説明

商品陳列方法およびそれに用いる商品陳列台

【課題】多数の商品やテスターを、その関連情報をわかりやすく提供しながら陳列することができ、しかもその入れ替えや配置替えを容易に行うことのできる商品陳列方法およびそれに用いる商品陳列台を提供する。
【解決手段】陳列面に、外形寸法が統一されたテスター12を収容しうる収容凹部13を複数個、規則的な配置で形成するとともに、上記テスター12の外形と略同一寸法の外形を有する画像表示装置14A〜14Cを準備し、上記収容凹部13を用いて、テスター12と画像表示装置14A〜14Cとを規則的に陳列するとともに、上記画像表示装置14A〜14Cの液晶画面15において、その近傍に陳列されたテスター12に関連する情報を表示するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店頭で多数の商品やテスターを、その関連情報を提供しながら陳列することができ、しかもその入れ替えや配置替えを容易に行うことのできる商品陳列方法およびそれに用いる商品陳列台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、セルフタイプの化粧品販売店やドラッグストア等では、店員に相談することなく、顧客自身が店頭等で化粧品を自由に選択することができるように、大型の化粧品陳列用什器を設置して、各棚に化粧品や試供用のテスターを、日用雑貨のように大量に陳列することが行われている。
【0003】
上記陳列を行う場合、化粧品やテスターを、直接什器の棚板上に並べるのではなく、棚面をいくつかに分割し、各分割スペースに、化粧品やテスターを収容保持する小型の陳列台を並べて陳列する方法が多く行われている。すなわち、このような小型の陳列台を用いて陳列を行うと、商品やテスターの入れ替えや配置替えが容易で、少ない労力で、最適な陳列形態を維持管理できるからである。
【0004】
このような陳列台としては、例えば図11に示すようなものがあげられる。この陳列台は、その陳列面に、中皿(図示せず)に充填されたパウダーファンデーション1(色見本)と、これを収容するテスター収容皿2とからなるテスター3が、試供用として多数、規則的に収容されており、別に陳列されているコットンや刷毛によって、顧客が自分の肌にこれを塗って、塗った感じや肌の上での色合い等を確認することができるようになっている。
【0005】
上記テスター収容皿2は、色見本の入れ替えや新商品との置き換え等をスムーズに行うことができるよう、全て同一寸法(この例では、図示のように、外形寸法が65mm×65mm×10mm)に規格化されている場合が多い。このため、陳列台の陳列面上に、上記テスター収容皿2を略隙間なく縦横に並べることができ、限られたスペースに多数の色見本を陳列することができるという利点を有する反面、テスター3が陳列された陳列面に、その商品説明や広告を表示する余白部を設けにくいという問題がある。仮に設けても、陳列部分との統一感を得ることができない。ちなみに、この例では、陳列台の背面パネル4と前端面5を利用して、商品名やキャッチフレーズ等を表示しているが、陳列された個々のテスター3と具体的に関連した表示ではないため、陳列された個々のテスター3を、顧客に強く印象づける効果に乏しいという問題がある。
【0006】
ところで、最近、店頭の陳列什器に液晶表示パネルを組み込んで、陳列商品の使用方法やその効能を、視覚的に表示するようにしたもの(特許文献1参照)や、商品の展示部に、静止画像やテレビ画像を表示する小型電子画像装置を取り付けて、そこに展示される商品に関する情報や新商品の広告情報を提供するようにしたもの(特許文献2参照)が提案され、一部で実用化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−76016号公報
