営業活動支援システム、通信端末、営業活動支援方法及びコンピュータプログラム
【課題】所定の手順に従った営業活動が行われているかを監視して、営業活動を支援すること。
【解決手段】担当者は、通信端末1及び通信端末2を持参して顧客との商談に臨む。担当者は、通信端末1にドキュメントを表示し、所定事項を説明する。説明時の音声等は録音され解析される。担当者が所定の手順に従って説明しているか、担当者がNGワードを発していないかが自動的に判別される。
【解決手段】担当者は、通信端末1及び通信端末2を持参して顧客との商談に臨む。担当者は、通信端末1にドキュメントを表示し、所定事項を説明する。説明時の音声等は録音され解析される。担当者が所定の手順に従って説明しているか、担当者がNGワードを発していないかが自動的に判別される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、営業活動支援システム、通信端末、営業活動支援方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
金融商品等を販売する場合、営業担当者は、顧客に重要事項を説明する必要がある。そこで、営業担当者が必要な説明をしたか否かを確認するために、営業活動の履歴をオンライン上のサーバで管理する技術が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−50903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、担当者の手動操作により、顧客に重要事項を説明したか否かをサーバに登録するため、人為的ミスを生じる可能性があり、信頼性が低い。
【0005】
また、商品等によっては、定められた順番に従って顧客に説明する必要があるが、従来は、説明の順番をどうするかは営業担当者に任されており、営業担当者の説明の順番を自動的に管理することができない。
【0006】
そこで、本発明の目的は、ドキュメントが所定の手順に従って説明されているか否かを自動的に判別して管理することができ、営業管理の信頼性を向上できるようにした営業支援システム、通信端末、営業活動支援方法及びコンピュータプログラムを提供することにある。本発明の更なる目的は、後述する実施形態の記載から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、本発明の一つの観点に従う営業支援システムは、営業支援サーバと、該営業支援サーバに通信ネットワークを介して接続される通信端末とを備える営業支援システムであって、営業支援サーバは、通信端末に記憶される電子ドキュメントと、電子ドキュメントの説明手順を示す説明手順管理テーブルとを管理し、通信端末は、電子ドキュメントを端末画面に表示させる表示部と、ユーザ操作が入力される入力部と、外部の音声を検出して音声データを出力する音声検出部と、電子ドキュメントと説明手順管理テーブルと音声検出部から出力される音声データと入力部に入力されるユーザ操作とを記憶する記憶部と、表示部に表示される電子ドキュメントが説明手順管理テーブルに規定されている所定の手順に従って説明されているか否かを、表示部に表示される電子ドキュメントとユーザ操作と音声データとに基づいて判定し、電子ドキュメントが所定の手順に従って説明されていない場合は、警告を出力する判定部と、を備える。
【0008】
第2観点では、第1観点において、顧客の承認を示す所定の音声データが予め記憶部に記憶されており、判定部は、所定の音声データが検出された場合に、所定の手順に従って電子ドキュメントが説明されていると判定し、所定の音声データが検出されなかった場合に、電子ドキュメントが所定の手順に従って説明されていないと判定する。
【0009】
第3観点では、第2観点において、判定部は、所定の音声データが検出された場合でも、電子ドキュメントの表示時間が予め設定される所定の時間未満の場合は、電子ドキュメントが所定の手順に従って説明されていないと判定する。
【0010】
第4観点では、第3観点において、判定部は、音声検出部により検出された音声データに所定の禁止表現が含まれているか否かを判定し、所定の禁止表現が含まれている場合には警告を発する。
【0011】
第5観点では、第1観点において、ユーザ操作には、表示部に表示された電子ドキュメントへのユーザの手動操作が含まれており、記憶部に設けられ、手動操作と電子ドキュメントとを対応付けて記憶する活動履歴管理テーブルと、入力部に入力された手動操作に基づいて活動履歴管理テーブルを検索し、一致する手動操作に対応付けられている電子ドキュメントを検出する検索部と、を備える。
【0012】
第6観点では、第1−5観点のいずれかにおいて、営業支援サーバは、顧客のタイプを判別し、判別されたタイプに応じた助言データを、通信端末、または、通信端末と同一のユーザにより使用される他の通信端末のいずれかに送信する。
【0013】
なお、本発明は、営業支援サーバに接続される通信端末、または、営業支援サーバ及び通信端末を用いた営業活動支援方法、または、コンピュータプログラムとして捉えることもできる。コンピュータプログラムは、通信媒体または記録媒体を介して配信または配布可能である。上記の各観点の組合せ以外の組合せも本発明の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、営業支援システムの全体図である。
【図2】図2は、営業担当者が保持する通信端末のハードウェア構成図である。
【図3】図3は、営業支援サーバのハードウェア構成図である。
【図4】図4は、一つの共通基盤上で複数の会社毎の営業活動を支援する仕組みを模式的に示す説明図である。
【図5】図5は、営業活動履歴管理テーブルの一例を示す。
【図6】図6は、ドキュメント管理テーブルの一例を示す。
【図7】図7は、位置管理テーブル及び顧客管理テーブルの一例を示す。
【図8】図8は、操作管理テーブルの一例を示す。
【図9】図9は、担当者管理テーブルの一例を示す。
【図10】図10は、説明手順管理テーブルの一例を示す。
【図11】図11は、営業支援システムの全体の流れを示す説明図である。
【図12】図12は、ドキュメント等を管理する流れを示す説明図である。
【図13】図13は、通信端末起動時の処理を示すフローチャートである。
【図14】図14は、画面への手動操作を検索キーとして検索する処理を示すフローチャートである。
【図15】図15は、手動操作に基づいて検索する場合の画面例を示す。
【図16】図16は、営業活動履歴を自動的に検索するための処理を示すフローチャートである。
【図17】図17は、説明手順を監視する処理を示すフローチャートである。
【図18】図18は、禁止ワードを監視する処理を示すフローチャートである。
【図19】図19は、顧客タイプを分類する処理を示すフローチャートである。
【図20】図20は、顧客タイプ分類テーブルと顧客管理テーブルとの関係を示す説明図である。
【図21】図21は、顧客タイプ別の助言を管理するテーブルの一例である。
【図22】図22は、助言処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づき、本発明の実施の形態を説明する。本実施形態では、以下に述べるように、営業支援サーバが通信端末内の電子ドキュメントを一元的に管理しており、営業担当者(以下、担当者とも呼ぶ)は、電子ドキュメントの記憶された通信端末を持って顧客との商談に臨む。通信端末は、電子ドキュメントが所定の手順に従って説明されているか否かを、電子ドキュメントとユーザ操作と音声データとに基づいて判定し、所定の手順に従って説明されていない場合は、警告を出力する。従って、本実施形態では、所定の手順に従って説明されたか否かを自動的に判別して管理することができる。
【実施例1】
【0016】
図1〜図18を参照して第1実施例を説明する。図1は、営業支援システムの全体構成を模式的に示す。営業支援システムは、例えば、メイン通信端末1と、サブ通信端末2と、証券会社等の基幹システム4に接続可能な営業支援サーバ3と、を備える。図1では、便宜上、通信端末1,2をそれぞれ1つずつ示すが、通信端末1,2は各担当者毎に用意される。
【0017】
メイン通信端末1及びサブ端末2は、担当者に所持されている。メイン通信端末1は、担当者及び顧客の両方が使用可能である。メイン通信端末1は、例えば、顧客を診断するためのテストの実施、商品等に関する顧客への情報提供、顧客への商品説明等のために使用される。サブ端末2は、主に、担当者によって使用される。サブ端末2は、例えば、担当者への指示または警告、担当者への助言表示等のために使用される。
【0018】
上記のような役割の相違から、メイン通信端末1は、例えば、「営業用通信端末」または「第1通信端末」等と呼ぶことができ、サブ通信端末2は、例えば、「担当者用通信端末」または「第2通信端末」等と呼ぶことができる。なお、サブ通信端末2を廃止し、メイン通信端末1を用いて、担当者への指示または警告等を行う構成でもよい。通信端末のハードウェア構成例は図を改めて後述する。
【0019】
営業支援サーバ3は、通信端末1,2を用いた営業活動を支援するためのコンピュータである。営業支援サーバ3は、インターネット等の広域通信ネットワーク5及び無線通信施設6を介して、通信端末1,2に接続されている。無線通信施設6は、例えば、携帯電話通信網を利用するための携帯電話基地局、または/及び、公衆無線LAN(Local Area Network)として構成される。
【0020】
さらに、営業支援サーバ3は、通信ネットワーク5を介して、証券会社等の基幹システム4にも接続されている。営業支援サーバ3は、後述のように、各会社毎に各営業担当者の活動を支援するための基盤を提供する。営業支援サーバ3は、各会社毎に、電子ドキュメント(以下、ドキュメントとも呼ぶ)及びアプリケーションプログラム(以下、アプリケーションとも呼ぶ)を管理する。
【0021】
図2は、通信端末1のハードウェア構成例を示す。メイン通信端末1は、例えば、タブレット型、スレート型、ノート型のパーソナルコンピュータとして構成される。本実施例では、画面を指先等で操作することによりコンピュータに指示を与えることのできる通信端末を例に挙げて説明する。
【0022】
メイン通信端末1は、例えば、ユーザインターフェース部10と、マイクロプロセッサ11と、メモリ12と、補助記憶装置13と、スピーカー14と、マイクロフォン15と、姿勢検出センサ16と、GPS(Global Positioning System)受信回路17と、通信回路18と、通信インターフェース19とを備える。
【0023】
ユーザインターフェース部10は、ユーザ(担当者または顧客あるいは両方)に情報を提示するための表示部10Aと、ユーザからの入力を受け付けるための入力部10Bとを備えている。ユーザインターフェース部10は、例えば、タッチパネル等のように、表示部10Aと入力部10Bとを一体化して構成してもよいし、表示部10Aと入力部10Bとを別々に構成してもよい。
【0024】
マイクロプロセッサ(CPU:Central Processing Unit)11は、補助記憶装置13に記憶されたオペレーティングシステム及びコンピュータプログラムを読み出してメモリ12に展開し、実行する。マイクロプロセッサ11が所定のコンピュータプログラムを実行することにより、後述の各機能が実現される。
【0025】
メモリ12は、例えば、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を含んでいる。補助記憶装置13は、例えば、フラッシュメモリデバイスまたはハードディスクデバイス等から構成される。補助記憶装置13は、例えば、各種コンピュータプログラム131と、各種テーブル類132と、ドキュメント類133とを記憶している。
【0026】
メイン通信端末1は、スピーカー14及びマイクロフォン15を備えており、ユーザの発する音声を音声データとして記録することができる。その音声データは、補助記憶装置13に格納される。
【0027】
姿勢検出センサ16は、メイン通信端末1の姿勢等を検出する。姿勢検出センサ16として、例えば、加速度センサまたは/及びジャイロセンサ等が用いられる。GPS受信回路17は、GPS衛星等から発信される電波を受信してメイン通信端末1の位置を検出するための回路である。姿勢検出センサ16は、省略してもよい。
【0028】
通信回路18は、携帯電話通信網を利用して営業支援サーバ3またはウェブサーバと通信するための回路である。通信インターフェース(図中、インターフェースをI/Fと略記)19は、公衆無線LANに接続するための回路である。なお、電波に限らず、赤外線または電灯線に重畳される信号等を用いて、メイン通信端末1が通信ネットワーク5に接続する構成としてもよい。
【0029】
サブ通信端末2は、メイン通信端末1と同様に構成できる。サブ通信端末2は、メイン通信端末1と同一機能かつ同一形状に構成されてもよいし、メイン通信端末1と異なる形状に形成されてもよい。サブ通信端末2は、営業支援サーバ3と通信するための機能と、情報処理を行うための機能と、ユーザインターフェースを備えていればよい。従って、サブ通信端末2のこれ以上の説明は割愛するが、いわゆる当業者であれば、本発明の実施に必要な限りにおいて、サブ通信端末2の構成を容易に理解できる。なお、メイン通信端末1とサブ通信端末2とは、電波または赤外線等を用いた近距離無線通信により、情報を交換可能な構成でもよい。
【0030】
図3を参照して、営業支援サーバ3のハードウェア構成を説明する。営業支援サーバ3は、いわゆるオープン系のサーバコンピュータとして構成される。図3では、一つのコンピュータとして示すが、複数のコンピュータを接続することで営業支援サーバ3を構成してもよい。
【0031】
営業支援サーバ3は、例えば、マイクロプロセッサ30と、メモリ31と、補助記憶装置32と、操作用の通信インターフェース33と、端末管理用の通信インターフェース34とを備える。
【0032】
