説明

嗅覚情報制御装置、嗅覚情報制御方法及び香り発生システム

【課題】視聴覚映像情報等に対応させて、香りの遠近感や強弱変化を簡単に演出することができる、嗅覚情報制御装置及び香り発生システムを提供する。
【解決手段】嗅覚情報制御装置は、視聴覚情報データを記憶している記憶手段と、当該記憶手段から取得した視聴覚情報データに基づいて仮想空間を提供する手段と、流動する空気中に複数種類の香料を微小時間、香料毎に所定のパルス間隔で別々にパルス射出す香り発生装置に香りのパルス射出制御情報を送信する嗅覚情報制御装置であって、
前記香りのパルス射出制御情報は、前記記憶手段から取得した前記視聴覚情報データと前記仮想空間における香り発生源との関係に基づいて形成された、香りの種類、香りの射出量及び香りの種類の射出順を定めた香り配列に基づくものであることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視聴覚情報と嗅覚情報とを効果的に対応させることができる嗅覚情報制御装置、嗅覚情報制御方法及び香り発生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、立体映像技術や三次元音響の発達と共に臨場感を与える環境提供のニーズが高まり、より一層の臨場感を提供する手段として、映像や音響の変化に対応する嗅覚情報の呈示が注目されている。
【0003】
これまでに、ユーザーの好みの応じた香りを提供する技術、あるいは、マルチメディアと連動させて香料を呈示する技術などが提案されている。(特許文献1、特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−162212号公報
【特許文献2】特開2006−48611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術においては、香りの呈示は、呈示する香料の種類を変える、あるいは、香料の呈示をオン/オフする程度であり、香りの連続射出による嗅覚神経の順応の問題や、残り香の影響が避けられなかった。
【0006】
このために、例えば、仮想空間内のユーザーの分身であるキャラクタ(アバター)の移動・動作に伴って、複数の香りの呈示をきめ細かく変化させて、視聴覚情報と対応した香りの遠近感や強弱変化を演出することはできなかった。また、動画に合わせて、複数の香りの呈示をきめ細かく変化させ、香りの遠近感や強弱変化を演出することもできなかった。
【0007】
更に、それらの演出が視聴者により分かりやすく呈示することもできなかった。
【0008】
本発明はこのような課題を解決して、視聴覚映像情報等に対応させて、香りの遠近感(遠近表現)や強弱変化を簡単に演出することができる、嗅覚情報制御装置、嗅覚情報制御方法及び香り発生システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決する嗅覚情報制御装置は、視聴覚情報データを記憶している記憶手段と、当該記憶手段から取得した視聴覚情報データに基づいて仮想空間を提供する手段とを有し、流動する空気中に複数種類の香料を微小時間、香料毎に所定のパルス間隔で別々にパルス射出する香り発生装置に香りのパルス射出制御情報を送信する嗅覚情報制御装置であって、
前記香りのパルス射出制御情報は、前記記憶手段から取得した前記視聴覚情報データと前記仮想空間における香り発生源との関係に基づいて形成された、香りの種類、香りの射出量及び香りの種類の射出順を定めた香り配列に基づくものであることを特徴とする。
また、上記の課題を解決する嗅覚情報制御方法は、視聴覚情報データを記憶している記憶手段と、当該記憶手段から取得した視聴覚情報データに基づいて仮想空間を提供する手段とを有し、前記視聴覚情報データに基づいて、流動する空気中に複数種類の香料を微小時間、香料毎に所定のパルス間隔で別々にパルス射出する香り発生装置に香りのパルス射出制御情報を送信する嗅覚情報制御装置における嗅覚情報制御方法であって、
前記香りのパルス射出制御情報は、前記記憶手段から取得した前記視聴覚情報データと前記仮想空間における香り発生源との関係に基づいて形成された、香りの種類、香りの射出量及び香りの種類の射出順を定めた香り配列に基づくものであることを特徴とする。
更に、上記の課題を解決する香り発生システムは、視聴覚情報データを記憶している記憶手段と、当該記憶手段から取得した視聴覚情報データに基づいて仮想空間を提供する手段と、流動する空気中に複数種類の香料を微小時間、香料毎に所定のパルス間隔で別々にパルス射出する香り発生装置と、前記記憶手段から取得した前記視聴覚情報データに基づいて、前記香り発生装置に香りのパルス射出制御情報を送信する嗅覚情報制御装置とを備えた、香り発生システムであって、
前記香りのパルス射出制御情報は、前記記憶手段から取得した前記視聴覚情報データと前記仮想空間における香り発生源との関係に基づいて形成された、香りの種類、香りの射出量及び香りの種類の射出順を定めた香り配列に基づくものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、視聴覚映像情報等に対応させて、香りの遠近感(遠近表現)や強弱変化の演出を簡単に行うことができる。
【0011】
また、それらの演出を視聴者により分かりやすく呈示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の嗅覚情報制御装置及び香りシステムの全体を示す概念図。
【図2】本発明の嗅覚情報制御装置及び香り発生システムの構成図。
