説明

商品管理システム

【課題】容器に入れられた商品を個別管理できる商品管理システムを提供することを課題とする。
【解決手段】製造ロットごとの製品情報が付与され、缶容器2に入れられて梱包箱2bに箱詰めされ、梱包箱2bが所定数集められたパレット単位2eで流通倉庫11まで流通し、流通倉庫11から販売店12まで梱包箱2bを単位として流通する飲料の商品管理システム1とする。そして、缶容器2を個別検査した検査情報に、缶容器2の個体識別情報をリンクした個別管理情報を作成して保存する個別情報管理装置と、缶容器2に印字された個体識別情報を読み取る読取装置14aと、読取装置14aに読み取られた個体識別情報を取得して個別情報管理装置に送信する商品管理サーバ14bとを備え、個別情報管理装置は個体識別情報が送信されたとき、送信された個体識別情報が検査情報にリンクして作成された個別管理情報を商品管理サーバ14bに送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に入れられて販売される商品の商品管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
飲料や化粧品など液体や気体の商品が缶容器等に封入されて販売される場合、容器に製造ロット番号が印字されていれば、製造ロットを単位として商品の生産管理、在庫管理、トレーサビリティをすることができる。
【0003】
さらに、例えば容器の個体を識別する個体識別情報を容器ごとに付与することで、商品を容器ごとに個別管理できる。
例えば、特許文献1には、製造ロット番号や使用期限を示すタグを農薬製品の個装体に取り付け、個装体に含まれる農薬製品の使用状況などを、個装体ごとに個別管理する管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−9474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記したように、商品が封入された容器は製造ロット単位で商品管理されている。そして、商品に印字される製造ロット番号等によって、製造ロット単位で商品のトレーサビリティ(流通過程を追跡するトレースフォワード、生産工程まで遡るトレースバック)が可能である。
【0006】
しかしながら、容器単体で追跡するトレーサビリティは不可能であり、消費者の手許にある容器の個体について、生産工程まで遡った確認は不可能である。
例えば、消費者から商品の不具合についての問い合わせがあった場合、当該商品の個体について生産工程における状態を再確認することは不可能であり、当該商品単体の個別不良なのか、製造ロット単位の組織不良なのかを判定することが困難である。その結果、個別不良であっても組織不良と判定することがあり、商品の回収が必要な場合には製造ロット単位での回収が必要になって回収の規模が大きくなり、回収費用が莫大なものになる虞がある。
【0007】
このような問題の解決のため、中間製品を容器に封入した商品を容器ごとに個別管理することが好ましい。この場合、容器の個体を識別する個体識別情報を容器ごとに付与して商品とともに流通させ、必要に応じて個体識別情報を読み取る必要がある。
【0008】
例えば、特許文献1に開示されるように容器にタグを取り付け、そのタグに個体識別情報を書き込む構成の場合、タグの取り付けに必要なコストが発生し、その結果、商品単価が上昇するという問題がある。
【0009】
また、個体識別情報を容器に印字することも考えられる。しかしながら、このような商品は生産量が非常に多く、個体識別情報の情報量が多くなる。したがって、例えば文字情報では文字数が非常に多くなる。また、二次元コードなどに記号化しても、その記号が大きくなる。そして、消費者が視認できるインク(可視インク)で容器に個体識別情報を印字すると外観を損なうという問題がある。
【0010】
そこで本発明は、前記した問題を回避でき、さらに、容器に入れられた商品を個別管理できる商品管理システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため本発明は、製造装置で容器に入れられて梱包箱に箱詰めされ、前記梱包箱が所定数集められて構成される搬送単位で前記製造装置から流通拠点まで流通し、前記流通拠点から販売拠点まで前記梱包箱を単位として流通する商品の商品管理システムとする。そして、前記商品が入った前記容器を個別検査する検査装置が前記容器を検査して作成する第2情報に、可視光に対して透明な不可視インクで前記容器の所定の印字面に印字されて前記容器の個体を識別する第1情報をリンクした個別管理情報を作成して保存する個別情報管理装置と、前記販売拠点で前記梱包箱から取り出された前記容器に印字された前記第1情報を読み取る読取装置と、前記読取装置が読み取る前記第1情報を取得可能に構成されて前記個別情報管理装置とネットワークを介して接続される商品管理端末装置と、を備え、前記個別情報管理装置は、前記読取装置に読み取られた前記第1情報が前記ネットワークを介して前記商品管理端末装置から送信されたときに、送信された前記第1情報が前記第2情報にリンクして作成された前記個別管理情報を前記ネットワークを介して前記商品管理端末装置に送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、容器に入れられた商品を個別管理できる商品管理システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】商品管理システムの一構成例を示す図である。
【図2】製造装置の一構成例を示す図である。
【図3】検査画像収集システムと生産設備管理システムとデータセンタの一構成例を示す図である。
【図4】(a)は、印字装置が備わる搬送装置を示す図、(b)〜(d)は、缶容器の缶底に印字される製品情報と識別情報記号を示す図である。
【図5】個体管理部を備えるバルブ入味検査装置の一構成例を示す図である。
【図6】(a)は、バルブ入味検査画像の一例を示す図、(b)は、バルブ入味検査実績データの一例を示す図、(c)は、バルブ入味検査画像データの一例を示す図である。
【図7】(a)は個体管理部を有するケーサの一構成例を示す図、(b)は、梱包実績データの一例を示す図、(c)はパレット情報の一例を示す図である。
【図8】サービス窓口の商品管理サーバで個別管理情報、検査画像、及び梱包情報を表示する状態を示した図である。
【図9】(a)は、個体管理部を有するフィラーの一構成例を示す図、(b)は、フィラー生産実績データの一例を示す図である。
【図10】(a)は、シーマ生産実績データの一例を示す図、(b)は、生産実績統合データの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、商品である飲料を缶容器に充填封入して商品管理する商品管理システムを例に、適宜図を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る缶容器2の商品管理システム1を示す図であり、製造者1aが有する製造装置10で商品である飲料が充填封入された缶容器2が梱包箱2bに箱詰めされて出荷され、流通倉庫11に一時保管された後に、販売拠点である複数の販売店12(図1には2つの販売店A12a、販売店B12bを図示)で販売され、さらに消費者13が缶容器2を購入する流通過程を示している。なお、販売店12と異なる販売拠点としては、例えば自動販売機がある。
【0015】
製造者1aは、製造装置10で、商品の飲料を缶容器2に充填封入し、梱包箱2bに箱詰めする。そして、缶容器2が箱詰めされた所定数の梱包箱2bが集められてパレット単位2eを構成し、流通倉庫11に搬送されて保管される。つまり、パレット単位2eは缶容器2が流通するときの搬送単位である。
また、流通倉庫11は、パレット単位2eに集められた梱包箱2bを、納品する販売店12ごとに分配したり、販売店12から返品される缶容器2が集荷する流通拠点となる。そして、缶容器2が販売店12(販売拠点)に納品されるときは、例えば梱包箱2bを単位として納品される。
なお、図1には1つの流通倉庫11が図示されているが、複数の流通倉庫11が備わる構成であってもよい。また、缶容器2は製造装置10から複数の流通倉庫11を経由して販売店12に納品される構成であってもよい。
【0016】
缶容器2には、商品である飲料の製造ロット番号、製造工場、製造年月日、賞味期限(消費期限)など、必要な情報が文字情報として印字されている。また、本実施形態に係る缶容器2には、後記するように、缶容器2の個体を識別するための個体識別情報が付与されている。
【0017】
消費者13は缶容器2に充填封入された飲料(以下、缶入飲料と称する)を購入後に不具合を感じたとき、必要に応じて製造者1aが設置するサービス窓口14に缶容器2を返送する。
サービス窓口14の担当者は、缶容器2に付与された個体識別情報を読取装置14aで読み取り、読み取った個体識別情報に基づいて缶容器2に関する情報(特に検査結果に関する情報)を取得し、当該缶容器2に発生している不具合を調査する。サービス窓口14の詳細は後記する。
なお、図1には1つのサービス窓口14が記載されているが、サービス窓口14の数は限定されるものではなく、2つ以上のサービス窓口14が設置される構成であってもよい。また、販売店12にサービス窓口14の業務を委託する構成であってもよい。