【特許文献2】特開平7−134555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1のように、陳列什器に液晶表示パネルを組み込んだものは、什器がさらに大型化するため、限られたスペースに多種多様の商品をできるだけ多く陳列する、というセルフ販売形式の陳列形態にはなじみにくいという問題がある。しかも、上記液晶表示パネルは、見栄えをよくするために、通常、什器の裏側から取り付けられているため、液晶表示パネルにトラブルが生じた場合やこれを新機種に交換する場合、いちいち什器を手前にずらして裏側に入り込んで作業を行わなければならず、メンテナンス作業性が悪いという問題がある。
【0009】
また、上記特許文献2のように、小型電子画像装置を用いたものは、これを、展示部の正面から手前に突出させた状態で取り付けるようになっているため、この陳列構造を化粧品テスターの陳列に適用すると、顧客が手を伸ばして化粧品テスターを試供する動作の邪魔になり、実用的でないという問題がある。しかも、上記どちらのタイプも、その表示画面によって提供される情報が、陳列商品と具体的に関連づけて表示されるわけではないため、前記の場合と同様、陳列商品を強く印象づけることができないという問題を、依然として有している。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、多数の商品やテスターを、その関連情報をわかりやすく提供しながら陳列することができ、しかもその入れ替えや配置替えを容易に行うことのできる、優れた商品陳列方法と、それに用いる商品陳列台の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するため、本発明は、外形が同一寸法となるよう統一された商品もしくはテスターを複数個並べて陳列する方法であって、その陳列予定面に、上記商品もしくはテスターを収容しうる収容凹部を複数個、規則的な配置で形成するとともに、上記商品もしくはテスターの外形と略同一寸法の外形を有する少なくとも一個の画像表示装置を準備し、上記収容凹部を用いて、商品もしくはテスターと上記画像表示装置とを規則的に陳列するとともに、上記画像表示装置の表示画面において、上記画像表示装置の近傍に陳列された商品もしくはテスターに関連する情報を表示するようにした商品陳列方法を第1の要旨とする。
【0012】
また、本発明は、そのなかでも、特に、上記商品もしくはテスターを個別に収容しうる収容凹部のうち、少なくともその一部を、商品もしくはテスターを複数個並べた状態で収容しうる連続凹部に形成し、少なくとも上記連続凹部内に商品もしくはテスターと上記画像表示装置とを組み合わせて収容するようにした商品陳列方法を第2の要旨とする。
【0013】
さらに、本発明は、外形が同一寸法となるよう統一された商品もしくはテスターを複数個並べて陳列する方法であって、その陳列予定面に、上記商品もしくはテスターを収容しうる収容凹部を複数個、規則的な配置で形成し、かつその少なくとも一部を、商品もしくはテスターを複数個並べた状態で収容しうる連続凹部に形成するとともに、上記商品もしくはテスターを複数個連続的に並べた状態の外形と略同一寸法の外形を有する少なくとも一個の画像表示装置を準備し、少なくとも上記連続凹部を用いて上記画像表示装置を陳列し、連続凹部の一部もしくは連続凹部以外の収容凹部を用いて商品もしくはテスターを陳列することにより、商品もしくはテスターと上記画像表示装置とを規則的に陳列するとともに、上記画像表示装置の表示画面において、上記画像表示装置の近傍に陳列された商品もしくはテスターに関連する情報を表示するようにした商品陳列方法を第3の要旨とする。
【0014】
また、本発明は、外形が同一寸法となるよう統一された商品もしくはテスターを複数個並べて陳列するための商品陳列台であって、上記商品もしくはテスターを収容しうる収容凹部が複数個、規則的な配置で形成された陳列面と、上記商品もしくはテスターの外形と略同一寸法の外形を有する少なくとも一個の画像表示装置とを備え、上記収容凹部を用いて、商品もしくはテスターと上記画像表示装置とが規則的に陳列され、上記画像表示装置の表示画面において、上記画像表示装置の近傍に陳列された商品もしくはテスターに関連する情報が表示されるようになっている商品陳列台を第4の要旨とする。
【0015】