【図3】香料のパルス射出説明図。
【図4】香料のパルス射出を行うバブルジェット(登録商標)方式のヘッドの動作概念図。
【図5】香料をパルス射出するヘッドの概念図。
【図6】香りのパルス射出装置の一例を示す図(一部破断図)。
【図7】図6に示す装置のA―A断面図。
【図8】図7の矢印B方向から見た吐出口配列の拡大図。
【図9】香り配列の形成フローチャート。
【図10】仮想空間内のアバターの移動による香り配列形成の説明図。
【図11】仮想空間内のアバターの動作による香り配列形成の説明図。
【図12】動画による香り配列形成の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の嗅覚情報制御装置、嗅覚情報制御方法及び香り発生システムについて、図面を参照しながら、詳細に説明する。
<全体構成>
図1は、本発明の嗅覚情報制御装置及び香りシステムの全体を示す概念図である。
【0014】
100は、本発明の嗅覚情報制御装置を構成する、PC(パーソナルコンピューター)あるいはサーバー等の情報処理装置で、視聴覚情報データと連動或いは同期させるための嗅覚情報データの制御を行うと共に映像表示部101に仮想空間データや動画データを提供して、仮想空間或いは動画を表示する。また、香り発生装置200に香りのパルス射出を行わせる制御情報(制御信号)を発信する。103は、仮想空間内におけるユーザー10の分身となるキャラクター(以下、「アバター」という。)の移動または動作等を操作することができる入力手段である。
【0015】
複数の香りをパルス状に射出する香り発生装置200は、ディスプレイ等の映像表示部101に表示された仮想空間内のアバターの移動あるいは動作に連動してあるいは同期して、情報処理装置100からの制御情報に基づいて、射出される香りに遠近感或いは強弱感を与えることにより、ユーザー10に、香りを演出する。
【0016】
また、映像表示部101において、風景等の動画データを表示する場合は、当該動画データに同期した複数の香りを射出することができる。
【0017】
なお、情報処理部は、スピーカーなどの音声発生手段(図示せず)も備えており、視聴覚情報データあるいは聴覚情報データを提供することも可能となっている。この場合においても、聴覚情報データと連動或いは同期させて香の強弱感或いは遠近感を演出させることができる。
【0018】
図2は、本発明の嗅覚情報制御装置及び香り発生システム並びに嗅覚情報制御方法を実施する装置の構成図で、情報処理装置100は、通常のPCと同様、メモリ106、制御部(演算部)107、ユーザインターフェイス108などから構成されている。情報処理装置は、更にマウス、キーボード等の入力手段103、プリンターやモニターなどの出力
104、後述する香り配列を形成するためのプログラムが記憶されたプログラム記憶装置105等を備えている。
【0019】
110は、仮想空間を構成する情報(仮想空間の大きさ、構造、仮想オブジェクトの形状、テクスチャ、位置など)データや動画データが記憶された、視聴覚情報データ記憶手段としての視聴覚情報記憶部である。
【0020】
120は、香り演出するためのデータが記憶された香り演出情報記憶部で、上記仮想空間の香り発生源或いは動画の香り発生源と関係づけられた香りの情報データ、例えば、香りの種類、香りの強さ等の香りの演出のための情報データが記憶されている。
【0021】
これらの視聴覚情報データや香り演出情報データは、例えば、インターネット等のネットワークを通じて取得することも、勿論、可能である。
【0022】
香り発生装置200は、香料タンク270、香りをパルス射出する香り射出部210及び制御部260などを備えている。以下に香り発生装置を詳説する。
<香り発生装置>
本発明の実施に当たり、香り発生装置は、きめ細かい香料射出の制御が可能で、また、香料タンクの入れ替えにより、多種の香料の射出が可能であるものが好ましい。
【0023】
図3は、図1の香り発生装置(デバイス)200から吐出されるパルス状の香り201を発生させる発生手段の作動を示す概要図で、202は香料が微小時間、流動する空気中に射出される幅(パルス幅)を示し、203はパルス間隔、204は香料のパルス射出をそれぞれ示す。
【0024】
本発明においては、香料を空気中にパルス状に射出する場合、空気を流動させる必要がある。
空気の流動速度に特に制約は無いが、香りは嗅覚器官で感じるから、通常、肌に心地よいと言われるそよ風(0.8m/秒)程度から2.0m/秒程度が好ましい。風速を大きくしすぎると、香りが攪乱され、空気中に混合されるために、パルス状に射出する効果は失われてしまう。
【0025】
空気としては自然状態の大気が用いられるが、本発明を用いる状況などによっては、例えば、酸素濃度を高めた空気でも良い。また、空気の湿度や温度を調整しても良い。
【0026】
パルス幅(射出時間)は、流動空気の流速及びパルス間隔とも関係するが、0.01〜0.5秒が好ましい。0.01秒未満だと、香料の射出量が少なく、香りを感じない場合もある。また、0.5秒を超えても香りの感受に与える影響は少ないので、香料が無駄になる可能性がある。
【0027】
本発明の実施例においては、後述するようにパルス幅を0.1秒に設定している。
【0028】
パルス間隔(射出間隔)は、人間の呼吸に依存する。人間の呼吸において、香りを嗅覚で感じるのは、空気を吸い込む時(吸気時)である。
【0029】
