説明

商品販売データ処理システムと、このシステムで使用されるハンディターミナル

【課題】前捌きシステムの長所を生かしながら、買い上げ商品の不必要な登録を防ぐ。
【解決手段】実施形態のシステムは、記録、取得、記録制御、処理、報知、読取、判定、処理制御および報知制御の各手段を含む。記録制御手段は、取得手段により一取得期間内に取得された商品識別情報と、事前登録情報を識別する識別情報とを含めた事前登録情報を記録媒体へと記録するよう記録手段を制御する。判定手段は、読取手段が読み取った事前登録情報に含まれた識別情報に基づいて、同じ事前登録情報に含まれた商品識別情報を用いた販売データの処理が既に行われたか否かを判定する。処理制御手段は、処理済みではないとの判定に応じて、読取手段が読み取った事前登録情報に含まれた商品識別情報を用いた販売データの処理を行うよう処理手段を制御する。報知制御手段は、処理済みであるとの判定に応じて、報知動作を行うように報知手段を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、商品販売データ処理システムと、このシステムで使用されるハンディターミナルとに関する。
【背景技術】
【0002】
前捌きシステムを備えたPOSシステムは知られている。
【0003】
前捌きシステムを利用した精算処理の流れは例えば以下の通りである。
【0004】
(1) 前捌き担当店員が、精算待ちしている顧客が買い上げる商品のそれぞれのPLU(price look up)コードをハンディターミナルに読み取らせる。
【0005】
(2) ハンディターミナルで読み取ったPLUコードの全てを表す二次元バーコードを含んだ事前登録券を印刷し、この事前登録券を前捌き担当店員が顧客に手渡す。
【0006】
(3) 精算の順番が来た顧客が事前登録券をレジ担当店員に手渡すと、レジ担当店員は事前登録券に印刷された二次元バーコードをPOS端末に読み取らせる。
【0007】
(4) POS端末は、二次元バーコードが表す全てのPLUコードに対応する全ての商品を精算対象として登録する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011−53842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
POS端末で同一の事前登録券が複数回読み取られた場合には、同一の買い上げ商品についての登録が重複して行われることになってしまう。
【0010】
このような事情から、前捌きシステムの長所を生かしながらも、買い上げ商品の不必要な登録を防ぐことが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態の商品販売データ処理システムは、記録手段、取得手段、記録制御手段、処理手段、報知手段、読取手段、判定手段、処理制御手段および報知制御手段を含む。記録手段は、可搬式の記録媒体に事前登録情報を記録する。取得手段は、顧客が買い上げる商品を識別するための商品識別情報を取得する。記録制御手段は、取得手段により一取得期間内に取得された商品識別情報と、事前登録情報を識別するための識別情報とを含めた事前登録情報を記録するように記録手段を制御する。処理手段は、商品の販売データを処理する。報知手段は、処理済みであることを報知するための報知動作を行う。読取手段は、記録媒体に記録された事前登録情報を読み取る。判定手段は、読取手段が読み取った事前登録情報に含まれた識別情報に基づいて、同じ事前登録情報に含まれた商品識別情報を用いた販売データの処理が既に行われたか否かを判定する。処理制御手段は、判定手段により処理済みではないと判定されたことに応じて、読取手段が読み取った事前登録情報に含まれた商品識別情報を用いた販売データの処理を行うよう処理手段を制御する。報知制御手段は、判定手段により処理済みであると判定されたことに応じて、報知動作を行うように報知手段を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】一実施形態に係る係るPOSシステムのブロック図。
【図2】商品リストエリアの構造例を模式的に示す図。
【図3】PLUファイルの一例を模式的に示す図。
【図4】取引情報ファイルの構成例を模式的に示す図。
【図5】ハンディターミナルのCPUのフローチャート。
【図6】事前登録券の一例を示す図。
【図7】POS端末のCPUのフローチャート。
【図8】一括追加処理におけるPOS端末のCPUのフローチャートおよび一括追加処理に付随する処理におけるサーバのCPUのフローチャート。
【図9】決済処理におけるPOS端末のCPUのフローチャートおよび決済処理に付随する処理におけるサーバのCPUのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下実施の形態の一例を図面を用いて説明する。なお、本実施の形態では、商品販売データ処理システムとしてPOS(point-of-sale)システムを例に説明する。
【0014】
図1は本実施形態に係るPOSシステム100のブロック図である。
【0015】
POSシステム100は、ハンディターミナル1、ポータブルプリンタ2、POS端末3、サーバ4、無線アクセスポイント(無線AP)5および通信ネットワーク6を含む。なお、ハンディターミナル1、ポータブルプリンタ2、POS端末3、サーバ4および無線アクセスポイント(無線AP)5は、複数が含まれても良い。
【0016】
ハンディターミナル1およびポータブルプリンタ2は、無線アクセスポイントを介して通信ネットワーク6にアクセス可能である。POS端末3およびサーバ4は、通信ネットワーク6にアクセス可能である。そしてハンディターミナル1、ポータブルプリンタ2、POS端末3およびサーバ4は、通信ネットワーク6を介して互いに通信可能である。通信ネットワークとしては、典型的にはLAN(local area network)やインターネットなどが利用される。
【0017】