【0018】
このように、本実施形態に係る商品管理システム1は、製造者1aと販売店12と消費者13との間で流通する商品(缶入飲料)を管理するシステムであり、消費者13からサービス窓口14に返送された缶容器2について、必要な情報を個別に取得し、その缶容器2を個別管理するための商品管理システムである。
【0019】
製造者1aは、製造装置10において、例えば図2に示すように、空缶搬送工程10a、充填工程10b、滅菌工程10c、検査工程10d、梱包・出荷工程10eおよび倉入工程10fからなる生産工程を順次実行し、商品の飲料を缶容器2に充填封入して最終製品としての「缶入飲料」を生産する。以下、空缶搬送工程10aの側を上流、倉入工程10fの側を下流とする。
【0020】
飲料が充填封入される缶容器2は略円筒形の容器であって、空缶搬送工程10aから検査工程10dまでは敷設されるコンベア装置10gによって上流から下流に向かって搬送されて各工程が実行され、梱包・出荷工程10eと倉入工程10fは、缶容器2が箱詰めされた梱包箱2bを運搬する運搬装置(図示せず)によって運搬される。
【0021】
空缶搬送工程10aでは、搬送装置100で飲料を充填封入する缶容器2が洗浄されると充填工程10bに進む。充填工程10bでは充填装置102で飲料が充填されて、蓋部2aが取り付けれられ(巻き締められ)、入味検査される。
充填装置102には、例えば1つ又は複数のフィラーバルブ103aが備わり、各フィラーバルブ103aには固有のバルブ番号が付与されている(図9の(a)参照)。そして、飲料はフィラーバルブ103aから缶容器2に充填される。このように、複数のフィラーバルブ103aを備えることによって、複数の缶容器2に同時に飲料を充填できる。なお、図2には図の簡略化のため1つのフィラーバルブ103aのみを図示している。
【0022】
また、充填装置102は、例えば、X線検査部104aで缶容器2にX線を照射して入味検査(バルブ入味検査)する。バルブ入味検査は、缶容器2に充填封入された飲料の充填量を充填装置102のフィラーバルブ103aごとに検査する工程である。
【0023】
次に缶容器2は滅菌工程10cに進み、滅菌装置105で、例えば加熱されて滅菌され、検査工程10dに進む。
検査工程10dでは、生産検査装置106による内圧検査、入味検査(製品入味検査)、外観検査が終了したのち、缶容器2の例えば底部(缶底)など所定の印字面に必要な情報が印字される。
【0024】
生産検査装置106は、例えばX線検査部107aで缶容器2にX線を照射して飲料の充填量を検査する。また、生産検査装置106は、缶容器2の外観を撮像装置108aで撮像し、撮像した画像(光学画像)と予め登録してある基準の印字情報とのマッチングによって、主に外観の汚れ、印刷ずれ、ラベルの貼り付け位置ずれなど、外観の異常の有無を検査する。なお、撮像装置108aとしては、例えば、CCD(Charge Coupled Device)カメラやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラを利用することができる。なお、光学画像は、CCDやCMOSなどの撮像素子で光学的に撮像した画像を示す。
【0025】
また、生産検査装置106は、例えばインクジェットプリンタなどの印字装置で、缶容器2の缶底の表面に、製造ロット番号、製造工場、製造年月日、賞味期限(消費期限)など、必要な情報を文字情報として印字する。以下、これらの情報をまとめて製品情報2cと称する。
製品情報2cは、生産単位(例えば、製造ロット)ごとに統一されて飲料に付与される情報(第3情報)であり、製造装置10の運用を管理する運用管理者や消費者13(図1参照)が直接視認できることが好ましい情報である。したがって、製品情報2cの印字には、熱硬化インク、紫外線硬化インクなど、可視光に対して不透明で視認可能なインク(可視インク)が使用される。
【0026】
そして、生産検査装置106は、缶容器2に印字された製品情報2cの印字状態を検査する。生産検査装置106は、印字した製品情報2cを光学画像として撮像装置110aで撮像し、撮像した文字情報(印字パターン)と予め登録されている基準の印字情報とのマッチングによって、印字位置のずれ、文字のかすれや印字漏れなどの印字不良等を検査する。なお、撮像装置110aは、前記したように、CCDカメラやCMOSカメラを利用することができる。
【0027】
梱包・出荷工程10eでは、飲料が充填封入された缶容器2が梱包装置111によって梱包箱2bに箱詰めされる。梱包装置111は、例えば1つまたは複数の缶容器2を吸着保持するマジックハンド111aで缶容器2を梱包箱2bに箱詰めする。その後、梱包箱2bは封印されて重量検査される。ここでは、規格外の重量の梱包箱2bが不良品と判定されて製造装置10から排斥され、良品と判定された梱包箱2bには必要な製品情報が文字情報として印字される。ここでいう製品情報は、検査工程10dで缶容器2の缶底に印字された製品情報と同じであってもよいが、缶容器2に印字される製品情報と異なった情報を含んでいてもよい。
例えば、梱包箱2bを個別に識別する梱包箱識別符号2e1が第4情報として付加されていてもよい。
【0028】
その後、梱包装置111は、梱包箱2bに印字された文字情報の状態を検査する。梱包装置111は、例えば、梱包箱2bに印字された印字情報などを光学画像として撮像装置114aで撮像し、撮像された印字パターンと予め登録されている基準の印字情報とのマッチングによって、印字位置のずれ、文字のかすれや印字漏れなどの印字不良等を検査する。なお、撮像装置114aは、前記したように、CCDカメラやCMOSカメラを利用することができる。
【0029】
さらにその後、倉入工程10fに進み、缶容器2が箱詰めされた梱包箱2bは倉入装置115によってパレット単位2eにまとめられ、流通倉庫11(図1参照)に搬送される。
【0030】
パレット単位2eは所定数の梱包箱2bが集められた単位(ユニット)であり、缶容器2に充填封入される商品の種類、流通量、流通倉庫11(図1参照)の大きさ等によって、1つのパレット単位2eを構成する梱包箱2bの数は適宜決定される。そして、パレット単位2eごとにパレット識別符号2e2が付与される。パレット識別符号2e2は、梱包箱2bに印字される必要はないが、梱包箱2bに印字する構成であってもよい。パレット識別符号2e2は、パレット単位2eを識別するための符号であってパレット単位2eごとに個別に付与される。
【0031】
そこで、例えば、倉入装置115は梱包装置111で梱包箱2bに印字された梱包箱識別符号2e1を読み取るとともに、パレット単位2eに付与するパレット識別符号2e2と梱包箱識別符号2e1とをリンクしたパレット管理情報を作成して管理する構成とすれば、任意のパレット単位2eに含まれる梱包箱2bを管理することができる。
なお、一例として、梱包装置111では、梱包箱識別符号2e1をバーコードで梱包箱2bに印字し、倉入装置115にバーコードリーダを備える構成にすれば、パレット管理情報を作成する倉入装置115を簡単な構成にすることができる。
【0032】
製造装置10に備わる生産装置(搬送装置100、充填装置102、滅菌装置105、生産検査装置106、梱包装置111、および倉入装置115をまとめて生産装置と称する)は、例えばイーサネット(登録商標)規格の生産設備ネットワークNE2を介して生産設備管理システム4と接続され、各工程における生産状態を示す情報(生産情報)や検査結果等の情報(検査情報)を第2情報として送信可能に構成される。
例えば、倉入装置115が作成するパレット管理情報を生産設備管理システム4に送信する構成とすれば、パレット管理情報を生産設備管理システム4で管理できる。
【0033】
また、製造装置10に備わる検査装置は、例えばイーサネット規格の画像収集ネットワークNE1を介して、各検査装置が検査情報(第2情報)として撮像する検査画像を収集する検査画像収集システム3と接続され、缶容器2の検査時の画像を送信可能に構成される。このため、検査装置はそれぞれ、缶容器2の検査状態を検査画像として撮像するための撮像装置が備わることが好ましい。
ここでいう検査装置は、生産装置のうち、缶容器2や梱包箱2bを検査する機能を有する装置を示し、本実施形態においては、充填装置102、生産検査装置106、および梱包装置111を示すものとする。
【0034】
図3に示すように、生産設備管理システム4は、生産装置から送信される情報を受信するシステムサーバ40aと、生産装置から送信される情報のうち、飲料が充填封入された缶容器2(図2参照)や缶容器2が箱詰めされた梱包箱2b(図2参照)の検査結果に基づく情報を、検査情報としてデータベース化して保存する生産情報保存装置(生産検査情報DBサーバ40b)と、製造装置10(図2参照)の運用管理者等が製造装置10の状態を監視するとともに必要に応じて遠隔操作するための監視卓40c、監視用モニタ40dを含んで構成される。
なお、ここでいう検査結果に基づく情報は、具体的には、後記する缶容器2の個体識別情報を検査結果にリンクした情報を示す。
【0035】
また、検査画像収集システム3は、全画像収集ネットワークレコーダ30a、検査画像保存DBサーバ30b、検査実績保存DBサーバ30c、画像トレース編集サーバ30d、およびネットワークサーバ30eを含んで構成される。