そして、本発明は、そのなかでも、特に、上記商品もしくはテスターを個別に収容しうる収容凹部のうち、少なくともその一部が、商品もしくはテスターを複数個並べた状態で収容しうる連続凹部に形成されており、少なくとも上記連続凹部内に商品もしくはテスターと上記画像表示装置とが組み合わせて収容されるようになっている商品陳列台を第5の要旨とする。
【0016】
さらに、本発明は、外形が同一寸法となるよう統一された商品もしくはテスターを複数個並べて陳列するための商品陳列台であって、上記商品もしくはテスターを収容しうる収容凹部が複数個、規則的な配置で形成され、かつその少なくとも一部が、商品もしくはテスターを複数個並べた状態で収容しうる連続凹部に形成された陳列面と、上記商品もしくはテスターを複数個連続的に並べた状態の外形と略同一寸法の外形を有する少なくとも一個の画像表示装置とを備え、少なくとも上記連続凹部に上記画像表示装置が陳列され、連続凹部の一部もしくは連続凹部以外の収容凹部に上記商品もしくはテスターが陳列されることにより、商品もしくはテスターと上記画像表示装置とが規則的に陳列され、上記画像表示装置の表示画面において、上記画像表示装置の近傍に陳列された商品もしくはテスターに関連する情報が表示されるようになっている商品陳列台を第6の要旨とする。
【0017】
また、本発明は、それらのなかでも、特に、上記画像表示装置が、画像表示装置自身もしくは収容凹部内に設けられた起立手段、あるいは両者に設けられた係合手段によって、上記収容凹部内において所定の角度で起立するようになっている商品陳列台を第7の要旨とする。
【発明の効果】
【0018】
すなわち、本発明の商品陳列方法は、外形が同一寸法となるよう統一された商品もしくはテスターを陳列する際に、上記商品もしくはテスターと略同一寸法の外形を有する画像表示装置を準備し、この画像表示装置と、商品もしくはテスターとを、その陳列予定面に画一的に形成された収容凹部内を利用して、規則的に陳列するとともに、上記画像表示装置によって、その画像表示装置の近傍に陳列された商品もしくはテスターに関連する情報を表示するようにしたものである。
【0019】
この商品陳列方法によれば、従来、商品情報等を表示するために、商品等の陳列面とは別の場所に設置されていた画像表示装置を、商品やテスターと同列に、規則的に並べて陳列するようにしたため、画像表示装置設置用に余分なスペースをとる必要がなく、陳列面全体をすっきりとみせることができる。しかも、設置された画像表示装置が、違和感なく規則的に商品もしくはテスターと並んで陳列されるため、全体として統一感、秩序感のある陳列構成となり、顧客に対し好感度を与えることができる。そして、上記画像表示装置の表示画面において、その近傍に陳列された商品もしくはテスターの商品情報や関連情報を豊富に提供するようになっているため、両者の位置関係をみれば、その情報に関する商品もしくはテスターを即座に特定することができ、その商品もしくはテスターに関し、強い印象を与えることができる。
【0020】
そして、この商品陳列方法によれば、上記収容凹部を利用して、商品もしくはテスターの配置替えや商品の入れ替え等を容易に行うことができるだけでなく、画像表示装置の周辺における商品もしくはテスターの配置を変更した場合には、その変更に合わせて、上記画像表示装置による表示内容を変更するだけで、簡単に、新たな配置に対応した新しい情報を表示させることができるため、少ない労力で、常に顧客動向に合致した、最善の商品陳列構造を、具体的な商品関連情報とともに提供することができる。
【0021】
また、本発明の商品陳列方法のなかでも、特に、上記商品もしくはテスターを個別に収容しうる収容凹部のうち、少なくともその一部を、商品もしくはテスターを複数個並べた状態で収容しうる連続凹部に形成し、少なくとも上記連続凹部内に商品もしくはテスターと上記画像表示装置とを組み合わせて収容するようにした場合には、上記連続凹部を利用して、より緊密な並び方で商品もしくはテスターと画像表示装置とを一まとまりで陳列することができるため、上記連続凹部と、それ以外の収容凹部との組み合わせによって、より変化に富んだ陳列構造を提供することができる。
【0022】
