説明

商品陳列棚装置及び商品遮蔽装置

【課題】販売条件付商品を販売できない状態のときに販売条件付商品が商品購入者の目に付くことを防止し、かつ、商品購入者が商品を手にすることを防止することができる商品陳列棚装置および商品遮蔽装置を提供する。
【解決手段】商品を陳列して販売するための商品陳列棚装置1、301であって、陳列した商品が前方から視認可能であり、かつ商品陳列部分前面を覆って陳列商品を自由に取り出し不可能に構成された陳列ケース10、310を備える一方、陳列ケース10、310の側方位置に配設され、陳列ケース10、310側方位置から前方位置に移動することによって陳列ケース10、310の前方を覆い、前方から陳列商品が視認不可能とする遮蔽部材25、325を有する商品遮蔽部22、322を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗等の商品陳列エリアに設置され、商品購入者に対して商品を載置・陳列するために使用される商品陳列棚装置に関し、特に、特定の商品を場合に応じて覆うことができる商品陳列棚装置及び商品遮蔽装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
店舗等の商品陳列エリアに設置され、商品購入者に対して商品を載置・陳列するための商品陳列棚装置が知られている。この商品陳列棚装置に陳列される商品の中には、法令・政令・条例等の定めによって商品の販売条件が規制されている販売条件付商品が存在する。この販売条件としては、例えば、「商品購入者年齢の制限」や「販売資格所有者の有無」等がある。
【0003】
これらの販売条件付商品の中でも、2009年度に改正された薬事法によって規制される一般医薬品は、3種類(第一、第二、第三類医薬品)に分類される。そして、この第一類医薬品は、薬剤師のみが販売でき、第二類及び第三類医薬品は、薬剤師の他に登録販売者が販売することができるように規定されている。そのため、商品購入者は、それぞれの医薬品の購入の際に混乱をきたすおそれがあり、販売者としては、商品購入者に対して商品と分類とが分かり易い状態で商品販売空間を提供することが求められている。
【0004】
従来では、販売者は、販売条件付商品を商品購入者が直接手に取れない位置(例えば、鍵付きガラス棚、レジカウンター内後部の棚)に保管し、薬剤師等が不在のときには商品を販売しないようにする方法が多く採用されている。しかしながら、この方法では、商品が購入者の目に付いてしまうため、販売員が商品購入者に対して別途説明を行い、商品購入者の理解を得る必要があった。
【0005】
他方、従来から販売条件付商品を陳列するための商品陳列棚装置についての提案がなされている。例えば、商品を載置した商品陳列棚にカバー装置を設け、販売不可能なときには、商品陳列棚をカバーで覆い隠し、商品が購入者の目に付くことを防止するものがある(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−200239号公報
【特許文献2】特開2006−212304号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述したカバー装置は、多重に巻き取られた状態のスクリーンを引き出して商品棚に掛けることで商品を覆うようなものであり、商品購入者の目に付くことは防止できるが、カバーを捲り上げる等によって商品を手に取ることができるものであったため、商品購入者が商品を手にすることを完全に防止することはできなかった。
【0008】
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、販売条件付商品を販売できない状態のときに販売条件付商品が商品購入者の目に付くことを防止し、かつ、商品購入者が商品を手に取ることを防止することができる商品陳列棚装置および商品遮蔽装置を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述課題を解決するために、本発明は、商品を陳列して販売するための商品陳列棚装置であって、陳列した商品が前方から視認可能であり、かつ商品陳列部前面を覆って陳列商品を自由に取り出し不可能に構成された陳列ケースを備える一方、前記陳列ケースの側方位置に配設され、前記陳列ケース側方位置から前方位置に移動することによって前記陳列ケースの前面を覆い、前方から陳列商品が視認不可能とする遮蔽部材を有する商品遮蔽部を備えたことを特徴とする。
【0010】
この場合において、前記遮蔽部材は、前記陳列ケースの側方からスライドして移動するスライドパネルであってもよい。