【0036】
全画像収集ネットワークレコーダ30aは、製造装置10(図2参照)に備わる検査装置から検査情報として送られる検査画像を静止画像として保存(蓄積)する画像保存装置であって、例えば、各検査装置から送信される検査画像を「JPEG」などの画像データに変換して蓄積する記録装置である。
【0037】
検査画像保存DBサーバ30bは、全画像収集ネットワークレコーダ30aが蓄積する検査画像に基づく情報をデータベース化して管理する画像管理装置(サーバ)である。
なお、ここでいう検査画像に基づく情報は、具体的には、後記する缶容器2の個体識別情報を、検査画像を示す情報にリンクした情報を示す。
検査実績保存DBサーバ30cは、生産設備管理システム4の生産検査情報DBサーバ40bがデータベース化して保存する検査結果に基づく情報を取得して保存する検査実績管理装置(サーバ)である。
画像トレース編集サーバ30dは、運用管理者等の操作によって、検査画像保存DBサーバ30bが保存する検査画像および検査実績保存DBサーバ30cが保存する検査結果に基づく情報を、検査情報として検索して表示するサーバである。
検査画像保存DBサーバ30b、検査実績保存DBサーバ30cの詳細は後記する。
【0038】
なお、検査画像収集システム3の、全画像収集ネットワークレコーダ30a、検査画像保存DBサーバ30b、検査実績保存DBサーバ30c、および画像トレース編集サーバ30dは、例えばイーサネット規格の検査情報活用ネットワークNE3で接続され、生産設備管理システム4のシステムサーバ40a、生産検査情報DBサーバ40b、監視卓40c、および監視用モニタ40dは、例えばイーサネット規格の生産設備情報ネットワークNE4で接続される。そして、検査情報活用ネットワークNE3と生産設備情報ネットワークNE4が接続される。
この構成によって、検査画像収集システム3と生産設備管理システム4の間で、情報の送受信が可能になる。
さらに、検査画像収集システム3の検査情報活用ネットワークNE3は、ネットワークサーバ30eを介してデータセンタ15と接続される。
【0039】
データセンタ15は、後記する個別管理情報と検査画像を保存する設備であり、大容量のストレージ装置15bを備えている。また、データセンタ15にはネットワークサーバ15aが備わり、ネットワークサーバ15aと検査画像収集システム3のネットワークサーバ30eとの間が、例えばイーサネット規格のデータ保存ネットワークNE5で接続される。そして、データセンタ15は、検査画像収集システム3から個別管理情報と検査画像をネットワークサーバ30e、ネットワークサーバ15aを介して取得し、ストレージ装置15bに保存する。
また、データセンタ15のネットワークサーバ15aは、インターネットINETなど、広く開放されたネットワークに接続されている。
【0040】
本実施形態においては、画像収集ネットワークNE1、生産設備ネットワークNE2、検査情報活用ネットワークNE3、生産設備情報ネットワークNE4、データ保存ネットワークNE5を独立したネットワークで構築したが、これは各ネットワークの負荷を分散して、特定のネットワークに過大な負荷がかかることを防ぐことを目的とする。したがって、例えば負荷の軽いネットワークを適宜統合して製造装置10(図2参照)を構成してもよい。
【0041】
そして、本実施形態に係る製造装置10(図2参照)では、缶容器2(図2参照)を単体で個別管理している。例えば、製造装置10に備わる検査装置のうち、缶容器2を個別検査する検査装置は、缶容器2に検査結果をリンクして検査実績データを作成するように構成される。
なお、ここでいう検査装置は、缶容器2を単体で検査する機能を有する充填装置102(図2参照)と生産検査装置106(図2参照)を示し、以下、これらの検査装置(缶容器2を個別検査する検査装置)をまとめて缶容器検査装置と称する。
【0042】
具体的に、図2に示す製造装置10の缶容器検査装置は、検査対象となる缶容器2を個体識別情報によって個別で識別し、さらに、当該缶容器2に対する検査結果に個体識別情報をリンクした検査実績データを、缶容器2の個別管理情報として作成する。
そして製造装置10は、缶容器検査装置で検査実績データ(個別管理情報)を作成することによって、缶容器2を単体で個別管理する。
【0043】
このため、本実施形態に係る缶容器2には、個体を識別するための個体識別情報が第1情報として個別に付与されていることが好ましく、さらに、付与された個体識別情報が缶容器2に印字されていることが好ましい。
【0044】
缶容器2に付与される個体識別情報は、例えば、缶容器2の製造番号や個体番号である。このような個体識別情報は、缶容器2の製造段階で付与されて印字されることが好ましいが、製造装置10(図2参照)で、充填工程10bより上流で缶容器2に個体識別情報を付与して印字する構成であってもよい。
このような構成の場合、充填装置102よりも上流に、図示しない個体番号付与装置と印字装置が備わることが好ましい。
【0045】
そして、缶容器2の個体識別情報(製造番号または個体番号)を、例えば二次元コード化した記号(識別情報記号)が、可視光に対して透明で消費者13(図1参照)が可視光下で視認不可能な不可視インク(ステルスインク)で缶容器2の底部(缶底)など、所定の印字面に印字されていることが好ましい。
ステルスインクは、例えば、紫外線が照射されたときに発光して可視化し、可視光下では消費者13が視認することができない性質のインクであればよい。
【0046】
例えば、図4の(a)に示すように、搬送装置100に印字装置100aが備わり、缶容器2ごとに個体識別情報(第1情報)を付与するとともに、付与した個体識別情報を、例えば二次元コードにコード化した識別情報記号2dを、ステルスインクで缶容器2の缶底に印字する構成とすることができる。
このように識別情報記号2dをステルスインクで印字することによって、缶容器2の外観(印刷図柄等)を損なうことなく、識別情報記号2dを印字できる。
【0047】
缶容器2は略円筒形であり、製造装置10(図2参照)で缶容器2は、転がりながらコンベア装置10g(図2参照)で搬送される。例えば、識別情報記号2dを読み取る読取装置が缶容器2の側面と対面するように配置される場合、缶容器2が識別情報記号2dの読取装置の位置にあるとき、缶容器2の側面の任意の位置が読取装置に対面する。したがって、識別情報記号2dが缶容器2の側面に印字されている場合、識別情報記号2dの読取装置に識別情報記号2dを対面させる必要があり、そのための装置が必要になる。
または、識別情報記号2dの読取装置が、缶容器2の側面から識別情報記号2dを抽出する機能を備える必要がある。いずれにしても、製造装置10や識別情報記号2dの読取装置の構成が複雑になる。
【0048】
これに対し、コンベア装置10g(図2参照)で搬送される缶容器2の缶底を所定の方向に向けることは容易であり、識別情報記号2dの読取装置に缶底を対面させることは容易である。したがって、缶容器2の缶底に印字された識別情報記号2dと読取装置を容易に対面させることができ、製造装置10や識別情報記号2dの読取装置を簡単な構成とすることができる。
【0049】
また、前記したように缶容器2は転がりながら製造装置10(図2参照)を搬送されることから、円形の缶底は周方向に回転する。したがって、識別情報記号2dが缶底の中心部からずれた周縁部に印字されていると、識別情報記号2dの読取装置は、識別情報記号2dを抽出するための画像処理が必要になる。
これに対し、図4の(b)に示すように缶容器2の缶底の略中心部に識別情報記号2dが印字されていると、識別情報記号2dを読み取る読取装置は、識別情報記号2dを抽出する画像処理をすることなく、常に缶底の中心部から識別情報記号2dを読み取ることができる。
以上の理由によって識別情報記号2dは、図4の(b)に示すように、所定の印字面を缶容器2の缶底とし、缶底の略中心部に印字されることが好ましい。
【0050】
また、図2に示す検査工程10dでは、缶容器2の缶底に製品情報2cが印字される。このとき、製品情報2cは、図4の(c)に示すように、識別情報記号2dと互いに重なる部分を有するように上書きされる。検査工程10dで製品情報2cの印字に使用されるインクは、前記したように、熱硬化インク、紫外線硬化インクなどの可視インクであり、消費者13(図1参照)等が製品情報2cを視認可能に構成される。
【0051】
識別情報記号2dが可視インクで印字されると、図4の(c)に示すように製品情報2cと識別情報記号2dが重る部分は、消費者13(図1参照)等が製品情報2cを識別することが困難になる。また、可視光下で読取装置が識別情報記号2dを識別することが困難になり、読み取りのエラー発生率が高くなることが予測される。
【0052】
これに対し、識別情報記号2dがステルスインクで印字されると、可視光下で消費者13(図1参照)等は識別情報記号2dを視認することができず、図4の(d)に示すように、製品情報2cのみ視認することができる。したがって、消費者13等は、賞味期限等を含む製品情報2cを容易に読み取ることができる。
また、例えば紫外線の照射で発光するステルスインクとすると、可視光を遮光した環境で紫外線を照射することで識別情報記号2dのみ発光させることができ、読取装置が識別情報記号2dを容易に識別することが可能で、読み取りのエラー発生率を低く抑えることができる。
