説明

商品陳列棚のカバー装置

【課題】ロールスクリ−ンが汚れるのを防止するとともに、ガイドロッドを、簡単な操作で、前方の使用位置と、商品の取出しに邪魔にならない後方の不使用位置とに位置させうるようにしたカバー装置を提供する。
【解決手段】左右の支柱4の上端部に、ロールスクリーン11を取付けた前方を向く左右1対のスクリーン支持ブラケット12を取付け、この両スクリーン支持ブラケット12間に、左右1対の回動片20と、左右方向を向くガイドロッド21とからなるスクリーン支持アーム13を、ガイドロッド21がスクリーン支持ブラケット12の前方に突出する使用位置と、同じくガイドロッド21が両スクリーン支持ブラケット12間の後方に位置する不使用位置とに選択的に回動させうるように設け、ロールスクリーン11より引き出したスクリーン11aを、使用位置としたスクリーン支持アーム13のガイドロッド21を介して垂下させることにより、上下複数段の棚板8の前方と、最上段の棚板の上方を覆いうるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下複数段の棚板の前方と、最上段の棚板の上方とを覆う商品陳列棚のカバー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
店舗において、例えば薬剤や化粧品等、薬剤師又は販売員による商品説明が必要な商品の場合には、閉店又は薬剤師等が不在となる際に、商品陳列棚の商品をカバーにより目隠しして、来客に、商品の販売が終了または一時中断していることを報知することがある。
本願出願人は、このようなときに使用されるカバー装置を案出し、先に特許出願している(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−212304号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献に記載されているカバー装置においては、商品陳列棚におけるベース棚板の前端、すなわち足元付近にロールスクリーンを取付け、スクリ−ン端部の引出しロッドを上方に引き上げることにより、商品陳列棚に載置した商品の前方と最上方とを目隠しするようにしているので、ロールスクリ−ンが汚れ易いという問題がある。
【0004】
また、引き出したスクリ−ンを陳列棚の上端前部において後向きに直角に折曲させ、最上段の棚板に載置した商品にスクリ−ンが干渉するのを防止するためのガイドロッドを、スクリ−ンに挟入、もしくは陳列棚の上端後部等の邪魔にならない位置に保管しておき、スクリ−ンを引き上げて商品を目隠しする使用時に、ガイドロッドも共に上方に持ち上げるか、もしくは保管位置から移動させて、陳列棚の支柱に取付けた1対のスクリ−ン支持アームの先端部に係止し、かつ不使用時にはそれから取外すようにしているため、その作業が面倒である。
【0005】
さらに、ロールスクリーン、それを使用状態に保持する保持部材、及びガイドロッド等が別体であるため、カバー装置全体をユニット化して陳列棚に取付けたり、既存の商品陳列棚に簡単に後付けしたりすることができない。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、ロールスクリ−ンが汚れるのを防止するとともに、ガイドロッドを、簡単な操作で、前方の使用位置と、商品の取出しに邪魔にならない後方の不使用位置とに位置させることができ、かつ全体をユニット化して取付けうるようにした商品陳列棚のカバー装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1)左右の支柱に取付けられた上下複数段の棚板の前方と、最上段の棚板の上方を覆うようにした商品陳列棚のカバー装置において、前記左右の支柱における前記最上段の棚板よりも上方に、前方に引出し可能なスクリーンを有する巻き込み式のロールスクリーンを取付けるとともに、前記ロールスクリーンの両側部または前記左右の支柱に、前方を向く左右1対のスクリーン支持ブラケットを取付け、この両スクリーン支持ブラケット間に、前後方向を向く左右1対の回動片の一端側の対向面に、左右方向を向くガイドロッドを取付けたスクリーン支持アームを、両回動片の他端側を前記左右のスクリーン支持ブラケットにおける前端部内側面に枢着することにより、前記ガイドロッドがスクリーン支持ブラケットの前方に突出する使用位置と、同じくガイドロッドが両スクリーン支持ブラケット間の後方に位置する不使用位置とに選択的に回動させうるように設け、前記ロールスクリーンより引き出したスクリーンを、前記使用位置としたスクリーン支持アームのガイドロッドを介して垂下させることにより、上下複数段の棚板の前方と、最上段の棚板の上方を覆いうるようにする。
