説明

商品流通システム

【課題】物(書籍など)と電子データ(電子書籍など)との両方の形態を効率的に共存させることにより、ユーザの利便性などを実現することができる技術を提供する。
【解決手段】本書籍流通システムは、書籍A1の販売の注文状態を管理するサーバ、及び電子書籍A2の提供・管理を行うサーバを含むECサイトと、書籍A1をユーザに配送する配送業者システムと、電子書籍A2を利用する機能を備えるユーザの端末2とを有する。本システムは、例えば、ユーザが書籍A1を発注してから配送未完了の期間T1では、ユーザの端末で書籍A1に対応する内容の電子書籍A2が利用可能(有効)となるように制御し、ユーザが書籍A1を配送完了により受け取った後の期間T2では、ユーザの端末で電子書籍A2が利用不可(無効)となるように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、書籍(本)などの商品の流通システムに関する。特に、書籍・雑誌などの印刷媒体による文字や画像の内容を含む商品や、その他音楽・映像などの内容を含むCD・DVD等の媒体による商品などに関する、出版・販売・配送・利用などに係わる情報処理システムにおいて、物と電子データとの両方の形態の商品・コンテンツを扱うための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
書籍などの商品の流通システムに関して、インターネット上の電子商取引(EC)サイトによる書籍などの商品の販売と、配送業者による書籍などの商品の配送との組み合わせがよく利用されている。例えば、ユーザは、端末からECサイトにアクセスして書籍を購入(注文)し、配送業者により書籍がユーザの自宅などへ配送される。
【0003】
また昨今では、電子書籍の流通も増えてきている。例えば、ユーザは、端末から電子書籍を販売するサイトへアクセスして電子書籍を購入(注文)し、これにより端末にダウンロードされた電子書籍を利用する。
【0004】
例えば書籍と電子書籍の流通に関する先行技術例として以下がある。
【0005】
特開2004−192369号公報(特許文献1)(「電子書籍情報配信システム」)では、書籍の購入者や所有者のみが書籍に対応する内容の電子書籍情報の配信サービスを受けることができるシステムについて記載されている。特許文献1では、ユーザが書店などで書籍を購入して自宅に持ち帰った後、書籍に備える非接触ICタグのIDをリーダで読み取り、当該IDを会員ID情報及びパスワードと共に端末からサーバへ送信し、それらの情報の照合が行われ、これに応じて、当該書籍と同じ内容の電子書籍情報をサーバから端末へ配信することが記載されている。
【0006】
特開2000−113049号公報(特許文献2)(「本の購入証明を用いた電子書籍流通システム」等)では、本の購入と、電子書籍の利用との併用に関して例が記載されている。利用者は、本の購入時に、所有するICカードに、書店端末から購入証明を取得し、また、電子書籍の申し込み時には、上記購入証明をシステムに送信し、システムは購入証明の有無によって利用者に対して電子書籍を供給する時のサービスを切り換えることが記載されている。
【0007】
特開2001−306654号公報(特許文献3)(「様々な形式の内容を出版するためのリポジトリ」)では、著者は出版するファイルや契約条件をシステムに提出すること、顧客は出版物を注文し契約条件に従ってその全体または一部を購入すること、及び、印刷または電子媒体等の出力形式を選択することができること、等について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−192369号公報
【特許文献2】特開2000−113049号公報
【特許文献3】特開2001−306654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
書籍(印刷媒体)の流通に関して、例えばユーザがECサイトで販売されている書籍を購入(注文)すると、当該書籍が配送業者によりユーザの手元(自宅など)に届くまでにある程度の時間がかかる。また配送の場合に限らず、例えば在庫切れの商品の注文の場合などには比較的長く時間がかかる。ユーザにとっては書籍を購入してすぐに読みたくても読むことができないため、不便である。
【0010】
一方、電子書籍に関しては、例えばユーザがサイトで販売されている電子書籍を購入(注文)すると、当該電子書籍がダウンロード等によりユーザの手元の端末ですぐに利用可能となるめ、物(書籍)の配送の場合のような待ち時間が無く、ユーザにとっては便利である。
【0011】
また、同様内容(例えば同じ文字や画像)に関して書籍と電子書籍との2種類の形態で商品の流通(販売・提供など)が行われる場合、従来のECサイトや配送業者、電子書籍配信システムなどの各種システムでは、流通が別個のルートになるため、2種類の商品間でのタイムラグの問題が存在する。また、ユーザにとっては、上記2種類の商品を利用(例えば使い分け)したい場合、2種類の商品を別々に購入する手間や、金額的な不満などが生じ得る。
【0012】
なお特許文献1等の先行技術例では、上述のタイムラグ等の問題に対する解決手段については考慮及び開示されてない。
【0013】
以上を鑑み、本発明の主な目的は、書籍などの商品・コンテンツの流通に係わり、物(書籍など)と電子データ(電子書籍など)との両方の形態を効率的に共存させることにより、ユーザの利便性や、著者・出版社等の利益増大などを実現することができる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の代表的な形態は、書籍、または映像や音楽のデータが記録された媒体、を含む物的な商品・コンテンツと、物的な商品と対応する同様の内容を持つ、電子書籍、または映像や音楽のデータ、を含む電子的な商品・コンテンツと、の2種類の形態(媒体)の商品・コンテンツの流通に関する情報処理を行う商品流通システムなどであって、以下に示す構成を有することを特徴とする。
【0015】
本システムでは、物(第1の商品)の配送と、対応する電子データ(第2の商品)の配信とを連携して処理を行うことにより、ユーザに対して少なくとも第1の商品の配送の期間に、対応する第2の商品を利用可能に提供する制御を行う。
【0016】
<1> 本システムは、例えば、ネットワークに接続される、物的な商品をユーザに対して販売しその注文状態を管理する処理を行う第1の処理部を含む第1のサーバと、電子的な商品をユーザに対して販売または提供するための管理の処理を行う第2の処理部を含む第2のサーバと、物的な商品をユーザに対して配送または受け渡し等するための管理の処理を行う第3の処理部を含む第3のサーバと、電子的な商品を利用する機能を備えるユーザの端末と、を有する。