【0011】
このとき、前記陳列ケース前面に移動前の状態におけるスライドパネルの前方位置に、他の商品を陳列可能な固定商品棚を設けることもできる。
【0012】
また、前記遮蔽部材は、前記陳列ケースの側部から蝶番によって回動して移動する回動パネルであってもよい。
【0013】
さらに、前記遮蔽部材には、前記遮蔽部材が前記陳列ケース前面に移動した状態で前記遮蔽部材の前面に、商品の販売を制限する旨の注意喚起表示が記載されているようにすることもできる。
【0014】
さらにまた、前記遮蔽部材は、他の商品が陳列可能であり、前記陳列ケースの側方からスライドして移動する可動商品棚であってもよい。
【0015】
一方、本発明は、陳列する商品の販売を制限するための商品遮蔽装置であって、陳列した商品が前方から視認可能であり、かつ商品陳列部前面を覆って陳列商品を自由に取り出し不可能に構成された陳列ケースの側方に配置され、前記陳列ケース側方位置から前方位置に移動することによって前記陳列ケースの前面を覆い、前方から陳列商品が視認不可能とする遮蔽部材を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る商品陳列棚装置によれば、陳列した商品が前方から視認可能であり、かつ商品陳列部前面を覆って陳列商品を自由に取り出し不可能に構成された陳列ケースを備える一方、前記陳列ケースの側方位置に配設され、前記陳列ケース側方位置から前方位置に移動することによって前記陳列ケースの前面を覆い、前方から陳列商品が視認不可能とする遮蔽部材を有する商品遮蔽部を備えているので、遮蔽部材が移動していない状態では、購入者は、陳列ケースの前方から商品を目視することができ、販売員等に相談して商品を購入することができる。一方、遮蔽部材が移動している状態では、購入者は、遮蔽部材によって商品を目視することができず、かつ、陳列ケースの構造によって商品を手に取ることができないので、購入者が商品を購入することができないようにすることができる。
【0017】
一方、本発明に係る商品遮蔽装置によれば、陳列した商品が前方から視認可能であり、かつ商品陳列部前面を覆って陳列商品を自由に取り出し不可能に構成された陳列ケースの側方に配置され、前記陳列ケース側方位置から前方位置に移動することによって前記陳列ケースの前面を覆い、前方から陳列商品が視認不可能とする遮蔽部材を備えているので、既存の陳列ケースの横に商品遮蔽装置を設置して、遮蔽部材を移動させることによって、購入者が商品を購入するのを制限することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る商品陳列棚装置であって、商品遮蔽部が開いている状態を示す外観図である。
【図2】図1の状態から商品遮蔽部を閉じた状態を示す外観図である。
【図3】商品遮蔽部の分解斜視図である。
【図4】第1実施形態の第1変形例に係る商品陳列棚装置及び商品遮蔽装置の概要図である。
【図5】第1実施例の第2変形例に係る商品陳列棚装置及び商品遮蔽装置の概要図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る商品陳列棚装置であって、商品遮蔽部が開いている状態を示す外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1の実施の形態に係る商品陳列棚装置1及び商品遮蔽装置22について、図1〜図3を用いて詳細に説明する。
商品陳列棚装置1は、図1及び図2に示すように、第一類医薬品等の販売条件付商品を陳列するための陳列ケース10と、商品購入者から見て陳列ケース10の左右両側に配置されたサイドケース20a、20bとで構成されている。
【0020】
陳列ケース10は、陳列ケース10の筐体部分を構成する略直方体形状の本体部11と、商品購入者と対峙する前側部分が透明な開閉扉12とを備えている。
本体部11は、その内部に陳列スペース13(陳列部分)が形成されている。この陳列スペース13には、空間を上下に仕切るガラス棚14が設けられている。このガラス棚14の上には商品が陳列され、この商品の陳列部分が開閉扉12によって覆われることになる。
【0021】
また、陳列ケース10の後側は、薬剤師や販売員が待機する場所となっており、基本的に購入者が入り込めないようになっている。さらに、本体部11の上面11aは平面状に形成されており、商品購入者が販売者から商品説明を受けるときなどに利用するレジカウンターとして使用可能である。
【0022】