【0008】
(2)上記(1)項において、ロールスクリーンを、左右のスクリーン支持ブラケットに取付け、この両スクリーン支持ブラケットの後端部を左右の支柱に取付ける。
【0009】
(3)上記(2)項において、左右のスクリーン支持ブラケットの後端に、下向き鉤状の係合爪を上下複数突設し、この係合爪を、支柱の前面に設けた係合孔に係合することにより、スクリーン支持ブラケットを支柱の前面に取付ける。
【0010】
(4)上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、左右のスクリーン支持ブラケットの内側面における回動片の枢着部の下方に、内向きのストッパピンを突設するとともに、回動片における枢着部を挟む上下の端縁部に、前記ストッパピンと当接可能な係止段部を、枢着部を中心として円周方向にほぼ180度離間させて設ける。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、ロールスクリーンは、商品陳列棚の支柱の上端部に設けられているので、足元に設けた従来のもののように、それが汚れたりすることはない。
また、スクリーン支持アームの回動操作のみで、ガイドロッドを、前方の使用位置と、商品の取出しの邪魔にならない後方の不使用位置とに、極めて容易に位置させることができる。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、ロールスクリーンをスクリーン支持ブラケットに取付けたことにより、全ての部材をスクリーン支持ブラケットに予め組み付けて、カバー装置をユニット化し、スクリーン支持ブラケットのみを支柱に取り付ければよいので、カバー装置の取付けが極めて容易となり、かつ既存の商品陳列棚にも簡単に後付けすることも可能となる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、スクリーン支持ブラケットの係合爪を、支柱の係合孔に係合させるだけの簡単な作業で、カバー装置を商品陳列棚に簡単に取付けることができるとともに、その取外しも容易となる。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、複雑なストッパ手段を設けなくても、スクリーン支持アームを、単に上向き、かつ前後方向に180度回動させるだけで、ストッパピンに上下の係止段部が当接して、スクリーン支持アームを、前方を向いてほぼ水平をなす使用位置と、後方を向いてほぼ水平をなす不使用位置とに、確実に停止させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1〜図3は、本発明のカバー装置の一実施形態を備える商品陳列棚の斜視図で、カバー装置の使用手順を示す図、図4及び図5は、同じく、カバー装置の不使用時と使用時の側面図である。
【0016】
商品陳列棚1は、前方を向くベース脚2と、その両側部後端より起立し、上下両端部の対向面同士を横杆3、3により連結された左右1対の支柱4、4と、ベース脚2に載置されたベース棚板5と、両支柱4の前面に列設された係合孔6に、左右1対のブラケット7をもって支持された上下複数段の棚板8とを備え、各棚板5、8には、商品9が載置されている。
【0017】
商品陳列棚1における左右の支柱4の上端部前面には、カバー装置10が、以下に詳述するようにして取付けられている。
カバー装置10は、図6〜図10に示すように、棚板5、8の左右寸法とほぼ等しい左右寸法のロールスクリ−ン11と、前後方向を向く左右1対のスクリ−ン支持ブラケット12、12と、平面視後向コ字状をなすスクリ−ン支持アーム13とを備えている。
【0018】
ロールスクリ−ン11は、正面視上向コ字状の取付ブラケット14の左右端における起立片14a、14aに回転自在に枢支された、巻取りロック及びロック自動解除機構が内蔵された公知の巻き込み式のもので、多重に巻回されたスクリ−ン11aの引出し端には、左右方向を向く引出しロッド15が取付けられている。
【0019】
スクリ−ン支持ブラケット12の後端には、上記支柱4の上下に隣接する3個の係合孔6に係合可能な下向き鉤状の3個の係合爪16が突設されている。
各スクリ−ン支持ブラケット12の後部の下端には、内向きの支持片12a が連設され、この支持片12a の上面には、上記取付ブラケット14を保持するための側面視コ字状をなす保持部材17が、それに設けた2個のめねじ孔18に、支持片12a の下方より挿入した止めねじ19、19を螺合することにより、固定されている。
【0020】
止めねじ19の長さは、その上端が保持部材17の上面より突出しない寸法とされている。
