噛合チェーン式進退作動装置
【課題】装置内スペースを有効利用し、チェーン駆動に最適な装置構成を選択して円滑に噛合チェーンを駆動する噛合チェーン式進退作動装置を提供すること。
【解決手段】チェーン剛直化部分１１０Ｇの両側からチェーン剛直化部分１１０Ｇを挟んで支持する一対の平面状チェーン支持面１３２ＡＳ、１３２ＡＳが、相互に噛み外れた一対の噛合チェーン１１０、１１０のチェーン噛み外れ部分１１０Ｈ、１１０Ｈをそれぞれガイドする一対の曲線状ガイド面１３２ＢＳ、１３２ＢＳのそれぞれに連続して繋がった状態でチェーンガイド溝１３１、１３１のガイド溝面１３２、１３２の一部を構成している噛合チェーン式進退作動装置１００。
【解決手段】チェーン剛直化部分１１０Ｇの両側からチェーン剛直化部分１１０Ｇを挟んで支持する一対の平面状チェーン支持面１３２ＡＳ、１３２ＡＳが、相互に噛み外れた一対の噛合チェーン１１０、１１０のチェーン噛み外れ部分１１０Ｈ、１１０Ｈをそれぞれガイドする一対の曲線状ガイド面１３２ＢＳ、１３２ＢＳのそれぞれに連続して繋がった状態でチェーンガイド溝１３１、１３１のガイド溝面１３２、１３２の一部を構成している噛合チェーン式進退作動装置１００。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、各種製造分野の製造設備、運輸分野の移送設備、医療福祉分野の介護設備、芸術分野の舞台設備などに用いてワークなどの被駆動体を設置面に対して平行に進退動させる駆動装置であって、特に、噛合チェーンを進退動作の駆動媒体として採用した噛合チェーン式進退作動装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、駆動装置として、相互に噛み合って一体的に昇降する一対の昇降駆動用噛合チェーンを用いて重量物などのワークを昇降移動させる噛合チェーン式昇降装置がある（例えば、特許文献１参照。）。
【０００３】
この従来の噛合チェーン式昇降装置に用いられる一対の昇降駆動用噛合チェーンは、一対の昇降駆動用噛合チェーンの両方にそれぞれ配置されて相互に対向する一対の昇降用スプロケットにより駆動されるとともにチェーンガイドにより誘導されるように設計されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開２００９−２５５９９７号公報（特許請求の範囲、図３）
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかしながら、図１３に示すように、上述の駆動用スプロケット８４０およびチェーン誘導プレート８３０を併用して噛合チェーン８１０を駆動した場合、駆動用スプロケット８２０の外形に合わせてチェーン誘導プレート８３０のガイド面を円弧に限定してしまうとともに噛合チェーン８１０の噛合半径すなわち噛合チェーン８１０のうち駆動用スプロケット８２０に係合した係合部分が描く円弧状軌道の半径を駆動用スプロケット８２０の歯数に応じて限定してしまうため、噛合チェーン８１０の係合部分が占めるスペースを小さくして装置内スペースを有効利用するとともに駆動用スプロケット８２０および噛合チェーン８１０のそれぞれの構成の選択枝を増やした状態でチェーン駆動に最適な装置構成を選択して円滑に噛合チェーンを駆動することを困難にしてしまうという問題点があった。
【０００６】
そこで、本発明は、従来の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、装置内スペースを有効利用し、しかも駆動用スプロケットおよび噛合チェーンのそれぞれの構成同士の組み合わせ制限を回避した状態でチェーン駆動に最適な装置構成を選択して円滑に噛合チェーンを駆動する噛合チェーン式進退作動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
まず、本請求項１に係る発明は、チェーン幅方向に沿って相互に対向する一対のフック状内歯プレートと前記チェーン幅方向に沿って前記一対のフック状内歯プレートの外側にそれぞれ配置された一対のフック状外歯プレートとを前後一対の連結ピンによってチェーン長手方向に多数連結して構成されることにより相互に噛み合って対向配置した状態で一体に剛直化してチェーン剛直化部分を形成するとともに相互に噛み外れて分岐自在となる一対の噛合チェーンと、前記チェーン剛直化部分の側面から前記一対の噛合チェーンの一方の噛合チェーンに係合して前記一対の噛合チェーンを進退自在に駆動する駆動用スプロケットと、前記一方の噛合チェーンに他方の噛合チェーンを噛み合わせて従動させるチェーンガイド溝を有するチェーンガイドとを備えている噛合チェーン式進退作動装置であって、前記チェーン剛直化部分の両側からチェーン剛直化部分を挟んで支持する一対の平面状チェーン支持面が、相互に噛み外れた一対の噛合チェーンのチェーン噛み外れ部分をそれぞれガイドする一対の曲線状ガイド面のそれぞれに連続して繋がった状態で前記チェーンガイド溝のガイド溝面の一部を構成していることにより、前述した課題を解決したものである。
【０００８】
そして、本請求項２に係る発明は、請求項１に係る噛合チェーン式進退作動装置において、前記一方の噛合チェーンに含まれる複数の連結ピンのうち前記平面状チェーン支持面及び曲線状ガイド面を分ける仮想境界面に位置する一方の連結ピンと前記他方の噛合チェーンに含まれる複数の連結ピンのうち前記仮想境界面に沿って前記一方の連結ピンに対向する他方の連結ピンとの間に存在する仮想境界面上ピン間距離と前記チェーン剛直化部分に含まれる複数の連結ピンのうち前記仮想境界面に沿って相互に対向する一対の連結ピンの間に存在する剛直状態ピン間距離とが、相互に揃っていることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【０００９】
そして、本請求項３に係る発明は、請求項２に係る噛合チェーン式進退作動装置において、前記平面状チェーン支持面が、前記仮想境界面から前記前後一対の連結ピンのピン間距離以上延びていることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【００１０】
そして、本請求項４に係る発明は、請求項２又は請求項３に係る噛合チェーン式進退作動装置において、前記チェーン剛直化部分の側面に向かって開口する開口部を有しているとともに前記駆動用スプロケットを収容する駆動用スプロケット収容溝が、前記チェーンガイドに形成され、前記平面状チェーン支持面の終端が、前記開口部の２つの開口端のうち前記仮想境界面に近い側に形成された仮想境界面側開口端に重なっていることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【００１１】
そして、本請求項５に係る発明は、請求項２乃至請求項４に係る噛合チェーン式進退作動装置において、前記一対のフック状内歯プレートが、前記チェーン幅方向に沿って相互に離間配置され、前記曲線状ガイド面に対向する裾状対向ガイド面に沿って前記チェーン噛み外れ部分をガイドする山型チェーンガイド部分と前記仮想境界面から前記チェーン剛直化部分の中空領域に延びているとともに前記平面状チェーン支持面に対向する平面状チェーン支持側面によって前記チェーン剛直化部分を支持する直線状チェーン支持部分とを有する位置決めチェーンガイド部が、前記一対の噛合チェーンの股間領域に設けられていることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【００１２】
そして、本請求項６に係る発明は、請求項５に係る噛合チェーン式進退作動装置において、前記平面状チェーン支持側面が、前記仮想境界面から前記開口部側に向かって前記前後一対の連結ピンのピン間距離以上延びていることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【００１３】
そして、本請求項７に係る発明は、請求項１乃至請求項３のいずれか一つに係る噛合チェーン式進退作動装置において、前記噛合チェーンが、前記一対のフック状内歯プレートと一対のフック状外歯プレートとを前記チェーン幅方向に連結した複列で編成され、前記駆動用スプロケットが、前記複列のうち前記平面状チェーン支持面に接触する支持対象列と異なる係合列に係合することにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【００１４】
そして、本請求項８に係る発明は、請求項１乃至請求項３のいずれか一つに係る噛合チェーン式進退作動装置において、前記連結ピンが、前記フック状外歯プレートのプレート面から外側に突出した状態で前記チェーンガイド溝にガイドされることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【発明の効果】
【００１５】
本発明の請求項１に係る噛合チェーン式進退作動装置は、チェーン幅方向に沿って相互に対向する一対のフック状内歯プレートと前記チェーン幅方向に沿って前記一対のフック状内歯プレートの外側にそれぞれ配置された一対のフック状外歯プレートとを前後一対の連結ピンによってチェーン長手方向に多数連結して構成されることにより相互に噛み合って対向配置した状態で一体に剛直化してチェーン剛直化部分を形成するとともに相互に噛み外れて分岐自在となる一対の噛合チェーンと、前記チェーン剛直化部分の側面から前記一対の噛合チェーンの一方の噛合チェーンに係合して前記一対の噛合チェーンを進退自在に駆動する駆動用スプロケットと、前記一方の噛合チェーンに他方の噛合チェーンを噛み合わせて従動させるチェーンガイド溝を有するチェーンガイドとを備えていることにより、一対の噛合チェーンの進退動作に応じて被駆動体を進退動させることができるばかりでなく、以下のような特有の構成に対応した格別の効果を奏することができる。
【００１６】
すなわち、本請求項１に係る噛合チェーン式進退作動装置は、前記チェーン剛直化部分の両側からチェーン剛直化部分を挟んで支持する一対の平面状チェーン支持面が、相互に噛み外れた一対の噛合チェーンのチェーン噛み外れ部分をそれぞれガイドする一対の曲線状ガイド面のそれぞれに連続して繋がった状態で前記チェーンガイド溝のガイド溝面の一部を構成していることにより、一対の曲線状ガイド面で一対の噛合チェーンを誘導して噛合動作を開始してからフック状内歯プレート同士及びフック状外歯プレート同士のそれぞれの噛合動作を完了させるまでチェーン剛直化部分の厚みを維持するため、噛合チェーンおよび駆動用スプロケット相互の係合部分が占めるスペースを小さくして装置内スペースを有効利用し、しかも駆動用スプロケットおよび噛合チェーンのそれぞれの構成要素同士の組み合わせ制限を回避した状態でチェーン駆動に最適な装置構成を選択し、しかも一対の噛合チェーン相互の噛み外れを確実に回避するとともにチェーン剛直化部分を確実に支持してチェーン剛性を向上させた状態で円滑に噛合チェーンを駆動することができる。