さらに、画像表示装置として、上記商品もしくはテスターを複数個並べた状態の外形と略同一寸法の外形を有するものを用い、陳列予定面上に形成された上記と同様の連続凹部を利用して上記画像表示装置を陳列し、この連続凹部の一部もしくは連続凹部以外の収容凹部を利用して、画像表示装置と商品もしくはテスターとを陳列した場合には、これらを規則的に、統一感をもって陳列できるだけでなく、上記商品もしくはテスターの複数個分の外形の画像表示装置を用いることにより、より大きな画面で見やすく商品関連情報を提供することができる。
【0023】
そして、本発明の商品陳列装置によれば、多数の商品やテスターが統一的に整然と陳列されており、しかもその陳列された商品やテスターに関する情報が、その陳列品のごく近傍に配置された画像表示装置の画面によって表示されるようになっているため、顧客がその情報を視覚的に確認しながら、商品やテスターを手にとることができ、顧客の関心を高めることができる。しかも、収容凹部に、商品やテスターと同列に画像表示装置が収容されているため、これらの配置替えや種類の変更の作業性がよいだけでなく、その変更後の配置に対応した商品情報を、その近傍の画像表示装置が表示するよう設定し直すだけで、簡単に、陳列形態に合致した情報提供を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】図1のA−A′断面において、テスター収容皿と画像表示装置を取り出した状態を示す説明図である。
【図3】上記一実施の形態において、画像表示装置の陳列姿勢の変形例を示す斜視図である。
【図4】上記変形例における画像表示装置の設置方法の説明図である。
【図5】(a)、(b)は、ともに上記画像表示装置の陳列に用いられる姿勢ガイドの説明図である。
【図6】上記画像表示装置の陳列姿勢の他の変形例を示す部分的な説明図である。
【図7】上記一実施の形態において、収容凹部の変形例を示す部分的な断面図である。
【図8】(a)は、上記画像表示装置の変形例を示す斜視図、(b)は、上記画像表示装置に取り付けられた姿勢ガイドの説明図である。
【図9】(a)は、本発明の他の実施の形態を示す平面図、(b)は、本発明のさらに他の実施の形態を示す平面図である。
【図10】本発明の他の実施の形態を示す平面図である。
【図11】従来のテスター陳列台の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
つぎに、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。ただし、本発明は、この実施の形態に限定されるわけではない。
【0026】
図1は、本発明を、化粧品を取り扱う店舗の店頭に設置されるテスター陳列台に適用した一実施の形態を示す斜視図である。この陳列台の陳列面には、色見本として試用に供するパウダーファンデーション10をテスター収容皿11に充填してなるテスター12と、商品に関する情報等を表示する画像表示装置14A〜14Cとが、左右前後に規則的に並んだ状態で陳列されている。
【0027】
この陳列台には、図1のA−A′断面図である図2に示すように、テスター12を各別に収容保持するための収容凹部13が、前後に3個、左右に4個(合計12個)、規則的に並んだ状態で形成されており、各収容凹部13内に、テスター12が個別に収容されている。これらのテスター12は、図11の場合と同様、外形寸法が65mm×65mm×10mm)の、統一規格品である。
【0028】
そして、そのうち、3個所の収容凹部13内には、テスター12に代えて、テスター12の外形寸法と略同一寸法の外形を有する画像表示装置14A〜14Cが収容されている。なお、画像表示装置14A〜14Cの説明において、配置を問題にすることなく総称として「画像表示装置」を指す場合は、「画像表示装置14」という。
【0029】
上記画像表示装置14の平面形状は、上記テスター12の平面寸法と全く同一の、65mm×65mmに設定されており、その厚み寸法も、上記テスター12の厚みと同様、10mmに設定されている。しかし、その底面の前端部と後端部とが、図2において14a、14bで示すように、45°のテーパ面に形成されている。したがって、本発明において、「外形が略同一寸法」とは、両者の要部(陳列時に顧客の目に晒される部分。この場合は、テスター12と画像表示装置14の平面形状)が略同一寸法であれば足りるのであり、陳列時に見えない部分との形状が多少異なっていてもよい。そして、要部においても、両者が完全に同一である必要はなく、寸法的に多少の差異(例えば±10mm以内)があっても差し支えない。