以上の理由によって、識別情報記号2dはステルスインクで印字されることが好ましい。
【0053】
そして、本実施形態に係る製造装置10(図2参照)は、図4の(b)に示すようにステルスインクで識別情報記号2dが印字された缶容器2に商品である飲料を充填封入して缶入飲料を生産する装置とし、製造装置10の缶容器検査装置は、缶容器2に印字された識別情報記号2dを読み取り可能に構成される。
【0054】
例えば、充填装置102(図2参照)には、缶容器2(図2参照)をバルブ入味検査するため、図5に示すように構成されるバルブ入味検査装置104が備わる。そして、バルブ入味検査装置104は、識別情報記号2d(図4の(b)参照)の読取装置として、図5に示すように構成される個体管理部20を備える。
バルブ入味検査装置104の個体管理部20は、缶容器2の缶底に向かって紫外線を照射する紫外線照射手段(照明装置20a)と、照明装置20aから照射される紫外線で発光する二次元コードを読み取るバーコードリーダ(高速BCR20b)と、を含んで構成され、ステルス印字読取部20dによって制御される。
【0055】
照明装置20aは、例えば、可視光が遮光された暗室の内部で紫外線を照射するように構成され、高速BCR20bは、暗室の内部で発光する識別情報記号2d(図4の(b)参照)を読み取るように構成される。さらに、缶容器2はコンベア装置10gによって暗室の内部に搬送されるように構成される。
【0056】
また、個体管理部20は、缶容器2が照明装置20aに到達したことを検出する着荷センサ20cを備え、着荷センサ20cが缶容器2を検出すると、バルブ入味検査装置104を制御する制御部20eは、着荷センサ20cが缶容器2を検出したことをステルス印字読取部20dに通知する。
ステルス印字読取部20dは、照明装置20aを駆動して紫外線を照射し、高速BCR20bは、紫外線によって発光する識別情報記号2d(図4の(b)参照)を読み取ってステルス印字読取部20dに通知する。なお、照明装置20aはバルブ入味検査装置104の作動時は常時紫外線を照射するように構成されていてもよい。
【0057】
ステルス印字読取部20dは、高速BCR20bから通知された識別情報記号2d(図4の(b)参照)を解析して缶容器2の個体識別情報を抽出し、制御部20eに通知する。
この構成によって、制御部20eはバルブ入味検査装置104で検査される缶容器2の個体識別情報を取得できる。つまり、缶容器2の個体を識別できる。
【0058】
高速BCR20bが識別情報記号2d(図4の(b)参照)を読み取った後、缶容器2はX線検査部104aに搬送される。X線検査部104aに備わる着荷センサ104dが缶容器2を検出すると、制御部20eはX線検査部104aを制御するバルブ入味検査部104cに、着荷センサ104dが缶容器2を検出したことを通知する。
バルブ入味検査部104cは、X線検査部104aに備わるX線照射装置104bを駆動して缶容器2にX線を照射し、缶容器2における飲料の充填量を検査する。そして、飲料の充填量が規定の範囲内にあるときは良品(GOOD)と判定し、飲料の充填量が規定の範囲内にない場合は不良品(NG)と判定する。
【0059】
そして、バルブ入味検査部104cは判定結果(検査結果)を制御部20eに通知する。制御部20eは、バルブ入味検査部104cが缶容器2を不良品(NG)と判定した場合は、そのことを、着荷センサ20hが缶容器2を検出したときに排斥制御部20fに通知する。排斥制御部20fは排斥装置20gを駆動して缶容器2を排斥ライン10hに導いてコンベア装置10gから排斥する。この構成によって、飲料の充填量が規定の範囲内にない缶容器2を排斥できる。
【0060】
一方、バルブ入味検査部104cで良品(GOOD)と判定された缶容器2は、コンベア装置10gによって滅菌装置105(図2参照)に導入されて滅菌工程10c(図2参照)が実行される。
【0061】
なお、バルブ入味検査装置104は、缶容器2の飲料の充填量と予め設定される基準充填量との誤差を計測し、その計測結果を検査結果として取得する構成であってもよい。この場合、バルブ入味検査部104cは、飲料の充填量が基準充填量より少ない缶容器2(すなわち、マイナス誤差の缶容器2)を不良品と判定する。さらに、基準充填量との誤差の計測結果を検査結果として制御部20eに通知する。
【0062】
また、例えばX線検査部104aは、X線照射装置104bが缶容器2にX線を照射したときに得られるX線画像(検査画像)を例えばJPEGなどの画像データに変換し、判定結果などの検査結果とともに制御部20eに送信するように構成される。
X線検査部104aが撮像する検査画像は、例えば、図6の(a)に示すように、缶容器2に充填されている飲料(斜線で示す)の状態を撮像した画像(バルブ入味検査画像104f)であり、例えば、基準充填量「0」に対する誤差を示す構成が好ましい。さらに、制御部20e(図5参照)では、バルブ入味検査画像104fを示す情報として、個別に画像番号104f1を付与することが好ましい。
【0063】
制御部20e(図5参照)は、バルブ入味検査部104c(図5参照)から通知された判定結果や誤差の計測結果(検査結果)にステルス印字読取部20d(図5参照)から通知された個体識別情報をリンクし、個別管理情報として検査実績データ(バルブ入味検査実績データ)を作成する。
バルブ入味検査実績データは、図6の(b)に示すように、例えば「A」、「B」、「C」という個体識別情報が付与された缶容器2(図5参照)の判定結果(「GOOD」または「NG」)や誤差の計測結果を示すマップ、つまり、缶容器2の検査結果に個体識別情報をリンクするマップである。
【0064】
そして、制御部20e(図5参照)は、作成したバルブ入味検査実績データを、生産設備ネットワークNE2を介して生産設備管理システム4(図5参照)に送信する。
生産設備管理システム4は、送信されたバルブ入味検査データを生産検査情報DBサーバ40b(図3参照)で保存する。
この構成によって、製造装置10(図2参照)は、バルブ入味検査装置104(図5参照)が作成する、缶容器2のバルブ入味検査実績データを生産設備管理システム4で保存(管理)できる。
【0065】
また、図5に示す検査画像出力部20kは、例えば制御部20eから、缶容器2の個体識別情報を取得するとともに、X線検査部104aが撮像したバルブ入味検査画像104fの画像番号104f1(図6の(a)参照)に、取得した個体識別情報をリンクし、個別管理情報として検査画像データ(バルブ入味検査画像データ)を作成して、バルブ入味検査画像104fとともに画像収集ネットワークNE1を介して検査画像収集システム3に送信する。
バルブ入味検査画像データは、図6の(c)に示すように、例えば「A」、「B」、「C」という個体識別情報が付与された缶容器2(図5参照)を撮像したバルブ入味検査画像104fの画像番号104f1(図6の(a)参照)を示すマップ、つまり、検査画像の画像番号に缶容器2の個体識別情報をリンクするマップである。
【0066】
検査画像収集システム3の全画像収集ネットワークレコーダ30a(図3参照)は、検査画像出力部20kから送信されたバルブ入味検査画像104f(図6の(a)参照)を蓄積して保存し、検査画像保存DBサーバ30b(図3参照)は、図6の(c)に示すバルブ入味検査画像データをデータベース化して保存(管理)する。
【0067】
また、検査実績保存DBサーバ30c(図3参照)は、生産設備管理システム4の生産検査情報DBサーバ40b(図3参照)に送信されたバルブ入味検査実績データ(図6の(b)参照)を取得してデータベース化して保存(管理)する。
この構成によって、製造装置10(図2参照)は、バルブ入味検査実績データとバルブ入味検査画像データ(図6の(c)参照)を個別管理情報として検査画像収集システム3で保存(管理)できる。
【0068】
なお、図5の符号20iは、排斥確認センサであり、不良品と判定された缶容器2が排斥ライン10hを通過したことを検出するセンサである。また、符号20jはタッチパネルであり、例えば、製造装置10(図2参照)の運用管理者が、必要な情報を制御部20eに入力するためのインタフェースである。
【0069】
この構成によると、製造装置10(図2参照)の運用管理者等は、缶容器2の個体識別情報をキーとして、検査実績保存DBサーバ30c(図3参照)に保存されるバルブ入味検査実績データ(図6の(b)参照)と全画像収集ネットワークレコーダ30aを介して検査画像保存DBサーバ30b(図3参照)に保存されるバルブ入味検査画像データ(図6の(c)参照)を検索して取り出すことができる。
つまり、製造装置10の運用管理者は必要に応じて任意の缶容器2のバルブ入味検査実績データとバルブ入味検査画像データを検索して、例えば、画像トレース編集サーバ30d(図3参照)で確認できる。
【0070】
なお、バルブ入味検査実績データ(図6の(b)参照)のみを作成し、缶容器2(図2参照)の個体識別情報に判定結果や誤差の計測結果をリンクして管理する構成であってもよい。この構成によると、製造装置10(図2参照)の運用管理者は、バルブ入味検査実績データのみ検索できる。