補助記憶装置32は、フラッシュメモリデバイスまたはハードディスクデバイス等から構成されており、各種コンピュータプログラム321と、各種テーブル類322と、ドキュメント類323とが記憶されている。
【0033】
営業支援サーバ3に記憶されているテーブル322の少なくとも一部と、ドキュメント323類の少なくとも一部とが、メイン通信端末1に記憶される。つまり、メイン通信端末1は、営業支援サーバ3で管理されているテーブル322及びドキュメント323のうち、必要なテーブル132及びドキュメント133のみを補助記憶装置13に記憶させている。
【0034】
操作用の通信インターフェース33は、管理端末7に接続されている。営業支援システムの管理者は、管理端末7を介して営業支援サーバ3にアクセスし、営業支援サーバ3を管理する。端末管理用の通信インターフェース34は、通信ネットワーク5を介して各通信端末1,2と接続される。
【0035】
図4は、営業支援サーバ3から各証券会社等に提供されるサービスの概要を示す。本実施例の営業支援サーバ3は、複数の企業に対して、営業活動を支援するためのサービスを提供する。
【0036】
営業支援サーバ3は、営業支援サービスを受ける各企業毎のサービス提供部310A,310Bと、各サービス提供部310A,310Bに共通する共通基盤300とを備えている。各企業のサービス提供部310A,310Bは、各企業の担当者が有する通信端末1A,1Bと通信する。
【0037】
つまり、A証券会社向けのサービス提供部310Aは、A証券会社の各担当者が所持する通信端末1A(サブ通信端末2が存在する場合は、サブ通信端末も含む。以下同様)と通信する。B証券会社向けのサービス提供部310Bは、B証券会社の各担当者が所持する通信端末1Bと通信する。各サービス提供部310A,310Bは、それぞれユーザ認証を行うため、A証券会社の通信端末1AとB証券会社向けのサービス提供部310Bとは通信できず、同様に、B証券会社の通信端末1BとA証券会社向けのサービス提供部310Aとは通信できない。
【0038】
共通基盤300は、営業支援サービスの提供を受ける各企業に共通する。共通基盤300は、ドキュメント類323を管理する機能323Cを有する。ドキュメント管理機能323Cは、各企業の基幹システム4A,4Bと通信して、各企業の営業担当者に配布されるドキュメント類を一元的に管理する。
【0039】
共通基盤300の上には、各企業毎のサービス提供部310A,310Bが設けられている。各サービス提供部310A,310Bは、各企業毎のアプリケーション及びドキュメント等を備える。
【0040】
例えば、A証券会社用のサービス提供部310Aは、アプリケーション323AAと、ドキュメント323DAと、各種テーブル322Aとを備える。同様に、B証券会社用のサービス提供部310Bは、アプリケーション323ABと、ドキュメント323DBと、各種テーブル322Bとを備える。
【0041】
本実施例では、電子ドキュメントを、通常のドキュメント323Dと、アプリケーション323Aとに分けて説明する場合がある。通常のドキュメント323Dとは、例えば、ウェブページ、ページ記述言語で作成された書類、文書作成用ソフトウェアまたは表計算用ソフトウェア等で作成された文書等である。アプリケーション323Aとは、例えば、顧客の特徴を把握するための診断テスト、株式市況等を表示または検索するための情報提供アプリケーション、資産運用結果を予測するためのアプリケーション等である。以下、特に区別する場合を除き、「ドキュメント」、「ドキュメント類」等と呼ぶ。
【0042】
基幹システム4A,4Bと共通基盤300とが連携することにより、各企業で使用されるドキュメント(323D,323Aを含む。以下同様)を、自動的に更新させることができる。例えば、金融商品の利率が変更された場合、金融商品に関するカタログの記載は最新の利率に更新される。
【0043】
そして、各企業向けのサービス提供部310A,310Bは、各社の通信端末1A,1Bに最新状態のドキュメントが記憶されるように管理する。古いバージョンのドキュメントが必要な場合、それを通信端末1A,1Bに転送することもできる。
【0044】
次に、本実施例の営業支援システムで使用される各種テーブルの構成例を説明する。以下に説明するテーブル構成は一例に過ぎず、図示された項目(欄)の全てを備えている必要はない。当業者であれば、一つのテーブルを複数のテーブルに分割したり、図示された項目以外の他の項目を管理対象として追加することもできる。
【0045】
図5は、営業活動履歴を管理するためのテーブルT10の一例である。営業活動履歴管理テーブルT10は、例えば、担当者ID(識別子)欄C10と、ドキュメントID欄C11と、位置情報欄C12と、操作ID欄C13と、時刻情報欄C14と、音声データID欄C15と、文字データ欄C16とを備える。以下の説明でも同様であるが、営業支援サーバ3は、全担当者の営業活動履歴を管理する。各担当者の有する通信端末1には、自分の営業活動履歴に関するテーブルが記憶される。但し、例えば、管理職にある担当者は、複数の担当者の営業活動履歴を自分の通信端末1に記憶させることもできる。または、同一グループに属する各担当者の営業活動履歴を示すテーブルを、自分の通信端末1に記憶可能な構成としてもよい。
【0046】
担当者ID欄C10には、各担当者を識別するための識別子が記憶される。ドキュメントID欄C11には、各ドキュメントを識別するための識別子が記憶される。位置情報欄C12には、ドキュメントの使用された場所を示す位置情報が記憶される。操作ID欄C13には、ドキュメントに対するユーザ操作を識別するための識別子が記憶される。時刻情報欄C14には、ドキュメントに対するユーザ操作が行われた時刻が記憶される。音声データID欄C15には、ドキュメント使用時に録音された音声データの格納先を示す識別子が記憶される。文字データ欄C16には、ドキュメントに対するユーザ操作が文字入力操作である場合に、その入力された文字データを記憶する。
【0047】
図6は、ドキュメントを管理するためのテーブルT20の一例を示す。営業支援サーバ3は、全ドキュメントに関する情報を管理する。各担当者の所持する通信端末1には、その通信端末1に記憶されているドキュメントに関する情報が記憶される。なお、通信端末1に記憶されていないドキュメントに関する情報を、その通信端末1内のテーブルT20に登録可能な構成でもよい。ドキュメント管理テーブルT20は、例えば、ドキュメントID欄C20と、名称欄C21と、種別欄C22と、バージョン番号欄C23と、更新時刻欄C24と、責任者欄C25とを備えて構成される。
【0048】
ドキュメントID欄C20には、ドキュメントの識別子が記憶される。名称欄C21には、ドキュメントの名称が記憶される。種別欄C22には、ドキュメントの種別(説明書、カタログ、書籍、アプリケーション等)が記憶される。バージョン番号欄C23には、ドキュメントのバージョンを示す番号が記憶される。更新時刻欄C24には、ドキュメントの最新更新時刻が記憶される。責任者欄C25には、ドキュメントの管理責任者の氏名または社員IDが記憶される。
【0049】
図7には、位置を管理するためのテーブルT30及び顧客を管理するためのテーブルT40が示されている。営業支援サーバ3は、全ての顧客についての、位置管理テーブルT30及び顧客管理テーブルT40を保持する。各担当者の所持する通信端末1には、その担当者に関連する部分のみが記憶される。なお、担当顧客以外の顧客に関する情報(T30,T40)を自分の通信端末1に記憶可能な構成としてもよい。
【0050】
位置管理テーブルT30は、例えば、位置情報欄C30と、場所種別欄C31と、顧客ID欄C32とを備える。位置情報欄C30には、顧客の位置情報(例えば、顧客の自宅、勤務先、別荘等の位置を示す情報)が記憶される。場所種別欄C31には、位置情報で特定される場所の種別が記憶される。顧客ID欄C32には、顧客を識別するための識別子が記憶される。
【0051】
顧客管理テーブルT40は、例えば、顧客ID欄C40と、顧客名欄C41と、住所欄C42と、確認用音声データ格納先欄C43と、担当者ID欄C44とを備える。顧客ID欄C40には、顧客の識別子が記憶される。顧客名欄C41には、顧客の氏名が記憶される。住所欄C42には、例えば、顧客の住所、連絡先電話番号、電子メールアドレスが記憶される。確認用音声データ格納先欄C43には、確認用音声データの格納先を示すアドレスが記憶される。担当者ID欄C44には、顧客の担当者を識別子するための識別子が記憶される。
【0052】
確認用音声データについて説明する。確認用音声データとは、顧客により確認または承認されたことを示す、顧客の音声データである。顧客が通信端末1のマイクロフォン15に向けて所定の音声を発すると、その音声が確認用音声データとして記録される。確認用音声データは、種々の方法に従って作成可能である。例えば、「特許太郎」、「はい、特許太郎は理解しました」等のように、顧客の氏名を確認用音声データの全部または一部とすることができる。または、「投信口座123」、「普通預金口座789」等のように、顧客の口座番号を確認用音声データの全部または一部とすることもできる。または、「花」、「ホームラン」等のように、顧客が自由に選択する言葉を確認用音声データの全部または一部とすることもできる。
【0053】
なお、顧客管理テーブルT40に、例えば、顧客の職業、役職、家族構成、趣味、収入等を管理するための欄を設けることもできる。
【0054】
図8は、ユーザ操作を管理するためのテーブルT50を示す。ユーザ操作管理テーブルT50は、例えば、操作ID欄C50と、操作種別欄C51とを備える。操作ID欄C50には、ユーザ操作を識別するための識別子が記憶される。操作種別欄C51には、ユーザ操作の種別が記憶される。
【0055】
ユーザ操作として、本実施例では、例えば、タップ、ダブルタップ、ドラッグ、フリック、ピンチアウト(またはピンチオープンとも呼ばれる)、ピンチイン(またはピンチクローズとも呼ばれる)を使用する。
【0056】
タップとは、指先で画面を軽く叩く操作である。ダブルタップとは、タップを2回繰り返す操作である。ドラッグとは、指先を画面に置いたままでずらす操作である。フリックとは、画面をスクロールさせるために、指先を画面上で素早く払う操作である。ピンチアウトとは、画面表示を拡大するために、画面上に置かれた2本の指先の間を広げるように動かす操作である。ピンチインとは、画面表示を縮小するために、画面上に置かれた2本の指先の間を狭めるように動かす操作である。
【0057】
図9は、担当者を管理するためのテーブルT60の一例を示す。担当者管理テーブルT60は、例えば、担当者ID欄C60と、担当者名欄C61と、役職欄C62と、所属先ID欄C63と、認証用動作欄C64とを備える。
【0058】
担当者ID欄C60には、担当者を識別するための識別子が記憶される。担当者名欄C61には、担当者の氏名が記憶される。役職欄C62には、担当者の役職(または権限)が記憶される。所属先ID欄C63には、担当者の所属する支店または部課を識別するための識別子が記憶される。認証用動作欄C64には、担当者が通信端末1を使用する際に入力する操作内容が記憶される。
【0059】
本実施例では、ユーザが通信端末1の画面を指先でなぞったり叩いたりすることにより、情報を入力したり指示を与えることができる。さらに本実施例では、通信端末1の起動時または使用時に、ユーザ操作に基づいてユーザ認証を行う。
【0060】
例えば、担当者が「左側の4カ所と右側の1カ所を同時にタップする」というようなユーザ操作を予め登録しておき、そのユーザ操作を通信端末1の使用時に入力する。担当者が左手の4本の指と右手の1本の指とで画面を同時にタップすると、ユーザ認証が成功し、ロックが解除される。ユーザ認証用のユーザ操作としては、ほかに例えば、「10本の指先を外側に広げるように動かす」、「左側の3本の指先を右側にフリックすると同時に、右側の3本の指先を左側にフリックさせる」等を挙げることもできる。これら以外のユーザ操作も使用可能である。
【0061】
図10は、顧客への説明手順を管理するためのテーブルT70の一例である。説明手順管理テーブルT70は、例えば、説明種別欄C70と、手順欄C71A,C71B,C71C(以下、手順欄C71)と、最低時間欄C72A,C72B,C72C(以下、最低時間欄C72)と、承認欄C73A,C73B,C73C(以下、承認欄C73)とを備える。
【0062】
説明種別毎に、それぞれ少なくとも一つ以上の所定の手順が定義されている。図10では、各説明種別は、それぞれ3つずつの手順を有する場合を示すが、これに限らず、ある説明種別は1つの手順のみを含み、他の説明種別は2つの手順を有し、さらに別の説明手順は3つ以上の手順を備える構成でもよい。
【0063】
説明種別欄C70には、顧客に商品等を説明する場合の種別が記憶される。説明種別としては、例えば、投資信託の説明、株式売買の説明、債券売買の説明、保険の説明、不動産売買の説明、貴金属売買の説明等のように、商品種別毎に用意することができる。
【0064】
手順欄C71には、説明対象(商品等)に応じた所定の手順が設定される。所定の手順は、法律で定められている場合もあるし、商品等を販売する会社または業界団体等で定められている場合もある。手順の数及び手順の内容は、説明種別毎に相違する。
【0065】
例えば、ある商品の説明に際しては、第1手順として診断テストが実施され、第2手順以下で、一つまたは複数のドキュメントに基づく説明が実施される。診断テストとしては、例えば、顧客がどの程度のリスクを許容できるかを調べるためのリスク許容度診断テスト等を挙げることができる。他の商品の場合、一つのドキュメント内の項目を、手順通りに説明するようになっている。
【0066】
最低時間欄C72には、各手順の説明に要する最低時間が記憶される。最低時間は、例えば、説明すべき文章の文字数及び原稿読み上げの平均速度等から算出することもできるし、または、一人または複数の担当者が実際に説明に要した時間に若干の余裕時間を加えることにより算出することもできる。