人間の呼吸は、健常者の安静時の平均呼吸サイクルは5秒であるから、5秒間隔で吸気時に感知できるように香りのパルス射出を行うと、呼吸センサを用いなくても、香りを感受することができることになる。ただし、健常者の安静時における単位時間当たりの呼吸の回数にも、個人差があるので、香りのパルス射出を行う間隔を調整できる調整手段を設けて、自分の呼吸のタイミングにあった間隔に調整するのが好ましい。また、そのような調整手段を備えていると、健常者の安静時以外にも利用することが可能となる。
【0030】
複数種類の香りを同時(ほぼ同時)に、当該複数の種類の香りを、混合された香りではなく、個々の香りとして感受させるためには、一回の吸気期間中に、複数種類の香料を香料毎に所定のパルス間隔をおいて、別々にパルス射出する必要がある。健常者の安静時における呼吸における吸気と呼気の比率は1:1.5であるから、呼吸に占める吸気の平均時間は2秒となる。吸気において、香りを感じる区間は、吸気の開始から終わりのうちの開始から三分の二の区間であるから、その時間は1.33秒となる。このため、健常者の安静時において、吸気の期間に感受できる香料の種類は、1〜2種類が好ましく、例えば、3種類の香料を、1.3秒の間に別々にパルス射出しても、3種類の香りを感受するのは難しい。
【0031】
しかし、ゆっくりと大きく呼吸をするいわゆる深呼吸の場合は、呼吸サイクルは10秒前後の長さとなり、吸気において香りを感じる区間も長くなるので、3種類以上の香料を感受することが可能となる。
【0032】
健常者の安静時における単位時間当たりの呼吸の回数は、多少の個人差があるので、2種類の香料を別々にパルス射出する場合、前のパルス射出と後のパルス射出との間隔は、0.8〜1.4秒の範囲で調整可能とするのが好ましい。
本発明の実施例においては、パルス間隔を1.3秒に設定している。
【0033】
更に、本発明は、健常者の安静時以外にも利用することができ、その場合は、例えば早い呼吸でも対応可能なように、0.6~1.4秒の範囲で調整可能とするのが好ましい。
【0034】
本発明の装置としては、空気を流動させる手段と香料をパルス射出できるものであればどのようなタイプのデバイスでも実施可能である。
【0035】
空気を流動させる手段としては、構造が簡単で操作が容易な送風機(ファン)が好ましいが、吸引装置など他の手段で空気を流動させてもよい。静寂な環境での使用が求められる場合は、送風機から発生する音はできるだけ小さいものが好ましい。
【0036】
香料をパルス射出させる手段としては、インクジェットプリンタで用いられているオンデマンド方式のバブルジェット(登録商標)方式のヘッドが好ましい。このバブルジェット(登録商標)方式のヘッドは図4に示すように、香料をヘッドユニット211a内の香料室212に導き、ヘッド壁面のヒータ213を加熱して(214はヒータ加熱動作を表す)ヘッド内の香料を沸騰させて気泡(バブル)215を発生させ、気泡の生成により生じるヘッド内の圧力の急上昇を利用して、香料を液滴216の状態で空気中に吐出(射出)するものである。吐出される香料の液滴は極めて微細なため、100%気化する。このバブルジェット(登録商標)方式のヘッドは、吐出される香料の量を数ピコリットル単位で制御することができるので、吐出される香料の量を調整することにより、容易に香りの濃度を調節することができる。また、パルス間隔も0.1秒の単位で調整できるので、制御が容易となる。
【0037】
なお、香料を吐出させる手段としては、加熱手段に代えて、圧電素子を用いたインクジェットヘッドを用いても良い。
また、インクジェット手段以外の香料を流動する空気中に噴霧する手段であって、本発明のパルス射出が可能であれば、どのような手段でも本発明を実施することができる。
【0038】
図5は、香りのパルス射出を行うのに好適な香りパルス射出用吐出ヘッドの一例を示す(なお、図5において、一番右側の液路は、液路を構成している仕切りが外されてヒータ213が露出している状態を示している)。パルス射出用吐出ヘッド211は、香料タンク270からの香料が液路217を通る際にヒータ213に加熱されて、香料吐出口220から液滴216となって外部に射出される。
【0039】
パルス射出用吐出ヘッド211の内部にある液路217は複数設けられており、また、各液路217にそれぞれヒータ213が設けられ、各液路毎にパルス射出のためのオンオフ制御をすることが可能となっている。
【0040】
各香料吐出口220は同じ大きさの口径を有している。ヒータ213の電気を供給するスイッチ(図示せず)がオンされると、香料は吐出口より吐出されるので、例えば、2つの液路のヒータを同時にオンすると、2つの吐出口から香料が吐出する。また、4つの液路のヒータを同時にオンすると、4つの吐出口から香料が吐出する。このように、各液路のヒータのうちいくつかの数のヒータをオンするかにより、流動する空気中への香料の射出量を調整することができる。即ち、同時にオンにするヒータの数を調整することにより、1回のパルスで流動する空気中に射出する香料の量を増加あるいは減少させること可能となる。
【0041】
図6は、本発明を実施する香り発生装置200の一例を示し、図7は、図6のパルス射出用吐出ヘッド211及び風洞223を含むA―A断面を、図8は図7のB−B断面から見たパルス射出用吐出ヘッド211の香料吐出口の配列を、それぞれ示している。
【0042】
