿入したとき、ソケット手段7とプラグ手段8を前記所定位置に向けて回動させる姿勢制御手段34を構成している。
【0032】
図6は、姿勢制御手段34の第1実施例を示しており、この場合、受孔15及び突部19の横断面は、各辺及び各角を外向き円弧状に湾曲した丸みを有する三角形状に形成され、受孔15の内周面に嵌合面32を形成し、突部33の外周面に嵌合面33を形成している。従って、上述したテーパ形状との組合せにより、嵌合面32、33は丸みを有する三角錐形状に形成されている。この場合、前記軸心Cの軸廻りに関して、保持手段3は、保持した商品Mが鎖線で示す姿勢となる位置を所定位置P1とするように構成されている。そこで、図6(A)に破線で示すように、所定位置P1から軸心廻りに姿勢を偏位した偏位位置P2とした状態で突部19を受孔15に挿入すると、挿入方向の前進に伴い、前記嵌合面32、33が相互に整合するように作用して突部19を回動させ、挿入完了時には、図6(B)に示すように、所定位置P1となるように姿勢を制御する。これにより、商品Mは、所定位置P1に保持された状態で展示される。尚、図例の場合、横断面を丸みのある三角形とした例を示しているが、丸みを有する四角形状や五角形状のような多角形としても良い。
【0033】
図7は、姿勢制御手段34の第2実施例を示しており、この場合、受孔15及び突部19の横断面は、概ね楕円形状に形成され、受孔15の内周面に嵌合面32を形成し、突部33の外周面に嵌合面33を形成している。従って、上述したテーパ形状との組合せにより、嵌合面32、33は楕円錐形状に形成されている。この場合、前記軸心Cの軸廻りに関して、保持手段3は、保持した商品Mが鎖線で示す姿勢となる位置を所定位置P1とするように構成されている。そこで、図7(A)に破線で示すように、所定位置P1から軸心廻りに姿勢を偏位した偏位位置P2とした状態で突部19を受孔15に挿入すると、挿入方向の前進に伴い、前記嵌合面32、33が相互に整合するように作用して突部19を回動させ、挿入完了時には、図7(B)に示すように、所定位置P1となるように姿勢を制御する。これにより、商品Mは、所定位置P1に保持された状態で展示される。
【0034】
従って、図3に示すように、プラグ手段8をソケット手段7に挿入することにより、商品Mの背面を保持した保持手段3を据付け手段1に搭載し、商品Mを展示した状態から、顧客が商品Mを手にとり、保持手段3を据付け手段1から引き離すと、図4に示すように、索条5が繰出され、保持手段3を据付け手段1に索条5により繋留した状態で、顧客が商品Mに手を触れることを許す。そこで、図5に示すように、顧客が商品Mを元の展示位置に戻すと、索条機構6により巻取られる索条5の牽引力を受ながら、プラグ手段8がソケット手段7に挿入される。この際、上述のように、無造作に偏位位置P2とした状態で戻されても、姿勢制御手段34により所定位置P1を保持するように姿勢が制御されるので、戻された商品Mは、所望姿勢で再び展示される。
【0035】
(係止手段)
プラグ手段8をソケット手段7に挿入した状態で、相互に嵌合された受孔15と突部19の嵌合面32、33には、商品Mの重量による下向き荷重が作用する。この際、上述のように、受孔15及び突部19は、角錐形状又は楕円錐形状に形成されたテーパ面を有するので、突部19を受孔15に対して不完全な状態で挿入すると、図8(A)に示すように、前記下向き荷重を受けることにより突部19が受孔15から後退し、嵌合面32、33を離反させ、保持手段3が脱落するおそれがある。このため、図示のように、前記荷重によりソケット手段7とプラグ手段8が相互に屈折姿勢とされたとき、相互に近接する突部19と受孔15の対向部位を相互に抜止め係止する係止手段35が設けられている。
【0036】
図示実施形態の場合、係止手段35は、図8(B)に示すように、突部19の先端近傍部の外周から突設された係止爪36と、前記額縁部材29の内周から突設された受爪37により構成されており、係止爪36と受爪37を相互に係止することにより、保持手段3の脱落を防止する。従って、落下衝撃による商品Mの破損が防止される。尚、係止爪36と受爪37が設けられる個所や、その形状や材質等は、特に限定されない。