【0067】
承認欄C73には、説明(またはテスト)を受けた顧客による承認が必要か否かが記憶される。承認の必要がありと設定された手順の場合、顧客の承認を得ない限り、次の手順に進むことはできない。担当者が顧客の承認を得ずに次の手順に進めようとした場合は、後述のように警告が発せられ、記録される。
【0068】
図11−図18を参照して営業支援システムの動作を説明する。まず図11は、システムを利用した営業活動の全体動作を示す。図11は、コンピュータにより実行されるステップと担当者により実行されるステップの両方を含んでいる。
【0069】
営業支援サービスを利用する企業は、営業支援サーバ3に記憶されている自社担当者向けのドキュメントを管理する(S10)。例えば、サービス利用企業は、新たなドキュメントを営業支援サーバ3に登録したり、既存のドキュメントを更新したり、古いドキュメントを営業支援サーバ3から削除したりする。
【0070】
続いて、サービス利用企業の各担当者が所持する通信端末1に記憶されるドキュメントが管理される(S11)。例えば、通信端末1に新たなドキュメントを転送したり、通信端末1内の既存ドキュメントを更新したり、通信端末1内の古いドキュメントを削除したりする。
【0071】
担当者は、顧客訪問前に、通信端末1を用いて訪問の準備をする(S12)。担当者は、例えば、訪問先の顧客に関する営業活動履歴を参照して、前回の訪問時にどの商品をどこまで説明したか等を確認することができる。
【0072】
事前準備を終えた担当者は、顧客の自宅または職場を訪問して商談する(S13)。担当者は、通信端末1を顧客に見せながら商品等を説明し、商談を進める。商談が適切なに進められているか否かは、後述の処理により監視される。
【0073】
商談が終了すると、または、商談途中で、商談時の内容(例えば、ドキュメントID、位置情報、音声データ、操作履歴等)が営業支援サーバ3に保存される(S14)。
【0074】
図12は、営業支援サーバ3に保存されているドキュメントを管理するための処理を示すフローチャートである。
【0075】
営業支援サーバ3は、サービス利用企業の基幹システム4と通信し(S20)、基幹システム4からの情報に基づいて、ドキュメントを更新する(S21)。例えば、利率等の値が更新された場合、それに合わせてドキュメントの一部を書き換える。
【0076】
営業支援サーバ3は、サービス利用企業の各担当者が所持する通信端末1と通信し(S22)、各通信端末1内のドキュメントを最新ドキュメントに更新する(S23)。
【0077】
さらに、営業支援サーバ3は、各通信端末1のセキュリティを管理することもできる(S24)。例えば、通信端末1の紛失または盗難が生じた場合、営業支援サーバ3は、遠隔操作により、その通信端末1にロックをかけて操作を禁止したり、その通信端末1内に保存されているデータの全部または一部を消去したりする。なお、営業支援サーバ3は、通信端末2内のデータ管理及びセキュリティ管理も可能である。
【0078】
図13は、通信端末1を起動させる場合の処理を示すフローチャートである。通信端末1を例に挙げて説明するが、通信端末2でも同様の処理を実行することができる。
【0079】
通信端末1は、起動スイッチがオン操作されたか否かを監視している(S30)。起動スイッチがオン操作されると(S30:YES)、通信端末1は、端末画面(ユーザインターフェース部10)へのユーザ操作を検出する(S31)。
【0080】
通信端末1は、その端末に予め登録されている認証用動作を参照し(S32)、入力されたユーザ操作が認証用動作と一致するか否かを判定する(S33)。図9で説明したように、各担当者は、自分であることを示すためのユーザ操作(指先による画面操作)を自分の通信端末1に事前に登録しておくことができる。通信端末1は、入力されたユーザ操作と登録されている認証用動作(認証用の画面操作)とを比較し、両者が一致するか否かを判定する(S33)。
【0081】
ここで、本実施例では、ユーザ名及びパスワードを用いるベーシック認証ではなく、指先の動作パターンである画面操作に基づいてユーザ認証を行う点に留意すべきである。なお、画面操作に基づくユーザ認証に加えて、ベーシック認証または他の認証(生体認証等)を行ってもよい。
【0082】
画面への操作に基づくユーザ認証に成功した場合(S33:YES)、通信端末1は起動して使用可能な状態になる(S34)。その後、通信端末1は、端末画面に表示されるドキュメントと画面への操作と位置と音声とを対応付けて記憶する(S35)。商談時の処理は図を改めて後述する。
【0083】
ユーザ認証に失敗した場合(S33:NO)、通信端末1は、ユーザ認証が所定回数行われたか否かを判定する(S36)。所定回数に達していない場合(S36:NO)、S31に戻る。ユーザ認証が所定回数行われた場合(S36:YES)、通信端末1は、それ以上の操作を禁止したり、登録済み認証用動作を変更したり、記憶されているデータの全部または一部を消去したりする等の保護処理を実施する(S37)。
【0084】
図14を参照して、画面への操作に基づいてデータを検索する処理を説明する。担当者は、図15に示すような検索画面G10を起動させる(S40)。担当者は、検索画面G10に一つまたは複数の指先を置いて動かすことにより、検索対象の画面操作を通信端末1に入力する(S41)。符号GP100は、検索画面G10に置かれた担当者の指先を示す。検索対象の画面操作としては、例えば、タップ、ダブルタップ、ドラッグ、フリック、ピンチアウト、ピンチイン等の基本的操作が挙げられる。
【0085】
通信端末1は、入力された画面操作を検索キーとして、営業活動履歴管理テーブルT10を検索する(S42)。通信端末1は、入力された画面操作と一致する操作IDが対応付けられているドキュメントを特定し、そのドキュメントを象徴するアイコンGP110を検索結果画面G11に表示する(S43)。検索結果は、ページまたは項目のようなドキュメントの表示単位で示される。
【0086】
一例を挙げる。ドキュメントのうち担当者が強調して説明した部分、または、顧客が詳細な説明を求めた部分は、ピンチアウトにより画面が拡大表示されている場合が多いと考えられる。担当者がピンチアウト操作を通信端末1に入力すると、ピンチアウト操作の行われた箇所がアイコンGP110として表示される。担当者がアイコンGP110をタップすると、そのアイコンに対応するドキュメントの画面が表示される。これにより、担当者は、ピンチアウト操作された部分を抽出して確認することができ、営業活動に役立たせることができる。
【0087】
なお、図14では、通信端末1内に保存されている営業活動履歴管理テーブルT10に基づいて、ドキュメントの中から所定の画面操作と対応付けられているドキュメントを特定する場合を説明した。これに代えて、営業支援サーバ3に保存されている営業活動履歴管理テーブルT10を、通信端末1に入力された画面操作で検索する構成でもよい。
【0088】
図16を参照して、位置に応じて営業活動履歴を自動的に検索する処理を説明する。例えば、担当者は、顧客の自宅または自宅の近所で、本処理を起動させることにより、その顧客に関する営業活動の履歴を取得することができる。
【0089】
担当者は、通信端末1から営業支援サーバ3に、営業活動の履歴の検索を指示する(S50)。通信端末1は、現在の位置データを取得し(S51)、位置データと担当者IDを対応付けて営業支援サーバ3に送信する(S52)。
【0090】
営業支援サーバ3は、担当者ID及び位置データに基づいて営業活動履歴管理テーブルT10を検索し(S53)、その検索結果を通信端末1に送信する(S54)。通信端末1は、営業支援サーバ3から受信した検索結果を画面に表示させる(S55)。
【0091】
なお、図16では、営業支援サーバ3に保存されている営業活動履歴管理テーブルT10を担当者の位置データに基づいて検索する場合を説明したが、これに代えて、通信端末1内の営業活動履歴管理テーブルT10を検索する構成でもよい。
【0092】
図17を参照して説明手順を監視する処理を説明する。担当者は、通信端末1にドキュメントを表示させて、それを顧客に見せながら商品等を説明することができる。説明時の状況である、音声データ及び画面操作(ユーザ操作)等は検出されて記憶される。通信端末1は、検出されたデータ及び操作等に基づいて説明時の状況を監視する。
【0093】
まず、通信端末1は、説明種別を取得する(S60)。説明種別は、最初に開くドキュメントによって自動的に決定される構成でもよいし、予め用意された中から担当者が説明種別を手動で選択する構成でもよい。
【0094】
通信端末1は、説明種別に基づいて、説明手順管理テーブルT70を参照し(S61)、さらに、通信端末1に表示されているドキュメントのIDを特定する(S62)。通信端末1は、画面への操作入力を検出し、画面操作と位置データと音声データ等を対応付けて営業活動履歴管理テーブルT10に登録する(S63)。
【0095】
通信端末1は、音声データを解析することにより、予め登録されている所定の発言が検出されたか否かを判定する(S64)。所定の発言とは、例えば、「ちょっと待って下さい」、「そこは理解できない」、「少し考えさせて下さい」等のように、担当者による説明の中断を求める発言である。従って、所定の発言は、説明中断要求発言と呼ぶこともできる。
【0096】
所定の発言が検出されると(S64:YES)、通信端末1は、担当者に警告する(S69)。例えば、通信端末1の画面に「説明を一時中断して下さい」、「説明の速度を落として下さい」等の警告メッセージを表示したり、警告メッセージを読み上げたりすることにより、担当者を警告する。
【0097】
さて、説明が進んで、項目の終わりに差し掛かると(即ち、一つの手順の終了が検出されると)、通信端末1は、顧客の承認が得られたか否かを判定する(S65)。図7の顧客管理テーブルT40で説明した通り、各顧客毎に、確認または承認(あるいは承諾)の意思を示す確認用音声データが通信端末1及び営業支援サーバ3に登録されている。
【0098】
なお、確認用音声データは、担当者の顧客訪問前に作成されている必要はない。新規顧客を訪問する場合は、商談の開始前または開始後に確認用音声データを作成して、登録することができる。また、既に登録されている確認用音声データを、必要に応じて、適宜変更することもできる。例えば、確認用音声データを作成してから所定時間以上経過している場合、つまり、確認用音声データが古くなっている場合は、新たな確認用音声データを作成して登録することができる。これにより、商談時の証跡を偽造等するのを防止することができる。
【0099】
担当者が、顧客の承認を必要とする項目を説明した場合において、顧客の承認が得られなかった場合は(S65:NO)、担当者に警告が発せられる(S69)。ここでの警告では、例えば、「説明内容を理解したことの確認をお客様から得て下さい。確認されるまで次の説明に移ることはできません。」等のメッセージを出力する。
【0100】
例えば、ある項目(またはページ。以下同様)から他の項目に説明を移ろうとする場合、担当者は画面をタップする。通信端末1は、その切替指示を検出すると、顧客の承認が必要な項目であったか否かを判定し、顧客の承認が必要である場合、その承認が得られたか否かを判定する(S65)。顧客の承認を得ている場合は、次のステップS66に移るが、顧客の承認を得ていない場合は(S65:NO)、表示されている項目を元に戻し、担当者に警告する(S69)。
【0101】
ある項目の説明を終えて、顧客の承認を得た場合(S65:YES)、通信端末1は、その項目の説明に要した時間(以下、説明時間と呼ぶことがある)が、その項目に設定されている最低時間以上であるか否かを判定する(S66)。例えば、ドキュメントが表示されて、担当者の声が検出された時点を説明の開始時刻として検出できる。説明終了時刻は、例えば、顧客の承認が得られ、かつ、次の項目への切替指示が入力された時点として定義することができる。
【0102】
ある項目の説明終了時に、その説明時間が最低時間未満である場合(S66:NO)、通信端末1は担当者に警告する(S69)。ここでの警告では、例えば、「説明が早すぎます。もう少し時間をかけて丁寧に説明して下さい」等のメッセージを出力する。但し、説明時間が最低時間を下回っている場合でも、顧客が承知している場合は、次の手順(次の項目の説明)に移ることができる。同様の商談を複数繰り返しているような手慣れた顧客の場合は、決まり切った説明を短縮または省略できる構成としてもよい。
【0103】
ある項目の説明時間が最低時間以上である場合(S66:YES)、通信端末1は、S60で特定された説明種別に含まれている全手順を完了したか否か、つまり、説明すべき項目を全て説明したか否かを判定する(S67)。
【0104】
説明していない手順が残っている場合(S67:NO)、通信端末1は、次の手順に切り替えて(S68)、S61に戻り、説明手順管理テーブルT70を参照する。全手順を完了した場合(S67:YES)、本処理は正常に終了する。
【0105】
図18を参照してNGワードを監視する処理を説明する。NGワードとは、好ましくない単語または文章であり、本実施例では、担当者用のNGワードと顧客用のNGワードの両方を監視する。本処理は、商談中に、図17で述べた処理と並列に実行される。
【0106】
通信端末1は、音声データを解析し(S80)、発言の話者が担当者であるか顧客であるかを判定する(S81)。通信端末1には、予め担当者の音声データと顧客の音声データとが登録されているものとする。検出された発言の話者が担当者でも顧客でもない場合、図示を省略しているが、通信端末1は特に何も行わずにS80に戻る。
【0107】
担当者の発言であると判定された場合、通信端末1は、予め登録されている担当者用のNGワードを参照し(S82)、担当者の発言がNGワードに該当するか否かを判定する(S83)。NGワードではない場合(S83:NO)、S80に戻る。
【0108】
