説明

商品陳列台

【課題】横並びの設置であっても、前方陳列部分が広く採れ、見栄えがよい商品陳列台を提供すること。
【解決手段】四角形の板状部材である天板1と、四角形の板状部材であり且つ天板1と平面視が略同じ大きさの底板2と、天板1と底板2を左右両端近傍であって且つ前後方向の中央部で連結支持する板状の一対の柱3、3とを備える商品陳列台10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、百貨店等で特に高級感のある商品の陳列に好適であり、不使用時はコンパクトに保管できる商品陳列台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、天板と、天板と略同じ大きさの底板と、一端が天板に他端が底板に連結される4本の柱とからなる比較的小さな商品陳列台が知られている。4本の支柱は通常、天板を四隅で支持しており、強度的に安定した構造にすると共に、顧客からは、前後方向及び左右方向の開口から底板上に載置された陳列商品を見ることができ、都合がよい。
【0003】
また、このような商品陳列台は、通常複数個を前後方向及び左右方向に並べて、また、上方向に積み上げて趣のある種々の陳列形態を演出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−321545号公報(特許請求の範囲)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の商品陳列台を横並びで設置すると、2つの商品陳列台が接する部分では、正面視の前方側で柱が2本横並びとなるため、商品の陳列スペースが十分に採れない、見栄えが悪いという問題がある。また、比較的小さな商品陳列台と言えども、一辺が300mmはあり、不使用時の保管にスペースを採ってしまうという問題がある。
【0006】
従って、本発明の目的は、横並びの設置であっても、前方陳列部分が広く採れ、見栄えがよい商品陳列台を提供することにある。また、本発明は、不使用時にはコンパクト保管ができる商品陳列台を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる実情において、本発明者は鋭意検討を行った結果、4本の柱の代わりに、2つのパネルを左右両側端近傍で且つ前後方向の一部で使用すれば、横並びの設置であっても、前方陳列部分が広く採れ、見栄えがよい商品陳列台が得られること、また、特に、天板と底板を寝かせたパネル状の柱を収納できる係止形状とすれば、不使用時にはコンパクト保管ができること等を見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、四角形の板状部材である天板と、四角形の板状部材であり且つ該天板と平面視が略同じ大きさの底板と、該天板と該底板を、左右両端近傍であって且つ前後方向の一部で連結支持する板状の一対の柱と、を備える商品陳列台を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、柱を左右両側近傍であって且つ前後方向の一部に配置し、且つ板状(パネル状)としたことにより、前方陳列部分が広く採れ、見栄えがよい。また、2個以上の横並び設置の場合、前方側には横並びの柱が存在せず、陳列面積も広く採れる。また、不使用時には、4つの部材に分解して、底板上に板状の柱を寝かせて置き、天板と底板を直接嵌め込めば、コンパクト化できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施の形態における商品陳列台の斜視図である。
【図2】図1の商品陳列台の分解斜視図である。
【図3】図1の商品陳列台の天板を裏側から見た斜視図である。
【図4】図1の商品陳列台の底板を裏側から見た斜視図である。
【図5】図1の商品陳列台の使用方法を説明する図である。
【図6】図1の商品陳列台の他の使用方法を説明する図である。
【図7】図1の商品陳列台の収納方法を説明する図である。
【図8】図1の商品陳列台の収納状態における斜視図である。
【図9】図1の商品陳列台の収納状態における正面図である。
【図10】本実施の形態における他の商品陳列台の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
商品陳列台10は、四角形の板状部材である天板1と、四角形の板状部材であり且つ天板1と平面視で略同じ大きさの底板2と、天板1と底板2を、左右両端近傍であって且つ前後方向の一部、本例では中央部で連結支持する板状の一対の柱3、3と、を備える。商品陳列台10は、プラスチック製とすることが、強度を保持しつつ軽量化できる点で好ましい。本明細書中、左右方向及び前後方向は、柱の無い全面開口側、すなわち、顧客側を正面(図1中、符号F)とした方向を言う。
