説明

商品情報処理装置

【課題】レシート用紙の使用量を節約した印字にしても、レシートの印字内容の見易さを損なわない商品情報処理装置を提供する。
【解決手段】レシート用紙に印字するレシートプリンタと、用紙の節約宣言を行う宣言手段と、商品に対する第1商品名および印字したときに前記第1商品名よりも小さくても認識しやすい文字からなる第2商品名と商品の金額を含む商品情報を取得する取得手段と、文字データを記憶する文字記憶エリアと、前記宣言手段による節約宣言がないときに前記第1商品名に対する文字データを、宣言手段による節約宣言がなされたときに第2商品名に対する文字データを前記文字記憶エリアから呼び出して、商品の金額情報とともに前記レシートプリンタで印字する印字制御手段とを有する商品情報処理装置とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、レシート用紙に印字可能な商品情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
客が店で商品を購入するときには、たとえばPOS端末で商品に付されたバーコードを読み取り、その商品の売り上げをレシート用紙に印字し、この印字されたレシート用紙を客に渡している。このレシート用紙には、店のロゴ、商品名とその単価、商品の合計金額、預かり金額、釣銭額などが印字される。
【0003】
このようなPOS端末において、レシート用紙の削減(節約)を行いたいときには、行間を狭めて印字するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平05−138953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
レシートは、一般には長尺状のレシート用紙に必要な印字を行った後に、カッタでカットして排紙する。このため、行間を狭めることでレシート用紙の使用量は削減できる。しかし、行間を狭くすると印字内容が見にくくなることが多い。
【0006】
そこで、レシート用紙の使用量を節約した印字にしても、レシートの印字内容の見易さを損なわない商品情報処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この実施の形態は、レシート用紙に印字するレシートプリンタと、用紙の節約宣言を行う宣言手段と、商品に対する第1商品名および印字したときに前記第1商品名よりも小さくても認識しやすい文字からなる第2商品名と商品の金額を含む商品情報を取得する取得手段と、文字データを記憶する文字記憶エリアと、前記宣言手段による節約宣言がないときに前記第1商品名に対する文字データを、宣言手段による節約宣言がなされたときに第2商品名に対する文字データを前記文字記憶エリアから呼び出して、商品の金額情報とともに前記レシートプリンタで印字する印字制御手段とを有する商品情報処理装置とした。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この実施の形態のPOS端末の斜視図。
【図2】このPOS端末の電気的接続を示すブロック図。
【図3】このPOS端末が行う処理を示す図。
【図4】レシートの印字例を示し、(a)は第1文字種で印字した図、(b)は第2文字種で印字した図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図1ないし図4を用いて、商品情報処理装置を一実施の形態であるPOS端末を例にして説明する。
【0010】
図1はこの実施の形態のPOS(Point of Sales)端末の斜視図、図2はこのPOS端末の電気的接続を示すブロック図、図3はこのPOS端末が行う処理を示す図、図4はレシートの印字例を示す図である。
【0011】
この実施の形態のPOS端末1は、たとえばコンビニエンスストアやスーパーマーケット等の店舗で用いられるものである。POS端末1は、表示機2、鍵スイッチ3および多数のキー4を備えたキーボード5、レシート排紙口6、バーコードリーダ7が設けられている。また、POS端末1の下部には現金などを収納するドロワ8が設けられている。表示機2は、バーコードリーダ7で読み取った商品のバーコードに対応する商品情報をサーバ9に問い合わせて、商品名や金額を表示する。鍵スイッチ3は、POS端末1を登録モードや設定モードなどに切り替えるためのものである。多数のキーの中には、テンキーなどの他に現計キー10や用紙節約キー11が設けられている。レシート排紙口6は、プリンタ12で印刷されたレシートを排紙する。ドロワ8は内部に紙幣および硬貨を収納し、客が購入した商品のバーコード読取後にPOS端末1に預かり金額を入力し、現計キー10が押されたならば開放される。
【0012】
POS端末1のCPU(Central Processing Unit)13には、ROM(Read Only Memory)14、RAM(Random Access Memory)15、表示機2を制御する表示制御部16、プリンタ12を制御するプリンタ制御部17、ドロワ8の開放を制御するドロワ制御部18、ハードディスクドライブ装置(HDD:Hard Disk Drive)19を制御するHDD(Hard Disk Drive)制御部20、バーコードリーダ7を制御するコードリーダ制御部21、キーボード5の制御を行うキー制御部22、サーバ9と通信回線23を介して接続する通信インターフェース(通信I/F:Interface)24が、バスライン25で接続されている。
【0013】
