説明

商品販売データ処理装置

【課題】例えばバッテリを駆動電源としても長時間駆動を可能とするような消費電力の削減を実現した商品販売データ処理装置を提供すること。
【解決手段】入力部を介して入力された商品に係るデータに基づいて、商品の販売データを処理するPOS端末を次のように構成する。すなわち、前記処理の結果を表示するディスプレイと、ディスプレイのバックライトと、当該POS端末の動作状態に応じてバックライトの輝度を低下させる制御または消灯させる制御を行う調光回路と、を前記POS端末に具備させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、商取引を決済処理するPOS(Point Of Sales)端末等の商品販売データ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
既存の商品販売データ処理装置(例えば電子式キャッシュレジスタ,POS端末)は、駆動電源として通常の商用電源を用いている。また、バッテリを搭載させた商品販売データ処理装置も実用化されている。ただし、商品販売データ処理装置は、レシート印字等の消費電力の大きい動作を頻繁に実行する為、バッテリはあくまでも停電対策として搭載されており、駆動電源としては用いられていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−39685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の商品販売データ処理装置は、商用電源を駆動電源としていたため、催事会場や屋外等で商品販売データ処理装置を使用する場合に如何に駆動電源を確保するかが問題となる。バッテリを駆動電源にできれば問題は解決されるが、商品販売データ処理装置は、PC等の他の情報処理装置とは異なり、バッテリのみを駆動電源とした長時間駆動は困難である。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、例えばバッテリを駆動電源としても長時間駆動を可能とするような消費電力の削減を実現した商品販売データ処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態において、商品販売データ処理装置は、処理部と、表示部と、照明部と、調光制御部とを備える。処理部は、入力部を介して入力された商品に係るデータに基づいて前記商品の販売データを処理する。表示部は、前記処理部による処理の結果を表示する。照明部は、前記表示部を照明する。調光制御部は、前記処理部による処理に伴い消費電力が高まる事象が発生したことに応じて、前記照明部の輝度を低下させる制御または前記照明部を消灯させる制御を行う。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るPOS端末の要部構成を示す外観斜視図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態に係るPOS端末のシステム構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に係るPOS端末のCPUの制御による登録処理のフローチャートを示す図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態に係るPOS端末のCPUの制御による登録処理のうち“レシート印字処理”のサブルーチンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、例えば店舗や屋外等で利用されるPOS端末を例にして、本一実施形態に係る商品販売データ処理装置を説明する。
【0009】
図1は、本一実施形態に係るPOS端末の要部構成を示す外観斜視図である。図2は、本一実施形態に係るPOS端末のシステム構成を示すブロック図である。
【0010】
図1及び図2に示すように、POS端末1は、後述する各構成部材が収容された本体10と、該本体10上に配設されたディスプレイ12と、を具備する。
【0011】
なお、図1においては不図示であるが、POS端末1は、現金等を収容する為のドロワ16、買物客に対して商品販売データや取引に係る合計金額等を表示する客用ディスプレイ17、及び、商品に付与されたバーコードを読み取る為のスキャナ18を具備している。
【0012】
図2に示すように、前記本体10は、電源回路101と、充放電回路103と、バッテリ105と、電源スイッチ107と、CPU109と、クロック発振器109cと、I/Oコントローラ111と、ROM(Read Only Memory)113と、RAM(Random Access Memory)115と、通信I/F117と、HDD(Hard Disc Drive)119と、プリンタ121と、を備える。一方、前記ディスプレイ12は、タッチパネル12−1と、LCD12−2と、を備える。
【0013】