【0030】
そして、上記画像表示装置14には、それぞれ、店舗内に設けられるサーバコンピュータから無線LANを介して送信される画像データを受信する受信手段と、上記画像データを処理して液晶画面15から表示させる画像処理手段とが設けられており、3種類の画像表示装置14A、14B、14C(図1に戻る)において、それぞれ異なる画像表示がなされるようになっている。なお、上記液晶画面15は、タッチパネル式になっている。
【0031】
上記画像表示装置14をより具体的に説明すると、図1において、向かって左端の中段に配置された画像表示装置14Aの液晶画面15には、その手前側と奥側に配置されたテスター12a、12bのファンデーション10に関する情報(例えば、テスター12a、12bのファンデーション10は赤ら顔の肌の赤みを抑えるためのものであり、その使用方法や、これらのファンデーション10に組み合わせて用いることが好ましいフェイスカラーやメイクアップ化粧品の種類に関する情報)が表示されるようになっている。そして、液晶画面15において表示される矢印表示16をタッチすると、その矢印方向の先に配置されたテスター(12aか12b)が特定され、そのテスターに関し、より詳細な情報が得られるようになっている。
【0032】
また、奥段の、右から2番目に配置された画像表示装置14Bの液晶画面には、その左右に配置されたテスター12c、12dのファンデーション10に関する情報(例えば、テスター12c、12dのファンデーション10は顔色の悪い肌を明るく見せるためのものであり、その使用方法や、これらのファンデーション10に組み合わせて用いることが好ましいフェイスカラーやメイクアップ化粧品の種類に関する情報)が表示されるようになっている。そして、上記の場合と同様、液晶画面15において表示される矢印表示16をタッチすると、その矢印方向の先に配置されたテスター(12cか12d)が特定され、そのテスターに関し、より詳細な情報が得られるようになっている。
【0033】
さらに、中段の、右から2番目に配置された画像表示装置14Cの液晶画面には、その左右と手前側に配置された5つのテスター12e〜12iのファンデーション10に関する情報(例えば、これらのファンデーション10は、多少色味が異なる標準的な肌に適用されるもので、その使用方法や、これらのファンデーション10に組み合わせて用いることが好ましいフェイスカラーやメイクアップ化粧品の種類に関する情報)が表示されるようになっている。そして、上記の場合と同様、液晶画面15において表示される矢印表示16をタッチすると、その矢印方向の先に配置されたテスター(12e〜12iのいずれか)が特定され、そのテスターに関し、より詳細な情報が得られるようになっている。
【0034】
したがって、この構成によれば、多数のテスター12が画像表示装置14とともに、統一的に整然と陳列されており、全体として、非常にすっきりした印象を与えることができる。しかも、その陳列されたテスター12に関する情報が、その画面に表示される矢印表示16によって、その近隣のテスター12と関連づけられた状態で表示されるようになっているため、顧客がその情報を視覚的に確認しながら、その特定のテスター12を手にとることができ、顧客の関心を高めることができる。しかも、収容凹部13に、テスター12と同列に画像表示装置14が収容されているため、これらの配置替えや種類の変更の作業性がよいだけでなく、その変更後の配置に対応した商品情報を、その近傍の画像表示装置14が表示するよう設定し直すだけで、簡単に、陳列形態に合致した情報提供を行うことができる。
【0035】
なお、上記の例において、画像表示装置14の前後の端部が45°のテーパ面に形成されていることを利用して、例えば図3に示すように、画像表示装置14の少なくとも一つ( この例では14B)を、45°傾斜した姿勢で起立させることにより、その液晶画面15を、平坦な陳列面から突出させて、より目立たせることができる。
