説明

喘息の処置または予防

個人における喘息の予防または処置のための方法を提供する。本方法は個人に有効量の型別不能なインフルエンザ菌(NTHi)ワクチンを投与することを含む。1個以上の態様は、内因性喘息の予防または処置に特に適している。ワクチンは通常は経口死菌NTHiワクチンである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は喘息の予防または処置のための細菌性ワクチンの投与に関する。
【背景技術】
【0002】
喘息は可逆的な気道の閉塞に特性づけられる気道の慢性の炎症状態であり、慣例的に外因性(吸い込んだアレルゲン、例えば花粉およびハウスダストのダニに対するアレルギー反応による)または内因性(古典的なアレルギーによらない)と分類されており、その機構は未知である。喘息の後者の形は”特発性”喘息と呼ばれてきた。
【0003】
最近報告された、喘息と診断された対象に基づく研究において、喘息は痰の中の好酸球および好中球の数の差に基づいて分類された(Simpson et al, 2006)。研究における対象は、健康な対照の対象と比較したこれらの細胞型の存在に基づいて異なる喘息のサブタイプに分けられた。いくつかの喘息のサブタイプは、好中球性喘息(>61%好中球)および好酸球性喘息(>1.01%好酸球)を包含して識別された。好中球性喘息のグループは、喘息の全体の数のおおよそ20%を構成していた。研究はさらに、評価の前の月の間に呼吸器管の感染を報告した対象はいなかったにも関わらず、これらの対象の大部分における、サンプリングの間の短期(4週間)および長期(平均5.3年)両方の間隔にわたる持続性好中球増加を報告した。喘息の対象は健康な対照よりも高いレベルの細胞内細菌およびマクロファージを有していることが分かったが、好中球性喘息および他の喘息グループの間で有意な差は見られなかった。実際、見つかった細菌のレベルは急性の細菌感染と一致するレベルよりも低いと述べられ、報告は好中球性喘息の炎症過程を説明する細菌感染の証拠は無いと結論付けた。
【0004】
型別不能なインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)(NTHi)は、慢性気管支炎(CB)と関連する最も一般的な病原菌である(Sethi, 2001)。NTHiは健康な個人およびCBの患者(Sethi, 2001)の上気道(例えば、鼻、中耳、喉および副鼻腔洞(sinuses))、さらに呼吸器管の管腔を含むいくつかの場所に見られ、粘膜下組織の間質中の粘膜上皮細胞に付着している(Moller, 1998)。非閉塞性および閉塞性のCBの研究は、大部分の患者がNTHiに持続感染していることを観察した(Murphy, 2004)。
【0005】
NTHiおよび黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)は共に、IgEを介さない、および増進されたIgEを介した、CBの患者の気道からの気管支肺胞洗浄により得られたマスト細胞からのヒスタミン放出を誘導することが以前に示されている。NTHiの場合、外毒素がIgEを介したヒスタミンの放出の増進の原因である可能性があることが報告されている(Clementsen, 1990)。急性の再燃の間にCBの患者から分離した免疫細胞は、患者自身の細菌に対して感作されており過敏であることが示されている(Norn, 1994)。いくつかの研究は、菌類(例えばコウジカビ(Aspergillus))およびウイルス(例えば呼吸器多核体ウイルス、パラインフルエンザウイルス[Welliver,1982])および細菌(肺炎球菌(S. pneumoniae)[Kjaergard, 1996; Tee, 1982; Pauwels, 1980]、黄色ブドウ球菌(S. aureus)[Rhode, 2004; Tee, 1982]、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)[Shen, 1981]、およびマイコプラズマ・ニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)[Seggev, 1996])による呼吸器感染に反応して特異的なIgE抗体が産生されることも報告した。NTHiに特異的なIgE抗体は、CB(Kjaergard, 1996; Tee 1982)および嚢胞性線維症(Tee 1982)の患者の血清中にも同定されている。
【0006】
気管支喘息の患者の研究において、NTHiに対するIgE抗体は29%で見られた。NTHiおよび/または肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)に対する抗体は、他のIgEを介する過敏性反応を有しない患者の22%にも存在していた。しかし、様々な吸入性抗原に対する実証できるIgE抗体を有する(アレルギーの表現型を示唆する)患者では、より高いレベルのIgE細菌抗体が見つかった(Pauwels, 1980)。細菌感染は喘息の誘発および再燃において役割を果たしている可能性があるという仮説が立てられたが、喘息の再燃は主にウイルス感染により起こされると考えられてきた。実際、喘息の処置における細菌ワクチンの臨床効果には疑問が持たれ、細菌ワクチンは現代の喘息の処置において何も役割を持たないという国際的な(WHO)推奨につながっている。
【0007】
大量の研究が療法的な喘息への介入および処置に焦点を当てたにも関わらず、この病気は依然として、現代の西洋化した社会における主要で犠牲が多く、かつ大きくなりつつある問題である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Simpson, J.L., Scott, R., Boyle, M.J., Gibson, P.G. Inflammatory subtypes in asthma: Assessment and identification using induced sputum. Respirology 2006; 11, 54-61.