【0037】
ところで、係止手段35を設けると、図9(A)に示すように、プラグ手段8をソケット手段7から前記横軸Xに沿って引き抜くときに、係止手段35が係止することにより引き抜き作業を妨げるおそれがある。このため、係止手段35は、弾力を保持して係脱自在に係止する弾性係止手段を構成しており、弾力に抗してプラグ手段8をソケット手段7から引き抜き方向に移動させれば、該係止手段35の係止を解くように構成されている。
【0038】
図示構成の場合、上述のようにゴム又はシリコン樹脂等のエラストマーその他の弾性材により形成された額縁部材29に受爪37を一体成形し、受爪37を弾性変形自在とすることにより、弾性係止手段を構成している。また、プラグ手段8を構成する突部19の先端部にゴム又はシリコン樹脂等のエラストマーその他の弾性材により形成された先端部材38を設け、該先端部材38に係止爪36を一体成形し、係止爪36を弾性変形自在とすることにより、弾性係止手段を構成している。これにより、図9(B)(C)に示すように、係止手段35が係止した状態で、プラグ手段8をソケット手段7から引き抜くと、前記係止爪36及び/又は受爪37が弾性変形することにより、係止を解くように構成されている。
【0039】
因みに、図示実施形態では、係止爪36と受爪37の両者を弾性変形自在に構成しているが、その何れか一方だけを弾性変形自在となるように構成しても良い。また、係止手段35が構成する弾性係止手段は、係止構造を弾性変形自在な素材により形成する他、例えば、スプリングにより突出方向に弾性付勢された出没自在なボールにより構成し、ボールが突出した状態で係止手段35を係止させるが、プラグ手段8をソケット手段7から引き抜くときにボールがスプリングに抗して後退することにより係止手段35の係止を解くように構成しても良い。
【0040】
(係合手段)
上述のように、プラグ手段8をソケット手段7に挿入した状態で、相互に嵌合された受孔15と突部19の嵌合面32、33には、商品Mの重量による下向き荷重が作用するので、突部19を受孔15に対して完全に挿入した状態においても、テーパ状の嵌合面32、33が摺動することにより、突部19が受孔15から後退移動し、滑落するおそれがある。このため、図10(A)に示すように、受孔15の奥端部と突部19の先端部の相互に、前記下向き荷重に対抗する方向に向けて係合する係合手段39を設け、該係合手段39により、前記下向き荷重による嵌合面32、33の摺動を防止するように構成している。
【0041】
図示実施形態の場合、係合手段39は、図10(B)に示すように、受孔15の奥端部に形成された孔部40と、突部19の先端部に形成された軸部41により構成され、前記孔部40及び軸部41の相互に、テーパが形成されておらず、前記横軸Xに沿って同径状態で延びる嵌合面を形成することにより構成されている。これにより、商品Mの下向き荷重Yを受けることにより、突部19が斜め下向きの引き抜き方向Rに向けて後退しようとしても、横軸Xに沿う孔部40と軸部41の嵌合面が対抗し、突部19引き抜き方向に向けて移動することを阻止できる。
【0042】
この際、前記軸部41は、突部19の先端部に配設された弾性材から成る先端部材38により形成しておけば、軸部41を孔部40に対して弾性摩擦を有する状態で嵌合させることができる。しかしながら、係合手段39を構成する孔部40と軸部41の嵌合面は、必ずしも全周にわたり設ける必要はなく、部分的に設けたものでも良く、その形状や材質等を特に限定するものではない。
【符号の説明】
【0043】
1 据付け手段
2 ハウジング
3 保持手段
4 ケーシング
5 索条
6 索条機構
7 ソケット手段
8 プラグ手段
9 フランジ板
10 蓋部材
11 電源手段
12 巻取りハウジング
13 ビス
14 主電源用接続手段
15 受孔
16 スカート部
17 ボス部
18 ビス
19 突部
20 盗難警報装置
21a 本体タグ部
21b ミニタグ部
22 固着手段
23 検知スイッチ