開閉扉12は、2枚の透明なガラス板が左右にスライドして開閉可能に形成されている。これにより、商品購入者が陳列スペース13内に陳列された商品を視覚的に確認できるようになっている。また、開閉扉12は、鍵15によって施錠が可能になっている。この鍵15は、通常は施錠されており、商品購入者が開閉扉12を開けて陳列ケース10内から商品を勝手に取り出すことができないようになっている。
【0023】
なお、本明細書でいう「陳列ケース」とは、購入者が商品を自由に見ることができるが、商品を自由に取り出せない構造のものをいい、上述した陳列ケース10の構造は、本実施例における一例である。すなわち、開閉扉12及び鍵15は、陳列した商品が購入者から目視可能に形成され、かつ、購入者がこれらの商品を取り出せないようにするための構造の一例であり、他の構造によって実現することもできる。例えば、購入者が対峙する前側部分を開閉不可能な1枚のガラス板で構成すると共に、薬剤師等が待機する陳列ケース10の後側からのみ商品を取り出せるようにするものであっても構わない。この場合には、上述した鍵15は陳列ケース10の前側部分に設ける必要はない。
【0024】
また、上述した透明な開閉扉12の前面には、図1に示すように、商品購入者に対して、注意を喚起するための注意喚起表示60が付されている。この注意喚起表示60は、例えば、「こちらの医薬品をお買い求めの際は、お近くの薬剤師までご相談下さい。」などの文言を表示するものである。これにより、購入者は、商品を購入するに当たり、薬剤師に相談すべきことを認識することになる。
【0025】
サイドケース20a,20bは、陳列ケース10を挟んで左右対称に形成されている。なお、以下の説明については、左側のサイドケース20aについてのみ説明し、右側のサイドケース20bについては左側と同じ構造であるため説明を省略する。
【0026】
サイドケース20aは、略直方体形状の本体部21と、この本体部21の前側部分に取り付けられた商品遮蔽装置22(商品遮蔽部)とを備えている。
本体部21の上面21aは、陳列ケース10の本体部11と同様に平面状に形成されており、レジカウンター等として使用可能である。また上面21aには、レジやパソコン画面などが購入者側から見えないようにするための半透明のカバー23が設けられている。
【0027】
図3は、商品遮蔽装置22を分解して示す斜視図である。
商品遮蔽装置22は、本体部21の前面に固定される固定パネル24と、この固定パネル24に対しスライド可能に取り付けられたスライドパネル25(遮蔽部材)と、固定パネル24の前側(商品購入者と対峙する側)に取り付けられるフロントパネル26と、固定パネル24前面に取り付けられる棚板27と、固定パネル24の左右の側部をそれぞれに塞ぐ目隠し板28とを備えている。
【0028】
スライドパネル25は、不透明な板状部材で構成されている。また、スライドパネル25の上端部及び下端部には、横方向に向けて伸縮するスライドレール25aがそれぞれ設けられている。一方、固定パネル24の上端部及び下端部には、2つのスライドレール25aとそれぞれ対応する位置にスライドレール受け24aがそれぞれ設けられている。これらのスライドレール受け24aには、スライドレール25aがそれぞれ挿入されると共に、左側端部がスライドレール受け24aに固定されている。この構造により、スライドパネル25は、スライドレール25aが伸縮することによって、固定パネル24に対して横方向(図3における右側方向)にスライドすることができるようになっている。
【0029】
このスライドパネル25をスライドさせた状態では、図2に示すように、陳列ケース10の前側の全面を覆うようになる。すなわち、スライドパネル25がスライドしていない状態(図1参照)では、商品購入者は陳列ケース10内の商品を目視することができる一方、スライドパネル25がスライドした状態(図2参照)では、商品購入者は、陳列ケース10内の商品を目視することができないようになる。
【0030】
スライドパネル25の前面、すなわち、このスライドパネル25をスライドさせたときに商品購入者が目視できる面には、図2に示すように、商品購入者に対して、注意を喚起するための注意喚起表示50が付されている。この注意喚起表示50は、例えば、「只今薬剤師不在の為、こちらの医薬品は現在販売休止中です。」などの文言を表示するものである。
【0031】
図3に戻って、フロントパネル26は、固定パネル24の前側の全面を覆う大きさに形成されている。このフロントパネル26は、固定パネル24にねじ部材29を用いて取り付けられることによって、スライドパネル25が商品購入者側から見えないようにしている。