NGワードの場合(S83:YES)、通信端末1は担当者に警告する(S84)。担当者用のNGワードとしては、例えば、「必ず儲かります」、「損はさせません」、「損失は補填いたします」等を挙げることができる。NGワード検出時の警告は、例えば、通信端末1の画面に「儲かります等の発言は禁じられています」等の警告メッセージを表示したり、警告メッセージを音声で読み上げたり、通信端末1の画面の全部または一部を赤く表示させたり、通信端末1を振動させたり(バイブレーション機能を備える場合)することにより、行われる。さらに、例えば、通信端末1を用いて警告するのではなく、サブ通信端末2に電子メールを送信して、担当者に警告する構成でもよい。これにより、顧客に知られずに担当者に注意することができる。
【0109】
通信端末1は、担当者に警告した後、担当者に警告した旨を営業支援サーバ3に通知する(S85)。営業支援サーバ3は、警告が発せられたことを担当者管理テーブルT60に記憶したり、担当者の上司に電子メール等で通知する(S86)。
【0110】
一方、顧客の発言の場合、通信端末1は、予め登録されている顧客用のNGワードを参照し(S87)、顧客の発言がNGワードに該当するか否かを判定する(S88)。顧客のNGワードとしては、例えば、違法な行為を担当者に強制するような発言、担当者を脅迫するような発言等を挙げることができる。
【0111】
顧客の発言がNGワードに該当しない場合(S88:NO)、S80に戻る。顧客がNGワードを発した場合(S88:YES)、通信端末1は、その旨を営業支援サーバ3に通知する(S89)。営業支援サーバ3は、そのような場合の応対方法に関する助言を、担当者に通知する(S90)。営業支援サーバ3は、助言を電子メールとして、サブ通信端末2に送信することができる。
【0112】
なお、図18では、通信端末1がNGワードを検出して警告する場合を述べたが、これに代えて、NGワードであるか否かの判定を営業支援サーバ3で行う構成でもよい。
【0113】
このように構成される本実施例によれば、担当者が所定の手順に従って説明しているか否かを自動的に監視することができ、重要事項の説明漏れ等を防止し、営業活動の信頼性及び効率を高めることができる。
【0114】
本実施例では、顧客が説明の中断を求めた場合、顧客の承認が検出されなかった場合、または、説明時間が最低時間未満の場合のいずれかの場合に、担当者に警告する。これにより、顧客が理解したか否かを自動的に判定することができ、さらに、手順に従った正しい説明の実行を担当者に促すことができる。従って、担当者の熟練度による相違を少なくして、営業活動を標準化できる。
【0115】
本実施例では、担当者及び顧客の会話からNGワードが検出された場合に、担当者に警告したり、助言したりできる。従って、適正な営業活動を促進できる。
【0116】
本実施例では、画面操作を検索キーとして営業活動履歴を検索できる。これにより、例えば、強調して説明したと思われる箇所、端折って説明したと思われる箇所等を、検索することができ、営業活動に役立たせることができる。なお、画面操作に基づく検索に加えて、キーワード検索も可能な構成にしてもよい。
【0117】
本実施例では、通信端末1の位置に応じて営業活動履歴を検索できる。従って、顧客所在地または所在地近傍で、その顧客に関する営業活動の履歴を容易に検索して参照することができる。
【0118】
本実施例では、営業支援サーバ3の提供する共通基盤300上に各企業毎のサービス提供部310を設けて、各企業毎に営業支援サービスを提供する。これにより、各企業毎に営業支援システムを作り込む必要がなく、全体構成を簡素にできる。
【0119】
本実施例では、サービス利用企業の基幹システムと営業支援サーバ3とを連携させて、ドキュメントを最新状態に保持し、かつ、各通信端末1内のドキュメントを営業支援サーバ3により一元的に管理する。従って、担当者は、最新のドキュメントを用いて商談を行うことができ、営業活動の効率を上げることができる。
【実施例2】
【0120】
図19−図22に基づいて第2実施例を説明する。本実施例は、第1実施例の変形例に相当する。従って、本実施例では、第1実施例との相違点を中心に説明する。本実施例では、顧客のタイプを分類し、顧客のタイプに応じた助言を担当者に与える。
【0121】
図19は、顧客のタイプを分類する処理を示すフローチャートである。まず、通信端末1を用いて、診断テストを開始する(S100)。診断テストとして、ここでは、例えば、顧客がリスクをどの程度まで許容可能かを調べるテストを例に挙げる。
【0122】
通信端末1は、診断テスト中の顧客の音声を収集して、営業支援サーバ3に送信する(S101)。営業支援サーバ3は、顧客の音声を解析し(S102)、さらに、通信端末1から診断テストの結果を取得する(S103)。
【0123】
営業支援サーバ3は、顧客の音声の解析結果と診断テストの結果に基づいて、顧客タイプを分類し(S104)、その分類結果を図20に示す顧客管理テーブルT40Aの顧客タイプ欄C45に記憶させる(S105)。
【0124】
図20には、顧客タイプの分類に使用されるテーブルT80の一例と、顧客管理テーブルT40Aの一例とが示されている。顧客タイプ分類テーブルT80は、リスク許容度診断テストの結果と顧客音声の解析結果との組合せで、顧客を分類する。
【0125】
診断テストの結果は、例えば、「リスク許容度が高い」と「リスク許容度が低い」の2段階に区別される。音声解析結果は、例えば、「疑問を示す言葉が多い」と「肯定的言葉が多い」の2段階に区別される。従って、顧客タイプは、リスク許容度が高く、かつ、疑問を示す言葉の多いタイプ1と、リスク許容度が低く、かつ、疑問を示す言葉の多いタイプ2と、リスク許容度が高く、かつ、肯定的言葉の多いタイプ3と、リスク許容度が低く、かつ、肯定的言葉の多いタイプ4のいずれかに分類される。例えば、タイプ1は積極的な理論派、タイプ2は理論的な慎重派、タイプ3は積極的な楽観派、タイプ4は潜在的積極派であると考えることができる。
【0126】
なお、全ての顧客を上記4タイプのいずれかに区別する必要はない。特徴の無い顧客は特に分類せず、分類結果を保存しない構成としてもよい。
また、顧客タイプの分類は上述のものに限られない。例えば、リスク許容度は、2段階の区別に限らず、「保守的/やや保守的/中庸/やや積極的/積極的」のような5段階に分けることもできる。3段階、4段階または6段階以上に区別してもよい。
【0127】
図21は、顧客タイプ別の助言を管理するテーブルT90の一例を示す。顧客タイプ別助言管理テーブルT90は、例えば、ドキュメントID欄C90と、顧客タイプ欄C91と、助言格納先アドレス欄C92とを備える。
【0128】
ドキュメントID欄C90には各ドキュメントの識別子が記憶される。顧客タイプ欄C91には、顧客タイプを示すIDが記憶される。助言格納先アドレス欄C92には、各顧客タイプ別の助言データを格納しているアドレスが記憶される。各ドキュメント毎に、各顧客タイプ別の助言が予め対応付けられている。ある助言データの全部または一部が、他の助言データと重複してもよい。
【0129】
図22は、担当者に助言を与える処理を示すフローチャートである。通信端末1は、説明対象のドキュメントのIDと顧客のIDを対応付けて、営業支援サーバ3に送信する(S110)。説明対象ドキュメントのIDは、通信端末1に表示されたドキュメントから特定できる。顧客IDは、通信端末1の位置データから特定できる。
【0130】
営業支援サーバ3は、ドキュメントID及び顧客IDに基づいて顧客タイプ別助言管理テーブルT90を検索することにより、顧客タイプに応じた助言データを担当者の所持するサブ通信端末2に送信する(S111)。サブ通信端末2は、助言データを表示する(S112)。
【0131】
このように構成される本実施例も第1実施例と同様の効果を奏する。さらに、本実施例では、顧客タイプを事前に分類し、顧客タイプ別の助言を担当者に与えるため、その顧客に合った営業活動を行うことができる。これにより、営業活動の効率が向上する。
【0132】
さらに、第1実施例でも言える効果であるが、営業支援サーバ3から通信端末に送信する各種情報等のうち、顧客に知られるのが好ましくない情報等はサブ通信端末2に送信するため、顧客に知られずに営業活動を効率的に行うことができる。
【0133】
なお、本発明は、上述した各実施例に限定されない。当業者であれば、本発明の範囲内で、種々の追加や変更等を行うことができる。例えば、各実施例を適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0134】
1:通信端末、2:通信端末(他の通信端末)、3:営業支援サーバ3、4:サービス利用企業の基幹システム
【技術分野】
【0001】
本発明は、営業活動支援システム、通信端末、営業活動支援方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
金融商品等を販売する場合、営業担当者は、顧客に重要事項を説明する必要がある。そこで、営業担当者が必要な説明をしたか否かを確認するために、営業活動の履歴をオンライン上のサーバで管理する技術が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−50903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、担当者の手動操作により、顧客に重要事項を説明したか否かをサーバに登録するため、人為的ミスを生じる可能性があり、信頼性が低い。
【0005】
また、商品等によっては、定められた順番に従って顧客に説明する必要があるが、従来は、説明の順番をどうするかは営業担当者に任されており、営業担当者の説明の順番を自動的に管理することができない。
【0006】
そこで、本発明の目的は、ドキュメントが所定の手順に従って説明されているか否かを自動的に判別して管理することができ、営業管理の信頼性を向上できるようにした営業支援システム、通信端末、営業活動支援方法及びコンピュータプログラムを提供することにある。本発明の更なる目的は、後述する実施形態の記載から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、本発明の一つの観点に従う営業支援システムは、営業支援サーバと、該営業支援サーバに通信ネットワークを介して接続される通信端末とを備える営業支援システムであって、営業支援サーバは、通信端末に記憶される電子ドキュメントと、電子ドキュメントの説明手順を示す説明手順管理テーブルとを管理し、通信端末は、電子ドキュメントを端末画面に表示させる表示部と、ユーザ操作が入力される入力部と、外部の音声を検出して音声データを出力する音声検出部と、電子ドキュメントと説明手順管理テーブルと音声検出部から出力される音声データと入力部に入力されるユーザ操作とを記憶する記憶部と、表示部に表示される電子ドキュメントが説明手順管理テーブルに規定されている所定の手順に従って説明されているか否かを、表示部に表示される電子ドキュメントとユーザ操作と音声データとに基づいて判定し、電子ドキュメントが所定の手順に従って説明されていない場合は、警告を出力する判定部と、を備える。
【0008】
第2観点では、第1観点において、顧客の承認を示す所定の音声データが予め記憶部に記憶されており、判定部は、所定の音声データが検出された場合に、所定の手順に従って電子ドキュメントが説明されていると判定し、所定の音声データが検出されなかった場合に、電子ドキュメントが所定の手順に従って説明されていないと判定する。
【0009】
第3観点では、第2観点において、判定部は、所定の音声データが検出された場合でも、電子ドキュメントの表示時間が予め設定される所定の時間未満の場合は、電子ドキュメントが所定の手順に従って説明されていないと判定する。
【0010】
第4観点では、第3観点において、判定部は、音声検出部により検出された音声データに所定の禁止表現が含まれているか否かを判定し、所定の禁止表現が含まれている場合には警告を発する。
【0011】
第5観点では、第1観点において、ユーザ操作には、表示部に表示された電子ドキュメントへのユーザの手動操作が含まれており、記憶部に設けられ、手動操作と電子ドキュメントとを対応付けて記憶する活動履歴管理テーブルと、入力部に入力された手動操作に基づいて活動履歴管理テーブルを検索し、一致する手動操作に対応付けられている電子ドキュメントを検出する検索部と、を備える。
【0012】
第6観点では、第1−5観点のいずれかにおいて、営業支援サーバは、顧客のタイプを判別し、判別されたタイプに応じた助言データを、通信端末、または、通信端末と同一のユーザにより使用される他の通信端末のいずれかに送信する。
【0013】
なお、本発明は、営業支援サーバに接続される通信端末、または、営業支援サーバ及び通信端末を用いた営業活動支援方法、または、コンピュータプログラムとして捉えることもできる。コンピュータプログラムは、通信媒体または記録媒体を介して配信または配布可能である。上記の各観点の組合せ以外の組合せも本発明の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、営業支援システムの全体図である。
【図2】図2は、営業担当者が保持する通信端末のハードウェア構成図である。
【図3】図3は、営業支援サーバのハードウェア構成図である。
【図4】図4は、一つの共通基盤上で複数の会社毎の営業活動を支援する仕組みを模式的に示す説明図である。
【図5】図5は、営業活動履歴管理テーブルの一例を示す。
【図6】図6は、ドキュメント管理テーブルの一例を示す。
【図7】図7は、位置管理テーブル及び顧客管理テーブルの一例を示す。
【図8】図8は、操作管理テーブルの一例を示す。
【図9】図9は、担当者管理テーブルの一例を示す。
【図10】図10は、説明手順管理テーブルの一例を示す。
【図11】図11は、営業支援システムの全体の流れを示す説明図である。
【図12】図12は、ドキュメント等を管理する流れを示す説明図である。