【0017】
本システムの動作・処理において、(1)ユーザにより第1のサーバに対して物的な第1の商品の発注が行われる処理と、(2)第1の商品の発注を受けて、第1のサーバから第3のサーバへ、第1の商品の配送の指示が行われ、かつ、第1のサーバから第2のサーバへ、第1の商品に対応する電子的な第2の商品の注文の指示が行われる処理と、(3)第2の商品の注文の指示を受けて、第2のサーバからユーザの端末に対して、当該ユーザによる当該第2の商品の利用が可能になる有効状態に制御する処理(例えばユーザが第2の商品を利用しようとする際に端末と第2のサーバとの間で第2の商品の有効性を確認し利用を制御する処理)と、(4)第1の商品の配送の指示を受けて、第3のサーバでの管理に基づき、配送業者などによりユーザへ第1の商品が配送または受け渡し等され、当該配送完了に伴う通知が第1のサーバへ送信される処理と、(5a)第1の商品の配送完了の通知を受けて、第1のサーバから第2のサーバへ連携し、第2のサーバからユーザの端末に対して、当該ユーザによる当該第2の商品の利用が不可能となる無効状態に制御する処理(例えばユーザが第2の商品を利用しようとする際に端末と第2のサーバとの間で第2の商品の有効性を確認し利用を制御する処理)と、を有する。
【0018】
上記構成により、ユーザが第1の商品を受け取るまでの第1の期間では、ユーザの端末で第2の商品の利用が可能となり、ユーザが第1の商品を受け取った後の第2の期間では、ユーザの端末で第2の商品の利用が不可能となる。
【0019】
<2> 本システムは、例えば、前記(1)〜(4)まで同じとし、続いて、(5b)第1の商品の配送完了の通知を受けて、第1のサーバから第2のサーバへ連携し、第2のサーバからユーザの端末に対して、当該ユーザによる当該第2の商品の利用が可能となる有効状態に制御する処理を有する。上記構成により、ユーザが第1の商品を受け取るまでの第1の期間、及び、ユーザが第1の商品を受け取った後の所定期限内の第2の期間では、ユーザの端末で第2の商品の利用が可能となる。
【0020】
<3> 本システムは、例えば、前記(1)〜(5a)まで同じとし、続いて、(6)第2の期間の後、ユーザが第1の商品を所定の業者に対して廃棄等した時点で、当該第1の商品に具備するタグの情報を当該業者のシステムに備えるタグリーダ機能によって読み取って所定の端末またはサーバで情報処理することにより、当該ユーザが当該第1の商品を廃棄等した事を確認する処理と、(7)業者の端末またはサーバから第1のサーバまたは第2のサーバに対して廃棄等の証明情報を送信することにより、ユーザが第1の商品の非所有状態となった事を確認する処理と、(8)確認を受けて、第2のサーバからユーザの端末に対して、当該ユーザによる当該第2の商品の利用が可能となる有効状態に制御する処理と、を有する。上記構成により、ユーザが第1の商品を廃棄等した後の第3の期間では、ユーザの端末で第2の商品の利用が可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のうち代表的な形態によれば、書籍などの商品・コンテンツの流通に係わり、物(書籍など)と電子データ(電子書籍など)との両方の形態を効率的に共存させることにより、ユーザの利便性や、著者・出版社等の利益増大などを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の各実施の形態((a)実施の形態1,(b)実施の形態2,(c)実施の形態3)において、2種類の商品(書籍A1,電子書籍A2)の利用や制御に関する期間毎の状態を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1,2のシステム(書籍流通システム)の全体構成及び動作・処理の概要を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1,2のシステムのサーバや端末の構成及び管理情報の構成例などを示す図である。
【図4】本発明の実施の形態3のシステムの全体構成及び動作・処理の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0024】
<概要>
本発明の各実施の形態のシステム(書籍流通システム)の概要などについて以下である。本発明及び実施の形態は、従来の問題を解決するため、書籍などの商品・コンテンツを対象として、配送などの時間を要する物の形態(例えば印刷媒体による書籍)と、配送などの時間を不要とする電子データの形態(例えば電子書籍)との2種類の形態で効率的に共存する流通を実現する。本システムでは、ユーザによる商品の購入・利用(著者・出版社等による商品の販売・提供)にあたり、物(書籍)の発注・配送と、電子データ(電子書籍)の配信とを連携処理することにより、上記効率的に共存する流通を実現する。本システムでは、前述のタイムラグ、例えば書籍の配送待ちの期間において、同じユーザ(当該ユーザの端末)に対し、当該書籍に対応した同様内容を持つ対応する電子書籍を、発注直後から即時に提供(配信)し利用可能とする制御を行う。
【0025】
なお本実施の形態では、商品流通システムの例として特に主に書籍を対象としたシステム(書籍流通システム)を説明するが、書籍に限らず、同様の条件(前述のタイムラグが存在する等)に該当する商品・コンテンツであれば同様に適用することができる。説明上、同じ著者等により提供される同様内容を持つ対応する2種類の商品・コンテンツとして、書籍(第1の商品)をA1、電子書籍(第2の商品)をA2とする。「書籍」とは雑誌などを含む総称とする。
【0026】
図1は、各実施の形態((a)実施の形態1,(b)実施の形態2,(c)実施の形態3)における、2種類の商品(書籍A1,電子書籍A2)の利用や制御に関する、時間軸上の期間(T1〜T3)毎の状態をまとめて示している。例えば、○は、有効・利用可などの状態を示し、×は、無効・利用不可などの状態を示す。t1は、書籍A1の発注(図2のS1と対応)の時点を示す。t2は、書籍A1の配送完了(図2のS6−1と対応)の時点を示す。t3は、書籍A1の廃棄など(後述、実施の形態3)の時点を示す。
【0027】
図1(a)に示すように、実施の形態1では、第1段階として、ECサイト(図2の1)でユーザが書籍A1を発注(t1,図2のS1)してから、配送業者(図2の3)により配送されてユーザの手元に届くまで(t2)の配送待ち(配送未完了)の期間T1において、書籍A1に対応する内容の電子書籍A2を、同ユーザが利用可(「有効」)となるように制御する仕組みである。書籍A1の発注(t1)の直後から、ユーザの端末(図2の2)への電子書籍A2のダウンロード配信(図2のS3)により、ユーザは電子書籍A2を利用する(読む)ことができる。