前記電源回路101は、電源スイッチ107がONされると(バッテリ105または商用電源に接続されると)、バッテリ105または商用電源の電圧を当該POS端末1の各部に印加する。
【0014】
前記充放電回路103は、バッテリ105の充電時には商用電源の電圧をバッテリ105に印加して当該バッテリ105を充電し、バッテリ105の放電時には充電されたバッテリ105の放電電圧を電源回路101に印加する。
【0015】
前記バッテリ105は、商用電源を用いずに当該POS端末1を動作させる為のバッテリである。このバッテリ105は、例えば屋外等の商用電源の確保が困難な場合に利用する駆動電源である。
【0016】
前記電源スイッチ107は、当該POS端末1の主電源であり、ONされるとバッテリ105または商用電源の電圧が電源回路101に印加される。
前記CPU109は、ROM113及びHDD119に格納された各種プログラムを読み出して実行し、当該POS端末1の各部を統括的に制御する制御部である。前記クロック発振器109cは、CPU109にクロック信号を供給するクロックジェネレータである。このクロック信号の供給は、制御信号の送受信に用いられるバスではなく、クロック信号を送信する為のラインCLKを介して行われる。
【0017】
前記I/Oコントローラ111は、データバスによってCPU109及び各I/O機器と接続されているコントローラである。CPU109は、このI/Oコントローラ111を介して当該POS端末1のシステム全体を制御する。
【0018】
前記ROM113は、CPU109が実行する各種プログラムや各種データテーブル等を記憶している。
前記RAM115は、CPU109が各種プログラムを実行する際に一時的にデータやプログラムを記憶するメモリであり、商品の販売記録を示す商品販売データを記憶する取引メモリと、ディスプレイ12や客用ディスプレイ17に表示する各種の画面表示データを記憶する表示データメモリと、を少なくとも備える。
【0019】
前記通信I/F117は、通信手段として機能し、ホストサーバや管理センタとの無線通信/有線通信を制御する為の通信インターフェイスである。
【0020】
前記HDD119は、各種情報を記憶する記憶媒体であり、例えば商品データファイル等を記憶している。商品データファイルとは、各商品を識別する商品識別コード(以下、商品コードと略称する)に対応して、商品名及び単価等の商品データがプリセットされて成るデータファイルである。CPU109は、商品コードが当該POS端末1に入力されると、HDD119に記憶された商品データファイルを検索してその商品コードに対応する商品データを取り込み、この商品データに基づいて商品販売データを登録処理する。なお、HDD119には、上述の商品データファイルの他、例えば後述する各会計毎の売上データ等を記憶させてもよい。
【0021】
ところで、商品コードの入力方式としては、例えばスキャナ18でバーコードを読み取って商品コードを入力する方式や、当該POS端末を操作するキャッシャと称される店員がタッチパネル12−1を用いて入力する方式、及びキーボード(不図示)を利用して入力する方式等を挙げることができる。なお、商品コードの入力方式は、本願発明の特徴部に係るものではないので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0022】
前記タッチパネル12−1は、例えば抵抗膜方式のタッチパネルであり、ユーザが指先やタッチペンにて接触操作した位置に応じた電気信号を出力する。I/Oコントローラ111は、タッチパネル12−1から出力される電気信号に基づいて接触位置座標を算出してCPU109に通知する。
【0023】
前記LCD12−2は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)から成る表示パネルであり、バックライト12bと調光回路12mとが設けられている。前記バックライト12bは、表示パネルの裏面に配設され、当該表示パネルを裏面側から照明する照明手段である。前記調光回路12mは、CPU109からの制御信号に基づいて、バックライト12bの輝度を制御する。また、調光回路12mは、CPU109からの制御信号に基づいて、バックライト12bの点灯/消灯を制御する。
【0024】
この調光回路12mによる輝度制御は、例えば、輝度値を示す輝度データが複数設定されているデータテーブル(例えばROM113、HDD119、または調光回路12m中の不図示のメモリ等に記憶されている)に基づいて行われる。
【0025】
以下、図3及び図4を参照して、商品販売における登録処理の手順について説明する。図3は、本一実施形態に係るPOS端末1のCPU109の制御による登録処理のフローチャートを示す図である。図4は、本一実施形態に係るPOS端末1のCPU109の制御による登録処理のうち“レシート印字処理”のサブルーチンを示す図である。
【0026】
まず、キャッシャが、待機状態にあるPOS端末1のタッチパネル12−1を操作して商品登録業務を選択すると、CPU109は、図3に示す登録処理を開始する。