または、バルブ入味検査画像データ(図6の(c)参照)のみを作成し、缶容器2の個体識別情報にバルブ入味検査画像104f(図6の(a)参照)のみをリンクして管理する構成であってもよい。この構成によると、製造装置10の運用管理者は、バルブ入味検査画像データのみ検索できる。
【0071】
また、生産検査装置106(図2参照)に備わり、X線検査部107a(図2参照)を有して製品入味検査する製品入味検査装置(図示せず)を、図5に示すバルブ入味検査装置104と同等に構成することができる。すなわち、判定結果や誤差の測定結果を含む検査結果に個体識別情報をリンクした検査実績データ(製品入味検査実績データ)を作成して生産設備ネットワークNE2を介して生産設備管理システム4(図3参照)に送信するとともに、検査画像を示す情報(画像番号)に個体識別情報をリンクした検査画像データ(製品入味検査画像データ)を作成して画像収集ネットワークNE1を介して検査画像収集システム3に送信する構成とすればよい。
【0072】
さらに、検査画像収集システム3の検査実績保存DBサーバ30c(図3参照)は、生産設備管理システム4の生産検査情報DBサーバ40b(図3参照)から製品入味検査実績データを取得して保存する。製品入味検査実績データは、例えば、図6の(b)に示すバルブ入味検査実績データと同様に、判定結果や誤差の測定結果(検査結果)に個体識別情報をリンクするマップとすればよい。また、製品入味検査画像データは、例えば、図6の(c)に示すバルブ入味検査画像データと同様に、製品入味検査装置が撮像したX線画像(製品入味画像)の画像番号に個体識別情報をリンクするマップとすればよい。
【0073】
また、生産検査装置106(図2参照)に備わり、撮像装置108a(図2参照)を有して缶容器2の外観を検査する外観検査装置(図示せず)は、例えば、外観検査の判定結果(「GOOD」または「NG」)に個体識別情報をリンクして検査実績データ(外観検査実績データ)を作成して生産設備ネットワークNE2を介して生産設備管理システム4(図3参照)に送信する。さらに、外観検査のときに撮像装置108aが撮像した光学画像(外観検査画像)に個別の画像番号を付し、この画像番号に個体識別情報をリンクして検査画像データ(外観検査画像データ)を作成し、画像収集ネットワークNE1を介して検査画像収集システム3(図3参照)に送信する構成とする。
さらに、検査画像収集システム3(図3参照)は、生産設備管理システム4(図3参照)から外観検査実績データを取得して保存する。
【0074】
外観検査実績データは、例えば、図6の(b)に示すバルブ入味検査実績データと同様に、判定結果(検査結果)に個体識別情報をリンクするマップとすればよい。なお、外観検査実績データには、誤差の項目はなくてもよい。また、外観検査画像データは、例えば、図6の(c)に示すバルブ入味検査画像データと同様に、撮像装置108a(図2参照)が撮像した外観検査画像の画像番号に個体識別情報をリンクするマップとすればよい。
【0075】
また、生産検査装置106(図2参照)に備わり、撮像装置110a(図2参照)を有して缶容器2に印字された製品情報2c(図4の(b)参照)の印字状態を検査する印字検査装置(図示せず)は、例えば、印字検査の判定結果(「GOOD」または「NG」)に個体識別情報をリンクして検査実績データ(缶印字検査実績データ)を作成して生産設備ネットワークNE2を介して生産設備管理システム4(図3参照)に送信する。さらに、印字検査のときに撮像装置110aが撮像した光学画像(缶印字検査画像)に個別の画像番号を付し、この画像番号に個体識別情報をリンクして検査画像データ(缶印字検査画像データ)を作成し、画像収集ネットワークNE1を介して検査画像収集システム3(図3参照)に送信する構成とする。
さらに、検査画像収集システム3(図3参照)は、生産設備管理システム4(図3参照)から缶印字検査実績データを取得して保存する。
【0076】
缶印字検査実績データは、例えば、図6の(b)に示すバルブ入味検査実績データと同様に、判定結果(検査結果)に個体識別情報をリンクするマップとすればよい。なお、缶印字検査実績データには、誤差の項目はなくてもよい。また、缶印字検査画像データは、例えば、図6の(c)に示すバルブ入味検査画像データと同様に、撮像装置110a(図2参照)が撮像した缶印字検査画像の画像番号に個体識別情報をリンクするマップとすればよい。
【0077】
また、生産検査装置106(図2参照)に備わって、缶容器2の内圧を検査する内圧検査装置(図示せず)は、例えば、超音波を缶容器2に当てて内圧を検査する装置で、缶容器2の内圧が所定の範囲内にあるか否かによって良品および不良品を判定する。また、内圧の基準値からの誤差を計測する構成であってもよい。
そして、本実施形態に係る内圧検査装置は、内圧検査の判定結果(「GOOD」または「NG」)および誤差の計測結果に個体識別情報をリンクして検査実績データ(内圧検査実績データ)を作成し、生産設備ネットワークNE2を介して生産設備管理システム4(図2参照)に送信する。
さらに、検査画像収集システム3(図3参照)は、生産設備管理システム4(図3参照)から内圧検査実績データを取得して保存する。
内圧検査実績データは、例えば、図6の(b)に示すバルブ入味検査実績データと同様に、判定結果や誤差の計測結果(検査結果)に個体識別情報をリンクするマップとすればよい。
なお、内圧検査装置は検査画像データを作成せず、検査実績データ(内圧検査実績データ)のみを作成する缶容器検査装置となる。
【0078】
以上のように、缶容器検査装置には、検査実績データと検査画像データを作成する、バルブ入味検査装置104(図5参照)、製品入味検査装置(図示せず)、外観検査装置(図示せず)、および印字検査装置(図示せず)と、検査実績データのみを作成する内圧検査装置(図示せず)と、が含まれる。
【0079】
また、検査画像データを作成する装置には、バルブ入味検査装置104(図5参照)、製品入味検査装置(図示せず)などX線画像を検査画像とする装置と、外観検査装置(図示せず)、印字検査装置(図示せず)など光学画像を検査画像とする装置と、が含まれる。
【0080】
また、例えば、缶容器2(図2参照)に混入する異物をX線照射によって検査する図示しない異物検査装置が備わる場合、X線が缶容器2に照射されたときに得られるX線画像を検査画像とし、さらに、缶容器2内部に異物が混入している(NG)か、していない(GOOD)か、を判定した判定結果を検査結果とすることができる。
この場合も、X線画像(検査画像)に固有の画像番号を付すとともに、缶容器2の個体識別情報と当該画像番号をリンクした異物検査画像データと、個体識別情報と検査結果をリンクした異物検査実績データと、を作成して管理できる。
【0081】
このように、図2に示す製造装置10は、缶容器2に関する検査実績データ(個別管理情報)を、缶容器2ごとに生産設備管理システム4と画像収集システム3で保存(管理)できる。
また、缶容器検査装置が撮像する検査画像に缶容器2の個体識別情報をリンクして缶容器2ごとの検査画像データ(個別管理情報)を作成し、画像収集システム3で保存(管理)できる。
【0082】
そして、データセンタ15(図3参照)は、画像収集システム3で保存する検査実績データ(個別管理情報)、検査画像データ(個別管理情報)および検査画像を取得してストレージ装置15bで保存するように構成される。
そこで、缶容器検査装置、生産設備管理システム4(図3参照)、画像収集システム3(図3参照)、およびデータセンタ15(図3参照)を個別情報管理装置と称すると、本実施形態に係る商品管理システム1(図1参照)は、缶容器2の個体識別情報と検査結果がリンクした検査実績データと、個体識別情報と検査画像がリンクした検査画像データと、からなる個別管理情報を作成して保存する個別情報管理装置を備えることになる。
【0083】
また、本実施形態に係る製造装置10(図2参照)は、梱包装置111(図2参照)に備わって缶容器2(図2参照)を梱包箱2b(図2参照)に箱詰めするケーサ112(図7の(a)参照)に識別情報記号2d(図4の(b)参照)を読み取る個体管理部112bを備える構成としてもよい。
個体管理部112bは、図5に示すバルブ入味検査装置104の個体管理部20と同等の構成であり、照明装置112c、高速BCR112d、着荷センサ112eを備えて構成され、ステルス印字読取部112fによって制御される。
【0084】
また、ケーサ112には、缶容器2を梱包箱2bに箱詰めする箱詰装置112gが備わる。箱詰装置112gは、例えば、複数(図7の(a)には3つを図示)のマジックハンド112aで缶容器2を梱包箱2bに箱詰めする装置である。
なお、符号112hは、缶容器2が箱詰装置112gに到達したことを検出する着荷センサである。
【0085】
着荷センサ112eが缶容器2を検出すると、ケーサ112を制御する制御部112iは、着荷センサ112eが缶容器2を検出したことをステルス印字読取部112fに通知する。
ステルス印字読取部112fは照明装置112cを駆動して紫外線を照射し、高速BCR112dは、紫外線の照射によって発光する識別情報記号2d(図4の(b)参照)を読み取ってステルス印字読取部112fに通知する。
【0086】
ステルス印字読取部112fは、高速BCR112dから通知された識別情報記号2dを解析して缶容器2の個体識別情報を抽出し、制御部112iに通知する。