【非特許文献2】Sethi S, Murphy TF. Bacterial infection in chronic obstructive pulmonary disease in 2000: a state-of-the-art review. Clin Microbiol Rev 2001; 14: 336-363.
【非特許文献3】Moller LVM, Timens W, van der Bij W et al. Haemophilus influenzae in lung explants of patients with end-stage pulmonary disease. Am J Respir Crit Care Med 1998; 157: 950-56.
【非特許文献4】Murphy TF, Brauer AL, Schiffmacher AT, Sethi S. Persistent colonization by Haemophilus influenzae in chronic obstructive pulmonary disease. Am J Respir Crit Care Med 2004; 170: 266-72.
【非特許文献5】Clementsen P, Milman N, Kilian M. et al. Endotoxin from Haemophilus influenzae enhances IgE-mediated and non-immunological histamine release. Allergy 1990; 45: 10-17.
【非特許文献6】Norn S, Jensen L, Kjaergard LL, Permin H, Stahl Skov P, Espersen F. Bacteria-induced IgE-mediated histamine release: Examination of patients with chronic bronchitis (CB) during acute exacerbations. Agents Actions 41, Special Conference Issue 1994: C22-C23.
【非特許文献7】Welliver RC, Wong DT, Middleton E Jr, Sun M, McCarthy N, Ogra PL. Role of parainfluenza virus-specific IgE in pathogenesis of croup and wheezing subsequent to infection. J Pediatrics 1982; 101: 889-96.
【非特許文献8】Kjaergard LL, Larsen FO, Norn S, Clementsen P, Stahl Skov P, Permin H. Basophil-bound IgE and serum IgE directed against Haemophilus influenzae and Streptococcus pneumoniae in patients with chronic bronchitis during acute exacerbations. APMIS 1996; 104: 61-67.
【非特許文献9】Tee RD, Pepys J. Specific IgE serum antibodies to bacterial antigens in allergic lung disease. Clin Allergy 1982; 12: 439-50. 18.
【非特許文献10】Pauwels R, Verschraegen G, Van Der Straiten M. IgE antibodies to bacteria with bronchial asthma. Allergy 1980; 157: 665-9.
【非特許文献11】Rohde G, Gevaert P, Holtappels G et al. Increased IgE-antibodies to Staphylococcus aureus enterotoxins in patients with COPD. Respir Med 2004; 98: 858-64.
【非特許文献12】Shen J, Brackett R, Fischer T, Holder A, Kellogg F, Michael JG. Specific Pseudomonas immunoglobulin E antibodies in sera of patients with cystic fibrosis. Infect Immun 1981; 32: 967-68.
【非特許文献13】Seggev JS, Sedmak GV, Kurup VP. Isotype-specific antibody responses to acute Mycoplasma pneumoniae infection. Ann Allergy Asthma Immunol 1996; 77: 67-73.
【発明の概要】
【0009】
大まかに言うと、本発明は、型別不能なインフルエンザ菌(NTHi)は、NTHiの持続的なコロニー形成および/または反復してそれにさらされることの結果として、重症の喘息の引き金として機能し得るという発明者らによる認識に由来する。特に、本発明者らは、NTHiに対するIgE抗体は(しばしば複合的な多因子性の状況において)喘息の非常に重要な媒介者であることを見出した。理論に制限されることなく、本発明者らは下気道における吸入された/コロニー形成しているNTHiの減少は喘息を起こす機構の活性化を減少させる、または本質的に回避すると信じている。喘息の誘発を減少させることにより、本明細書で記述されるNTHiワクチンを用いた療法は喘息処置の必要性および関連する喘息の薬物治療も減少させることができる可能性がある。