CPU109は、商品コードが入力されたか否かを判定する(ステップS1)。ステップS1をNOに分岐する(商品コードが入力されていない)場合には、当該ステップS1に戻る。つまり、ステップS1は、当該POS端末1に商品コードが入力されるまで待機状態とする為のステップである。
【0027】
ステップS1をYESに分岐する(商品コードが入力された)場合には、CPU109は、入力された商品コードについて、HDD119に記憶された商品データファイルを検索し、当該商品コードに対応して記憶されている商品名、単価等の商品情報を検出して取り込む(ステップS2)。
【0028】
続いて、CPU109は、ステップS2において取得した商品情報と、例えばタッチパネル12−2を用いてキャッシャにより入力された販売点数とに基づいて、商品販売データ(販売商品の商品コード、販売点数、及び販売金額(単価×販売点数)を少なくとも含むデータ)を生成し、RAM115の取引メモリに登録する(ステップS3)。そして、CPU109は、ディスプレイ12及び客用ディスプレイ17に、ステップS3で登録した商品販売データを表示させる(ステップS4)。
【0029】
ここで、CPU109は、例えばタッチパネル12−2を用いて“小計指示”が為されたか否かを判定する(ステップS5)。この“小計指示”は、キャッシャが例えばディスプレイ12に表示された“小計キー”を接触操作する等により為される“当該取引を締める為の指示”である。このステップS5をNOに分岐する(“小計指示”が為されていない)場合には、前記ステップS1へ戻る。
【0030】
このステップS5をYESに分岐する(“小計指示”が為された)場合には、CPU109は、当該取引に係る合計金額(商品代金)を算出し、ディスプレイ12及び客用ディスプレイ17に表示させる(ステップS6)と共に、代金支払いの待ち受け状態となる。その後、キャッシャは、タッチパネル12−1の操作等によって客からの預かり金額を当該POS端末1に入力し、“現計操作”を行う。この“現計操作”は、キャッシャが例えばディスプレイ12に表示された“現計キー”を接触操作する等により為される操作であり、“客からの預かり金額を入力した後に決済処理する為の操作”である。
【0031】
ステップS6における処理の後、CPU109は、“現計操作”が為されたか否かを判定する(ステップS7)。このステップS7をNOに分岐する(“現計操作”が為されていない)場合には、当該ステップS7に戻る。つまり、ステップS7は、“現計操作”が為されるまで待機状態とする為のステップである。ステップS7をYESに分岐した(“現計操作”が為された)場合には、CPU109は、“客からの預かり金額”から“当該取引に係る合計金額(商品代金)”を差し引いて“釣り銭額”を算出し、ディスプレイ12及び客用ディスプレイ17に表示させる(ステップS8)。
【0032】
さらに、CPU109は、プリンタ121を駆動し、当該取引の詳細情報を当該プリンタ121に印字させてレシートを発行する“レシート印字処理”を実行する(ステップS9)。本一実施形態に係るPOS端末1では、この“レシート印字処理”において所定の省電力処理を実行する。以下、図4に示すサブルーチンを参照して、“レシート印字処理”を詳細に説明する。
【0033】
まず、CPU109は、I/Oコントローラ111を介してプリンタ121に対して印字コマンドを送信し、当該取引の詳細情報を印字させる(ステップS9−1)。続いて、CPU109は、I/Oコントローラ111を介して調光回路12mに対して減光コマンドを送信し、バックライト12bの輝度を低下(減光)させる処理を実行させる(ステップS9−2)。
【0034】
なお、このステップS9−2における処理は、バックライト12bの輝度を低下させる処理の代わりに、バックライト12bを消灯させる処理を調光回路12mに実行させてもよい。
【0035】
続いて、CPU109は、プリンタ121によるレシートの印字処理が終了したか否かを判定する(ステップS9−3)。このステップS9−3をNOに分岐する(レシートの印字処理が終了していない)場合、ステップS9−2に戻ってバックライト12bの減光処理(或いは消灯状態)を継続させる。
【0036】
ステップS9−3をYESに分岐する(レシートの印字処理が終了した)場合、CPU109は、I/Oコントローラ111を介して調光回路12mに対して輝度を復帰させるコマンドを送信し、バックライト12bの輝度を増加させる(減光以前の輝度に復帰させる)処理を実行させる(ステップS9−4)。その後、図3に示すメインルーチンに戻る。
【0037】
なお、ステップS9−3においてバックライト12bを消灯させた場合には、ステップS9−4においてはバックライト12bを点灯させる。
【0038】
前記ステップS9における“レシート印字処理”を完了すると、CPU109は、ドロワ16に対して、ドロワ開放コマンドを送信する(ステップS10)。キャッシャは、開放されたドロワ16に“預かり金”を収容すると共に“釣り銭”を取り出す。