この構成によって、制御部112iはケーサ112で梱包箱2bに箱詰めされる缶容器2の個体識別情報を取得できる。
前記したように、梱包装置111では梱包箱2bごとに梱包箱識別符号2e1を付与することから、制御部112iが取得した個体識別情報(例えば、「A」、「B」、「C」)と梱包箱識別符号2e1(例えば、「BOX1」、「BOX2」、「BOX3」)をリンクして、例えば図7の(b)に示すような梱包実績データを作成する構成とすれば、制御部112iは、梱包箱2bに箱詰めされた缶容器2を管理できる。さらに、梱包実績データを生産設備管理システム4に通知する構成とすれば、製造装置10(図2参照)は、1つの梱包箱2bに箱詰めされている缶容器2の個体識別情報を生産設備管理システム4で管理できる。
【0087】
前記したように、パレット単位2eを識別するパレット識別符号2e2(図2参照)がパレット単位2eごとに付与され、生産設備管理システム4では、パレット管理情報によってパレット識別符号2e2に梱包箱識別符号2e1をリンクして管理できる。さらに、梱包実績データを作成して管理すると、生産設備管理システム4は、梱包実績データとパレット管理情報とに基づいて、缶容器2の個体識別情報にパレット識別符号2e2をリンクして管理できる。換言すると、生産設備管理システム4は、任意の個体識別情報を有する缶容器2が含まれるパレット単位2eを識別できる。
【0088】
そして、生産設備管理システム4の例えばシステムサーバ40a(図3参照)が、図7の(c)に示すように、パレット識別符号2e2に缶容器2の個体識別情報をリンクしたマップ(パレット情報)を生産実績データとして作成して保存する構成とすれば、生産設備管理システム4はパレット情報を参照することによって、任意の缶容器2が含まれるパレット単位2eを特定できる。このことによって、生産設備管理システム4は、生産実績管理装置として機能する。
さらに、データセンタ15のネットワークサーバ15a(図3参照)が検査画像収集システム3を経由して生産設備管理システム4から梱包実績データおよびパレット情報を取得し、ストレージ装置15b(図3参照)に保存するように構成すると、梱包実績データおよびパレット情報をデータセンタ15(図3参照)で管理できる。
【0089】
以上のように、本実施形態に係る製造者1a(図1参照)は製造装置10(図1参照)で缶容器2(図1参照)に商品としての飲料を充填封入し、最終製品としての缶入飲料を製造する。そして、飲料が充填封入された缶容器2を梱包箱2b(図1参照)に箱詰めし、パレット単位2e(図1参照)で出荷して、流通倉庫11(図1参照)で保管する。
さらに、個別管理情報(検査実績データおよび検査画像データ)と梱包実績データ(図7の(b)参照)とパレット情報(図7の(c)参照)を作成して、検査画像収集システム3(図3参照)、生産設備管理システム4(図3参照)、およびデータセンタ15(図3参照)に保存する。
【0090】
そして、図1に示すように、流通倉庫11でパレット単位2eごとに保管される缶容器2は、例えば複数の販売店12からの注文に応じて搬出され、販売店12に納品される。このとき、1つのパレット単位2eにまとめられていた梱包箱2bは分散し、それぞれの販売店12が要求する数の梱包箱2bが納品される。したがって、製造装置10で1つのパレット単位2eに集められた梱包箱2bが、複数の販売店12(例えば、販売店A12a、販売店B12b)に分散されて納品される。
さらに、1つの販売店12には、異なるパレット単位2eで管理されていた梱包箱2bが混在する。
そして、販売店A12aや販売店B12bで、缶容器2は単体で販売され、消費者13は、例えば、販売店A12aで缶容器2を単体で購入する。
【0091】
なお、梱包箱2bが製造装置10から出荷されるとき、流通倉庫11に搬入されるときおよび流通倉庫11から搬出されるとき、販売店12に納品されるとき、の各タイミングで梱包箱識別符号2e1が読み取られて、例えばインターネットINETや他のデータ伝送経路(電話回線等)を介して製造装置10に送信される構成が好ましい。このように構成することによって、例えば製造装置10の運用管理者は、梱包箱2bの流通過程をパレット単位2eで追跡することができる。
【0092】
その後、図1に示すように、消費者13が、購入した缶容器2の不具合を訴えて製造者1aが設置するサービス窓口14に缶容器2を返送したとき、サービス窓口14の担当者は缶容器2に付与されている個体識別情報を読み取り、読み取った個体識別情報をキーとして抽出される検査実績データと検査画像データをデータセンタ15から取り出し、さらに、取り出した検査画像データに含まれる画像番号104f1(図6の(a)参照)が付与された検査画像を取り出す。
そのため、サービス窓口14には、識別情報記号2d(図4の(b)参照)の読取装置14aが備わっている。読取装置14aは、例えば、バルブ入味検査装置104(図5参照)に備わる個体管理部20と同等に、照明装置14a1と高速BCR14a2とを含んで構成される。
さらに、サービス窓口14には、インターネットINETと接続される商品管理端末装置(商品管理サーバ14b)が備わっている。商品管理サーバ14bと読取装置14aは接続され、読取装置14aが読み取る識別情報記号2dを商品管理サーバ14bが取得可能に構成される。
【0093】
読取装置14aは、例えばサービス窓口14の担当者の操作によって起動して照明装置14a1が缶容器2の缶底に紫外線を照射し、発光した識別情報記号2d(図4の(b)参照)を高速BCR14a2が読み取って商品管理サーバ14bに通知する。
商品管理サーバ14bは通知された識別情報記号2dを解析して缶容器2の個体識別情報を抽出する。
【0094】
そして、サービス窓口14の商品管理サーバ14bは、インターネットINETを介してデータセンタ15のネットワークサーバ15aと接続可能に構成され、さらに、ストレージ装置15bに保存される個別管理情報(検査実績データ、検査画像データ)、検査画像、梱包実績データ(図7の(b)参照)、およびパレット情報(図7の(c)参照)を受信(ダウンロード)可能に構成される。
以下、梱包実績データとパレット情報を合わせて梱包情報と称する。
【0095】
また、例えば、データセンタ15のネットワークサーバ15aがデータベースサーバとして機能する場合、サービス窓口14の担当者は、缶容器2の個体識別情報をキーとして、缶容器2の検査実績データと検査画像データと検査画像と梱包実績データとパレット情報を検索できる。
【0096】
具体的に、サービス窓口14の担当者の操作によって読取装置14aが缶容器2から読み取る識別情報記号2d(図4の(b)参照)に基づいて商品管理サーバ14bが抽出する個体識別情報が、インターネットINETを介してネットワークサーバ15aに送信されると、ネットワークサーバ15aは、送信された個体識別情報が検査情報(検査結果と検査画像)にリンクして作成された個別管理情報(検査実績データと検査画像データ)をストレージ装置15bから取り出して商品管理サーバ14bにインターネットINETを介して送信する。
同様にネットワークサーバ15aは、送信された個体識別情報がパレット識別符号2e2(図2参照)にリンクして作成された梱包実績データとパレット情報をストレージ装置15bから取り出してサービス窓口14の商品管理サーバ14bにインターネットINETを介して送信する。
また、データセンタ15のネットワークサーバ15aは、商品管理サーバ14bに送信する検査画像データに含まれる画像番号を抽出して当該画像番号が付与された検査画像をストレージ装置15bから取り出し、検査画像データと同時に商品管理サーバ14bにインターネットINETを介して送信する。
【0097】
このような構成によって、サービス窓口14の担当者は、例えば、缶容器2の個体識別情報をキーとして検査実績データと検査画像データを検索し、缶容器2に関連する検査実績データと検査画像をストレージ装置15bから抽出することができ、インターネットINETを介して商品管理サーバ14bにダウンロードできる。
また、サービス窓口14の担当者は、缶容器2の個体識別情報をキーとして梱包情報(梱包実績データとパレット情報)を検索し、缶容器2に関連する梱包情報をストレージ装置15bから抽出することができ、インターネットINETを介して商品管理サーバ14bにダウンロードできる。
【0098】
つまり、商品管理サーバ14bは商品管理端末装置として、個別情報管理装置であるデータセンタ15とインターネットINETを介して接続され、読取装置14aが読み取った缶容器2の個体識別情報をデータセンタ15に送信するとともに、当該個体識別情報がリンクした個別管理情報(検査実績データ、検査画像データ)と、検査画像と、梱包情報(梱包実績データ、パレット情報)と、をデータセンタ15から受信(ダウンロード)できる。
【0099】
そして、サービス窓口14の担当者は、例えば、商品管理サーバ14bに組み込まれるブラウザソフトによって、データセンタ15からダウンロードした個別管理情報(検査実績データ、検査画像データ)および検査画像を閲覧できる。また、ダウンロードした個別管理情報および検査画像を、必要に応じてテキストデータ、画像データ等として取得できる構成としてもよい。