また、保持部材17における起立片17a、17aの上下寸法は、取付ブラケット14の横向水平片14bの厚さよりも大きく、かつ上端部の開口幅を、横向水平片14bの前後寸法より若干小としてある。従って、左右の保持部材17の起立片17a間に、横向水平片14bを上方より強く嵌合すると、取付ブラケット14が保持部材17より簡単に外れるのが防止され、取付ブラケット14及びそれに枢支されたロールスクリ−ン11が、左右のスクリ−ン支持ブラケット12の対向面間に位置するようにして、それらにより支持される(図6参照)。
【0021】
スクリ−ン支持アーム13は、前後方向を向く左右1対の回動片20、20と、それらの前端部の対向面に両側端が固定された左右方向を向くガイドロッド21とからなり、両回動片20の後端部を、左右のスクリ−ン支持ブラケット12間に挟入し、両回動片20の後端部と、左右のスクリ−ン支持ブラケット12の前端部とに穿設された左右方向を向く取付孔22、22に、外側方より拡径頭部付きのピン23を挿入し、内方の突出端をかしめることにより、スクリ−ン支持アーム13は、左右のスクリ−ン支持ブラケット12の前端部に、回動自在に枢着されている。
【0022】
左右のスクリ−ン支持ブラケット12における取付孔22の直下には、左右方向内向きのストッパピン24、24が突設されている。
また、左右の回動片20の後端部には、取付孔22を中心として円周方法にほぼ180度離間する上下2個の係止段部25、25が形成され、この両係止段部25のいずれかが、ストッパピン24に当接することにより、スクリ−ン支持アーム13は、図8に示すように、後方を向いて水平をなす不使用位置と、図9に示すように、前方を向いて水平をなす使用位置とに、選択的に停止して保持されるようになっている。なお、使用位置とした際のスクリーン支持アーム13の前後寸法は、そのガイドロッド21の前端が、最上段の棚板8の前端よりも若干前方に位置する長さに設定されている(図9参照)。
【0023】
図7は、上記のように予め組み付けられてユニット化されたカバー装置10を示し、このカバー装置10を商品陳列棚1に取付けるには、左右のスクリーン支持ブラケット12の後端の係合爪16を、左右の支柱4の前面に設けた係合孔6の上端部のものに係合させるのみでよい(図8参照)。
【0024】
図1、図4及び図8は、スクリーン支持アーム13を、後向きに回動させた不使用状態を示すものであるが、この状態では、最上段の棚板8の前方と上方は大きく開放されているので、それに載置された商品9の取り出しは容易であり、販売に支障を来すことはない。
【0025】
閉店または販売員が不在となるときなどに、商品9を目隠しするには、まず図2及び図9に示すように、スクリーン支持アーム13を、その両回動片20の下部の係止段部25が、左右のスクリーン支持ブラケット12のストッパピン24と当接するまで前上方に回動させ、前方を向いてほぼ水平をなす使用位置とする。
【0026】
ついで、図3、図5及び図10に示すように、ロールスクリーン11の引出しロッド15を把時して、前方に引っ張り、スクリーン11aを前方に引き出して、スクリーン支持アーム13のガイドロッド21に掛止したのち、さらに下方に引っ張り、引出しロッド15がベース棚板5の前端部上面と近接したところで手を離す。
この際、内部の巻取りロック機構が作用して、スクリーン11aが巻取られるのが防止されることにより、スクリーン11aは、引出しロッド15の重さにより垂下した状態に保持される。
【0027】
これにより、スクリーン11aは、側面視倒立L字状となり、商品陳列棚1の棚板5、8に載置されている商品9は、前方及び上方から目隠しされる。
【0028】
以上説明したように、上記実施形態のカバー装置10においては、ロールスクリーン11は商品陳列棚1の上端部に設けられているので、ロールスクリ-ンを足元に設けた従来のもののように、それが汚れたりすることはない。
また、スクリーン支持アーム13の回動操作のみで、ガイドロッド21を、前方の使用位置と、商品の取出しの邪魔にならない後方の不使用位置とに、極めて容易に位置させることができる。
【0029】
さらに、カバー装置10全体を、予め組み付けてユニット化し、左右のスクリーン支持ブラケット12の係合爪16を、単に支柱4の係合孔6に係合させるだけの作業で、カバー装置10を簡単に商品陳列棚1に取付けることができる。
また、ユニット化したカバー装置10を、既存の商品陳列棚に後付けすることもできる。
【0030】
なお、上記実施形態では、ロールスクリーン11を、取付ブラケット14により枢支し、この取付ブラケット14を左右のスクリ−ン支持ブラケット12に取り付けているが、取付ブラケット14を、左右の支柱4または上部の横杆3に取付けてもよく、また、取付ブラケット14を省略し、ロールスクリーン11を、左右のスクリーン支持ブラケット12に直接取付けることも可能である。
