説明

商品陳列棚のカバー装置

【課題】上下複数段の任意の棚板から下方の棚板の前方を覆いうるようにし、それより上方の棚板を多目的に使用しうるようにした商品陳列棚のカバー装置を提供する。
【解決手段】左右1対のブラケット8における後端部の対向面に、前方に引き出し可能なスクリ−ン13aの先端に左右方向を向く引出しロッド17を有するロールスクリ−ン13を取付け、かつ、同じく前記左右1対のブラケット8の前端部の対向面に、左右方向を向くガイドロッド15を、棚板10の前端との間にスクリ−ン13aを挿通しうるだけの隙間Sが形成されるようにして取付け、前方に引き出した引出しロッド17を、棚板10の前端部とガイドロッド15に当接させて巻き込みを防止し、かつこの位置から引出しロッド7を引き下げることにより、ブラケット8より下方の棚板10の前方を覆いうるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棚板の前方を覆いうるようにした商品陳列棚のカバー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
店舗等において、例えば薬剤や化粧品等、薬剤師又は店員による商品説明が必要な商品の場合には、閉店または薬剤師や店員等が不在となる際に、商品陳列棚の棚板上の商品をカバーにより目隠しして、来客に、商品の販売が終了または一時中断していることを報知することがある。
本願の出願人は、このようなときに使用されるカバー装置を案出し、先に特許出願している(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−212304号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献に記載されているカバー装置は、商品陳列棚におけるベース棚板の前端に取付けたロールスクリ−ンの端部の引出しロッドを上方に引き上げ、スクリ−ンに挾入したガイドロッドを、陳列棚の左右の支柱の上端部に取付けた1対の支持アームの先端部に係止して、スクリ−ンを後向きに直角に折曲させることにより、上下複数段の全ての棚板の前方と、最上段の棚板の上方とを覆うようにしている。
【0004】
そのため、全ての棚板上の商品がスクリ−ンにより目隠しされることとなり、例えば上下複数段の棚板の内、任意の棚板から下方の棚板に、薬剤等の商品説明が必要な商品を陳列して、それらの前方をスクリ−ンにより目隠し、それより上方の棚板には、商品説明が不要で、スクリ−ンにより目隠しする必要のない商品を陳列したり、ストックしたりすることができないだけでなく、上方の棚板を、他の用途に多目的に使用することができなかった。
【0005】
また、従来のカバー装置においては、スクリ−ンを引き上げて商品を目隠しする際、ガイドロッドも共に上方に持ち上げて、1対のスクリ−ン支持アームの先端部に係止したり、不使用時にはそれからガイドロッドを取り外す必要があるため、その作業が面倒である。
さらに、ロールスクリ−ン、その保持部材、及びガイドロッド等が別体であり、かつ外部に露呈して取付けられているので、カバー装置全体をユニット化して、商品陳列棚に体裁よく取付けることができなかった。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、上下複数段の任意の棚板から下方の棚板の前方を覆いうるようにし、それより上方の棚板を多目的に使用しうるようにするとともに、スクリ−ンによる目隠し作業が容易で、かつ全体をユニット化して体裁よく取付けうるようにした、商品陳列棚のカバー装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1) 左右の支柱に、前方を向く左右1対のブラケットを、上下方向に離間させて複数対取付け、それぞれの左右1対ずつのブラケットにより棚板を支持してなる商品陳列棚において、前記いずれかの左右1対のブラケットにおける対向面に、前方に引き出し可能なスクリ−ンの先端に左右方向を向く引出しロッドを有する巻き込み式のロールスクリ−ンを取付け、かつ、同じく前記左右1対のブラケットの前端部の対向面に、左右方向を向くガイドロッドを、前記棚板の前端との間にスクリ−ンを挿通しうるだけの隙間が形成されるようにして取付け、前方に引き出したスクリ−ンの引出しロッドを、棚板の前端部とガイドロッドに当接させて巻き込みを防止し、かつこの位置から引出しロッドを引き下げることにより、ロールスクリ−ンが取付けられているブラケットより下方の棚板の前方を覆いうるようにする。
【0008】
(2)上記(1)項において、左右のブラケットの後端に、下向き鉤状の係合爪を上下複数突設し、この係合爪を、左右の支柱の前面に上下方向に多数列設された係合孔に選択的に係合することにより、左右のブラケット及びそれにより支持された棚板を、支柱の前面に上下位置変更可能に取付ける。