2つの目隠し板28も同様に、固定パネル24の側面に、ねじ部材30を用いて取り付けられている。
【0032】
棚板27は、左右の両端部にフック27aがそれぞれ形成されており、このフック27aを固定パネル24前面に形成された図示しない取付穴に係合させることによって、複数の棚板27が固定パネル24前面に取り付けられるようになっている。この固定パネル24前面に取り付けられた棚板27によって、他の商品を陳列可能な固定商品棚31が構成されている。
【0033】
この商品遮蔽装置22は、サイドケース20aの本体部21の前面に着脱可能に取り付けられている。この商品遮蔽装置22を取り外した状態では、商品購入者からは本体部21の前面(例えば、化粧パネルで構成された前面)が見えるようになる。
このように、商品遮蔽装置22をサイドケース20aと着脱可能に構成することにより、例えば、既に商店等に設置してある既存の陳列ケース10の横に商品遮蔽装置22を有するサイドケース20aを設置するだけで、本発明の実施形態に係る商品棚陳列装置1を構成することができるようになる。また、陳列ケース10およびサイドケース20aが既に設置してある商店等では、サイドケース20aに商品遮蔽装置22を設置するだけで、本発明の実施形態に係る商品棚陳列装置1を構成することができるようになる。
【0034】
また、商品遮蔽装置22からスライドパネル25がスライドした状態では、上述した陳列ケース10の左半分を覆われるようになる。そして、陳列ケース10の右半分は、右側のサイドケース20bからスライドしてくるスライドパネル25によって覆われるようになる。左右のスライドパネル25,25の移動方向における先端部分は、陳列ケース10のほぼ中央でそれぞれ隙間なく当接する。
【0035】
なお、左側または右側のスライドパネル25については、商品遮蔽装置22の設置スペース等が十分に確保することができれば、片方のスライドパネル25で陳列ケース10の前側の全面を覆う大きさに形成することもできる。
【0036】
本発明の第1の実施の形態に係る商品陳列棚装置1によれば、商品の陳列部分を開閉可能な開閉扉12で覆い、この開閉扉12を通して陳列した商品が購入者から目視可能に形成され、かつ、購入者がこれらの商品を取り出せないように鍵15によって施錠できるように構成された陳列ケース10を備える一方、陳列した商品が購入者から目視できないようにスライドパネル25が陳列ケース10の側方からスライド移動して陳列ケース10を覆うスライドパネル25を有する商品遮蔽装置22を備えているので、スライドパネル25が移動していない(陳列ケース10を覆っていない)状態では、購入者は、商品を目視することができ、薬剤師等に相談して商品を購入することができる。また、スライドパネル25が移動している(陳列ケース10を覆っている)状態では、購入者は、スライドパネル25によって商品を目視することができず、かつ、陳列ケース10の構造によって商品を手に取ることができないので、購入者が商品を購入することができないようにすることができる。
【0037】
他方、本発明の第1の実施の形態に係る商品遮蔽装置22によれば、商品の陳列部分を開閉可能な開閉扉12で覆い、この開閉扉12を通して陳列した商品が購入者から目視可能に形成され、かつ、購入者がこれらの商品を取り出せないように鍵15によって施錠できるように構成された陳列ケース10の側方に配置され、陳列ケース10と購入者との間に介在する態様で移動可能であり、移動した状態で陳列ケースの商品が購入者から目視できないように陳列ケース10を覆うスライドパネル25を備えているので、既存の陳列ケース10の横に商品遮蔽装置22を設置して、スライドパネル25をスライド移動させることによって、購入者が商品を購入するのを制限することができる。
【0038】
また、本願発明の商品陳列棚装置1または商品遮蔽装置22によれば、スライドパネル25が移動していない状態におけるスライドパネル25と購入者との間に、他の商品を陳列可能な固定商品棚31を設けているので、商品遮蔽装置22を固定商品棚31で覆い隠すことができる。これにより、商品遮蔽装置22を設けていても、意匠性に優れた商品陳列棚装置を提供することができる。
【0039】