取付ブラケット14を支柱4や横杆3に取付けた際には、左右のスクリーン支持ブラケット12の後端部を、取付ブラケット14の外側面等に取付けることもある。
【0031】
また、上記実施形態においては、スクリーン支持アーム13のガイドロッド21を、左右の回動片20に固定しているが、左右方向を向く軸回りに回転自在に取付けてもよい。このようにすると、スクリーン11aとガイドロッド21との摩擦抵抗が小さくなるので、スクリーン11aを軽快に引っ張ることができるとともに、それが損傷される恐れも小さくなる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明のカバー装置の一実施形態を備える商品陳列棚におけるカバー装置不使用時の斜視図である。
【図2】同じく、スクリーン支持アームを前方に回動させた使用状態の斜視図である。
【図3】同じく、スクリーンを引いて商品を目隠ししたときの斜視図である。
【図4】同じく、図1の状態の側面図である。
【図5】同じく、図3の状態の側面図である。
【図6】同じく、カバー装置の分解斜視図である。
【図7】同じく、カバー装置組立時の斜視図である。
【図8】同じく、カバー装置不使用時の要部の拡大側面図である。
【図9】同じく、スクリーン支持アームを前方の使用位置に回動したときの要部の拡大側面図である。
【図10】同じく、スクリーンを引いたときの要部の拡大側面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 商品陳列棚
2 ベース脚
3 横杆
4 支柱
5 ベース棚板
6 係合孔
7 ブラケット
8 棚板
9 商品
10 カバー装置
11 ロールスクリーン
11a スクリーン
12 スクリーン支持ブラケット
12a 内向水平片
13 スクリーン支持アーム
14 取付ブラケット
14a 起立片
14b 横向水平片
15 引出しロッド
16 係合爪
17 保持部材
17a 起立片
18 めねじ孔
19 止めねじ
20 回動片
21 ガイドロッド
22 取付孔
23 ピン
24 ストッパピン
25 係止段部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の支柱に取付けられた上下複数段の棚板の前方と、最上段の棚板の上方を覆うようにした商品陳列棚のカバー装置において、
前記左右の支柱における前記最上段の棚板よりも上方に、前方に引出し可能なスクリーンを有する巻き込み式のロールスクリーンを取付けるとともに、前記ロールスクリーンの両側部または前記左右の支柱に、前方を向く左右1対のスクリーン支持ブラケットを取付け、この両スクリーン支持ブラケット間に、前後方向を向く左右1対の回動片の一端側の対向面に、左右方向を向くガイドロッドを取付けたスクリーン支持アームを、両回動片の他端側を前記左右のスクリーン支持ブラケットにおける前端部内側面に枢着することにより、前記ガイドロッドがスクリーン支持ブラケットの前方に突出する使用位置と、同じくガイドロッドが両スクリーン支持ブラケット間の後方に位置する不使用位置とに選択的に回動させうるように設け、前記ロールスクリーンより引き出したスクリーンを、前記使用位置としたスクリーン支持アームのガイドロッドを介して垂下させることにより、上下複数段の棚板の前方と、最上段の棚板の上方を覆いうるようにしたことを特徴とする商品陳列棚のカバー装置。
【請求項2】
ロールスクリーンを、左右のスクリーン支持ブラケットに取付け、この両スクリーン支持ブラケットの後端部を左右の支柱に取付けてなる請求項1記載の商品陳列棚のカバー装置。
【請求項3】
左右のスクリーン支持ブラケットの後端に、下向き鉤状の係合爪を上下複数突設し、この係合爪を、支柱の前面に設けた係合孔に係合することにより、スクリーン支持ブラケットを支柱の前面に取付けてなる請求項2記載の商品陳列棚のカバー装置。
【請求項4】
左右のスクリーン支持ブラケットの内側面における回動片の枢着部の下方に、内向きのストッパピンを突設するとともに、回動片における枢着部を挟む上下の端縁部に、前記ストッパピンと当接可能な係止段部を、枢着部を中心として円周方向にほぼ180度離間させて設けてなる請求項1〜3のいずれかに記載の商品陳列棚のカバー装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−200239(P2008−200239A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−38981(P2007−38981)
【出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】