240は送風機(ファン)で、風速は0.8〜2.0m/秒の範囲で0.1m/秒の単位で調整可能であり、221は香り吐出口である。223は風洞で、送風機240から送風された流動空気中(矢印C)に、香りパルス射出用ヘッド211の香料吐出口220(図5)から香料がパルス射出されて微細な液滴となって(噴霧されて)混入され、香りとなって香り吐出口221より吐出される。情報処理装置100は、香り発生装置200の香りパルス射出用吐出ヘッド211から射出される香料(香り)の射出パルス幅、パルス間隔及び送風機の回転数などを制御する。
【0043】
なお、図7には、香料タンク270が、270aと270bの二つを備えた例を示している。
【0044】
また、図8の例では、香料吐出口は、2つのブロック224及び225に分かれている。各吐出ブロックは、ブロック毎に異なる香料が吐出可能となっている。各吐出ブロックは、128個の吐出口を有している。例えば、吐出ブロック224は、吐出口224−1、224−2、・・・224−127、224−128の吐出口を備えている。同様に吐出ブロック225も、128個の吐出口を備えている。これら128個の吐出口を有する吐出ブロックにおいて、各吐出口に対応するヒータを同時にオンする数を調整することにより、各香料の種類につき、1から128までの段階で香料吐出量を調節することが可能となる。
【0045】
例えば、ある香料の吐出ヘッドのヒータを10個同時にオンとして吐出口から吐出させる場合と、同じ香料につき、吐出ヘッドのヒータを20個同時にオンさせる場合とでは、前者に対して後者は、2倍の吐出量となる。なお、ある香料が供給される液路のどのヒータもオンにしない場合は、その香料の吐出量は0となる。
【0046】
勿論、香料タンクの数、大きさ、吐出ブロックの数、あるいは、各吐出ブロックが備える吐出口の数は、必要に応じて増減できることは、当業者ならば、自明のことである。
【0047】
例えば、複数の香料のうち、ある香料は大きなタンクに貯蔵し、対応する吐出ヘッドの吐出口の数も256個とし、他の香料は小さなタンクに貯蔵して、対応する吐出ヘッドの吐出口を128個あるいは64個とすることができる。
【0048】
また、3種類の香料を吐出する場合は、香料タンク及び吐出ブロックを3個以上設ければよく、更に多くの香料を吐出する場合は、吐出する香料の数と同じか、それ以上の個数の香料タンク及び吐出ブロックを設ければよい。また、図7、8に示す例おいて、一つの香料タンクと一つの吐出ブロックのみを用いて、1種類の香料のみを吐出させることも可能である。
【0049】
本発明に用いられる香料は、視聴覚情報に適合する嗅覚情報を提供するものであって、バブルジェット(登録商標)方式のヘッドでパルス射出できるものであれば、天然香料、人工香料を問わず、あらゆる種類の香料が使用可能である。
【0050】
例えば、メロン、イチゴ、レモンなど、複数の果実畑の仮想空間に適合する嗅覚情報を呈示する場合は、それぞれ、メロン、イチゴ、レモンなどの香料(天然または人工)を利用することができる。
【0051】
また、動画中の風景とは直接関係しない香料、例えば、渚の光景に、ラベンダーやジャスミンの香りを呈示して、癒しの雰囲気を創出することもできる。
【0052】
また、聴覚情報(例えば好みの音楽)と香り演出を組み合わせた癒しの雰囲気を創出することも、勿論可能である。
【0053】
また、一つの香料を単独で、あるいは複数の香料を混合しても使用可能である。
【0054】
また、香料は、(天然)香料エキスそのものを用いても良いし、水やエタノールを加えた香料水として用いても良い。
【0055】
このような香り発生装置を用いることにより、香りの遠近感、強弱感等についてきめ細かい演出が可能となる。
【0056】
次に、視聴覚データと対応した、香りの遠近感、強弱感等のきめの細かい香りの演出を実施するための香りの射出ルールと香り配列について順に説明する。
<本発明における香りの射出ルール>
香り配列は、香りの射出ルールに従って、一又は複数の香料について、射出する香料の種類、射出する香料の量及び射出する香料の種類の順を規定した香料射出の制御法である。
【0057】
ここで射出ルールとは、視聴覚情報データに対応させて、複数の香りを正確かつ分かりやすくユーザーに伝えるための、香料の射出の態様(仕様)を示すもので、以下の項目(i)〜(iv)を含むものである。
【0058】
(i) 微小幅のパルスを一定の時間間隔で射出する。
(ii) 複数の香料の場合は、1種類毎にパルス射出する。
(iii) 1回の射出の香料の量の増減は、N倍系列とする(Nは1以上の数)。
(iv) 香りの強さの変化は香りの射出量と射出頻度を変えることで行う。
【0059】
上記のルール項目の具体的な数値などは、いずれも、ユーザーが、適宜選定できるものであるが、本発明の実施の例においては、次の態様を採用した;
パルスの微小幅は、少ない量で確実に香りが認識できる0.1秒とする。
【0060】
パルス射出間隔は、上述したように、順応や残り香の影響を少なくする観点から、1.3秒とする。
【0061】
複数の香料を用いる場合は、ユーザーに香料の違いを確実に認識させるために、1種類毎にパルス射出させる。
【0062】
1回の射出の香料の増減については、人の感覚強度は、物理的刺激の対数に比例することが知られており(川崎通昭、中島基貴、外池光雄:におい物質の特性と分析評価、フレグランスジャーナル社、2003年)、嗅覚においても同様の傾向を示すことが知られていることから、香りの強弱は、N倍系列(Nは1以上の数)を採用する。
【0063】
香りの強さの変化をより効果的な演出を可能とするために、香りの強さの変化は量と香り射出の頻度を同時に変えるのが好ましい。すなわち、香りの強さを1から2に変化させる場合は、強さ1の場合は、射出量1のパルス射出を一回行うのに対し、強さ2に変化させる場合は、射出量を2とし、かつ、射出頻度として、2回行うものである。このルールにより、単に1回の射出量を1から2に変化させる場合に比較して、射出量を2としかつ2回繰り返されることにより、ユーザーは香りが強くなったことを確実に認識することができる。