【0036】
上記起立姿勢を安定的に保持するには、例えばその縦断面図である図4および斜視図である図5(a)に示すように、屈曲形状の起立ガイド20を、陳列台の収容凹部13と画像表示装置14Bの底面との間に嵌め込むことが好適である。このとき、上記起立ガイド20の下辺部20aを、収容凹部13の底面において、画像表示装置14Bと収容凹部13の立ち上がり壁13aとの間にちょうど収まる寸法に設定しておけば、画像表示装置14Bががたつくことがなく、使い勝手がよい。
【0037】
また、上記屈曲形状の起立ガイド20に代えて、図5(b)に示すような、三角柱形状の起立ガイド20′を用いることもできる。これらの起立ガイド20、20′は、樹脂成形品の他、金属、木、紙等によって形成することができる。
【0038】
なお、画像表示装置14を起立させる場合の角度は、45°に限らず、陳列台における陳列面の傾斜角度等に応じて、画像表示装置14が他の陳列品より突出した傾斜で見やすい適宜の角度に調整することが好適である。ちなみに、陳列面が水平な場合には、例えば図6に示すように、断面L字状の起立ガイド20″を用いて、画像表示装置14を垂直に立てることが好適である。
【0039】
また、起立ガイド20等を用いるのではなく、例えば、図7に示すように、陳列台の収容凹部13の内壁面に、起立姿勢保持用の突条21を設け、この突条21の傾斜面21aによって、画像表示装置14の前端部を挟持することによって、画像表示装置14を斜めに起立保持するようにしてもよい。この場合、上記突条21の上面21bを利用して、起立させない画像表示装置14や、他のテスター12を収容保持することができる。
【0040】
なお、上記の例では、画像表示装置14に起立姿勢を与えやすいよう、その前後の端部にテーパ面14a、14bを設けた(図2参照)が、このようなテーパ面14a、14bは必ずしも必要ではなく、図8(a)に示すような形状であっても差し支えない。そして、この場合、例えば図8(b)に示すように、その底面に、いわゆる額縁立てのような起立ガイド22を取り付けるようにしてもよい。
【0041】
また、上記の例では、陳列台の陳列面に、テスター12を各別に収容保持する収容凹部13を設けたが、収容凹部13の形状は、これに限るものではなく、例えば、図9(a)に示すように、テスター12が横1列に複数個ずつ(この図では4個ずつ)並ぶ連続凹部25を形成するようにしてもよい。この連続凹部25を利用して、テスター12と画像表示装置14とを組み合わせて陳列してもよいし、テスター12のみを並べて陳列してもよい。
【0042】
この構成によれば、より緊密な並び方でテスター12と画像表示装置14とを一まとまりで陳列することができる。そして、左右方向にスライドさせながらテスター12や画像表示装置14の配置替えを行うことができ、作業がしやすいという利点を有する。
【0043】
もちろん、陳列台の陳列面に、上記連続凹部25と、各別にテスター12を収容しうる収容凹部13(図1参照)とを、適宜の配置で形成して、テスター12と画像表示装置14の陳列に利用することもできる。
【0044】
さらに、上記画像表示装置14に代えて、例えば図9(b)に示すように、その外形が、この陳列台に陳列されるテスター12を複数個(この図では2個)並べた状態の外形と略同一寸法となる画像表示装置26を準備し、上記と同様の連続凹部25を利用して、この画像表示装置26とテスター12とを組み合わせて陳列するようにしてもよい。もちろん、連続凹部25の形状によっては、この凹部25内に画像表示装置26のみを収容保持するようにしてもよい。
【0045】
この構成によれば、画像表示装置26とテスター12とを規則的に、統一感をもって陳列できるだけでなく、上記画像表示装置26を用いることにより、より大きな画面で見やすく商品関連情報を提供することができる。また、画面が大きくなることから、この画面を複数分割して、各分割画面において、それぞれ隣接した配置のテスター12に関する情報を表示することができる。なお、上記テスター複数個分の大きい画像表示装置26と、前記一個分の画像表示装置14とを組み合わせて用いるようにしてもよい。
【0046】