【0012】
天板1を四角形とすることで、複数個の商品陳列台10を左右方向及び前後方向に横並びとした際、連続した陳列面を形成することができる。また、天板1を板状部材とすることで、商品を載置し易くなると共に、上方向へ積み重ねた際、設置安定性が向上する。天板1の板状は概ねの形状であり、厳密な形状を意味するものではない。
【0013】
天板1の天面11には、碁盤目の溝12が形成されている。天面11に碁盤目の溝12を形成することで、他の商品陳列台を積み重ねる際、前後方向及び左右方向において種々の積み重ね位置を選択でき、種々の陳列形態を演出できる。また、積み重ねられる他の商品陳列台の底板の枠形状の側板が碁盤目の溝12に嵌るため、設置が安定する。また、天面11に載置された陳列商品の滑り止めにもなる。
【0014】
また、天板1の天面11の周縁13には、碁盤目の溝底より低い溝底を有する周回溝14が形成されている。これにより、他の商品陳列台の底板2の枠形状24を周回溝14に係合させれば、安定した積み重ねができる。また、周回溝14には、板状の商品転落防止板や板状のPOP(point of purpose)板を設置することもできる。
【0015】
商品陳列台10は、天板1と、底板2と、板状の一対の柱3、3を嵌め込みにより組み付けたものであってもよい。この場合、天板1は、天板の裏面上であって、且つ左側端近傍及び右側端近傍において、板状の一対の柱3、3の上方先端32と嵌合する天板側嵌合部151を備える。天板側嵌合部151は、嵌合孔152を有する。天板側嵌合部151は、嵌合孔152に板状の一対の柱3、3の先端部が入り込む嵌合深さを採るため、天板1の裏面から下方に所定の高さh1だけ延出する筒状構造である。また、本例では、天板側嵌合部151の両側に斜め状に切り欠かれた側板153を形成して、商品陳列台10の収納状態において、収納された板状の一対の柱3、3が脱落しないようにしている。
【0016】
嵌合孔152は、所謂ほぞ孔であり、板状の一対の柱3、3の先端部が容易に差し込まれる形状であると共に、差し込まれた後は摩擦により容易には外れない形状となっている。また、天板側嵌合部151の先端の面(開口の先端が形成する面)は、天板1の天面11と平行な面となっている。これにより、不使用時、収納する際、底板2の表面と当接して、安定な収納構造にできる。すなわち、天板1は、商品陳列台10の組み付けに好適な形状であり、不使用時、収納の際、コンパクト化に好適な形状である。
【0017】
天板1の裏面には、図3に示すように、縦横にリブ15が形成され、軽量化すると共に、強度を高めた構造としている。また、左右方向の中央で前後方向に延びる2つのリブ154の前後端には、切り欠き部16を形成している。この切り欠き部16は、不使用時、商品陳列台10を分解してコンパクト化する際、底板2の底板側嵌合部221の内側壁部の切り欠き部224と係止することで、天板1の設置位置を決定し、且つ前後方向への移動を規制する。
【0018】
底板2は、四角形の板状部材であり且つ天板1と平面視で略同じ大きさである。これにより、設置面への単独の設置が安定する。また、上方向へ積み重ねた際、設置安定性が向上する。底板2の板状は概ねの形状であり、厳密な形状を意味するものではない。
【0019】
図4に示すように、底板2の側部の下端部は、天板1の周回溝14に嵌る枠形状22である。すなわち、底板2の側部の下端部は、天板1の周回溝14に嵌る薄肉の板状脚形状となっている。これにより、下側の商品陳列台10に安定して積み重ねることができる。底板2は、商品が載る載置面21を形成すると共に、天板1及び板状の一対の柱3、3を支える基礎部材となるものである。また、商品陳列台10の不使用時、各部材をコンパクト化する際、板状の一対の柱3、3を寝かせて収納すると共に、天板1を支持する基礎部材となる。
【0020】