【図13】図13は、通信端末起動時の処理を示すフローチャートである。
【図14】図14は、画面への手動操作を検索キーとして検索する処理を示すフローチャートである。
【図15】図15は、手動操作に基づいて検索する場合の画面例を示す。
【図16】図16は、営業活動履歴を自動的に検索するための処理を示すフローチャートである。
【図17】図17は、説明手順を監視する処理を示すフローチャートである。
【図18】図18は、禁止ワードを監視する処理を示すフローチャートである。
【図19】図19は、顧客タイプを分類する処理を示すフローチャートである。
【図20】図20は、顧客タイプ分類テーブルと顧客管理テーブルとの関係を示す説明図である。
【図21】図21は、顧客タイプ別の助言を管理するテーブルの一例である。
【図22】図22は、助言処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づき、本発明の実施の形態を説明する。本実施形態では、以下に述べるように、営業支援サーバが通信端末内の電子ドキュメントを一元的に管理しており、営業担当者(以下、担当者とも呼ぶ)は、電子ドキュメントの記憶された通信端末を持って顧客との商談に臨む。通信端末は、電子ドキュメントが所定の手順に従って説明されているか否かを、電子ドキュメントとユーザ操作と音声データとに基づいて判定し、所定の手順に従って説明されていない場合は、警告を出力する。従って、本実施形態では、所定の手順に従って説明されたか否かを自動的に判別して管理することができる。
【実施例1】
【0016】
図1〜図18を参照して第1実施例を説明する。図1は、営業支援システムの全体構成を模式的に示す。営業支援システムは、例えば、メイン通信端末1と、サブ通信端末2と、証券会社等の基幹システム4に接続可能な営業支援サーバ3と、を備える。図1では、便宜上、通信端末1,2をそれぞれ1つずつ示すが、通信端末1,2は各担当者毎に用意される。
【0017】
メイン通信端末1及びサブ端末2は、担当者に所持されている。メイン通信端末1は、担当者及び顧客の両方が使用可能である。メイン通信端末1は、例えば、顧客を診断するためのテストの実施、商品等に関する顧客への情報提供、顧客への商品説明等のために使用される。サブ端末2は、主に、担当者によって使用される。サブ端末2は、例えば、担当者への指示または警告、担当者への助言表示等のために使用される。
【0018】
上記のような役割の相違から、メイン通信端末1は、例えば、「営業用通信端末」または「第1通信端末」等と呼ぶことができ、サブ通信端末2は、例えば、「担当者用通信端末」または「第2通信端末」等と呼ぶことができる。なお、サブ通信端末2を廃止し、メイン通信端末1を用いて、担当者への指示または警告等を行う構成でもよい。通信端末のハードウェア構成例は図を改めて後述する。
【0019】
営業支援サーバ3は、通信端末1,2を用いた営業活動を支援するためのコンピュータである。営業支援サーバ3は、インターネット等の広域通信ネットワーク5及び無線通信施設6を介して、通信端末1,2に接続されている。無線通信施設6は、例えば、携帯電話通信網を利用するための携帯電話基地局、または/及び、公衆無線LAN(Local Area Network)として構成される。
【0020】
さらに、営業支援サーバ3は、通信ネットワーク5を介して、証券会社等の基幹システム4にも接続されている。営業支援サーバ3は、後述のように、各会社毎に各営業担当者の活動を支援するための基盤を提供する。営業支援サーバ3は、各会社毎に、電子ドキュメント(以下、ドキュメントとも呼ぶ)及びアプリケーションプログラム(以下、アプリケーションとも呼ぶ)を管理する。
【0021】
図2は、通信端末1のハードウェア構成例を示す。メイン通信端末1は、例えば、タブレット型、スレート型、ノート型のパーソナルコンピュータとして構成される。本実施例では、画面を指先等で操作することによりコンピュータに指示を与えることのできる通信端末を例に挙げて説明する。
【0022】
メイン通信端末1は、例えば、ユーザインターフェース部10と、マイクロプロセッサ11と、メモリ12と、補助記憶装置13と、スピーカー14と、マイクロフォン15と、姿勢検出センサ16と、GPS(Global Positioning System)受信回路17と、通信回路18と、通信インターフェース19とを備える。
【0023】
ユーザインターフェース部10は、ユーザ(担当者または顧客あるいは両方)に情報を提示するための表示部10Aと、ユーザからの入力を受け付けるための入力部10Bとを備えている。ユーザインターフェース部10は、例えば、タッチパネル等のように、表示部10Aと入力部10Bとを一体化して構成してもよいし、表示部10Aと入力部10Bとを別々に構成してもよい。
【0024】
マイクロプロセッサ(CPU:Central Processing Unit)11は、補助記憶装置13に記憶されたオペレーティングシステム及びコンピュータプログラムを読み出してメモリ12に展開し、実行する。マイクロプロセッサ11が所定のコンピュータプログラムを実行することにより、後述の各機能が実現される。
【0025】
メモリ12は、例えば、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を含んでいる。補助記憶装置13は、例えば、フラッシュメモリデバイスまたはハードディスクデバイス等から構成される。補助記憶装置13は、例えば、各種コンピュータプログラム131と、各種テーブル類132と、ドキュメント類133とを記憶している。
【0026】
メイン通信端末1は、スピーカー14及びマイクロフォン15を備えており、ユーザの発する音声を音声データとして記録することができる。その音声データは、補助記憶装置13に格納される。
【0027】
姿勢検出センサ16は、メイン通信端末1の姿勢等を検出する。姿勢検出センサ16として、例えば、加速度センサまたは/及びジャイロセンサ等が用いられる。GPS受信回路17は、GPS衛星等から発信される電波を受信してメイン通信端末1の位置を検出するための回路である。姿勢検出センサ16は、省略してもよい。
【0028】
通信回路18は、携帯電話通信網を利用して営業支援サーバ3またはウェブサーバと通信するための回路である。通信インターフェース(図中、インターフェースをI/Fと略記)19は、公衆無線LANに接続するための回路である。なお、電波に限らず、赤外線または電灯線に重畳される信号等を用いて、メイン通信端末1が通信ネットワーク5に接続する構成としてもよい。
【0029】
サブ通信端末2は、メイン通信端末1と同様に構成できる。サブ通信端末2は、メイン通信端末1と同一機能かつ同一形状に構成されてもよいし、メイン通信端末1と異なる形状に形成されてもよい。サブ通信端末2は、営業支援サーバ3と通信するための機能と、情報処理を行うための機能と、ユーザインターフェースを備えていればよい。従って、サブ通信端末2のこれ以上の説明は割愛するが、いわゆる当業者であれば、本発明の実施に必要な限りにおいて、サブ通信端末2の構成を容易に理解できる。なお、メイン通信端末1とサブ通信端末2とは、電波または赤外線等を用いた近距離無線通信により、情報を交換可能な構成でもよい。
【0030】
図3を参照して、営業支援サーバ3のハードウェア構成を説明する。営業支援サーバ3は、いわゆるオープン系のサーバコンピュータとして構成される。図3では、一つのコンピュータとして示すが、複数のコンピュータを接続することで営業支援サーバ3を構成してもよい。
【0031】
営業支援サーバ3は、例えば、マイクロプロセッサ30と、メモリ31と、補助記憶装置32と、操作用の通信インターフェース33と、端末管理用の通信インターフェース34とを備える。
【0032】
補助記憶装置32は、フラッシュメモリデバイスまたはハードディスクデバイス等から構成されており、各種コンピュータプログラム321と、各種テーブル類322と、ドキュメント類323とが記憶されている。
【0033】
営業支援サーバ3に記憶されているテーブル322の少なくとも一部と、ドキュメント323類の少なくとも一部とが、メイン通信端末1に記憶される。つまり、メイン通信端末1は、営業支援サーバ3で管理されているテーブル322及びドキュメント323のうち、必要なテーブル132及びドキュメント133のみを補助記憶装置13に記憶させている。
【0034】
操作用の通信インターフェース33は、管理端末7に接続されている。営業支援システムの管理者は、管理端末7を介して営業支援サーバ3にアクセスし、営業支援サーバ3を管理する。端末管理用の通信インターフェース34は、通信ネットワーク5を介して各通信端末1,2と接続される。
【0035】
図4は、営業支援サーバ3から各証券会社等に提供されるサービスの概要を示す。本実施例の営業支援サーバ3は、複数の企業に対して、営業活動を支援するためのサービスを提供する。
【0036】
営業支援サーバ3は、営業支援サービスを受ける各企業毎のサービス提供部310A,310Bと、各サービス提供部310A,310Bに共通する共通基盤300とを備えている。各企業のサービス提供部310A,310Bは、各企業の担当者が有する通信端末1A,1Bと通信する。
【0037】
つまり、A証券会社向けのサービス提供部310Aは、A証券会社の各担当者が所持する通信端末1A(サブ通信端末2が存在する場合は、サブ通信端末も含む。以下同様)と通信する。B証券会社向けのサービス提供部310Bは、B証券会社の各担当者が所持する通信端末1Bと通信する。各サービス提供部310A,310Bは、それぞれユーザ認証を行うため、A証券会社の通信端末1AとB証券会社向けのサービス提供部310Bとは通信できず、同様に、B証券会社の通信端末1BとA証券会社向けのサービス提供部310Aとは通信できない。
【0038】
共通基盤300は、営業支援サービスの提供を受ける各企業に共通する。共通基盤300は、ドキュメント類323を管理する機能323Cを有する。ドキュメント管理機能323Cは、各企業の基幹システム4A,4Bと通信して、各企業の営業担当者に配布されるドキュメント類を一元的に管理する。
【0039】
共通基盤300の上には、各企業毎のサービス提供部310A,310Bが設けられている。各サービス提供部310A,310Bは、各企業毎のアプリケーション及びドキュメント等を備える。
【0040】
例えば、A証券会社用のサービス提供部310Aは、アプリケーション323AAと、ドキュメント323DAと、各種テーブル322Aとを備える。同様に、B証券会社用のサービス提供部310Bは、アプリケーション323ABと、ドキュメント323DBと、各種テーブル322Bとを備える。
【0041】
本実施例では、電子ドキュメントを、通常のドキュメント323Dと、アプリケーション323Aとに分けて説明する場合がある。通常のドキュメント323Dとは、例えば、ウェブページ、ページ記述言語で作成された書類、文書作成用ソフトウェアまたは表計算用ソフトウェア等で作成された文書等である。アプリケーション323Aとは、例えば、顧客の特徴を把握するための診断テスト、株式市況等を表示または検索するための情報提供アプリケーション、資産運用結果を予測するためのアプリケーション等である。以下、特に区別する場合を除き、「ドキュメント」、「ドキュメント類」等と呼ぶ。
【0042】
基幹システム4A,4Bと共通基盤300とが連携することにより、各企業で使用されるドキュメント(323D,323Aを含む。以下同様)を、自動的に更新させることができる。例えば、金融商品の利率が変更された場合、金融商品に関するカタログの記載は最新の利率に更新される。
【0043】
そして、各企業向けのサービス提供部310A,310Bは、各社の通信端末1A,1Bに最新状態のドキュメントが記憶されるように管理する。古いバージョンのドキュメントが必要な場合、それを通信端末1A,1Bに転送することもできる。
【0044】
次に、本実施例の営業支援システムで使用される各種テーブルの構成例を説明する。以下に説明するテーブル構成は一例に過ぎず、図示された項目(欄)の全てを備えている必要はない。当業者であれば、一つのテーブルを複数のテーブルに分割したり、図示された項目以外の他の項目を管理対象として追加することもできる。
【0045】
図5は、営業活動履歴を管理するためのテーブルT10の一例である。営業活動履歴管理テーブルT10は、例えば、担当者ID(識別子)欄C10と、ドキュメントID欄C11と、位置情報欄C12と、操作ID欄C13と、時刻情報欄C14と、音声データID欄C15と、文字データ欄C16とを備える。以下の説明でも同様であるが、営業支援サーバ3は、全担当者の営業活動履歴を管理する。各担当者の有する通信端末1には、自分の営業活動履歴に関するテーブルが記憶される。但し、例えば、管理職にある担当者は、複数の担当者の営業活動履歴を自分の通信端末1に記憶させることもできる。または、同一グループに属する各担当者の営業活動履歴を示すテーブルを、自分の通信端末1に記憶可能な構成としてもよい。
【0046】
担当者ID欄C10には、各担当者を識別するための識別子が記憶される。ドキュメントID欄C11には、各ドキュメントを識別するための識別子が記憶される。位置情報欄C12には、ドキュメントの使用された場所を示す位置情報が記憶される。操作ID欄C13には、ドキュメントに対するユーザ操作を識別するための識別子が記憶される。時刻情報欄C14には、ドキュメントに対するユーザ操作が行われた時刻が記憶される。音声データID欄C15には、ドキュメント使用時に録音された音声データの格納先を示す識別子が記憶される。文字データ欄C16には、ドキュメントに対するユーザ操作が文字入力操作である場合に、その入力された文字データを記憶する。
【0047】