ROM14には、漢字などのその文字が意味を持つことがある表意文字を文字コードに対応して記憶する第1文字記憶エリア26と、表記文字であるアルファベットを文字コードに対応して記憶する第2文字記憶エリア27とが設けられている。RAM15には、バーコードリーダで読み取ってサーバ9から取得した商品名や金額などの商品情報を記憶する販売バッファ28とプリンタ12で印字するためドットマトリクスに展開された画像イメージを記憶する印字バッファ29とが設けられている。キーボード5には、前述したように多数のキーの中に現計キー10と用紙節約キー11が設けられている。サーバ9には、プライスルックアップメモリ内に、その商品の値段と、漢字とひらがななどからなる第1文字種である表意文字の第1商品名と、アルファベットなどからなる第2文字種である表記文字の第2商品名を持っている。なお、第1文字記憶エリア26、第2文字記憶エリア27に記憶される文字データは、ベクトル情報で文字が形成されるトゥルータイプのフォントのデータあって、各フォントのデータが文字コードに対応して記憶される。なお、文字データは、ビットマップ形式のフォントデータであってもよい。
【0014】
POS端末1の処理を説明する。この処理は商品の販売を行う登録モードのときに行う処理で、鍵スイッチ3の位置によってPOS端末1を登録モードにすることでこの処理が始まる。まず、バーコードリーダ7で商品に付されたバーコードを読み取ったか否かを判断し(Act1)、バーコードを読み取ったならば、サーバ9から通信回線23、通信I/F24を介して商品名や金額などの商品情報を取得する(Act2)。この取り込んだ商品名や金額と個数から計算される金額を販売バッファ28に書き込む(Act3)。また、Act1でバーコードが読み取られなかったら、キー入力があったか否かを判断し(Act4)、キー入力がなければ他の処理を行う(Act5)。他の処理とは、例えば磁気カードやICカードの処理などである。Act4でキー入力があったならば、用紙節約キー11が押されたか否かを判断し(Act6)、用紙節約キー11であれば印字バッファ29に書き込むための文字を第2文字記憶エリアから取り込むことを選択する(Act7)。また、Act6で用紙節約キーでない場合は、現計キー10が押されたか否かを判断し(Act8)、現計キー10でなければ他のキー処理を行う(Act9)。ここで他のキー処理とは、例えばテンキーを用いた預かり金額の入力である。Act8で現計キー10が押されたならば、販売バッファ28に記憶している商品の合計金額から釣銭を計算し(Act10)、選択された文字記憶エリアで印字バッファ29に画像データを書き込んで(Act11)、ドロワ8を開放して(Act12)、印字バッファに書き込んだ画像データによりレシート用紙にプリンタ12で印字して(Act13)処理を終了する。なお、初期状態において、レシートに印字する文字は第1文字記憶エリア26を用いて印字バッファ29にデータを書き込むようになっている。
【0015】
この装置において、このPOS端末1を操作する店員は、まず鍵スイッチ3に鍵を差し込み、鍵を回して登録モードにする。すると、このPOS端末1は、商品の売り上げを計上できるようになる。
【0016】
客が商品をPOS端末1に持ってくると、店員は商品に付されたバーコードをバーコードリーダ7で読み取る。POS端末1は、読み取ったバーコードに基づいてサーバ9に商品情報を問い合わせる。サーバ9は、その問い合わせを受けた商品名、単価などの商品情報をPOS端末1に返す。商品名には、漢字およびひらがななどからなる第1文字種の文字記憶エリアの文字コードと、アルファベットからなる第2文字種の文字記憶エリアの文字コードが含まれている。そして、サーバ9から送られてきた商品情報を販売バッファ28に書き込む。また、サーバから受けた商品名と値段を第1文字種で表示機2に表示する。客が複数の商品を買う場合には、さらにバーコードリーダで商品のバーコードを読み取る。POS端末1は、商品の金額の合計を表示機に表示する。
【0017】
すべての商品のバーコードの読み取りが終わると、店員は小計キーを押して客から支払い金額を受け取る。店員は、受け取った金額(預かり金額)をキー4のテンキーを用いてPOS端末1に入力して現計キー10を押すと、POS端末1は釣銭金額を計算して表示機2に表示する。POS端末1は、初期状態で指定される第1文字種の文字を第1文字記憶エリア26から読み出して、印字バッファ29に印字する画像を形成する。そして、POS端末1はドロワ8を開放して、プリンタ12で印字を開始する。店員は、受け取った金額に対する釣銭を準備して、レシート排紙口6から排紙されたレシートを釣銭とともに客に渡す。このレシート用紙は、図4(a)に示すように、店のロゴ42、印字した日付と時間43、商品の金額を領収したことを表す文面44、レシート40を印字したPOS端末の番号や商品情報を入力した責任者などの店側情報45が印字される。また、客が買った商品名とその金額(この例では、4つの商品)46と、小計、消費税、預かり金額、釣銭からなる項目47とが、1行ごとに第1文字種で印字される。
【0018】
なお、ロゴ42は、前の客に渡すレシートを切断するためレシート用紙をカッタ位置まで搬送する間に、次の客に渡すためのレシートに印字するものでる。
【0019】