ハンディターミナル1およびポータブルプリンタ2は、店舗の前捌き担当店員によって携帯されて使用される。ハンディターミナル1は、店舗のレジコーナーで順番待ちしている顧客が買い上げる商品のPLUコードを取得するために利用される。ポータブルプリンタ2は、ハンディターミナル1で取得されたPLUコードの全てを表した2次元コードを含む事前登録券を印刷するために利用される。POS端末3は、店舗のレジコーナーに設置され、店舗のレジ担当店員によって操作される。POS端末3は、商品販売に関する決済や管理のための各種のデータ処理を行う。つまり、POS端末3は、データ処理装置の一例である。サーバ4は、いわゆる店舗サーバまたは本部サーバである。店舗サーバは、POS端末3が設置されているのと同じ店舗に備えられるサーバ装置である。本部サーバは、POS端末3が設置されているのと同じ店舗を含んだ複数の店舗を総括する本部に備えられるサーバ装置である。サーバ4は、POS端末3で生成された商品販売データを集計したり、各POS端末装置で使用するデータを管理する。
【0018】
ハンディターミナル1は、CPU(central processing unit)1a、ROM(read-only memory)1b、RAM(random-access memory)1c、バーコードスキャナ1d、入力デバイス1e、表示デバイス1f、無線通信部1gおよびバス1hを含む。CPU1a、ROM1b、RAM1c、バーコードスキャナ1d、入力デバイス1e、表示デバイス1fおよび無線通信部1gは、いずれもバス1hに接続されている。
【0019】
CPU1aは、ROM1bおよびRAM1cに記憶されたオペレーティングシステム、ミドルウェアおよびアプリケーションプログラムに基づいて、ハンディターミナル1としての各種の動作を実現するべく各部を制御する。
【0020】
ROM1bは、上記のオペレーティングシステムを記憶する。ROM2は、上記のミドルウェアやアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。またROM2は、CPU1aが各種の処理を行う上で参照するデータを記憶する場合も有る。
【0021】
RAM1cは、CPU1aが各種の処理を行う上で参照するデータを記憶する。さらにRAM1cは、CPU1aが各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶しておく、いわゆるワークエリアとして利用される。例えばRAM1cの一部は、商品テーブルとして利用される。RAM1cは、上記のミドルウェアやアプリケーションプログラムを記憶する場合も有る。
【0022】
バーコードスキャナ1dは、バーコードを光学的に読み取り、このバーコードが表すデータを出力する。バーコードスキャナ1dは、顧客が買い上げる商品に印刷されたバーコードを読み取るために利用される。そしてこの場合にバーコードスキャナ1dが出力するデータには、PLUコードが含まれる。PLUコードは、商品を識別する商品識別情報の1つである。つまりバーコードスキャナは、取得手段として機能する。
【0023】
入力デバイス1eは、複数のキーを含み、押下されたキーに応じたコマンドを出力する。入力デバイス1eとしては、キースイッチを用いた一般的な構造のデバイスの他に、タッチセンサを用いたデバイスも適用可能である。入力デバイス1eは例えば、商品の数量を入力したり、ハンディターミナル1の動作に係わる使用者の指示を入力するために利用される。
【0024】
表示デバイス1fは、CPU1aの制御の下に任意の画像を表示可能である。表示デバイス1fとしては、液晶表示デバイスなどの各種の周知のデバイスを適用できる。表示デバイス1fは例えば、ハンディターミナル1の動作状態を使用者に対して報知するために利用される。
【0025】
無線通信部1gは、無線アクセスポイント5を介して通信ネットワーク6にアクセスする。無線通信部1gは、無線アクセスポイント5との間では無線通信を行う。無線通信部1gとしては、例えば既存の無線LAN通信デバイスを適用できる。
【0026】
ポータブルプリンタ2は、CPU2a、ROM2b、RAM2c、印刷デバイス2d、入力デバイス2e、表示デバイス2f、無線通信部2gおよびバス2hを含む。CPU2a、ROM2b、RAM2c、印刷デバイス2d、入力デバイス2e、表示デバイス2fおよび無線通信部2gは、いずれもバス2hに接続されている。
【0027】
CPU2aは、ROM2bおよびRAM2cに記憶されたオペレーティングシステム、ミドルウェアおよびアプリケーションプログラムに基づいて、ポータブルプリンタ2としての各種の動作を実現するべく各部を制御する。
【0028】
ROM2bは、上記のオペレーティングシステムを記憶する。ROM2は、上記のミドルウェアやアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。またROM2は、CPU2aが各種の処理を行う上で参照するデータを記憶する場合も有る。
【0029】
RAM2cは、CPU2aが各種の処理を行う上で参照するデータを記憶する。さらにRAM2cは、CPU2aが各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶しておく、いわゆるワークエリアとして利用される。RAM2cは、上記のミドルウェアやアプリケーションプログラムを記憶する場合も有る。
【0030】
印刷デバイス2dは、紙に対して任意の画像を印刷する。印刷デバイス2dとしては、典型的にはサーマルプリンタが適用できるが、周知の他のタイプのデバイスも適用可能である。印刷デバイス2dは、後述する事前登録券を発行するために利用される。つまり印刷デバイス2dは、記録手段として機能する。
【0031】
入力デバイス2eは、複数のキーを含み、押下されたキーに応じたコマンドを出力する。入力デバイス2eとしては、キースイッチを用いた一般的な構造のデバイスの他に、タッチセンサを用いたデバイスも適用可能である。入力デバイス2eは例えば、ポータブルプリンタ2の動作に係わる使用者の指示を入力するために利用される。