【0009】
(3)上記(1)または(2)項において、左右のブラケットの後端部下縁に、内向きの支持片を連設し、両支持片の上面に、左右両端に起立片を有する左右方向を向く取付ブラケットを取付け、この取付ブラケットにおける前記両起立片の対向面に、ロールスクリ−ンを取付ける。
【0010】
(4) 上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、引出しロッドを、棚板の前下端とガイドロッドの前面に当接させることにより、棚板の前下端の下方に位置するようにする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、棚板の前端部とガイドロッドにより巻き込みが防止されている引出しロッドを把持し、これを引き下げるだけの簡単な操作で、ロールスクリ−ンが取付けられたブラケットよりも下方に位置する全ての棚板または一部の棚板の前方を、スクリ−ンにより覆うことができる。
また、ロールスクリ−ンよりも下方の棚板には、例えば商品説明が必要で、かつ目隠しの必要な商品を陳列し、ロールスクリ−ンよりも上方の棚板は、商品説明が不要で、目隠しする必要のない商品の陳列やストックに使用したり、あるいは販売促進用ディスプレイを載置したりなど、多目的に使用することができる。
棚板を支持するブラケットに、ロールスクリ−ンを取り付けているので、カバー装置の部品点数が少なくて済み、コスト低減が図れる。
また、左右のブラケット、ロールスクリ−ン及びガイドロッドよりなるカバー装置を、予めユニット化して、支柱に簡単に取付けることができるとともに、ロールスクリ−ンやガイドロッドが、棚板の直下において左右のブラケット間に位置し、外部に露呈しないので体裁がよい。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、ブラケットの係合爪を、支柱の前面の係合孔に係合させるだけの簡単な作業で、カバー装置の上下位置を自在に変更することができる。
また、支柱の前面に係合孔を有する既存の商品陳列棚にも、カバー装置を簡単に後付けすることが可能となる。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、左右のブラケットの後端部同士が、取付ブラケットにより連結され、かつこの取付ブラケットにロールスクリ−ンを取付けているので、カバー装置が左右方向にぐらつくのが防止され、これを支柱の前面に安定よく取付けることができる。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、引出しロッドを容易に把持して引き下げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1及び図2は、本発明のカバー装置の一実施形態を備える商品陳列棚の斜視図で、図1は、カバー装置不使用時を、図2は、同じく使用時を、それぞれ示している。
【0016】
商品陳列棚1は、前方を向くベース脚2と、その両側部後端より起立し、上下両端部の対向面同士を横杆3、3により連結された左右1対の支柱4、4と、上下の横杆3、3と左右の支柱4、4との間に嵌め込まれた背板5と、ベース脚2に載置されたベース棚板6と、両支柱4の前面に列設された係合孔7に後端が係合された、後記するロールスクリ−ン13のブラケットも兼ねる最上部の左右1対の前方を向くブラケット8と、このブラケット8の下方において、係合孔7に後端が係合された互いに同形をなす左右1対ずつの上下複数のブラケット9と、これら左右の各ブラケット8、9により支持された上下複数段の棚板10とを備え、ベース棚板6と各段の棚板10には、商品11が載置されている。
【0017】
商品陳列棚1における最上段の棚板10の直下には、カバー装置12が、以下に詳述するようにして取付けられている。
カバー装置12は、図3〜図6に示すように、棚板6、10の左右寸法とほぼ等しい左右寸法のロールスクリ−ン13と、このロールスクリ−ン13を支持する左右1対のブラケット、すなわち、上記最上段の棚板10を支持しているブラケット8、8と、両ブラケット8の前端部対向面に、止めねじ14により取付けられた左右方向を向くガイドロッド15とを備えている。
【0018】
ロールスクリ−ン13は、正面視上向コ字状の取付ブラケット16の左右両端における起立片16a、16aに回転自在に枢支された、巻取りロック及びロック自動解除機構が内蔵された公知の巻き込み式のもので、多重に巻回されたスクリ−ン13aの引出し端には、左右方向を向く引出しロッド17が取付けられている。
【0019】