【0028】
また、書籍A1の配送完了(t2,図2のS6−1)によりユーザが書籍A1を受け取った後の期間T2においては、いくつかのパターンの制御(各実施の形態)が可能である。これらのパターンについては、例えば商品(A1,A2)を提供する著者・出版社等(図2の6)を含む関係者間での予めの契約や設定など(図2のS0)に応じて、選択的に適用可能である。
【0029】
実施の形態1では、第2段階として、書籍A1の配送完了の時点(t2)から後の期間T2においては、書籍A1に対応する電子書籍A2を利用不可(「無効」)とするように制御する。この制御は、当該商品(A1,A2)の著作権などに配慮して行われる。この制御では、例えば、ECサイト(1)側の処理(A2の無効化)に基づいて、A2の有効性(有効期限)を確認し(図2のS4)、ユーザの端末(2)においてA2データの利用が不可になるように処理される。実施の形態1では、t1(A1発注)からt2(A1配送完了)までの期間T1がA2の有効期限に相当する。
【0030】
図1(b)に示すように、実施の形態2では、第1段階として、ユーザが書籍A1を受け取るまでの期間T1では、実施の形態1と同様に対応する電子書籍A2を利用可(「有効」)に制御する。次に第2段階として、A1配送完了の時点(t2)から後の期間T2では、実施の形態1とは異なり、期間T1に続けて、A1と共にA2の方も利用可(「有効」)に制御し、即ち2種類の形態(A1,A2)の併用を可能とする。実施の形態2では、t1からt2の後の所定期限(著作権や設定などに基づく期限)までが、A2の基本的な有効期限に相当する(期間T2では所定期限内という条件でA2が有効となる)。この制御では、例えば、ECサイト(1)側の処理(A2の有効化)に基づいて、ユーザの端末(2)でA2データの利用が基本的に可になるように処理される。ただし実施の形態2では、ユーザの端末(2)で電子書籍A2を利用しようとする際に、当該ユーザが当該電子書籍A2に対応する書籍A1を所有しているかどうかを本システム(当該ユーザ以外)により確認(A1所有確認)し、当該確認が正しくできた条件で、上記A2の利用が可になるようにする。
【0031】
この制御のため、実施の形態2では、ユーザの端末(2)に備える書籍タグリーダ機能(図3の21)を用いて、書籍A1に具備するタグ5の情報(IDを含む)を読み取って情報処理することにより上記A1所有確認を行う。これにより、上記A1の所有を確認できた場合は、ユーザの端末(2)の電子書籍リーダ機能(図3の22)において電子書籍A2データが利用可に処理される。上記A1の所有が確認できなかった場合は、A2データが利用不可に処理される。
【0032】
図1(c)に示すように、実施の形態3では、実施の形態1の期間T1,T2の制御に加えて更に、第3段階として、ユーザが書籍A1を業者に対して廃棄などした時点(t3)から後の期間T3(所定期限内)において、当該廃棄などの証明・確認(A1非所有確認)に基づき、当該ユーザが当該書籍A1に対応する内容の電子書籍A2を利用可(「有効」)になるように制御する。例えば、ユーザは書籍A1を廃棄業者等(図4の7)に対して引き渡す(廃棄依頼する)。この制御では、上記廃棄した事によりユーザがA1を所有していない状態になった事を、上記業者(7)との連携を通じて、本システム(当該ユーザ以外)により把握・確認した上で、上記電子書籍A2データをユーザの端末2で利用可になるようにする。
【0033】
上記各実施の形態1〜3により、例えば、ユーザは、最初、書籍A1を注文してから書籍A1が届くまで(T1)は、対応する内容の電子書籍A2を読むことができ、書籍A1が届いた後(T2)は、実施の形態1,3では書籍A1のみ読むことができ、実施の形態2では両方(A1,A2)を読むことができる。更に実施の形態3のように、書籍A1を廃棄等した場合(T3)には、ユーザは書籍A1を所有せずに電子書籍A2を残して読むことができる。
【0034】
<実施の形態1>
図1(a),図2,図3を用いて、実施の形態1のシステムについて詳細に説明する。図2は、実施の形態1のシステムの全体構成、及び動作・処理の概要などを示している。図3は、実施の形態1のシステムの各サーバや端末の構成、及び管理情報の構成例などを示している。なお図2,図3では、実施の形態2の構成要素も併せて示している。
【0035】
[システム構成]
図2,図3において、インターネットや専用網等のネットワーク90上、ECサイト1、ユーザの端末2、配送業者システム3、などが接続される構成である。また必要に応じて、著者・出版社等6(商品・コンテンツ提供者)のシステムがECサイト1などに対して接続されてもよい。
【0036】
ECサイト1は、注文状態管理部11、電子コンテンツ管理部12などを有する。これらの処理部は、例えばサーバ及びデータベース(DB)等の公知技術により構成される。図2,図3は、サーバ#1,#2により構成される場合である。図3の注文状態管理部11(サーバ#1)は、書籍ステータス処理部101を有し、注文状態管理DB151を管理・読み書きする。注文状態管理DB151は、図示する書籍(A1)管理情報を含む。図3の電子コンテンツ管理部12(サーバ#2)は、電子書籍ステータス処理部102を有し、電子コンテンツ管理DB152を管理・読み書きする。電子コンテンツ管理DB152は、図示する電子書籍(A2)管理情報、及び電子書籍(A2)データ(DRM付き)を含む。
【0037】
ECサイト1では、著者・出版社等6から提供される書籍4(A1)を含む商品・コンテンツを販売する。特に、書籍A1とそれに対応する内容を持つ電子書籍A2との両方をセットで販売・提供する。当該商品(A1,A2)の価格などについては予め著者・出版社等6を含む関係者間で設定等(S0)が可能である。なお、同じ著者・出版社等6が提供する対応するA1とA2の内容は、文字や画像などの主たる情報が同一であることを基本とするが、各媒体(形態)の特性に応じた違いは当然ながら許容される。例えば電子書籍A2のハイパーリンク機能や注釈機能やしおり機能などがある場合は許容される。
【0038】
配送業者システム3は、配送業者の情報処理システムであり、配送状態管理部31(サーバ#3)を有する。配送状態管理部31(サーバ#3)は、ECサイト1からの注文・発送処理(S2−1)を受け付け、配送者による書籍4などの各商品の配送状態を管理する処理を行う。配送状態管理部31(サーバ#3)では、配送物に関するユーザ情報などを含む各種情報が管理されている(公知技術)。
【0039】