【0032】
表示デバイス2fは、CPU2aの制御の下に任意の画像を表示可能である。表示デバイス2fとしては、液晶表示デバイスなどの各種の周知のデバイスを適用できる。表示デバイス2fは例えば、ポータブルプリンタ2の動作状態を使用者に報知するために利用される。
【0033】
無線通信部2gは、無線アクセスポイント5を介して通信ネットワーク6にアクセスする。無線通信部2gは、無線アクセスポイント5との間では無線通信を行う。無線通信部2gとしては、例えば既存の無線LAN通信デバイスを適用できる。
【0034】
POS端末3は、CPU3a、ROM3b、RAM3c、補助記憶部3d、時計部3e、レシートプリンタ3f、バーコードスキャナ3g、2次元コードスキャナ3h、入力デバイス3i、操作用表示器3j、客面表示器3k、通信インタフェース(通信I/F)3mおよびバス3nを含む。CPU3a、ROM3b、RAM3c、補助記憶部3d、時計部3e、レシートプリンタ3f、バーコードスキャナ3g、2次元コードスキャナ3h、入力デバイス3i、操作用表示器3j、客面表示器3kおよび通信インタフェース3mは、いずれもバス3nに接続されている。
【0035】
CPU3aは、ROM3bおよびRAM3cに記憶されたオペレーティングシステム、ミドルウェアおよびアプリケーションプログラムに基づいて、POS端末3としての各種の動作を実現するべく各部を制御する。
【0036】
ROM3bは、上記のオペレーティングシステムを記憶する。ROM3bは、上記のミドルウェアやアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。またROM3bは、CPU3aが各種の処理を行う上で参照するデータを記憶する場合も有る。
【0037】
RAM3cは、CPU3aが各種の処理を行う上で参照するデータを記憶する。さらにRAM3cは、CPU3aが各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶しておく、いわゆるワークエリアとして利用される。RAM3cの記憶領域の一部は、商品リストエリアとして使用される。またRAM3cは、上記のミドルウェアやアプリケーションプログラムを記憶する場合も有る。
【0038】
7 図2は商品リストエリアの構造例を模式的に示す図である。
【0039】
図2に示すように商品リストエリアには、PLUコード、部門、品名、価格および数量の各情報を互いに関連付けて記憶するためのデータフィールドがそれぞれ複数づつ設けられる。かくして商品リストエリアには、PLUコードに対応して少なくとも部門、品名、価格および数量の各情報を記憶することができる。
【0040】
補助記憶部3dは、例えばハードディスクドライブやSSD(solid state drive)などであり、CPU3aが各種の処理を行う上で使用するデータや、CPU3aでの処理によって生成されたデータを保存する。補助記憶部3dに記憶されるデータには、PLUファイルを含む。PLUファイルは、POS端末3が使用される店舗で販売または提供される商品(物品またはサービス)についての情報が記述されている。また補助記憶部3dは、上記のミドルウェアやアプリケーションプログラムを記憶する場合も有る。
【0041】
図3はPLUファイルの一例を模式的に示す図である。
【0042】
図3に示すPLUファイルは、PLUコードに対応して少なくとも部門、品名および価格の各情報を含む。PLUコードは、商品のそれぞれに、それらを一意に識別可能なように付与されたコードである。部門は、関連付けられたPLUコードで識別される商品が属する部門の名称またはコードである。品名は、関連付けられたPLUコードで識別される商品の名称である。価格は、関連付けられたPLUコードで識別される商品の価格である。PLUファイルには、他の任意の情報を含むこともある。
【0043】
時計部3eは、定常的に計時動作を行い、日付および時刻を表した日時情報を生成する。
【0044】
レシートプリンタ3fは、例えばサーマルプリンタやドットインパクトプリンタなどであり、レシートを印刷する。
【0045】
バーコードスキャナ3gは、商品に印刷されたバーコードを光学的に読み取る。バーコードスキャナ3gは、読み取ったバーコードが表すデータを出力する。バーコードスキャナ3gには、固定タイプおよびハンディタイプのいずれか、またはその双方を含み得る。
【0046】
2次元コードスキャナ3hは、事前登録券に含まれる2次元コードを光学的に読み取る。2次元コードスキャナ3hは、読み取った2次元コードが表すデータを出力する。2次元コードスキャナ3hは、固定タイプおよびハンディタイプのいずれか、またはその双方を含み得る。
【0047】
入力デバイス3iは、数値入力キー、商品指定キー(PLUキー)および機能キーなどの多数のキーと、これら多数のキーの押下をそれぞれ検出するスイッチとを含む。入力デバイス3iは、キーが押下されたことに応じて、そのキーに応じたコマンドを出力する。入力デバイス3iとしては、操作用表示器3jの表示面に重ねられたタッチセンサを適用することもできる。
【0048】
操作用表示器3jは、液晶表示デバイスなどの各種の周知のデバイスを適用できる。操作用表示器3jは、CPU3aの制御の下に任意の画像を表示可能である。操作用表示器3jは、オペレータに対して提示するべき各種の情報を表した画像を表示するために利用される。
【0049】
客面表示器3kは、液晶表示デバイスや蛍光表示デバイスなどの各種の周知のデバイスを適用できる。客面表示器3kは、CPU3aの制御の下に任意の画像を表示可能である。客面表示器3kは、顧客に対して提示するべき各種の情報を表した画像を表示するために利用される。
【0050】
通信インタフェース3mは、通信ネットワーク6を介する通信のための周知の処理を行う。
【0051】
