説明

商品陳列什器

【課題】 陳列什器の内部空間を有効に利用しうるとともに、陳列しようとする商品の大きさや数量等に応じて、陳列態様を多様に、しかも簡単に変化させることができるようにした、簡単な構造の商品陳列什器を提供する。
【解決手段】底板2と、その前端部から起立し、後面に複数の突条8、9が設けられた前面板3と、底板2の後端部から起立し、前面に複数の突条10、11が設けられた後面板4と、底板2の上面における前後方向の中間部に設けられた左右方向を向く差し込み溝13と、差し込み溝13に下端部を嵌合することにより、底板2上にほぼ垂直に立設され、底板2上を前後に仕切る仕切板14と、仕切板14の片面に突設され、仕切板14の向きを変えることにより、先端部が、突条8〜11のいずれかに係合するようにした棚板15とを備えるものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スーパーマーケット等において、青果物等の商品を陳列する商品陳列什器に関する。
【背景技術】
【0002】
商品陳列什器には、青果物等の商品の大きさや数量等に応じて、陳列態様を多様に変化させることができるようにしたものがある(例えば特許文献1〜4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4514099号公報
【特許文献2】特許第3632363号公報
【特許文献3】特許第4059447号公報
【特許文献4】特許第4062589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述のような従来の商品陳列什器においては、陳列台の上面に、階段状の商品陳列面を形成したり、水平とした陳列台の上面に、商品を立て掛けるための枠体や仕切板等を載置するようにしたものが多く、陳列台の内部空間を有効に利用しうるものは少なかった。
【0005】
本発明は、従来の技術が有する上記のような問題点に鑑みてなされたもので、陳列什器の内部空間を有効に利用しうるとともに、陳列しようとする商品の大きさや数量等に応じて、陳列態様を多様に、しかも簡単に変化させることができるようにした、簡単な構造の商品陳列什器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1)底板と、前記底板の前端部から起立し、後面に複数の係合部が互いに上下方向に離間させて設けられた前部支持部材と、前記底板の後端部から起立し、前面に複数の係合部が互いに上下方向に離間させて設けられた後部支持部材と、前記底板の上面における前後方向の中間部に設けられた左右方向を向く差し込み溝と、前記差し込み溝に下端部を嵌合することにより、前記底板上にほぼ垂直に立設され、底板上を前後に仕切る仕切板と、前記仕切板の片面における上下方向の中央より上下いずれかに離れた部位に突設され、前記仕切板を上下反転および/または前後反転させることにより、先端部が、前記前部支持部材の後面におけるいずれかの係合部、または前記後部支持部材の前面におけるいずれかの係合部に係合するようにした棚板とを備えるものとする。
【0007】
このような構成とすると、仕切板を上下反転および/または前後反転させるだけで、底板上の空間を仕切板によって前後に仕切るだけでなく、棚板を、仕切板より前方の空間における低位置もしくは高位置、または仕切板より後方の空間における低位置もしくは高位置の4段階の態様に選択して配置することができる。
したがって、陳列しようとする商品の大きさや数量等に応じて、陳列態様を多様に、しかも簡単に変化させることができる。
さらに、部品点数を少なくでき、構造を簡素化することができる。
【0008】
(2)上記(1)項において、底板の上面に前後1対の上向き突部を設けることにより、それらの間に差し込み溝を形成する。
【0009】
このような構成とすると、底板に溝加工を施すことなく、底板上に差し込み溝を簡単に形成することができるとともに、仕切板の前後方向への傾倒を防止することができる。
【0010】
(3)上記(1)または(2)項において、前部支持部材におけるいずれかの係合部と、後部支持部材におけるいずれかの係合部とを等高とし、かつそれらの係合部間の間隔を、仕切板を水平としたときにその両端部が前記両係合部に係合する関係とする。
【0011】
このような構成とすると、仕切板を水平として、前部支持部材と後部支持部材との対向面間の全域に跨る棚板とすることができる。