配送される書籍4(A1)には、いずれかの箇所にタグ5(RFIDタグ、非接触ICタグ)が具備(貼り付けや埋め込み等)されている。タグ5には、少なくともID情報が含まれており、対応するタグリーダ機能により読み取り可能となっている(公知技術)。例えばユーザの端末2は当該タグ5に対応する書籍タグリーダ機能21を備える。また他のシステムや装置に備える同様のタグリーダ機能によっても読み取り可能である。これらタグ5及びタグリーダ機能などの詳しい仕様については特に限定されない。例えば既存のバーコード方式などを利用してもよい。
【0040】
ユーザの端末2は、ネットワーク通信機能24、EC機能23、電子書籍リーダ機能22(電子書籍利用機能)、書籍タグリーダ機能21、などを備える情報処理端末装置であり、例えば、携帯電話機やPC、電子書籍専用端末など、各種の形態が可能である。端末2の他の機能や仕様は特に限定されない。端末2の各機能(21〜24)は、例えばプロセッサ、メモリ等を含む回路(ハードウェア)におけるソフトウェアプログラム処理などによって実現される。
【0041】
ネットワーク通信機能24は、ネットワーク90を介して、ECサイト1の各サーバ(#1,#2)等との通信処理を行う一般的な機能である。EC機能23は、端末2でのユーザ操作に基づき、ECサイト1(Webページ等)にアクセスして情報を表示(閲覧)し、ユーザの所望の商品(A1,A2)の発注(購入注文)やそれに基づく決済処理などを行うための一般的な機能である。
【0042】
電子書籍リーダ機能22は、端末2で所定の形式の電子書籍A2(そのデータ)を利用するための機能であり、サーバ#2との間の確認などの処理機能を含むとする。電子書籍リーダ機能22は、例えば、サーバ#2からダウンロード(S3)される電子書籍A2データ(DRM付き)を端末2内に格納し、DRM情報に従って必要な保護処理などを行いながら、端末2の画面で電子書籍A2の内容を表示する処理などを行う。電子書籍A2(サーバ#2及び電子書籍リーダ機能22等)に関しては、所定のDRM(Digital Rights Management)等により、著作権等に基づく保護(例えば不正コピー等の不正利用の防止)の機構を備えている(公知技術)。電子書籍(A2)及びDRM等の形式については特に限定されない。
【0043】
書籍タグリーダ機能21は、特に実施の形態2で使用するが、書籍4(A1)のタグ5に記録されている情報をタグ5への近接(電磁誘導等)により読み取る処理を行う(公知技術)。書籍タグリーダ機能21は、読み取ったIDを含む情報を処理する機能を含むとする。
【0044】
注文状態管理部11(サーバ#1)は、書籍A1を含む各商品群に関する注文状態を管理する処理を行う。注文状態管理部11(サーバ#1)は、ユーザからの商品(特にA1)の発注(S1)を受け付け、当該発注を受けると、注文状態管理DB151の情報を処理すると共に、他のサーバ#2,#3と連携処理を行う(S2−1,S2−2)。
【0045】
電子コンテンツ管理部12(サーバ#2)は、電子書籍A2を含む各電子コンテンツ群に関する情報及びデータを管理する処理を行う。電子コンテンツ管理部12(サーバ#2)は、サーバ#1からの連携(指示等)を受け付け、これに基づき、電子コンテンツ管理DB152の情報を処理すると共に、ユーザの端末2との間での処理(S3,S4等)を行う。
【0046】
なおECサイト1の構成要素(11,12)は、別個のシステムとして構成されてもよい。例えば電子コンテンツ管理部12が電子コンテンツ管理システム(サイト)として構成され、ECサイト1(サーバ#1)や著者・出版社等6のシステム等との間で通信・連携処理が行われてもよい。
【0047】
また、対象の商品・コンテンツが例えば映像または音楽である場合、物的な第1の商品(A1)は、映像または音楽のデータが記録されたDVDやCD等の媒体であり、電子的な第2の商品(A2)は、映像データまたは音楽データである。
【0048】
[管理情報]
図3において、本システムの各管理DB(151,152)の管理情報の構成例について説明する。本実施の形態では、書籍4(A1)のタグ5のID情報(タグID)を、書籍A1のID(書籍ID)等の他のIDとの関連付けで使用する(概略的にはタグID≒書籍IDと捉えてもよい)。例えば、タグID、書籍(A1)ID、電子書籍(A2)ID、商品(A1,A2)の共通ID、などを関連付けで管理する。
【0049】
図3の注文状態管理DB151の書籍(A1)管理情報の構成例において、管理情報項目として例えば、「書籍(A1)ID」、「商品ID」、「ユーザID」、「権利情報」、「A1ステータス」などを有する。「書籍(A1)ID」は、例えばタグ5のID(タグID)との関連付けである。「商品ID」は、同じ著者・出版社等6による対応する内容を持つ2種類の形態の商品(A1,A2)に関する統合的な管理のための共通IDである。なお「商品ID」ではなく「著者ID」等でもよい。ユーザIDは、当該書籍(A1)を購入したユーザのIDであり、ECや配送の管理情報の1つである。「権利情報」は、当該書籍A1の著者・出版社等6の著作権を含む権利関係の管理情報である。「A1ステータス」は、書籍ステータス処理部101により処理される、書籍A1のステータス情報であり、例えば「配送未完了」、「配送完了」等の値を有する。
【0050】
図3の電子コンテンツ管理DB152の電子書籍(A2)管理情報の構成例において、管理情報項目として例えば、「電子書籍(A2)ID」、「商品ID」、「ユーザID」、「権利情報」、「DRM情報」、「A2ステータス」などを有する。「電子書籍(A2)ID」は、例えば「書籍(A1)ID」や「商品ID」との関連付けである。「商品ID」は、対応する書籍A1の「商品ID」と同じ値である。ユーザIDは、対応する書籍A1の「ユーザID」と同様の情報である。「権利情報」は、当該電子書籍A2の著者・出版社等6の著作権を含む権利関係の管理情報である(前記A1に関する「権利情報」とまとめてもよい)。「DRM情報」は、電子書籍(A2)データに付属するDRM情報(例えば不正コピー防止用の制御情報など)であり、前記「権利情報」にまとめてもよいし、電子書籍(A2)データ内に記述されていてもよい。「A2ステータス」は、電子書籍ステータス処理部102により処理される、電子書籍A2のステータス情報であり、例えば「有効」(利用可)、「無効」(利用不可)、等の値を有する。
【0051】
上記「権利情報」等の管理情報には、商品(A1,A2)の販売・提供に関する関係者間の予めの契約や設定の情報を含んでもよい。例えば、各実施の形態の制御パターンの選択、価格や無料サービス、有効期限や各種制御条件、などの設定が可能である。
【0052】
[動作・処理]
図2に基づき、本システムの各要素間における動作・処理について以下説明する。実施の形態1で全体は概ねS0〜S7等に示す順序となる(Sは動作・処理のステップを表す)。なおS8は実施の形態2で説明する。