サーバ4は、CPU4a、ROM4b、RAM4c、補助記憶部4d、通信インタフェース4eおよびバス4fを含む。サーバ4は、CPU4a、ROM4b、RAM4c、補助記憶部4dおよび通信インタフェース4eは、いずれもバス4fに接続されている。
【0052】
CPU4aは、ROM4bおよびRAM4cに記憶されたオペレーティングシステム、ミドルウェアおよびアプリケーションプログラムに基づいて、サーバ4としての各種の動作を実現するべく各部を制御する。
【0053】
ROM4bは、上記のオペレーティングシステムを記憶する。ROM4bは、上記のミドルウェアやアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。またROM4bは、CPU4aが各種の処理を行う上で参照するデータを記憶する場合も有る。
【0054】
RAM4cは、CPU4aが各種の処理を行う上で参照するデータを記憶する。さらにRAM4cは、CPU4aが各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶しておく、いわゆるワークエリアとして利用される。またRAM4cは、上記のミドルウェアやアプリケーションプログラムを記憶する場合も有る。
【0055】
補助記憶部4dは、例えばハードディスクドライブやSSD(solid state drive)などであり、CPU4aが各種の処理を行う上で使用するデータや、CPU4aでの処理によって生成されたデータを保存する。補助記憶部4dに記憶されるデータには、PLUファイルおよび取引情報ファイルを含む。補助記憶部4dは、上記のミドルウェアやアプリケーションプログラムを記憶する場合も有る。
【0056】
PLUファイルは、POS端末3が使用される店舗で販売または提供される商品(物品またはサービス)についての情報が記述されている。
【0057】
図4は取引情報ファイルの構成例を模式的に示す図である。
【0058】
図4に示す取引情報ファイルは、インデックスと取引情報とを関連付けて記述する。
【0059】
インデックスは、端末コード、取引通番および取引一連番号を含み得る。端末コードは、ハンディターミナル1に割り当てられたコードである。ハンディターミナル1が複数使用される場合には、それらに個別の端末コードが割り当てられる。取引通番は、事前登録券を発行する毎にハンディターミナル1が決定する通番である。取引一連番号は、1顧客分の決済処理を行う毎にPOS端末3が決定する通番である。
【0060】
取引情報は、取引商品情報と合計金額とを含み得る。取引商品情報は、1顧客分の決済処理の対象となった1つまたは複数の商品についてのPLUコードを含む。合計金額は、1顧客分の決済処理に関する合計金額である。
【0061】
通信インタフェース4eは、通信ネットワーク6を介する通信のための周知の処理を行う。
【0062】
次に以上のように構成されたPOSシステム100の動作について説明する。
【0063】
図5はCPU1aのフローチャートである。
【0064】
前捌き担当店員は、店舗のレジコーナーで順番待ちしている顧客に対して事前登録券を発行しようとする場合、そのための処理の開始を指示する操作を入力デバイス1eにて行う。この操作に関するコマンドが入力デバイス1eから出力されると、CPU1aは図5に示す処理を開始する。
【0065】
ステップSa1においてCPU1aは、RAM1c内の商品テーブルをクリアする。
【0066】
ステップSa2乃至ステップSa4においてCPU1aは、バーコードスキャン、数量指定および発行指示のいずれかがなされるのを待ち受ける。
【0067】
前捌き担当店員は、顧客が買い上げる商品に印刷されたバーコードをバーコードスキャナ1dにかざす。そうするとバーコードスキャナ1dは、バーコードを読み取って、そのバーコードが表しているPLUコードを出力する。そこでこのようにバーコードスキャンが行われたならばCPU1aは、ステップSa2からステップSa5へ進む。
【0068】
ステップSa5においてCPU1aは、バーコードスキャナ1dが出力したPLUコードを含むように商品テーブルを更新する。具体的には例えば、バーコードスキャナ1dが出力したPLUコードが商品テーブルに含まれていなかった場合には、当該PLUコードを商品テーブルに追加するとともに、そのPLUコードに関連付けて数量情報として「1」を追加する。バーコードスキャナ1dが出力したPLUコードが商品テーブルに既に含まれていた場合には、そのPLUコードに関連付けられた数量情報を1つ増加する。そしてこののちにCPU1aは、ステップSa2乃至ステップSa4の待ち受け状態に戻る。
【0069】
一方、前捌き担当店員は、直前にバーコードをスキャンした商品の数量を変更したい場合、入力デバイス1eを操作して数量を指定する。このような数量を指定する操作がなされたことに応じてCPU1aは、ステップSa3からステップSa6へ進む。
【0070】
ステップSa6においてCPU1aは、最も新しくバーコードスキャンにより得られたPLUコードに関連付けられた数量を、上記の指定された数量よりも1つ少ない数だけ増加する。そしてこののちにCPU1aは、ステップSa2乃至ステップSa4の待ち受け状態に戻る。
【0071】
前捌き担当店員は、バーコードスキャンや数量指定を適宜に繰り返して、顧客が買い上げる商品を順次に登録して行く。そして登録可能な全ての商品についての登録を終えたならば前捌き担当店員は、入力デバイス1eを操作して事前登録券の発行を指示する。この操作に関するコマンドが入力デバイス1eから出力されると、CPU1aはステップSa4からステップSa7へ進む。
【0072】
ステップSa7においてCPU1aは、取引通番を決定する。取引通番は例えば、4桁の数値とし、CPU1aはステップSa7を実行する毎に1つずつ大きな取引通番を決定する。これにより、取引通番は実質的に重複しない識別情報となる。
【0073】
ステップSa8においてCPU1aは、事前登録券を表す画像情報を作成する。
【0074】
図6は事前登録券の一例を示す図である。
【0075】