図6は、ドキュメントを管理するためのテーブルT20の一例を示す。営業支援サーバ3は、全ドキュメントに関する情報を管理する。各担当者の所持する通信端末1には、その通信端末1に記憶されているドキュメントに関する情報が記憶される。なお、通信端末1に記憶されていないドキュメントに関する情報を、その通信端末1内のテーブルT20に登録可能な構成でもよい。ドキュメント管理テーブルT20は、例えば、ドキュメントID欄C20と、名称欄C21と、種別欄C22と、バージョン番号欄C23と、更新時刻欄C24と、責任者欄C25とを備えて構成される。
【0048】
ドキュメントID欄C20には、ドキュメントの識別子が記憶される。名称欄C21には、ドキュメントの名称が記憶される。種別欄C22には、ドキュメントの種別(説明書、カタログ、書籍、アプリケーション等)が記憶される。バージョン番号欄C23には、ドキュメントのバージョンを示す番号が記憶される。更新時刻欄C24には、ドキュメントの最新更新時刻が記憶される。責任者欄C25には、ドキュメントの管理責任者の氏名または社員IDが記憶される。
【0049】
図7には、位置を管理するためのテーブルT30及び顧客を管理するためのテーブルT40が示されている。営業支援サーバ3は、全ての顧客についての、位置管理テーブルT30及び顧客管理テーブルT40を保持する。各担当者の所持する通信端末1には、その担当者に関連する部分のみが記憶される。なお、担当顧客以外の顧客に関する情報(T30,T40)を自分の通信端末1に記憶可能な構成としてもよい。
【0050】
位置管理テーブルT30は、例えば、位置情報欄C30と、場所種別欄C31と、顧客ID欄C32とを備える。位置情報欄C30には、顧客の位置情報(例えば、顧客の自宅、勤務先、別荘等の位置を示す情報)が記憶される。場所種別欄C31には、位置情報で特定される場所の種別が記憶される。顧客ID欄C32には、顧客を識別するための識別子が記憶される。
【0051】
顧客管理テーブルT40は、例えば、顧客ID欄C40と、顧客名欄C41と、住所欄C42と、確認用音声データ格納先欄C43と、担当者ID欄C44とを備える。顧客ID欄C40には、顧客の識別子が記憶される。顧客名欄C41には、顧客の氏名が記憶される。住所欄C42には、例えば、顧客の住所、連絡先電話番号、電子メールアドレスが記憶される。確認用音声データ格納先欄C43には、確認用音声データの格納先を示すアドレスが記憶される。担当者ID欄C44には、顧客の担当者を識別子するための識別子が記憶される。
【0052】
確認用音声データについて説明する。確認用音声データとは、顧客により確認または承認されたことを示す、顧客の音声データである。顧客が通信端末1のマイクロフォン15に向けて所定の音声を発すると、その音声が確認用音声データとして記録される。確認用音声データは、種々の方法に従って作成可能である。例えば、「特許太郎」、「はい、特許太郎は理解しました」等のように、顧客の氏名を確認用音声データの全部または一部とすることができる。または、「投信口座123」、「普通預金口座789」等のように、顧客の口座番号を確認用音声データの全部または一部とすることもできる。または、「花」、「ホームラン」等のように、顧客が自由に選択する言葉を確認用音声データの全部または一部とすることもできる。
【0053】
なお、顧客管理テーブルT40に、例えば、顧客の職業、役職、家族構成、趣味、収入等を管理するための欄を設けることもできる。
【0054】
図8は、ユーザ操作を管理するためのテーブルT50を示す。ユーザ操作管理テーブルT50は、例えば、操作ID欄C50と、操作種別欄C51とを備える。操作ID欄C50には、ユーザ操作を識別するための識別子が記憶される。操作種別欄C51には、ユーザ操作の種別が記憶される。
【0055】
ユーザ操作として、本実施例では、例えば、タップ、ダブルタップ、ドラッグ、フリック、ピンチアウト(またはピンチオープンとも呼ばれる)、ピンチイン(またはピンチクローズとも呼ばれる)を使用する。
【0056】
タップとは、指先で画面を軽く叩く操作である。ダブルタップとは、タップを2回繰り返す操作である。ドラッグとは、指先を画面に置いたままでずらす操作である。フリックとは、画面をスクロールさせるために、指先を画面上で素早く払う操作である。ピンチアウトとは、画面表示を拡大するために、画面上に置かれた2本の指先の間を広げるように動かす操作である。ピンチインとは、画面表示を縮小するために、画面上に置かれた2本の指先の間を狭めるように動かす操作である。
【0057】
図9は、担当者を管理するためのテーブルT60の一例を示す。担当者管理テーブルT60は、例えば、担当者ID欄C60と、担当者名欄C61と、役職欄C62と、所属先ID欄C63と、認証用動作欄C64とを備える。
【0058】
担当者ID欄C60には、担当者を識別するための識別子が記憶される。担当者名欄C61には、担当者の氏名が記憶される。役職欄C62には、担当者の役職(または権限)が記憶される。所属先ID欄C63には、担当者の所属する支店または部課を識別するための識別子が記憶される。認証用動作欄C64には、担当者が通信端末1を使用する際に入力する操作内容が記憶される。
【0059】
本実施例では、ユーザが通信端末1の画面を指先でなぞったり叩いたりすることにより、情報を入力したり指示を与えることができる。さらに本実施例では、通信端末1の起動時または使用時に、ユーザ操作に基づいてユーザ認証を行う。
【0060】
例えば、担当者が「左側の4カ所と右側の1カ所を同時にタップする」というようなユーザ操作を予め登録しておき、そのユーザ操作を通信端末1の使用時に入力する。担当者が左手の4本の指と右手の1本の指とで画面を同時にタップすると、ユーザ認証が成功し、ロックが解除される。ユーザ認証用のユーザ操作としては、ほかに例えば、「10本の指先を外側に広げるように動かす」、「左側の3本の指先を右側にフリックすると同時に、右側の3本の指先を左側にフリックさせる」等を挙げることもできる。これら以外のユーザ操作も使用可能である。
【0061】
図10は、顧客への説明手順を管理するためのテーブルT70の一例である。説明手順管理テーブルT70は、例えば、説明種別欄C70と、手順欄C71A,C71B,C71C(以下、手順欄C71)と、最低時間欄C72A,C72B,C72C(以下、最低時間欄C72)と、承認欄C73A,C73B,C73C(以下、承認欄C73)とを備える。
【0062】
説明種別毎に、それぞれ少なくとも一つ以上の所定の手順が定義されている。図10では、各説明種別は、それぞれ3つずつの手順を有する場合を示すが、これに限らず、ある説明種別は1つの手順のみを含み、他の説明種別は2つの手順を有し、さらに別の説明手順は3つ以上の手順を備える構成でもよい。
【0063】
説明種別欄C70には、顧客に商品等を説明する場合の種別が記憶される。説明種別としては、例えば、投資信託の説明、株式売買の説明、債券売買の説明、保険の説明、不動産売買の説明、貴金属売買の説明等のように、商品種別毎に用意することができる。
【0064】
手順欄C71には、説明対象(商品等)に応じた所定の手順が設定される。所定の手順は、法律で定められている場合もあるし、商品等を販売する会社または業界団体等で定められている場合もある。手順の数及び手順の内容は、説明種別毎に相違する。
【0065】
例えば、ある商品の説明に際しては、第1手順として診断テストが実施され、第2手順以下で、一つまたは複数のドキュメントに基づく説明が実施される。診断テストとしては、例えば、顧客がどの程度のリスクを許容できるかを調べるためのリスク許容度診断テスト等を挙げることができる。他の商品の場合、一つのドキュメント内の項目を、手順通りに説明するようになっている。
【0066】
最低時間欄C72には、各手順の説明に要する最低時間が記憶される。最低時間は、例えば、説明すべき文章の文字数及び原稿読み上げの平均速度等から算出することもできるし、または、一人または複数の担当者が実際に説明に要した時間に若干の余裕時間を加えることにより算出することもできる。
【0067】
承認欄C73には、説明(またはテスト)を受けた顧客による承認が必要か否かが記憶される。承認の必要がありと設定された手順の場合、顧客の承認を得ない限り、次の手順に進むことはできない。担当者が顧客の承認を得ずに次の手順に進めようとした場合は、後述のように警告が発せられ、記録される。
【0068】
図11−図18を参照して営業支援システムの動作を説明する。まず図11は、システムを利用した営業活動の全体動作を示す。図11は、コンピュータにより実行されるステップと担当者により実行されるステップの両方を含んでいる。
【0069】
営業支援サービスを利用する企業は、営業支援サーバ3に記憶されている自社担当者向けのドキュメントを管理する(S10)。例えば、サービス利用企業は、新たなドキュメントを営業支援サーバ3に登録したり、既存のドキュメントを更新したり、古いドキュメントを営業支援サーバ3から削除したりする。
【0070】
続いて、サービス利用企業の各担当者が所持する通信端末1に記憶されるドキュメントが管理される(S11)。例えば、通信端末1に新たなドキュメントを転送したり、通信端末1内の既存ドキュメントを更新したり、通信端末1内の古いドキュメントを削除したりする。
【0071】
担当者は、顧客訪問前に、通信端末1を用いて訪問の準備をする(S12)。担当者は、例えば、訪問先の顧客に関する営業活動履歴を参照して、前回の訪問時にどの商品をどこまで説明したか等を確認することができる。
【0072】
事前準備を終えた担当者は、顧客の自宅または職場を訪問して商談する(S13)。担当者は、通信端末1を顧客に見せながら商品等を説明し、商談を進める。商談が適切なに進められているか否かは、後述の処理により監視される。
【0073】
商談が終了すると、または、商談途中で、商談時の内容(例えば、ドキュメントID、位置情報、音声データ、操作履歴等)が営業支援サーバ3に保存される(S14)。
【0074】
図12は、営業支援サーバ3に保存されているドキュメントを管理するための処理を示すフローチャートである。
【0075】
営業支援サーバ3は、サービス利用企業の基幹システム4と通信し(S20)、基幹システム4からの情報に基づいて、ドキュメントを更新する(S21)。例えば、利率等の値が更新された場合、それに合わせてドキュメントの一部を書き換える。
【0076】
営業支援サーバ3は、サービス利用企業の各担当者が所持する通信端末1と通信し(S22)、各通信端末1内のドキュメントを最新ドキュメントに更新する(S23)。
【0077】
さらに、営業支援サーバ3は、各通信端末1のセキュリティを管理することもできる(S24)。例えば、通信端末1の紛失または盗難が生じた場合、営業支援サーバ3は、遠隔操作により、その通信端末1にロックをかけて操作を禁止したり、その通信端末1内に保存されているデータの全部または一部を消去したりする。なお、営業支援サーバ3は、通信端末2内のデータ管理及びセキュリティ管理も可能である。
【0078】
図13は、通信端末1を起動させる場合の処理を示すフローチャートである。通信端末1を例に挙げて説明するが、通信端末2でも同様の処理を実行することができる。
【0079】
通信端末1は、起動スイッチがオン操作されたか否かを監視している(S30)。起動スイッチがオン操作されると(S30:YES)、通信端末1は、端末画面(ユーザインターフェース部10)へのユーザ操作を検出する(S31)。
【0080】
通信端末1は、その端末に予め登録されている認証用動作を参照し(S32)、入力されたユーザ操作が認証用動作と一致するか否かを判定する(S33)。図9で説明したように、各担当者は、自分であることを示すためのユーザ操作(指先による画面操作)を自分の通信端末1に事前に登録しておくことができる。通信端末1は、入力されたユーザ操作と登録されている認証用動作(認証用の画面操作)とを比較し、両者が一致するか否かを判定する(S33)。
【0081】
ここで、本実施例では、ユーザ名及びパスワードを用いるベーシック認証ではなく、指先の動作パターンである画面操作に基づいてユーザ認証を行う点に留意すべきである。なお、画面操作に基づくユーザ認証に加えて、ベーシック認証または他の認証(生体認証等)を行ってもよい。
【0082】
画面への操作に基づくユーザ認証に成功した場合(S33:YES)、通信端末1は起動して使用可能な状態になる(S34)。その後、通信端末1は、端末画面に表示されるドキュメントと画面への操作と位置と音声とを対応付けて記憶する(S35)。商談時の処理は図を改めて後述する。
【0083】
ユーザ認証に失敗した場合(S33:NO)、通信端末1は、ユーザ認証が所定回数行われたか否かを判定する(S36)。所定回数に達していない場合(S36:NO)、S31に戻る。ユーザ認証が所定回数行われた場合(S36:YES)、通信端末1は、それ以上の操作を禁止したり、登録済み認証用動作を変更したり、記憶されているデータの全部または一部を消去したりする等の保護処理を実施する(S37)。
【0084】
図14を参照して、画面への操作に基づいてデータを検索する処理を説明する。担当者は、図15に示すような検索画面G10を起動させる(S40)。担当者は、検索画面G10に一つまたは複数の指先を置いて動かすことにより、検索対象の画面操作を通信端末1に入力する(S41)。符号GP100は、検索画面G10に置かれた担当者の指先を示す。検索対象の画面操作としては、例えば、タップ、ダブルタップ、ドラッグ、フリック、ピンチアウト、ピンチイン等の基本的操作が挙げられる。
【0085】
通信端末1は、入力された画面操作を検索キーとして、営業活動履歴管理テーブルT10を検索する(S42)。通信端末1は、入力された画面操作と一致する操作IDが対応付けられているドキュメントを特定し、そのドキュメントを象徴するアイコンGP110を検索結果画面G11に表示する(S43)。検索結果は、ページまたは項目のようなドキュメントの表示単位で示される。
【0086】