【００１７】
そして、本請求項２に係る噛合チェーン式進退作動装置は、請求項１に係る噛合チェーン式進退作動装置が奏する効果に加えて、前記一方の噛合チェーンに含まれる複数の連結ピンのうち前記平面状チェーン支持面及び曲線状ガイド面を分ける仮想境界面に位置する一方の連結ピンと前記他方の噛合チェーンに含まれる複数の連結ピンのうち前記仮想境界面に沿って前記一方の連結ピンに対向する他方の連結ピンとの間に存在する仮想境界面上ピン間距離と前記チェーン剛直化部分に含まれる複数の連結ピンのうち前記仮想境界面に沿って相互に対向する一対の連結ピンの間に存在する剛直状態ピン間距離とが、相互に揃っていることにより、前記一方の連結ピンおよび前記他方の連結ピンの間に存在するフック状プレート噛合面を介してフック状内歯プレート同士またはフック状外歯プレート同士を相互に噛み合わせてチェーン剛直化部分を形成した時点からチェーン剛直化部分の噛合状態を解除しないようにチェーン剛直化部分を支持するため、一方の噛合チェーンおよび駆動用スプロケット相互の係合部分が占めるスペースをより一層小さくして装置内スペースを有効利用し、しかも駆動用スプロケットおよび噛合チェーンのそれぞれの構成要素同士の組み合わせ制限を回避した状態でチェーン駆動に最適な装置構成を選択してより一層円滑に噛合チェーンを駆動することができる。
【００１８】
そして、本請求項３に係る噛合チェーン式進退作動装置は、請求項２に係る噛合チェーン式進退作動装置が奏する効果に加えて、前記平面状チェーン支持面が、前記仮想境界面から前記前後一対の連結ピンのピン間距離以上延びていることにより、チェーン剛直化部分を前後一対の連結ピンのピン間距離以上の範囲で支持するため、一対の噛合チェーン相互の噛み外れを確実に回避するとともにチェーン剛直化部分を確実に支持してチェーン剛性をより一層向上させた状態でより一層円滑に噛合チェーンを駆動することができる。
【００１９】
そして、本請求項４に係る噛合チェーン式進退作動装置は、請求項２又は請求項３に係る噛合チェーン式進退作動装置が奏する効果に加えて、前記チェーン剛直化部分の側面に向かって開口する開口部を有しているとともに前記駆動用スプロケットを収容する駆動用スプロケット収容溝が、前記チェーンガイドに形成され、前記平面状チェーン支持面の終端が、前記開口部の２つの開口端のうち前記仮想境界面に近い側に形成された仮想境界面側開口端に重なっていることにより、仮想境界面側開口端にフック状内歯プレートおよびフック状外歯プレートを駆動するまでにフック状内歯プレート同士およびフック状外歯プレート同士の噛合動作を完了させるため、チェーン剛直化部分の分解すなわち噛合状態の解除を確実に回避して噛合チェーンをより円滑に駆動することができる。
【００２０】
そして、本請求項５に係る噛合チェーン式進退作動装置は、請求項２乃至請求項４に係る噛合チェーン式進退作動装置が奏する効果に加えて、前記一対のフック状内歯プレートが、前記チェーン幅方向に沿って相互に離間配置され、前記曲線状ガイド面に対向する裾状対向ガイド面に沿って前記チェーン噛み外れ部分をガイドする山型チェーンガイド部分と前記仮想境界面から前記チェーン剛直化部分の中空領域に延びているとともに前記平面状チェーン支持面に対向する平面状チェーン支持側面によって前記チェーン剛直化部分を支持する直線状チェーン支持部分とを有する位置決めチェーンガイド部が、前記一対の噛合チェーンの股間領域に設けられていることにより、チェーン剛直化部分の中空領域すなわち内側とチェーン剛直化部分の外側とからチェーン剛直化部分を支持するため、チェーン剛直化部分の噛合状態を解除しないようにチェーン剛直化部分を確実に支持してより一層円滑に噛合チェーンを駆動することができる。
【００２１】
そして、本請求項６に係る噛合チェーン式進退作動装置は、請求項５に係る噛合チェーン式進退作動装置が奏する効果に加えて、前記平面状チェーン支持側面が、前記仮想境界面から前記開口部側に向かって前記前後一対の連結ピンのピン間距離以上延びていることにより、仮想境界面から前後一対の連結ピンのピン間距離以上に渡ってチェーン剛直化部分の中空領域すなわち内側とチェーン剛直化部分の外側とからチェーン剛直化部分を支持するため、チェーン剛直化部分の噛合状態を解除しないようにチェーン剛直化部分を確実に支持してより一層円滑に噛合チェーンを駆動することができる。
【００２２】
そして、本請求項７に係る発明は、請求項１乃至請求項３のいずれか一つに係る噛合チェーン式進退作動装置が奏する効果に加えて、前記噛合チェーンが、前記一対のフック状内歯プレートと一対のフック状外歯プレートとを前記チェーン幅方向に連結した複列で編成され、前記駆動用スプロケットが、前記複列のうち前記平面状チェーン支持面に接触する支持対象列と異なる係合列に係合することにより、単列で構成された噛合チェーンに比べてチェーン剛性を向上させるため、より一層チェーン剛直化部分の噛合状態を解除しないようにチェーン剛直化部分を確実に支持して噛合チェーンを駆動することができる。
【００２３】
そして、本請求項８に係る発明は、請求項１乃至請求項３のいずれか一つに係る噛合チェーン式進退作動装置が奏する効果に加えて、前記連結ピンが、前記フック状外歯プレートのプレート面から外側に突出した状態で前記チェーンガイド溝にガイドされることにより、チェーン剛直化部分の噛合状態を解除しないようにチェーン剛直化部分を確実に支持してより一層円滑に噛合チェーンを駆動することができる。
【図面の簡単な説明】
【００２４】
【図１】本発明の一実施例である噛合チェーン式進退作動装置の全体斜視図。
【図２】図１に示す駆動用スプロケットおよび噛合チェーン近傍の一部拡大図。
【図３】噛合チェーンの分解組み立て状態と噛み外れ状態を示す斜視図。
【図４】図１に示す駆動用スプロケットおよび噛合チェーン近傍の一部拡大図。
【図５】図４に対応した変形例１に係る一部拡大図。
【図６】図４に対応した変形例２に係る一部拡大図。
【図７】図４に対応した変形例３に係る一部拡大図。
【図８】図４に対応した変形例４に係る一部拡大図。
【図９】変形例４に係る噛合チェーン式進退作動装置を仮想境界面で切った断面図。
【図１０】本発明の変形例５に係る噛合チェーン式進退作動装置の正面図。
【図１１】本発明の変形例５に用いられる噛合チェーンの分解組み立て状態と噛み外れ状態を示す斜視図。
【図１２】変形例５に係る噛合チェーン式進退作動装置を仮想境界面で切った断面図。
【図１３】従来の噛合チェーン式昇降装置の一部拡大図。
【発明を実施するための形態】
【００２５】
本発明に係る噛合チェーン式進退作動装置は、チェーン幅方向に沿って相互に対向する一対のフック状内歯プレートとチェーン幅方向に沿って一対のフック状内歯プレートの外側にそれぞれ配置された一対のフック状外歯プレートとを前後一対の連結ピンによってチェーン長手方向に多数連結して構成されることにより相互に噛み合って対向配置した状態で一体に剛直化してチェーン剛直化部分を形成するとともに相互に噛み外れて分岐自在となる一対の噛合チェーンと、チェーン剛直化部分の側面から一対の噛合チェーンの一方の噛合チェーンに係合して一対の噛合チェーンを進退自在に駆動する駆動用スプロケットと、一方の噛合チェーンに他方の噛合チェーンを噛み合わせて従動させるチェーンガイド溝を有するチェーンガイドとを備え、チェーン剛直化部分の両側からチェーン剛直化部分を挟んで支持する一対の平面状チェーン支持面が、相互に噛み外れた一対の噛合チェーンのチェーン噛み外れ部分をそれぞれガイドする一対の曲線状ガイド面のそれぞれに連続して繋がった状態でチェーンガイド溝のガイド溝面の一部を構成していることにより、噛合チェーンおよび駆動用スプロケット相互の係合部分が占めるスペースを小さくして装置内スペースを有効利用し、しかも駆動用スプロケットおよび噛合チェーンのそれぞれの構成同士の組み合わせ制限を回避した状態でチェーン駆動に最適な装置構成を選択し、しかも一対の噛合チェーン相互の噛み外れを確実に回避するとともにチェーン剛直化部分を確実に支持してチェーン剛性を向上させた状態で円滑に噛合チェーンを駆動するものであれば、その具体的な実施の態様は、如何なるものであってもよい。
【００２６】
例えば、本発明の噛合チェーン式進退作動装置で用いられる一対の噛合チェーンは、相互に噛み合わせて一体化するとともに相互に噛み外れて分岐するものであればその具体的なチェーン形態は如何なるものであってもよく、例えば、チェーン幅方向に１列の単列であるもの、チェーン幅方向に２列以上の複列であるものなど何れであっても構わないが、チェーン幅方向に２列以上の複列であるものを採用する場合には、一対の噛合チェーンの一方を構成するフック状外歯プレートとフック状内歯プレートが、これに対向する他方の噛合チェーンを構成するフック状外歯プレートとフック状内歯プレートに対してチェーン幅方向の複列に亙ってそれぞれフック状に多重かつ強固に噛み合うため、噛合チェーンのチェーン幅方向に生じがちな座屈を確実に抑制して優れたチェーン耐久性を実現できるので、より好ましい。
【００２７】
また、本発明の噛合チェーン式進退作動装置で用いられる一対の噛合チェーンは、ローラを有していないもの、すなわち、ブシュのみを有するもの、ローラを有するものなど何れであっても構わないが、ブシュのみを有するものを採用する場合には、チェーン部品点数が低減して、チェーン重量の軽量化を図ることができる。
また、本発明の噛合チェーン式進退作動装置で用いられる一対の噛合チェーンは、フック状内歯プレート及びフック状外歯プレートの少なくとも一方に形成されたフック状係合歯に駆動用スプロケットのスプロケット歯を係合させて駆動されるものであってもよい。
【００２８】
また、本発明の噛合チェーン式進退作動装置で用いられる一対の噛合チェーンは、一対の噛合チェーンの一方の側面のみから一方の噛合チェーンに係合する駆動用スプロケットのみによって駆動力を供給された状態で駆動されてもよいし、一対の噛合チェーンの両側面のそれぞれに配置されて一対の噛合チェーンに一対一で係合する１対の駆動用スプロケットによって駆動力を供給されて駆動されてもよい。