CPU1aは、2次元コード61を事前登録券に含める。2次元コード61は、ハンディターミナル1の端末コード、ステップSa7で決定した取引通番、商品テーブルに含まれたPLUコードおよび当該PLUコードに関連付けられた数量情報のそれぞれを表すものとして2次元コードを作成する。かくして2次元コードは、事前登録情報の一例である。ハンディターミナル1が複数存在する場合、これら複数のハンディターミナル1で同一の取引通番が同時期に決定されることがあり得る。しかしながら、端末コードと取引通番とを組み合わせることにより、事前登録券を識別する識別情報として利用できる。事前登録券を識別する識別情報は、2次元コードを識別する識別情報でもある。
【0076】
ステップSa9においてCPU1aは、上記の画像情報を、無線通信部1gからポータブルプリンタ2に宛てて送信する。
【0077】
上記のようにしてハンディターミナル1から送信された画像情報がポータブルプリンタ2へと伝送されると、無線通信部2gがこれを受信する。そうするとCPU2aは、その画像情報が表した画像を印刷するように印刷デバイス2dを制御する。そしてこの制御の下に印刷デバイス2dが紙に画像を印刷することにより、図6に示すような事前登録券が発行される。
【0078】
このように、CPU1aは記録制御手段としての機能を備える。
【0079】
前捌き担当店員は、ポータブルプリンタ2で発行された事前登録券を顧客に手渡す。
【0080】
図7はCPU3aのフローチャートである。なお、この図7に示す処理を実行することにより、CPU3aは処理手段として機能する。
【0081】
POS端末3が起動されたとき、あるいは図7に示す処理を終了したのちに、CPU3aは図7に示す処理を開始する。
【0082】
ステップSb1においてCPU3aは、商品リストエリアをクリアするとともに、一括フラグをオフする。なお、一括フラグは、例えばRAM3aに記憶される1ビットのデータとして実現が可能である。
【0083】
ステップSb2およびステップSb3においてCPU3aは、PLU入力がなされるか、あるいは2次元コードがスキャンされるのを待ち受ける。
【0084】
さて、レジ担当店員は、顧客が買い上げる商品に印刷されたバーコードをかざすか、あるいは入力デバイス3iにてPLUキーを押下するなどの操作によってPLUコードを入力することができる。そしてこのようにしてPLUコードが入力されたならばCPU3aは、ステップSb2からステップSb4へ進む。
【0085】
ステップSb4においてCPU3aは、入力されたPLUコードに対応付けられた情報をPLUファイルから取得する。具体的にはCPU3aは例えば、部門、品名および価格をPLUファイルから取得する。そしてCPU3aは、PLUコード、部門、品名および価格の各情報を含むようにRAM2の商品リストエリアを更新する。具体的には例えば、取得したPLUコードが商品リストエリアに含まれていなかった場合には、PLUコード、部門、品名および価格の各情報を商品リストエリアに追加するとともに、そのPLUコードに関連付けられた数量を「1」とする。取得したPLUコードが商品リストエリアに既に含まれていた場合には、そのPLUコードに関連付けられた数量を1つ増加する。そしてこののちにCPU3aは、ステップSa5乃至ステップSa8の待ち受け状態に進む。
【0086】
ステップSa5乃至ステップSa8の待ち受け状態においてCPU3aは、PLUが新たに入力されるか、数量指定がなされるか、2次元コードがスキャンされるか、あるいは決済指示がなされるのを待ち受ける。
【0087】
上記と同様にしてPLUが入力されたならばCPU3aは、ステップSab4の処理を改めて行い、こののちに再びステップSb5乃至ステップSb8の待ち受け状態に戻る。
【0088】
レジ担当店員は、直前にPLUコードを入力した商品の数量を変更したい場合、入力デバイス3iを操作して数量を指定する。このような数量を指定する操作がなされたことに応じてCPU3aは、ステップSb6からステップSb9へ進む。
【0089】
ステップSb9においてCPU3aは、最も新しく取得されたPLUに関連付けられた数量を、上記の指定された数量よりも1つ少ない数だけ増加する。そしてこののちにCPU3aは、ステップSb5乃至ステップSb8の待ち受け状態に戻る。
【0090】
さて、事前登録券を前捌き担当店員から手渡された顧客は、その事前登録券をレジ担当店員に手渡す。そして事前登録券を受け取ったレジ担当店員は、事前登録券の2次元コードを2次元コードスキャナ3hにかざす。そうすると2次元コードスキャナ3hは2次元コードを読み取り、当該2次元コードが表す各種のデータ(以下、読取データと称する)を出力する。かくして2次元コードスキャナ3hは、読取手段として機能する。読取データは、2次元コードスキャナ3hにより、あるいはCPU3aにより、RAM3aに保存される。このように2次元コードがスキャンされたならば、CPU3aはステップSb3またはステップSb7からステップSb10へ進む。
【0091】
ステップSb10においてCPU3aは、一括追加処理を実行する。
【0092】
図8は一括追加処理におけるCPU3aのフローチャートおよび一括追加処理に付随する処理におけるCPU4aのフローチャートである。
【0093】
ステップSc1においてCPU3aは、RAM3cに保存された読取データから端末コードおよび取引通番を取り出し、これら端末コードおよび取引通番を含んだ確認要求情報を作成し、通信インタフェース3mからサーバ4に宛てて送信する。
【0094】
確認要求情報が通信ネットワーク6を介してサーバ4に伝送されたならば、この確認要求情報は通信インタフェース4eにより受信される。そして確認要求情報は、通信インタフェース4eにより、あるいはCPU4aにより、RAM4cに保存される。そしてこれに応じてCPU4aは、図8の右側に示す処理を開始する。
【0095】