しかも、このとき、仕切板の片面に突設された棚板を上向きとすると、その棚板を前後の空間を仕切る仕切板として使用することができるとともに、このときの仕切板の前後の向きを反転させることにより、棚板によって仕切られる前後の空間の大小を変更することもできる。
さらに、棚板が下方を向くようにして、仕切板を水平に架設すると、そのときの仕切板の上面全体を商品陳列面として広く使用することができる。
【0012】
(4)上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、前部支持部材を前面板、後部支持部材を後面板とし、かつそれらを互いに上方に向かって前後方向に拡開するようにして底板に設ける。
【0013】
このような構成とすると、互いに上方に向かって前後方向に拡開する前面板と後面板との間の空間に、商品を、上方に向かって広がるように収容することができるので、収容能力および陳列効果を高めることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、陳列什器の内部空間を有効に利用しうるとともに、陳列しようとする商品の大きさや数量等に応じて、陳列態様を多様に、しかも簡単に変化させることができるようにした、簡単な構造の商品陳列什器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の商品陳列什器の第1の実施形態における仕切板を外したときの斜視図である。
【図2】棚板を前下方に位置させて、仕切板を起立状態で保持したときの図1のII−II線における縦断側面図である。
【図3】棚板を前上方に位置させて、仕切板を起立状態で保持したときの図2と同様の縦断側面図である。
【図4】棚板を後下方に位置させて、仕切板を起立状態で保持したときの図2と同様の縦断側面図である。
【図5】棚板を後上方に位置させて、仕切板を起立状態で保持したときの図2と同様の縦断側面図である。
【図6】棚板を上方に向けて、仕切板を水平状態で上段に保持したときの図2と同様の縦断側面図である。
【図7】棚板を下方に向けて、仕切板を水平状態で上段に保持したときの図2と同様の縦断側面図である。
【図8】棚板を上方に向けて、仕切板を水平状態で下段に保持したときの図2と同様の縦断側面図である。
【図9】本発明の商品陳列什器の第2の実施形態における、棚板を前下方に位置させて、仕切板を起立状態で保持したときの図2と同様の縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の第1の実施形態を、図1〜図8を参照して説明する。
図1および図2に示すように、この商品陳列什器は、平面視方形枠状としたベース1と、このベース1上に設けられた水平の底板2と、底板2の前端より起立する前面板3と、底板2の後端より起立する後面板4と、底板2、前面板3、および後面板4、並びにそれらによって形成される左右方向の空間の両側端を閉塞する両側板5、5とからなる、上面が開口する筐体6を備えている。
筐体6内における左右方向の中間部には、前後方向を向く中仕切板7が設けられているが、この中仕切板7は省略して実施することもある。
【0017】
前面板3と後面板4とは、それぞれ後述する仕切板14または棚板15を支持するための前部支持部材と後部支持部材となっており、互いに上方に向かって前後方向に拡開するようにしてベース1上に設けられている。すなわち、前面板3は前傾し、後面板4は後傾している。
【0018】
後面板4は、前面板3より若干高寸であり、それに伴って、両側板5、5の上縁および中仕切板7の上縁は、前下がりに傾斜させてある。
【0019】
前面板3の後面には、後部上面に凹入段部8aが設けられた左右方向を向く突条8と、単なる角材状の左右方向を向く突条9とが、互いに上下方向に離間させて設けられている。
【0020】
後面板4の前面には、前部上面に凹入段部10aが設けられた左右方向を向く突条10と、単なる角材状の左右方向を向く突条11とが、前面板3における突条8、9と対向するように、かつそれと等高をなすようにして、互いに上下方向に離間させて設けられている。
【0021】
突条8〜11は、後述する棚板15や仕切板14の端部を係止する係合部をなしている。
【0022】
底板2の上面における前後方向の中央部には、垂直板状の前後1対の上向き突部12、12が設けられ、この両上向き突部12、12間に、後述する仕切板14を差し込むための差し込み溝13が形成されている。
【0023】