【0053】
(S0:登録) S0では、著者・出版社等6が、ECサイト1(11,12)に対して、販売・提供の対象とする商品・コンテンツである書籍A1,電子書籍A2、及びその管理用の情報を登録する。これにより、ECサイト1で書籍A1,電子書籍A2を販売する。
【0054】
S0では、著者・出版社等6を含む関係者間における予めの契約や設定などに基づき、各種の形での登録が可能である。例えば、A1とA2のセットの価格(例えばA1単体価格とA2単体価格との合計よりも低価格)での販売の形が可能である。あるいは、A1の購入により無料サービスやオプションでA2を提供する形などが可能である。
【0055】
(S1:A1発注) S1では、ユーザが、ECサイト1(サーバ#1)に対して、書籍A1の発注(購入注文)を行う。この手段は任意である。特にユーザは自身の端末2のEC機能23によりECサイト1を閲覧して書籍A1を注文する。
【0056】
(S2(S2−1,S2−2)) S2では、ECサイト1(11,12)は、書籍A1の発注(S1)を受けるとすぐに、当該書籍A1に対応する電子書籍A2を、同ユーザの端末2に対して提供し利用可能とする。S1を受けて、注文状態管理部11(サーバ#1)は、連携処理として、配送業者システム3(配送状態管理部31(サーバ#3))に対する書籍A1の注文・発送処理(S2−1)と、電子コンテンツ管理部12(サーバ#2)に対する書籍A1に対応した電子書籍A2の注文処理(S2−2)と、を行う。例えば、サーバ#1の書籍ステータス処理部101は、A1ステータスを「配送未完了」としておく。
【0057】
(S3:A2データのダウンロード) S3では、S2−2を受けて、電子コンテンツ管理部12(サーバ#2)からユーザの端末2(電子書籍リーダ機能22)に対して、書籍A1に対応する電子書籍A2データ(DRM付き)を、ダウンロード配信により提供し、利用可能にする。例えば、サーバ#2の電子書籍ステータス処理部102は、A1ステータスが「配送未完了」の間は、A2ステータスを「有効」にしておく。
【0058】
S3では、特に、サーバ#2からユーザの端末2に配信されたA2データ(DRM付き)を端末2内に格納し、ユーザは端末2に備える電子書籍リーダ機能22により当該電子書籍A2を利用する(読む)ことができる。S3のA2データの提供は、S1で端末2からのA1購入の場合は、A1購入と共に自動的に実行してもよいし、S1の少し後であらためてユーザの端末2からサーバ#2にアクセスして実行してもよい。
【0059】
(S4:A2有効性確認) S4では、ユーザの端末2(電子書籍リーダ機能22)と電子コンテンツ管理部12(サーバ#2)との間で、電子書籍A2の有効性(有効期限)の確認の処理を行う。即ち、A2ステータスが「有効」(有効期限内)か「無効」(有効期限切れ)かを確認する処理を行う。A2の「有効」が確認できた場合は、端末2でA2が利用可になる。S4の処理のタイミングは、例えばA2利用毎としてもよいし、所定の定期的な実行としてもよい。
【0060】
S4に関しては、特に、ユーザによる端末2(電子書籍リーダ機能22)での電子書籍A2の利用の際に、例えば自動的に、端末2(22)とサーバ#2との間で、A2ステータス(「有効」/「無効」)を確認する処理を行い、この結果に応じて、端末2(22)でA2データの利用可/不可に応じた処理を行う。前述(図1(a))のように実施の形態1では期間T1ではA2ステータスが「有効」となるため、ユーザはA2を利用可となる。
【0061】
(S5:配送) 一方、S5では、S2−1を受けて、配送業者システム3の配送状態管理部31(サーバ#3)での管理に基づいて、配送者により書籍4(A1)がユーザの自宅などへ配送される。配送状況については、配送者と配送業者システム3との間の通信に基づき、配送状態管理部31で情報が管理されている。
【0062】
(S6(S6−1,S6−2)) S6−1では、S5の配送が完了し、ユーザは配送者から書籍A1を受け取る。S6−1に基づき、S6−2では、配送状態管理部31(サーバ#3)から注文状態管理部11(サーバ#1)へ配送完了通知が送信され、サーバ#1に情報が記録される。これによりサーバ#1の書籍ステータス処理部101は、当該書籍A1のステータスを「配送未完了」から「配送完了」に更新する。
【0063】
S6−1の配送完了については、配送業者システム3との連携により自動的にECサイト1側でも把握がされ、ユーザによる手続きは特に必要無い。
【0064】
(S7) S7では、S6−2を受けて、注文状態管理部11(サーバ#1)から電子コンテンツ管理部12(サーバ#2)へ、書籍A1の「配送完了」(電子書籍A2の有効期限切れ)の連携処理を行う。即ち、実施の形態1の図1(a)の期間T2での制御として、サーバ#1の書籍ステータス処理部101とサーバ#2の電子書籍ステータス処理部102で、書籍A1の「配送完了」による電子書籍A2の無効化の処理・制御を行う。例えば、サーバ#1からA1ステータス「配送完了」に応じたA2有効期限切れ(無効化)の指示等がサーバ#2へ行われ、それに基づき、サーバ#2の電子書籍ステータス処理部102は、当該A1に対応するA2のステータスを「有効」から「無効」に更新する処理を行う。このようにA2ステータスを「無効」にしておくことにより、期間T2では当該ユーザによるA2の利用が不可になる。
【0065】
(S4’) 前記S4は図1(a)の期間T1でのA2有効性確認を示し、S4’は期間T2でのA2有効性確認を示す(基本的には同様の処理)。期間T2での制御において、ユーザによる電子書籍A2の利用を不可にする「無効」状態に制御する。このために、前記S4と同様に、ユーザが端末2(電子書籍リーダ機能22)で電子書籍A2を利用する(読む)際などに、端末2(22)とサーバ#2との間で、A2の有効性を確認する処理を行う。この確認で、実施の形態1では期間T2ではA2ステータスが「無効」なので、端末2(22)でA2データが利用不可(例えば閲覧不可)に処理される。
【0066】
S4’で電子書籍A2を利用不可に制御する処理例としては、端末2の電子書籍リーダ機能22、あるいはサーバ#2から端末2へのアクセスによる処理において、前記S3で端末2に取得済みのA2データを無効化(閲覧不可に設定する、あるいはデータ削除する等)する処理などがある。
【0067】
S4’の処理に関しては、例えば一旦S7直後の時点などでサーバ#2から端末2へ通信して上記確認処理及びA2データを無効化する処理などを行うことにより、S4’の毎回のサーバ#2との通信・確認処理を省略してもよい。例えば、端末2内(電子書籍リーダ機能22及び保持A2データ)に、当該A2の利用制御用の情報を格納しておき、A2利用の際に当該情報を参照することにより、A2の有効性が確認できるようにする等。