【００２９】
そして、本発明の噛合チェーン式進退作動装置は、設置面が据え置き設置形態となる床面であっても、吊り下げ設置形態となる天井面であっても昇降動作に何ら支障はなく、さらには、片持ち支持形態となる垂直壁面であっても前述した昇降動作に相当する進退動作に何ら支障はない。
【実施例】
【００３０】
以下、本発明の実施例である噛合チェーン式進退作動装置を図面に基づいて説明する。
ここで、図１は、本発明の一実施例である噛合チェーン式進退作動装置の全体斜視図であり、図２は、図１に示す駆動用スプロケットおよび噛合チェーン近傍の一部拡大図であり、図３は、噛合チェーンの分解組み立て状態と噛み外れ状態を示す斜視図であり、図４は、図１に示す駆動用スプロケットおよび噛合チェーン近傍の一部拡大図であり、図５は、図４に対応した変形例１に係る一部拡大図であり、図６は、図４に対応した変形例２に係る一部拡大図であり、図７は、図４に対応した変形例３に係る一部拡大図であり、図８は、図４に対応した変形例４に係る一部拡大図であり、図９は、変形例４に係る噛合チェーン式進退作動装置を仮想境界面で切った断面図であり、図１０は、本発明の変形例５に係る噛合チェーン式進退作動装置の正面図であり、図１１は、本発明の変形例５に用いられる噛合チェーンの分解組み立て状態と噛み外れ状態を示す斜視図であり、図１２は、変形例５に係る噛合チェーン式進退作動装置を仮想境界面で切った断面図である。
【００３１】
まず、本発明の一実施例である噛合チェーン式進退作動装置１００は、図１に示すように、ワークとしての重量物（図示していない）を搭載する昇降テーブルなど被駆動体Ｔを設置面Ｇに対して平行に昇降させるものである。
【００３２】
そして、本実施例の噛合チェーン式進退作動装置１００は、図１乃至図３に示すように、チェーン幅方向Ｗに沿って相互に対向する一対のフック状内歯プレート１１１とチェーン幅方向Ｗに沿って一対のフック状内歯プレート１１１の外側にそれぞれ配置された一対のフック状外歯プレート１１２とを前後一対の連結ピン１１３によってチェーン長手方向に多数連結して構成されることにより相互に噛み合って対向配置した状態で一体に剛直化してチェーン剛直化部分１１０Ｇを形成するとともに相互に噛み外れて分岐自在となる一対の噛合チェーン１１０、１１０と、チェーン剛直化部分１１０Ｇの側面から一対の噛合チェーン１１０、１１０の一方の噛合チェーン１１０に係合して一対の噛合チェーン１１０、１１０を進退自在に駆動する駆動用スプロケット１２０と、一方の噛合チェーン１１０に他方の噛合チェーン１１０を噛み合わせて従動させるチェーンガイド溝１３１を有するチェーンガイド１３０とを備え、ベースプレート１４０上で一対の噛合チェーン１１０、１１０の進退動作に応じて被駆動体Ｔを進退動させるようになっている。
【００３３】
また、噛合チェーン式進退作動装置１００は、駆動用スプロケット１２０を回転させる従動側スプロケット１５２に動力を伝達する動力伝達チェーン１５１と、この動力伝達チェーン１５１を駆動する駆動源としての駆動モータ１５０とを備え、ワークを搭載した被駆動体Ｔを一対の噛合チェーン１１０、１１０で直接的に支持して押し上げることで駆動モータ１６０のモータトルクを無駄なく伝達するようになっている。
また、駆動用スプロケット１２０は、噛合チェーン１１０を構成するブシュ１１４に係合するように設計されている。
【００３４】
また、噛合チェーン式進退作動装置１００で用いた一対の噛合チェーン１１０、１１０は、図３に示すように、チェーン幅方向Ｗに沿って一対で離間配置されるフック状内歯プレート１１１、１１１に前後一対のブシュ１１４を圧入嵌合してなる内リンクユニットがチェーン幅方向Ｗの最も外側に配置されたフック状外歯プレート１１２の前後一対のピン孔に圧入嵌合する前後一対の連結ピン１１３によりチェーン長手方向に多数連結されたものである。
【００３５】
次に、前述した本実施例の噛合チェーン式進退作動装置１００が最も特徴とする構成の具体的な形態について、図１乃至図４に基づいてより詳しく説明する。
噛合チェーン式進退作動装置１００は、図１乃至図４に示すように、チェーン剛直化部分１１０Ｇの両側からチェーン剛直化部分１１０Ｇを挟んで支持する一対の平面状チェーン支持面１３２ＡＳ、１３２ＡＳが、相互に噛み外れた一対の噛合チェーン１１０、１１０のチェーン噛み外れ部分１１０Ｈ、１１０Ｈをそれぞれガイドする一対の曲線状ガイド面１３２ＢＳ、１３２ＢＳのそれぞれに連続して繋がった状態でチェーンガイド溝１３１、１３１のガイド溝面１３２、１３２の一部を構成していることにより、一対の曲線状ガイド面１３２ＢＳ、１３２ＢＳで一対の噛合チェーン１１０、１１０を誘導して噛合動作を開始してからフック状内歯プレート１１１同士及びフック状外歯プレート１１２同士のそれぞれの噛合動作を完了させるまでチェーン剛直化部分１１０Ｇの厚みを維持するため、噛合チェーン１１０および駆動用スプロケット１２０相互の係合部分が占めるスペースを小さくして装置内スペースを有効利用し、しかも駆動用スプロケット１２０および噛合チェーン１１０のそれぞれの構成要素同士の組み合わせ制限を回避した状態でチェーン駆動に最適な装置構成を選択し、しかも一対の噛合チェーン１１０、１１０相互の噛み外れを確実に回避するとともにチェーン剛直化部分１１０Ｇを確実に支持してチェーン剛性を向上させた状態で円滑に噛合チェーン１１０を駆動するようになっている。
【００３６】
また、噛合チェーン式進退作動装置１００は、一方の噛合チェーン１１０に含まれる複数の連結ピン１１３のうち平面状チェーン支持面１３２ＡＳ及び曲線状ガイド面１３２ＢＳを分ける仮想境界面Ｓに位置する一方の連結ピン１１３と他方の噛合チェーン１１０に含まれる複数の連結ピン１１３のうち仮想境界面Ｓに沿って一方の連結ピン１１３に対向する他方の連結ピン１１３との間に存在する仮想境界面上ピン間距離Ｄ１とチェーン剛直化部分１１０Ｇに含まれる複数の連結ピン１１３のうち仮想境界面Ｓに沿って相互に対向する一対の連結ピン１１３、１１３の間に存在する剛直状態ピン間距離Ｄ２とが、相互に揃っていることにより、一方の連結ピン１１３および他方の連結ピン１１３の間に存在するフック状プレート噛合面を介してフック状内歯プレート１１１同士またはフック状外歯プレート１１２同士を相互に噛み合わせてチェーン剛直化部分１１０Ｇを形成した時点からチェーン剛直化部分１１０Ｇの噛合状態を解除しないようにチェーン剛直化部分１１０Ｇを支持するため、一方の噛合チェーン１１０および駆動用スプロケット１２０相互の係合部分が占めるスペースをより一層小さくして装置内スペースを有効利用し、しかも駆動用スプロケット１２０および噛合チェーン１１０のそれぞれの構成要素同士の組み合わせ制限を回避した状態でチェーン駆動に最適な装置構成を選択してより一層円滑に噛合チェーン１１０を駆動するようになっている。
【００３７】
また、噛合チェーン式進退作動装置１００は、平面状チェーン支持面１３２ＡＳが、仮想境界面Ｓから前後一対の連結ピン１１３、１１３のピン間距離Ｄ以上延びていることにより、チェーン剛直化部分１１０Ｇを前後一対の連結ピン１１３、１１３のピン間距離Ｄ以上の範囲で支持するため、一対の噛合チェーン１１０、１１０相互の噛み外れを確実に回避するとともにチェーン剛直化部分１１０Ｇを確実に支持してチェーン剛性をより一層向上させた状態でより一層円滑に噛合チェーン１１０を駆動するようになっている。
【００３８】
また、噛合チェーン式進退作動装置１００は、チェーン剛直化部分１１０Ｇの側面に向かって開口する開口部１３３Ａを有しているとともに駆動用スプロケット１２０を収容する駆動用スプロケット収容溝１３３が、チェーンガイド１３０に形成され、平面状チェーン支持面１３２ＡＳの終端が、開口部１３３Ａの２つの開口端のうち仮想境界面Ｓに近い側に形成された仮想境界面側開口端ＯＥに重なっていることにより、仮想境界面側開口端ＯＥにフック状内歯プレート１１１およびフック状外歯プレート１１２を駆動するまでにフック状内歯プレート１１１同士およびフック状外歯プレート１１２同士の噛合動作を完了させるため、チェーン剛直化部分１１０Ｇの分解すなわち噛合状態の解除を確実に回避して噛合チェーン１１０をより円滑に駆動するようになっている。
【００３９】
また、噛合チェーン式進退作動装置１００は、一対のフック状内歯プレート１１１、１１１が、チェーン幅方向Ｗに沿って相互に離間配置され、曲線状ガイド面１３２ＢＳに対向する裾状対向ガイド面１３４ＢＳに沿ってチェーン噛み外れ部分１１０Ｈをガイドする山型チェーンガイド部分１３４Ｂと仮想境界面Ｓからチェーン剛直化部分１１０Ｇの中空領域Ｒ１に延びているとともに平面状チェーン支持面１３２ＡＳに対向する平面状チェーン支持側面１３４ＡＳによってチェーン剛直化部分１１０Ｇを支持する直線状チェーン支持部分１３４Ａとを有する位置決めチェーンガイド部１３４が、一対の噛合チェーン１１０、１１０の股間領域Ｒ２に設けられていることにより、チェーン剛直化部分１１０Ｇの中空領域Ｒ１すなわち内側とチェーン剛直化部分１１０Ｇの外側とからチェーン剛直化部分１１０Ｇを支持するため、チェーン剛直化部分１１０Ｇの噛合状態を解除しないようにチェーン剛直化部分１１０Ｇを確実に支持してより一層円滑に噛合チェーン１１０を駆動するようになっている。
【００４０】
また、噛合チェーン式進退作動装置１００は、平面状チェーン支持側面１３４ＡＳが、仮想境界面Ｓから開口部１３３Ａ側に向かって前後一対の連結ピン１１３、１１３のピン間距離Ｄ以上延びていることにより、仮想境界面Ｓから前後一対の連結ピン１１３、１１３のピン間距離Ｄ以上に渡ってチェーン剛直化部分１１０Ｇの中空領域Ｒ１すなわち内側とチェーン剛直化部分１１０Ｇの外側とからチェーン剛直化部分１１０Ｇを支持するため、チェーン剛直化部分１１０Ｇの噛合状態を解除しないようにチェーン剛直化部分１１０Ｇを確実に支持してより一層円滑に噛合チェーンを駆動するようになっている。
【００４１】