そして、上記の例は、テスター12と画像表示装置14を隙間なく縦横に並べた陳列であるが、例えば、図10に示すように、それらを斜めに配置したり、間隔を空けて配置したりすることもできる。そして、上記テスター12と画像表示装置14の陳列の間のスペースには、図示のように、棒状のリップカラーテスター40や、チークカラーテスター41を、併せて陳列することができる。
【0047】
さらに、上記の例では、テスター12の規格化された外形寸法が65mm×65mm×10mmであるが、上記規格寸法は、商品の種類やシリーズによって、適宜の大きさに設定されるものであり、固定的なものではない。
【0048】
そして、上記の例では、画像表示装置14に対して、店舗内に別途設けられるサーバコンピュータから画像データを送信するようにしたが、画像データの提供手段は、サーバコンピュータに限らず、例えば、POSレジ等を利用して行うこともできる。また、画像データの送信手段は、無線であっても有線であってもよいが、有線の場合、陳列台において、配線用のスペースを考慮する必要があるため、無線の方が好ましい。
【0049】
さらに、インターネット回線に接続されたサーバコンピュータ等を利用することにより、異なる店舗やデータ管理機関等において設定された陳列管理システムと、店舗における各画像表示装置14とを接続し、上記システムに陳列データを送信し、最適な画像データを上記システムから配信して、多数の店舗の陳列態様と画像表示とを一括管理することも可能である。
【0050】
また、上記の例では、画像表示装置14が、液晶画面15を備えたものであるが、画像表示部の構成は、液晶画面に限らず、プラズマ画面、ブラウン管画面等、各種の画面表示手段を採用することができる。なかでも、画面の鮮明度とコンパクト化の容易性から、液晶画面を用いることが最適である。
【0051】
そして、上記の例では、画像表示装置14の液晶画面15をタッチパネル式の画面とし、その画面上に、周囲に配置されたテスター12を指し示す矢印表示16(図1参照)を表示するようにしたが、テスター12を特定するための表示は、これに限るものではない。例えば、その画面上に、画像表示装置14を中心とする陳列構成の模式図を表示し、その模式図から、目的とするテスター12をタッチして特定できるようにしてもよい。あるいは、画面上に、順次、その周囲に配置されたテスター12の説明が流れるようにしておき、特定の画面になった時点で、これをタッチして画像を停止させたり、スローモーションにしたりして、テスター12を試供する際の参考にさせるようにしてもよい。もちろん、画面上に、特に、周囲のテスター12から特定のテスター12を選択するための選択手段を設けなくても、その画像表示装置14の画面上に、その周囲のテスター12に関する商品情報が表示されるだけで、顧客は、その近傍に陳列された具体的なテスター12と関連づけながらその情報を知得することができ、一定の効果を奏する。
【0052】
さらに、上記の例では、陳列対象が、化粧品であるファンデーション11のテスター12であったが、本発明の陳列対象は、化粧品のテスターに限らず、実際の商品そのものであってもよい。また、薬品や食品等であってもよい。ただし、それらの商品は、いずれも、同一寸法に規格されたものを並べて陳列するものであり、その外形寸法と略同一に設定された画像表示装置と組み合わせて陳列するようにしたものでなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、化粧品等の商品をわかりすく陳列するための陳列方法およびそれに用いる陳列台に利用することができる。
【符号の説明】
【0054】
12 テスター
13 収容凹部
14A、14B、14C 画像表示装置
15 液晶画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外形が同一寸法となるよう統一された商品もしくはテスターを複数個並べて陳列する方法であって、その陳列予定面に、上記商品もしくはテスターを収容しうる収容凹部を複数個、規則的な配置で形成するとともに、上記商品もしくはテスターの外形と略同一寸法の外形を有する少なくとも一個の画像表示装置を準備し、上記収容凹部を用いて、商品もしくはテスターと上記画像表示装置とを規則的に陳列するとともに、上記画像表示装置の表示画面において、上記画像表示装置の近傍に陳列された商品もしくはテスターに関連する情報を表示するようにしたことを特徴とする商品陳列方法。