【0068】
[効果(1)]
実施の形態1の効果として、図1(a)のように書籍A1と電子書籍A2との両方の形態を効率的に共存させることにより、ユーザの利便性や、著者・出版社等6の利益増大などを実現することができる。ユーザは、物的な商品(書籍A1)を受け取るまでの待ち時間(前述のタイムラグ)において、対応する電子コンテンツ(電子書籍A2)を利用することができるので、従来の不満などが解消される。例えば在庫切れ商品の場合など、比較的時間が長くかかる場合にも有用である。一方、著者・出版社等6の側は、物(書籍A1)と電子コンテンツ(電子書籍A2)との両方を例えばセットで販売・提供することができるので、ユーザが2種類の商品を別途に購入する必要が無いなど、ユーザの満足を高め、利益増大などの可能性がある。
【0069】
<実施の形態2>
次に、図1(b),図2,図3を用いて、実施の形態2のシステムについて説明する。実施の形態2のシステムでは、前述、図1(b)に示すように、第2の期間T2では、A1所有確認の上で、A1と共にA2を利用可(「有効」)に制御する。
【0070】
図2において、実施の形態2における実施の形態1とは異なる動作・処理について説明する。S0〜S6は実施の形態1と概略同様である。
【0071】
(S7) S7では、S6−2の配送完了通知を受けて、注文状態管理部11(サーバ#1)から電子コンテンツ管理部12(サーバ#2)へ、書籍A1の「配送完了」の連携処理を行う。ここで実施の形態2では、図1(b)の第2の期間T2での制御として、書籍A1のステータス「配送完了」に対し、電子書籍A2の無効化は行わずにA2ステータスを継続して「有効」とする。例えば、サーバ#2の電子書籍ステータス処理部102は、当該A1に対応するA2のステータスを所定期限内の条件で「有効」とする。これにより、期間T2の所定期限までは、A1所有確認(S7)の上で、当該ユーザによるA2の利用が可になる。
【0072】
(S4’) 実施の形態2のS4’は、図1(b)の期間T2でのA2有効性確認を示すが、実施の形態1と同様の処理になる。この際、実施の形態2では期間T2でA2ステータスが「有効」なので、端末2(電子書籍リーダ機能22)でA2データが利用可(例えば閲覧可)に処理される。またここでは端末2とサーバ#2との間で通信して確認を行う必要は特に無い(下記S8の確認が存在するため)。
【0073】
(S8:A1所有確認) S8では、期間T2において、A1所有確認に基づくA2利用制御の動作・処理を行う。本実施の形態では、ユーザにより端末2(電子書籍リーダ機能22)で電子書籍A2を利用しようとする際、ユーザ操作に基づき端末2の書籍タグリーダ機能21により書籍A1のタグ5のID等の情報を読み取って処理することにより、当該ユーザによるA1所有状態を確認する。A1所有確認の結果、当該ユーザがA1を所有している状態を正しく確認できた場合は、端末2(22)でA2データが利用可に処理され、確認できなかった場合は、A2データが利用不可に処理される。上記確認処理の際は、例えば、予め端末2に保持される正しいID情報と、タグ5からの読み取り情報とを比較して判断がされる。
【0074】
またS8のA1所有確認(A2を有効にする条件)については、A2利用毎に毎回必ず実行する形に限らず、例えばA2利用よりも前に予めA1所有確認を済ませておくことによりその後一定時間(あるいは一定利用回数など)までは自動的にA2を利用可になるように制御する形としてもよい。例えば1日1回、1週間1回など、定期的に確認する形である。この場合はユーザの手間が低減できる。
【0075】
上記処理例としては、確認の際に書籍4(A1)のタグ5の情報を端末2内に読み込んで、A1所有状態などを示す制御情報を記憶しておく。その後、ユーザによるA2利用時には、上記格納情報を参照することで、即時に有効性を判断できる。また特に、ユーザが書籍A1を自宅に置いて端末2を所持して外出時に電子書籍A2を利用するといった場面では、端末2の書籍タグリーダ機能21によって書籍A1の所有(所持)を確認することはできないから、上記のような制御形態が有用である。
【0076】
[効果(2)]
実施の形態2の効果として、図1(b)のようにA1配送完了の後の期間T2では、2種類の形態(A1,A2)で利用可となるため、ユーザにとっては便利である。例えばフェアユースの範囲内で、A1を子供が利用し、A2を親が利用するといった様々な利用が可能である。
【0077】
従来のシステムでは、電子書籍の提供の際に、対応する書籍(物)の購入や所有の確認などは行われていない。そのため例えばユーザが同様内容の書籍と電子書籍を別個に購入するといった事態になっていた。実施の形態2では、書籍A1の所有確認の上で電子書籍A2を提供する仕組みであり、同様内容の書籍A1と電子書籍A2を一緒に購入して併用することができる。
【0078】
<実施の形態3>
次に、図1(c),図4を用いて、実施の形態3のシステムについて説明する。実施の形態3では、前述、図1(c)に示すように、ユーザが書籍A1を廃棄等した時点(t3)の後の第3の期間T3では、ユーザの書籍A1の廃棄等の証明・確認(A1非所有確認)に基づき、当該ユーザが当該書籍A1の代わりに対応する内容の電子書籍A2を利用可(「有効」)になるように制御する。本実施の形態では廃棄業者に対する廃棄依頼の例で説明する。
【0079】
図4は、実施の形態3のシステムを示す。廃棄業者システム7は、店舗などの設備において、書籍タグリーダ機能71と、廃棄状態管理部72(端末/サーバ)とを備える。廃棄状態管理部72は、店舗に備える端末やネットワーク90上のサーバ及びDBなどにより構成され、既存の装置に機能を付加することでも構成可能である。
【0080】
図4で、期間T3での動作・処理例について説明する。
【0081】
(S11:A1廃棄(A1非所有)確認) S11では、ユーザは自分の書籍4(A1)を、業者の店舗(廃棄業者システム7)などで廃棄依頼する(なお業者への書籍A1郵送による依頼などでもよい)。この際、店舗の設備(廃棄業者システム7)に備える書籍タグリーダ機能71を用いて、書籍4(A1)のタグ5の情報を読み取って処理することにより、A1を廃棄した事によりユーザがA1を所有していない状態になった事(A1廃棄≒A1非所有)の確認処理を行う。
【0082】
(S12:廃棄証明情報) 廃棄業者システム7の廃棄状態管理部72(端末/サーバ)は、各書籍の廃棄状態を含む状態を管理する処理を行っている。廃棄状態管理部72は、書籍タグリーダ機能71で読み取って処理した情報をもとに、ユーザの書籍A1の廃棄を認識すると、S12で、ECサイト1との連携処理として、A1の廃棄の確認(証明)の情報を送信する。例えば廃棄状態管理部72からネットワーク90を介して注文状態管理部(サーバ#1)へ情報を通知して当該サーバ#1に情報を記録する。これによりECサイト1はユーザのA1非所有状態を認識する。例えば、サーバ#1は書籍A1のステータスを「廃棄済み」に更新する。