<香り配列>
次に、上記香りの射出ルールに基づく香り配列の形成について説明する。
【0064】
香り配列は、香りの種類と香りの強さを規定した単位データ(以下、「ノード」という。)を用いて形成され、このノードを操作することにより、様々な状況に対して、簡単な操作で対応することが可能となる。なお、香りの強さは整数で示されている。
【0065】
「香りの強さ1」とは、ユーザーがある香りを嗅いだとき、その香りの種類が判別できる程度(最小限)の香りの強さを示すものである。「香りの強さ1」が上述した香料の吐出口220のうちの何個の吐出口から同時に吐出させるかは、香料の種類、香料の濃度などにより異なる。例えば、ラベンダーの場合、23個の吐出口から同時に香料をパルス射出するとユーザーはラベンダーの香りを判別できる場合、23個の吐出口から射出されるラベンダーの香りの強さが、「ラベンダーの香りの強さ1」となる。
【0066】
香りの強弱制御はN倍系列で行われるが、ここで、「強さ1」を「強さ2」に変化させる場合、「強さ2」の香料の射出量は「強さ1」の香料の射出量のN倍の射出量となる。上記のラベンダーの場合において、Nを例えば、2とすると、「強さ2」の場合のラベンダー香料の射出量は、23×2=46の吐出口から同時に射出される量となる。なお、Nは整数に限られるものではなく、例えば、上記の例において、Nが1.2の場合、「強さ2」の場合の射出量は、23×1.2≒28個の吐出口から同時に射出される量となる。
【0067】
以下の説明においては、香料の種類と香りの強さを規定したノードの「花の香り」と「香りの強さ 1」を「花の香り 1」と示す。なお、ここでは「花の香り」の用語を用いているが、より具体的に「薔薇の香り」あるいは「梅の花の香り」等の花の具体的な種類とすることができることは、明らかなことである。
【0068】
図9は、ノードを用いた香り配列の形成方法を示すフローチャートである。
【0069】
まず、図2の情報処理装置100はプログラム記憶装置105から本発明の香り演出を実行するためのプログラムを取り込む。
【0070】
図9のステップS501では、情報処理装置100は視聴覚情報記憶部110からの視聴覚情報データを取得し、映像表示部101に仮想空間を表示する。また、香り演出情報記憶部120から香り演出情報を取得する。香り演出情報データは、香料の種類と香りの強さを規定するノードなどである。
【0071】
ステップS502で、入力手段103により例えばアバターが移動すると、情報処理装置100は、仮想空間上におけるアバターの位置を認識する。そして、情報処理装置内における処理データにより、映像表示部101に仮想空間(画像)が表示される。
【0072】
ステップS510ではアバターが、香り発生源との関係に基づく香りのある仮想空間領域(エリア)に進入したか否かを判断する。ここで、「進入した」とは、新たに香りのある領域に進入した場合、または、同じ種類の香りの場合は、その香りの強さが変化した場合を示すものである。同じ香りの領域内での移動は、「進入した」ことにはならない。
【0073】
香りがある仮想空間領域に進入した場合は、ステップS511で、当該領域における香りの種類が、既に香り配列に含まれているか否かが判断される。既に香り配列に含まれている場合はステップS512で、当該領域の強さと同じ強さのノードに書き換え、ステップS513に進む。既にあった強さと同じ場合でも、書き換えを行う。
【0074】
S511で、香り配列に当該香りの種類が含まれていない場合は、S513に進む。
S513では、当該香りの種類と当該領域の香りの強さを示すノードが香り配列の先頭に追加される。例えば、当該領域の香りの強さが強さ1の場合は、当該香りの種類と香り1のノードが香りの配列の先頭に追加される。また、当該領域の香りの強さが強さ2の場合は、香り配列に強さ2のノードの数が、強さと同じ数となるように追加され、合計強さ2のノードが二つ香り配列に含まれる。更に、強さ3の場合は、強さ3のノードが強さと同じになるように追加される。
【0075】
このように香りの種類或いは強さに変化がある場合は、その変化した香りが、変化後、最初にパルス射出されるので、ユーザーは変化が生じたことを視覚情報に合わせて容易に認識できるので、香りの演出が視聴者により分かりやすく呈示できることになる。
【0076】
なお、アバターが複数の領域にほぼ同時に進入する場合は、アバターが、時間的に最も遅く進入した領域の香りの情報(種類及び強さ)が香り配列の先頭に追加される。即ち、香り配列の先頭に位置するのは、最後に進入したエリアの香り情報となる。
【0077】
ステップS520では、アバターが香りのある領域から出たか否かが判断される。香りがある領域から出ない場合は、ステップS530に進む。
【0078】
また、香りのある領域から出た場合は、ステップS521で当該領域の強さと同じ強さのノードに書き換え、ステップS513とは反対に、香り配列の香りノードを削除し、ステップS530に進む。
【0079】
S530では、前回のパルス射出から一定時間、例えば1.3秒経過したか否かが判断される。1.3秒経過していなければ、パルス射出情報を香り発生装置200に送ることなく、S502に戻る。
【0080】