ステップSd1においてCPU4aは、RAM3cに保存された確認要求情報から端末コードおよび取引通番を取り出し、これらの端末コードおよび取引通番の双方をインデックスに含むデータレコードが取引情報ファイルに含まれるか否かを確認することにより、今回使用された事前登録券が未使用であるか否かを確認する。かくしてCPU4aは、判定手段として機能する。
【0096】
該当する端末コードおよび取引通番の双方をインデックスに含むデータレコードが取引情報ファイルに含まれない場合には、CPU4aは未使用であると判定し、ステップSd1からステップSd2へ進む。
【0097】
ステップSd2においてCPU4aは、使用可情報を含んだ応答情報を通信インタフェース4eからPOS端末3に宛てて送信する。
【0098】
該当する端末コードおよび取引通番の双方をインデックスに含むデータレコードが取引情報ファイルに含まれる場合には、CPU4aは使用済みであると判定し、ステップSd1からステップSd3へ進む。
【0099】
ステップSd3においてCPU4aは、使用不可情報を含んだ応答情報を通信インタフェース4eからPOS端末3に宛てて送信する。
【0100】
応答情報が通信ネットワーク6を介してPOS端末3に伝送されたならば、この応答情報は通信インタフェース3mにより受信される。そして応答情報は、通信インタフェース3mにより、あるいはCPU3aにより、RAM3cに保存される。
【0101】
ステップSc2においてCPU3aは、応答情報に使用可情報および使用不可情報のいずれが含まれるかを確認することにより、今回使用された事前登録券が未使用であるか否かを確認する。
【0102】
応答情報に使用可情報が含まれる場合には、CPU3aは未使用であると判定し、ステップSc2からステップSc3へ進む。
【0103】
ステップSc3においてCPU3aは、読取情報に含まれたPLUコードのそれぞれについて、そのPLUコードに対応付けられた情報をPLUファイルから取得する。そしてCPU3aは、取得したPLUコード、部門、品名および価格の各情報を全て含むようにRAM2の商品リストエリアを更新する。具体的には例えば、PLUコードが商品リストエリアに含まれていなかった場合には、PLUコード、部門、品名および価格の各情報を商品リストエリアに追加するとともに、そのPLUコードに関連付けられた数量を、そのPLUコードに関連付けて読取情報に含まれた数量情報が示す数値とする。取得したPLUコードが商品リストエリアに既に含まれていた場合には、そのPLUコードに関連付けられた数量を、PLUコードに関連付けて読取情報に含まれた数量情報が示す数値だけ増加する。かくしてCPU3aは、処理制御手段として機能する。
【0104】
ステップSc4においてCPU3aは、一括フラグをオンする。そしてこののちにCPU3aは、一括追加処理を終了する。
【0105】
一方、応答情報に使用不可情報が含まれる場合には、CPU3aは使用済みであると判定し、ステップSc2からステップSc4へ進む。
【0106】
ステップSc5においてCPU3aは、エラー処理を行う。このエラー処理は、少なくとも今回使用を試みた事前登録券が使用済みであるために使用できないこと、つまり事前登録券に記録された情報に基づく登録処理が既に行われていることをレジ担当店員または顧客に報知するための報知処理を含む。この報知処理は例えば、上記報知のためのメッセージを表した画像を、操作用表示器3jおよび客面表示器3kの少なくとも一方に表示させる処理である。かくして、操作用表示器3jおよび客面表示器3kの少なくとも一方は、報知手段として機能する。またCPU3aは報知制御手段として機能する。報知処理は、図示しない鳴動デバイスから警報音を発したり、図示しない音声出力デバイスにより上記報知のための音声メッセージを出力する処理でも良い。あるいは報知処理は、図示しない発光デバイスを発光させる処理でも良い。エラー処理は、報知処理以外に、エラー履歴情報を更新する処理などのような別の処理を含んでも良い。エラー履歴情報の更新は例えば、今回の読取情報に含まれた端末コードおよび取引通番、POS端末3の識別情報、レジ担当店員の識別情報、日時情報などを含んだデータレコードを追加することとする。これによりエラー履歴情報に基づき、使用済みの事前登録券が繰り返しスキャンされる状況を事後に分析することが可能となる。
【0107】
エラー処理を終えたならばCPU3aは、一括追加処理を終了する。
【0108】
一括追加処理を終了したならばCPU3aは、図7に示すステップSb5乃至ステップSb8の待ち受け状態に戻る。
【0109】
以上のように、未使用の事前登録券に含まれた2次元コードが2次元コードスキャナ3hにより読み取られたならば、CPU3aはその事前登録券の発行の際に登録された全ての商品をいずれも買い上げ商品として一括で登録する。これによりレジ担当店員は、前捌き店員により既にバーコードのスキャンがなされた商品についての個別のPLU入力を行わなくて良い。
【0110】
一顧客が買い上げる全ての商品についての登録を終えたならばレジ担当店員は、入力デバイス3iに設けられた機能キーの1つである小計キーを押下するなどの所定の操作によって決済指示を行う。このような決済指示が行われたならばCPU3aは、ステップSb8からステップSb11へ進む。
【0111】
ステップSb11においてCPU3aは、決済処理を実行する。
【0112】
図9は決済処理におけるCPU3aのフローチャートおよび決済処理に付随する処理におけるCPU4aのフローチャートである。
【0113】
ステップSe1においてCPU3aは、商品リストエリアに登録された商品の合計金額を算出し、その合計金額を表示するように操作用表示器3jおよび客面表示器3kを制御する。
【0114】
ステップSe2においてCPU3aは、金銭の収受が完了するのを待ち受ける。
【0115】
レジ担当店員は、表示された合計金額に相当する金銭の収受を行う。この金銭の収受は、クレジットカード決済や電子マネー決済により行われる場合もある。クレジットカード決済や電子マネー決済を行う場合、そのための処理をCPU3aが行う場合もある。そして金銭の収受が完了したならば、レジ担当店員は入力デバイスの所定のキーを押下するなどの所定の操作を行う。この操作を受けてCPU3aは、金銭の収受が完了したと判定し、ステップSe2からステップSe3へ進む。