【0010】
従って、本発明のある観点において、個人に有効量のNTHiワクチンを投与することを含む、個人における喘息の予防または処置のための方法が提供される。
ワクチンは細菌に対する有効な免疫反応を誘導するあらゆるNTHiワクチンであることができる。通常、ワクチンはNTHiに対する経口ワクチンであり、より一般的には経口死菌NTHiワクチンであろう。
【0011】
本発明の別の観点において、喘息の予防または処置のための経口ワクチンが提供され、ワクチンは少なくとも1種類のNTHiの抗原を生理的に許容できるキャリヤーと一緒に含む。
【0012】
本発明の別の観点において、個人における喘息の予防または処置のためにNTHiに対する免疫反応を生じさせるための少なくとも1種類の抗原の使用が提供される。
抗原は、例えば、死菌または不活化NTHi分離物、NTHi画分およびNTHiの抗原性の外膜の構成要素(例えば、表面抗原またはそれらの断片)からなるグループから選択される抗原であることができる。
【0013】
典型的には、完全な死菌NTHiが、本明細書で記述する喘息の予防または処置のためのワクチンまたは方法において用いられるであろう。
個人は診断された喘息を有していることができ、または喘息のリスクが考えられる個人、例えば現または元喫煙者、反復性の気道感染、慢性的な咳および痰(例えば慢性的な気管支炎における)、および/または内因性喘息を有する個人であることができる。少なくとも1つの形において、個人はNTHiにさらされたことを示す1個以上のパラメーター、例えば例えば高い好中球のレベル、痰または唾液中のNTHiの存在、および/またはNTHiに特異的な抗体を有しているであろう。本発明の少なくともいくつかの態様は、好中球性喘息の予防または処置における特別な用途を有する。
【0014】
好都合なことに、本発明の1個以上の態様に従うNTHiワクチンの投与は、個人におけるIgE抗体の減少および/または喘息(例えば内因性または好中球性喘息)の症状または重症度の減少につながることができる。
【0015】
この明細書を通して、単語”含む(comprise)”、または”含む(comprises)”もしくは”含む(comprising)”のような変形は、述べられた要素、整数もしくは工程、または要素、整数もしくは工程のグループを包含するが、他のいずれかの要素、整数もしくは工程、または要素、整数もしくは工程のグループを排除することは決してないことを暗に意味することは理解されるであろう。この明細書で言及される全ての刊行物を本明細書に援用する。この明細書に包含された文書、証書、資料、考案、論文または同様のもののあらゆる論考は、単に本発明のために前後関係を提供するためである。それは、これらの事のいずれかまたは全てが先行技術基準の一部を形成する、またはこの出願の優先日の前にそれがどこにでも存在したため本発明に関係する分野における共通の一般的知識であったという自認であると受け取られるべきではない。
【0016】
本発明の特徴および利点は、それの態様の下記の詳細な記述からさらに明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1はプラセボ試験グループのうがいにおいて分離されたNTHiの平均数を示すグラフである;
【図2】図2はプラセボグループおよび経口死菌NTHiワクチンで免疫された処置グループにおける血清NTHi特異的IgGレベルを示すグラフである;ならびに
【図3】図3はプラセボグループおよび経口死菌NTHiワクチンで免疫された処置グループにおける唾液NTHi特異的IgGレベルを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
喘息は臨床的には喘鳴、可逆的な気道閉塞および気管支の活動過剰により定義される。喘息の最も一般的な原因は吸入したアレルゲンに対するIgEを介した過敏性反応であり、結果として喘息は”外因性”または”内因性”と分類される。しかし、長年の喘息を有する個人は、肺の損傷および関連する気道の反復する感染に由来する咳および痰を発現し得る。例えば、長年の咳および痰を有し喘鳴を発現する気管支炎の個人、ならびに反復性の喘息および気道感染を有する個人も存在する。
【0019】
喘息の試験では慣例的に、別個のグループを試験することに注意が払われており、一般に明確に定義された喘息(例えば古典的な外因性喘息)を有する対象は他のグループ(例えば喫煙に関連する気道疾患を有するグループ)から分けられ、これは他の喘息のグループと分離された定義された喘息のグループで試験を実施することにつながる。しかし、これは人工的な類別であり、むしろ、スキーム1に図説したように喘息を気道疾患のスペクトルとして見るのがより現実的である。
【0020】
【数1】

【0021】
スキーム1:喘息疾患のスペクトル
喘息のこれらの異なる臨床上の発現に関して様々な異なる所見が述べられた。手短に言えば、これらは次のように要約することができる。
【0022】
・吸入した抗原(例えば花粉)に対するIgE抗体の誘導は古典的なアレルギー性喘息を引き起こし、ここでアレルゲン特異的IgEがマスト細胞に結合してマスト細胞の顆粒消失および媒介物質、例えばヒスタミンの放出を起こし、それがアレルギー症状を引き起こす。
【0023】
・損傷した気道のコロニー形成および間欠性のウイルス感染は気管支中への好中球の流入(急性気管支炎)(通常は、気管支の”炎症”の結果として起こると考えられる喘鳴と関連している)につながり得る。
【0024】
・肺の損傷につながる喫煙は、対象を気道の感染が起こりやすくし得る。