S530で、前回の香料のパルス射出から1.3秒以上経過した場合は、香り配列の最初に位置する香りノードに従って、香り発生装置に香りノードにある種類で強さのパルス射出を行う情報を送信する。
【0081】
送信されたノードは香り配列の最後尾に移動させ、再びステップS502に戻る。
【0082】
以後、上述したステップを繰り返す。
【実施例1】
【0083】
実施例1として、 図10(a)〜(g)により、仮想空間を移動するアバターを用いた香りの演出を示す。
【0084】
仮想空間には、花の香りがする仮想空間領域540、541と草原の香りがする仮想空間領域544とが呈示されている。花の香りは、花の香り発生源543から遠い領域であって、花の香りの弱いドーナッツ状領域である「花の香り1」、花の香り発生源に近く、花の香りが強い円形領域「花の香り2」が呈示されている。また、草原の香りであって、全体的に弱い香りの領域「草原の香り1」が呈示されている。
【0085】
図10(a)は、図9のS502の状態を示し、ユーザーの仮想空間内の分身であるアバター545は、香りのない仮想空間領域に位置しているので、香り配列550には、香りの情報(ノード)は形成されていない。なお、香り配列550は、映像表示部101に表示させる必要はないが、必要に応じて、映像表示部101に表示可能としてもよい。
【0086】
図10(b)は、ユーザーが入力手段を用いて、アバターを移動させて花の香り1の仮想空間領域に位置させた状態を示すものである。
【0087】
そうすると、S510により、香りのある領域に進入したと判断され、S511に進み、香り配列には、まだ当該花の香りは含まれていないので、S513に進み、「花の香り 1」のノード560が香り配列550の先頭に追加される。次にステップS520に進み、アバターが仮想空間領域における花の香り1のエリアに位置していればS530に進む。
【0088】
S530では、香料の射出はこれまで行われていないから、前回の射出から1.3秒以上経過しているので、S531に進み、強さ1の花の香料を射出させるパルス射出制御情報が、情報処理装置100から香り発生装置200に送られ、香り発生装置から、強さ1の花の香料が0.1秒のパルス幅で射出される。
【0089】
次に、ステップ532で、射出された「花の香り 1」のノードは、配列表の最後尾に移動するが、香り配列にはノードは一つしかないので、そのままの位置を維持する。
【0090】
アバターが、このままの「花の香り 1」の領域(エリア)に留まる場合は、1.3秒毎に、「花の香り 1」のパルス射出制御情報が香り発生装置200に送信され、強さ1の「花の香り」のパルス射出される。すなわち、図9のフローチャートに基づくと、S502→S510→S511→S512→S513→S520→S530→S531→S532→S502のステップが繰り返される。
【0091】
図10(c)は、アバターが「花の香り2」の領域に進んだ場合を示している。
S510で、香りのある領域に進んだことからS511に進む。「花の香り」は、既に香り配列に含まれているから、S512に進む。アバターは「花の香り 2」の領域に位置しているから、ノード561が「花の香り 2」に書き換えられる。
【0092】
射出ルール(iv)に基づき、「香りの強さの変化は香りの射出量と射出頻度を変えることで行う。」ので、S513では、「花の香り 2」のノードが先頭に追加される。
【0093】
アバターが「花の香り2」の領域に留まっている場合、S530に進み、前回の射出から、1.3秒以上経過している場合は、「花の香り 2」のノードのパルス射出制御情報が香り発生装置に送信され、「花の香り」が強さ2(強さ1の2倍の射出量)でパルス射出される。パルス射出されたノードは香り配列の最後尾に移動する。この場合は、香り配列の二つのノードは同じなので、移動前後での実質的変化は無い。アバターが「花の香り2」の領域に留まっている場合は、1.3秒毎に強さ2の「花の香り」がパルス射出される。
【0094】
図10(d)は、アバターが更に移動して「花の香り 2」の仮想空間領域541であって、かつ、「草原の香り 1」の仮想空間領域544に進入する場合である。
【0095】
ここで「草原の香り 1」は、香り配列には含まれていない香りであるから、S513に進み、強さ1の草原の香りのノードが、香り配列の先頭に追加される。この時点における香り配列550は図10(d)に示すノードの配列になっている。
【0096】
アバターがこのままの位置に留まっている場合は、S530に進み、前回のパルス射出から1.3秒以上経過した場合は、S531に進んで、「草原の香り 1」のノードの情報が、処理装置から香り発生装置に送信され、まず強さ1の「草原の香り」がパルス射出される。これにより、ユーザーは、アバターの移動することにより、最初に草原の香りを認識できるので、香りが変化したことを認識することができる。ついで、香り配列の「草原の香り 1」のノードは、香り配列の最後尾に移動する。この時点における香り配列は、「花の香り 2」「花の香り 2」「草原の香り 1」の順になっている。
【0097】
アバターが依然として、同じ場所に留まっていれば、再びS531のステップで、香り配列の先頭にある「花の香り 2」のノードの制御情報が、情報処理装置100から香り発生装置200に送られ、強度2の「花の香り」がパルス射出される。パルス射出された「花の香り 2」のノードは、香り配列の最後尾に移動する。この時点における香り配列550は、「花の香り 2」「草原の香り 1」「花の香り 2」の順になっている。
【0098】