このように得られた本実施例の噛合チェーン式進退作動装置１００は、チェーン剛直化部分１１０Ｇの両側からチェーン剛直化部分１１０Ｇを挟んで支持する一対の平面状チェーン支持面１３２ＡＳ、１３２ＡＳが、相互に噛み外れた一対の噛合チェーン１１０、１１０のチェーン噛み外れ部分１１０Ｈ、１１０Ｈをそれぞれガイドする一対の曲線状ガイド面１３２ＢＳ、１３２ＢＳのそれぞれに連続して繋がった状態でチェーンガイド溝１３１、１３１のガイド溝面１３２、１３２の一部を構成していることにより、噛合チェーン１１０および駆動用スプロケット１２０相互の係合部分が占めるスペースを小さくして装置内スペースを有効利用し、しかも駆動用スプロケット１２０および噛合チェーン１１０のそれぞれの構成要素同士の組み合わせ制限を回避した状態でチェーン駆動に最適な装置構成を選択し、しかも一対の噛合チェーン１１０、１１０相互の噛み外れを確実に回避するとともにチェーン剛直化部分１１０Ｇを確実に支持してチェーン剛性を向上させた状態で円滑に噛合チェーン１１０を駆動することができるなど、その効果は甚大である。
【００４２】
次に、図５乃至図１２を参照しながら、上述した噛合チェーン式進退作動装置１００の変形例を説明する。
なお、以下の変形例１乃至変形例５では、上述した噛合チェーン式進退作動装置１００と共通する部分に共通の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【００４３】
図５に示すように、変形例１に係る噛合チェーン式進退作動装置は、駆動用スプロケット１２０が、一対の噛合チェーン１１０、１１０の両側に対称に配置された状態で一対の噛合チェーン１１０、１１０を駆動することにより、一つの駆動用スプロケット１２０で一対の噛合チェーン１１０、１１０を駆動する場合に比べて大きな駆動力で駆動するため、上述した噛合チェーン式進退作動装置１００が奏する効果に加えて高速で一対の噛合チェーン１１０、１１０を駆動するようになっている。
【００４４】
また、図６に示すように、変形例２に係る噛合チェーン式進退作動装置は、チェーン剛直化部分１１０Ｇの駆動方向すなわち図中上下方向に沿って相互に異なる高さに２つの駆動用スプロケット１２０、１２０が配置されているとともに一対の噛合チェーン１１０、１１０の両側に位置する仮想境界面側開口端ＯＥ１、ＯＥ２の一方である仮想境界面側開口端ＯＥ２が、仮想境界面Ｓからピン間距離Ｄ以上離れていることにより、一つの駆動用スプロケット１２０で一対の噛合チェーン１１０、１１０を駆動する場合に比べて大きな駆動力で駆動するため、上述の噛合チェーン式進退作動装置１００が奏する効果に加えて高速で一対の噛合チェーン１１０、１１０を駆動するようになっている。
【００４５】
また、図７に示すように、変形例３に係る噛合チェーン式進退作動装置は、一対の噛合チェーン１１０、１１０の両側に形成された平面状チェーン支持側面１３４ＡＳ、１３４ＡＳのそれぞれの上端が異なる高さに位置していることにより、一対の噛合チェーン１１０、１１０の両側で相互に異なる高さに配置された２つの駆動用スプロケット１２０、１２０の非同期状態に起因して生じうるチェーン剛直化部分１１０Ｇの解除現象すなわち一対の噛合チェーン１１０、１１０の噛み外れ現象を回避するため、上述の噛合チェーン式進退作動装置１００に比べてより一層円滑に一対の噛合チェーン１１０、１１０を駆動するようになっている。
【００４６】
また、図８及び図９に示すように、変形例４に係る噛合チェーン式進退作動装置は、噛合チェーン１１０が、一対のフック状内歯プレート１１１と一対のフック状外歯プレート１１２とをチェーン幅方向Ｗに連結した複列で編成され、駆動用スプロケット１２０が、複列のうち平面状チェーン支持面１３２ＡＳに接触する支持対象列と異なる係合列に係合することにより、単列で構成された噛合チェーンに比べてチェーン剛性を向上させるため、より一層チェーン剛直化部分１１０Ｇの噛合状態を解除しないようにチェーン剛直化部分１１０Ｇを確実に支持して噛合チェーン１１０を駆動するようになっている。
【００４７】
また、図１０乃至図１２に示すように、変形例５に係る噛合チェーン式進退作動装置は、連結ピン１１３が、フック状外歯プレート１１２のプレート面から外側に突出した状態でチェーンガイド溝１３１にガイドされることにより、チェーン剛直化部分１１０Ｇの噛合状態を解除しないようにチェーン剛直化部分１１０Ｇを確実に支持してより一層円滑に噛合チェーンを駆動するようになっている。
【００４８】
また、上述の変形例４及び変形例５に係る噛合チェーン式進退作動装置は、チェーンガイド溝１３１に臨む開口部１３３Ａを形成していないことにより、開口部１３３Ａの開口端とローラやブシュなどのチェーン摺動部との衝突を回避するため、この衝突に起因するチェーン振動及びチェーン衝突音の発生を回避するようになっている。
【００４９】
なお、上述の噛合チェーン式進退作動装置に適用される噛合チェーンは、図３に示したプレート、ブシュ及び連結ピンからなる、いわゆるブシュチェーンタイプや、図１０乃至図１２に示した連結ピン及びプレートからなるものであってもよいし、ブシュチェーンにおいてブシュにローラを遊嵌したローラチェーンタイプや、図３に示した連結ピンをプレートから突出させた突出部をガイドするものでもよい。
すなわちフック状噛合部を有するチェーンを一体剛直化させるものであれば、どのような噛合チェーンであっても、本願に係る発明によって奏される効果に変わりはない。
【符号の説明】
【００５０】
１００ ・・・ 噛合チェーン式進退作動装置
１１０、８１０ ・・・ 噛合チェーン
１１０Ｇ ・・・ チェーン剛直化部分
１１１ ・・・ フック状内歯プレート
１１２ ・・・ フック状外歯プレート
１１３ ・・・ 連結ピン
１１４ ・・・ ブシュ
１２０ ・・・ 駆動用スプロケット
１２１ ・・・ 駆動軸
１３０ ・・ チェーンガイド
１３１ ・・・ チェーンガイド溝
１３２ ・・・ ガイド溝面
１３２ＡＳ ・・・ 平面状チェーン支持面
１３２ＢＳ ・・・ 曲線状ガイド面
１３３ ・・・ 駆動用スプロケット収容溝
１３３Ａ ・・・ 駆動用スプロケット収容溝の開口部
１３４ ・・・ 位置決めチェーンガイド部
１３４Ａ ・・・ 直線状チェーン支持部分
１３４Ｂ ・・・ 山型チェーンガイド部分
１３４ＡＳ ・・・ 平面状チェーン支持側面
１３４ＢＳ ・・・ 裾状対向ガイド面
１４０ ・・・ ベースプレート
１５０ ・・・ 駆動モータ
１５１ ・・・ 動力伝達チェーン
１５２ ・・・ 従動側スプロケット
８００ ・・・ 噛合チェーン式昇降装置
Ｄ ・・・ 前後一対の連結ピンのピン間距離
Ｄ１ ・・・ 仮想境界面上ピン間距離
Ｄ２ ・・・ 剛直状態ピン間距離
Ｇ ・・・ 設置面
ＯＥ、ＯＥ１、ＯＥ２ ・・・ 仮想境界面側開口端
Ｒ１ ・・・ チェーン剛直化部分の中空領域
Ｒ２ ・・・ 一対の噛合チェーンの股間領域
Ｓ ・・・ 仮想境界平面
Ｔ ・・・ 被駆動体
【技術分野】
【０００１】
本発明は、各種製造分野の製造設備、運輸分野の移送設備、医療福祉分野の介護設備、芸術分野の舞台設備などに用いてワークなどの被駆動体を設置面に対して平行に進退動させる駆動装置であって、特に、噛合チェーンを進退動作の駆動媒体として採用した噛合チェーン式進退作動装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、駆動装置として、相互に噛み合って一体的に昇降する一対の昇降駆動用噛合チェーンを用いて重量物などのワークを昇降移動させる噛合チェーン式昇降装置がある（例えば、特許文献１参照。）。
【０００３】
この従来の噛合チェーン式昇降装置に用いられる一対の昇降駆動用噛合チェーンは、一対の昇降駆動用噛合チェーンの両方にそれぞれ配置されて相互に対向する一対の昇降用スプロケットにより駆動されるとともにチェーンガイドにより誘導されるように設計されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開２００９−２５５９９７号公報（特許請求の範囲、図３）
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかしながら、図１３に示すように、上述の駆動用スプロケット８４０およびチェーン誘導プレート８３０を併用して噛合チェーン８１０を駆動した場合、駆動用スプロケット８２０の外形に合わせてチェーン誘導プレート８３０のガイド面を円弧に限定してしまうとともに噛合チェーン８１０の噛合半径すなわち噛合チェーン８１０のうち駆動用スプロケット８２０に係合した係合部分が描く円弧状軌道の半径を駆動用スプロケット８２０の歯数に応じて限定してしまうため、噛合チェーン８１０の係合部分が占めるスペースを小さくして装置内スペースを有効利用するとともに駆動用スプロケット８２０および噛合チェーン８１０のそれぞれの構成の選択枝を増やした状態でチェーン駆動に最適な装置構成を選択して円滑に噛合チェーンを駆動することを困難にしてしまうという問題点があった。
【０００６】
そこで、本発明は、従来の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、装置内スペースを有効利用し、しかも駆動用スプロケットおよび噛合チェーンのそれぞれの構成同士の組み合わせ制限を回避した状態でチェーン駆動に最適な装置構成を選択して円滑に噛合チェーンを駆動する噛合チェーン式進退作動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
まず、本請求項１に係る発明は、チェーン幅方向に沿って相互に対向する一対のフック状内歯プレートと前記チェーン幅方向に沿って前記一対のフック状内歯プレートの外側にそれぞれ配置された一対のフック状外歯プレートとを前後一対の連結ピンによってチェーン長手方向に多数連結して構成されることにより相互に噛み合って対向配置した状態で一体に剛直化してチェーン剛直化部分を形成するとともに相互に噛み外れて分岐自在となる一対の噛合チェーンと、前記チェーン剛直化部分の側面から前記一対の噛合チェーンの一方の噛合チェーンに係合して前記一対の噛合チェーンを進退自在に駆動する駆動用スプロケットと、前記一方の噛合チェーンに他方の噛合チェーンを噛み合わせて従動させるチェーンガイド溝を有するチェーンガイドとを備えている噛合チェーン式進退作動装置であって、前記チェーン剛直化部分の両側からチェーン剛直化部分を挟んで支持する一対の平面状チェーン支持面が、相互に噛み外れた一対の噛合チェーンのチェーン噛み外れ部分をそれぞれガイドする一対の曲線状ガイド面のそれぞれに連続して繋がった状態で前記チェーンガイド溝のガイド溝面の一部を構成していることにより、前述した課題を解決したものである。
【０００８】