一例を挙げる。ドキュメントのうち担当者が強調して説明した部分、または、顧客が詳細な説明を求めた部分は、ピンチアウトにより画面が拡大表示されている場合が多いと考えられる。担当者がピンチアウト操作を通信端末1に入力すると、ピンチアウト操作の行われた箇所がアイコンGP110として表示される。担当者がアイコンGP110をタップすると、そのアイコンに対応するドキュメントの画面が表示される。これにより、担当者は、ピンチアウト操作された部分を抽出して確認することができ、営業活動に役立たせることができる。
【0087】
なお、図14では、通信端末1内に保存されている営業活動履歴管理テーブルT10に基づいて、ドキュメントの中から所定の画面操作と対応付けられているドキュメントを特定する場合を説明した。これに代えて、営業支援サーバ3に保存されている営業活動履歴管理テーブルT10を、通信端末1に入力された画面操作で検索する構成でもよい。
【0088】
図16を参照して、位置に応じて営業活動履歴を自動的に検索する処理を説明する。例えば、担当者は、顧客の自宅または自宅の近所で、本処理を起動させることにより、その顧客に関する営業活動の履歴を取得することができる。
【0089】
担当者は、通信端末1から営業支援サーバ3に、営業活動の履歴の検索を指示する(S50)。通信端末1は、現在の位置データを取得し(S51)、位置データと担当者IDを対応付けて営業支援サーバ3に送信する(S52)。
【0090】
営業支援サーバ3は、担当者ID及び位置データに基づいて営業活動履歴管理テーブルT10を検索し(S53)、その検索結果を通信端末1に送信する(S54)。通信端末1は、営業支援サーバ3から受信した検索結果を画面に表示させる(S55)。
【0091】
なお、図16では、営業支援サーバ3に保存されている営業活動履歴管理テーブルT10を担当者の位置データに基づいて検索する場合を説明したが、これに代えて、通信端末1内の営業活動履歴管理テーブルT10を検索する構成でもよい。
【0092】
図17を参照して説明手順を監視する処理を説明する。担当者は、通信端末1にドキュメントを表示させて、それを顧客に見せながら商品等を説明することができる。説明時の状況である、音声データ及び画面操作(ユーザ操作)等は検出されて記憶される。通信端末1は、検出されたデータ及び操作等に基づいて説明時の状況を監視する。
【0093】
まず、通信端末1は、説明種別を取得する(S60)。説明種別は、最初に開くドキュメントによって自動的に決定される構成でもよいし、予め用意された中から担当者が説明種別を手動で選択する構成でもよい。
【0094】
通信端末1は、説明種別に基づいて、説明手順管理テーブルT70を参照し(S61)、さらに、通信端末1に表示されているドキュメントのIDを特定する(S62)。通信端末1は、画面への操作入力を検出し、画面操作と位置データと音声データ等を対応付けて営業活動履歴管理テーブルT10に登録する(S63)。
【0095】
通信端末1は、音声データを解析することにより、予め登録されている所定の発言が検出されたか否かを判定する(S64)。所定の発言とは、例えば、「ちょっと待って下さい」、「そこは理解できない」、「少し考えさせて下さい」等のように、担当者による説明の中断を求める発言である。従って、所定の発言は、説明中断要求発言と呼ぶこともできる。
【0096】
所定の発言が検出されると(S64:YES)、通信端末1は、担当者に警告する(S69)。例えば、通信端末1の画面に「説明を一時中断して下さい」、「説明の速度を落として下さい」等の警告メッセージを表示したり、警告メッセージを読み上げたりすることにより、担当者を警告する。
【0097】
さて、説明が進んで、項目の終わりに差し掛かると(即ち、一つの手順の終了が検出されると)、通信端末1は、顧客の承認が得られたか否かを判定する(S65)。図7の顧客管理テーブルT40で説明した通り、各顧客毎に、確認または承認(あるいは承諾)の意思を示す確認用音声データが通信端末1及び営業支援サーバ3に登録されている。
【0098】
なお、確認用音声データは、担当者の顧客訪問前に作成されている必要はない。新規顧客を訪問する場合は、商談の開始前または開始後に確認用音声データを作成して、登録することができる。また、既に登録されている確認用音声データを、必要に応じて、適宜変更することもできる。例えば、確認用音声データを作成してから所定時間以上経過している場合、つまり、確認用音声データが古くなっている場合は、新たな確認用音声データを作成して登録することができる。これにより、商談時の証跡を偽造等するのを防止することができる。
【0099】
担当者が、顧客の承認を必要とする項目を説明した場合において、顧客の承認が得られなかった場合は(S65:NO)、担当者に警告が発せられる(S69)。ここでの警告では、例えば、「説明内容を理解したことの確認をお客様から得て下さい。確認されるまで次の説明に移ることはできません。」等のメッセージを出力する。
【0100】
例えば、ある項目(またはページ。以下同様)から他の項目に説明を移ろうとする場合、担当者は画面をタップする。通信端末1は、その切替指示を検出すると、顧客の承認が必要な項目であったか否かを判定し、顧客の承認が必要である場合、その承認が得られたか否かを判定する(S65)。顧客の承認を得ている場合は、次のステップS66に移るが、顧客の承認を得ていない場合は(S65:NO)、表示されている項目を元に戻し、担当者に警告する(S69)。
【0101】
ある項目の説明を終えて、顧客の承認を得た場合(S65:YES)、通信端末1は、その項目の説明に要した時間(以下、説明時間と呼ぶことがある)が、その項目に設定されている最低時間以上であるか否かを判定する(S66)。例えば、ドキュメントが表示されて、担当者の声が検出された時点を説明の開始時刻として検出できる。説明終了時刻は、例えば、顧客の承認が得られ、かつ、次の項目への切替指示が入力された時点として定義することができる。
【0102】
ある項目の説明終了時に、その説明時間が最低時間未満である場合(S66:NO)、通信端末1は担当者に警告する(S69)。ここでの警告では、例えば、「説明が早すぎます。もう少し時間をかけて丁寧に説明して下さい」等のメッセージを出力する。但し、説明時間が最低時間を下回っている場合でも、顧客が承知している場合は、次の手順(次の項目の説明)に移ることができる。同様の商談を複数繰り返しているような手慣れた顧客の場合は、決まり切った説明を短縮または省略できる構成としてもよい。
【0103】
ある項目の説明時間が最低時間以上である場合(S66:YES)、通信端末1は、S60で特定された説明種別に含まれている全手順を完了したか否か、つまり、説明すべき項目を全て説明したか否かを判定する(S67)。
【0104】
説明していない手順が残っている場合(S67:NO)、通信端末1は、次の手順に切り替えて(S68)、S61に戻り、説明手順管理テーブルT70を参照する。全手順を完了した場合(S67:YES)、本処理は正常に終了する。
【0105】
図18を参照してNGワードを監視する処理を説明する。NGワードとは、好ましくない単語または文章であり、本実施例では、担当者用のNGワードと顧客用のNGワードの両方を監視する。本処理は、商談中に、図17で述べた処理と並列に実行される。
【0106】
通信端末1は、音声データを解析し(S80)、発言の話者が担当者であるか顧客であるかを判定する(S81)。通信端末1には、予め担当者の音声データと顧客の音声データとが登録されているものとする。検出された発言の話者が担当者でも顧客でもない場合、図示を省略しているが、通信端末1は特に何も行わずにS80に戻る。
【0107】
担当者の発言であると判定された場合、通信端末1は、予め登録されている担当者用のNGワードを参照し(S82)、担当者の発言がNGワードに該当するか否かを判定する(S83)。NGワードではない場合(S83:NO)、S80に戻る。
【0108】
NGワードの場合(S83:YES)、通信端末1は担当者に警告する(S84)。担当者用のNGワードとしては、例えば、「必ず儲かります」、「損はさせません」、「損失は補填いたします」等を挙げることができる。NGワード検出時の警告は、例えば、通信端末1の画面に「儲かります等の発言は禁じられています」等の警告メッセージを表示したり、警告メッセージを音声で読み上げたり、通信端末1の画面の全部または一部を赤く表示させたり、通信端末1を振動させたり(バイブレーション機能を備える場合)することにより、行われる。さらに、例えば、通信端末1を用いて警告するのではなく、サブ通信端末2に電子メールを送信して、担当者に警告する構成でもよい。これにより、顧客に知られずに担当者に注意することができる。
【0109】
通信端末1は、担当者に警告した後、担当者に警告した旨を営業支援サーバ3に通知する(S85)。営業支援サーバ3は、警告が発せられたことを担当者管理テーブルT60に記憶したり、担当者の上司に電子メール等で通知する(S86)。
【0110】
一方、顧客の発言の場合、通信端末1は、予め登録されている顧客用のNGワードを参照し(S87)、顧客の発言がNGワードに該当するか否かを判定する(S88)。顧客のNGワードとしては、例えば、違法な行為を担当者に強制するような発言、担当者を脅迫するような発言等を挙げることができる。
【0111】
顧客の発言がNGワードに該当しない場合(S88:NO)、S80に戻る。顧客がNGワードを発した場合(S88:YES)、通信端末1は、その旨を営業支援サーバ3に通知する(S89)。営業支援サーバ3は、そのような場合の応対方法に関する助言を、担当者に通知する(S90)。営業支援サーバ3は、助言を電子メールとして、サブ通信端末2に送信することができる。
【0112】
なお、図18では、通信端末1がNGワードを検出して警告する場合を述べたが、これに代えて、NGワードであるか否かの判定を営業支援サーバ3で行う構成でもよい。
【0113】
このように構成される本実施例によれば、担当者が所定の手順に従って説明しているか否かを自動的に監視することができ、重要事項の説明漏れ等を防止し、営業活動の信頼性及び効率を高めることができる。
【0114】
本実施例では、顧客が説明の中断を求めた場合、顧客の承認が検出されなかった場合、または、説明時間が最低時間未満の場合のいずれかの場合に、担当者に警告する。これにより、顧客が理解したか否かを自動的に判定することができ、さらに、手順に従った正しい説明の実行を担当者に促すことができる。従って、担当者の熟練度による相違を少なくして、営業活動を標準化できる。
【0115】
本実施例では、担当者及び顧客の会話からNGワードが検出された場合に、担当者に警告したり、助言したりできる。従って、適正な営業活動を促進できる。
【0116】
本実施例では、画面操作を検索キーとして営業活動履歴を検索できる。これにより、例えば、強調して説明したと思われる箇所、端折って説明したと思われる箇所等を、検索することができ、営業活動に役立たせることができる。なお、画面操作に基づく検索に加えて、キーワード検索も可能な構成にしてもよい。
【0117】
本実施例では、通信端末1の位置に応じて営業活動履歴を検索できる。従って、顧客所在地または所在地近傍で、その顧客に関する営業活動の履歴を容易に検索して参照することができる。
【0118】
本実施例では、営業支援サーバ3の提供する共通基盤300上に各企業毎のサービス提供部310を設けて、各企業毎に営業支援サービスを提供する。これにより、各企業毎に営業支援システムを作り込む必要がなく、全体構成を簡素にできる。
【0119】
本実施例では、サービス利用企業の基幹システムと営業支援サーバ3とを連携させて、ドキュメントを最新状態に保持し、かつ、各通信端末1内のドキュメントを営業支援サーバ3により一元的に管理する。従って、担当者は、最新のドキュメントを用いて商談を行うことができ、営業活動の効率を上げることができる。
【実施例2】
【0120】
図19−図22に基づいて第2実施例を説明する。本実施例は、第1実施例の変形例に相当する。従って、本実施例では、第1実施例との相違点を中心に説明する。本実施例では、顧客のタイプを分類し、顧客のタイプに応じた助言を担当者に与える。
【0121】
図19は、顧客のタイプを分類する処理を示すフローチャートである。まず、通信端末1を用いて、診断テストを開始する(S100)。診断テストとして、ここでは、例えば、顧客がリスクをどの程度まで許容可能かを調べるテストを例に挙げる。
【0122】
通信端末1は、診断テスト中の顧客の音声を収集して、営業支援サーバ3に送信する(S101)。営業支援サーバ3は、顧客の音声を解析し(S102)、さらに、通信端末1から診断テストの結果を取得する(S103)。
【0123】
営業支援サーバ3は、顧客の音声の解析結果と診断テストの結果に基づいて、顧客タイプを分類し(S104)、その分類結果を図20に示す顧客管理テーブルT40Aの顧客タイプ欄C45に記憶させる(S105)。
【0124】
図20には、顧客タイプの分類に使用されるテーブルT80の一例と、顧客管理テーブルT40Aの一例とが示されている。顧客タイプ分類テーブルT80は、リスク許容度診断テストの結果と顧客音声の解析結果との組合せで、顧客を分類する。
【0125】
診断テストの結果は、例えば、「リスク許容度が高い」と「リスク許容度が低い」の2段階に区別される。音声解析結果は、例えば、「疑問を示す言葉が多い」と「肯定的言葉が多い」の2段階に区別される。従って、顧客タイプは、リスク許容度が高く、かつ、疑問を示す言葉の多いタイプ1と、リスク許容度が低く、かつ、疑問を示す言葉の多いタイプ2と、リスク許容度が高く、かつ、肯定的言葉の多いタイプ3と、リスク許容度が低く、かつ、肯定的言葉の多いタイプ4のいずれかに分類される。例えば、タイプ1は積極的な理論派、タイプ2は理論的な慎重派、タイプ3は積極的な楽観派、タイプ4は潜在的積極派であると考えることができる。
【0126】
なお、全ての顧客を上記4タイプのいずれかに区別する必要はない。特徴の無い顧客は特に分類せず、分類結果を保存しない構成としてもよい。