この場合、商品陳列棚装置1の近傍に、より多くの商品を陳列することができるというメリットもある。特に、改正された薬事法では、「指定第二類医薬品を陳列する場合には、情報提供するための設備から7メートル以内の範囲に陳列すること。ただし、かぎをかけた陳列設備に陳列する場合又は指定第二類医薬品を陳列する陳列設備から1.2メートル以内の範囲に購入者等が進入できないような措置がとられている場合は、この限りでない。」と規定されており、第二類医薬品の陳列スペースに制限がある。しかしながら、本願発明の商品陳列棚装置1では、陳列ケース10の上面11aをレジカウンター(情報提供するための設備)として使用可能であることから、この固定商品棚31に第二類医薬品を陳列することができる。これにより、第一類医薬品を陳列ケース10の内部に陳列することで、第一類と第二類の医薬品の陳列スペースを明確に仕切ることができるとともに、これらの種類の医薬品を近いスペースで陳列することができるという効果も得られる。
【0040】
さらに、本願発明の商品陳列棚装置1または商品遮蔽装置22によれば、スライドパネル25には、スライドパネル25が陳列ケース10を覆った状態でスライドパネル25と購入者とが対峙する部分に、商品の販売を制限する旨の注意喚起表示50が記載されているので、購入者は、今は商品を購入することができないことを認識することになり、販売員が商品購入者に対して別途説明を行う手間が省けることになる。
【0041】
以上、本発明の第1の実施の形態に係る商品陳列棚装置1及び商品遮蔽装置22について述べたが、本発明は既述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。
【0042】
(第1の変形例)
図4は、本発明の他の実施形態の商品陳列棚装置101及び商品遮蔽装置122を示す概要図である。この図4に示す構成では、商品遮蔽装置22の構造が異なること以外は上述の第1実施形態の構造と同じである。そのため、商品遮蔽装置122についてのみ説明し、他の構成についての説明は省略する。なお、図4において簡略化のために、サイドケース20aのみが陳列ケース10の左側に配置されている状態を示す。
【0043】
この商品遮蔽装置122は、第1実施形態で示したスライドパネル25と固定商品棚31とか一体にスライドする可動商品棚131(遮蔽部材)として構成されている。すなわち、可動商品棚131がスライドしていない状態では、陳列ケース10の側方に商品棚がある態様であり、スライドした状態では、商品棚が陳列ケース10のガラス棚14の前に移動して陳列ケース10を覆い、購入者が陳列ケース10の内部の商品を目視できないようになっている。
【0044】
なお、可動商品棚131は、陳列ケース10の左右の両側にあり、両方が移動して陳列ケース10を覆い隠す構造であってもよく、陳列ケース10の左側(或いは右側)のみにあり、1つの可動商品棚131で陳列ケース10を覆い隠す構造であってもよい。
【0045】
この商品遮蔽装置122は、サイドケース20aの本体部21の前面に着脱可能に取り付けられている。この商品遮蔽装置122を取り外した状態では、商品購入者からは本体部21の前面(例えば、化粧パネルで構成された前面)が見えるようになる。
このように、商品遮蔽装置122をサイドケース20aと着脱可能に構成することにより、例えば、既にある既存の陳列ケース10の横にサイドケース20a或いは商品遮蔽装置122を設けるだけで、本発明の実施形態に係る商品陳列棚装置101を構成することができるようになる。
【0046】
(第2の変形例)
図5は、本発明の他の実施形態の商品陳列棚装置201及び商品遮蔽装置222を示す概要図である。この図5に示す構成では、商品遮蔽装置22の構造が異なること以外は上述の第1実施形態の構造と同じである。そのため、商品遮蔽装置222についてのみ説明し、他の構成についての説明は省略する。なお、図5において簡略化のために、サイドケース20aのみが陳列ケース10の左側に配置されている状態を示す。
【0047】
この商品遮蔽装置222は、第1実施形態で示したスライドパネル25に相当する回動パネル225(遮蔽部材)が蝶板226を中心に回動するように構成されている。より詳細には、回動パネル225は、回動していない状態では、サイドパネル20aの前面を覆う態様で位置し、回動した状態では、回動パネル225が陳列ケース10のガラス棚14の前に移動して陳列ケース10を覆い、購入者が陳列ケース10の内部の商品を目視できないようになっている。
【0048】
なお、回動パネル225は、陳列ケース10の左右の両側にあり、両方が回動して陳列ケース10を覆い隠す構造であってもよく、陳列ケース10の左側(或いは右側)のみにあり、1つの回動パネル225で陳列ケース10を覆い隠す構造であってもよい。
【0049】