【0083】
(S13:連携) そして上記A1「廃棄済み」に伴い、S13の連携処理では、電子コンテンツ管理部12(サーバ#2)は、対応する電子書籍A2のステータスを「無効」から「有効」に更新する。なおS12,S13では、例えば廃棄状態管理部72からサーバ#2への連携処理としてもよい。
【0084】
(S14:A2データのダウンロード) S13に基づき、S14では、前記S3と同様に、サーバ#2からユーザの端末2へ、対応する電子書籍A2データをダウンロード配信などにより提供し、端末2(電子書籍リーダ機能22)で利用可とする。あるいは、期間T1で提供済みで期間T2で無効化済みのA2データが端末2内に存在する場合はそれを有効化する制御を実行してもよい。
【0085】
これにより、ユーザは、期間T3で所定期限内の条件で電子書籍A2の利用が可能となる。その後、ユーザが端末2でA2を利用する際には、前記S4’と同様にA2有効性確認により同様に制御する。
【0086】
廃棄業者以外の場合のシステムも同様に実現可能である。
【0087】
[効果(3)]
実施の形態3の効果として、図1(c)のように、期間T3では電子書籍A2のみ利用可となるため、例えばユーザが書籍A1を自宅に保有したくない場合に代わりに電子書籍A2の形態で保有・利用することができる。
【0088】
実施の形態1,3では、2種類(A1,A2)の共存の形として、ユーザは時間軸上で一方のみが利用可能となる。
【0089】
なお、上述した実施の形態3の制御に関連して、実施の形態2で、図1(b)の期間T3に示すように、併用可能な商品(A1,A2)に関して、ユーザが書籍A1を中古業者に対して売却した場合、前記S8のA1所有確認が成立しないため、自動的に電子書籍A2は利用不可(無効)になる。ここで更に、著作権保護などの観点に基づき、A1売却の時点で、S11と同様のA1非所有確認に基づいて、対応する電子書籍A2を明示的に利用不可(無効)になるように制御してもよい。例えばサーバ#1,#2の連携処理でA1ステータスの「売却済み」に伴いA2ステータスを「有効」から「無効」に更新する。
【0090】
<他の実施の形態>
他の実施の形態として例えば以下が可能である。
【0091】
実施の形態1等で、ECサイト1及び配送業者システム3は、ユーザが書籍A1を注文して受け取るまでの間に介在する他のシステムであってもよい。即ち、前述のタイムラグに係わるシステムであれば、同様に適用可能である。例えば、出版取次システム、実書店システムなどが挙げられる。例えばユーザが実書店に赴いて書籍(例えば店頭在庫が無い書籍)を注文し、その後受け取りまで待つ場合である。この場合も例えば書店の装置を通じて注文や受け渡しに関する処理を行い、書籍A1の注文に伴い電子書籍A2をユーザの端末2へ提供し、書籍A1の受け渡しに伴いユーザの端末2の電子書籍A2を利用不可にする、といったように実現可能である。
【0092】
また、書籍A1の配送完了の確認ができた時点(t2)ですぐに電子書籍A2を「無効」に制御する形に限らず、当該確認時点(t2)からの所定期間後(あるいは所定回数利用後など)までは猶予としてA2を「有効」に制御する形としてもよい。対応して前述の有効期限を適宜設定可能とする(S0)。
【0093】
また、前記S3では、端末2側に電子書籍A2データ(全部)を格納して処理する形としたが、変形例として、基本的にサーバ#2側にA2データ(全部)を保持する形とし、ユーザによるA2利用(閲覧等)の際に必要な一部データのみをサーバ#2から端末2へ送信して端末2(電子書籍リーダ機能22)で処理する形としてもよい。
【0094】
実施の形態2で、A1所有確認(S8)については、端末2の書籍タグリーダ機能21を用いる形としたが、他の手段で実現してもよい。例えばユーザの自宅などに備える装置、例えば本棚などにおいて、同様の書籍タグリーダ機能などを備えてもよい。当該本棚に格納される書籍A1のタグ5を当該書籍タグリーダ機能で読み取って情報処理することにより、書籍A1の所有(所在)の確認(及びその結果に基づくA2利用制御)などができる。この場合、確認の自動化によりユーザの手間を低減できる。
【0095】
また、期間T2の制御は、ユーザが書籍A1を所有している間に対応する電子書籍A2を利用可能に貸し出すサービス(システム)に近いものと捉えることができる。
【0096】
実施の形態3で、書籍4の状態管理に係わる専用サーバ及びそのシステムを、ECサイト1や廃棄業者(7)等とは独立して設けて、ECサイト1等と連携処理する形としてもよい。専用サーバに、対象の書籍4のタグ5の情報及び各ステータス情報などの管理情報を登録・管理する仕組みとする。そして前述のように、書籍A1の廃棄等に伴い、専用サーバの持つステータス情報などを更新し、これに応じてA2の利用を制御する。
【0097】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、書籍・雑誌・CD・DVD等の各種の形態(媒体)の商品・コンテンツの流通システムに利用可能である。
【符号の説明】
【0099】
1…ECサイト、2…端末、3…配送業者システム、4…書籍(A1)、5…タグ、6…著者・出版社等(商品・コンテンツ提供者)、7…廃棄業者システム、11…注文状態管理部(サーバ#1)、12…電子コンテンツ管理部(サーバ#2)、21…書籍タグリーダ機能、22…電子書籍リーダ機能、23…EC機能、24…ネットワーク通信機能、31…配送状態管理部(サーバ#3)、71…書籍タグリーダ機能、72…廃棄状態管理部、90…ネットワーク、101…書籍ステータス処理部、102…電子書籍ステータス処理部、151…注文状態管理DB、152…電子コンテンツ管理DB。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
書籍、または映像や音楽のデータが記録された媒体、を含む物的な商品と、前記物的な商品と対応する同様の内容を持つ、電子書籍、または映像や音楽のデータ、を含む電子的な商品と、の2種類の形態の商品の流通に関する情報処理を行う商品流通システムであって、
ネットワークに接続される、
前記物的な商品をユーザに対して販売しその注文状態を管理する処理を行う第1の処理部を含む第1のサーバと、
前記電子的な商品をユーザに対して販売または提供するための管理の処理を行う第2の処理部を含む第2のサーバと、