また、担当者は、商品管理サーバ14bに組み込まれるブラウザソフトによって、梱包情報を閲覧し、任意の缶容器2(図1参照)が箱詰めされた梱包箱2b(図1参照)や、当該梱包箱2bが含まれるパレット単位2e(図1参照)を特定できる。
さらに、梱包情報を、必要に応じてテキストデータ等として取得できる構成としてもよい。
【0100】
例えば、図8に示すように、「A」という個体識別情報が付与された缶容器2がサービス窓口14に返送された場合、サービス窓口14では、担当者が読取装置14aで缶容器2の個体識別情報「A」を読み取る。さらに、商品管理サーバ14bからデータセンタ15のネットワークサーバ15aに、読み取った個体識別情報「A」を送信する。
【0101】
データセンタ15のネットワークサーバ15aは、送信された個体識別情報「A」をキーとして個別管理情報(検査実績データと検査画像データ)を検索し、個体識別情報「A」が検査情報(検査結果と検査画像)にリンクして作成された個別管理情報をストレージ装置15bから抽出して商品管理サーバ14bに送信する。さらに、ネットワークサーバ15aは、抽出した検査画像データに含まれる画像番号が付された検査画像をストレージ装置15bから取り出して、商品管理サーバ14bに送信する。
さらに、ネットワークサーバ15aは、送信された個体識別情報「A」をキーとして梱包実績データ(図7の(b)参照)を検索し、個体識別情報「A」が梱包箱識別符号2e1(図2参照)にリンクして作成された梱包実績データをストレージ装置15bから抽出して商品管理サーバ14bに送信する。
同様に、ネットワークサーバ15aは、送信された個体識別情報「A」をキーとしてパレット情報(図7の(c)参照)を検索し、個体識別情報「A」がパレット識別符号2e2(図2参照)にリンクして作成されたパレット情報をストレージ装置15bから抽出して商品管理サーバ14bに送信する。
【0102】
このとき、データセンタ15のネットワークサーバ15aは、個体識別情報「A」がリンクされている全ての検査実績データ(バルブ入味検査実績データ、製品入味検査実績データ、内圧検査実績データ、外観検査実績データ、缶印字検査実績データ)と検査画像データ(バルブ入味検査画像データ、製品入味検査画像データ、外観検査画像データ、缶印字検査画像データ)を抽出して商品管理サーバ14bに送信する。さらに、個体識別情報「A」がリンクされている全ての検査画像(バルブ入味検査画像、製品入味検査画像、外観検査画像、缶印字検査画像)を抽出する。そして、抽出した全ての検査実績データと検査画像データと検査画像を商品管理サーバ14bに送信する。
【0103】
サービス窓口14の担当者は、例えば、商品管理サーバ14bに組み込まれているブラウザソフトによって、データセンタ15から送信された個別管理情報(検査実績データ、検査画像データ)、検査画像、梱包情報(梱包実績データ、パレット情報)を閲覧できる。
この構成によって、サービス窓口14の担当者は、缶容器2の検査の状態および検査結果を個別に知ることができる。
また、梱包実績データを閲覧することによって、当該缶容器2が箱詰めされた梱包箱2b(図1参照)を特定することができ、パレット情報を閲覧することによって、当該缶容器2が含まれるパレット単位2e(図1参照)を特定できる。
【0104】
なお、例えばサービス窓口14の担当者が、商品管理サーバ14bにダウンロードされた検査画像データに示される画像番号をデータセンタ15のネットワークサーバ15aに送信したときに、ネットワークサーバ15aが当該画像番号が付与された検査画像をストレージ装置15bから取り出して、商品管理サーバ14bに送信する構成であってもよい。
例えば、バルブ入味検査画像のみ必要な場合、サービス窓口14の担当者はバルブ入味検査画像データに含まれる画像番号をネットワークサーバ15aに送信することで、バルブ入味検査画像のみ取得できる。
この構成によると、サービス窓口14の担当者は必要な検査画像のみを閲覧できる。また、サービス窓口14の担当者が不必要とする検査画像が送信されず、インターネットINETの負荷を軽減できる。
【0105】
例えば、消費者13が訴えた不具合が充填量の不足であった場合、サービス窓口14の担当者は、返送された缶容器2が製造装置10(図2参照)で飲料を充填している生産工程で、検査工程10d(図2参照)の終了まで規定の充填量であったか否かを確認できる。具体的に当該担当者は、データセンタ15から送信される製品入味検査画像や製品入味検査実績データによって、生産工程における充填量を確認できる。つまり、生産工程まで遡って(トレースバックして)、返送された缶容器2の充填量を確認できる。
【0106】
そして、製品入味検査画像によって、検査工程10d(図2参照)の終了時における充填量が規定量であることが確認できた場合、サービス窓口14の担当者は、流通倉庫11で保管している間等に不具合が発生して漏れなどの原因で充填量が減少したと判断できる。また、検査工程10dの終了までの間で規定の充填量を満たさないことが確認できた場合、サービス窓口14の担当者は、製造装置10の検査装置(例えば、バルブ入味検査装置104(図5参照))に不具合が発生して、充填量が規定量に満たない缶容器2を良品と判定したと判断できる。
【0107】
このように不具合の原因が特定できれば、発生した不具合を改善することで、以降、消費者13(図1参照)が訴える不具合を無くすことができる。
さらに、必要に応じて、当該缶容器2が含まれるパレット単位2eを回収することができ、以降、消費者13が訴える不具合が生じた缶容器2が他の消費者13に販売されることを防止できる。
また、サービス窓口14の担当者は、返送された缶容器2に関する必要な品質情報を消費者13や、必要に応じて販売店12(図1参照)に正確に提供できる。
【0108】
また、製造装置10(図2参照)の缶容器検査装置に異常が発生した場合、運用管理者は、異常が発生した缶容器検査装置で検査された缶容器2(図2参照)を特定できる。
例えば、バルブ入味検査装置104(図5参照)に異常が発生した場合、製造装置10の運用管理者は、個別管理情報(バルブ入味検査実績データ、バルブ入味検査画像データ)を参照して、異常が発生したバルブ入味検査装置104で入味検査された缶容器2を特定できる。
【0109】
さらに、運用管理者は、梱包箱識別符号2e1(図2参照)と缶容器2(図2参照)の個体識別情報がリンクした梱包実績データを取得可能であり、異常が発生したバルブ入味検査装置104(図5参照)で入味検査された缶容器2が箱詰めされた梱包箱2b(図1参照)を特定できる。そして、梱包箱2bの梱包箱識別符号2e1を追跡することで、異常が発生したバルブ入味検査装置104で入味検査された缶容器2を追跡(トレースフォワード)できる。
そして、当該缶容器2が箱詰めされた梱包箱2bのみを回収すれば、異常が発生したバルブ入味検査装置104で入味検査されて飲料の充填量に過不足の虞がある缶容器2を全て回収できる。
【0110】
従来、缶容器2(図1参照)には個体識別情報が付与されず、異常が発生したバルブ入味検査装置104(図5参照)で入味検査した缶容器2(図2参照)を特定することは不可能であり、当該バルブ入味検査装置104で入味検査した缶容器2を含むロットの全てを回収する必要があった。
本実施形態に係る商品管理システム1では、缶容器2(図1参照)に個体識別情報が付与されることによって、異常が発生したバルブ入味検査装置104で入味検査した缶容器2(図2参照)を特定することができ、該当する缶容器2が箱詰めされた梱包箱2bのみを回収することで、飲料の充填量に過不足の虞がある缶容器2を全て回収できる。
【0111】
このように、本実施形態に係る商品管理システム1(図1参照)では、同じ製造ロットの缶容器2を全て回収する場合に比べて回収の規模を小さくすることができ、回収に要する費用を低く抑えることができる。
【0112】
なお、缶容器2(図1参照)に識別情報記号2d(図4の(b)参照)を印字するステルスインクは紫外線が照射されると発光する性質を有するもののほか、赤外線が照射されると発光する性質を有するステルスインクを使用することも可能である。この場合、例えば、バルブ入味検査装置104の個体管理部20(図5参照)には、赤外線を照射する照明装置20a(図5参照)が備わる構成とすればよい。
【0113】
また、本実施形態は、缶容器2(図1参照)に飲料が充填封入される缶入飲料に限定されず、例えば、殺虫液や化粧液など、液体や気体の商品が缶容器や樹脂製容器に充填封入された最終製品を商品管理する商品管理システムにも適用できる。
または、固形の菓子や錠剤の薬品など、固形物の商品が樹脂製容器や箱状の容器や袋容器に封入された最終製品を商品管理する商品管理システムにも適用できる。
【0114】
さらに、本実施形態は発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。
例えば、製造装置10(図2参照)の充填装置102(図2参照)に備わり、複数のフィラーバルブ103a(図2参照)で缶容器2に飲料を充填するフィラー103(図9の(a)参照)が識別情報記号2d(図4の(b)参照)を読み取り可能に構成されていてもよい。
例えば図9の(a)に示すように、フィラー103が識別情報記号2dを読み取る個体管理部103bを備える構成であってもよい。
【0115】