アバターがそのまま同じ領域内に留まっている場合は、次に「草原の香り 1」「花の香り 2」「花の香り 2」の順となり、以後、1.3秒毎に「草原1→花2→花2→草原1→花2→花2→草原1→・・・を繰り返す。
【0099】
図10(e)はアバターが「花の香り2」の領域から「花の香り1」の領域に移動した仮想空間を示している。この場合は、S520からS521に進み、「花の香り 2」のノードから「花の香り 1」のノードに書き換えられ、S522で、二つのノードのうちの一つが削除される。その結果、香り配列は「草原の香り 1」562と「花の香り 1」560のノードとなり、以下のこの香り配列の情報に基づいて、香り発生装置から、それぞれの香料がパルス射出される。
【0100】
図10(f)は、アバターが移動して、「花の香り 1」の仮想空間からでて、「草原の香り 1」のみの空間に移動した場合である。この場合も、S520からS521、S522に進み、「花の香り 1」のノードが香り配列から削除される。従って、香り配列には「草原の香り1」のノードのみが残り、この香り配列情報に基づいて、香り発生装置からは、強さ1の「草原の香り」が1.3秒ごとにパルス射出される。
【0101】
図10(g)は、アバターが香りがある仮想空間領域から移動して、香りがない仮想空間領域に位置しているので、香り配列にはノードはなく、従って、香り発生装置から、香料が射出されることはない。
【0102】
なお、上記の例において、アバターが図10(e)→図10(d)に移動する場合、図10(d)の香り配列は、「花の香り 2」(先頭)、「草原の香り 1」「花の香り 2」の順となる。
【実施例2】
【0103】
上述した図10(a)〜(g)の実施例1は、香りの種類或いは香りの強さが変化する仮想空間領域内でアバターの移動により香りの演出を行ったが、アバターの動作(表情・色・大きさ等)により、香りの種類及び強さを変化させた仮想空間領域を表示して、当該仮想空間領域の香りの種類と強さを示すノードを形成し、香りを演出させることも可能である。
【0104】
図11は、アバター545の動作により、仮想空間領域内の香り発生源を変化させる実施例2を示す。
【0105】
図11(a)は、アバターは、まだフルーツ皿に盛られたフルーツを食べていないので、香り配列550には、ノードは含まれていない。
【0106】
図11(b)は、アバターがメロンを食べたので、アバターの周囲にメロンの香りの空間領域546が形成され、メロンの香り1のノード563を含む香り配列が形成される。
【0107】
図11(c)は、アバターがぶどうも食べたので、ぶどうの香りの領域547がメロンの香りの領域546と重複して形成され、ぶどうの香りとメロンの香りが交互に香り発生装置から射出される。
【0108】
この例の場合、例えば、アバターがメロンの皮548をフルーツ皿から除くことにより、メロンの香りのノード563を香り配列から削除して、ぶどうの香りのみ継続してパルス射出させることができる。
【0109】
また、アバターを、喜怒哀楽を示す表情に変化させて、アバターの表情に適合した香り発生源を有する仮想空間領域とすることも可能である。
【実施例3】
【0110】
上述した例は、聴視覚情報を映像表示部上で仮想空間として表示させたものであるが、本発明の<射出ルール>及び<香り配列>は動画においても非常に有効なものである。
【0111】
図12は動画における一場面を示したものである。
【0112】
動画の場合は、香りの演出は、予め、動画の再生時間(動画の再生開始時間の経過時間)と香りの種類及び強さとの関係をグラフ化(数値化)しておく。好ましくは、これらのグラフを必要に応じて画面上に可視化できるようにしておくと、操作性を一層向上させることができる。中央の線570は現在の再生時間を示している。
【0113】
図12において、例えば、画像の風景が、画像の手前から画像の奥に向かって動いている仮想情景(シーン)を写しているとすると、映像の再生時間を横軸に、例えば、梅の花の香り571及び切り花の香り572を縦軸にして数値化(グラフ化)されているので、動画の変化(時間経過)に同期して、香りの種類及び強さが変化する。このグラフ上の数値を、香り配列に変換して、1.3秒毎に情報処理装置100から香り発生装置200にパルス射出制御情報を送信することにより、上述したアバターを用いた仮想空間の場合と同様の香りの演出が可能となる。
【0114】
図12の場合、中央線570上の香りは、グラフ上で、梅の花の香りが強さ3、切り花の香りが強さ1.5であるから、「梅の花 3」「切り花 2」と近似して、上述したアバターを利用した仮想空間の例に適応させると、香り配列では、「梅の花の香り 3」、「梅の花の香り 3」、「梅の花の香り 3」、「切り花 2」、「切り花 2」の順で、1.3秒毎に、香りがパルス射出される。動画の画面上のシーンで、梅の花の方向にどんどん近づいていくと、梅の花の香りが段々強まり「梅の花の香り 4」のノードになり、他方、切り花の香りは弱くなり、「切り花 1」となる。以下、梅の花の香りと切り花の香りは、動画におけるシーンの変化に基づいて、変化させることができる。
【0115】
上記各実施例から明らかなように、本発明における香り配列は汎用性を有し、仮想空間においてもまた動画においても対応可能である。
【0116】
また仮想空間を移動または動作するアバターを利用することにより、ユーザーの好みに応じて多様な香りの演出を分かりやすく呈示することができる。
【0117】