【請求項2】
上記商品もしくはテスターを個別に収容しうる収容凹部のうち、少なくともその一部を、商品もしくはテスターを複数個並べた状態で収容しうる連続凹部に形成し、少なくとも上記連続凹部内に商品もしくはテスターと上記画像表示装置とを組み合わせて収容するようにした請求項1記載の商品陳列方法。
【請求項3】
外形が同一寸法となるよう統一された商品もしくはテスターを複数個並べて陳列する方法であって、その陳列予定面に、上記商品もしくはテスターを収容しうる収容凹部を複数個、規則的な配置で形成し、かつその少なくとも一部を、商品もしくはテスターを複数個並べた状態で収容しうる連続凹部に形成するとともに、上記商品もしくはテスターを複数個連続的に並べた状態の外形と略同一寸法の外形を有する少なくとも一個の画像表示装置を準備し、少なくとも上記連続凹部を用いて上記画像表示装置を陳列し、連続凹部の一部もしくは連続凹部以外の収容凹部を用いて商品もしくはテスターを陳列することにより、商品もしくはテスターと上記画像表示装置とを規則的に陳列するとともに、上記画像表示装置の表示画面において、上記画像表示装置の近傍に陳列された商品もしくはテスターに関連する情報を表示するようにしたことを特徴とする商品陳列方法。
【請求項4】
外形が同一寸法となるよう統一された商品もしくはテスターを複数個並べて陳列するための商品陳列台であって、上記商品もしくはテスターを収容しうる収容凹部が複数個、規則的な配置で形成された陳列面と、上記商品もしくはテスターの外形と略同一寸法の外形を有する少なくとも一個の画像表示装置とを備え、上記収容凹部を用いて、商品もしくはテスターと上記画像表示装置とが規則的に陳列され、上記画像表示装置の表示画面において、上記画像表示装置の近傍に陳列された商品もしくはテスターに関連する情報が表示されるようになっていることを特徴とする商品陳列台。
【請求項5】
上記商品もしくはテスターを個別に収容しうる収容凹部のうち、少なくともその一部が、商品もしくはテスターを複数個並べた状態で収容しうる連続凹部に形成されており、少なくとも上記連続凹部内に商品もしくはテスターと上記画像表示装置とが組み合わせて収容されるようになっている請求項4記載の商品陳列台。
【請求項6】
外形が同一寸法となるよう統一された商品もしくはテスターを複数個並べて陳列するための商品陳列台であって、上記商品もしくはテスターを収容しうる収容凹部が複数個、規則的な配置で形成され、かつその少なくとも一部が、商品もしくはテスターを複数個並べた状態で収容しうる連続凹部に形成された陳列面と、上記商品もしくはテスターを複数個連続的に並べた状態の外形と略同一寸法の外形を有する少なくとも一個の画像表示装置とを備え、少なくとも上記連続凹部に上記画像表示装置が陳列され、連続凹部の一部もしくは連続凹部以外の収容凹部に上記商品もしくはテスターが陳列されることにより、商品もしくはテスターと上記画像表示装置とが規則的に陳列され、上記画像表示装置の表示画面において、上記画像表示装置の近傍に陳列された商品もしくはテスターに関連する情報が表示されるようになっていることを特徴とする商品陳列台。
【請求項7】
上記画像表示装置が、画像表示装置自身もしくは収容凹部内に設けられた起立手段、あるいは両者に設けられた係合手段によって、上記収容凹部内において所定の角度で起立するようになっている請求項4〜6のいずれか一項に記載の商品陳列台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−207277(P2010−207277A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−53848(P2009−53848)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000158781)紀伊産業株式会社 (327)