また、顧客タイプの分類は上述のものに限られない。例えば、リスク許容度は、2段階の区別に限らず、「保守的/やや保守的/中庸/やや積極的/積極的」のような5段階に分けることもできる。3段階、4段階または6段階以上に区別してもよい。
【0127】
図21は、顧客タイプ別の助言を管理するテーブルT90の一例を示す。顧客タイプ別助言管理テーブルT90は、例えば、ドキュメントID欄C90と、顧客タイプ欄C91と、助言格納先アドレス欄C92とを備える。
【0128】
ドキュメントID欄C90には各ドキュメントの識別子が記憶される。顧客タイプ欄C91には、顧客タイプを示すIDが記憶される。助言格納先アドレス欄C92には、各顧客タイプ別の助言データを格納しているアドレスが記憶される。各ドキュメント毎に、各顧客タイプ別の助言が予め対応付けられている。ある助言データの全部または一部が、他の助言データと重複してもよい。
【0129】
図22は、担当者に助言を与える処理を示すフローチャートである。通信端末1は、説明対象のドキュメントのIDと顧客のIDを対応付けて、営業支援サーバ3に送信する(S110)。説明対象ドキュメントのIDは、通信端末1に表示されたドキュメントから特定できる。顧客IDは、通信端末1の位置データから特定できる。
【0130】
営業支援サーバ3は、ドキュメントID及び顧客IDに基づいて顧客タイプ別助言管理テーブルT90を検索することにより、顧客タイプに応じた助言データを担当者の所持するサブ通信端末2に送信する(S111)。サブ通信端末2は、助言データを表示する(S112)。
【0131】
このように構成される本実施例も第1実施例と同様の効果を奏する。さらに、本実施例では、顧客タイプを事前に分類し、顧客タイプ別の助言を担当者に与えるため、その顧客に合った営業活動を行うことができる。これにより、営業活動の効率が向上する。
【0132】
さらに、第1実施例でも言える効果であるが、営業支援サーバ3から通信端末に送信する各種情報等のうち、顧客に知られるのが好ましくない情報等はサブ通信端末2に送信するため、顧客に知られずに営業活動を効率的に行うことができる。
【0133】
なお、本発明は、上述した各実施例に限定されない。当業者であれば、本発明の範囲内で、種々の追加や変更等を行うことができる。例えば、各実施例を適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0134】
1:通信端末、2:通信端末(他の通信端末)、3:営業支援サーバ3、4:サービス利用企業の基幹システム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
営業支援サーバと、該営業支援サーバに通信ネットワークを介して接続される通信端末とを備える営業支援システムであって、
前記営業支援サーバは、前記通信端末に記憶される電子ドキュメントと、前記電子ドキュメントの説明手順を示す説明手順管理テーブルとを管理し、
前記通信端末は、
前記電子ドキュメントを端末画面に表示させる表示部と、
ユーザ操作が入力される入力部と、
外部の音声を検出して音声データを出力する音声検出部と、
前記電子ドキュメントと前記説明手順管理テーブルと前記音声検出部から出力される音声データと前記入力部に入力される前記ユーザ操作とを記憶する記憶部と、
前記表示部に表示される前記電子ドキュメントが前記説明手順管理テーブルに規定されている所定の手順に従って説明されているか否かを、前記表示部に表示される前記電子ドキュメントと前記ユーザ操作と前記音声データとに基づいて判定し、前記電子ドキュメントが前記所定の手順に従って説明されていない場合は、警告を出力する判定部と、を備える営業支援システム。
【請求項2】
顧客の承認を示す所定の音声データが予め前記記憶部に記憶されており、
前記判定部は、前記所定の音声データが検出された場合に、前記所定の手順に従って前記電子ドキュメントが説明されていると判定し、前記所定の音声データが検出されなかった場合に、前記電子ドキュメントが前記所定の手順に従って説明されていないと判定する、請求項1に記載の営業支援システム。
【請求項3】
前記判定部は、前記所定の音声データが検出された場合でも、前記電子ドキュメントの表示時間が予め設定される所定の時間未満の場合は、前記電子ドキュメントが前記所定の手順に従って説明されていないと判定する、請求項2に記載の営業支援システム。
【請求項4】
前記判定部は、前記音声検出部により検出された音声データに所定の禁止表現が含まれているか否かを判定し、前記所定の禁止表現が含まれている場合には警告を発する、請求項3に記載の営業支援システム。
【請求項5】
前記ユーザ操作には、前記表示部に表示された前記電子ドキュメントへのユーザの手動操作が含まれており、
前記記憶部に設けられ、前記手動操作と前記電子ドキュメントとを対応付けて記憶する活動履歴管理テーブルと、
前記入力部に入力された手動操作に基づいて前記活動履歴管理テーブルを検索し、一致する手動操作に対応付けられている電子ドキュメントを検出する検索部と、
を備える請求項1に記載の営業支援システム。
【請求項6】
前記営業支援サーバは、顧客のタイプを判別し、判別されたタイプに応じた助言データを、前記通信端末、または、前記通信端末と同一のユーザにより使用される他の通信端末のいずれかに送信する、請求項1−5のいずれかに記載の営業システム。
【請求項7】
営業支援サーバに通信ネットワークを介して接続される通信端末であって、
前記営業支援サーバは、前記通信端末に記憶される電子ドキュメントと、前記電子ドキュメントの説明手順を示す説明手順管理テーブルとを管理し、
前記通信端末は、
前記電子ドキュメントを端末画面に表示させる表示部と、
ユーザ操作が入力される入力部と、
外部の音声を検出して音声データを出力する音声検出部と、
前記電子ドキュメントと前記説明手順管理テーブルと前記音声検出部から出力される音声データと前記入力部に入力される前記ユーザ操作とを記憶する記憶部と、
前記表示部に表示される前記電子ドキュメントが前記説明手順管理テーブルに規定されている所定の手順に従って説明されているか否かを、前記表示部に表示される前記電子ドキュメントと前記ユーザ操作と前記音声データとに基づいて判定し、前記電子ドキュメントが前記所定の手順に従って説明されていない場合は、警告を出力する判定部と、を備える通信端末。
【請求項8】
営業支援サーバに通信ネットワークを介して接続される通信端末を用いて行われる営業活動を支援するための方法であって、
前記営業支援サーバに記憶されている電子ドキュメントを用いて前記通信端末に記憶される電子ドキュメントを更新させるステップと、
前記通信端末に記憶された電子ドキュメントを前記通信端末の画面に表示させるステップと、
表示された前記電子ドキュメントに対する手動の画面操作を検出するステップと、
前記通信端末の周囲の音声を音声データとして録音するステップと、
前記電子ドキュメントと前記画面操作及び前記音声データを対応付けて保存するステップと、
予め登録された所定の発言が前記音声データに含まれている場合には、予め設定される所定の手順に従って前記電子ドキュメントが説明されていると判定するステップと、
前記所定の発言が前記音声データに含まれていない場合、前記通信端末または前記通信端末と一緒に使用される他の通信端末のいずれか一方に警告を出力するステップと、
を実施する営業活動支援方法。
【請求項9】
コンピュータを、
電子ドキュメントを端末画面に表示させるための表示手段と、
ユーザ操作が入力されるための入力手段と、
外部の音声を検出して音声データを出力するための音声検出手段と、
表示される前記電子ドキュメントが所定の手順に従って説明されているか否かを、前記電子ドキュメントと前記ユーザ操作と前記音声データとに基づいて判定し、前記電子ドキュメントが前記所定の手順に従って説明されていない場合は、警告を出力する判定手段として、それぞれ機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項1】
営業支援サーバと、該営業支援サーバに通信ネットワークを介して接続される通信端末とを備える営業支援システムであって、
前記営業支援サーバは、前記通信端末に記憶される電子ドキュメントと、前記電子ドキュメントの説明手順を示す説明手順管理テーブルとを管理し、
前記通信端末は、
前記電子ドキュメントを端末画面に表示させる表示部と、
ユーザ操作が入力される入力部と、
外部の音声を検出して音声データを出力する音声検出部と、
前記電子ドキュメントと前記説明手順管理テーブルと前記音声検出部から出力される音声データと前記入力部に入力される前記ユーザ操作とを記憶する記憶部と、
前記表示部に表示される前記電子ドキュメントが前記説明手順管理テーブルに規定されている所定の手順に従って説明されているか否かを、前記表示部に表示される前記電子ドキュメントと前記ユーザ操作と前記音声データとに基づいて判定し、前記電子ドキュメントが前記所定の手順に従って説明されていない場合は、警告を出力する判定部と、を備える営業支援システム。
【請求項2】
顧客の承認を示す所定の音声データが予め前記記憶部に記憶されており、
前記判定部は、前記所定の音声データが検出された場合に、前記所定の手順に従って前記電子ドキュメントが説明されていると判定し、前記所定の音声データが検出されなかった場合に、前記電子ドキュメントが前記所定の手順に従って説明されていないと判定する、請求項1に記載の営業支援システム。
【請求項3】
前記判定部は、前記所定の音声データが検出された場合でも、前記電子ドキュメントの表示時間が予め設定される所定の時間未満の場合は、前記電子ドキュメントが前記所定の手順に従って説明されていないと判定する、請求項2に記載の営業支援システム。
【請求項4】
前記判定部は、前記音声検出部により検出された音声データに所定の禁止表現が含まれているか否かを判定し、前記所定の禁止表現が含まれている場合には警告を発する、請求項3に記載の営業支援システム。
【請求項5】
前記ユーザ操作には、前記表示部に表示された前記電子ドキュメントへのユーザの手動操作が含まれており、
前記記憶部に設けられ、前記手動操作と前記電子ドキュメントとを対応付けて記憶する活動履歴管理テーブルと、
前記入力部に入力された手動操作に基づいて前記活動履歴管理テーブルを検索し、一致する手動操作に対応付けられている電子ドキュメントを検出する検索部と、
を備える請求項1に記載の営業支援システム。
【請求項6】
前記営業支援サーバは、顧客のタイプを判別し、判別されたタイプに応じた助言データを、前記通信端末、または、前記通信端末と同一のユーザにより使用される他の通信端末のいずれかに送信する、請求項1−5のいずれかに記載の営業システム。
【請求項7】
営業支援サーバに通信ネットワークを介して接続される通信端末であって、
前記営業支援サーバは、前記通信端末に記憶される電子ドキュメントと、前記電子ドキュメントの説明手順を示す説明手順管理テーブルとを管理し、
前記通信端末は、
前記電子ドキュメントを端末画面に表示させる表示部と、
ユーザ操作が入力される入力部と、
外部の音声を検出して音声データを出力する音声検出部と、
前記電子ドキュメントと前記説明手順管理テーブルと前記音声検出部から出力される音声データと前記入力部に入力される前記ユーザ操作とを記憶する記憶部と、
前記表示部に表示される前記電子ドキュメントが前記説明手順管理テーブルに規定されている所定の手順に従って説明されているか否かを、前記表示部に表示される前記電子ドキュメントと前記ユーザ操作と前記音声データとに基づいて判定し、前記電子ドキュメントが前記所定の手順に従って説明されていない場合は、警告を出力する判定部と、を備える通信端末。
【請求項8】
営業支援サーバに通信ネットワークを介して接続される通信端末を用いて行われる営業活動を支援するための方法であって、
前記営業支援サーバに記憶されている電子ドキュメントを用いて前記通信端末に記憶される電子ドキュメントを更新させるステップと、
前記通信端末に記憶された電子ドキュメントを前記通信端末の画面に表示させるステップと、
表示された前記電子ドキュメントに対する手動の画面操作を検出するステップと、
前記通信端末の周囲の音声を音声データとして録音するステップと、
前記電子ドキュメントと前記画面操作及び前記音声データを対応付けて保存するステップと、
予め登録された所定の発言が前記音声データに含まれている場合には、予め設定される所定の手順に従って前記電子ドキュメントが説明されていると判定するステップと、
前記所定の発言が前記音声データに含まれていない場合、前記通信端末または前記通信端末と一緒に使用される他の通信端末のいずれか一方に警告を出力するステップと、
を実施する営業活動支援方法。
【請求項9】
コンピュータを、
電子ドキュメントを端末画面に表示させるための表示手段と、
ユーザ操作が入力されるための入力手段と、
外部の音声を検出して音声データを出力するための音声検出手段と、
表示される前記電子ドキュメントが所定の手順に従って説明されているか否かを、前記電子ドキュメントと前記ユーザ操作と前記音声データとに基づいて判定し、前記電子ドキュメントが前記所定の手順に従って説明されていない場合は、警告を出力する判定手段として、それぞれ機能させるためのコンピュータプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2012−43300(P2012−43300A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−185473(P2010−185473)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000155469)株式会社野村総合研究所 (1,067)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000155469)株式会社野村総合研究所 (1,067)
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