そして、本請求項２に係る発明は、請求項１に係る噛合チェーン式進退作動装置において、前記一方の噛合チェーンに含まれる複数の連結ピンのうち前記平面状チェーン支持面及び曲線状ガイド面を分ける仮想境界面に位置する一方の連結ピンと前記他方の噛合チェーンに含まれる複数の連結ピンのうち前記仮想境界面に沿って前記一方の連結ピンに対向する他方の連結ピンとの間に存在する仮想境界面上ピン間距離と前記チェーン剛直化部分に含まれる複数の連結ピンのうち前記仮想境界面に沿って相互に対向する一対の連結ピンの間に存在する剛直状態ピン間距離とが、相互に揃っていることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【０００９】
そして、本請求項３に係る発明は、請求項２に係る噛合チェーン式進退作動装置において、前記平面状チェーン支持面が、前記仮想境界面から前記前後一対の連結ピンのピン間距離以上延びていることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【００１０】
そして、本請求項４に係る発明は、請求項２又は請求項３に係る噛合チェーン式進退作動装置において、前記チェーン剛直化部分の側面に向かって開口する開口部を有しているとともに前記駆動用スプロケットを収容する駆動用スプロケット収容溝が、前記チェーンガイドに形成され、前記平面状チェーン支持面の終端が、前記開口部の２つの開口端のうち前記仮想境界面に近い側に形成された仮想境界面側開口端に重なっていることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【００１１】
そして、本請求項５に係る発明は、請求項２乃至請求項４に係る噛合チェーン式進退作動装置において、前記一対のフック状内歯プレートが、前記チェーン幅方向に沿って相互に離間配置され、前記曲線状ガイド面に対向する裾状対向ガイド面に沿って前記チェーン噛み外れ部分をガイドする山型チェーンガイド部分と前記仮想境界面から前記チェーン剛直化部分の中空領域に延びているとともに前記平面状チェーン支持面に対向する平面状チェーン支持側面によって前記チェーン剛直化部分を支持する直線状チェーン支持部分とを有する位置決めチェーンガイド部が、前記一対の噛合チェーンの股間領域に設けられていることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【００１２】
そして、本請求項６に係る発明は、請求項５に係る噛合チェーン式進退作動装置において、前記平面状チェーン支持側面が、前記仮想境界面から前記開口部側に向かって前記前後一対の連結ピンのピン間距離以上延びていることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【００１３】
そして、本請求項７に係る発明は、請求項１乃至請求項３のいずれか一つに係る噛合チェーン式進退作動装置において、前記噛合チェーンが、前記一対のフック状内歯プレートと一対のフック状外歯プレートとを前記チェーン幅方向に連結した複列で編成され、前記駆動用スプロケットが、前記複列のうち前記平面状チェーン支持面に接触する支持対象列と異なる係合列に係合することにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【００１４】
そして、本請求項８に係る発明は、請求項１乃至請求項３のいずれか一つに係る噛合チェーン式進退作動装置において、前記連結ピンが、前記フック状外歯プレートのプレート面から外側に突出した状態で前記チェーンガイド溝にガイドされることにより、前述した課題をさらに解決したものである。
【発明の効果】
【００１５】
本発明の請求項１に係る噛合チェーン式進退作動装置は、チェーン幅方向に沿って相互に対向する一対のフック状内歯プレートと前記チェーン幅方向に沿って前記一対のフック状内歯プレートの外側にそれぞれ配置された一対のフック状外歯プレートとを前後一対の連結ピンによってチェーン長手方向に多数連結して構成されることにより相互に噛み合って対向配置した状態で一体に剛直化してチェーン剛直化部分を形成するとともに相互に噛み外れて分岐自在となる一対の噛合チェーンと、前記チェーン剛直化部分の側面から前記一対の噛合チェーンの一方の噛合チェーンに係合して前記一対の噛合チェーンを進退自在に駆動する駆動用スプロケットと、前記一方の噛合チェーンに他方の噛合チェーンを噛み合わせて従動させるチェーンガイド溝を有するチェーンガイドとを備えていることにより、一対の噛合チェーンの進退動作に応じて被駆動体を進退動させることができるばかりでなく、以下のような特有の構成に対応した格別の効果を奏することができる。
【００１６】
すなわち、本請求項１に係る噛合チェーン式進退作動装置は、前記チェーン剛直化部分の両側からチェーン剛直化部分を挟んで支持する一対の平面状チェーン支持面が、相互に噛み外れた一対の噛合チェーンのチェーン噛み外れ部分をそれぞれガイドする一対の曲線状ガイド面のそれぞれに連続して繋がった状態で前記チェーンガイド溝のガイド溝面の一部を構成していることにより、一対の曲線状ガイド面で一対の噛合チェーンを誘導して噛合動作を開始してからフック状内歯プレート同士及びフック状外歯プレート同士のそれぞれの噛合動作を完了させるまでチェーン剛直化部分の厚みを維持するため、噛合チェーンおよび駆動用スプロケット相互の係合部分が占めるスペースを小さくして装置内スペースを有効利用し、しかも駆動用スプロケットおよび噛合チェーンのそれぞれの構成要素同士の組み合わせ制限を回避した状態でチェーン駆動に最適な装置構成を選択し、しかも一対の噛合チェーン相互の噛み外れを確実に回避するとともにチェーン剛直化部分を確実に支持してチェーン剛性を向上させた状態で円滑に噛合チェーンを駆動することができる。
【００１７】
そして、本請求項２に係る噛合チェーン式進退作動装置は、請求項１に係る噛合チェーン式進退作動装置が奏する効果に加えて、前記一方の噛合チェーンに含まれる複数の連結ピンのうち前記平面状チェーン支持面及び曲線状ガイド面を分ける仮想境界面に位置する一方の連結ピンと前記他方の噛合チェーンに含まれる複数の連結ピンのうち前記仮想境界面に沿って前記一方の連結ピンに対向する他方の連結ピンとの間に存在する仮想境界面上ピン間距離と前記チェーン剛直化部分に含まれる複数の連結ピンのうち前記仮想境界面に沿って相互に対向する一対の連結ピンの間に存在する剛直状態ピン間距離とが、相互に揃っていることにより、前記一方の連結ピンおよび前記他方の連結ピンの間に存在するフック状プレート噛合面を介してフック状内歯プレート同士またはフック状外歯プレート同士を相互に噛み合わせてチェーン剛直化部分を形成した時点からチェーン剛直化部分の噛合状態を解除しないようにチェーン剛直化部分を支持するため、一方の噛合チェーンおよび駆動用スプロケット相互の係合部分が占めるスペースをより一層小さくして装置内スペースを有効利用し、しかも駆動用スプロケットおよび噛合チェーンのそれぞれの構成要素同士の組み合わせ制限を回避した状態でチェーン駆動に最適な装置構成を選択してより一層円滑に噛合チェーンを駆動することができる。
【００１８】
そして、本請求項３に係る噛合チェーン式進退作動装置は、請求項２に係る噛合チェーン式進退作動装置が奏する効果に加えて、前記平面状チェーン支持面が、前記仮想境界面から前記前後一対の連結ピンのピン間距離以上延びていることにより、チェーン剛直化部分を前後一対の連結ピンのピン間距離以上の範囲で支持するため、一対の噛合チェーン相互の噛み外れを確実に回避するとともにチェーン剛直化部分を確実に支持してチェーン剛性をより一層向上させた状態でより一層円滑に噛合チェーンを駆動することができる。
【００１９】
そして、本請求項４に係る噛合チェーン式進退作動装置は、請求項２又は請求項３に係る噛合チェーン式進退作動装置が奏する効果に加えて、前記チェーン剛直化部分の側面に向かって開口する開口部を有しているとともに前記駆動用スプロケットを収容する駆動用スプロケット収容溝が、前記チェーンガイドに形成され、前記平面状チェーン支持面の終端が、前記開口部の２つの開口端のうち前記仮想境界面に近い側に形成された仮想境界面側開口端に重なっていることにより、仮想境界面側開口端にフック状内歯プレートおよびフック状外歯プレートを駆動するまでにフック状内歯プレート同士およびフック状外歯プレート同士の噛合動作を完了させるため、チェーン剛直化部分の分解すなわち噛合状態の解除を確実に回避して噛合チェーンをより円滑に駆動することができる。
【００２０】
そして、本請求項５に係る噛合チェーン式進退作動装置は、請求項２乃至請求項４に係る噛合チェーン式進退作動装置が奏する効果に加えて、前記一対のフック状内歯プレートが、前記チェーン幅方向に沿って相互に離間配置され、前記曲線状ガイド面に対向する裾状対向ガイド面に沿って前記チェーン噛み外れ部分をガイドする山型チェーンガイド部分と前記仮想境界面から前記チェーン剛直化部分の中空領域に延びているとともに前記平面状チェーン支持面に対向する平面状チェーン支持側面によって前記チェーン剛直化部分を支持する直線状チェーン支持部分とを有する位置決めチェーンガイド部が、前記一対の噛合チェーンの股間領域に設けられていることにより、チェーン剛直化部分の中空領域すなわち内側とチェーン剛直化部分の外側とからチェーン剛直化部分を支持するため、チェーン剛直化部分の噛合状態を解除しないようにチェーン剛直化部分を確実に支持してより一層円滑に噛合チェーンを駆動することができる。
【００２１】
そして、本請求項６に係る噛合チェーン式進退作動装置は、請求項５に係る噛合チェーン式進退作動装置が奏する効果に加えて、前記平面状チェーン支持側面が、前記仮想境界面から前記開口部側に向かって前記前後一対の連結ピンのピン間距離以上延びていることにより、仮想境界面から前後一対の連結ピンのピン間距離以上に渡ってチェーン剛直化部分の中空領域すなわち内側とチェーン剛直化部分の外側とからチェーン剛直化部分を支持するため、チェーン剛直化部分の噛合状態を解除しないようにチェーン剛直化部分を確実に支持してより一層円滑に噛合チェーンを駆動することができる。
【００２２】
そして、本請求項７に係る発明は、請求項１乃至請求項３のいずれか一つに係る噛合チェーン式進退作動装置が奏する効果に加えて、前記噛合チェーンが、前記一対のフック状内歯プレートと一対のフック状外歯プレートとを前記チェーン幅方向に連結した複列で編成され、前記駆動用スプロケットが、前記複列のうち前記平面状チェーン支持面に接触する支持対象列と異なる係合列に係合することにより、単列で構成された噛合チェーンに比べてチェーン剛性を向上させるため、より一層チェーン剛直化部分の噛合状態を解除しないようにチェーン剛直化部分を確実に支持して噛合チェーンを駆動することができる。