個体管理部103bは、バルブ入味検査装置104の個体管理部20(図5参照)と同等の構成であり、照明装置103c、高速BCR103d、着荷センサ103eを備えて構成され、ステルス印字読取部103fによって制御される。
さらに、フィラー103には複数(図9の(a)には3つを図示)のフィラーバルブ103aが備わり、3つのフィラーバルブ103aはバルブ制御部103gによって制御される。また、複数のフィラーバルブ103aには個別のバルブ番号が付与される。例えば、図9の(a)に示すように3つのフィラーバルブ103aが備わる場合、「1」から「3」のバルブ番号が付与される。
【0116】
着荷センサ103eが缶容器2を検出すると、フィラー103を制御する制御部103hは、着荷センサ103eが缶容器2を検出したことをステルス印字読取部103fに通知する。
ステルス印字読取部103fは、照明装置103cを駆動して紫外線を照射し、高速BCR103dは、紫外線の照射によって発光する識別情報記号2d(図4の(b)参照)を読み取ってステルス印字読取部103fに通知する。
【0117】
ステルス印字読取部103fは、高速BCR103dから通知された識別情報記号2d(図4の(b)参照)を解析して缶容器2の個体識別情報を抽出し、制御部103hに通知する。
この構成によって、制御部103hはフィラー103で飲料を充填する缶容器2の個体識別情報を取得できる。
【0118】
また、バルブ制御部103gは、制御部103hから缶容器2の個体識別情報を取り出すとともに、当該缶容器2に飲料を充填するフィラーバルブ103aのバルブ番号に、取り出した個体識別情報をリンクし、例えば図9の(b)に示されるようなフィラー生産実績データ(生産実績データ)を作成して制御部103hに送信する。
制御部103hは、送信されたフィラー生産実績データを、生産設備管理システム4に通知する構成とすれば、製造装置10(図2参照)は、フィラーバルブ103aのバルブ番号に缶容器2の個体識別情報をリンクしたフィラー生産実績データを生産設備管理システム4で管理できる。
【0119】
なお、フィラーバルブ103aと同数の個体管理部103bが、各フィラーバルブ103aに対応して配置される構成であってもよい。
【0120】
また、充填装置102(図2参照)に備わり、複数のチャネルで缶容器2(図2参照)に蓋部2aを取り付けるシーマ(図示せず)において、缶容器2の個体識別情報(例えば、「A」、「B」、「C」)とシーマのチャネル番号(例えば、「1」、「2」、「3」)とをリンクし、図10の(a)に示すようなシーマ生産実績データ(生産実績データ)を作成して生産設備管理システム4(図4参照)で管理する構成としてもよい。
この場合、シーマ(図示せず)には、例えばフィラー103の個体管理部103b(図9の(a)参照)と同等の個体管理部が備わる構成とすればよい。
【0121】
そして、図9の(b)に示すフィラー生産実績データと図10の(a)に示すシーマ生産実績データとを結合し、例えば、生産設備管理システム4の生産検査情報DBサーバ40d(図3参照)が、缶容器2の個体識別情報とフィラー103のバルブ番号とシーマ(図示せず)のチャネル番号とをリンクするマップを作成する。さらに、例えば、作成したマップと図7の(b)に示す梱包実績データと結合し、図10の(b)に示すように、缶容器2の個体識別情報と、フィラー103のバルブ番号と、シーマ(図示せず)のチャネル番号と、梱包箱識別符号2e1と、をリンクしたマップを生産実績統合データ(生産実績データ)として作成するように構成する。
【0122】
そして、作成した生産実績統合データを個別管理情報としてデータベース化して保存する構成とすれば、生産設備管理システム4は、任意の缶容器2に飲料を充填したフィラー103のバルブ番号と、蓋部2a(図2参照)を取り付けたシーマ(図示せず)のチャネル番号と、当該缶容器2が箱詰めされた梱包箱2b(図1参照)と、を生産実績データ(個別管理情報)として保存(管理)できる。さらに、生産実績統合データをデータセンタ15(図3参照)のストレージ装置15b(図3参照)に送信して保存する構成とすれば、生産実績統合データをデータセンタ15に保存できる。
【0123】
このような構成によると、サービス窓口14(図1参照)の担当者は、必要に応じて缶容器2(図1参照)の個体識別情報に対応する生産実績統合データを取り出すことができる。
例えば、フィラー103(図9の(a)参照)のバルブ番号「1」のフィラーバルブ103a(図9の(a)参照)に異常が発生した場合、生産実績統合データ(図10の(b)参照)を参照して当該フィラーバルブ103aで飲料を充填した缶容器2と当該缶容器2が箱詰めされた梱包箱2b(図2参照)を特定できる。そして、特定された缶容器2が含まれる梱包箱2bを回収することで、異常が発生したフィラーバルブ103aで飲料が充填された缶容器2を回収できる。
【0124】
このような場合でも、異常が発生したフィラーバルブ103aで飲料が充填された缶容器2が含まれるロットの全てを回収するよりも回収の規模を小さくすることができ、回収に要する費用を低く抑えることができる。
【0125】
なお、図2に示す製造装置10の各生産工程の内容および配置順、各生産工程に備わる生産装置の種類や配置順は、図2に示す構成に限定されるものではなく、生産管理システム1が製造する最終製品の種類に応じて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0126】
1 商品管理システム
2 缶容器(容器)
2b 梱包箱
2e パレット単位(搬送単位)
3 画像収集システム(個別情報管理装置)
4 生産設備管理システム(個別情報管理装置、生産実績管理装置)
10 製造装置
11 流通倉庫(流通拠点)
12 販売店
14a 読取装置
14b 商品管理サーバ(商品管理端末装置)
15 データセンタ(個別情報管理装置)
30a 全画像収集ネットワークレコーダ(画像保存装置)
102 充填装置(容器を個別検査する検査装置、個別情報管理装置)
106 生産検査装置(容器を個別検査する検査装置、個別情報管理装置)
INET インターネット(ネットワーク)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造装置で容器に入れられて梱包箱に箱詰めされ、前記梱包箱が所定数集められて構成される搬送単位で前記製造装置から流通拠点まで流通し、前記流通拠点から販売拠点まで前記梱包箱を単位として流通する商品の商品管理システムであって、
前記商品が入った前記容器を個別検査する検査装置が前記容器を検査して作成する第2情報に、可視光に対して透明な不可視インクで前記容器の所定の印字面に印字されて前記容器の個体を識別する第1情報をリンクした個別管理情報を作成して保存する個別情報管理装置と、
前記販売拠点で前記梱包箱から取り出された前記容器に印字された前記第1情報を読み取る読取装置と、
前記読取装置が読み取る前記第1情報を取得可能に構成されて前記個別情報管理装置とネットワークを介して接続される商品管理端末装置と、を備え、
前記個別情報管理装置は、
前記読取装置に読み取られた前記第1情報が前記ネットワークを介して前記商品管理端末装置から送信されたときに、送信された前記第1情報が前記第2情報にリンクして作成された前記個別管理情報を前記ネットワークを介して前記商品管理端末装置に送信することを特徴とする商品管理システム。
【請求項2】
前記不可視インクは、紫外線または赤外線が照射されたときに可視化することを特徴とする請求項1に記載の商品管理システム。
【請求項3】
前記製造装置は、生産単位ごとに統一されて前記商品に付与される第3情報を、可視光に対して不透明な可視インクで前記印字面に印字することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の商品管理システム。
【請求項4】
前記生産単位は、前記商品の製造ロットであることを特徴とする請求項3に記載の商品管理システム。
【請求項5】
前記商品は飲料で、前記容器は略円筒状の缶容器で、前記印字面は前記缶容器の底部で、前記第1情報と前記第3情報は互いに重なる部分を有して前記印字面に印字されることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の商品管理システム。
【請求項6】
前記梱包箱を識別する第4情報に前記第1情報をリンクした生産実績データを作成する生産実績管理装置を有するとともに、前記個別情報管理装置が前記生産実績データを保存し、
前記個別情報管理装置は、前記商品管理端末装置から前記第1情報が送信されたときに、送信された前記第1情報が前記第4情報にリンクして作成された前記生産実績データを、前記商品管理端末装置に送信することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の商品管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−79024(P2012−79024A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222659(P2010−222659)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000233044)株式会社日立エンジニアリング・アンド・サービス (276)