更に、視聴覚データに連動する或いは同期する香りの遠近感(遠近表現)や強弱感を演出するマルチメディアデータの構築を容易に図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明は、視聴覚情報と香りの遠近感や強弱感を演出することができる嗅覚情報とを利用したマルチメディア産業等において利用可能である。
【符号の説明】
【0119】
100 情報処理装置(嗅覚情報制御装置)
101 映像表示部
103 入力手段
105 プログラム記憶装置
107 制御部(演算部)
110 視聴覚情報記憶部
120 香り演出情報記憶部
200 香り発生装置
203 射出パルス幅
204 射出パルス間隔
210 香り射出部
211 パルス射出用ヘッド
213 ヒータト
220 香料吐出口
221 香り吐出口
240 送風機(ファン)
270、270a、270b 香料タンク
540、541、542、544、546、547 仮想空間領域(エリア)
543 香り発生源
550 香り配列
560〜564 ノード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
視聴覚情報データを記憶している記憶手段と、当該記憶手段から取得した視聴覚情報データに基づいて仮想空間を提供する手段とを有し、流動する空気中に複数種類の香料を微小時間、香料毎に所定のパルス間隔で別々にパルス射出する香り発生装置に香りのパルス射出制御情報を送信する嗅覚情報制御装置であって、
前記香りのパルス射出制御情報は、前記記憶手段から取得した前記視聴覚情報データと前記仮想空間における香り発生源との関係に基づいて形成された、香りの種類、香りの射出量及び香りの種類の射出順を定めた香り配列に基づくものであることを特徴とする嗅覚情報制御装置。
【請求項2】
前記仮想空間内でアバターを移動させる手段を有し、前記香り配列は、前記アバターの前記仮想空間の位置に基づいて形成されることを特徴とする請求項1記載の嗅覚情報制御装置。
【請求項3】
前記アバターが仮想空間を移動して、当該仮想空間は新しい種類の香り発生源を有する場合は、当該新しい香りの種類が前記香り配列の最初に位置するように前記香り配列が形成されることを特徴とする請求項2記載の嗅覚情報制御装置。
【請求項4】
前記アバターが、所定の時間以上、同じ仮想空間内に留まっている場合は、前記香り配列と同じ香り配列が繰り返し形成されることを特徴とする請求項2または3記載の嗅覚情報制御装置。
【請求項5】
前記仮想空間内でアバターを動作させる手段を有し、前記香り配列は、前記アバターの前記仮想空間での動作に基づいて形成されることを特徴とする請求項1記載の嗅覚情報制御装置。
【請求項6】
前記視聴覚情報データは動的視聴覚情報データであり、前記香り配列は、前記動的視聴覚情報データと前記動画における香り発生源との関係に基づいて形成された、香の種類、香りの射出量及び香りの種類の射出順を定めた香り配列であることを特徴とする請求項1記載の嗅覚情報制御装置。
【請求項7】
視聴覚情報データを記憶している記憶手段と、当該記憶手段から取得した視聴覚情報データに基づいて仮想空間を提供する手段とを有し、前記視聴覚情報データに基づいて、流動する空気中に複数種類の香料を微小時間、香料毎に所定のパルス間隔で別々にパルス射出する香り発生装置に香りのパルス射出制御情報を送信する嗅覚情報制御装置における嗅覚情報制御方法であって、
前記香りのパルス射出制御情報は、前記記憶手段から取得した前記視聴覚情報データと前記仮想空間における香り発生源との関係に基づいて形成された、香りの種類、香りの射出量及び香りの種類の射出順を定めた香り配列に基づくものであることを特徴とする嗅覚情報制御方法。
【請求項8】
視聴覚情報データを記憶している記憶手段と、当該記憶手段から取得した視聴覚情報データに基づいて仮想空間を提供する手段と、流動する空気中に複数種類の香料を微小時間、香料毎に所定のパルス間隔で別々にパルス射出する香り発生装置と、前記記憶手段から取得した前記視聴覚情報データに基づいて、前記香り発生装置に香りのパルス射出制御情報を送信する嗅覚情報制御装置とを備えた、香り発生システムであって、
前記香りのパルス射出制御情報は、前記記憶手段から取得した前記視聴覚情報データと前記仮想空間における香り発生源との関係に基づいて形成された、香りの種類、香りの射出量及び香りの種類の射出順を定めた香り配列に基づくものであることを特徴とする香り発生システム。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図2】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−215462(P2011−215462A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−84970(P2010−84970)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成21年12月4日 日本バーチャルリアリティ学会発行の「日本バーチャルリアリティ学会 サイバースペースと仮想都市研究委員会 第12回シンポジウム cyberactive challenge」に発表
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、総務省、戦略的情報通信研究開発推進制度(SCOPE)委託研究、「香り発生デバイスの開発と嗅覚モデルに基づいた香り呈示手法の研究開発」産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(899000079)学校法人慶應義塾 (742)