図5に示すように、左右のブラケット8の前後寸法は、その上端部が、棚板10における上面板10a、左右の側片10b、斜め前下向きの前片10c、及び下向きの後片10dにより囲まれた、下方に開口する凹部内に遊嵌される寸法とされ、ガイドロッド15と前片10cの下端との間には、スクリ−ン13aが余裕をもって挿通可能で、かつ引出しロッド17が挿通不能な、その直径よりも小さな隙間Sが形成されるようにしてある。
【0020】
左右のブラケット8の後端には、上記両支柱4の上下に隣接する3個の係合孔7に係合可能な下向き鉤状の3個の係合爪18が突設されている。
また、両ブラケット8の後端部の下端には、内向きの支持片19 が連設され、この支持片19 の上面には、上記取付ブラケット16を保持するための側面視コ字状をなす保持部材20が、それに設けた2個のめねじ孔21に、支持片19の下方より挿入した止めねじ22、22を螺合することにより、固定されている。
【0021】
止めねじ22の長さは、その上端が保持部材20の上面より突出しない寸法とされている。
また、保持部材20における起立片20a、20aの上下寸法は、取付ブラケット16の横向水平片16bの厚さよりも大きく、かつ上端部の開口幅を、横向水平片16bの前後寸法より若干小としてある。従って、左右の保持部材20の起立片20a間に、横向水平片16bを上方より強く嵌合すると、取付ブラケット16が保持部材20より簡単に外れるのが防止され、取付ブラケット16及びそれに枢支されたロールスクリ−ン13が、左右のブラケット8の対向面間に位置するようにして、それらにより支持される。
【0022】
なお、最上部のブラケット8より下方の各ブラケット9は、内向きの支持片19と止めねじ14の挿通孔を有しないだけで、ブラケット8と互換性を有している。従って、ブラケット8は、支柱4の上下方向の係合孔7に選択的に係合可能であり、下位のいずれかのブラケット9の代わりに、ブラケット8を支柱4に装着すれば、最上段の棚板10よりも下方の任意の棚板10の直下に、カバー装置12を付け替えることができる。
【0023】
図4は、上記各部材を組み付けてユニット化されたカバー装置12を示し、このカバー装置12を商品陳列棚1に取付けるには、まず、左右のブラケット8の後端の係合爪18を、左右の支柱4の前面に設けた係合孔7の上端部のものに係合させる。
【0024】
ついで、ロールスクリ−ン13の引出しロッド17を把持し、図5に示すように、スクリ−ン13aを、その前端部がガイドロッド15の上面に被さるまで前方に引っ張り、引出しロッド17がガイドロッド15の直前に位置するようにして、スクリ−ン13aの巻き取りをロックする。
【0025】
ついで、左右のブラケット8の上部に、上方より棚板10を被せてこれを支持すれば、図5に示すように、引出しロッド17は、棚板10の前片10cの下端及びガイドロッド15の前端と当接して巻き込みが防止される。
【0026】
閉店または販売員が不在となるときなどにおいて、最上段の棚板10から下方の棚板6、10に載置した商品11を目隠しするには、図2及び図6に示すように、引出しロッド17を把持して、下方に引っ張ればよい。
この際、内部の巻取りロック機構が作用して、スクリーン13aが巻取られるのが防止されることにより、スクリーン13aは、引出しロッド17の重さにより垂下した状態に保持される。
【0027】
これにより、商品陳列棚1における最上段の棚板10より下方に位置する全ての棚板6、10または上方の一部の棚板10の前方を覆うことが可能となり、それらに載置された商品11が前方から目隠しされる。
また、最上段の棚板10は、例えば商品説明が不要で、目隠しする必要のない商品11の陳列やストックに使用したり、または販売促進用ディスプレイを載置したりなど、多目的に使用することができる。
【0028】
前述したように、ロールスクリ−ン13を支持している最上部のブラケット8は、その下方のブラケット9と互換性があるので、カバー装置12の取付位置を下方に変更することにより、任意の棚板10から下方の棚板の前方を覆うこともできる。
【0029】
最上段の棚板10を支持しているブラケット8は、カバー装置12におけるロールスクリ−ン13を支持するブラケットも兼ねているので、カバー装置12の構成部材の部品点数が少なくて済み、コスト低減が図れる。
また、カバー装置12を、棚板10の直下における支柱4に、予めユニット化して簡単に取付けることができるとともに、ロールスクリ−ン13等が外部に露呈せず、目立たないので体裁がよい。しかも、ユニット化したカバー装置12を、既存の商品陳列棚に後付けすることもできる。
【0030】
さらに、ロールスクリ−ン13の引出しロッド17を、棚板10とガイドロッド15との前端により巻き込みを防止しておき、この引出しロッド17を引き下げるだけの簡単な操作で、棚板6、10の全部または一部の前方を覆うことができる。