この差し込み溝13に、上下方向を向く仕切板14の下端部を上方より嵌合することにより、仕切板14は、底板2上にほぼ垂直に立設され、底板2上を前後に仕切ることがきるようになっている。
【0024】
図2に示すように、仕切板14の上下方向の長さA1は、前後の突条8、10における凹入段部8a、10aの外端部間の間隔A2、および前後の突条9、11の上面の外端部間の間隔A3と同一としてある。
また、仕切板14の左右方向の幅は、中仕切板7と側板5との対向面間の間隔とほぼ同一としてある。
【0025】
仕切板14の片面における上下方向の中央より上下いずれかに離れた部位には、棚板15が、L形金具16をもって、仕切板14に対して直角をなすようにして
突設されている。
【0026】
図2に示す状態での棚板15の前後方向の長さBは、仕切板14の厚さをTとしたとき、2B+T=A1の関係が成り立つようにしてある。
また、仕切板14に対する棚板15の取付位置は、図2に示す状態での仕切板14の下端から棚板15の下面までの距離が、底板2の上面から下段の突条9、11の上面までの高さH1と一致し、かつ同じく仕切板14の上端から棚板15の上面までの距離が、底板2の上面から上段の突条8、10の凹入段部8a、10aの上面までの高さH2と一致するような関係としてある。
さらに、棚板15の左右方向の幅は、仕切板14の左右方向の幅と同じく、中仕切板7と側板5との対向面間の間隔とほぼ同一としてある。
【0027】
図2に示す状態での仕切板14の上端に近い部位における左右方向の中央部には、仕切板14を持ち上げるための指掛け孔17が設けられている。
【0028】
かくして、仕切板14を上下反転および/または前後反転させて、下端部を差し込み溝13に嵌合させるだけで、底板2上の空間を、仕切板14をもって前後に仕切ることができるだけでなく、図2に示すように、棚板5の先端部を、前方の下段の突条9の上面に係合させることにより、棚板5を前方の空間における低位置に水平に配置したり、図3に示すように、棚板5の先端部を、前方の上段の突条8の凹入段部8aに係合させることにより、棚板5を前方の空間における高位置に水平に配置したり、図4に示すように、棚板5の先端部を、後方の下段の突条11の上面に係合させることにより、棚板5を後方の空間における低位置に水平に配置したり、図5に示すように、棚板5の先端部を、後方の上段の突条10の凹入段部10aに係合させることにより、棚板5を後方の空間における高位置に水平に配置したりすることができる。
【0029】
また、仕切板14の上下方向の長さA1は、前後の突条8、10における凹入段部8a、10aの外端部間の間隔A2、および前後の突条9、11の上面の外端部間の間隔A3と同一としてあるので、図6に示すように、仕切板14を水平として、その前後の端部を、前後の上段の突条8、10における凹入段部8a、10aに係止することにより、仕切板14を、前面板3と後面板4との対向面間の全域に跨る棚板とすることができる。
【0030】
しかも、このとき、仕切板14の片面に突設された棚板15を上向きとすると、その棚板15を前後の空間を仕切る仕切板として使用することができるとともに、このときの仕切板14の前後の向きを反転させることにより、棚板15によって仕切られる前方の空間を、図6に実線で示すように大としたり、図6に2点鎖線で示すように小としたりすることができる。
【0031】
図7に示すように、棚板15が下方を向くようにして、仕切板14の前後の端部を、前後の上段の突条8、10における凹入段部8a、10aに係止すると、仕切板14の上面全体を商品陳列面として広く使用することができる。
【0032】
さらに、図8に示すように、棚板15を上向きとして、仕切板14の前後の端部を、前後の下段の突条9、11上に係止すると、仕切板14を、筐体6内の深い位置で水平として商品を受支することができる。
【0033】
このときも、仕切板14の前後の向きを反転させることにより、棚板15によって仕切られる前方の空間を、図8に実線で示すように大としたり、図8に2点鎖線で示すように小としたりすることができる。
【0034】
なお、図7に示すように、棚板15を上向きとして、仕切板14を水平に保持したときも、仕切板14の前後の向きを反転させることにより、棚板15の前後位置を、図7に実線で示す後方位置としたり、同じく2点鎖線で示す前方位置としたりすることができるが、この場合は、陳列商品を仕切るわけではないので、どの位置とするかは、さほど重要ではない。