しかし、臨床で診断された喘息を有する多くの喘息の対象は、これらの構成要素に関して’混合’されており、この喘息疾患のスペクトルは異なる病原経路が喘息につながることができこれらの経路は共存できるという認識により調和させることができると提案されている。特に、理論に制限されることなく、発明者らは、実証できる古典的なアレルゲンへの過敏性反応無しの多くの喘息(例えば、ハウスダスト、花粉および同様のものに対するIgEに関する陰性の試験結果、および/または高い好酸球数を有する)における喘鳴の主要な原因は、NTHiの好中球を誘導し活性化する能力と共同したNTHiのコロニー形成および/または反復してそれにさらされることへのIgE抗体を介した反応によるものであると考える。具体的には、NTHiワクチンは末梢気道へのNTHiの負荷を軽減することができ、いわゆる”内因性喘息”に有効な処置を提供することができる。
【0025】
より大まかには、NTHiワクチンからの利益は、NTHiにさらされたことを示す1個以上のパラメーター、例えば高い好中球レベル(高い好酸球レベルを伴う、または伴わない)、例えば痰または唾液中のNTHiにより示される現在のNTHi感染、および/またはNTHi特異的抗体を示すそれらの個人、ならびに例えば喫煙(慢性閉塞性肺疾患(COPD))または慢性気管支炎(特に喘鳴を有するそれらの個人)に起因する損傷した気道を有するそれらの個人により引き出され得る。例えば、損傷した気道を有する個人はNTHiおよび他の細菌性病原体による感染/コロニー形成を非常に起こしやすいことが認識されている。気道への損傷は古典的には喫煙の結果として起こるが、外因性喘息も気道を損傷し得る(従って、NTHi感染と関連する咳および痰のより遅い発症)。組み合わされた機構を有する喘息の個人(例えばNTHiに対するIgE抗体を有するアトピーの対象)においても利益が生じる可能性があり、喘息および喘息症状の処置は、一般にはNTHiにさらされたことの結果であるIgE生産の誘導の減少または回避の結果としてのものである。
【0026】
抗体レベルは、血液、血清、血漿、痰または唾液試料において、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)または他の免疫アッセイを含むあらゆる適切な一般に知られる分析プロトコルを用いて測定することができる。NTHi特異的抗体は、IgA、IgM、IgGおよびIgEならびにそれらのサブクラス、例えばIgG1および/またはIgG3の1種類以上から選択することができる。総IgEおよび/またはNTHi特異的IgE抗体は、一般に痰または唾液試料において測定されるであろう。好中球レベルも、唾液または痰において、細胞染色に続く顕微鏡的評価を含むあらゆる適切な一般に知られる分析法を用いて測定することができる。同様に、当技術で知られるあらゆる適切な方法を、NTHi感染のNTHi数/レベルを測定するのに用いることができる。抗体レベル、好中球レベルおよびNTHi数は、古典的外因性喘息(例えば好酸球性および/または反応性過剰を示す)または例えば、喘息ではない対照または他の適切な参照グループに由来する対応する参照レベル(level(s))に対して比較することができる。喘息グループを区別するための統計的方法は、例えばSimpson et al,2006に記述されている。
【0027】
本発明の方法で利用されたワクチンは、通常は完全死菌または不活化(例えば弱毒化)NTHi分離物(isolate(s))(例えばホルマリンで殺したもの)を含有するであろう。しかし、外側の細胞膜および/または表面抗原を含む、またはそれで構成される、可溶性の、または微粒子状のNTHi抗原は、完全死菌有機体と同様に、またはその代わりに利用することができる。1個以上の態様において、選択されたNTHi分離物(isolate(s))の外側の細胞膜画分または膜タンパク質(protein(s))が利用されるであろう。例えば、NTHi OMP P6は高度に保存された16kDaのリポタンパク質であり(Nelson, 1988)、これはヒトの殺菌性抗体の標的であり、ヒトにおいて、および動物のモデルにおいて防御を誘導する。慢性閉塞性肺疾患(CPOD)において、OMP P6は、NTHi感染からの相対的な防御と関連するリンパ球の増殖反応を喚起することが示されている(Abe, 2002)。従って、OMP P6またはいずれかの他の適切な外膜NTHiタンパク質、ポリペプチド(例えばP2、P4およびP26)またはそれらのタンパク質もしくはポリペプチドの抗原性断片はNTHiワクチンにおける用途を見出し得る。
【0028】
可溶性の、および/または微粒子状の抗原は、死菌または生存可能な、選択されたNTHi分離物(isolate(s))を破砕することにより製造できる。ワクチンにおける使用のための画分は、次いで遠心、濾過および/または当技術で知られる他の適切な技法により調製することができる。超音波処理または適切な界面活性剤を利用した溶解および撹拌、ならびにそれらの技法の組み合わせを含め、必要なレベルの細胞の破砕を得られるあらゆる方法を用いることができる。超音波処理が用いられる場合、必要な程度の細胞の破砕または特定の大きさもしくは大きさの範囲の可溶性および/または微粒子状物質の生成を得るために、分離物は数個の超音波処理工程を受けることができる。
【0029】
型別不能なインフルエンザ菌分離物HI−164(Hunter Immunology Limited, Frenchs Forest, NSW 2086, Australia)は、本明細書で記述する喘息の予防または処置のためのワクチンにおける使用に特に適している。
【0030】