【００２３】
そして、本請求項８に係る発明は、請求項１乃至請求項３のいずれか一つに係る噛合チェーン式進退作動装置が奏する効果に加えて、前記連結ピンが、前記フック状外歯プレートのプレート面から外側に突出した状態で前記チェーンガイド溝にガイドされることにより、チェーン剛直化部分の噛合状態を解除しないようにチェーン剛直化部分を確実に支持してより一層円滑に噛合チェーンを駆動することができる。
【図面の簡単な説明】
【００２４】
【図１】本発明の一実施例である噛合チェーン式進退作動装置の全体斜視図。
【図２】図１に示す駆動用スプロケットおよび噛合チェーン近傍の一部拡大図。
【図３】噛合チェーンの分解組み立て状態と噛み外れ状態を示す斜視図。
【図４】図１に示す駆動用スプロケットおよび噛合チェーン近傍の一部拡大図。
【図５】図４に対応した変形例１に係る一部拡大図。
【図６】図４に対応した変形例２に係る一部拡大図。
【図７】図４に対応した変形例３に係る一部拡大図。
【図８】図４に対応した変形例４に係る一部拡大図。
【図９】変形例４に係る噛合チェーン式進退作動装置を仮想境界面で切った断面図。
【図１０】本発明の変形例５に係る噛合チェーン式進退作動装置の正面図。
【図１１】本発明の変形例５に用いられる噛合チェーンの分解組み立て状態と噛み外れ状態を示す斜視図。
【図１２】変形例５に係る噛合チェーン式進退作動装置を仮想境界面で切った断面図。
【図１３】従来の噛合チェーン式昇降装置の一部拡大図。
【発明を実施するための形態】
【００２５】
本発明に係る噛合チェーン式進退作動装置は、チェーン幅方向に沿って相互に対向する一対のフック状内歯プレートとチェーン幅方向に沿って一対のフック状内歯プレートの外側にそれぞれ配置された一対のフック状外歯プレートとを前後一対の連結ピンによってチェーン長手方向に多数連結して構成されることにより相互に噛み合って対向配置した状態で一体に剛直化してチェーン剛直化部分を形成するとともに相互に噛み外れて分岐自在となる一対の噛合チェーンと、チェーン剛直化部分の側面から一対の噛合チェーンの一方の噛合チェーンに係合して一対の噛合チェーンを進退自在に駆動する駆動用スプロケットと、一方の噛合チェーンに他方の噛合チェーンを噛み合わせて従動させるチェーンガイド溝を有するチェーンガイドとを備え、チェーン剛直化部分の両側からチェーン剛直化部分を挟んで支持する一対の平面状チェーン支持面が、相互に噛み外れた一対の噛合チェーンのチェーン噛み外れ部分をそれぞれガイドする一対の曲線状ガイド面のそれぞれに連続して繋がった状態でチェーンガイド溝のガイド溝面の一部を構成していることにより、噛合チェーンおよび駆動用スプロケット相互の係合部分が占めるスペースを小さくして装置内スペースを有効利用し、しかも駆動用スプロケットおよび噛合チェーンのそれぞれの構成同士の組み合わせ制限を回避した状態でチェーン駆動に最適な装置構成を選択し、しかも一対の噛合チェーン相互の噛み外れを確実に回避するとともにチェーン剛直化部分を確実に支持してチェーン剛性を向上させた状態で円滑に噛合チェーンを駆動するものであれば、その具体的な実施の態様は、如何なるものであってもよい。
【００２６】
例えば、本発明の噛合チェーン式進退作動装置で用いられる一対の噛合チェーンは、相互に噛み合わせて一体化するとともに相互に噛み外れて分岐するものであればその具体的なチェーン形態は如何なるものであってもよく、例えば、チェーン幅方向に１列の単列であるもの、チェーン幅方向に２列以上の複列であるものなど何れであっても構わないが、チェーン幅方向に２列以上の複列であるものを採用する場合には、一対の噛合チェーンの一方を構成するフック状外歯プレートとフック状内歯プレートが、これに対向する他方の噛合チェーンを構成するフック状外歯プレートとフック状内歯プレートに対してチェーン幅方向の複列に亙ってそれぞれフック状に多重かつ強固に噛み合うため、噛合チェーンのチェーン幅方向に生じがちな座屈を確実に抑制して優れたチェーン耐久性を実現できるので、より好ましい。
【００２７】
また、本発明の噛合チェーン式進退作動装置で用いられる一対の噛合チェーンは、ローラを有していないもの、すなわち、ブシュのみを有するもの、ローラを有するものなど何れであっても構わないが、ブシュのみを有するものを採用する場合には、チェーン部品点数が低減して、チェーン重量の軽量化を図ることができる。
また、本発明の噛合チェーン式進退作動装置で用いられる一対の噛合チェーンは、フック状内歯プレート及びフック状外歯プレートの少なくとも一方に形成されたフック状係合歯に駆動用スプロケットのスプロケット歯を係合させて駆動されるものであってもよい。
【００２８】
また、本発明の噛合チェーン式進退作動装置で用いられる一対の噛合チェーンは、一対の噛合チェーンの一方の側面のみから一方の噛合チェーンに係合する駆動用スプロケットのみによって駆動力を供給された状態で駆動されてもよいし、一対の噛合チェーンの両側面のそれぞれに配置されて一対の噛合チェーンに一対一で係合する１対の駆動用スプロケットによって駆動力を供給されて駆動されてもよい。
【００２９】
そして、本発明の噛合チェーン式進退作動装置は、設置面が据え置き設置形態となる床面であっても、吊り下げ設置形態となる天井面であっても昇降動作に何ら支障はなく、さらには、片持ち支持形態となる垂直壁面であっても前述した昇降動作に相当する進退動作に何ら支障はない。
【実施例】
【００３０】
以下、本発明の実施例である噛合チェーン式進退作動装置を図面に基づいて説明する。
ここで、図１は、本発明の一実施例である噛合チェーン式進退作動装置の全体斜視図であり、図２は、図１に示す駆動用スプロケットおよび噛合チェーン近傍の一部拡大図であり、図３は、噛合チェーンの分解組み立て状態と噛み外れ状態を示す斜視図であり、図４は、図１に示す駆動用スプロケットおよび噛合チェーン近傍の一部拡大図であり、図５は、図４に対応した変形例１に係る一部拡大図であり、図６は、図４に対応した変形例２に係る一部拡大図であり、図７は、図４に対応した変形例３に係る一部拡大図であり、図８は、図４に対応した変形例４に係る一部拡大図であり、図９は、変形例４に係る噛合チェーン式進退作動装置を仮想境界面で切った断面図であり、図１０は、本発明の変形例５に係る噛合チェーン式進退作動装置の正面図であり、図１１は、本発明の変形例５に用いられる噛合チェーンの分解組み立て状態と噛み外れ状態を示す斜視図であり、図１２は、変形例５に係る噛合チェーン式進退作動装置を仮想境界面で切った断面図である。
【００３１】
まず、本発明の一実施例である噛合チェーン式進退作動装置１００は、図１に示すように、ワークとしての重量物（図示していない）を搭載する昇降テーブルなど被駆動体Ｔを設置面Ｇに対して平行に昇降させるものである。
【００３２】
そして、本実施例の噛合チェーン式進退作動装置１００は、図１乃至図３に示すように、チェーン幅方向Ｗに沿って相互に対向する一対のフック状内歯プレート１１１とチェーン幅方向Ｗに沿って一対のフック状内歯プレート１１１の外側にそれぞれ配置された一対のフック状外歯プレート１１２とを前後一対の連結ピン１１３によってチェーン長手方向に多数連結して構成されることにより相互に噛み合って対向配置した状態で一体に剛直化してチェーン剛直化部分１１０Ｇを形成するとともに相互に噛み外れて分岐自在となる一対の噛合チェーン１１０、１１０と、チェーン剛直化部分１１０Ｇの側面から一対の噛合チェーン１１０、１１０の一方の噛合チェーン１１０に係合して一対の噛合チェーン１１０、１１０を進退自在に駆動する駆動用スプロケット１２０と、一方の噛合チェーン１１０に他方の噛合チェーン１１０を噛み合わせて従動させるチェーンガイド溝１３１を有するチェーンガイド１３０とを備え、ベースプレート１４０上で一対の噛合チェーン１１０、１１０の進退動作に応じて被駆動体Ｔを進退動させるようになっている。
【００３３】
また、噛合チェーン式進退作動装置１００は、駆動用スプロケット１２０を回転させる従動側スプロケット１５２に動力を伝達する動力伝達チェーン１５１と、この動力伝達チェーン１５１を駆動する駆動源としての駆動モータ１５０とを備え、ワークを搭載した被駆動体Ｔを一対の噛合チェーン１１０、１１０で直接的に支持して押し上げることで駆動モータ１６０のモータトルクを無駄なく伝達するようになっている。
また、駆動用スプロケット１２０は、噛合チェーン１１０を構成するブシュ１１４に係合するように設計されている。
【００３４】
また、噛合チェーン式進退作動装置１００で用いた一対の噛合チェーン１１０、１１０は、図３に示すように、チェーン幅方向Ｗに沿って一対で離間配置されるフック状内歯プレート１１１、１１１に前後一対のブシュ１１４を圧入嵌合してなる内リンクユニットがチェーン幅方向Ｗの最も外側に配置されたフック状外歯プレート１１２の前後一対のピン孔に圧入嵌合する前後一対の連結ピン１１３によりチェーン長手方向に多数連結されたものである。
【００３５】
次に、前述した本実施例の噛合チェーン式進退作動装置１００が最も特徴とする構成の具体的な形態について、図１乃至図４に基づいてより詳しく説明する。
噛合チェーン式進退作動装置１００は、図１乃至図４に示すように、チェーン剛直化部分１１０Ｇの両側からチェーン剛直化部分１１０Ｇを挟んで支持する一対の平面状チェーン支持面１３２ＡＳ、１３２ＡＳが、相互に噛み外れた一対の噛合チェーン１１０、１１０のチェーン噛み外れ部分１１０Ｈ、１１０Ｈをそれぞれガイドする一対の曲線状ガイド面１３２ＢＳ、１３２ＢＳのそれぞれに連続して繋がった状態でチェーンガイド溝１３１、１３１のガイド溝面１３２、１３２の一部を構成していることにより、一対の曲線状ガイド面１３２ＢＳ、１３２ＢＳで一対の噛合チェーン１１０、１１０を誘導して噛合動作を開始してからフック状内歯プレート１１１同士及びフック状外歯プレート１１２同士のそれぞれの噛合動作を完了させるまでチェーン剛直化部分１１０Ｇの厚みを維持するため、噛合チェーン１１０および駆動用スプロケット１２０相互の係合部分が占めるスペースを小さくして装置内スペースを有効利用し、しかも駆動用スプロケット１２０および噛合チェーン１１０のそれぞれの構成要素同士の組み合わせ制限を回避した状態でチェーン駆動に最適な装置構成を選択し、しかも一対の噛合チェーン１１０、１１０相互の噛み外れを確実に回避するとともにチェーン剛直化部分１１０Ｇを確実に支持してチェーン剛性を向上させた状態で円滑に噛合チェーン１１０を駆動するようになっている。