この商品遮蔽装置222は、サイドケース20aの本体部21の前面に着脱可能に取り付けられている。この商品遮蔽装置222を取り外した状態では、商品購入者からは本体部21の前面(例えば、化粧パネルで構成された前面)が見えるようになる。
このように、商品遮蔽装置222をサイドケース20aと着脱可能に構成することにより、例えば、既にある既存の陳列ケース10の横にサイドケース20a或いは商品遮蔽装置122を設けるだけで、本発明の実施形態に係る商品陳列棚装置201を構成することができるようになる。
【0050】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2の実施の形態に係る商品陳列棚装置301及び商品遮蔽装置322について、図6を用いて詳細に説明する。
商品陳列棚装置301は、図6に示すように、第一類医薬品等の販売条件付商品を陳列するための商品陳列棚310と、商品購入者から見て商品陳列棚310の左右両側に配置されたサイドケース320a、320bとで構成されている。
【0051】
商品陳列棚310は、商品陳列棚310の筐体部分を構成する略直方体形状の本体部311と、商品購入者と対峙する前側部分が透明な開閉扉312とを備えている。
本体部311は、その内部に陳列スペース313が形成されている。この陳列スペース313には、空間を上下に仕切るガラス棚314が設けられている。このガラス棚314の上には商品が陳列され、この商品の陳列部分が開閉扉312によって覆われることになる。
【0052】
また、商品陳列棚310の後側は、薬剤師や販売員が待機する場所となっており、基本的に購入者が入り込めないようになっている。さらに、本体部311の上面311aは平面状に形成されており、商品購入者が販売者から商品説明を受けるときなどに利用するレジカウンターとして使用可能である。
【0053】
開閉扉312は、2枚の透明なガラス板がスライドして開閉可能に形成されている。これにより、商品購入者が陳列スペース313内に陳列された商品を見ることができ、かつ、この開閉扉312を開くことで、商品を自由に取り出すことができるようになっている。
【0054】
なお、本明細書でいう「商品陳列棚」とは、購入者が商品を自由に見ることができ、かつ、商品を自由に取り出せる構造のものをいい、第1実施形態における「陳列ケース」とは、鍵15(図1参照)が無い点で異なる。また、上述した商品陳列棚310の構造は、本実施例における一例である。例えば、透明な開閉扉312は、陳列した商品が購入者から目視可能に形成し、かつ、商品を取り出すことのできる構造の一例であり、この開閉扉312が無いものであってもよい。
【0055】
また、上述した透明な開閉扉312の前面には、図6に示すように、商品購入者に対して、注意を喚起するための注意喚起表示360が付されている。この注意喚起表示360は、例えば、「こちらの医薬品をお買い求めの際は、お近くの薬剤師までご相談下さい。」などの文言を表示するものである。これにより、購入者は、商品を購入するに当たり、薬剤師に相談すべきことを認識することになる。
【0056】
サイドケース320a,320bは、商品陳列棚310を挟んで左右対称に形成されている。なお、以下の説明については、左側のサイドケース320aについてのみ説明し、右側のサイドケース320bについては左側と同じ構造であるため説明を省略する。
【0057】
サイドケース320aは、略直方体形状の本体部321と、この本体部321の前側部分に取り付けられた商品遮蔽装置322(商品遮蔽部)とを備えている。
本体部321の上面321aは、商品陳列棚310の本体部311と同様に平面状に形成されており、レジカウンター等として使用可能である。また上面321aには、レジやパソコン画面などが購入者側から見えないようにするための半透明のカバー323が設けられている。
【0058】
商品遮蔽装置322は、スライドパネル325が異なる以外は、フロントパネル326、棚板327、目隠し板328等の他の構造は第1実施例における商品遮蔽装置22と同じである。ゆえに、以下の説明では、スライドパネル325の説明のみを行い、その他の構造については省略する。
なお、スライドパネル325のスライド構造(第1実施例の固定パネル24、スライドレール受け24a、スライドレール25a)は、上述の第1実施形態の構造と同じである。
【0059】
スライドパネル325の大きさは、スライドパネル325をスライドさせた状態(第1実施例の図2参照)で、商品陳列棚310の前側の全面を覆うように形成されている。より詳細には、スライドパネル325と商品陳列棚310との間から、購入者が商品を取り出すことができない程度の隙間しか開かない大きさに形成されている。