24 固着手段
25 リール
26ガイド
26a ガイド路
26b 通孔
27 導線
28 嵌口
29 額縁部材
30 嵌着手段
32 嵌合面(受孔)
33 嵌合面(突部)
34 姿勢制御手段

35 係止手段
36 係止爪
37 受爪
38 先端部材
39 係合手段
40 孔部
41 軸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定設置される据付け手段(1)と、商品を背部から保持する保持手段(3)と、前記保持手段を前記据付け手段に繋留する索条(5)を有する索条機構(6)を備え、前記保持手段を据付け手段に着脱自在に搭載して成る構成において、
前記据付け手段(1)と保持手段(3)の相互に、挿脱自在なソケット手段(7)とプラグ手段(8)を相対向して突設し、前記ソケット手段(7)に開口部から奥端部に向けて次第に径小とされたテーパ状の受孔(15)を設け、前記プラグ手段(8)に基部から先端部に向けて次第に径小とされたテーパ状の突部(19)を設けており、
前記受孔(15)と突部(19)の相互間に、ソケット手段とプラグ手段を軸心廻りの所定位置に整合させた状態で嵌合するように横断面を楕円形又は多角形から選ばれた非真円形に形成した嵌合周面(32,33)を設けており、
前記ソケット手段とプラグ手段を所定位置から軸心廻りに偏位した状態で相互に挿入したとき、前記嵌合周面(32,33)によりソケット手段(7)とプラグ手段(8)の相対位置を所定位置(P1)に向けて回動させる姿勢制御手段(34)を構成して成ることを特徴とする商品展示装置。
【請求項2】
前記索条機構(6)は、巻取力を蓄積したリール(25)に巻回された索条(5)を介して前記保持手段(3)を据付け手段(1)に向けて牽引力を与えられた状態で連結し、前記巻取力に抗して索条(5)を繰出すことにより保持手段(3)を据付け手段(1)から引き離し可能とするように構成されて成ることを特徴とする請求項1に記載の商品展示装置。
【請求項3】
前記ソケット手段(7)とプラグ手段(8)が横軸(X)に沿う横向き姿勢となるように配置され、前記商品の重量による下向き荷重を相互に嵌合された受孔と突部の嵌合周面(32,33)に作用するように構成されており、
前記受孔(15)の奥端部と前記突部(19)の先端部の相互に、前記下向き荷重に対抗する方向に向けて係合する係合手段(39)を設け、該係合手段により、前記下向き荷重による嵌合周面(32,33)の摺動を防止するように構成して成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の商品展示装置。
【請求項4】
前記ソケット手段(7)とプラグ手段(8)が横軸(X)に沿う横向き姿勢となるように配置され、前記商品の重量による下向き荷重を相互に嵌合された受孔と突部の嵌合周面(32,33)に作用するように構成されており、
前記受孔と突部の嵌合周面(32,33)が離反することにより、前記荷重によりソケット手段(7)とプラグ手段(8)が相互に屈折姿勢とされたとき、相互に近接する突部(19)と受孔(15)の対向部位を相互に抜止め係止する係止手段(35)を設けて成ることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の商品展示装置。
【請求項5】
前記係止手段(35)は、弾力を保持して係脱自在に係止する弾性係止手段を構成し、前記弾力に抗してソケット手段(7)とプラグ手段(8)を離反させたとき該係止手段(35)の係止を解くように構成されて成ることを特徴とする請求項4に記載の商品展示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−42787(P2013−42787A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180483(P2011−180483)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(392025238)株式会社サンエイ (43)