【００３６】
また、噛合チェーン式進退作動装置１００は、一方の噛合チェーン１１０に含まれる複数の連結ピン１１３のうち平面状チェーン支持面１３２ＡＳ及び曲線状ガイド面１３２ＢＳを分ける仮想境界面Ｓに位置する一方の連結ピン１１３と他方の噛合チェーン１１０に含まれる複数の連結ピン１１３のうち仮想境界面Ｓに沿って一方の連結ピン１１３に対向する他方の連結ピン１１３との間に存在する仮想境界面上ピン間距離Ｄ１とチェーン剛直化部分１１０Ｇに含まれる複数の連結ピン１１３のうち仮想境界面Ｓに沿って相互に対向する一対の連結ピン１１３、１１３の間に存在する剛直状態ピン間距離Ｄ２とが、相互に揃っていることにより、一方の連結ピン１１３および他方の連結ピン１１３の間に存在するフック状プレート噛合面を介してフック状内歯プレート１１１同士またはフック状外歯プレート１１２同士を相互に噛み合わせてチェーン剛直化部分１１０Ｇを形成した時点からチェーン剛直化部分１１０Ｇの噛合状態を解除しないようにチェーン剛直化部分１１０Ｇを支持するため、一方の噛合チェーン１１０および駆動用スプロケット１２０相互の係合部分が占めるスペースをより一層小さくして装置内スペースを有効利用し、しかも駆動用スプロケット１２０および噛合チェーン１１０のそれぞれの構成要素同士の組み合わせ制限を回避した状態でチェーン駆動に最適な装置構成を選択してより一層円滑に噛合チェーン１１０を駆動するようになっている。
【００３７】
また、噛合チェーン式進退作動装置１００は、平面状チェーン支持面１３２ＡＳが、仮想境界面Ｓから前後一対の連結ピン１１３、１１３のピン間距離Ｄ以上延びていることにより、チェーン剛直化部分１１０Ｇを前後一対の連結ピン１１３、１１３のピン間距離Ｄ以上の範囲で支持するため、一対の噛合チェーン１１０、１１０相互の噛み外れを確実に回避するとともにチェーン剛直化部分１１０Ｇを確実に支持してチェーン剛性をより一層向上させた状態でより一層円滑に噛合チェーン１１０を駆動するようになっている。
【００３８】
また、噛合チェーン式進退作動装置１００は、チェーン剛直化部分１１０Ｇの側面に向かって開口する開口部１３３Ａを有しているとともに駆動用スプロケット１２０を収容する駆動用スプロケット収容溝１３３が、チェーンガイド１３０に形成され、平面状チェーン支持面１３２ＡＳの終端が、開口部１３３Ａの２つの開口端のうち仮想境界面Ｓに近い側に形成された仮想境界面側開口端ＯＥに重なっていることにより、仮想境界面側開口端ＯＥにフック状内歯プレート１１１およびフック状外歯プレート１１２を駆動するまでにフック状内歯プレート１１１同士およびフック状外歯プレート１１２同士の噛合動作を完了させるため、チェーン剛直化部分１１０Ｇの分解すなわち噛合状態の解除を確実に回避して噛合チェーン１１０をより円滑に駆動するようになっている。
【００３９】
また、噛合チェーン式進退作動装置１００は、一対のフック状内歯プレート１１１、１１１が、チェーン幅方向Ｗに沿って相互に離間配置され、曲線状ガイド面１３２ＢＳに対向する裾状対向ガイド面１３４ＢＳに沿ってチェーン噛み外れ部分１１０Ｈをガイドする山型チェーンガイド部分１３４Ｂと仮想境界面Ｓからチェーン剛直化部分１１０Ｇの中空領域Ｒ１に延びているとともに平面状チェーン支持面１３２ＡＳに対向する平面状チェーン支持側面１３４ＡＳによってチェーン剛直化部分１１０Ｇを支持する直線状チェーン支持部分１３４Ａとを有する位置決めチェーンガイド部１３４が、一対の噛合チェーン１１０、１１０の股間領域Ｒ２に設けられていることにより、チェーン剛直化部分１１０Ｇの中空領域Ｒ１すなわち内側とチェーン剛直化部分１１０Ｇの外側とからチェーン剛直化部分１１０Ｇを支持するため、チェーン剛直化部分１１０Ｇの噛合状態を解除しないようにチェーン剛直化部分１１０Ｇを確実に支持してより一層円滑に噛合チェーン１１０を駆動するようになっている。
【００４０】
また、噛合チェーン式進退作動装置１００は、平面状チェーン支持側面１３４ＡＳが、仮想境界面Ｓから開口部１３３Ａ側に向かって前後一対の連結ピン１１３、１１３のピン間距離Ｄ以上延びていることにより、仮想境界面Ｓから前後一対の連結ピン１１３、１１３のピン間距離Ｄ以上に渡ってチェーン剛直化部分１１０Ｇの中空領域Ｒ１すなわち内側とチェーン剛直化部分１１０Ｇの外側とからチェーン剛直化部分１１０Ｇを支持するため、チェーン剛直化部分１１０Ｇの噛合状態を解除しないようにチェーン剛直化部分１１０Ｇを確実に支持してより一層円滑に噛合チェーンを駆動するようになっている。
【００４１】
このように得られた本実施例の噛合チェーン式進退作動装置１００は、チェーン剛直化部分１１０Ｇの両側からチェーン剛直化部分１１０Ｇを挟んで支持する一対の平面状チェーン支持面１３２ＡＳ、１３２ＡＳが、相互に噛み外れた一対の噛合チェーン１１０、１１０のチェーン噛み外れ部分１１０Ｈ、１１０Ｈをそれぞれガイドする一対の曲線状ガイド面１３２ＢＳ、１３２ＢＳのそれぞれに連続して繋がった状態でチェーンガイド溝１３１、１３１のガイド溝面１３２、１３２の一部を構成していることにより、噛合チェーン１１０および駆動用スプロケット１２０相互の係合部分が占めるスペースを小さくして装置内スペースを有効利用し、しかも駆動用スプロケット１２０および噛合チェーン１１０のそれぞれの構成要素同士の組み合わせ制限を回避した状態でチェーン駆動に最適な装置構成を選択し、しかも一対の噛合チェーン１１０、１１０相互の噛み外れを確実に回避するとともにチェーン剛直化部分１１０Ｇを確実に支持してチェーン剛性を向上させた状態で円滑に噛合チェーン１１０を駆動することができるなど、その効果は甚大である。
【００４２】
次に、図５乃至図１２を参照しながら、上述した噛合チェーン式進退作動装置１００の変形例を説明する。
なお、以下の変形例１乃至変形例５では、上述した噛合チェーン式進退作動装置１００と共通する部分に共通の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【００４３】
図５に示すように、変形例１に係る噛合チェーン式進退作動装置は、駆動用スプロケット１２０が、一対の噛合チェーン１１０、１１０の両側に対称に配置された状態で一対の噛合チェーン１１０、１１０を駆動することにより、一つの駆動用スプロケット１２０で一対の噛合チェーン１１０、１１０を駆動する場合に比べて大きな駆動力で駆動するため、上述した噛合チェーン式進退作動装置１００が奏する効果に加えて高速で一対の噛合チェーン１１０、１１０を駆動するようになっている。
【００４４】
また、図６に示すように、変形例２に係る噛合チェーン式進退作動装置は、チェーン剛直化部分１１０Ｇの駆動方向すなわち図中上下方向に沿って相互に異なる高さに２つの駆動用スプロケット１２０、１２０が配置されているとともに一対の噛合チェーン１１０、１１０の両側に位置する仮想境界面側開口端ＯＥ１、ＯＥ２の一方である仮想境界面側開口端ＯＥ２が、仮想境界面Ｓからピン間距離Ｄ以上離れていることにより、一つの駆動用スプロケット１２０で一対の噛合チェーン１１０、１１０を駆動する場合に比べて大きな駆動力で駆動するため、上述の噛合チェーン式進退作動装置１００が奏する効果に加えて高速で一対の噛合チェーン１１０、１１０を駆動するようになっている。
【００４５】
また、図７に示すように、変形例３に係る噛合チェーン式進退作動装置は、一対の噛合チェーン１１０、１１０の両側に形成された平面状チェーン支持側面１３４ＡＳ、１３４ＡＳのそれぞれの上端が異なる高さに位置していることにより、一対の噛合チェーン１１０、１１０の両側で相互に異なる高さに配置された２つの駆動用スプロケット１２０、１２０の非同期状態に起因して生じうるチェーン剛直化部分１１０Ｇの解除現象すなわち一対の噛合チェーン１１０、１１０の噛み外れ現象を回避するため、上述の噛合チェーン式進退作動装置１００に比べてより一層円滑に一対の噛合チェーン１１０、１１０を駆動するようになっている。
【００４６】
また、図８及び図９に示すように、変形例４に係る噛合チェーン式進退作動装置は、噛合チェーン１１０が、一対のフック状内歯プレート１１１と一対のフック状外歯プレート１１２とをチェーン幅方向Ｗに連結した複列で編成され、駆動用スプロケット１２０が、複列のうち平面状チェーン支持面１３２ＡＳに接触する支持対象列と異なる係合列に係合することにより、単列で構成された噛合チェーンに比べてチェーン剛性を向上させるため、より一層チェーン剛直化部分１１０Ｇの噛合状態を解除しないようにチェーン剛直化部分１１０Ｇを確実に支持して噛合チェーン１１０を駆動するようになっている。
【００４７】
また、図１０乃至図１２に示すように、変形例５に係る噛合チェーン式進退作動装置は、連結ピン１１３が、フック状外歯プレート１１２のプレート面から外側に突出した状態でチェーンガイド溝１３１にガイドされることにより、チェーン剛直化部分１１０Ｇの噛合状態を解除しないようにチェーン剛直化部分１１０Ｇを確実に支持してより一層円滑に噛合チェーンを駆動するようになっている。
【００４８】
また、上述の変形例４及び変形例５に係る噛合チェーン式進退作動装置は、チェーンガイド溝１３１に臨む開口部１３３Ａを形成していないことにより、開口部１３３Ａの開口端とローラやブシュなどのチェーン摺動部との衝突を回避するため、この衝突に起因するチェーン振動及びチェーン衝突音の発生を回避するようになっている。
【００４９】
なお、上述の噛合チェーン式進退作動装置に適用される噛合チェーンは、図３に示したプレート、ブシュ及び連結ピンからなる、いわゆるブシュチェーンタイプや、図１０乃至図１２に示した連結ピン及びプレートからなるものであってもよいし、ブシュチェーンにおいてブシュにローラを遊嵌したローラチェーンタイプや、図３に示した連結ピンをプレートから突出させた突出部をガイドするものでもよい。
すなわちフック状噛合部を有するチェーンを一体剛直化させるものであれば、どのような噛合チェーンであっても、本願に係る発明によって奏される効果に変わりはない。
【符号の説明】
【００５０】
１００ ・・・ 噛合チェーン式進退作動装置
１１０、８１０ ・・・ 噛合チェーン