【0039】
そして、CPU109は、当該取引の詳細情報を示す売上データを、通信I/F117を介してホストサーバ(不図示)に送信する(ステップS11)。
【0040】
ここに、図3の流れ図で示される登録処理のルーチンを実行するCPU109は、スキャナ18、タッチパネル12−1等の入力部を介して入力された商品に係るデータに基づいて、当該商品の販売データを処理する処理部を構成する。また、ディスプレイ12は表示部を構成し、プリンタ121は印字部を構成する。さらに、CPU109は、図4の流れ図に示すレシート印字処理において、調光制御部として機能する。
【0041】
以上説明したように、本一実施形態によれば、例えばバッテリを駆動電源としても長時間駆動を可能とするような消費電力の削減を実現した商品販売データ処理装置を提供することができる。
【0042】
具体的には、商品販売データ処理装置において最も大きな電力を消費するプリンタの動作時(印字中)に、バックライトの輝度を低下(減光)させてディスプレイの消費電力を抑えることで、省電力を実現している。これにより、駆動電源としてバッテリを用いる場合であっても実用に耐え得る駆動時間を確保することができる。なお、プリンタの動作時(印字中)にはディスプレイを視認する必要性が無い為、上述のように構成しても何ら不都合は生じない。
【0043】
以上、一実施形態に基づいて本発明を説明したが、本一実施形態は上述した態様に限定されるものではなく、種々の変形及び応用が可能なことは勿論である。
【0044】
《変形例》
上述の一実施形態においては、商品販売データ処理装置で消費電力が最大であるプリンタの駆動時に、所定の省電力処理(バックライトの減光/消灯処理)を実行する構成としている。
【0045】
他方、本変形例においては、所定の条件、つまりは前記処理部による処理に伴い消費電力が高まる事象が発生したという条件を満たした(例えば特定の複数の構成部材が同時に駆動された)場合に、所定の省電力処理(バックライトの減光/消灯処理)を実行する。この為には、所定の条件を示すデータベース(例えば同時に駆動されるとバッテリ消費の観点上好ましくない構成部材の組み合わせを記載したデータベース)を予めHDD119に記憶させておく。そして、POS端末1の駆動中にCPU109は、I/Oコントローラ111を介して各構成部材の駆動状況を検出し、上述の所定の条件を満たしたことを検出した場合に、上述の所定の省電力処理を実行する。
【0046】
この他、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0047】
1…POS端末、 10…本体、 12…ディスプレイ、 12−1…タッチパネル、 12−2…LCD、 12b…バックライト、 12m…調光回路、 16…ドロワ、 17…客用ディスプレイ、 18…スキャナ、 101…電源回路、 103…充放電回路、 105…バッテリ、 107…電源スイッチ、 109…CPU、 109c…クロック発振器、 111…I/Oコントローラ、 113…ROM、 115…RAM、 119…HDD、 121…プリンタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力部を介して入力された商品に係るデータに基づいて、前記商品の販売データを処理する処理部と、
前記処理部による処理の結果を表示する表示部と、
前記表示部を照明する照明部と、
前記処理部による処理に伴い消費電力が高まる事象が発生したことに応じて、前記照明部の輝度を低下させる制御または前記照明部を消灯させる制御を行う調光制御部と、
を具備することを特徴とする商品販売データ処理装置。
【請求項2】
前記処理部による処理の結果を印字する印字部を更に具備し、
前記調光制御部は、前記印字部が動作中の場合に、前記照明部の輝度を低下させる制御または前記照明部を消灯させる制御を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の商品販売データ処理装置。
【請求項3】
前記調光制御部は、前記印字部の動作が終了した後に、前記照明部の輝度を前記低下させる前の状態に復帰させる制御または前記消灯前の状態に復帰させる制御を行う
ことを特徴とする請求項2に記載の商品販売データ処理装置。
【請求項4】
バッテリを駆動電源とすることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1に記載の商品販売データ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−54580(P2013−54580A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193103(P2011−193103)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】