ところで、レシート用紙には、レシート用紙の残りが少なくなったことがわかるように、例えばレシート用紙の側端部に色をつけてある。店員はレシート用紙の残りが少なくなると、通常レシート用紙の交換を行う。しかし、レジ待ちの客が多く並んでいる場合には、レシート用紙の交換を行わずに売り上げ処理(客の対応)を続けることがある。そこで、このような場合に店員は、用紙節約キー11を押して用紙節約の宣言を行う。用紙節約キー11が押されると、印字バッファ29に書き込む文字が文字フォントの大きさが小さくても判読しやすい表記文字であるアルファベット(ローマ字)で行われる。つまり、POS端末1は印字バッファ29に画像データ書き込むときに、商品情報と第2文字記憶エリア27から文字フォントを読み出すように設定する。そして、現計キー10が押された後の印字バッファ29への描画の際に、第2文字記憶エリア27から品名に対応する文字フォントを読み出す。また、項目についても、第2文字記憶エリア28から文字フォントを読み出す。このようにして読み出された第2文字種の文字フォントで印字バッファ29に画像データが展開されるので、商品情報と項目は第2文字種の文字フォントでレシート用紙に印字が行われる。
【0020】
図4(b)は第2文字種で印字した節約レシート41を示す。節約レシート41には、通常レシート40と同じように店のロゴ42、印字した日付と時間43、商品の金額を領収したことを表す文面44、店側情報45が印字される。また、節約レシート41には、客が買った商品名とその金額(この例では、4つの商品)48と、小計、消費税、預かり金額、釣銭からなる項目49とが、1行ごとに通常レシート40とは異なる第2文字種であるアルファベット(ローマ字)で印字される。例えば、通常レシートでは4行目の商品名に「豚肉」と印字されているものを、節約レシート41では通常レシートの文字の大きさよりも少し小さいアルファベットで「butaniku」と書かれているが、文字の読み易さはあまり変わらない。
【0021】
レシート用紙には、できるだけレシートを読みやすくするため、漢字などを交えた表意文字を用いて印刷している。しかしながら、漢字などの表意文字は画数が多くいので、字体(文字フォント)を小さくすると一般的に読みにくくなる。そこで、この実施の形態では、サーバ9のプライスルックアップメモリに商品名を第1文字種と第2文字種の二つの文字種のキャラクタコードで記憶しておき、POS端末1からの問い合わせに応じた商品情報をサーバ9から返答するときに、第1文字種と第2文字種の両方の商品名のキャラクタコードをPOS端末1に送る。そして、店員は、レシート用紙の残りが少なくなってきたことを認識したならば、用紙節約キー11を押して用紙の節約宣言を行い、文字が小さくても読むことが比較的容易なアルファベットを用いた印字をするようにする。
【0022】
このようにすれば、通常の状態では、商品名などを漢字が含まれる表意文字で印字して、人が認識しやすいレシート40を作成することができる。また、用紙節約キー11を押すと、レシート用紙に印字する印字バッファ29に、行間が狭くても文字の大きさが小さくても見やすい表記文字を用いてイメージを展開する。そして、この表記文字で展開したイメージで用紙に印字するため、図4(b)に示すように字自体が潰れることなく読めるレシートを印字することが可能である。
【0023】
この実施の形態では、第2の商品名を表記文字であるアルファベットで印字するものを示したが、カタカナやひらがなであっても、アルファベット、カタカナ、ひらがなを組み合わせて印字するようにしても良い。また、プリンタ12にセットしたレシート用紙の終了が近くなったセンサ(ニアエンドセンサ)を設け、このセンサでニアエンドを検出し時に用紙節約の宣言として、レシート用紙へ表記文字で印字するようにしてもよい。また、POS端末1に限らず、商品情報を端末内部に有する電子キャッシュレジスタなどの、商品情報をレシート用紙に印字する装置であれば適用できる。
【0024】
このように、上記の実施の形態例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0025】
1・・POS端末
11・・用紙節約キー
12・・プリンタ
26・・第1文字記憶エリア
27・・第2文字記憶エリア
29・・印字バッファ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レシート用紙に印字するレシートプリンタと、
用紙の節約宣言を行う宣言手段と、
商品に対する第1商品名および印字したときに前記第1商品名よりも小さくても認識しやすい文字からなる第2商品名と商品の金額を含む商品情報を取得する取得手段と、
文字データを記憶する文字記憶エリアと、
前記宣言手段による節約宣言がないときに前記第1商品名に対する文字データを、宣言手段による節約宣言がなされたときに第2商品名に対する文字データを前記文字記憶エリアから呼び出して、商品の金額情報とともに前記レシートプリンタで印字する印字制御手段と
を有する商品情報処理装置。
【請求項2】
第1商品名の文字は表意文字で形成され、前記第2商品名の文字は表意文字より小さくても認識しやすい表記文字で形成された
請求項1記載の商品情報処理装置。
【請求項3】
前記第1商品名は漢字を含む表意文字である
請求項2記載の商品情報処理装置。
【請求項4】
前記第2商品名はアルファベット、カタカナ、ひらがなのいずれかあるいはこれらの組み合わせからなる表記文字である
請求項2記載の商品情報処理装置。
【請求項5】
前記文字記憶エリアは、第1商品名を記憶する第1文字記憶エリアと、第2商品名を記憶する第2文字記憶エリアからなる
請求項1記載の商品情報処理装置。
【請求項6】
前記印字制御手段は、前記宣言手段はキーボードに設けた特定のキーである
請求項1記載の商品情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−33341(P2013−33341A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168388(P2011−168388)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】