１１０Ｇ ・・・ チェーン剛直化部分
１１１ ・・・ フック状内歯プレート
１１２ ・・・ フック状外歯プレート
１１３ ・・・ 連結ピン
１１４ ・・・ ブシュ
１２０ ・・・ 駆動用スプロケット
１２１ ・・・ 駆動軸
１３０ ・・ チェーンガイド
１３１ ・・・ チェーンガイド溝
１３２ ・・・ ガイド溝面
１３２ＡＳ ・・・ 平面状チェーン支持面
１３２ＢＳ ・・・ 曲線状ガイド面
１３３ ・・・ 駆動用スプロケット収容溝
１３３Ａ ・・・ 駆動用スプロケット収容溝の開口部
１３４ ・・・ 位置決めチェーンガイド部
１３４Ａ ・・・ 直線状チェーン支持部分
１３４Ｂ ・・・ 山型チェーンガイド部分
１３４ＡＳ ・・・ 平面状チェーン支持側面
１３４ＢＳ ・・・ 裾状対向ガイド面
１４０ ・・・ ベースプレート
１５０ ・・・ 駆動モータ
１５１ ・・・ 動力伝達チェーン
１５２ ・・・ 従動側スプロケット
８００ ・・・ 噛合チェーン式昇降装置
Ｄ ・・・ 前後一対の連結ピンのピン間距離
Ｄ１ ・・・ 仮想境界面上ピン間距離
Ｄ２ ・・・ 剛直状態ピン間距離
Ｇ ・・・ 設置面
ＯＥ、ＯＥ１、ＯＥ２ ・・・ 仮想境界面側開口端
Ｒ１ ・・・ チェーン剛直化部分の中空領域
Ｒ２ ・・・ 一対の噛合チェーンの股間領域
Ｓ ・・・ 仮想境界平面
Ｔ ・・・ 被駆動体
【特許請求の範囲】
【請求項１】
チェーン幅方向に沿って相互に対向する一対のフック状内歯プレートと前記チェーン幅方向に沿って前記一対のフック状内歯プレートの外側にそれぞれ配置された一対のフック状外歯プレートとを前後一対の連結ピンによってチェーン長手方向に多数連結して構成されることにより相互に噛み合って対向配置した状態で一体に剛直化してチェーン剛直化部分を形成するとともに相互に噛み外れて分岐自在となる一対の噛合チェーンと、前記チェーン剛直化部分の側面から前記一対の噛合チェーンの一方の噛合チェーンに係合して前記一対の噛合チェーンを進退自在に駆動する駆動用スプロケットと、前記一方の噛合チェーンに他方の噛合チェーンを噛み合わせて従動させるチェーンガイド溝を有するチェーンガイドとを備えている噛合チェーン式進退作動装置であって、
前記チェーン剛直化部分の両側からチェーン剛直化部分を挟んで支持する一対の平面状チェーン支持面が、相互に噛み外れた一対の噛合チェーンのチェーン噛み外れ部分をそれぞれガイドする一対の曲線状ガイド面のそれぞれに連続して繋がった状態で前記チェーンガイド溝のガイド溝面の一部を構成していることを特徴とする噛合チェーン式進退作動装置。
【請求項２】
前記一方の噛合チェーンに含まれる複数の連結ピンのうち前記平面状チェーン支持面及び曲線状ガイド面を分ける仮想境界面に位置する一方の連結ピンと前記他方の噛合チェーンに含まれる複数の連結ピンのうち前記仮想境界面に沿って前記一方の連結ピンに対向する他方の連結ピンとの間に存在する仮想境界面上ピン間距離と前記チェーン剛直化部分に含まれる複数の連結ピンのうち前記仮想境界面に沿って相互に対向する一対の連結ピンの間に存在する剛直状態ピン間距離とが、相互に揃っていることを特徴とする請求項１に記載の噛合チェーン式進退作動装置。
【請求項３】
前記平面状チェーン支持面が、前記仮想境界面から前記前後一対の連結ピンのピン間距離以上延びていることを特徴とする請求項２に記載の噛合チェーン式進退作動装置。
【請求項４】
前記チェーン剛直化部分の側面に向かって開口する開口部を有しているとともに前記駆動用スプロケットを収容する駆動用スプロケット収容溝が、前記チェーンガイドに形成され、
前記平面状チェーン支持面の終端が、前記開口部の２つの開口端のうち前記仮想境界面に近い側に形成された仮想境界面側開口端に重なっていることを特徴とする請求項２又は請求項３に記載の噛合チェーン式進退作動装置。
【請求項５】
前記一対のフック状内歯プレートが、前記チェーン幅方向に沿って相互に離間配置され、
前記曲線状ガイド面に対向する裾状対向ガイド面に沿って前記チェーン噛み外れ部分をガイドする山型チェーンガイド部分と前記仮想境界面から前記チェーン剛直化部分の中空領域に延びているとともに前記平面状チェーン支持面に対向する平面状チェーン支持側面によって前記チェーン剛直化部分を支持する直線状チェーン支持部分とを有する位置決めチェーンガイド部が、前記一対の噛合チェーンの股間領域に設けられていることを特徴とする請求項２乃至請求項４のいずれか一つに記載の噛合チェーン式進退作動装置。
【請求項６】
前記平面状チェーン支持側面が、前記仮想境界面から前記開口部側に向かって前記前後一対の連結ピンのピン間距離以上延びていることを特徴とする請求項５に記載の噛合チェーン式進退作動装置。
【請求項７】
前記噛合チェーンが、前記一対のフック状内歯プレートと一対のフック状外歯プレートとを前記チェーン幅方向に連結した複列で編成され、
前記駆動用スプロケットが、前記複列のうち前記平面状チェーン支持面に接触する支持対象列と異なる係合列に係合することを特徴とする請求項１乃至請求項３のいずれか一つに記載の噛合チェーン式進退作動装置。
【請求項８】
前記連結ピンが、前記フック状外歯プレートのプレート面から外側に突出した状態で前記チェーンガイド溝にガイドされることを特徴とする請求項１乃至請求項３のいずれか一つに記載の噛合チェーン式進退作動装置。
【請求項１】
チェーン幅方向に沿って相互に対向する一対のフック状内歯プレートと前記チェーン幅方向に沿って前記一対のフック状内歯プレートの外側にそれぞれ配置された一対のフック状外歯プレートとを前後一対の連結ピンによってチェーン長手方向に多数連結して構成されることにより相互に噛み合って対向配置した状態で一体に剛直化してチェーン剛直化部分を形成するとともに相互に噛み外れて分岐自在となる一対の噛合チェーンと、前記チェーン剛直化部分の側面から前記一対の噛合チェーンの一方の噛合チェーンに係合して前記一対の噛合チェーンを進退自在に駆動する駆動用スプロケットと、前記一方の噛合チェーンに他方の噛合チェーンを噛み合わせて従動させるチェーンガイド溝を有するチェーンガイドとを備えている噛合チェーン式進退作動装置であって、
前記チェーン剛直化部分の両側からチェーン剛直化部分を挟んで支持する一対の平面状チェーン支持面が、相互に噛み外れた一対の噛合チェーンのチェーン噛み外れ部分をそれぞれガイドする一対の曲線状ガイド面のそれぞれに連続して繋がった状態で前記チェーンガイド溝のガイド溝面の一部を構成していることを特徴とする噛合チェーン式進退作動装置。
【請求項２】
前記一方の噛合チェーンに含まれる複数の連結ピンのうち前記平面状チェーン支持面及び曲線状ガイド面を分ける仮想境界面に位置する一方の連結ピンと前記他方の噛合チェーンに含まれる複数の連結ピンのうち前記仮想境界面に沿って前記一方の連結ピンに対向する他方の連結ピンとの間に存在する仮想境界面上ピン間距離と前記チェーン剛直化部分に含まれる複数の連結ピンのうち前記仮想境界面に沿って相互に対向する一対の連結ピンの間に存在する剛直状態ピン間距離とが、相互に揃っていることを特徴とする請求項１に記載の噛合チェーン式進退作動装置。
【請求項３】
前記平面状チェーン支持面が、前記仮想境界面から前記前後一対の連結ピンのピン間距離以上延びていることを特徴とする請求項２に記載の噛合チェーン式進退作動装置。
【請求項４】
前記チェーン剛直化部分の側面に向かって開口する開口部を有しているとともに前記駆動用スプロケットを収容する駆動用スプロケット収容溝が、前記チェーンガイドに形成され、
前記平面状チェーン支持面の終端が、前記開口部の２つの開口端のうち前記仮想境界面に近い側に形成された仮想境界面側開口端に重なっていることを特徴とする請求項２又は請求項３に記載の噛合チェーン式進退作動装置。
【請求項５】
前記一対のフック状内歯プレートが、前記チェーン幅方向に沿って相互に離間配置され、
前記曲線状ガイド面に対向する裾状対向ガイド面に沿って前記チェーン噛み外れ部分をガイドする山型チェーンガイド部分と前記仮想境界面から前記チェーン剛直化部分の中空領域に延びているとともに前記平面状チェーン支持面に対向する平面状チェーン支持側面によって前記チェーン剛直化部分を支持する直線状チェーン支持部分とを有する位置決めチェーンガイド部が、前記一対の噛合チェーンの股間領域に設けられていることを特徴とする請求項２乃至請求項４のいずれか一つに記載の噛合チェーン式進退作動装置。
【請求項６】
前記平面状チェーン支持側面が、前記仮想境界面から前記開口部側に向かって前記前後一対の連結ピンのピン間距離以上延びていることを特徴とする請求項５に記載の噛合チェーン式進退作動装置。
【請求項７】
前記噛合チェーンが、前記一対のフック状内歯プレートと一対のフック状外歯プレートとを前記チェーン幅方向に連結した複列で編成され、
前記駆動用スプロケットが、前記複列のうち前記平面状チェーン支持面に接触する支持対象列と異なる係合列に係合することを特徴とする請求項１乃至請求項３のいずれか一つに記載の噛合チェーン式進退作動装置。
【請求項８】
前記連結ピンが、前記フック状外歯プレートのプレート面から外側に突出した状態で前記チェーンガイド溝にガイドされることを特徴とする請求項１乃至請求項３のいずれか一つに記載の噛合チェーン式進退作動装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【公開番号】特開２０１２−１６６８７０（Ｐ２０１２−１６６８７０Ａ）
【公開日】平成２４年９月６日（２０１２．９．６）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−２７３６５（Ｐ２０１１−２７３６５）
【出願日】平成２３年２月１０日（２０１１．２．１０）
【特許番号】特許第４８９７０９４号（Ｐ４８９７０９４）
【特許公報発行日】平成２４年３月１４日（２０１２．３．１４）
【出願人】（０００００３３５５）株式会社椿本チエイン (861)
【公開日】平成２４年９月６日（２０１２．９．６）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年２月１０日（２０１１．２．１０）
【特許番号】特許第４８９７０９４号（Ｐ４８９７０９４）
【特許公報発行日】平成２４年３月１４日（２０１２．３．１４）
【出願人】（０００００３３５５）株式会社椿本チエイン (861)
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