【0116】
ステップSe3においてCPU3aは、商品リストエリアに登録された商品の一覧やステップSe1で算出した合計金額などを表したレシートを発行するようにレシートプリンタ3fを制御する。
【0117】
ステップSe4においてCPU3aは、一括フラグがオンになっているか否かを確認する。そしてCPU3aは、一括フラグがオンになっているならばステップSe4からステップSe5に進み、オフになっているならばステップSe4からステップSe6に進む。
【0118】
ステップSe5またはステップSe6においてCPU3aは、今回の取引に関する情報をサーバ4に通知するためのトランザクションを作成する。CPU3aは、取引一連番号、取引商品情報および合計金額をトランザクションに含める。取引一連番号は、今回の取引を識別可能なようにCPU3aまたはCPU4aが割り当てる。取引商品情報は、顧客が買い上げた商品のPLUコードを含む。合計金額は、ステップSe1にて算出したものである。CPU3aは、POS端末3の識別情報、レジ担当店員の識別情報、あるいは日時情報などの別の情報をトランザクションに含めることもある。さらにCPU3aは、ステップSe5においては読取情報に含まれていた端末コードおよび取引通番をトランザクションに含めるが、ステップSe6においては読取情報が得られていないので端末コードおよび取引通番をトランザクションに含めない。CPU3aは、ステップSe5またはステップSe6からステップSe7へ進む。
【0119】
ステップSe7においてCPU3aは、ステップSe5またはステップSe6で作成したトランザクションを、通信インタフェース3mからサーバ4に宛てて送信する。
【0120】
トランザクションが通信ネットワーク6を介してサーバ4に伝送されたならば、このトランザクションは通信インタフェース4eにより受信される。そしてトランザクションは、通信インタフェース4eにより、あるいはCPU4aにより、RAM4cに保存される。そしてこれに応じてCPU4aは、図9の右側に示す処理を開始する。
【0121】
ステップSf1においてCPU4aは、トランザクションに端末コードが含まれるか否かを確認する。そしてCPU4aは、トランザクションに端末コードが含まれている場合にはステップSf1からステップSf2へ進み、含まれていない場合にはステップSf1からステップSf3へ進む。
【0122】
ステップSf2またはステップSf3においてCPU4aは、トランザクションに基づいて作成したデータレコードを取引情報ファイルに追加する。具体的にはCPU4aは、トランザクションに含まれた取引一連番号をインデックスに含むとともに、取引商品情報および合計金額を取引情報として含むデータレコードを作成する。そしてCPU4aは、ステップSf2においては、トランザクションに含まれた端末コードおよび取引通番もインデックスに含めるが、ステップSf3においては、インデックスにおける端末コードおよび取引通番をいずれもnull値とする。
【0123】
かくして以上のような処理により、取引情報ファイルはPOS端末3で実施された取引のそれぞれに関するデータレコードを含むが、事前登録券を利用した一括登録が行われた取引に関するデータレコードには、該当する事前登録券の発行に使用されたハンディターミナル1の端末コードと、事前登録券の発行に係わる取引通番とがさらに含まれる。つまり取引情報ファイルには、既に使用された事前登録券に関する端末コードと取引通番とが記述されているのである。このため、ステップSd1において事前登録券が使用済みである否かを確認することができるのである。
【0124】
以上のようにPOSシステム100によれば、端末コードおよび取引通番によって事前登録券の個々を識別可能とするとともに、使用済みの事前登録券に関する端末コードおよび取引通番を記憶しておくことによって個々の事前登録券が使用済みであるか否かを判定可能としている。そして、使用済みの事前登録券の2次元コードがスキャンされた場合には、当該2次元コードが表すPLUコードに基づく買い上げ商品の登録は行わずに、使用済みであることを報知する。
【0125】
同一の事前登録券が複数回読み取られた場合には、同一の買い上げ商品についての登録が重複して行われることが防止される。このような重複登録が行われてしまうと、レジ担当店員は重複登録された商品の登録を個々に取り消すための操作を行わなければならず、その作業は非常に大きな手間となってしまうが、本実施形態によればそのような不具合を確実に回避できる。また、1つの事前登録券を繰り返し利用することによる何らかの不良行為も防止できる。
【0126】
この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
【0127】
ハンディターミナル1が印刷デバイス2dを備え、この印刷デバイス2dを用いて事前登録券を印刷しても良い。この場合、ポータブルプリンタ2は不要となる。
【0128】
事前登録券は、リライトカード、磁気カード、あるいはメモリカードなどの紙以外の記録媒体を用いて実現しても良い。なお、リライトカードを利用する場合には、前記実施形態と同様に2次元コードを可視記録することが考えられる。磁気カードまたはメモリカードを利用する場合には、事前登録券に登録すべき情報は磁気記録または電子的記録することになる。磁気カードまたはメモリカードを利用する場合には、読取手段としては磁気カードリーダやメモリカードリーダなど記録方式に適合するデバイスを用いる。
【0129】
商品の販売データを処理は、その一部または全てをサーバ4にてCPU4aが行っても良い。
【0130】
報知動作を行うデバイスは、POS端末3の外部に設けられていても良い。
【0131】
事前登録券に記録された情報を読み取るデバイスは、POS端末3の外部に設けられていても良い。