【0031】
なお、上記実施形態では、ロールスクリーン13を、取付ブラケット16により枢支し、この取付ブラケット16を、保持部材20を介して左右のブラケット8の支持片19に取り付けているが、取付ブラケット16、保持部材20、及び支持片19を省略し、ロールスクリーン13を、左右のブラケット8の対向面に直接取付けることも可能である。このようにすると、ブラケット8、9を共通化することができる。
【0032】
また、上記実施形態においては、ロールスクリーン13の引出しロッド17を、棚板10とガイドロッド15との前端に当接させて、巻き込みを防止しているが、棚板10の前後寸法を若干長くするか、ブラケット8の前後寸法を若干短寸として、引出しロッド17を、棚板10の前端部下部の凹部内に収容するようにしてもよい。このようにすると、不使用時において引出しロッド17が外部に露呈しないので、体裁がよくなる。
【0033】
ガイドロッド15を、左右方向を向く軸回りに回転自在に取付けてもよい。このようにすると、スクリーン13aとガイドロッド15との摩擦抵抗が小さくなるので、スクリーン13aを軽快に引っ張ることができるとともに、それが損傷する恐れも小さくなる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明のカバー装置の一実施形態を備える商品陳列棚におけるカバー装置不使用時の斜視図である。
【図2】同じく、カバー装置のスクリーンを引いて商品を目隠ししたときの斜視図である。
【図3】同じく、カバー装置の分解斜視図である。
【図4】同じく、カバー装置組立時の斜視図である。
【図5】同じく、図1の状態の要部の拡大側面図である。
【図6】同じく、図2の状態の要部の拡大側面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 商品陳列棚
2 ベース脚
3 横杆
4 支柱
5 背板
6 ベース棚板
7 係合孔
8 ブラケット
9 ブラケット
10 棚板
10a 上面板
10b 側片
10c 前片
10d 後片
11 商品
12 カバー装置
13 ロールスクリーン
13a スクリーン
14 止めねじ
15 ガイドロッド
16 取付ブラケット
16a 起立片
16b 横向水平片
17 引出しロッド
18 係合爪
19 支持片
20 保持部材
20a 起立片
21 めねじ孔
22 止めねじ
S 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の支柱に、前方を向く左右1対のブラケットを、上下方向に離間させて複数対取付け、それぞれの左右1対ずつのブラケットにより棚板を支持してなる商品陳列棚において、
前記いずれかの左右1対のブラケットにおける対向面に、前方に引き出し可能なスクリ−ンの先端に左右方向を向く引出しロッドを有する巻き込み式のロールスクリ−ンを取付け、かつ、同じく前記左右1対のブラケットの前端部の対向面に、左右方向を向くガイドロッドを、前記棚板の前端との間にスクリ−ンを挿通しうるだけの隙間が形成されるようにして取付け、前方に引き出したスクリ−ンの引出しロッドを、棚板の前端部とガイドロッドに当接させて巻き込みを防止し、かつこの位置から引出しロッドを引き下げることにより、ロールスクリ−ンが取付けられているブラケットより下方の棚板の前方を覆いうるようにしたことを特徴とする商品陳列棚のカバー装置。
【請求項2】
左右のブラケットの後端に、下向き鉤状の係合爪を上下複数突設し、この係合爪を、左右の支柱の前面に上下方向に多数列設された係合孔に選択的に係合することにより、左右のブラケット及びそれにより支持された棚板を、支柱の前面に上下位置変更可能に取付けてなる請求項1記載の商品陳列棚のカバー装置。
【請求項3】
左右のブラケットの後端部下縁に、内向きの支持片を連設し、両支持片の上面に、左右両端に起立片を有する左右方向を向く取付ブラケットを取付け、この取付ブラケットにおける前記両起立片の対向面に、ロールスクリ−ンを取付けてなる請求項1または2記載の商品陳列棚のカバー装置。
【請求項4】
引出しロッドを、棚板の前下端とガイドロッドの前面に当接させることにより、棚板の前下端の下方に位置するようにしてなる請求項1〜3のいずれかに記載の商品陳列棚のカバー装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−78042(P2009−78042A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−250693(P2007−250693)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】