【0060】
また、スライドパネル325は、不透明な板状部材で構成されている。このスライドパネル325をスライドさせた状態では、商品陳列棚310に陳列された商品が購入者から目視できないようになっている。また、スライドパネル325には、スライドさせた位置でスライドパネル325を固定し、購入者がスライドパネル325を開けないようにするための施錠手段(図示せず)が設けられている。
【0061】
さらに、スライドパネル325は、ある程度の剛性を有するものである。この剛性は、購入者がスライドパネル25を人の力によって曲げようとしても変形せず、または変形したとしても、商品陳列棚310の商品を購入者が取り出すことができない程度の隙間しか開かないように形成されている。そのため、商品陳列棚310のガラス棚314には、第1実施形態で設けた鍵15(図1参照)のような施錠機能をもたせなくてもよい。
【0062】
これらにより、スライドパネル325をスライドさせた状態では、スライドパネル325は、商品陳列棚310の前側の全面を覆って商品を目視できないようにすると共に、購入者がスライドパネル325に力を加えて変形させて、商品陳列棚310から商品を自由に取り出すことができないようにしている。
【0063】
スライドパネル325の前面、すなわち、このスライドパネル325をスライドさせたときに商品購入者が目視できる面(第1実施形態のスライドパネル25と同じ。図2参照)には、商品購入者に対して、注意を喚起するための注意喚起表示(第1実施形態の注意喚起表示50と同じ。図2参照)が付されている。この注意喚起表示は、例えば、「只今薬剤師不在の為、こちらの医薬品は現在販売休止中です。」などの文言を表示するものである。
【0064】
この商品遮蔽装置322は、サイドケース320aの本体部321の前面に着脱可能に取り付けられている。この商品遮蔽装置322を取り外した状態では、商品購入者からは本体部321の前面(例えば、化粧パネルで構成された前面)が見えるようになる。
このように、商品遮蔽装置322をサイドケース320aと着脱可能に構成することにより、例えば、既に商店等に設置してある既存の商品陳列棚310の横に商品遮蔽装置322を有するサイドケース320aを設置するだけで、本発明の実施形態に係る商品陳列棚装置301を構成することができるようになる。また、商品陳列棚310およびサイドケース320aが既に設置してある商店等では、サイドケース320aに商品遮蔽装置322を設置するだけで、本発明の実施形態に係る商品陳列棚装置301を構成することができるようになる。
【0065】
本発明の第2の実施の形態に係る商品陳列棚装置301によれば、商品の陳列部分を開閉可能な開閉扉312で覆い、この開閉扉312を通して陳列した商品が購入者から目視可能に形成され、かつ、購入者がこれらの商品を自由に取り出せるように構成された商品陳列棚310を備える一方、陳列した商品が購入者から目視できないようにスライドパネル325が商品陳列棚310の側方からスライド移動して商品陳列棚310を覆う商品遮蔽装置322を設けているので、スライドパネル325が移動していない(商品陳列棚310を覆っていない)状態では、購入者は、商品を目視することができ、薬剤師等に相談して商品を購入することができる。また、スライドパネル325が移動している(商品陳列棚310を覆っている)状態では、購入者は、商品を目視することができず、かつ、商品を手に取ることができないので、購入者が商品を購入することができないようにすることができる。
【0066】
他方、本発明の第2の実施の形態に係る商品遮蔽装置322によれば、商品を陳列して販売するための商品陳列棚310の側方に配置され、商品陳列棚310と購入者との間に介在する態様で移動可能であり、移動した状態で商品陳列棚310の商品が購入者から目視できないように商品陳列棚310を覆うと共に商品陳列棚310から購入者が商品を取り出せないようにするスライドパネル325を備えているので、既存の商品陳列棚310の横に商品遮蔽装置322を設置して、スライドパネル325を移動させることによって、購入者が商品を購入するのを制限することができる。
【0067】
また、本願発明の商品陳列棚装置301または商品遮蔽装置322によれば、スライドパネル325が移動していない状態におけるスライドパネル325と購入者との間に、他の商品を陳列可能な固定商品棚327を設けているので、商品遮蔽装置322を固定商品棚327で覆い隠すことができる。これにより、商品遮蔽装置322を設けていても、意匠性に優れた商品陳列棚装置301を提供することができる。