ワクチンは通常、選択された細菌の分離物(isolate(s))および/または抗原を、ワクチン組成物の約0.1%から100%w/wまでの量で含むであろう。ワクチンの有効投与量は、ワクチンの提案される送達(delivery)の方式および性質(例えば粉末、液体、エアロゾルでの送達等)を考慮に入れるであろう。完全死菌ワクチンに関しては、投与されるその、またはそれぞれの細菌分離物の投与量は、通常は約10〜約1012死菌、より好ましくは約1010〜約1011死菌の範囲内であろう。ワクチンの最適投与量は、異なる投与量を異なるグループの試験哺乳類に投与した後、続いてそれぞれのグループの動物をNTHiに感染させ、満足のいく病原の浄化値を得るのに必要な投与レベルを決定することにより決定することができる。
【0031】
ワクチンはNTHi感染に対して有効な免疫反応を生じさせるのに適したいずれかの投与計画に従って投与することができる。例えば、ワクチンの1回量を1年に1度冬の前に投与することができる。数週間または数ヶ月の間隔をあけて投与される1回以上の”ブースター”量のワクチンを与えてもよい。あるいは、NTHiによる感染および/またはコロニー形成に対して有効な免疫反応を生じさせるために数回の量のワクチンが数週間の過程にわたって投与されてもよい。
【0032】
ワクチン自体は、生理的に許容できる緩衝液または流体を利用して再構成された、凍結乾燥された(freeze−dried or lyophilised)ワクチンであることができる。ワクチンは、1種類以上の凝結防止剤、保存剤、例えばチメロサールまたはそうでなければ提案される投与方式に適しているもの、安定剤、例えばアミノ酸および糖部分、甘味剤、例えばショ糖、乳糖またはサッカリン、界面活性剤、pH緩衝剤およびpH調節剤、例えば水酸化ナトリウム、塩酸、リン酸一ナトリウムおよび/またはリン酸二ナトリウム、医薬的に許容できるキャリヤー、例えば生理食塩水、溶媒および分散媒および等浸透圧調合剤(isotonic preparations)も含有することができる。ワクチンは1種類以上の抗原性補強剤を含むこともできる。適切な抗原性補強剤には、例えばコレラトキシンBサブユニットおよび一般に知られるアルミニウム抗原性補強剤(alum adjuvant)が包含される。通常、排他的にではないが、ワクチンは抗原性補強剤無しである。
【0033】
ワクチンにおけるその成分および媒質の使用法は、当技術において周知である。いずれかの一般に用いられる媒質または薬剤がNTHiの分離物(isolate(s))もしくは抗原、または提案される投与方式と適合できない場合を除き、それらの、本発明により具体化される方法において用いられ得るワクチンの使用は、明確に包括される。例えば生菌微生物、それらの画分および生物学的生成物、ならびに適切なサイトカインを包含する、免疫反応をブーストするための補足的な有効薬剤も、ワクチンに包含することができる。医薬的に許容できるキャリヤーおよび本発明のワクチン組成物において有用な成分の組み合わせは、例えば熟練した対象者に周知であるハンドブックおよびテキスト、例えば”Remington” The Science and Practice of Pharmacy (Mack Publishing Co., 1995)”において見つけることができ、その内容をそのまま本明細書に援用する。抗原性補強剤の具体的な例には、コレラトキシンBサブユニットおよび一般に知られるアルミニウム抗原性補強剤が包含される。
【0034】
経口死菌ワクチンは、乾燥した粉末として、または液体の形で投与することができる。投与は、例えば注射(例えば皮下、または静脈内)により、経口で例えば投与単位形(dosage unit form)(例えば錠剤、カプセル、または投与される液体形(dosed liquid form))の注入(instillation)により、またはスプレーとして成し遂げることができる。
【0035】
本発明の1個以上の態様に従って投与することのできるNTHiワクチンの特に適切な形には、腸溶性被覆された(enterically coated)錠剤、カプセルおよび糖剤が包含される。
【0036】
ワクチンはあらゆる適切な哺乳類の喘息モデルにも投与されてよいが、本発明に従ってワクチンが投与される個体は普通はヒトであろう。本発明をさらに下記で限定的でない実施例により記述する。
【実施例】
【0037】
実施例1 慢性の気道疾患を有する対象はNTHiに対する高レベルのIgE抗体を有する
慢性閉塞性肺疾患(COPD)を有する対象および同年齢の対照集団を、唾液、血清および痰中の総IgEおよびNTHi特異的IgEのレベルに関して評価する試験を実施した。性別、年齢、喫煙習慣、および呼吸の症状についてのデータを包含する身体検査および包括的アンケートを完了した。コルチコステロイド類および抗生物質の使用が、全対象から記録された。肺機能は肺活量測定により評価した。健康な対照には能動喫煙者またはかつて喫煙していた経歴を有する者はいなかった。COPDグループでは1人を除く全ての対照が喘鳴を示した。喘鳴は、胸部における随時のぜいぜい言う(wheezing)またはヒューヒュー鳴る(whistling)音として定義された。試験した対象で前月以内の呼吸器感染を有していた者はいなかった。全ての患者は臨床的に安定であった。唾液および血液試料を集めた。
【0038】
1.1 方法論
1.1.1 唾液
パラフィン刺激された全唾液を、穏やかな吸引により氷で冷却したチューブ中に10分間集め、20,000×gで、20分間、4℃における遠心分離により清浄にし、澄んだ上澄みを分析するまで−70℃で凍らせておいた。
【0039】
1.1.2 血清
10ミリリットルの血液を常用の静脈穿刺により集め、室温で凝固させ、5,000×gで、4℃において10分間遠心分離し、血清を分析するまで−70℃で保管した。
【0040】
1.1.3 痰ゾル(Sputum sol.)