【0132】
事前登録券が使用済みであるか否かの判断は、POS端末3にてCPU3aが行っても良い。この場合、各事前登録券が使用済みであるか否かを管理するためのデータは、前記実施形態と同様にサーバ4において保存されていても良いし、POS端末3にて保存されても良い。
【0133】
事前登録券の発行時に、当該事前登録券の識別情報をデータベースに追加し、事前登録券の使用時に、当該事前登録券の識別情報を上記のデータベースから削除することによって、各事前登録券が使用済みであるか否かを管理しても良い。あるいは、事前登録券の発行時に、当該事前登録券の識別情報とその識別情報が使用済みであるか否かを表す状態情報とを関連付けてデータベースに追加し、事前登録券の使用時に、当該事前登録券の識別情報に関連付けられた状態情報を更新することによって、各事前登録券が使用済みであるか否かを管理しても良い。
【0134】
未使用である事前登録券に基づく買い上げ商品の登録を行って、使用済みである事前登録券に基づく買い上げ商品の登録は行わないようにする制御は、サーバ4にてCPU4aが行っても良い。
【0135】
事前登録券が使用済みであることの報知のための制御は、サーバ4にてCPU4aが行っても良い。
【0136】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0137】
1…ハンディターミナル、1a…CPU、1b…ROM、1c…RAM、1d…バーコードスキャナ、1e…入力デバイス、1f…表示デバイス、1g…無線通信部、1h…バス、2…ポータブルプリンタ、2a…CPU、2b…ROM、2c…RAM、2d…印刷デバイス、2e…入力デバイス、2f…表示デバイス、2g…無線通信部、2h…バス、3…POS端末、3a…CPU、3b…ROM、3c…RAM、3d…補助記憶部、3e…時計部、3f…レシートプリンタ、3g…バーコードスキャナ、3h…次元コードスキャナ、3i…入力デバイス、3j…操作用表示器、3k…客面表示器、3m…通信インタフェース、3n…バス、4…サーバ、4a…CPU、4b…ROM、4c…RAM、4d…補助記憶部、4e…通信インタフェース、4f…バス、5…無線アクセスポイント、6…通信ネットワーク、100…POSシステム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可搬式の記録媒体に事前登録情報を記録する記録手段と、
顧客が買い上げる商品を識別するための商品識別情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により一取得期間内に取得された商品識別情報と、前記事前登録情報を識別するための識別情報とを含めた前記事前登録情報を記録するように前記記録手段を制御する記録制御手段と、
商品の販売データを処理する処理手段と、
処理済みであることを報知するための報知動作を行う報知手段と、
前記記録媒体に記録された前記事前登録情報を読み取る読取手段と、
前記読取手段が読み取った前記事前登録情報に含まれた前記識別情報に基づいて、同じ前記事前登録情報に含まれた前記商品識別情報を用いた前記販売データの処理が既に行われたか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により処理済みではないと判定されたことに応じて、前記読取手段が読み取った前記事前登録情報に含まれた前記商品識別情報を用いた前記販売データの処理を行うよう前記処理手段を制御する処理制御手段と、
前記判定手段により処理済みであると判定されたことに応じて、前記報知動作を行うように前記報知手段を制御する報知制御手段とを具備した商品販売データ処理システム。
【請求項2】
前記販売データの処理に用いられた前記商品識別情報とともに前記事前登録情報に含まれた前記識別情報を特定可能なように前記識別情報を記述するデータベースをさらに備え、
前記判定手段は、前記読取手段が読み取った前記事前登録情報に含まれた前記識別情報を前記データベースに記述された前記識別情報と照合することによって前記の判定を行う請求項1に記載の商品販売データ処理システム。
【請求項3】
前記商品販売データ処理システムは、ハンディターミナルとデータ処理装置とを含み、
前記ハンディターミナルは、前記取得手段および前記記録制御手段を備え、
前記データ処理装置は、前記処理手段、前記処理制御手段および前記報知制御手段を備える請求項1に記載の商品販売データ処理システム。
【請求項4】
前記データ処理装置は、前記報知手段をさらに備える請求項2に記載の商品販売データ処理システム。
【請求項5】
前記商品販売データ処理システムは、記録紙に可視パターンコードを印刷する印刷デバイスを備えた印刷装置を含み、
前記事前登録情報を表した前記可視パターンコードを前記記録紙に印刷することにより前記印刷デバイスを前記記録手段として機能させる請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の商品販売データ処理システム。
【請求項6】
可搬式の記録媒体に事前登録情報を記録する記録手段を備える記録装置と通信可能なハンディターミナルであって、
顧客が買い上げる商品を識別するための商品識別情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により一取得期間内に取得された商品識別情報と、前記事前登録情報を識別するための識別情報とを含めた前記事前登録情報を記録するように前記記録手段を制御する記録制御手段とを具備するハンディターミナル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−20379(P2013−20379A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152151(P2011−152151)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】