【0035】
以上から明らかなように、本発明の商品陳列什器によると、陳列しようとする商品の大きさや数量等に応じて、陳列態様を多様に、しかも簡単に変化させることができる。
また、部品点数を少なくでき、構造を簡素化することができる。
【0036】
上記第1の実施形態のように、前部支持部材を前面板3、後部支持部材を後面板4とし、かつそれらを互いに上方に向かって前後方向に拡開するようにして底板2に設けると、商品を、上方に向かって広がるように収容することができるので、収容能力および陳列効果を高めることができる。
【0037】
しかし、図9に示す本発明の第2の実施形態のように、前部支持部材である前面板23と、後部支持部材を後面板24とを、互いに平行な垂直板として、底板2に設けてもよい。
この場合は、上段の前後の突条28、30を、下段の突条29、31と同様の角材により、簡単に形成することができる。
【0038】
この第2の実施形態は、長さが若干異なる長尺の青果物等の商品を、垂直とした仕切板14の前後に振り分けて、短いものは前方または後方に、長いものは後方または前方に、それぞれ立て掛けて陳列するのに適している。
第2の実施形態におけるその他の構成は、第1の実施形態と同一であり、それらについては、同一の部材に同一の符号をもって図示するに止め、詳細な説明は省略する。
【0039】
本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で、例えば次のような変形した態様での実施が可能である。
(1) 前面板3および後面板4とは別に、棚板12を支持する支柱状の前部支持部材と後部支持部材とを、互いに上方に向かって前後に拡開するようにしてベース1上に設ける。
(2) 突条8〜11を、左右方向に連続するようにして設けるだけでなく、左右方向に間欠的に並べて設ける。または前面板3の後面もしくは後面板4の前面の両側部のみに設ける。
(3) 仕切板14の片面に、棚板15を、仕切板14に対して直角以外の傾斜角をなすようにして立設する。
(4) 底板2に長孔を設けて、それを差し込み溝とする。
【符号の説明】
【0040】
1 ベース
2 底板
3、23 前面板(前部支持部材)
4、24 後面板(後部支持部材)
5 側板
6 筐体
7 中仕切板
8〜11、28〜31 突条(係合部)
8a、10a 凹入段部
12 上向き突部
13 差し込み溝
14 仕切板
15 棚板
16 L形金具
17 指掛け孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板と、
前記底板の前端部から起立し、後面に複数の係合部が互いに上下方向に離間させて設けられた前部支持部材と、
前記底板の後端部から起立し、前面に複数の係合部が互いに上下方向に離間させて設けられた後部支持部材と、
前記底板の上面における前後方向の中間部に設けられた左右方向を向く差し込み溝と、
前記差し込み溝に下端部を嵌合することにより、前記底板上にほぼ垂直に立設され、底板上を前後に仕切る仕切板と、
前記仕切板の片面における上下方向の中央より上下いずれかに離れた部位に突設され、前記仕切板を上下反転および/または前後反転させることにより、先端部が、前記前部支持部材の後面におけるいずれかの係合部、または前記後部支持部材の前面におけるいずれかの係合部に係合するようにした棚板
とを備えることを特徴とする商品陳列什器。
【請求項2】
底板の上面に前後1対の上向き突部を設けることにより、それらの間に差し込み溝を形成した請求項1記載の商品陳列什器。
【請求項3】
前部支持部材におけるいずれかの係合部と、後部支持部材におけるいずれかの係合部とを等高とし、かつそれらの係合部間の間隔を、仕切板を水平としたときにその両端部が前記両係合部に係合する関係とした請求項1または2記載の商品陳列什器。
【請求項4】
前部支持部材を前面板、後部支持部材を後面板とし、かつそれらを互いに上方に向かって前後方向に拡開するようにして底板に設けた請求項1〜3のいずれかに記載の商品陳列什器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−161381(P2012−161381A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−22119(P2011−22119)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】