一般に、対象はしたくなった時に(on arising)咳をして吐き出して試料を冷却しておくように指導された。痰の試料を、Courcol et al (1985)により記述された基準に従って顕微鏡検査により口咽頭の汚染に関して評価した。許容できる試料から、4℃で60分間、30,000×gにおいて遠心分離することにより痰ゾルを調製し、分析するまで−70℃で保管した。
【0041】
1.1.4 NTHi抗原の調製
NTHi OMPのzwittergent抽出物を、Murphy et al (1988)により記述されたようにして調整した。NTHiの高度に保存された16kDのリポタンパク質であるP6を、分取ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)を用いて、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)法により、Kyd et al (1994)により記述されたようにして精製した。P6の精製のための分取SDS−PAGEは、Bio−Rad 491 Cell(BioRad, Hercules, CA)を用いて実施した。PHAST System(Pharmacia Piscataway, NJ)を用いてSDS−PAGEを実施し、OMPのzwittergentおよびP6画分を10−15%勾配ゲルで分析した。低分子量標準(Pharmacia)をそれぞれのゲルで流した。ゲルをクマシーブルーおよび硝酸銀で染色した。
【0042】
1.1.5 IgE酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)
2.0μg/mlの濃度のヤギ抗ヒトIgE(Tago, Inc. CA)を、試料中の総IgEの測定に用いた。IgE抗体はELISAにより測定した。要するに、平底96ウェルELISAプレート(Immunoplate I; Polysorp, Nunc, Roskilde, Denmark)を、炭酸水素ナトリウム緩衝液(pH 9.6)中において適切な濃度の抗原100μlまたは炭酸水素ナトリウム緩衝液のみを用いて4℃で一夜被覆した。ウェルを0.05%(v/v)Tween20を含むPBS pH7.2(PBS/Tween)で3回洗浄し、次いで100μlのPBS/T中1%(w/v)BSA(放射性免疫アッセイグレード; Sigma, St Lois, MO)を添加し、37℃で60分間おいた。ウェルをPBS/Tで洗浄し、次いで100μlの1%BSA/PBS/T中で希釈した試料をそれぞれのウェルに添加した。プレートを37℃でさらに60分間保温し、その後それらを洗浄し、100μlの1%BSA/PBS/T中で1:1000に希釈したビオチン標識ヤギ抗ヒトIgE(Tago, Inc. California, USA)を添加し、37℃でさらに60分間保温した。洗浄した後、100μlの1%BSA/PBS/T中で1:40,000に希釈したペルオキシダーゼ結合ストレプトアビジン(Tago)をそれぞれのウェルに添加し、37℃で45分間保温した。洗浄した後、100μlの基質緩衝液中の酵素基質3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(Sigma)をそれぞれのウェルに添加し、室温で15〜30分間保温した。反応を100μlの硫酸(1.0M)で停止し、吸光度を490nmにおいてELISAプレートリーダー上で読み取った。試料中の総IgEの測定のためにヤギ抗ヒトIgE(2.0μg/ml)(Bioclone, Australia)、ならびに試料中のOMP IgEおよびP6 IgEの測定のために10人の慢性気管支炎の対象からプールした血清の5個の2倍希釈を走らせて(running)、標準曲線を生成した。標準曲線および試料は、2重に(in duplicate)試験した。炭酸緩衝液ウェルにおける試料の吸光度をそれぞれの抗体で被覆したウェルから差し引いて最終的な結果を得た。総IgEに関する感度の範囲は0.15〜2.43ng/mlであった。交差力価測定を実施して、全ての抗体濃度ならびにタンパク質標準の濃度および試料の希釈に有用な範囲を最適化した。
【0043】
1.2 対照および処置グループにおける血清および痰のIgEレベル
総IgEおよびNTHi IgE抗体を、ELISAアッセイにより、実施例1.1.5で記述したように測定した。患者のプロフィールを表1aに示す。得られた値を表1bに示す(提示した値は平均+/−SEMを表す)。
【0044】
表1a:対象のプロフィール
【0045】
【表1】

【0046】
表1b:反復性の気道感染および喘息を有する対象における総IgE、NTHi OMPに対するIgE、およびNTHi P6に対するIgE
【0047】
【表2−1】

【0048】
【表2−2】

【0049】
ND = 検出できない
EU = ELISA単位
1.3 IgEレベルおよびアレルギー性気道疾患
対象におけるIgEレベルおよびアレルギー性呼吸器疾患の間の関係を評価した。患者のプロフィールを表2aに示す。要するに、気管支けいれんを伴う反復性の急性気管支炎を有する対象(彼らのほとんどは喫煙しており早期の慢性気道疾患を有する)は、アレルギー性疾患の存在に関わらず、高レベルのIgE抗体を有していることが分かった。総IgEおよびNTHi特異的IgEレベルを表2bに示す(提示した値は平均+/−SEMを表す)。
【0050】
表2a:対象のプロフィール
【0051】
【表3】

【0052】
表2b:総IgEおよびNTHi抗原に特異的なIgE(OMPおよびP6)
【0053】
【表4】

【0054】
ND = 検出できない EU = ELISA単位