前記物的な商品をユーザに対して配送または受け渡しするための管理の処理を行う第3の処理部を含む第3のサーバと、
前記電子的な商品を利用する機能を備えるユーザの端末と、を有し、
(1)前記ユーザにより前記第1のサーバに対して前記物的な第1の商品の発注が行われる処理と、
(2)前記第1の商品の発注を受けて、前記第1のサーバから前記第3のサーバへ、前記第1の商品の配送の指示が行われ、かつ、前記第1のサーバから前記第2のサーバへ、前記第1の商品に対応する前記電子的な第2の商品の注文の指示が行われる処理と、
(3)前記第2の商品の注文の指示を受けて、前記第2のサーバから前記ユーザの端末に対して、当該ユーザによる当該第2の商品の利用が可能になる有効状態に制御する処理と、
(4)前記第1の商品の配送の指示を受けて、前記第3のサーバでの管理に基づき、配送業者により前記ユーザへ前記第1の商品が配送され、当該配送完了に伴う通知が前記第1のサーバへ送信される処理と、
(5a)前記第1の商品の配送完了の通知を受けて、前記第1のサーバから前記第2のサーバへ連携し、前記第2のサーバから前記ユーザの端末に対して、当該ユーザによる当該第2の商品の利用が不可能となる無効状態に制御する処理と、を有し、
上記構成により、前記ユーザが前記第1の商品を受け取るまでの第1の期間では、前記ユーザの端末で前記第2の商品の利用が可能となり、前記ユーザが前記第1の商品を受け取った後の第2の期間では、前記ユーザの端末で前記第2の商品の利用が不可能となること、を特徴とする商品流通システム。
【請求項2】
書籍、または映像や音楽のデータが記録された媒体、を含む物的な商品と、前記物的な商品と対応する同様の内容を持つ、電子書籍、または映像や音楽のデータ、を含む電子的な商品と、の2種類の形態の商品の流通に関する情報処理を行う商品流通システムであって、
ネットワークに接続される、
前記物的な商品をユーザに対して販売しその注文状態を管理する処理を行う第1の処理部を含む第1のサーバと、
前記電子的な商品をユーザに対して販売または提供するための管理の処理を行う第2の処理部を含む第2のサーバと、
前記物的な商品をユーザに対して配送または受け渡しするための管理の処理を行う第3の処理部を含む第3のサーバと、
前記電子的な商品を利用する機能を備えるユーザの端末と、を有し、
(1)前記ユーザにより前記第1のサーバに対して前記物的な第1の商品の発注が行われる処理と、
(2)前記第1の商品の発注を受けて、前記第1のサーバから前記第3のサーバへ、前記第1の商品の配送の指示が行われ、かつ、前記第1のサーバから前記第2のサーバへ、前記第1の商品に対応する前記電子的な第2の商品の注文の指示が行われる処理と、
(3)前記第2の商品の注文の指示を受けて、前記第2のサーバから前記ユーザの端末に対して、当該ユーザによる当該第2の商品の利用が可能になる有効状態に制御する処理と、
(4)前記第1の商品の配送の指示を受けて、前記第3のサーバでの管理に基づき、配送業者により前記ユーザへ前記第1の商品が配送され、当該配送完了に伴う通知が前記第1のサーバへ送信される処理と、
(5b)前記第1の商品の配送完了の通知を受けて、前記第1のサーバから前記第2のサーバへ連携し、前記第2のサーバから前記ユーザの端末に対して、当該ユーザによる当該第2の商品の利用が可能となる有効状態に制御する処理を有し、
上記構成により、前記ユーザが前記第1の商品を受け取るまでの第1の期間、及び、前記ユーザが前記第1の商品を受け取った後の所定期限内の第2の期間では、前記ユーザの端末で前記第2の商品の利用が可能となること、を特徴とする商品流通システム。
【請求項3】
請求項2記載の商品流通システムにおいて、
前記ユーザの端末は、前記第1の商品に具備されるタグの情報を読み取るタグリーダ機能を有し、
前記(5b)の処理に係わり、前記第2の期間における、前記ユーザによる前記端末での前記第2の商品の利用の際に、当該第2の商品に対応する前記第1の商品を当該ユーザが所有しているかどうかを確認する処理を、前記ユーザの端末のタグリーダ機能により前記第1の商品に具備されるタグの情報を読み取って確認することにより行い、当該第1の商品の所有を確認できた場合は当該第2の商品の利用を可能にすること、を特徴とする商品流通システム。
【請求項4】
請求項1記載の商品流通システムにおいて、
前記(1)〜(5a)の処理に続いて、
(6)前記第2の期間の後、前記ユーザが前記第1の商品を所定の業者に対して廃棄した時点で、当該第1の商品に具備するタグの情報を当該業者のシステムに備えるタグリーダ機能によって読み取って所定の端末またはサーバで情報処理することにより、当該ユーザが当該第1の商品を廃棄した事を確認する処理と、
(7)前記業者の端末またはサーバから前記第1のサーバまたは第2のサーバに対して前記廃棄の証明情報を送信することにより、前記ユーザが前記第1の商品の非所有状態となった事を確認する処理と、
(8)前記確認を受けて、前記第2のサーバから前記ユーザの端末に対して、当該ユーザによる当該第2の商品の利用が可能となる有効状態に制御する処理と、を有し、
上記構成により、前記ユーザが前記第1の商品を廃棄した後の第3の期間では、前記ユーザの端末で前記第2の商品の利用が可能となること、を特徴とする商品流通システム。
【請求項5】
請求項1記載の商品流通システムにおいて、
前記ユーザが前記第2の商品を利用可能となる有効状態に制御する処理において、
前記第2のサーバから前記ユーザの端末へ、前記第2の商品のデータをDRM付きでダウンロード配信して当該ユーザの端末に当該第2の商品のデータを格納し、
前記ユーザによる前記第2の商品の利用の際は、前記ユーザの端末と前記第2のサーバとの間で必要に応じて通信し、前記第2の商品の有効性を表すステータス情報を確認する処理を行い、有効の場合は、前記ユーザの端末の備える機能において前記第2の商品のデータを利用可能に処理すること、を特徴とする商品流通システム。
【請求項6】
請求項1記載の商品流通システムにおいて、
前記第1、第2の商品の著者及び出版社を含む関係者間における、前記第1、第2の商品の販売または提供に関する予めの契約に基づき、前記第1のサーバまたは第2のサーバに対して、前記第2の商品を利用可能な有効状態に制御する期間及び条件を設定する処理が行われること、を特徴とする商品流通システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−150540(P2012−150540A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−6828(P2011−6828)
【出願日】平成23年1月17日(2011.1.17)
【出願人】(000155469)株式会社野村総合研究所 (1,067)