商品陳列台10が、天板1、底板2及び一対の柱3、3の組み付け体の場合、底板2は、表面の左側端近傍及び右側端近傍において、板状の一対の柱3、3の下方先端33と嵌合する底板側嵌合部221を備える。底板側嵌合部221は、嵌合孔222を有する。底板側嵌合部221は、嵌合孔222に板状の一対の柱3、3の先端部33が入り込む嵌合深さを採るため、底板2の表面から上方に若干延出する筒状構造を採る。また、本例では、底板側嵌合部221の筒状構造の内壁223を外壁225より上方に突出させ、商品陳列台10の収納状態において、天板1を支持するようにしている。すなわち、底板側嵌合部221の筒状構造の内壁223は板状であって、上辺部の前後方向の中央部には、切り欠き部224を形成している。この切り欠き部224は、不使用時、商品陳列台10を分解してコンパクト化する際、天板1の裏側に形成された切り欠き部16と係止することで、天板1との係止位置を決定し、前後方向への移動を規制する。また、板状の内壁223を高くすることで、天板1と底板2間に一対の柱3、3を寝かせて収納できる空間を形成している。すなわち、底板2は、商品陳列台10の組み付けに好適な形状であり、不使用時、収納の際、コンパクト化に好適な形状である。なお、底板2の前方側面22に形成される僅かに凹んだ矩形状部23は、メーカなどの広告シールが貼られる箇所である。
【0021】
板状の一対の柱3、3は、好適には、幅寸法が厚み寸法の4〜8倍のパネル状である。これにより、天板1と底板2を四隅ではなく、左右両側の端近傍であって且つ前後方向の中央部で連結支持することができる。また、柱3の底板2上の前方部分が空いているため、商品の陳列面積を大きく採れる。また、柱3の厚みは比較的薄くできるため、底板2上に形成しても陳列面積を大きくできる。また、横並びの設置の場合、柱3が気にならず、前方陳列部分が広く採れ、見栄えがよい。なお、板状は、厳密な形状を意味するものではなく、広く解されるものであり、本例のような裏側がリブ構造34のもの、不図示の厚み方向に部分的に凹んだもの、不図示の厚み方向に貫通された孔を1個又は複数個有するもの(不図示)等も含まれる。
【0022】
一対の柱3、3の先端には、ほぞが形成されている。すなわち、一対の柱3、3の先端の嵌合部32、33は、柱本体部31より一回り小さな板状体であり、柱本体部31と段差を介して連続している。上方先端の嵌合部32と下方先端の嵌合部33は同一形状であり、一対の柱3、3は、上下区別なく、使用できる。一対の柱3、3の上方先端の嵌合部32は、天板1の嵌合孔152に嵌り、一対の柱3、3の下方先端の嵌合部33は、底板2の嵌合孔22に嵌る。すなわち、一対の柱3、3の下方先端の嵌合部33は、その段差が嵌合孔22を形成する外壁225に当たるまで嵌入される。なお、柱本体部31の外側の上下方向の中央部に形成される僅かに凹んだ矩形状部35は、メーカなどの広告シール等が貼られる箇所である。また、柱3、3の長さは底板2の前後方向の長さよりやや短くすると、商品陳列台10不使用時、コンパクト収納が可能となる。
【0023】
商品陳列台10は、単独又は複数並べて使用することができる。商品陳列台10を単独で使用する場合、商品Aは天板1上や底板2上に載置でき、顧客は四方から陳列商品を見ることができる。底板2上に載置された商品は、柱3の無い正面側および後方側からは特に見え易く、取り出し易いし、柱3のある側面側からは柱3に遮断されない部分は顧客も見ることができ、取り出すこともできる。
【0024】
商品陳列台10を複数並べて使用する形態としては、横並び形態、縦並び形態、積み重ね形態及びこれらの組み合わせ形態を挙げることができる。いずれも商品が載置される陳列面を広く採れると共に、趣のある陳列形態を演出できる。例えば、図5に示すように、2つの商品陳列台10を横並びで設置する場合、底板2上であって且つ柱3の前方部分は、横長の広い陳列面を形成できる。このため、この横長の広い陳列面に商品を陳列すると、正面側の顧客からは、柱3がほとんど見えず、ひとつの商品陳列台のような錯覚を受ける。
【0025】
図6に示すように、複数の商品陳列台10を横並び、縦並び及び積み重ねをして使用する場合、積み重ねは、前後方向に碁盤目の単ピッチ分あるいは複数ピッチ分ずらして積み重ねることができる。この場合、2階建ての部分における柱3の前方部分はより広くなり、この前方部分に多くの商品を陳列できる。
【0026】
次に、組み立てられた商品陳列台10を分解及びコンパクト収納する場合について説明する。商品陳列台10の分解は、天板1、底板2及び板状の一対の柱3、3の各部材の嵌合を外すだけであり極めて容易に行える。コンパクト収納は、先ず、底板2上に、板状の一対の柱3、3を隣同士寝かせておく(図7参照)。この際、底板2上に置かれる板状の一対の柱3、3は、柱3、3の長手方向が前後方向に延びるように置く。そして、その上から天板1を組み付け位置から90度回転させた位置で、底板2上に置く。この際、天板1の裏側に形成された切り欠き部16が、底板2の底板側嵌合部221を形成する内側壁の切り欠き部224に係止するようにし、且つ天板側嵌合部151の先端の面が、底板2の商品載置面(表面)21に当接するように置く。これにより、天板1は底板2に対して、前後方向及び左右方向への移動が規制される。また、板状の一対の柱3、3は、底板2の底板側嵌合部221により左右方向の移動が規制され、天板1の天板側嵌合部151により前後方向の移動が規制される。また、コンパクト収納された商品陳列台10は、厚みが嵩張らないため、複数の商品陳列台10の保管に都合がよい。