1.4 論考
実施例1.2および1.3に提示した結果は、対照およびCOPDグループにおいて、血清および唾液において総IgEのレベルで有意な差を示していない。しかし、COPDグループでは対照グループと比較してIgE OMP抗体で有意な増加が見られ(P<0.01)、IgE OMP抗体およびIgE P6抗体の両方が痰中で検出された。結果は、NTHi特異的IgE抗体が慢性的気道疾患および喘息(喘鳴)を有する個人の血清および分泌物中に普通に存在することを示している。
【0055】
軽症〜重症のCOPDを有しており有効処置グループにおいて経口ワクチンで処置された対象は、気管支拡張薬療法の使用が50%減少したことが分かった。さらに、3回の過程のNTHiワクチン療法を行った後、好酸球の数が有効処置グループのみで有意に減少したことが分かった。結論として、経口NTHi療法は急性期における気管支拡張薬療法の使用を減少させ、NTHiに特異的なアレルギー反応と関連する好酸球の数も減少させる。
【0056】
実施例2
プラセボを対照とした二重盲検臨床試験を実施し、ここで過去2年間に1日あたり少なくともタバコ10本を喫煙していたことに基づいて64人の対象が募集され、二重盲検試験における経口NTHi療法またはプラセボ処置グループに配置された。対象は無作為にプラセボおよび有効グループに分けられ、1ヶ月の間隔をおいて3過程の試験投薬を受けた。それぞれの過程は、1日あたり2錠、3日間で構成されていた。有効な錠剤は、それぞれ45mgのホルマリン死菌NTHi(有効な錠剤あたり1011死菌に相当する)を含有していた。2週間ごとの7回の往診で血液、唾液、うがい液、咽頭スワブ、および鼻腔スワブ(微生物学的評価のため)を集めた。
【0057】
2.1 NTHiの検出およびNTHi特異的IgGの測定
驚いたことに、プラセボ処置およびワクチン処置グループにおける冬季にわたる測定は両方のグループでNTHiを検出し、これは無作為にこの細菌にさらされたことを示すものであった。図1はそれぞれの往診におけるプラセボグループのうがい液中のNTHiの平均レベルを示す。
【0058】
NTHi特異的IgGは、血清および唾液においてELISAアッセイにより測定した。要するに、96ウェルNunc Maxisorpプレートのウェルをインフルエンザ菌164(H. influenzae 164)の超音波処理抗原調製物で被覆した。2〜8℃で一夜保温した後、プレートを洗浄し、様々な希釈率の血清または唾液の試料を添加した。室温で60分間保温した後、プレートを洗浄し、ホースラディッシュペルオキシダーゼ結合抗ヒトIgG抗体(Chemiconカタログ番号AP112P)を添加した。室温でさらに60分間保温した後、プレートを洗浄し、TMB基質(Biomediqカタログ番号50−76−00)を添加した後、さらに室温で10分間保温し、1Mリン酸の添加により反応を停止した。BioRadマイクロプレートリーダー上で、450nmの第1フィルターおよび655nmの参照フィルターを用いる2波長方式で吸光度を読み取った。標準曲線を用いてそれぞれの試料におけるELISA単位を決定した。
【0059】
プラセボグループにおける血清および唾液中のNTHi特異的IgGのレベルは、ワクチン処理したグループにおけるそのレベルよりも高く、より一定しなかった(図2および図3参照)。発明者らは、これがプラセボグループではNTHiが下気道に到達した結果全身でのIgGの生産をもたらしたためであり、ワクチン処置したグループではNTHiは下気道に到達することを本質的に妨げられたと信じている。これを試験するため、うがい液中でNTHiが検出された往診の数と往診1および6の間での血清IgGの対数変化の間の関係についてプロットを作成した。プラセボおよび有効な対象を、彼らがうがい液中でNTHiが見つかった往診を0〜1回有するか、または2〜4回有するかに従ってグループ分けした。プラセボグループでは、血清IgGの明確な増加はNTHiが検出された数の増加と関連していた。これは有効処置グループでは見られなかった。プラセボおよび有効のIgGの変化の間の差は統計的に有意であり(p=0.0186)、これはプラセボグループにおける血清IgGが確かにNTHiにより細菌が下気道に到達したことの結果として生じさせられたことを示す。さらに、プラセボの洗液により多くのNTHiが存在するほど、IgG抗体レベルはより高かった。これはプラセボグループにおける唾液のNTHi特異的IgGの出現にも当てはまると信じている。
【0060】
2.2 論考
ワクチンの有効性に関するマーカーとして、血清IgG抗体を測定した。ワクチン処置グループではIgG反応の明らかな欠如が見られ、一方プラセボ処置グループの患者は血清IgGの増加を示した。理論に制限されること無く、発明者らは、プラセボグループで観察されたIgGの増加は、抗原提示細胞による細菌の取り込みおよび流入領域リンパ節への輸送が抗細菌性IgG反応を誘導する、下気道に到達した感染した細菌に対する免疫反応を反映していると信じる。それに対し、ワクチン処置グループにおけるその反応の欠如は、細菌が下気道に到達することを(粘膜ワクチン特異的免疫反応により)本質的に妨げられたことを示す。0〜1回または2〜4回の往診においてNTHiが上気道で検出された対象におけるIgG反応の比較は、プラセボグループではIgGが増加したが有効(ワクチン)処置グループでは増加しなかったことも示した。これは、NTHiでの経口ワクチン接種の後の血清IgG測定は、感染にさらされることおよびこれが粘膜免疫形成により妨げられる程度を反映することを示唆する。唾液のIgG反応は、血清中で見られたIgG反応を反映していた。
【0061】