【0068】
この場合、第1実施例に記載したように、商品陳列棚装置301の近傍に第二類医薬品等を陳列し、第一類医薬品と明確に区別して、かつ近いスペースで販売することができるというメリットもある。
【0069】
さらに、本願発明の商品陳列棚装置301または商品遮蔽装置322によれば、スライドパネル325には、スライドパネル325が商品陳列棚310を覆った状態でスライドパネル325と購入者とが対峙する部分に、商品の販売を制限する旨の注意喚起表示360が記載されているので、購入者は、今は商品を購入することができないことを認識することになり、販売員が商品購入者に対して別途説明を行う手間が省けることになる。
【0070】
以上、本発明の第2の実施の形態に係る商品陳列棚装置1及び商品遮蔽装置22について述べたが、本発明は既述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。
【0071】
例えば、第1実施例で説明した、第1の変形例または第2の変形例のように、スライドパネル325を、回動パネル或いは可動商品棚に置き換えて構成することもできる。
【符号の説明】
【0072】
1、301 商品陳列棚装置
10、310 陳列ケース
11、311 本体部
11a、311a 上面
12、312 開閉扉
13、313 陳列スペース(陳列部分)
14、314 ガラス棚
15 鍵
20a、20b、320a、320b サイドケース
21、321 本体部
21a、321a 上面
22、322 商品遮蔽装置(商品遮蔽部)
23、323 カバー
24 固定パネル
24a スライドレール受け
25、325 スライドパネル(遮蔽部材)
25a スライドレール
26 フロントパネル
27 棚板
27a フック
28 目隠し板
29、30 ねじ部材
31 固定商品棚
50、60 注意喚起表示
101 商品陳列棚装置
122 商品遮蔽装置
131 可動商品棚(遮蔽部材)
201 商品陳列棚装置
222 商品遮蔽装置
225 回動パネル(遮蔽部材)
226 蝶板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を陳列して販売するための商品陳列棚装置であって、
陳列した商品が前方から視認可能であり、かつ商品陳列部前面を覆って陳列商品を自由に取り出し不可能に構成された陳列ケースを備える一方、
前記陳列ケースの側方位置に配設され、前記陳列ケース側方位置から前方位置に移動することによって前記陳列ケースの前面を覆い、前方から陳列商品が視認不可能とする遮蔽部材を有する商品遮蔽部を備えたことを特徴とする商品陳列棚装置。
【請求項2】
前記遮蔽部材は、前記陳列ケースの側方からスライドして移動するスライドパネルであることを特徴とする請求項1に記載の商品陳列棚装置。
【請求項3】
前記陳列ケース前面に移動前の状態におけるスライドパネルの前方位置に、他の商品を陳列可能な固定商品棚を設けたことを特徴とする請求項2に記載の商品陳列棚装置。
【請求項4】
前記遮蔽部材は、前記陳列ケースの側部から蝶番によって回動して移動する回動パネルであることを特徴とする請求項1に記載の商品陳列棚装置。
【請求項5】
前記遮蔽部材には、前記遮蔽部材が前記陳列ケース前面に移動した状態で前記遮蔽部材の前面に、商品の販売を制限する旨の注意喚起表示が記載されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の商品陳列棚装置。
【請求項6】
前記遮蔽部材は、他の商品が陳列可能であり、前記陳列ケースの側方からスライドして移動する可動商品棚であることを特徴とする請求項1に記載の商品陳列棚装置。
【請求項7】
陳列する商品の販売を制限するための商品遮蔽装置であって、
陳列した商品が前方から視認可能であり、かつ商品陳列部前面を覆って陳列商品を自由に取り出し不可能に構成された陳列ケースの側方に配置され、
前記陳列ケース側方位置から前方位置に移動することによって前記陳列ケースの前面を覆い、前方から陳列商品が視認不可能とする遮蔽部材を備えたことを特徴とする商品遮蔽装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−67272(P2011−67272A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−219351(P2009−219351)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】