【0027】
本発明の商品陳列台は、上記実施の形態例に限定されず、種々の変形例をとることができる。例えば、柱3の上方先端の嵌合部32と天板側嵌合部151との関係において、柱3の上方先端の嵌合部32は嵌合孔で、天板側嵌合部151が嵌合突起であってもよい。また、柱3の下方先端の嵌合部33と底板側嵌合部221との関係において、柱3の下方先端の嵌合部33が嵌合孔で、底板側嵌合部221が嵌合突起であってもよい。また、不使用時のコンパクト収納の際、天板1の天板側嵌合部151の先端は必ずしも、底板2の表面に当接している必要はなく、一対の柱3、3が転落しない程度の隙間が存在していてもよい。また、不使用時のコンパクト収納の際、底板側嵌合部221と天板1とが嵌合するような公知の嵌合構造であってもよい。
【0028】
また、底板側嵌合部221の筒状構造は、底板2の表面に突出せず、底板2の裏側に形成され、孔の開口のみが表面に表われる構造であってもよい。
【0029】
本発明において、商品陳列台10の前後方向の一部とは、上記形態のように前後方向の中央部の他、前後方向の後方部を言う。すなわち、商品陳列台10の前後方向の一部とは、天板1と底板2の両側の辺の前後方向の全部を言うのではなく、前方側を開けた中央から後方にかけての辺を言う。このため、一対の柱の幅寸法(前後方向長さ)は、天板1又は底板2の前後方向長さの2/3〜1/3程度とすることが、前方陳列部分が広く採れる一方、強度を保持できる点で好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の商品陳列台によれば、新規な構造の商品陳列台を比較的簡単に金型製造できる。また、百貨店およびスーパー等では、趣のある陳列面を演出できる。また、保管スペースをとらない。このため、製造メーカ及び使用者共に、有益な商品陳列台となる。
【符号の説明】
【0031】
1 天板
2 底板
3 板状の柱
10 商品陳列台
11 天面
12 碁盤目の溝
14 周回溝
151 天板側嵌合部
221 底板側嵌合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
四角形の板状部材である天板と、
四角形の板状部材であり且つ該天板と平面視が略同じ大きさの底板と、
該天板と該底板を左右両端近傍であって且つ前後方向の一部で連結支持する板状の一対の柱と、を備えることを特徴とする商品陳列台。
【請求項2】
該商品陳列台は、該天板と、該底板と、該板状の一対の柱を嵌め込みにより組み付けたものであることを特徴とする請求項1記載の商品陳列台。
【請求項3】
該前後方向の一部が、前後方向の中央部又は前後方向の後方部であることを特徴とする請求項1又は2記載の商品陳列台。
【請求項4】
該天板の天面には、碁盤目の溝が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の商品陳列台。
【請求項5】
該天板の天面の周縁には、該碁盤目の溝底より低い溝底を有する周回溝が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の商品陳列台。
【請求項6】
該天板は、裏面の左側端近傍及び右側端近傍において、該板状の柱の上方先端と嵌合する天板側嵌合部を備えることを特徴とする請求項2記載の商品陳列台。
【請求項7】
該天板側嵌合部が、嵌合孔であることを特徴とする請求項6記載の商品陳列台。
【請求項8】
該底板は、表面の左側端近傍及び右側端近傍において、該板状の柱の下方先端と嵌合する底板側嵌合部を備えることを特徴とする請求項2記載の商品陳列台。
【請求項9】
該底板側嵌合部が、嵌合孔であることを特徴とする請求項8記載の商品陳列台。
【請求項10】
該底板の側部の下端部は、天板の周回溝に嵌る枠形状であることを特徴とする請求項5記載の商品陳列台。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−85898(P2012−85898A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−236208(P2010−236208)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(394016874)河淳株式会社 (61)
【Fターム(参考)】