概して、この試験は処置およびプラセボグループの両方における対象の上部呼吸器管においてNTHiが検出されたこと、ならびに経口死菌NTHiワクチン療法を用いた処置が処置グループにおける血清および唾液中のNTHi特異的IgGの減少につながったことを証明し、これはワクチンがNTHiの下気道への接近を制限する、または防ぐのに成功した(すなわち、喘息を開始するアレルゲンがより少ない)ことを示している。
【0062】
このように、IgG抗体の刺激により明示されたように、プラセボグループにおいてのみNTHiは下気道に接近し、NTHiワクチンを用いた経口’免疫形成’は気道中のNTHiアレルゲンを減少させた。
【0063】
実施例3 軽症、中程度または重症の気道疾患を有する対象に経口投与される死菌NTHiワクチンは抗喘息療法の使用を減少させる
軽症〜中程度または中程度〜重症の気道疾患を有する140人のヒトの対象を、二重盲検式のプラセボを対照とした試験に募集し、経口死菌型別不能インフルエンザ菌(NTHi)ワクチンの、喘鳴を伴う可逆的気道閉塞の数および重症度、ならびに併用薬物の使用、さらに気道中のNTHiおよび他の細菌の存在に対する効果を評価した。
【0064】
処置グループでは、対照グループと比較して抗喘息型薬物(気管支拡張薬、ステロイド等)の使用の減少およびNTHiによる感染の減少が見られた。特に、NTHiに対する高いIgE抗体レベル(血清および分泌物)を有する対象の気道内のNTHiの特異的な減少、および喘息症状の減少とその結果である喘息薬物の必要性の減少が得られた。
【0065】
本発明を個別の実施例に関して記述したが、本発明の精神または範囲から逸脱することなく非常に多くの変更および/または修正がなされてよいことが当業者により理解されるであろう。本態様は、従って、全ての点で説明的であり限定的ではないと考えられるべきである。
参考文献
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人における喘息の予防または処置のための方法であって、個人に有効量の型別不能なインフルエンザ菌(NTHi)ワクチンを投与することを含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、喘息が内因性喘息である方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法であって、喘息が好中球性喘息である方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法であって、喘息が痰または唾液中の高い好中球レベルに特性づけられる方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法であって、個人がNTHiにさらされたことの指標となる1以上のパラメーターを示す方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、個人がNTHi特異的抗体を示す方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、抗体がIgE抗体である方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法であって、ワクチンが経口ワクチンである方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、ワクチンが経口死菌ワクチンである方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、ワクチンが1種類以上の完全死菌NTHi分離物を含む方法。
【請求項11】
喘息の予防または処置のための経口ワクチンであって、ワクチンが型別不能なインフルエンザ菌(NTHi)に対する免疫反応を生じさせるための少なくとも1種類の抗原を、生理的に許容できるキャリヤーと一緒に含むワクチン。
【請求項12】
請求項11に記載のワクチンであって、経口死菌ワクチンであるワクチン。
【請求項13】
請求項11に記載のワクチンであって、少なくとも1種類の抗原が死菌または不活化型別不能インフルエンザ菌(NTHi)分離物、NTHi画分および抗原性の外膜の構成要素からなるグループから選択されるワクチン。
【請求項14】
請求項12または13に記載のワクチンであって、ワクチンが1種類以上の完全死菌NTHi分離物を含むワクチン。
【請求項15】
個人における喘息の予防または処置のためにNTHiに対する免疫反応を生じさせるための、少なくとも1種類の抗原の使用。
【請求項16】
請求項15に記載の使用であって、少なくとも1種類の抗原が死菌または不活化型別不能インフルエンザ菌(NTHi)分離物、NTHi画分および抗原性の外膜の構成要素からなるグループから選択される使用。
【請求項17】
請求項15に記載の使用であって、ワクチンが1種類以上の完全死菌NTHi分離物を含む使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−521430(P2010−521430A)
【公表日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552975(P2009−552975)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【国際出願番号】PCT/AU2008/000358
【国際公開番号】WO2008/109956
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(508280313)ハンター・イミュノロジー・リミテッド (3)
【Fターム(参考)】